2019.08.23

写真とライトでいっぱいの‘ボルタンスキー展’!

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    ‘合間に’(2010年)

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    ‘モニュメント’(1986年)

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     ‘発言する’(2005年)

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    ‘保存室’(1988年)

フランスの現代ア―ティスト、クリスチャン・ボルタンスキー
(1944~)の作品はパリのポンピドーでみたというしっかりしたイメ
ージが残っていない。MoMAの展覧会が日本であったとき1点、女の子の
顔写真を前からライトで照らしているインスタレーションンにお目にかか
った。この作品を唯一の手がかりにして今、国立新美で開催中の‘ボルタ
ンスキー展’(6/12~9/2)に侵入した。

全体を見終わったときの印象を先走っていってしまうと、照明を暗くした
部屋でみた白黒の顔写真と豆電球と電気の配線が頭のなかにいっぱいつめ
こまれたという感じ。2番目の画像のように子どものや女性の写真を小さ
な缶のようなもので積み重なったところに置きを電灯で浮かび上がらせる
作品をボルタンスキーは‘モニュメント’と名づけている。この連作が12点
でている。

‘合間に’は縦に細かく切断されたカーテンにボルタンスキーの7歳から65
歳までの顔が映しだされている。みたあとはこのカーテンを開けて次の
部屋に進む。瞬間的にポンピドーの一階ホールの上の部分に飾ってあった
‘ポンピドー大統領の顔’(今もある?)を思い出した。蛇腹の素材が動くと
顔の白黒の濃淡が変わるこのヴァサレリーの作品から刺激を受けたのかも
しれない。

今回収穫だったのが‘アニタス(白)’というタイトルのついた映像の前に
4,5点立たされていた人間のオブジェ。これは‘発言する’という作品。
映像をみているとどこかで誰かがしゃべっている。きょろきょろしたが、
しゃべっているのはこのオブジェだった。3か国語?でしゃべっており、
日本語も流れる。‘びっくりした?’なんて言ってくる。この発想はすごく
おもしろい。参りました!

様々な衣服がどどっと吊り下げられている‘保存室’をみていると同じフラ
ンスの女性ア―ティスト、アネット・メサジュがつくったぬいぐるみの
人形などを数多く集め壁にピンでとめた作品が目の前をよぎった。似た
ようなアイデアが無意識にでてくることはよくある。

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2019.08.22

すっきりアート ‘ジュリアン・オピー展’!

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   ‘ニューヨークで歩く人たち’(2019年)

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   ‘動画 歩く人たち’(2018年)

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    ‘テレフォン’(2018年)

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    ‘川3’(2019年)

新宿の初台へ出かけ‘ジュリアン・オピー展’(7/10~9/23)をみてき
た。この個展が開かれているのは東京オペラシティにあるアート
・ギャラリー。ここへは2回くらい来た覚えがあるが、かなり前のことだ
から‘初台駅’がてっきり京王線にあるものだと勘違いしてしまった。その
ため長く歩くことになりようやく京王新線のホームに移動。駅に着きガイ
ダンスに従って進んでいると見覚えのある東京オペラシティがみえてきた。

アート・ギャラリーには11時の開館の2分前に着いた。てっきり10時の
開館だと思っていたが、どういうわけかここは11時開館。2つ目の間違
いだが、こっちのほうはタイミングからいうと好都合のミスだった。さて、
気になるジュリアン・オピー(1958~)、今年60歳だそうだ。名前
は知っているが作品をみたのは1点しかない。かなり前にあったMoMA展で
お目にかかったような気がする。色がスッキリしていたような記憶が残
っているが、どんな作品だったかまったく忘れている。

展示室に入るといきなり大画面が現れた。描かれているのは街を歩く人
たち。真横から見た体の輪郭は黒の太い線でとられ、衣服はすっきりした
色合いが横に並んでいる。顔には目も口もなく、手の指も靴もないが、皆
リズミカルに進んでいる感じ。そのシンプルさとすっきり感によって生み
出されたリアリズムがとても新鮮に映る。いっぺんに嵌った!

多くの作品は歩く人たち。画面の断面を横に立ってみると色彩の積み重ね
がレリーフ状になっている。浮世絵の多色摺りをキャンパス上でやってい
るようなもの。絵画のほかに動画にも通行人は現れる。スピードがあり
映画をみているようで、いろんな個性をもった人たちが目の前を動いて
いく。さらに、青銅の板で作られた‘テレフォン’にも足がとまる。近づい
てみると足や手、顔、そしてバッグ、アイフォンは中がくり抜かれている。
ただの穴の開いたオブジェなのだが、離れてみると命が吹きこまれ生き生
きしてくる。それは背後にある部屋の壁の色が腕や足につくから。これは
おもしろい!

3点あった風景画にも吸いこまれた。例えば‘川3’、これほどスキッとした
風景画は見たことがない。もうひとつの風景では空の鳥が画面に穴を開け
たり鳥の形をした小さな作り物をぺたっと張ることによって表現されて
いる。ほかの作品をもっとみたくなった。

ジュリアン・オピー、やるじゃない!これからつきあっていくことにした。

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2018.12.09

マルセル・デュシャンと日本美術!

Img_0002     ‘デュムシェル博士の肖像’(1910年 フィラデルフィア美)

Img_0001   ‘階段を降りる裸体No.2’(1912年 フィラデルフィア美)

Img ‘彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも’(1915~23/1980年 東京ヴァージョン)
Img_0003     ‘泉’(1917/1950年 レプリカ フィラデルフィア美)

東博では今日まで‘マルセル・デュシャンと日本美術’が開かれていた。10/2から2ヶ月の会期だったこの展覧会は東博とフィラデルフィア美による交流の一環として企画されたもの。チラシの入手が遅れたのでデュシャンと日本美術がどういう風にコラボするのかイメージできなかったが、そのことにこだわらずデュシャン(1887~1968)にだけ専念してまわった。

デュシャンの聖地ともいえるフィラデルフィア美へは2度足を運んだので、デュシャンへの思い入れは相当強い。最初に訪れた2013年は展示室が改築中だったため、数点しかみれず肩透かしを食った。そのコレクションの全貌に接したのは2015年のとき。あの‘与えられたとせよ:(1)落ちる水(2)照明用ガス’もしっかり目に焼きつけた。

今回そのときみたものがほとんどやって来ている。これは太っ腹。ただ、‘与えられたとせよ’と有名な‘彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)’はなく、‘大ガラス’については1980年に制作された東京ヴァージョン(東京大学博物館)が代役をつとめていた。

初期の‘デュムシェル博士の肖像’はぱっとみるとシャガールの画風と似ている。隣に飾ってある‘芸術家の父親の肖像’は以前あったフィラデルフィア美展に登場した。横浜美のデュシャン展(2005年)にも出品された‘階段を降りる裸体N0.2’は明らかにイタリアの未来派を意識している。初登場の‘急速な裸体たちに囲まれるキングとクイーン’も同じタイプの作品。未来派にのめりこんでいるので反応はとてもいい。

絵画以外の作品は‘大ガラス’をはじめとしてよく目にするものがずらっと展示されている。歴史的な作品‘泉’、‘自転車の車輪’、‘瓶乾燥機’、‘櫛’、目がまわりそうになる‘ロトレリーフ(光学円盤)’、、、

まわりに若い外国人がたくさんいた。欧米ではデュシャンの人気は群を抜いて高いことを再認識した。

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2017.07.26

やっとホックニーに会えた!

Img_0004     シスレーの‘卓上のぶどうとクルミ’(1876年)

Img     オキーフの‘グレーの上のカラ・リリー’(1928年)

Img_0002     ホックニーの‘ギャロビー・ヒル’(1998年)

Img_0001     村上隆の‘作品’(2002年)

ボストン美が所蔵する絵画作品ですぐ思い浮かべるのはミレーと印象派、そしてゴッホとゴーギャン。今回ミレーはもちろん含まれており、印象派はブーダン、ピサロ、シスレー、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌがラインナップ、さらに目玉のゴッホを揃える。お休み組はマネ、ロートレック、ゴーギャン。

シスレー(1839~1899)はお馴染みのワンパターン的な風景画とぶどうとクルミを描いたもの。足が止まったのは久しぶりに会った静物画。シスレーが手がけた静物画は5点あり、その一枚がボストンにおさまっている。隣にあったセザンヌのアベレージの静物画よりこちらのほうが断然いい。

2015年にボストン美を訪れたときは新館に飾られているサージェントやホーマーなどアメリカ絵画をみるのに多くの時間をさいたので、現代アートの部屋には寄れなかった。オキーフ(1887~1986)は現代アートのところではなくアメリカ絵画のほうに展示されており、出品されている‘グレーの上のカラ・リリー’はみかけなかったから収穫のプラスα。

この展覧会で想定外だったのが、たぶん現代アートのところに飾ってあったはずのホックニー(1962~)の‘ギャロビー・ヒル’。ひょいと現れた。ええー。これが来ていたの!嬉しくなった。2008年、2回目のボストンのとき手にとった美術館案内に使われていたのがこの絵。

明るい色使いで田園風景を現代アート風に構成した作風にぐっと惹きこまれた。ところが、このイギリスアート界のビッグネームがどういうわけか見当たらない。当時、新館の建築でいくつかの部屋が閉鎖されていたので対面が叶わなかったのである。そして3年前はお目当てのホーマーをみるためパス。この絵が日本でみれるとは思ってもいなかった。ミューズに感謝!

最後の展示コーナーにもう一点、こんな絵をボストンは購入していたの?というのがあった。村上隆(1962~)が2002年に制作した作品。森アーツセンターであった‘五百羅漢図展’の活気がよみがえってきた。

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2017.03.19

期待の‘カッサンドル・ポスター展’!

Img_0002     ‘エトワール・デュ・ノール’(1927年)

Img_0003     ‘ラントランジジャン’(1925年)

Img     ‘ノルマンディー’(1935年)

Img_0004     ‘デュボ・デュボン・デュボネ’(1932年)

国立新美の‘ミュシャ展’へ出かけるとミュシャがつくった人気絶大のポスターがたくさんみれるが、もしポスターに興味がある人はJR京浜東北線の北浦和駅から歩いてすぐの所にある埼玉県近美へも足をのばすと楽しいことがあるかもしれない。

ここではパリで活躍したグラフィックデザイナー、カッサンドル(1901~1968)の刺激的なポスターがずらっと並んでいる。この‘カッサンドル・ポスター展’の会期は残り少なく来週の26日(日)まで。カッサンドルを知ったのは2010年に放送された‘パリのポスター’に焦点をあてた日曜美術館。このときでてきた‘エトワール・デュ・ノール’に200%KOされた。

これはフランスの鉄道会社が運営するパリとアムステルダムをを結ぶ寝台列車‘北極星号’のためにつくられたポスター。でも、通常の旅行のポスターとちがい、描かれているのは列車ではなく、レールだけ。その軌道を6本の直線と曲線を組み合わして表現し、高い位置の地平線の消失点までのばしている。この斬新な発想に大きな衝撃を受けた。

これまでみたカッサンドルのポスターは数点しかないので、展示されたものがどれも刺激的でいちいち足がとまる。そして、‘こりゃ、天才だわ’と思う。ドキッとしたのが夕刊紙のポスター‘ラントランジジャン’、会社からテーマは‘情報’と言われたカッサンドルはこのテーマがすぐイメージできるよう耳に直線が何本も集まるデザインを思いついた。そして‘ラントランジジャン’の文字が一部切れているのもポイント、これで情報の命であるスピード感をだしている。

圧倒的な存在感を放つのが豪華客船の‘ノルマンディー号’、真正面の姿を下から仰ぎ見るとこの客船は船に乗り込むのにどれだけ時間がかかるのかと思ってしまうほど巨大に見えてくる。船底にほうには白いカモメが飛んでおり、旅のロマンをいやがおうにも掻き立てる。

今回大きな収穫だったのが食前酒‘デュボネ’のポスター、3つが連動し、男性の酔い心地にあわせて左から文字がだんだん染まっていく。これがおもしろい。最初が‘美しい’、次が‘おいしい’、そして‘デュボネ’。じつに上手くできたポスター。

子どものころTVにトリスウイスキーのおもしろいCMがよく流れていた。男の顔がだんだん赤くなっていくものだが、このアイデアは食前酒のポスターをまねたものにちがいない。この作品もカッサンドルがつくったというのも驚き、硬いものもユーモラスなキャラクターも生みだせるのだからカッサンドルはグラフィックを自在にものにできるほどの豊かな才能をもちあわせている。

ずっと気になっていたデザイナーの代表作がいくつもみれて満ち足りた気分、ミューズに感謝!

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2017.03.18

大盛況の‘草間彌生展’!

Img_0003_2     ‘わが永遠の魂 しのびがたい愛の行方’(2014年)

Img_0001_2     ‘私に愛を与えて’(2015年)

Img_0002_2     ‘真夜中に咲く花’

Img_2     ‘かぼちゃ’(1999年 松本市美)

現在、国立新美は大賑わい。1階で‘草間彌生展’(2/22~5/22)を開催し、2階ではミュシャの話題の‘スラブ叙事詩’(3/8~6/5)を堂々展示しているからである。平日なのにチケット売り場には長い列ができている。だから、もしチケットがまだの人は前もってコンビニなどで購入しておくことをお勧めしたい。

また、草間彌生展では想定外の混雑があった。ミュージアムショップで図録などを買おうと思ってもレジのキャパが足りないため60分も並ぶことになる。時間がないので今回は絵葉書も図録のなしにした。土日は展覧会関連グッズを買うのは大変なことになりそう。これから観客はどんどん増えていくから美術館はこのレジ問題の対策を真剣に考えないと大クレームになるのはまちがいない。

今年88歳になる草間彌生(1929~)の回顧展をみるのは今度が3回目、前回は2012年の春埼玉県近美でクサマワールドを存分に楽しんだ。今回のメインの作品は2009年から描き続けている‘わが永遠の魂’、2012年をパートⅠするとパートⅡで目のなかに入ったのが全部で130点ほど。

これまで500点も仕上げたというのだからクサマの作品に注ぎ込むエネルギーは次から次と湧いてくる感じ。こんな超人的な現代アーティストがかつていただろうか、本当にスゴイ!

ここの部屋では写真撮影OK、みんな赤や黄色や青など朝やかな色彩で描かれた丸や点、そして人間の顔やミトコンドリアを連想させる生き物などを思い々にパチパチやっていた。そして、花の作り物‘真夜中に咲く花’を背景に記念撮影。これは楽しい。若い人が多いのは予想通りだが、外国人もニコニコしながらみている。まさに世界のクサマの証。

クサマ作品のなかで欠かせないのが‘かぼちゃ’、水玉模様のかぼちゃはいろんなヴァージョンがある。シルバーメタリックを施したかぼちゃの前でも思わず足がとまった。嬉しい展示だったのが入ってすぐ目にとびこんでくる‘クサマヤヨイの富士山’(2014年)。本物と対面して言うことなし。

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2017.01.07

オキーフの回顧展に遭遇したい!

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Img_0001     ‘夏の日々’(1936年 NY ホイットニー美)

ここ数年アメリカの美術館が所蔵する絵画コレクションを楽しむ機会が多い。近いところでは今月の21日まで上野の森美でやっているデトロイト美展、そしてクリーブランド美、ワシントンナショナルギャラリー、クラークコレクション、メトロポリタン、ボストン、フィリップスコレクションも記憶によく残っている。

この流れはまだ続くと勝手に予想すると、美術館名品展だけでなくアメリカ人画家の回顧展の開催にも期待がふくらむ。そのなかで思い入れが強いのが女流画家のジョージア・オキーフ(1887~1986)。アメリカの美術館をまわるとき、追っかけリストの第一列にくる画家のひとりである。

オキーフの作品はカサット同様、大きな美術館に行くとだいだい飾ってある。3点以上みたという印象があるのがメトロポリタンとTASHENの表紙を飾っている作品をもっているワシントンナショナルギャラリー、好きな画家の場合、お目にかかった作品が多くなればなるほど回顧展との遭遇を切望するようになる。

ところで、日本で過去オキーフ展が開催されたことがあるのだろうか?40年とか50年前のことは知らないが30年くらいのスパンでみるとそんな情報はない。だから、どこかの美術館がオキーフにチャレンジしてくれないかなとずっと思い続けている。

最も期待している美術館はBunkamura、ここはフリーダ・カーロをやりレンピッカにも光をあててくれた。女流画家の回顧展は昨今盛り上がっている。昨年はカサットが横浜美に登場し、今年は国立新美で草間彌生展(2/22~5/22)が行われる。

オキーフ展の開催がベストだが、ホイットニー美の名作展がオキーフの‘夏の日々’を目玉にして行われると飛び上がるほど嬉しい。船の帆は高く掲げておきたい。あとは幸運な風が吹くのを待つだけ。

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2016.12.10

‘新宮晋の宇宙船’で想定外のことが!

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Img_0003     ‘雲の日記のスケッチ’

Img     ‘小さな花’(2013年)

久しぶりに横須賀美を訪れ‘新宮晋の宇宙船’(11/3~12/25)を楽しんだ。風の力や水の流れによって動くオブジェでその名が世界的に知られている新宮晋(1937~)、今年79歳なのにここにある新作14点はまったく年を感じさせないすばらしいものばかり。

今年制作されたのは黄色で着色された帆が弱い風でゆっくり動く‘雲の日記’など9点。この‘雲の日記’のように帆がポリエステルの布のような素材でつくられたものをみると、アメリカのカルダー(1898~1976)が生み出した‘動く彫刻’、モビールが思い起こされる。

カルダーのモビールがそれがつりさげられたワイヤーの振動によって動きが生み出されているのに対し、新宮晋のオブジェはポリエステルの布や和紙でできているものでもステンレスやアルミの金属を使って造形されたものでも、その動きをゆっくりと不連続に変えていっているのは水や風という自然のエネルギー。

一点々がみてて飽きないのは複数のユニットによってつくられる動きの形がある一定の時間をへて何度も繰り返されている感じではなく、全体の形が無限に変容しているようにみえるから。そして、ときどき高山市のからくり人形が見せ場をつくるように動きが急にダイナミックになることがあるのも興味を惹く。

作品を存分に楽しんだのに、この展覧会はその記憶があとでよみがえらない。どういうわけか図録に作品を載せてない!あるのは作品のスケッチのみ、こんな図録は買う気になれない。館内で写真撮影はNGだから、時間が経つと作品の記憶がごそっと消えてなくなる。新宮晋が嫌になった。

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2016.09.29

そごう美の‘エッシャー展’!

Img_0001_2      ‘八つの顔’(1922年)

Img     ‘静物と街路’(1937年)

Img_0002     ‘メタモルフォーゼⅡ’(1940)

Img_0003     ‘婚姻の絆’(1956年)

国立新美で開催中の‘ダリ展’に呼応して横浜そごうのなかにある美術館では今‘エッシャー展’(9/11~10/10)が行われている。

ダリのシュールな絵がダブルイメージやどうにも理解できないモチーフの不思議な組み合わせが想像力を刺激するのに対し、エッシャーのおもしろいところは錯視やメタモルフォーゼといった普段の生活ではほとんど縁のない不思議なことが体験できること。

何度みてもそうとしか見えない視覚のトリックに翻弄され、はじめはシンプルな形のものが変容を重ね最後にはまったく違ったものに変わっていくことに唖然とさせられる。エッシャーの版画によって脳が活性化されるのは展覧会のサブエフェクトかもしれない。

‘八つの顔’は男2人と女3人はすぐみつけられるが残りの3人は図録を購入してこれをひっくり返してみないと確認できない。展示室にも図録がおいてあるのでそうしてみたら小さなイライラは解消する。

‘静物と街路’はメタモルフォーゼのきざしはみえる。手前の本やトランプが置いてあるテーブルは向こうに広がっていき建物と建物の間の路に変わっている。視線はどうしても手前の大きく描かれたモチーフに引きつけられるためここばかりみているが、なぜかテーブルと路がつながっていることにそう違和感を感じない。

‘メタモルフォーゼⅡ’はおもしろい。物の形があれよあれよという感じでいろいろと変化していく。上のほうは左から右にむかって変化していく。最初は文字が集まってできた形、それから白黒のモザイク、蜥蜴、六角形の蜂の巣、蜂、そして鳥と変容していく。その変化はじつにスピーデイでなめらか。

作品の前でハッとしたのは‘婚姻の絆’、男と女の顔の表面をリンゴの皮を剥くみたいに削りそれを螺旋状の帯のようにぐるぐるまきにして顔を形づくっている。ただし、頭の中身はないためちょっと不気味。この絵の発想は2週間前ダリ展でみた‘ラファエロの聖母の最高速度’と同じ。なんとダリとエッシャーがコラボしていた。

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2015.11.07

サプライズ! ニキ・ド・サンファルの‘ブッダ’

Img     ‘ブッダ’(1999年 YoKo増田静江コレクション)

Img_0001     ‘マダム’(1968年 ニキ芸術財団)

Img_0002     ‘タピスリー ペネロペの時間旅行’(1972~73年)

Img_0004     ‘蛇の樹’(1979年 YoKo増田静江コレクション)

村上隆の回顧展(森美)をみたあと、歩いて国立新美へ向かった。今、ここで‘ニキ・ド・サンファル展’(9/18~12/14)が開かれている。

ニキ・ド・サンファル(1930~2002)の展覧会は2006年大丸東京ミュージアムで体験した。この女性アーティストの作品はポンピドーで一度みたことはあったが、まとめてみたのはこのときがはじめて。楽しい思い出として残っているのはカラフルな立体作品‘ナナ’シリーズ。

今回も‘逆立ちするナナ’や‘泉のナナ’など見覚えのある作品が並んでいた。初見は緑のドレスと相対的に小さな顔が印象的な‘マダム(黒いバッグと緑のドレスで着飾ったナナ)、あまりのインパクトの強さにたじたじになった。

日曜美術館で紹介されみたくてしょうがなかったのがニキが亡くなる3年前の1999年に制作された‘ブッダ’、これはチラシに載っていなかったし大丸でYoKo増田静江コレクションは大半インプットされているので、2度目のニキはバリエーションを増やすのが目的だった。ところが、日曜美術館にこのブッダ像が登場したので俄然、見るぞ!モードにスイッチが入った。

なんとも存在感のある仏像、表現は現代アートの装いだが、しっかり仏像になっているのがすごい。頭と肩の部分がゴールド、そして胴と腰から下は青、赤、緑、紫の色ガラスがモザイクのように使われている。これは2011年に閉館した那須のニキ美術館で飾られていたのだろうか、‘ブッダ’は‘ナナ’とともに忘れられない存在になった。

一番のお目当てをみたのであとはリラックス気分でまわった。足がとまったのはタピスリー‘ペネロペの時間旅行’とガウディが設計したバルセロナの‘グエル公園’にあるドラゴンを連想させる‘蛇の樹’、ニキはガウディを意識したにちがいない。

昨年パリのグラン・パレで開かれたニキの大回顧展には60万人がつめかけたという。元気いっぱいの‘ナナ’の姿をみたら誰でも心が晴れやかになる。ニキに惚れ直した。

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