2007.09.10

BIOMBO/屏風 日本の美展

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現在、サントリー美術館で開催中の“BIOMBO/屏風 日本の美”(9/1~10/21)は想像以上にすごい展覧会。国内および海外の美術館から質の高い作品が沢山結集している。東博の京都五山展同様、日本美術では十年に一度クラスの展覧会といっていい。

余談だが、実はもうひとつすごいのが今、奈良博で行われている。同館が95年、開館百年記念として行った“日本仏教美術名宝展”の再現かと思わせるほど国宝をいっぱい集めた“美麗 院政期の絵画展”(9/1~9/30)。そして、10月になると、京博でビッグイベント“狩野永徳展”(10/16~11/18)がある。

だから、終了した五山展のあと、東京、京都、奈良で行われる3つの展覧会へ足を運ぶと、美術本に載っている日本画のトップクラスの名作が大変効率よく鑑賞できることになる。これはまたとない機会。長く日本画をみているが、これほど次から次と大展覧会が連続するのは珍しい。

前置きが長くなったが、この展覧会の見所はどの作品か。例によって、出品作101点は7期に振り分けられているから(HPに掲載中)、是非とも見たい絵を軸にして訪問する回数と日を決めなくてはいけない。何点かある追っかけ作品との対面を考えると、どうしても3回の訪問が必要になりそう。今回の料金は前回より300円アップの1300円。2回目以降は割高な鑑賞となるが仕方ない。

章立ては6つ。1章 屏風の成立と展開、2章 儀礼の屏風、3章 BIOMBOの時代 屏風に見る南蛮交流、4章 近世屏風の百花繚乱、5章 異国に贈られた屏風、6章 海を越えた襖絵と屏風絵。 9/1~10と9/12~17にでている屏風のなかで目を見張らせるのは1章、3章、6章に多くある。

上と真ん中は再会を待ち望んでいた“日月山水図屏風”(じつげつさんずい、重文、室町時代、大阪・金剛寺)。上が右隻(春の景色)で真ん中が左隻(冬の景色)。加山又造の“雪月花”(拙ブログ06/3/11)と“春秋波濤”(07/2/20)はこの絵に霊感を得て描かれた。

目に焼くつくのが幾重にも重なった緑の山の親しみやすい形。山は逆遠近法で描かれ、遠くの山のほうが大きい。目を皿のようにしてみたのが左右隻の大半を占める波形。横にのびる波の所々にみられる波頭は様式化され工芸的なイメージなので、見てて楽しい。右隻の左上に金の切箔が残っているものの、その隣に散らされた銀箔は歳月でくすみ暗くなっている。

制作された頃は銀や金が輝き、桜の白と山の緑、そして真ん中の金の日輪がまばゆいばかりに華やかな画面をつくっていたことだろう。また、リズミカルに響きあう左隻の雪山、松の枝、波の曲線フォルムにも魅了される。ここには銀箔の三日月があるのだが、退色しているのでうっかりすると見落とす。

1章では追っかけていた“厩図”(三の丸尚蔵館)と対面した。山口晃が参考にした“厩図屏風”(重文、東博)は9/26~10/1と10/3~8に展示される。下の風俗画は人物描写や着物の柄や色に大変魅了された“邸内遊楽図屏風”。サントリー美にも同名の絵があるが、どちらもいい遊興図で甲乙つけがたい。

今回のいちばんのハイライトは全期間展示される6章の“祇園祭礼図屏風”(ケルン東洋美、サントリー美)、“社頭図屏風”(メトロポリタン美)、“賀茂競馬図屏風”(クリ-ブランド美)かもしれない。これらは4階の階段を下りたところに展示してある。次回、詳しく書くつもりだが、浮き浮きするくらい楽しい屏風絵。見てのお楽しみ!

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2006.06.13

出光美術館の日月四季花鳥図屏風

405現在、日比谷の出光美術館では開館40周年を記念した“所蔵名品展Ⅰ”(6/18まで)を開催中。ここにはだいぶ通ったので、前期だけを観てきた。

自慢の“国宝 伴大納言絵巻”は今回はほんの顔見世程度で、秋に全巻全場面が公開されることになっている(10/7~11/5)。1991年以来の展示らしい。

これは何年前だったか記憶が薄れているが、大阪の出光美術館で全巻観た。伴大納言の家司と舎人の息子同士が喧嘩するのをみて、家司が自分の子供を加担したばっかりに、怒った舎人が“応天門に放火したのは伴大納言だぞー!”と大声でいいふらす。この場面が最高に面白い。あとの展開は10月の展示でまた楽しもう。

出光コレクションは幅が広い。今回出ているのは、最初の絵巻、“絵因果経”、“十王地獄図”、やまと絵、仏画、雪舟、中国絵画、古筆手鏡(国宝)、中国・朝鮮陶磁、茶陶など。過去見た作品もかなりあるが、こうしてずらっと並ぶとあらためて、コレクションの質の高さに驚かされる。なかでも屏風が圧巻だった。雪舟、能阿弥の“四季花鳥図”。そして、室町時代に制作された右の“日月四季花鳥図”(じつげつしきかちょうず、右隻部分)。

久しぶりに対面する“日月四季花鳥図”をじっくりみた。右隻では右にある満開の桜、真ん中の若葉にしなだれる柳、鮮やかな緑青に降り積もった花びらが目にとびこんでくる。花びらをみてて、ボッティチェリの“ヴィーナスの誕生”に描かれた薔薇の花を連想した。柳の下にいるのは日に照らされる雉(きじ)の親子。円い黄金の太陽は金属板で表し、そのまわりをたなびく流線の雲霞には大小の金銀箔や野毛が使われている。地面にも細かい箔が散らされており、まるで料紙装飾を見るようである。

左隻の見所はダイナミックなフォルムをした松の幹と左端から流れる水。緑の松の左右に描かれた楓はちょっと松に負けてる感じ。また、番の鹿は秋草と重なり、存在が薄くなっている。この絵が当時の色彩のままで目の前に現れたら、さぞかし感動するだろう。

中国絵画では南宋時代の作、“漁釣図”にまた会った。04年、根津美術館で開催された“南宋画展”で気に入った絵の一枚だったので、感慨深い。中央の大きく伸びた蘆荻のむこうで、体を丸めて座る漁夫の横向きのポーズが実にいい。後期にはターナーの絵を思い出させる南宋画の傑作、玉澗作、“山市晴嵐図”が展示されている。

日本画、中国絵画の名品を堪能した。次回の名品展Ⅱ(11/11~12/24)が待ち遠しい。

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