‘雨の風情’あるある!(2)
首都圏にある美術館でこれまで記憶に残る特別展が開催されたところはHP
を定点観測している。練馬区美は好感度が高く、昨年の春は‘池上秀畝展’に
2回足を運んだ。ここで10年前、小林清親(1847~1915)の
回顧展が行われた。青幻舎から出版された図録の表紙に使われたのが‘東京
新大橋雨中図’。広重とのつながりをみせる‘東京名所図’の傑作のひとつで
ある。水彩画を思わせる木版は新しい浮世絵の魅力で目を楽しませてく
れる。蛇の目傘を差して川岸を歩く右の女性の後ろ姿が強い磁力を発して
いる。
わが家で近代日本画の鑑賞のバイブルとして長年使っているのが‘昭和の
日本画100選’(1989年 朝日新聞社)と銘打った特別展の図録。
このなかに雨をモチーフにした作品が3点載っている。川合玉堂(1873
~1957)は何点も描いた鵜飼で最高傑作(東芸大美)と日本人の心の琴
線にふれる農村の風景を描いた‘彩雨’が選ばれた。
三重県松坂市に生まれた宇田荻邨(1896~1980)の‘祇園の雨’はMy雨の絵の第一列に並べている。浮世絵のイメージとはちがう、どこか洗練された雨の風情の表現が心をとらえて離さない。祇園なら舞妓のモデルを早合点して結びつけるが、そうではなく品のいい女性が描かれており、京都の街の奥ゆかしさを感じさせる。
東近美にある福田平八郎(1892~1974)の‘雨’とはじめてお目にかかったとき、一瞬抽象絵画をみているのではないかと思った。図録に掲載された作品の中では同じ平八郎の‘漣’(重文 1932年 大阪中之島美)とともに抽象度の高い作品である。強烈な印象だったので、そのあと雨が降ったとき、瓦に雨粒が落ちる様子をみることにした。すると、時間の経過とともにこの絵のような雨跡の変化がみられた。スゴイ絵であることを実感した。
鏑木清方(1878~1972)の美人画に200%嵌っているが、‘いでゆの春雨’は大のお気に入りで、いつもいい気持でながめている。どの回顧展だったか記憶が薄れているが、ひょいと現れたのでびっくりした。‘こんないいのがあったの、美術本に載ってなかったが!’という感じ。そして、3年前に開催された決定版の回顧展(東近美)で再会した。天にも昇る気分だった。

































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