紫紅流古典・歴史画の魅力!
‘素戔嗚尊’(1909年)
‘竹取翁’(1912年頃 横浜美)
近代日本画で歴史画と聞いてすぐ思い浮かぶのは安田靫彦と前田青邨。もう
ひとり歴史上の人物を存在感の強い姿で描いた画家がいる。その傑作が横浜
美で6/28まで展示されている今村紫紅(1880~1916)。とくに
印象深いのが平安中期の武将平将門を描いた‘平親王’。大画面のなかに視線が
安定する構図で描かれた平将門は体全身にためたパワーを抑え気味にして、
自然体の姿で気持ちを整えている感じ。ひとときの緊張感につつまれる。
お酒が好きで情熱家の親分肌として知られた紫紅にはうってつけの絵と瞬時
に思ってしまうのが、怒りをみせる秀吉をモデルにした‘豊公裂冊’。この調子
では家来はとても近寄れないだろう。ほかにも、紫紅は独眼龍で有名な仙台
藩の伊達政宗を描いているが、前期展示のため今回はお目にかかれなかった。
‘素戔嗚尊’は神話‘古事記’や‘日本書記’に登場するスサノオノミコトが描かれている。粗暴なふるまいにより高天原を追われたスサノオは出雲国で大蛇に苦しめられる一家を救う。この場面は酒でおびき寄せたヤマタノオロチを退治するため、剣をぬいて気合を入れているところ。その表情から戦闘態勢に入った動勢が伝わってくる。
初見の作品で大の収穫だったのは、草むらを琳派風に装飾性豊かに描き、人物を見やすく配置した構成が目を惹く‘伊勢物語図’。この場面は東下りの業平を描いたともいわれている。美術本で知っていたが、本物がこんな立派な六曲一双の屏風絵だったとは。ミューズに感謝!そして、‘竹取翁’はかぐや姫は入っていた光る竹を翁がみつけた瞬間が描かれている。その竹をあえて描かないのが紫紅流の演出。

































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