ガレとジャポニスム展



サントリー美術館の開館1周年を記念する特別展は“ガレとジャポニスム”(3/20~
5/11)。4年前訪れた諏訪湖のほとりにある北澤美術館でガレのガラス作品に開眼した。以来、ガレの展覧会は欠かさず出かけ、拙ブログで感想記を書いてきた。
作品の質の高さ、数の多さで強く印象に残っているのが05年の“ガレ展”(江戸東博)。また、Bunkamuraの“ガレとドーム兄弟展”(06年7月)と昨年MOAであった“ガレ、ドーム、ラリック展”も大きな満足が得られた。
さて、今回のガレ展である。期待以上のいい作品が集まっている。ガレの作品だけでなくプラスアルファのおまけの展示が目を楽しませてくれる。このおまけはガレが影響を受けたジャポニスムとは何ぞや?を理解するために展示してあるものだが、切り離してみても十分楽しい。で、まずその作品のことから。
お気に入りの北斎の絵が2点ある。“北斎漫画・魚濫観世音”(拙ブログ08/1/9)と“富嶽百景・登龍の不二”。横道にそれるが、横山大観が描いた“生々流転”の最後の場面にでてくる龍は“登龍の不二”に霊感を得ている。広重は“江戸名所百景”から“堀切の花菖蒲”(3/20~4/14)と“亀戸梅屋敷”(4/16~5/11)。
さらに豪華なのがガレの作品との取り合わせで対面するとは思いもしなかった“鹿下絵新古今和歌巻断簡”(本阿弥光悦・俵屋宗達)(3/20~4/7)。工芸品にもすばらしいのがある。クリストファー・ドレッサーがデザインした壺“日本女性像”の目の覚めるような青を息を呑んでみた。
ガレの初期から晩年までに制作されたガラス作品50点あまりはほとんどがはじめて見るものだった。描かれている花や蜻蛉や昆虫などは目新しくはないが、作品の形とか色合いなどがすばらしいので、とても新鮮に感じられる。取り上げた3点はとくに魅了されたものだが、別に意識したわけではないのにどれもサントリー蔵のもの。サントリーがガレのいい作品を所蔵していることは知っていたが、これほど質の高いコレクションだとは思わなかった。
上の“花器”は透明感のある素地に浮かび上がるバッタが印象深い。真ん中の紫と白の色使いと先が開いた美しいフォルムが心に響く“花器・蛾・昼顔”も名品。そして、下の脚付杯“蜻蛉”が今回の目玉。ガレの親族が所有していたものを近年、サントリーが入手したとのこと。期待値以上の出来栄えにKOされた。
朝日新聞にこの展覧会の紹介記事が載っており、西洋でイメージされる蜻蛉のことが解説されていた。西洋人にとって蜻蛉は“ドラゴン(悪竜)フライ”で、ヘビやイモリを連想させる不吉な虫だそうだ。だから、ガレのように杯や花器の装飾模様に蜻蛉を使うなんて誰も考えない。
ところが、美しい自然に囲まれて育ち、小さいころから花や昆虫と遊んでいたガレは日本人同様、蜻蛉に対してマイナスのイメージがないから、こんな立派な蜻蛉の杯が出来上がる。良質のガラス作品はジュエリーなどの装飾品と同じ。ガレの展覧会ではいつも宝物をみたようないい気分になる。今回も二重丸。
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