2008.04.21

ガレとジャポニスム展

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サントリー美術館の開館1周年を記念する特別展は“ガレとジャポニスム”(3/20~
5/11)。4年前訪れた諏訪湖のほとりにある北澤美術館でガレのガラス作品に開眼した。以来、ガレの展覧会は欠かさず出かけ、拙ブログで感想記を書いてきた。

作品の質の高さ、数の多さで強く印象に残っているのが05年の“ガレ展”(江戸東博)。また、Bunkamuraの“ガレとドーム兄弟展”(06年7月)と昨年MOAであった“ガレ、ドーム、ラリック展”も大きな満足が得られた。

さて、今回のガレ展である。期待以上のいい作品が集まっている。ガレの作品だけでなくプラスアルファのおまけの展示が目を楽しませてくれる。このおまけはガレが影響を受けたジャポニスムとは何ぞや?を理解するために展示してあるものだが、切り離してみても十分楽しい。で、まずその作品のことから。

お気に入りの北斎の絵が2点ある。“北斎漫画・魚濫観世音”(拙ブログ08/1/9)と“富嶽百景・登龍の不二”。横道にそれるが、横山大観が描いた“生々流転”の最後の場面にでてくる龍は“登龍の不二”に霊感を得ている。広重は“江戸名所百景”から“堀切の花菖蒲”(3/20~4/14)と“亀戸梅屋敷”(4/16~5/11)。

さらに豪華なのがガレの作品との取り合わせで対面するとは思いもしなかった“鹿下絵新古今和歌巻断簡”(本阿弥光悦・俵屋宗達)(3/20~4/7)。工芸品にもすばらしいのがある。クリストファー・ドレッサーがデザインした壺“日本女性像”の目の覚めるような青を息を呑んでみた。

ガレの初期から晩年までに制作されたガラス作品50点あまりはほとんどがはじめて見るものだった。描かれている花や蜻蛉や昆虫などは目新しくはないが、作品の形とか色合いなどがすばらしいので、とても新鮮に感じられる。取り上げた3点はとくに魅了されたものだが、別に意識したわけではないのにどれもサントリー蔵のもの。サントリーがガレのいい作品を所蔵していることは知っていたが、これほど質の高いコレクションだとは思わなかった。

上の“花器”は透明感のある素地に浮かび上がるバッタが印象深い。真ん中の紫と白の色使いと先が開いた美しいフォルムが心に響く“花器・蛾・昼顔”も名品。そして、下の脚付杯“蜻蛉”が今回の目玉。ガレの親族が所有していたものを近年、サントリーが入手したとのこと。期待値以上の出来栄えにKOされた。

朝日新聞にこの展覧会の紹介記事が載っており、西洋でイメージされる蜻蛉のことが解説されていた。西洋人にとって蜻蛉は“ドラゴン(悪竜)フライ”で、ヘビやイモリを連想させる不吉な虫だそうだ。だから、ガレのように杯や花器の装飾模様に蜻蛉を使うなんて誰も考えない。

ところが、美しい自然に囲まれて育ち、小さいころから花や昆虫と遊んでいたガレは日本人同様、蜻蛉に対してマイナスのイメージがないから、こんな立派な蜻蛉の杯が出来上がる。良質のガラス作品はジュエリーなどの装飾品と同じ。ガレの展覧会ではいつも宝物をみたようないい気分になる。今回も二重丸。

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2007.06.26

MOAのガレ・ドーム・ラリック展

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熱海のMOAで6/9から開催中の“ガレ・ドーム・ラリック展”(8/11まで)を見た。ここ3年くらい、年に一回はガレ、ドーム、ラリックのガラス作品を鑑賞し、この展覧会にもつけられている“華麗なるアール・ヌーヴォー、アール・デコの世界”を満喫している。

05年は“エミール・ガレ展”(江戸東博、拙ブログ05/1/30)、昨年はBunkamuraで行われたエルミタージュ美蔵の“エミール・ガレとドーム兄弟展”(06/7/14)。今回の作品はガレとドームは北澤美術館、ラリックは箱根ラリック美術館が所蔵するものだから、質の高さは保障されている。

北澤美にあるガレ作品でいいのは“エミール・ガレ展”にかなり出たから、また同じものをみることになるかもしれないが、好きな作品にたいする美欲(勝手な造語)には際限がなく、新規の優品との遭遇を期待する。結果はどうだったか。38点のうち半分は一度見たものだった。ガレの大回顧展ではないので一番有名な花器“フランスの薔薇”や“ひとよ茸ランプ”は出品されなかったが、江戸東博にも展示してあった魅力的な作品が何点かあった。

それは北斎漫画にでてくる鯉の絵柄を使った花器、上の“蘭文花器”、“アプチロン形ランプ”など。蘭の花がタコの足のように器体に溶着している花瓶はつくりの感じが紅、黄色の薔薇が盛り上がるようにくっついている名品“フランスの薔薇”と似ている。はじめて見たのでは、アイリスの文様が描かれた花器の形のよさに魅了された。面白かったのは笹に雀の絵柄の花瓶。どうみてもこの鳥は雀にみえない。フランスに雀はいないのだろうか?

今回の収穫はドーム兄弟の作品を沢山みれたこと。全部で37点ある。お陰でドームの作風に目が慣れてきた。昨年のBunkamuraでドームもなかなかいいなと手ごたえを感じていたが、一番魅せられるのは絵柄が繊細で装飾的なところと縦に細長く林立した樹木の背景に描かれた空や雲などの風景がとても美しいこと。下の“春草文花器”はいかにも春の野原という感じ。一面に咲き乱れる矢車草などの草花が左右にすこし折れ曲がりながら上にのびている。目を楽しませてくれるのが口のまわりや下に施された装飾的なゴールド模様。晴れやかな春の季節に引き戻されたような気がした。

ラリックの作品(45点)は前、箱根ラリック美術館でみたものばかりだった。お気に入りは騎士の頭の髪と馬の後ろの毛や尾っぽが流れるようにデフォルメされたセンターピース“二人のナイト”や裸婦の長い髪を水滴の曲線で表現した皿“シレーヌ”(05/3/27)、そのアール・デコらしいフォルムに惹きつけられるテーブルランプ“ノルマンディー”。

諏訪湖と箱根に足を運ばなくても、アール・ヌーヴォー、アール・デコのいいガラス作品が見れるのだから、この展覧会はまだ2館を訪問したことのない人には効率的な鑑賞機会ではなかろうか。次にみるガレ展はもう決まっていて、だいぶ先になるが、サントリー美術館が来年3/20~5/21に開催する“ガレとジャポニスム展”。

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2007.01.11

アルフォンス・ミュシャ展

624日本橋高島屋で行われている“アルフォンス・ミュシャ展”(1/23まで)をみた。

ミュシャの絵はリトグラフやポスターなので、浮世絵のように同じ作品が何点もある。

05年1月、東京都美術館であった大規模なミュシャ展を観たから、同じものがあることが予想される今回の展覧会はパスしてもいいのだが、ファンの心の中というのは特殊で少しでもまだ観てない作品が含まれていれば、それだけでも観たくなるのである。

今回はチェコのモラヴィアギャラリーとプラハ工芸美術館(ともに国立)が所蔵する作品が165点でている(プラハ国立美術館にあるミュシャ作品は拙ブログ04/12/5)。東京都美のとき飾ってあった金メッキのブロンズ胸像やペンダントなどの宝飾品はなく、絵画のみ。予想した通り、前回見た劇場ポスターや工業製品ポスターが次から次とでてくる。でも、はじめてみるのも結構あるので、満足の高さは変わらない。

女優ベルナールが主演した舞台のポスターが全部ある。出世作の“ジスモンダ”、“椿姫”、“ロレンザッチオ”、“サマリアの女”,“トスカ”、“メディア”、“ハムレット”。縦2mもある細長ポスターは豪華に描かれた人物とそのまわりの様式的な紋様や花々で装飾性豊かに構成されている。“トスカ”の背景に埋め尽くされた蛇を思わせる鶴の首がとても印象的だった。ミュシャがアール・ヌーヴォーの寵児としてパリで一気にブレイクしたことはこれらの華のあるポスターをみると容易に理解できる。

ミュシャが描く女性は正面向きより横顔の方がより美しさを感じる。“黄道十二宮”(拙ブログ05/1/29)とともに大のお気に入りは右の“羽根を持つ女性”。異常に長くアラベスクのように様式化された髪をもつ女性が多いなか、この女性は普通の髪形をしており、横顔の美しさに見蕩れてしまう。

製品やイベントのポスターもいろいろある。自転車、シャンペン、リキュール、ビール、ビスケット、前回もあった煙草(銘柄JOB)。イベントではパリ万博のオーストリア館とかセントルイス万博のポスターにもミュシャ様式(拙ブログ05/2/12)が使われている。

今回の収穫の一つはミュシャが関わった装飾芸術に使われたデザインをまとめた“装飾資料集”。いわゆるデザイン帖だが、とくに興味深かったのが植物や花の文様。連続するフォルムと淡い色調の色使いが素晴らしく、夢中になってみた。祖国モラヴィアへ帰って以降制作された作品で魅せられたのは花の鮮やかな赤と女性の眼が忘れられない“モラヴィア教師合唱団”。また、“ロシア復興”や“南西モラヴィア挙国一致宝くじ”も胸にズキンとくる。

2回も回顧展をみたから、ミュシャは当分お休みできる。

<展覧会プレビューの更新>
下記の展覧会を追加した。“パリへー洋画家たちの夢展”は東芸大の創立120周年を記念する特別展。
2/17~3/25   加山又造展            茨城県近代美術館
4/19~6/10   パリへー洋画家たちの夢展   東芸大美   

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2006.07.14

エミール・ガレとドーム兄弟展

433Bunkamuraで行われている“エミール・ガレとドーム兄弟展”(8/27まで)をみた。

ロシアのエルミタージュ美術館が所蔵するガラス工芸品だから、期待を裏切ることはない。昨年、江戸東博であった“エミール・ガレ展”(拙ブログ05/1/30)を見逃した人は、この展覧会をみると少しリカバリーが出来るかもしれない。というのも、この大回顧展の目玉の一つとして展示してあった傑作、花器“トケイソウ”がふたたびやってきているからである。

今回、ガレの作品は42点ある。江戸東博とくらべると数は1/3弱とかなわないが、流石エルミタージュだな感じさせるレベルの高い作品がいくつもある。北澤美術館(拙ブログ04/12/21)や回顧展でガレのガラス作品をかなり鑑賞したので、そこから醸し出される装飾美や高い芸術性に体がビビッドに反応するようになった。

代表的な絵柄に自然と目がいく。ピンク色に魅せられる“トンボにリボン文花器”と“蘭文蓋付壷”。緑のシダの紋様が素晴らしい“シダ文花器”。ドキッとするのが回顧展にも別ヴァージョンがでていた“ヒキガエルにトンボ文花器”。濃い青地に深く彫られた黒のトンボとカエル、キンセンカは一度みたら忘れられないほど強いインパクトをもっている。

心が宝飾品をみるときのように昂揚するのはなんといっても花器“トケイソウ”。扁平な形の胴部に表現された紫色の花を咲かせるトケイソウに目を奪われる。見事な作品である。これが飾ってある部屋にはもうふたつ感動の作品があった。ひとつは大変見栄えのする“菊文花器”。白地に伸びやかに花を開いた菊に圧倒された。もうひとつはガレの作品ではなく、フランス大統領からロシア皇帝ニコライ2世に贈られた一対の大きなセーヴル磁器。ナポレオン展にもセーブルの名品がいくつもあったが、この双頭の鷲が描かれた黄色の花器もまた極上品。うっとりして眺めていた。

この展覧会のもうひとつの売りであるドーム兄弟の作品は24点ある。過去、ドーム兄弟のガラス作品は北澤美術館とウッド・ワン美術館で今回と同じくらいの数をみた。右は花の文様では一番気に入った“チューリップ文花器”。生き生きとした赤いチューリップがとても印象的。ドーム兄弟の作では花の絵柄より風景のほうが魅力がある。花器やランプに木々のむこうにみえる湖にヨットが浮かぶ風景や樹木が情趣豊かに描かれている。

とくに惹きつけられたのが“風雨樹木文ランプ”。ランプのステム、笠いっぱいに風でしなやかに曲がる幹や枝が描かれ、激しい雨をあらわす線が斜めに幾本も引かれている。西洋画や浮世絵に雨が描かれることはあるが、工芸品の絵柄にでてくるのは珍しい。たらし込みのような幹の灰色と背景のうす紫と緑が雨の風景に溶け合い、切々とした哀愁が漂っている。

最後のコーナーには期待もしてなかったルネ・ラリックの作品がある。これは嬉しいオマケ。質の高い種々のガラス工芸がコンパクトにぎゅっと集まった感じのする展覧会であった。東京のあとは次の美術館で開催される。
 ・いわき市立美術館:9/9~11/8
 ・岩手県立美術館:11/18~1/28

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2006.02.04

ハインリヒ・フォーゲラー

227神奈川県近美・葉山館で行われている“パウラ・モーダーゾーン=ベッカー展”でパウラの自画像に感動したが、もう一点非常に魅せられた絵がある。

ハインリヒ・フォーゲラーが描いた右の“マルタ・フォン・ヘンバルク”。ドイツにおけるユーゲントシュティール(アール・ヌーボー)絵画を代表する一人であるフォーゲラーの絵が出品されてたとはまったく想定外。

00年末、新日曜美術館で取り上げられたフォーゲラーの優美な曲線で描かれたロマ
ンティックな絵をいつか見てみたいと思っていたが、意外な形で実現した。今回の
作品はTVにでてきたような花が咲き、鳥がでてくる中世の伝説や聖書の話を題材に
した作品とは違うが、この横向きの女性肖像画からも生きる喜びや甘美な夢の世界
が伝わってくる。

この絵のモデルは後にフォーゲラーの妻となるマルタ。制作時期は22歳のフォーゲラー
がブレーメンの北東25kmのところにあるヴォルプスヴェーデに移り住んだ1894年。
背景の緑と若々しい顔の肌つや、頭につけた紫の花飾りが絶妙に溶け合い、画面
一杯に広がる緑がマルタをより一層美しくみせている。しばらくぽかんとしてこの絵を
眺めていた。マルタの絵をもう一枚、フォーゲラーは3年後、制作する。“春”と名づけら
れた傑作。白樺の木の中にマルタが立っており、足元にアネモネの花が咲く、柔らか
い色調と流れるような曲線で表現されたアール・ヌーボーらしい絵である。

アール・ヌーボーの作家は多芸。フォーゲラーは絵画だけでなく、生活空間全体に装飾
芸術を繰り広げ、ヴォルプスヴェーデ駅舎の設計、陶器、家具、ナイフ、フォークなど
銀製品のデザインに新しいアール・ヌーボーの図案を使っていく。創作活動の拠点と
なったアトリエ、“バルケンホーフ”(白樺館と呼ばれた)は同じ志をもって芸術村にやっ
てきた画家、詩人リルケたちの溜まり場でもあった。この村に自分のアトリエがあった
パウラもフォーゲラーの新しい装飾的な作風に刺激をうけており、銅版画のプレス機
をかりて版画を制作している。

パウラ展にはフォーゲラーの版画集“春に寄せる”があり、白樺の木やコウノトリ、ツグミ
の精緻な描写に魅了される。前々から観たかったフォーゲラーの作品に接することが
できたのは望外の喜び。

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2005.04.29

ヴィクトル・オルタ

59最近はアールヌーボーの作品を観る機会が多い。あまり馴染みのなかったルネ・ラリックの展覧会を2回もみた(拙ブログ3/23、29)。

そして、ここブリュッセルには建築家ヴィクトル・オルタが建てたアール・ヌーボー様式の建築物がある。2000年にこれらは世界遺産に登録されている。

現在、一般公開されてるのは右のオルタ邸のみ。このオルタ美術館は町の
中心からちょっと離れたところにある。徒歩と電車を乗り継いで近くまで行き、
あたりをきょろきょろしてると、ツアーで一緒になった母親&娘、息子のご家族
の方にお会いし、美術館の場所を教えてもらった。

玄関を入ると大理石の階段ホールがある。水の流れをイメージして設計された
という。この階段を上がったところが食堂。間口は6mしかないが、奥行きは
20mもある。最上階には美しいステンドグラスの天井がある。今では製作不可
能なアメリカングラスでこの天井は作られている。これは直射日光をあてると
光が拡散される鉄粉をまぜた特殊なガラス。

なかの吹き抜けはより多くの光をとりこむため上にいくほどその空間は拡大
している。これにより新感覚のデザインが施されている扉の取っ手や蝶番の
ディテールまではっきり見ることができる。邸宅の内部にいて魅了されるのは
ガラスと鉄を使った明るい居住空間と植物の蔦を連想させる曲線がおりなす
装飾美。部屋一つ〃に雰囲気があり、床や壁面の繊細なデザイン、柱や
階段のうねりを見ていると時間が経つのも忘れてしまう。

楽しい気分にさせてくれたこのオルタ邸を見ることができたのは大きな喜び。
ヴィクトル・オルタはブリュッセル中央駅の設計を手がけている。昔、ここにも
来たはずだが、全く覚えてなかった。中央駅はちょっと高台にあり、ここを下っ
ていくとグラン・プラスにでる。自由行動の最後に聖ミシェル大聖堂を訪れた。

拙オランダ・ベルギー旅行記におつき合いいただきまして有難うございます。
絵画、観光地を中心に感動をブログ詰めにしました。一つ残念なことはベルギ
ー王立美術館の最大の楽しみであったダリの“聖アントニウスの誘惑”が
フィラデルフィア美術館に貸し出し中で見れなかったことです。大ショックですが、
楽しみは先にとっておくことにしました。これからもよろしくお願い致します。

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2005.02.12

ミュシャ様式

12今、東京都美術館で開催中のミュシャ展の人気は高いようで、昨日は日本テレビと世界美術館紀行でミュシャを取り上げていた。美術館紀行では昨年の拙ブログで紹介したプラハ国立美術館にあるミュシャの名画“スラーヴィア”を解説していた。

上野のミュシャ展で代表作を大半みたので、この画家に関する情報を集中的にレビューしている。その一つ、99年11月に
放映された日曜美術館のミュシャ特集をビデオでみてると、興味深い内容がいくつ
もあった。番組は司会役の緒川たまきとアーティストの村上隆が堺市にある
ミュシャギャラリーを訪ねるという趣向。

ここのギャラリーは日本におけるミュシャ芸術の殿堂と言われている。今回の
ミュシャ展にでたポスターなどもかなり揃ってるようだ。このことはシルフさんに
も教えて頂いた。そして、上野に出てなかった“蛇のブレスレットと指輪”がここ
に展示されていた。これは凄い。このブレスレットが次のターゲットと思ってい
たが、これを日本で見られるのは有難いこと。

この作品は“メディア”のポスターに描かれている蛇のブレスレットを女優サラ・
ベルナールが気に入り、実際に作らせたもの。ミュシャがデザインし、宝石商
のフーケが制作している。ルネ・ラリックの作品にひけをとらないルビーやオパー
ル、ダイヤモンドを使ったこれぞアールヌーボーといった一品。これが日本に
あるということは複数つくられた?いやここにしかない?それともレプリカ?

ミュシャは早くから写真を撮っていて、モデルにいろんな動きをさせ、写真をポス
ター、装飾パネル、カレンダー、スポット印刷などに描かれるデザインに生かし
ている。モデルの心が形にあらわれるようにと音楽を流すような気配りもしたよ
うだ。写真が下絵で、写真の段階で装飾的な雰囲気になっている。

1910年、プラハに移ってから、ミュシャはスラブ民族のことを作品にするよう
になるが、その中心テーマであるスラブの連帯が1897年に制作した右のポス
ター“サロン・デ・サン ミュシャ展”(上野ミュシャ展に出品)のなかにも描かれ
ているという。三つの丸い輪とハートがそれで、丸い輪はソコルと呼ばれるスラ
ブの連帯を表している。ソコルは隼(はやぶさ)を意味するらしい。

人気のミュシャ展にもう一回行きたいが、相当混んでるようで、しっかり見れる
だろうか?

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2005.01.30

エミール・ガレ展

Scan10040エミール・ガレ展が江戸東京博物館ではじまった。休日は混むと予想し、28日金曜日に出かけたが、それでも、会場には大勢の人がいた。ガレ人気の特徴を反映してかその8割くらいは女性。
江戸東京博物館ははじめて訪れた。デカイ建物だ。まず、博物館の器の大きさにびっくり。そして、館内に入り、展示のガレ作品に圧倒された。

ガラス作品、それもガレやラリック、ティファニーなどアールヌーボーの作家に興味を抱くようになったのは昨年の7月位から。広島にいる時はそもそも作品をみる機会がなかったのと陶磁器の方に鑑賞のエネルギーをさいてたため、ガラス工芸品への関心は薄かった。

だが、ウッドワン美術館と松江のティファニー美術館でガレやティファニーの実物を見て、ガラス作品の美しさに目覚めた。ガレについては、さらに北澤美術館で名品を沢山みたので、今はアールヌーボーに一直線である。

ガレの代表作といえるものが図録などで頭に入っていないので、展示品の質の高
さがどの位かというのはわからないが、オルセー、エルミタージュ、デンマーク王室
などいかにも高価な装飾工芸品がありそうな美術館から出展された作品に期待
値以上の感動を覚えた。

右はガレが白血病で亡くなった1904年に制作されたオブジェ“手”。オルセーの
所蔵だが、ここを訪れたときはもうゴッホやモネに夢中でガレのガラス作品が飾られ
ていたことなど知る由もない。このオブジェを2週間前のTV東京の“美に巨人たち
”がとり上げていた。他の花器や壷など綺麗なピンクや紫、緑といった色で装飾性
豊かに制作されたものに較べるとこのオブジェは地味である。

実際の手とはちょっとサイズが違う。色も肌色ではなく透明で少し黄色がかっている。
指には貝殻がついており、海藻が手にまきついている。ガレが健康を害していたと
きの作品かと思うと、ガレの揺れ動く心を映しているようにもみえる。夜、暗い部屋で
この“手”をみると不気味な感じがするかもしれない。

国内にある北澤美術館やポーラ美術館などからも、自慢の作品が多く出品されて
いる。北澤所蔵品は有名な“フランスの薔薇”、“藤文ランプ”など優品揃い。名品を
前にして気持ちがいい。出展数、質ともに二重丸の展覧会ではなかろうか。

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2005.01.29

ミュシャ展

632期待のミュシャ展(東京都美術館)を見た。これまでミュシャの絵にはあまり縁がない。

03年プラハに行ったとき、ステンドグラス、油彩画、ポスターの下絵をみたくらい。昨年は芸大美術館であった版画東西交流展に“ジョブ”というリトグラフがでていた。

ミュシャのことは詳しくないので、今回の出展規模、質がどの程度かわからないが、手元にあるTASCHENの画集に載っている作品はこの展覧会にほとんど出ていた。ということはミュシャの代表作は大作“スラブ叙事詩”以外は観たことになる。で、この展覧会に行った人は皆ミュシャ通!?

ミュシャのリトグラフにでてくる女性はみんな目が大きくて、ふっくらしたチャーミン
グな顔立ちをしている。官能的というよりは健康的で明るい美少女のイメージ。
なかでも一番気に入っているのが右の“黄道十二宮”の女性。端正な横顔が美
しい。髪を装飾的に描いている。そして、ビザンチンやスキタイに由来する髪飾り、
首飾りの煌びやかなデザインが印象的。

この女性をみてるとイタリア・ルネッサンスのボッティチェリが描いたヴィーナス
を連想する。また、ローマのヴァティカン美術館にあるフォルリの“ヴィオロンを弾く
天使”にも似ている。これを言うと笑われるかもしれないが、タレントの相田翔子
もこんな顔?

“ジスモンダ”などのポスターがこんなに縦長の大きなものとは思わなかった。
女優サラ・ベルナールが演じる作品をPRする媒体として多くの人の注目を集める
ため、色使い、絵柄は華麗で装飾性が高い。そのなかで面白いのが“メディア”。
我が子を殺した後だけに、メディアの大きな目が思いっきり点になっている。

もうひとつ興味を惹いたのがブロンズと金と銀メッキによる“少女の頭部”。バラ
ンスがよく、造形美を感じる作品である。ミュシャの画風がよくわかる満足度
150%の展覧会であった。

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2004.12.21

エミール・ガレのひとよ茸ランプ

Scan100189月に訪問した北澤美術館でみたエミール・ガレの“ひとよ茸ランプ”がサントリー美術館にもあった。細部が少し違うだけで、形はほぼ同じ作品だ。ガレはこのランプを何個も作ったのだろうか?
ガレの作品をまとめて観たのは北澤美術館と広島県にあるウッドワン美術館のコレクションだけだ。日本では北澤美術館が名品を所蔵しているとのことなので、諏訪湖まで行ってみた。うわさに違わず、ガレの作品が沢山ある。

館内にいる人の7割くらいが女性。ガレのガラス作品が女性の間で人気があるというのを実感する。ガラス工芸はジュエリーとおなじ感覚だろう。ミュージアムショップでは結構な値段のグッズが売れていた。

本館の最初の展示室に“ひとよ茸ランプ”が展示してある。サントリー美術館
所蔵のより印象深い感じがする。もう一つの代表作“フランスの薔薇”は新しくで
きた新館(本館から車で10分)にある。ピンクの色が綺麗で存在感のある名品
だ。エミール・ガレは自然を愛し、野山に生息するとんぼ、蝶、蝉や薔薇、ひとよ
茸、羊歯(しだ)などの草花を作品のなかに描いている。日本画の花鳥図からも
刺激を受けているだろう。

この美術館は一度には展示しきれないほどガレの作品を持っている。定期的に
訪れ、ガレの世界を楽しもう。来年江戸東京博物館でガレの没後100年を記念
した大回顧展が開催される(1/22~4/3)。北澤からも“フランスの薔薇”が出品さ
れるそうだ。前売り券はすでに購入したので初日に出かけよう。とても楽しみだ。

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2004.12.05

プラハ国立美術館のミュシャ

255NHKでドナウ川を旅する番組を昨日までやっていた。最終日はプラハのカレル橋から中継。昨年旅行したブダペスト、ウイーン、プラハの名所、風景が映し出され、感激がリフレインされた。

各都市で思いがけず絵画の名品に接することができたが、プラハではアルフォンス・ミュシャの作品に出会った。ミュシャに会えるのは聖ヴィート大聖堂にあるアールヌーボー風のステンドグラス、プラハ国立美術館(現代)、98年に開館したミュシャ美術館の3箇所。

国立美術館の古典絵画はプラハ城のすぐ隣にあるが、印象派や現代絵画は町の
中心からちょっと離れたところにある。ここで一番有名な絵はルソーの代表作 
“私自身、肖像、風景”、パレットを持つ画家の後ろに万国の旗を飾り付けた船が
いる絵である。

ミュシャの絵は2枚ある。上の絵は“スラーヴィア”という名前のついた油彩画
(1908年)。もう一枚は出世作ポスター“ジスモンダ”のための習作(テンペラ、
1894)。ミュシャの絵をみたのはこれがはじめて。名前は知っていたが、作品に
は縁がなかった。ミュシャのポスターがとくに女性の間で人気が高いのがわかっ
た。描かれる女性は花柄など装飾的な文様を背景に優雅に描かれている。顔立
ちはふっくらとしてチャーミング。

ツアーで一緒になった若い女性の方はミュシャ美術館に行き、お気に入りのポス
ターを2,3枚買った人が多かった。友人から頼まれたという人もいた。

来年の1/27から東京都美術館でミュシャ展が始まる。新春から楽しくなりそう。

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