2025.05.09

ご機嫌MAXの‘松山智一展’!

Img_0001_20250509225501   ‘We Met Thru Match.com’(2016年)

Img_0002_20250509225501   ‘Call The Days Heaven’(2024年)

Img_20250509225501   ‘Passage Immortalitas’(2024年)

Img_0005_20250509225501   ‘Keep Fishin' For Twilight’(2017年)

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‘Mother Other’(2023年)

Img_0004_20250509225501   ‘Dancer’(2022年)

5/11まで行われている現代美術家・松山智一(1976~)の個展を
滑り込みセーフをみてきた。場所は2023年末にオープンした麻布台ヒルズ
の一角につくられたギャラリー。開館を記念したオラファー・エリアソン展に
足を運んだから、展示空間はインプットされており、それから推測される作品
の数は見当がつく。

今年49歳になる松山智一の存在を知ったのはTVの美術番組。2013年アー
トもやっている木梨憲武がNYのMoMAやギャラリーを訪問する番組があり、
ブルックリンに住んで制作活動をしている松山が登場し、作品の一部が紹介さ
れた。そのなかに今回出品されている千羽鶴をモチーフにして表現された‘Keep
Fishin' For Twilight’とよく似たものがあった。このことを覚えていたので、
個展の情報が入ったときすぐ出かけることを決めた。昨年が京都で村上隆展、
そして今年はこれまた世界的に評価の高い松山智一、現代アートの楽しさがだ
いぶ沁みついてきた感じである。

果たして、期待通りのすばらしい作品が飾られていた。思わず足がとまったの
が琳派の酒井抱一や鈴木其一の作品が頭をよぎる‘We Met Thru Match.com’。
木梨との対談で日本画にも関心が深いことを語っていたから、すぐこの傑作に
魅了された。そして、もう一点日本画を思い浮かばせる色鮮やかな絵が現れた。田中一村の代表作‘アダンの海辺’をとりこんだ‘Call The Days Heaven’。これで一気に200%‘松山智一,スゴイじゃないか!’モードに突入。

チラシに大きく使われているのがボッティチェリの‘受胎告知’を意識した‘Passage Immortalitas’、現代アートとルネサンスのコラボ、あるいは西洋と東洋の美術の融合が色彩の力と精緻な細密描写によって誰も観たことのない室内空間を生み出している。これから西洋古典絵画の傑作がモチーフにどんどん入ってきそうな予感がする。

展示室に入ってすぐ目にとまるオブジェ‘Mother Other’や鋭角的な形のパーツが灰色で強く印象付けられる‘Dancer’も周りをぐるぐる動いて長くみていた。松山智一に乾杯! 現代アートの楽しみがまたひとつ増えた。

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2024.07.25

海外の美術館、個人が所蔵する村上隆!

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   ‘クローンX’(2023年 LA ザ・ブロード)

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‘アンファミリア―・ピープル’(2023年 サンフランシスコ アジア美)

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  ‘Sparkle/たんたん坊 果てしない’(2017年)

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  ‘High school girl Ko²’

京都で開かれている‘村上隆 もののけ京都’(2/3~9/1)の図録を毎日な
がめ、村上ワールドにつつまれた京都市京セラ美の展示会場を想い起こして
いる。そして、スマホで撮影した写真を図録の空きスペースに気持ちよくぺ
たぺた貼っている。今回の図録も‘五百羅漢図展’(2015年 森美術館)と
同じく平凡社が担当している。値段は高いが(6600円)、よくできてお
り、わが家のお宝図録に加わった。最後のほうの頁に気の利いた工夫がされ
ている。‘インスタレーション風景’と称して、展示室に入る前の中央ホール
に設置されている‘阿像・吽像’の風景からはじまって観客が進む導線に沿っ
て作品の展示状況がずらずらっと映し出されている。これは本当にいいアイ
デア、‘そうそう、これをみて右に曲がってあれがあったよね!’という感じ
で、ハイになった気分がそのまま蘇ってくる。

My村上隆図録にはスマホ写真のほかに4月に放送されたNHKの日曜美術館
や‘フロンティア’ででてきた情報もしっかり載せている。6月に定例の同窓
会が開かれたとき、久しぶりにロサンゼルスに住んでいる友人が参加した。
みんなの質問が集中したのがドジャーズの大谷翔平のことだったが、現地の
人ならではのおもしろい話が終わった後、彼を独占し‘フロンティア’にでて
きた‘ザ・ロード’という現代アート専門の美術館がある場所を教えてもらっ
た。この美術館がコレクションしている村上隆の最新作が‘クローンX’。
番組ではサンフランシスコにあるアジア美にある‘アンファミリアー・ピー
プル’を何点も拡大してくれた。歌川国芳や近代日本画の片岡球子の作品がす
ぐ頭に浮かんだが、西海岸美術館巡りの旅を実現させ、再度村上隆とはしゃ
ぎたいと強く思った。

資産家美術コレクターが所蔵する村上隆をいくつも見せつけられた。40代?
くらいの女性が熱く語っているのはリビングルームに飾ってある‘Sparkle/たん
たん坊 果てしない’、つい‘こんな楽しい絵を毎日ここでみているの、羨まし
い!’とつぶやいてしまう。‘フロンティア’に登場したギャラリーの男性オーナ
ーが村上隆の細部へのこだわりに感心していたのが‘High school girl Ko²’。
女子高校生のフィギュアでは‘持っているバッグの中に本がある’と唸っていた。
また、スイスの時計メーカーとのコラボもおもしろかった。割れやすいサファ
イアでトレードマークの‘お花’を形どり2020年に売り出したところ、
4500万円の限定50個が完売したという。村上隆が好きな美術愛好家が世
の中にはたくさんいる。

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2024.07.21

待望の‘村上隆 もののけ京都’!(3)

Img_20240721225201    ‘大仏オーヴァル’(2011年)

Img_0001_20240721225201    ‘京都光琳もののけフラワー’(2023~2024年)

Img_0003_20240721225201 ‘キノコの軍団’(後ろの絵 2003年)と‘不思議の森のDOBくん’(1999年)

Img_0004_20240721225201    ‘ライオンと村上隆’(2023~24年)

Img_0002_20240721225201    ‘鮮血を捧げよ’(2019年)

注文していた‘村上隆 もののけ京都’展(2/3~9/1)の図録(6600円)
が届いたので、感想記(3)を追加することにした。開幕直後に入館した方々はこの図録を首を長くして待っていたことだろう。7月下旬にできあがると案内されていたが、先行の注文がかなりたまっているだろうから手元に届くのは8月に入ってからと思っていた。予想以上に早かったので佐川急便から連絡があったときは嬉しかった。

図録がないためスマホの写真による作品紹介になったが、大勢の観客がいる
なかで作品と説明書きの写真をセットで撮るというのはかなりしんどい作業。
じつは展覧会にはお馴染みの出品リストがここでは作られてない。そのため、
説明書きがないと取り上げたくても選べないというジレンマがあった。しか
も、違う説明書きをもとにしてタイトルと制作年を記すというミスが1点生
じてしまった。そして、もう一つ間違った情報があった。今回の出品作は
‘もののけ京都’のために制作されたものと過去に発表されたもので構成され
ているが、特別展にあわせてつくられたのが15点くらいと書いてしまっ
たが、図録で確認すると大間違いだった。図録に載っている作品の数は小さ
なものまでふくめると全部で64点。そのうち2023~24年につくられ
たものは40点ある。

最初の展示室にある目玉のひとつ‘洛中洛外図 岩佐又兵衛rip’の脇を固め
ているのが‘大仏オーヴァル’。ヴェルサイユ宮殿に飾られたものは馬鹿デカいものだが、これは小型ヴァージョン。これだけでもいい気分になるのに琳派の尾形光琳の花の絵が3点飾られているのだからたまらない。‘洛中洛外図’と対面する形で‘祇園祭図’が飾られていたが、この絵は図録にはなかった。開幕から変更になったの?

‘キノコの軍団’と‘不思議の森のDOBくん’は写真に撮っていたが、制作時期がわからなかったので紹介しなかったもの。キノコがこんなに可愛いと思ったのははじめて(小さい頃からシイタケが苦手)。‘ライオンと村上隆’は彭城百川(さかきひゃくせん)の‘天台岳中石橋図’が元絵になっている作品で、2015年の‘五百羅漢図展’にも別ヴァージョンが出品された。とぼけた表情の獅子の顔がおもしろい。これに対し、緊張感を強いられるのが画面が髑髏で埋まった‘鮮血を捧げよ’。これほど多く髑髏がいると長くみていると夢の中にでてきそう。

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2024.07.14

待望の‘村上隆 もののけ京都’!(2)

Img_20240714222901    ‘阿像(右)、吽像(左)’(2014年)

Img_0003_20240714222901    ‘見返り、来迎図’(2016年)

Img_0004_20240714222901    ‘雲竜赤変図’(2010年)

Img_0005_20240714222901   ‘2020 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番’(2020年)

Img_0001_20240714222901     

‘レインボー’(2023~24年)

Img_0002_20240714222901     

‘And Then 2024’(2023~24年)

村上隆の回顧展に巡り合うのは今回が2度目となるが、特別展のタイトル
‘もののけ京都’のために制作された作品は昨日取り上げた‘洛中洛外図 岩佐
又兵衛 rip’や‘四神’など40点くらい。ほかは過去に描かれたものをどどっと集結させ村上隆ワールドが構成されている。その中にはなにかの媒体に載ったことで知ったものや2015年の‘五百羅漢図展’の出品されたものがあった。

一番のサプライズは本展の導入部である中央ホールに飾ってあった高さが
4.3mもある‘阿像(右)’と‘吽像(左)’。青と赤で着色され圧倒的な存在
感を見せるこの阿吽像は東日本大震災をきっかけに制作されたもの。その
情報はかすかに記憶されていたが、まさかここで遭遇するとは思ってもいな
かった。大収穫である。
 
‘見返り、来迎図’はこの春、東博で開催された‘法然と極楽浄土’に出品された
知恩院にある有名な‘阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)’を2回もみたので
敏感に反応した。村上隆流がおもしろいのは阿弥陀様をガリバーのように
巨大にし見返り姿にしていること。極楽往生を切に願って手を合わせている
者をみてやらんのかい?!という感じ。この絵は2015年のとき出品され
ていたのにすっかり忘れており、画面全体を隅から隅まで長くみていた。

日本画関連の作品で2010年に描かれた‘雲竜赤変図’もすばらしいし、最後
の部屋に飾ってあった‘2020 十三代目市川團十郎白猿 襲名十八番’に思
わず足が止まった。團十郎の絵はすぐ原画がイメージできた。それは片岡球
子の‘面構’シリーズ。とても新鮮で雲竜図の曽我蕭白といい片岡球子といい
日本画の引き出しの多さに感服させられる。そして、オタク第一世代の真骨
頂ともいえるポップアート感覚全開の‘DOB君’も心を軽くしてくれる。  

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2024.07.13

待望の‘村上隆 もものけ京都’!(1)

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‘お花の親子’(2020年)

Img_0004_20240713224501    ‘洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip’(部分 2024年)

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Img_0001_20240713224601    ‘風神雷神図’(2024年)

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Img_0006_20240713224601   ‘四神と六角螺旋堂 白虎(上)玄武(下)’(2024年)

Img_20240713224601   ‘金色の空の夏のお花畑’(部分 2024年)

昨日は朝早い新幹線に乗り、京都市京セラ美で開催されている‘村上隆 もの
のけ京都’(2/3~9/1)をみてきた。予定通り開館時間の10時頃美術館
に到着したが、新しくなってからはじめての訪問だったので入館の流れに
ちょっと勝手が違った。チラシでは10時の開館だが、すでに中にはたくさ
んの人がいる。今は10分早まり9時50分にドアを開けているとのこと。村上隆(1962~)の個展をみるのは2015年、森美であった‘五百羅漢図展’以来、待望の村上隆なので期待で胸をふくらませ展示室に進んだ。

まず出迎えてくれたのが美術館の庭にどーんと置かれた野外アートの‘お花
の親子’。この金ぴかの楽しいオブジェを背景に誰もがスマホで写真を撮って
いる。われわれも挨拶がわりに一枚。開館直後は大変な賑わいだったから、
スマホ撮影は大混雑だったにちがいない。展示室に入ってからは4月に放送さ
れた日曜美術館で前もって情報を得ていた作品との対面となった。最初はこ
の特別展のために描かれた‘洛中洛外図 岩佐又兵衛 rip’。東博にある大画面
の舟木本だと登場する建物や人物が多すぎて大変疲れる鑑賞を強いられるが、
村上流は画面がコンパクトに圧縮され明るい色彩により細部を浮かび上がら
せ、しかもところどころで風神や雷神が登場しポップなアクセントを加え京
の都の活気をダイナミックに表現する。つかみは上々といったところ。

スマホ、カメラの撮影はフラッシュなしなら全室OK。そのため、まわりの状
況をみながらパッパッと撮っていった。図録(6600円)の発売は7月下
旬以降なので、スマホをフルに動かしてないと作品の話ができないので極力多
く撮った。なぜ、はじめから図録がつくれなかったのか、たぶん、開幕直前
まで作品の修正などで忙しかったからだろう。買って帰りたかったが、1ヶ
月後に感動の再生産を繰り返すことにした。

宗達に比べると、村上の‘風神雷神図’はとてものんきで優しい。緑の体をした風神は息を噴き出しているためちょっと顔やお腹あたりが膨らんでいるが、雷神は雷を起こすのにエネルギーをとられて手足が細くなっている感じ。これに対し、キトラ古墳壁画で知られる四神(玄武、白虎、朱雀、青龍)が登場する暗い部屋では全開した村上隆の表現技術と密度の濃い造形パワーに圧倒される。とても惹かれるのは京の西と北を守護する‘白虎’と‘玄武’。正面向きの虎の目力がスゴイし、首を横にした玄武の怖そうな姿が印象深い。そして、子どもだけでなく大人も心が癒されるのが村上隆のトレードマークになっている笑うお花がいっぱい描かれた‘金色の空の夏のお花畑’。じっとみていると昨年みたホックニーの大きな絵が頭をかすめた。

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2024.03.01

麻布台ヒルズ ‘オラファー・エリアソン展’!

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麻布台ヒルズ

Img_20240301223701  エリアソンの‘相互に繋がりあう瞬間が協和する周期’(2023年)

Img_0001_20240301223801    ‘蛍の生物圏(マグマの流星)’(2023年)

Img_0002_20240301223801    ‘瞬間の家’(2010年)

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奈良美智のパブリックアート‘東京の森の子’(2023年)

昨年11月にオープンした麻布台ヒルズへでかけ、麻布台ヒルズギャラリーで
開催中の‘オラファー・エリアソン展’(~3/31)や現在日本で最も高い森JPタワーのオフィスビルに設置されたパブリックアートなどを楽しんできた。東京のど真ん中に今話題の街が出現したというので、平日なのに大勢の人であふれかえっていた。予想通り外国人が非常に目につく。昼食時とかさなったため、ガーデンプラザA、B、Dにあるフードショップには長い列ができていた。タイ料理の店をみて東京ミッドタウンに出店しているベトナム料理がすぐ思い浮かんだ。また、森JPタワーの入口横には‘将軍ハンバーガー’あった。アメリカにはこんなハンバーガー店があったの、西海岸、ハワイ?

オラファー・エリアソン(1967~)の序章は昨年7~10月にかけて行
われた‘テート美術展’(国立新美)だった。はじめてお目にかかった‘星くず
の素粒子’によって関心に火がつき、年末には麻布台ヒルズで新作が登場する
という流れになった。ガーデンプラザAにできた麻布台ヒルズギャラリーで
作品がお目見え。2000円の入館料を払って展示会場のイメージがつか
めないまま足を進めた。まず現れたのは国立新美でみたのと同じタイプの
オブジェ‘蛍の生物圏(マグマの流星)’。つかみは上々。そのあとぐっと気分
がハイになったのは水を使った大型インスタレーション‘瞬間の家’。暗闇の
空間にストロボの光がとびかい作品が自在に動き回るよう映るように演出している。みてのお楽しみ!作品の数は全部で8点くらい、部屋は3つだから20分もあれば十分。いつものように図録(2750円)を購入して、次の作品パブリックアートへ向かった。

作品があるのは麻布台ヒルズの象徴である森JPタワーのオフィスロビー。高い天井から吊り下げられているのが‘相互に繋がりあう瞬間が協和する周期’。上をみあげてすぐ連想したのがDNAの二重らせん模型。エリアソンの作品には‘素粒子’、‘マグマ’、、など量子力学、地球科学、生命科学に関連するフレーズがいろいろでてくる。アートとサイエンスの次元をこえた絡みによって超ミクロから宇宙空間へと世界が大きく広がっていく。

パブリップアートにビッグなオマケがあった。それは人気の作家、奈良美智の‘東京の森の子’、後ろにいた女性が‘ここに奈良智があるんだ!’と喜んでいた。‘同じ気分です!’と言いそうになったが、それはやめといた。土日は大混雑しているにちがいない。お楽しみスポットがまたひとつ増えた。

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2024.01.23

ミヤケマイ個展 ‘ものがたりがはじまる’!

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   ‘全てのものには時がある’(2023年)

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   ‘知っていること’(2023年)

先週の土曜日(20日)、GINZASIXの蔦屋書店にあるアートスペースで
開催中の‘ミヤケマイ個展 ものがたりがはじまる’(12/28~1/24)
をみてきた。‘美術で最高の瞬間’シリーズでとりあげた女性美術家ミヤケマイ
さんの個展に足を運ぶのは2011年、Bunkamura Galleryでみた‘膜迷路’
以来のことで3度目。鑑賞の間隔が随分空き作風の変化をみてきてないため、
作品のイメージがだいぶ違っていた。

飾ってあった作品は28点、すべて2023年に描かれた最新作である。
ぐるっとみていて、これまでみたミヤケマイさんの作品とは色彩や造形が
大きく変わっていた。そして、これと似ているほかの画家の絵があるか思い
めぐらしてみたが、すぐには作風が重ならなかった。やはり進化したミヤケ
マイさんの個性なのだ。すごくインパクトがあり、1点々足がとまる。

そのなかで長くみていたのが西洋の宗教画を連想させる‘全てのものには時が
ある’。鴉?を手に止まらせている聖母はううーん?、これだけは誰かの絵に
似ている。そう、有元利夫(1946~1985)の描く女性。ミヤケマイ
と有元がコラボするとは。これはおもしろい。下に並んだとてもきれいな花
々がいい感じだから、書斎に飾りたくなる。

もう一点‘知っていること’も気になる絵である。頭を横に傾けた梟が蛇を足
で押さえつけている。ともに存在感のある生き物だが、この勝負は梟の勝ち。
梟も蛇も水墨画の描き方や琳派のたらし込みを思わせる表現が使われており、
激しいバトルの様子をリアルに伝えている。そして、飛び散る墨の線や染み
がみられる背景の演出が冴えている。ミヤケマイさんがまた好きになった。

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2022.05.19

前澤氏所蔵のバスキア 110億で落札!

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  バスキアの‘無題’(1982年)

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  ‘イタリアにて’(1983年 NYガゴーシア・ギャラリー)

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  ‘無題’(1983年 NYガゴーシア・ギャラリー)

千葉県出身の企業家、前澤氏が5/19にツイッターで所蔵するバスキア
(1960~1988)の‘無題’がオークションで約8630万ドル
約110億円で落札されたと報告した。猿の頭蓋骨を連想させるこの絵
は2019年、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開かれた
‘バスキア展’でお目にかかったから敏感に反応した。

前澤氏が2016年に絵を手に入れたときは62億円だったので、48
億円も儲かったことになる。普通の一般市民はこういうお金の話ばかり
目をむきがちだが、うなるほどの資産をお持ちの前澤氏が絵画で儲け
てニコニコ顔ということはなかろう。現代アートのコレクターになるのか
なと思っていたから、あっさり手放したのは意外だった。でも、本人に
とっては予定の行動かもしれない。購入の動機が多くの美術ファンに現代
アートで人気の高いバスキアを見てもらうためと表明されていて、それ
が回顧展への出品などで達成されたのだから。お陰でなかなかみれない
大きなバスキアを見ることができた。前澤氏に乾杯!

ストリートアートの旗手、バスキアとの縁が深くはない。これまでみた
美術館蔵のバスキアはパリのポンピドー、NYのホイットニー、グッゲ
ンハイムと限られていた。MoMA、メトロポリタン、ワシントンナシ
ョナルギャラリーではみたという実感がなく、鑑賞メモにも名前が出て
こない。9年くらい前、TVの美術番組でNYのチェリシー地区に集結
しているギャラリーのひとつ、ガゴーシアギャラリーが紹介され、
バスキアがたくさん飾られていた。いつかここを訪問し、1983年に描
かれた‘イタリアにて’や‘無題’をみてみたい。ただし、まだ売却されてな
かったらのお楽しみ。もうないかもしれない。

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2022.05.10

ウォーホルのマリリン・モンロー250億円で落札!

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 ‘ショット セージ ブルー マリリン’(1964年)

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 ‘三人のマリリン’(1962年 アンディ・ウォーホル美)

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    ‘自画像’(1963年)

今日は美術関連の興味深いニュースが入ってきた。NYで9日開かれたオー
クションでウォーホル(1928~1987)の‘ショット セージ ブルー
マリリン’が1億9500万ドル、日本円で250億円で落札された。大変な
高額でオークションにでた20世紀の絵画としては史上最高額という。
ポップアートの大スターの人気は衰えを知らずどんどん上がっていく。
今年の秋、京都市京セラ美で行われる‘アンディ・ウォーホル・キョウト’
(9/17~2/12)に出かけようと思っているので、この話に敏感に
反応した。

だれだれの作品が○○億の高額で落札された!とか、幻の作品が発見された!
というニュースは美術ファンにとっては仲間とすぐ共有したい情報である。
だから、昔から新聞を切り抜きファイルしている。ウォーホルについては
2011年5月11日、NYのクリスティーズのオークションにかけられた
最初の自画像が3840万ドル(約31億円)で落札されている。そして、
もう一つの情報は2013年11月13日のオークションで‘銀色の車の事故
(二重の災禍)’に1億545万ドル(約105億円)の値がついている。

京都にはウォーホルが生まれたピッツバーグにあるアンデイ・ウォーホル美
から200点がやってくる。その目玉の作品は‘三人のマリリン’、これが仮
に市場にでたとするとどのくらいの高値がつくだろうか。

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2019.10.26

森アーツセンターギャラリーの‘バスキア展’!

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      ‘無題’(1982年)

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      ‘シー’(1985年 世田谷区美)

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      ‘オニオンガム’(1983年)

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      ‘自画像’(1984年)

六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されている‘バスキア展’
(9/21~11/17)をみてきた。画風がフランスのデュビュッフェ
(1901~1985)に似ているバスキア(1960~1988)は
その名前はインプットされてはいるものの本物の作品をみたのは両手に
満たない。少ない鑑賞体験に比例して作品の印象が薄いかというとその逆で
人物のむき出しの歯や頭蓋骨が目に強く焼きついている。

関心の高い回顧展だったので楽しみにしていたが、チケット売り場で
2100円という入館料の高さに気分がそがれた。現代アートの展覧会では
入館料が高いことや図録にべらぼうな値段がついているのはいつものこと。
この調子だと図録は5000円くらいとふんでいたが、これはいいほうに外
れ許容範囲の3100円。すぐ購入した。

会場に飾られていた絵画やオブジェ、ドローイングは予想を大きく上回って
いた。絵画は全部で130点。こんなにでているとは思わなかった。進んで
いくうちに子どものお絵かきのようなモチーフの平板な表現に目が慣れ、
言葉ありコラージュありの奔放な画面構成に強く惹かれていった。

ほじめのコーナーにどこかでみた作品がでてきた。2年前ニュースにもなっ
たZOZOの前社長前澤氏が手に入れた‘無題’。目の覚める青の背景に浮かび上
がる骸骨のような頭。ふつうなら重いイメージを産む黒の太い輪郭線、これ
が青との対比により暗さが消えものの存在感を強くアピールする力に変わっ
ている。

ほかでは世田谷美蔵の‘シー’と‘自画像’を長くみていた。28年しか生きられ
なかったバスキアの写真をみて思い浮かんだのが2日前開幕したNBAに
新人デビューした八村選手。二人が似ていることでバスキアへの親近感が増
してきた。さらに、バスキアが日本のことを絵の題材にしているのが興味を
そそる。

‘オニオンガム’はおもしろい作品。メイドインジャパンとあるのは玉ねぎ
風味のガムが日本製であることをいってるが、バスキアは日本で実際にこん
なガムに出会ったのだろうか。それとも遊びなのか。日本の話がいろいろで
てくる、なぜか100YEN、、、500YEN、、、6000YENとYENという
文字だけが並んでいる絵、おりがみのコラージュ、バスキアが日本と深くか
かわっていたことは知らなかった。

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