プッサン、ブーシェ、アングルが日本でみられる幸せ!
プッサンの‘アモリびとを打ち破るヨショア’(1624~25年)
フランス絵画300年と銘打った‘プーシキン美展’、今回やってきた66点は現地では本館と別館(2006年開館)にわけて展示されている。印象派とかマチス、ピカソらの作品があるのは別館でそれ以前のものは本館にある。
旅行会社が企画するロシアツアーではよくプーシキン美入館が含まれている。この場合だいたい別館のほう。こちらにはルノワール、ゴーギャン、ゴッホ、モネ、セザンヌら人気の画家の名画がずらっと揃っているのでパリのオルセーと同じくらい大きな満足が得られるにちがいない。
では本館にある作品はどうかというと、BS朝日の‘世界の名画’をみたかぎり一見の価値がありそうな作品がここにもあそこにもという感じ。その中からやって来た絵のなかで思わず足がとまるものがいくつかあった。
展示室に入ってすぐ出迎えてくれるのがプッサン(1594~1665)の‘アモリびとを打ち破るヨショア’。日本でプッサンの絵をみたのは何年か前あった‘ベルリン美展’(西洋美)一回だけ。このときの作品と比べてみると‘ヨショア’のほうに軍配があがる。ヨショアの勢いにおされて不安な表情をみせながら戦かう右の男をみていると、ルーヴルにある‘サビニの女たちの略奪’の緊迫した場面が頭をよぎる。この絵は08年METで遭遇した‘プッサン展’(拙ブログ08/5/9)に出展されなかった。こんないいプッサンが日本でみれるなんて夢みたいな話。
ブーシェ(1703~1770)の絵も魅力いっぱい。ぱっとみるとロココの甘い香りのする女性画。こういうほわっとした絵はただうっとりみていればいいのだが、右端の暗闇のなかにいる鷲がちょっと気になる。どうして場違いな鷲がいるの?これはユピテルを暗示している。そう、ユピテルお父さんの女狂いがまたはじまったのである。今回のターゲットはディアナのお付きのカリスト。得意の変身術を使って女神ディアナになりすまし、‘カリストちゃん、楽しいかい、最近きれいになったね’なんて優しい言葉をかけている。ディアナに変身するとはやはりユピテルは抜かりがない。
アングル(1780~1867)の‘聖杯の前の聖母’は画集によく載っている有名な絵だから、画面の隅から隅までじっくりみた。みればみるほどアングルの画技の高さに感心させられる。視線が集中するのが聖母のつるっとした卵形の顔とやわらかくて美しい手。そして、強く印象付けられるのが聖母の存在感の出し方。手前に金属の感じがよくでている聖杯をならべ、二人の聖人を一歩後ろにさげ暗い背景のなかに配置する構成。これにより聖母が前後で挟まれる形になり、明るい光に照らされたその姿はいっそう神々しく輝いてみえる。
セザンヌ(1839~1906)は2点、3年前ロンドンのコートールド美で遭遇した‘パイプをくわえた男’(10/12/22)が展示されているのだからたまらない。セザンヌの農夫を描いた作品はどれもぐっとくる。
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