2017.03.19

期待の‘カッサンドル・ポスター展’!

Img_0002     ‘エトワール・デュ・ノール’(1927年)

Img_0003     ‘ラントランジジャン’(1925年)

Img     ‘ノルマンディー’(1935年)

Img_0004     ‘デュボ・デュボン・デュボネ’(1932年)

国立新美の‘ミュシャ展’へ出かけるとミュシャがつくった人気絶大のポスターがたくさんみれるが、もしポスターに興味がある人はJR京浜東北線の北浦和駅から歩いてすぐの所にある埼玉県近美へも足をのばすと楽しいことがあるかもしれない。

ここではパリで活躍したグラフィックデザイナー、カッサンドル(1901~1968)の刺激的なポスターがずらっと並んでいる。この‘カッサンドル・ポスター展’の会期は残り少なく来週の26日(日)まで。カッサンドルを知ったのは2010年に放送された‘パリのポスター’に焦点をあてた日曜美術館。このときでてきた‘エトワール・デュ・ノール’に200%KOされた。

これはフランスの鉄道会社が運営するパリとアムステルダムをを結ぶ寝台列車‘北極星号’のためにつくられたポスター。でも、通常の旅行のポスターとちがい、描かれているのは列車ではなく、レールだけ。その軌道を6本の直線と曲線を組み合わして表現し、高い位置の地平線の消失点までのばしている。この斬新な発想に大きな衝撃を受けた。

これまでみたカッサンドルのポスターは数点しかないので、展示されたものがどれも刺激的でいちいち足がとまる。そして、‘こりゃ、天才だわ’と思う。ドキッとしたのが夕刊紙のポスター‘ラントランジジャン’、会社からテーマは‘情報’と言われたカッサンドルはこのテーマがすぐイメージできるよう耳に直線が何本も集まるデザインを思いついた。そして‘ラントランジジャン’の文字が一部切れているのもポイント、これで情報の命であるスピード感をだしている。

圧倒的な存在感を放つのが豪華客船の‘ノルマンディー号’、真正面の姿を下から仰ぎ見るとこの客船は船に乗り込むのにどれだけ時間がかかるのかと思ってしまうほど巨大に見えてくる。船底にほうには白いカモメが飛んでおり、旅のロマンをいやがおうにも掻き立てる。

今回大きな収穫だったのが食前酒‘デュボネ’のポスター、3つが連動し、男性の酔い心地にあわせて左から文字がだんだん染まっていく。これがおもしろい。最初が‘美しい’、次が‘おいしい’、そして‘デュボネ’。じつに上手くできたポスター。

子どものころTVにトリスウイスキーのおもしろいCMがよく流れていた。男の顔がだんだん赤くなっていくものだが、このアイデアは食前酒のポスターをまねたものにちがいない。この作品もカッサンドルがつくったというのも驚き、硬いものもユーモラスなキャラクターも生みだせるのだからカッサンドルはグラフィックを自在にものにできるほどの豊かな才能をもちあわせている。

ずっと気になっていたデザイナーの代表作がいくつもみれて満ち足りた気分、ミューズに感謝!

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2017.03.18

大盛況の‘草間彌生展’!

Img_0003_2     ‘わが永遠の魂 しのびがたい愛の行方’(2014年)

Img_0001_2     ‘私に愛を与えて’(2015年)

Img_0002_2     ‘真夜中に咲く花’

Img_2     ‘かぼちゃ’(1999年 松本市美)

現在、国立新美は大賑わい。1階で‘草間彌生展’(2/22~5/22)を開催し、2階ではミュシャの話題の‘スラブ叙事詩’(3/8~6/5)を堂々展示しているからである。平日なのにチケット売り場には長い列ができている。だから、もしチケットがまだの人は前もってコンビニなどで購入しておくことをお勧めしたい。

また、草間彌生展では想定外の混雑があった。ミュージアムショップで図録などを買おうと思ってもレジのキャパが足りないため60分も並ぶことになる。時間がないので今回は絵葉書も図録のなしにした。土日は展覧会関連グッズを買うのは大変なことになりそう。これから観客はどんどん増えていくから美術館はこのレジ問題の対策を真剣に考えないと大クレームになるのはまちがいない。

今年88歳になる草間彌生(1929~)の回顧展をみるのは今度が3回目、前回は2012年の春埼玉県近美でクサマワールドを存分に楽しんだ。今回のメインの作品は2009年から描き続けている‘わが永遠の魂’、2012年をパートⅠするとパートⅡで目のなかに入ったのが全部で130点ほど。

これまで500点も仕上げたというのだからクサマの作品に注ぎ込むエネルギーは次から次と湧いてくる感じ。こんな超人的な現代アーティストがかつていただろうか、本当にスゴイ!

ここの部屋では写真撮影OK、みんな赤や黄色や青など朝やかな色彩で描かれた丸や点、そして人間の顔やミトコンドリアを連想させる生き物などを思い々にパチパチやっていた。そして、花の作り物‘真夜中に咲く花’を背景に記念撮影。これは楽しい。若い人が多いのは予想通りだが、外国人もニコニコしながらみている。まさに世界のクサマの証。

クサマ作品のなかで欠かせないのが‘かぼちゃ’、水玉模様のかぼちゃはいろんなヴァージョンがある。シルバーメタリックを施したかぼちゃの前でも思わず足がとまった。嬉しい展示だったのが入ってすぐ目にとびこんでくる‘クサマヤヨイの富士山’(2014年)。本物と対面して言うことなし。

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2017.01.07

オキーフの回顧展に遭遇したい!

Img

Img_0001     ‘夏の日々’(1936年 NY ホイットニー美)

ここ数年アメリカの美術館が所蔵する絵画コレクションを楽しむ機会が多い。近いところでは今月の21日まで上野の森美でやっているデトロイト美展、そしてクリーブランド美、ワシントンナショナルギャラリー、クラークコレクション、メトロポリタン、ボストン、フィリップスコレクションも記憶によく残っている。

この流れはまだ続くと勝手に予想すると、美術館名品展だけでなくアメリカ人画家の回顧展の開催にも期待がふくらむ。そのなかで思い入れが強いのが女流画家のジョージア・オキーフ(1887~1986)。アメリカの美術館をまわるとき、追っかけリストの第一列にくる画家のひとりである。

オキーフの作品はカサット同様、大きな美術館に行くとだいだい飾ってある。3点以上みたという印象があるのがメトロポリタンとTASHENの表紙を飾っている作品をもっているワシントンナショナルギャラリー、好きな画家の場合、お目にかかった作品が多くなればなるほど回顧展との遭遇を切望するようになる。

ところで、日本で過去オキーフ展が開催されたことがあるのだろうか?40年とか50年前のことは知らないが30年くらいのスパンでみるとそんな情報はない。だから、どこかの美術館がオキーフにチャレンジしてくれないかなとずっと思い続けている。

最も期待している美術館はBunkamura、ここはフリーダ・カーロをやりレンピッカにも光をあててくれた。女流画家の回顧展は昨今盛り上がっている。昨年はカサットが横浜美に登場し、今年は国立新美で草間彌生展(2/22~5/22)が行われる。

オキーフ展の開催がベストだが、ホイットニー美の名作展がオキーフの‘夏の日々’を目玉にして行われると飛び上がるほど嬉しい。船の帆は高く掲げておきたい。あとは幸運な風が吹くのを待つだけ。

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2016.12.10

‘新宮晋の宇宙船’で想定外のことが!

Img_0001     ‘雲の日記’(2016年)

Img_0003     ‘雲の日記のスケッチ’

Img     ‘小さな花’(2013年)

久しぶりに横須賀美を訪れ‘新宮晋の宇宙船’(11/3~12/25)を楽しんだ。風の力や水の流れによって動くオブジェでその名が世界的に知られている新宮晋(1937~)、今年79歳なのにここにある新作14点はまったく年を感じさせないすばらしいものばかり。

今年制作されたのは黄色で着色された帆が弱い風でゆっくり動く‘雲の日記’など9点。この‘雲の日記’のように帆がポリエステルの布のような素材でつくられたものをみると、アメリカのカルダー(1898~1976)が生み出した‘動く彫刻’、モビールが思い起こされる。

カルダーのモビールがそれがつりさげられたワイヤーの振動によって動きが生み出されているのに対し、新宮晋のオブジェはポリエステルの布や和紙でできているものでもステンレスやアルミの金属を使って造形されたものでも、その動きをゆっくりと不連続に変えていっているのは水や風という自然のエネルギー。

一点々がみてて飽きないのは複数のユニットによってつくられる動きの形がある一定の時間をへて何度も繰り返されている感じではなく、全体の形が無限に変容しているようにみえるから。そして、ときどき高山市のからくり人形が見せ場をつくるように動きが急にダイナミックになることがあるのも興味を惹く。

作品を存分に楽しんだのに、この展覧会はその記憶があとでよみがえらない。どういうわけか図録に作品を載せてない!あるのは作品のスケッチのみ、こんな図録は買う気になれない。館内で写真撮影はNGだから、時間が経つと作品の記憶がごそっと消えてなくなる。新宮晋が嫌になった。

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2016.09.29

そごう美の‘エッシャー展’!

Img_0001_2      ‘八つの顔’(1922年)

Img     ‘静物と街路’(1937年)

Img_0002     ‘メタモルフォーゼⅡ’(1940)

Img_0003     ‘婚姻の絆’(1956年)

国立新美で開催中の‘ダリ展’に呼応して横浜そごうのなかにある美術館では今‘エッシャー展’(9/11~10/10)が行われている。

ダリのシュールな絵がダブルイメージやどうにも理解できないモチーフの不思議な組み合わせが想像力を刺激するのに対し、エッシャーのおもしろいところは錯視やメタモルフォーゼといった普段の生活ではほとんど縁のない不思議なことが体験できること。

何度みてもそうとしか見えない視覚のトリックに翻弄され、はじめはシンプルな形のものが変容を重ね最後にはまったく違ったものに変わっていくことに唖然とさせられる。エッシャーの版画によって脳が活性化されるのは展覧会のサブエフェクトかもしれない。

‘八つの顔’は男2人と女3人はすぐみつけられるが残りの3人は図録を購入してこれをひっくり返してみないと確認できない。展示室にも図録がおいてあるのでそうしてみたら小さなイライラは解消する。

‘静物と街路’はメタモルフォーゼのきざしはみえる。手前の本やトランプが置いてあるテーブルは向こうに広がっていき建物と建物の間の路に変わっている。視線はどうしても手前の大きく描かれたモチーフに引きつけられるためここばかりみているが、なぜかテーブルと路がつながっていることにそう違和感を感じない。

‘メタモルフォーゼⅡ’はおもしろい。物の形があれよあれよという感じでいろいろと変化していく。上のほうは左から右にむかって変化していく。最初は文字が集まってできた形、それから白黒のモザイク、蜥蜴、六角形の蜂の巣、蜂、そして鳥と変容していく。その変化はじつにスピーデイでなめらか。

作品の前でハッとしたのは‘婚姻の絆’、男と女の顔の表面をリンゴの皮を剥くみたいに削りそれを螺旋状の帯のようにぐるぐるまきにして顔を形づくっている。ただし、頭の中身はないためちょっと不気味。この絵の発想は2週間前ダリ展でみた‘ラファエロの聖母の最高速度’と同じ。なんとダリとエッシャーがコラボしていた。

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2015.11.07

サプライズ! ニキ・ド・サンファルの‘ブッダ’

Img     ‘ブッダ’(1999年 YoKo増田静江コレクション)

Img_0001     ‘マダム’(1968年 ニキ芸術財団)

Img_0002     ‘タピスリー ペネロペの時間旅行’(1972~73年)

Img_0004     ‘蛇の樹’(1979年 YoKo増田静江コレクション)

村上隆の回顧展(森美)をみたあと、歩いて国立新美へ向かった。今、ここで‘ニキ・ド・サンファル展’(9/18~12/14)が開かれている。

ニキ・ド・サンファル(1930~2002)の展覧会は2006年大丸東京ミュージアムで体験した。この女性アーティストの作品はポンピドーで一度みたことはあったが、まとめてみたのはこのときがはじめて。楽しい思い出として残っているのはカラフルな立体作品‘ナナ’シリーズ。

今回も‘逆立ちするナナ’や‘泉のナナ’など見覚えのある作品が並んでいた。初見は緑のドレスと相対的に小さな顔が印象的な‘マダム(黒いバッグと緑のドレスで着飾ったナナ)、あまりのインパクトの強さにたじたじになった。

日曜美術館で紹介されみたくてしょうがなかったのがニキが亡くなる3年前の1999年に制作された‘ブッダ’、これはチラシに載っていなかったし大丸でYoKo増田静江コレクションは大半インプットされているので、2度目のニキはバリエーションを増やすのが目的だった。ところが、日曜美術館にこのブッダ像が登場したので俄然、見るぞ!モードにスイッチが入った。

なんとも存在感のある仏像、表現は現代アートの装いだが、しっかり仏像になっているのがすごい。頭と肩の部分がゴールド、そして胴と腰から下は青、赤、緑、紫の色ガラスがモザイクのように使われている。これは2011年に閉館した那須のニキ美術館で飾られていたのだろうか、‘ブッダ’は‘ナナ’とともに忘れられない存在になった。

一番のお目当てをみたのであとはリラックス気分でまわった。足がとまったのはタピスリー‘ペネロペの時間旅行’とガウディが設計したバルセロナの‘グエル公園’にあるドラゴンを連想させる‘蛇の樹’、ニキはガウディを意識したにちがいない。

昨年パリのグラン・パレで開かれたニキの大回顧展には60万人がつめかけたという。元気いっぱいの‘ナナ’の姿をみたら誰でも心が晴れやかになる。ニキに惚れ直した。

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2015.11.06

待望の村上隆の‘五百羅漢図’!

Img_0001      ‘五百羅漢図 白虎’(2012年)

Img_0003     ‘五百羅漢図 青龍’(2012年)

Img_0004     ‘五百羅漢図 朱雀’(2012年)

Img     ‘手と手を繋げよ’(2015年)

期待していた村上隆の‘五百羅漢図’(展示は10/31~3/6)をみるために六本木ヒルズの森美へでかけた。ここで企画展をみるのは久しぶり。以前はコインロッカーが少なくチケット代は高いのにサービス精神の欠如が目立つ好感度のよくない美術館というイメージが定着していたが、これが少しは改善されておりコインロッカーがスムーズに使えた。

展示室のレイアウトが不慣れなので最初はおどおどしていたが、村上隆(1962~)が今年制作した作品がどどっと現れたのでだんだん見るぞ!モードにある。画集ではみたことのある‘たんたん坊’や‘DOB君’、そして銀色の小型版‘大仏オーヴァル’などか夢中にさせる。おなじみのキャラクターがでてくる最新作が全部で何点でていたのかは出品リストも図録もない(12月下旬発売)のでよく覚えてない。こうした前菜を食べたあといよいよ目的の‘五百羅漢図’と対面。

この大壁画が2012年中東のカタールで公開されたとき、‘芸術新潮2012年5月号’がその全容を誌上で見せてくれたので描かれている内容はわかっている。本物と会ってわかったことがいくつもあった。100メートルもある壁画は4つのパートにわかれている。

最初は‘白虎’、4つあるなかではこれが一番‘五百羅漢図’らしい。天地3mの画面に羅漢たちは大きさで3つにわけられ横にずらっと配置されている。大半は正面をむいているが、一部の羅漢は横向き。大物羅漢の着物の柄でおもしろかったのが金魚、顔の特徴としては長い々まゆ毛が気を惹く。ここに登場する白虎は虎ではなく猫。ちっとも怖くない。

‘白虎’に対置されているのが‘青龍’、ここは大海原。羅漢の数は少なく、白鯨と青龍がどんといる。でもこの鯨と青龍の出来はよくない、顔がわかりにくいのが致命的、そのため視線は明るい色彩と渦巻の文様が印象的な波と羅漢の横にいる北斎漫画を連想させる小さな人物のほうに向かう。

次は‘玄武’、ここに描かれた龍も造形的にはパットしない。とにかく頭や顔のまわりがごちゃごちゃしすぎ。また、赤鬼、青鬼もまったくダメ、まっく鬼らしくない。雲の表現も稚拙。もうちょっとすっきりできないのかという感じ。これに対して、最後の‘朱雀’はとてもいい。中央の鳳凰が美しいし地面に座っている羅漢たちの表情のつくりかた、そして奥行きを感じさせる宇宙的な空間構成もすばらしい。

龍と鯨と鬼の表現は不満だがほかは200%感動した。さすが‘世界の村上隆’とおもわせる記念碑的な傑作、拍手々!

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2015.07.10

宇宙論とエッシャー!

Img       エッシャー美(デン・ハーグ)

Img_0003     エッシャーの‘相対性’(1953年)

Img_0004     科学雑誌‘ニュートン別冊 みるみる理解できる相対性理論’より

Img_0001     エッシャーの‘滝’(1961年)

最近熱心にみているBSプレミアム‘コズミックフロント NEXT’(木曜よる10時~11時)、ここ2回は大変充実した内容だった。この番組は以前は海外の放送局が制作したものも使っていたが、4月からは一新しNHKが自ら企画制作しものを流している。これがなかなかいい。

先月末のタイトルは‘宇宙の果てのミステリー’、びっくりしたのは冒頭にデン・ハーグにあるエッシャー美がでてきたこと。宇宙の話にエッシャーがどう関係しているの?という感じだったが、番組をみているうちにプロデューサーの狙いがわかってきた。

使われたエッシャー(1898~1972)の作品は4点、‘円の極限Ⅳ’(1947年)、‘別世界’(1947年)、‘相対性’(1953年)、‘滝’(1961年)

最後のパートにエッシャーとの縁でその名を知ったイギリスのロジャー・ペンローズ(1931~)が登場した。この人物はだまし絵の本などにでてくる‘ペンローズの三角形’や‘ペンローズの階段’を生みだした数学者とみていたが、宇宙物理学の分野でも活躍しており相当な学者だった。

大学院生のときでかけた展覧会でエッシャーの‘相対性’に衝撃を受けたという。そして、展覧会からの帰り道自分もこんな絵を描いてみたいと思ったそうだ。その思いが実際に‘ペンローズタイル’となって結実した。‘相対性’をはじめてみたときはいろんな方向に重力がはたらいているため階段を上がる男性をみるためには顔を横にしたり首を斜めに傾けたりしなければならず心が落ち着かなかった。

ところが、今はアインシュタインの相対性理論の話を‘ニュートン’のわかりやすいイラストで教えてもらっているのでこの絵のようなへんてこな画面の組み合わせにも目が耐えられるようになった。何事も関心があれば臆せず扉をあけてみるのが一番、いい先生と本との出会いがあれば理解はどんどん進んでいく。

ペンローズはエッシャーに‘ペンローズの三角形、階段’を送ったそうで、その影響で‘滝’が生まれた。そして、ペンローズはエッシャーの描いた悪魔と天使が体のサイズを縮めながら果てしなく続く‘円極限Ⅳ’から霊感を得て、宇宙が誕生と死を永遠に繰り返していくというアイデアにたどり着く。

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2015.02.28

新発見!現代ア―ティスト オロスコ

Img     ‘ピン=ポンド・テーブル’(1998年 金沢21世紀美)

Img_0001     ‘サムライ・ツリー20H’(2014年)

Img_0002     ‘ブラック・ブーメラン’(2013年)

Img_0003     ‘アトミスト:ストライドを広げる’(1996年)

アートのつきあいはときどき偶然はじまることがある。そのきっかえとなるのはふと目にした作品、なにかの雑誌に載っていたX型になった二つの卓球台、その形が大変刺激的なのでぜひ見たいと思った。

今、東京都現美でこの作品が展示してある。つくったのはメキシコ人ア―ティスト、ガブリエル・オロスコ。1962年生まれで今年53歳。その名前と作品がポンピドーで購入したガイドブック(日本語版 2002年)に1点だけでてくるが、現地でみたという実感がない。だから、オロスコの作品をみるのは今回の回顧展‘ガブリエル・オロスコ 内なる複数のサイクル’(1/24~5/10)がはじめて。

作品の数は2013年にここで行われた‘吉岡徳仁展’同様、多くはないのでぐるっと回って終わり。でも、作品の多くはその色彩、造形から強い磁力がでているので心がすごく高揚する。新規のア―ティストでこれほど一点々に心地よい刺激を感じるのは久しぶり。

みた瞬間嵌ったのが最新作の‘サムライ・ツリー20H’、二色で半分々が彩られた円をじつに巧みに組み合わせる構成力に唖然としてみていた。大小の円を非対照的に連続させることで生まれるリズミカルな動きは爽快な気分にさせてくれる。この作品に対置して飾られているものもすばらしい模様。みてのお楽しみ!

この部屋の真ん中に置かれているのは‘丸石シリーズ’、川の底にある自然石に手をくわえたもので表面に彫られた不思議な模様はどこか古代のマヤとかインカの文明の遺物を連想させる。9個あり丸いへこみが目を惹く‘ブラック・ブーメラン’はそのひとつ。

X型の卓球台の周りにある作品も長くみていた。‘アトミスト(原子論者たち)-スポーツ’と呼ばれるシリーズは全部で7点。新聞のスポーツ欄の写真を拡大し、そこに赤、黄色、緑、青、白で彩色した円と楕円をいくつか重ねている。このサッカーやクリケット、ボートのダイナミックな動きと円のダイアグラムに不思議なくらい違和感がない。こんな写真と幾何学模様のコラボがあったのか、という感じ。この斬新な創作に乾杯!

いっぺんにオロスコのファンになった。

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2014.03.08

ウォーホルと日本!

Img       ‘坂本龍一’(1983年)

Img_0001          ‘広告 神奈川沖浪裏’

Img_0002      ‘タイム・カプセル102 歌麿 北斎 広重’

Img_0003      ‘タイム・カプセル102 相撲 報知グラフ 浮世絵’

アーティストとの距離があるとき急に近くなることがある。ウォーホル(1928~1987)の場合、きっかけは3年前の夏BSプレミアムで放送された‘極上美の饗宴 ウォーホル’だった。

番組の案内役を務めたのが日本画家の千住博、はじめはなぜ千住がここにでてくるのかわからなかったが、ピッツバーグにあるウォーホル美を訪問した千住が色彩豊かな‘キャンベルスープ缶’を前にして唸っているのをみて、出演の理由を理解した。

以前千住のカラーヴァージョンの‘ウォーターフォール’に大変魅せられたことがあった。素直に千住の色彩感覚もなかなかだなと感心した。そのときは、千住とウォーホルが結び付かなかった。番組をみてわかった、これはウォーホルの手法に刺激をうけたものだったことが。

このウゥーホルと千住のコラボがウォーホルと日本のつながりのはじまりだったのだが、森美の回顧展にその続きがでてきた。ウォーホルは注文肖像画を1000点くらい描いたそうだが、そのなかに日本の坂本龍一が入っていた。若い頃の龍一はこんなにイケメンだった?鼻の下があまり長く描かれてないのがおもしろい。

海外の芸術家が日本の浮世絵に魅せられるという話はよく耳にするから、ウォーホルが若い頃に描いた北斎の‘グレートウエーブ’に遭遇しても驚くことはないが、あのウォーホルも浮世絵のファンだったことがわかるとわけもなく嬉しい。

最後のコーナーに興味深いものが沢山展示されていた。1974年からウォーホルは‘タイム・カプセル’と称して身の回りのものを片っ端からダンボールにつめこんでいく。600箱以上あるという、そのなかの‘タイム・カプセル102’には日本に関するものが入っており、今回それらが公開された。

歌麿、北斎、広重の浮世絵版画や日本美術の雑誌、そしてノスタルジックな気分にさせてくれるのがあの強い北の湖や天才長島が表紙を飾るスポーツ誌、またどういうわけか地下足袋、刺繍入りの長財布まである。

ウォーホルがポップアートの旗手として活躍したとき日本は昭和の時代だった。ウォーホルの色彩の輝く作品をみて古臭さはちっとも感じないが、作品が生まれたときからはそこそこの長い時間が経っていることもこうした日本の資料によって教えられる。

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