2017.07.17

思わず足がとまった茜空!

Img_2     散歩の途中に遭遇した美しい茜空    

Img_0001_2     小野竹喬の‘残照’(1962年)

夕方、1時間の散歩をするのはお決まりのルーティン。このところ大股でちょっとハードに歩くのを心掛けているが、さすがに後半はしんどくなってくる。で、ペースダウンして家にむかっていたら、空の雲が淡い茜色に染まっていることに気づいた。

年に数回こんな美しい茜空に出くわす。どの季節だったかしっかり記憶しているわけではないが、秋より冬にこの光景が多いという実感がある。ところが、今日は真夏にちかい時期。だから、夏にこれほど心を打つ茜の空が出現したのが不思議でならない。

ここ数年天気や気象のことを理解しようと、自然環境を扱ったTV番組を熱心にみている。その成果が少しづつでているのは確かだが、意外に思える夏における茜空を気象学者のように説明できるところまではいってない。

こういう赤い空を見るたびに思い出す絵がある。‘茜空’の画家と呼ばれる小野竹喬(1889~1979)の風景画。いくつかある夕空の絵にみられる色は実際に現れた茜に映える空や雲の色とじつによく似ている。例えば、‘残照’は今日の美しい空と重なってくる。

BSプレミアで放送される‘体感!グレートネイチャー’の影響もあって、実現するのは容易ではないが海外にあるサプライズの絶景を自分も体感してみたいと思うようになってきている。以前なら寒いので考えられなかった‘オーロラをみるツアー’などがチラッと頭をかすめる。自然がつくりだした‘アート’をめぐる旅に気持ちがだんだん傾いていく。

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2016.10.28

近代日本美術の煌き! 2002年(平成14)

Img_0001     福王寺法林の‘ヒマラヤの朝’

Img_0002     十五代楽吉左衛門の‘焼貫黒楽茶碗’

Img     田嶋悦子の‘Cornucopia 02-Ⅵ’

世の中には日本国内や海外にある名山を踏破することを趣味にしている人が多くいる。スイスのジュネーブに若い頃住んでいたこときそれほど嶮しくないアルプスの麓をグループを組んで歩いたことがあるが、かなりしんどかった。それ以来山登りは一度もしたことがない。

現在シニアの登山愛好家はかなりの数にのぼるという。今は登山に一番いい季節かもしれない。シニア世代も週末になると日本各地で名山へ果敢にアタックしているにちがいない。あのきつい山登りをこなす体力のある人は本当に羨ましい。

‘ヒマラヤの画家’といわれた福王寺法林(1920~2012)は1974年以来30年近くヒマラヤで過酷な取材をし神の山を描いてきた。芸術家のもつ強靭な肉体と表現意欲の強さのお陰でわれわれは‘ヒマラヤの朝’を共有することができる。あたかも実際にこの絶景をみているように。

十五代楽吉左衛門(1949~)の楽茶碗に大変魅了されている。吉左衛門さんの作品はとにかく腹の底からしびれるほどカッコいい。歌舞伎の世界の市川團十郎的な存在なので、次はどんな作品がでてくるかつい期待してしまう。茶碗の形は丸いものと光悦流の腰から直線状に立ち上がるものがあるが、‘焼貫黒楽茶碗’は手の中にすっと入るような丸みのある茶碗。即興性を感じさせる釉薬の模様が心を打つ。

陶とガラスの大胆な組み合わせが目を惹く田嶋悦子(1959~)のオブジェ、、はじめてお目にかかったとき緑のガラスのパーツがお菓子のゼリービーンズにみえた。モチーフは明らかに植物、これを土とガラスで表現するという発想がおもしろい。

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2016.09.02

五浦美で念願の横山操の‘雪原’と対面!

Img     横山操の‘雪原’(1963年 佐久市立近美)

Img_0001     平山郁夫の‘仏教伝来’(1959年)

Img_0002     広田多津の‘立像’(1975年)

Img_0003     千住博の‘ウォーターフォール’(2000年)

先月は長野県諏訪湖のほとりにあるサンリツ美を訪問したが、今度は三度目となる茨城県北部の五浦美に遠征した。今回は隣の方はお休みなのでクルマは走らせず、JR常磐線の特急に品川から乗り込んだ。列車の利用ははじめてなので勝手がわからず家を出たのは朝の8時20分、最寄りの駅、大津港駅に着いたのは午後1時をまわっていた。

茨城県天心記念五浦美で明後日の9/4まで行われているのは長野県の佐久市立近美が所蔵する日本画の名品展‘日本画、新しき風にのせて’、ここになんとしてもみたい作品がでている。それは横山操(1920~1973)の
‘雪原’、‘近代日本美術の煌き! 1963年’にも紹介したこの絵とお目にかかれる機会がやっと巡ってきた。

実際にみてみると図版ではわからないところがいくつもある。雪原の土色にみえる部分は金箔が施されており、中景、遠景の細い木々にはところどころプラチナが塗られている。そして、画面上部の一番遠いところはすべて墨のたらしこみで塗りつぶされている。

画面構成については感心していることを本物で確認した。木々の枝の向きからここでは風は右から左に吹いていることがわかる。手前右のところに濃い墨で描かれた最も大きな木を何本も斜めにならべ、積もった雪の表面にその影をうすくつけている。

こうした細部の表現にも惹かれるが、広い空間を感じさせる木々の塊の配置の仕方に見入ってしまう。右の木々の大きな塊は斜めのラインで間に細長い水たまりを挟みその向こうの木々につなげられ、アクセントとなっている水たまりは上にむかって層をつくるようにのび、左右の木に視線がまんべんなくいきわたるのをたすけている。

サンリツ美から帰ったあと、長野方面はこの次‘雪原’をみるため佐久市をめざすことを決めていた。ところが、運よく五浦美で遭遇したので佐久行きは消えた。

ほかの作品はさらさらとみた。足がとまったのは一度みたことがある平山郁夫(1930~2009)の‘仏教伝来’、広田多津(1904~1990)の‘立像’、千住博(1958~)の‘ウォーターフォール’。これらはオマケ感覚、長いこと対面を待った‘雪原’と会えたので数が少なくても気にならない。

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2015.09.28

今日はスーパームーン!

Img     今年最大の満月 スーパームーン

Img_0002     奥田元宋の‘紅嶺’(部分 1987年)

Img_0001     平山郁夫の‘興福寺の月’(1994年)

このところ天体や宇宙のことに関心がいっているのでスーパームーンにも敏感に反応する。今日は地球と月の距離が最も近くなり、月が大きく見える日。1年前だとTVに映しだされた満月をさらっとみるだけだったが、今はその明るさを熱心にみてしまう。

いろんなことに興味を抱くのは小さいころからの性分。惑星や月、銀河については科学雑誌‘Newton’のおかげで知識が増えている。本屋に寄ってみたら宇宙をテーマにした別冊がまた2つ発行されていた。いずれ購入することになりそうだが、現在は行動経済学と認知心理学に精神を集中させているので宇宙ものはちょっと小休止している。

スーパームーンにちなんで月の絵をとりあげてみた。古い日本画には‘日月山水図’(じつげつさんすいず)があるが、丸い太陽に対してここに描かれる月は三日月。これに対して‘武蔵野図’などでは秋の満月が描かれる。

明治以降の日本画で月がでてくる作品ですぐ思いつくのは平山郁夫(1930~2009)、夜のシルクロードを進むキャラバン隊を照らす月とか月光に浮かぶイスタンブールのブルーモスクなどが目に焼きついている。日本の‘興福寺の月’もとてもいい絵。

平山郁夫と同じ広島県出身の奥田元宋(1912~2003)は‘元宋の赤’に月を描くことが多い。‘紅嶺’のように山々はまだ紅葉に染まってないが、秋が深まってくると美しい月光が心をふるわすにちがいない。

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2015.08.05

暑いときは渓流の絵!

Img_0001     小野竹喬の‘奥入瀬の渓流’(1951年 東現美)

Img_0002     鈴木其一の‘夏山水図屏風’(19世紀中頃、根津美)

Img     円山応挙の‘保津川図屏風’(重文 左隻 1795年)

Img_0003     杉山寧の‘こう’(1985年)

今年は猛暑が続く日数が長い。明日も35度を超えそうだから7日連続、そのため家にいるときでも麦茶と氷をいれたミルクをがぶがぶ飲んでいる。

暑いときは水分を口から体の中に注入するだけでなく、目からも涼しさを運んでくれるものを入れる。それは渓流を描いた絵。夏になるとみているのは小野竹喬(1889~1979)の‘奥入瀬の渓流’、一度奥入瀬は行ったことがあるが、ご機嫌なところだった。

その美しい渓流に200%心を奪われたが、この景色は多くの画家たちの作画意欲を刺激し傑作がいくつも生まれている。そのなかで最も魅了されているのが竹喬の絵。言葉はいらない、この水の流れをみているだけで涼しくなる。

鈴木其一(1796~1858)の‘夏山水図屏風’、この屏風を根津美ではじめてみていっぺんに其一のとりこになった。以来、夏になると木にとまっているアブラゼミと水の勢いを強く感じさる群青の渓流をみるために山をわけいることにしている。

これまでみた日本画のなかで感動の袋が大きく膨らんだものはいくつもあるが、円山応挙(1733~1795)が最晩年に描いた‘保津川図’のそのひとつ。これは左隻だが、絹の糸の大きな束のようにみえる渓流がすべるように下っている。この絵と出会ったのは生涯の喜び。

杉山寧(1909~1993)の‘こう’に描かれた渓流は天然のクーラーといった感じ。近くにいれば暑さは吹っ飛び、肌にひんやりとした空気があたり心がリフレッシュされるにちがいない。

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2015.07.31

花火を描いた画家!

Img     加藤栄三の‘流離の灯’(1971年 山種美)

Img_0001     竹久夢二の‘花火’(1915年)

Img_0002  ホイッスラーの‘黒と金のノクターン’(1877年 デトロイト美)

浮世絵には花火の絵が数多くあるのに、明治以降に描かれた日本画、洋画で花火をモチーフにしたものは極めて少ない。だから、選ぶのに苦労することはない。

日本画でぱっと思いつくのは山種美にある加藤栄三(1906~1972)の絵。加藤は岐阜の人でこれは長良川の花火を描いている。夜空と川の青と花火から飛び散る火のこのコントラストが目に焼きつく。

3年ほど名古屋で仕事をしたことがあり、岐阜市生まれの人とよく麻雀をした。この先輩の叔母さんというのが長良川のそばで旅館を経営しており、ここで遊び好きが集まり麻雀&酒宴を楽しんだ。花火の季節ではなかったが、夏に出かけていればさらに盛り上がっただろう。

竹久夢二(1884~1934)にもいい花火の絵がある。一瞬見とれてしまう。これは‘三味線草’というタイトルのついた木版装画の一枚、夢二の絵からは時代の空気、季節の情感がよく伝わってくる。この風俗画をみると夢二は天性のカラリスト。本当に印象深い一枚。

西洋画家で花火とすぐむすびつくのは昨年横浜美で回顧展があったホイッスラー(1834~1903)、花火が描かれた作品が数点あるが、この‘黒と金のノクターン’は物議をかもしだした有名な作品。いちどみてみたいがまだ縁がない。所蔵しているのはアメリカのデトロイト美。

最近、嬉しい展覧会情報が入ってきた。といってもだいぶ先の展覧会だが、2016年秋に上野の森美で‘デトロイト美展’(10/7~1/22)が開催される。ホイッスラーの絵が入っていれば申し分なかったが、これはなく印象派の作品が中心、ゴッホの自画像とかモネやルノワールがやって来る。

以前古本屋をまわったとき日本で行われたデトロイト美展の図録をみたことがあるので、作品が公開されるのは2度目。楽しみがひとつ増えた。

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2015.06.25

心に沁みる平山郁夫の青!

Img_0003     ‘楼蘭遺跡を行く(月)’(部分 2005年)

Img_0002     ‘西域の馬’(1978年 高徳院)

Img_0001     ‘ナーランダの月 インド’(2007年 佐川美)

Img     ‘皓月ブルーモスク(イスタンブール)’(1989年)

西洋のものでも日本のものでも絵画を楽しむときある色が特別心に沁みる作品がある。例えばゴッホだと黄色、グレコだと緑、日本の画家でいうと東山魁夷の青、奥田元宋の赤、そして青の画家はもう一人、6年前に亡くなった平山郁夫(1930~2009)。

広島に9年住んでいたので広島県出身の平山郁夫に対する思い入れは強いものがある。これまで国内で開催された回顧展は同じ作品が何度出てこようと足を運んできた。風景画を描き続けた画家は旅に生きる画家でもある。平山郁夫も東山魁夷同様、生涯の大半を国の内外を旅し人々の心を打つ光景を絵にしてきた。

宇宙の成り立ちや無限に存在する銀河への関心がふくらんでいる今、平山郁夫が描いた群青色の世界が以前にも増して心に沁みている。ゴッホの‘星降る夜’と‘夜のカフェテラス’が心をとらえて離さないように、平山郁夫の星の絵にも大変魅了される。そして、この満天の星を現地でながめてみたくなる。

平山のライフワークである西域の風景、その西域のイメージにぴったりなのが砂漠を往来する隊商、この‘楼蘭遺跡を行く’には昼間の‘日’と夜の‘月’があるが、夜のタクラマカン砂漠を商人を乗せた駱駝が進んでいく情景を描いた‘月’にぐっと惹かれる。また、手前に疾走する馬を大きく描いた‘西域の馬’も忘れられない一枚。

平山は2000年に奈良薬師寺の玄奘三蔵院伽藍の壁画を完成させたが、これを50号の大きさに縮小したものが佐川美に所蔵されている。最後の場面が夜の光景の‘ナーランダの月 インド’、これをみると3度目のインド旅行があってもいいかなと思う。

1989年に制作された‘皓月ブルーモスク’も傑作、イスタンブールを観光するとかならず行く回教寺院、アヤ・ソフィアとブルーモスク、昼間のブルーモスクは建物の大きさばかりに気をとられているが、夜出かけるこんな幻想的なブルーモスクに会えるのかもしれない。また、この街を訪れることがあったらナイトツアーの参加を頭の隅にとどめておくことにした。

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2015.05.23

御舟の仲間 今村紫紅と小茂田青樹!

Img         今村紫紅の‘潮見坂’(1915年 横浜美)

Img_0001     小茂田青樹の‘横浜海岸通り’(1915年 横浜美)

Img_0002     小茂田青樹の‘漁村早春’(1921年 愛知県美)

Img_0003        小茂田青樹の‘梅花朧月’(1932年 川越市美)

速水御舟の回顧展に‘周辺’が付け加えられているのは御舟の師匠や仲間たちの作品が一緒に展示してあるから。チラシをみて期待していたのは今村紫紅(1894~1935)と小茂田青樹(1891~1933)、この二人と比べるとほかの画家はあまり心が動かない。

Myカラーが緑と黄色なので、紫紅の‘潮見坂’にはぐっと惹きつけられる。この絵の前年、紫紅はインド旅行の成果である‘熱国之巻’(重文 東博)を仕上げており、その鮮やかな色彩表現は絶頂期をむかえる。この縦長の‘潮見坂’も色彩の力が強く感じられ、天性のカラリストとしての才能がいかんなく発揮されている。

御舟にとって紫紅は兄貴格のような存在だったが、小茂田青樹はまさに同志の関係。年は青樹が3歳年上。小茂田青樹も長いこと気になる画家、でも残念なことに回顧展に遭遇していない。以前青樹の故郷である川越の市立美を訪問したとき、ここで一度回顧展があったことを知った。地元が生んだ有名な画家だから、名作を集めた展覧会が開かれるのは当たり前といえば当たり前。希望は例えば東近美あたりで行われる回顧展、期待したいが可能性は20%くらいだろうか。

青樹は全部で29点、ミニ小茂田青樹展といってもいいくらいのラインナップ。‘横浜海岸通り’には青樹の代名詞ともなっている細密描法がそれほど色濃くはでてないが、‘漁村早春’では精緻な描写がまさに全開という感じ。藁ぶき屋根を凝視するとその細かな線に目が点になる。畳のような質感がじつにリアルに表現されている。久しぶりの対面に体が200%フリーズした。

今回一番の収穫は御舟の‘夜梅’と対にして展示されている‘梅花朧月’、ぼやけた月を背にした梅の枝の圧倒的な存在感、このフォルムには参った。やはり小茂田青樹は並の画家とはちがう。なんとしても回顧展をみなくてはという気持ちになった。

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2015.05.22

7年ぶりの‘速水御舟展’!

Img     ‘横浜’(1915年 西丸山和楽庵)

Img_0001     ‘洛北修学院村’(1918年 滋賀県美)

Img_0003     ‘平野晴景’(1924年 西丸山和楽庵)

Img_0002     ‘白磁の皿の柘榴’(1921年 長谷川町子美)

現在、世田谷美で‘速水御舟とその周辺’展(5/2~7/5)が開催されている。年に一度くらいでかける世田谷美、気持ちがちょっと重くなるのはそのアクセスの悪さ、地下鉄田園都市線の用賀駅からでているバスのタイミングが悪いときは20分くらい歩くはめになる。今年は砧公園まで歩く番だった。

2008年平塚市美で速水御舟(1894~1935)の回顧展があった。これを含めて御舟の作品はかなり多く目のなかに入ったので世田谷美のものはパスしてもいいのだが、それをさせないのは御舟という画家がもっている磁力の強さ。まだみてないプラスαが目を楽しませてくれるのではないかという思いがつい足を運ばせる。

予想したことではあるが7年前のデジャブがおきている感じだった。今村紫紅の影響が強く見られるのは家の壁の赤が目を惹く‘横浜’、画面中央に工場の煙突から黒い煙が立ち上り、その黒が上部の港に停泊中の船に視線を誘導する。

‘洛北修学院村’はお気に入りの一枚、何度見てもこの深い青が心を揺すぶる。青の画家というとすぐ東山魁夷いを思い出すが、御舟は光を感じさせる神秘的な青の世界を描き出す。画面に目が慣れるのに少し時間がかかるがやがてここには村の人々が描かれていることに気づく。そして、この村には神秘的な物語が隠されているのかなと勝手に想像してしまう。

スッキリした構図に魅了されるのが風景画の‘平野晴景’、モチーフとしておもしろいのは畑の一角から空にのびる白い煙り、こういう光景が描かれるのは珍しいが絵になると思わず足がとまる。御舟の自然をみつめる豊かな感性が見慣れた光景を詩情あふれるものに変えている。

今回静物画が2点でている、そのひとつは初見の‘白磁の皿の柘榴’、静物画をみると御舟が天才的な写実力の持ち主であることがよくわかる。柘榴の皮の質感描写は見事というほかない。まるで本物が目の前にあるよう。

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2015.03.14

二度目の‘小杉放菴展’!

Img     ‘金時遊行’(昭和時代 出光美)

Img_0003     ‘羅摩物語’(1928年 東近美)

Img_0002     ‘白雲幽石図’(1933年 小杉放菴記念日光美)

Img_0001     ‘瀟湘夜雨’(昭和時代 出光美)

出光美では現在‘小杉放菴 東洋への愛’(2/21~3/29)が行われている。ここで小杉放菴(1881~1964)の回顧展をみるのは二度目、2009年に横山大観とのジョイントで‘小杉放菴と大観’があった。今回は単独だから出展数は多く数点のやきものなどを含めて82点もある。

小杉放菴は二刀流の画家。はじめは洋画をやっていたが、パリにいたとき池大雅の南画に心を奪われ俄然日本画に目ざめる。油彩も水墨画も描けるといってもその画風は半人半馬のケンタウロスのようなハイブリッド的な画面になっているわけではない。

パリから帰った33歳ころからは西洋画で会得した技術はモチーフの描写に生かされるが、画題や構成は東洋や日本のものが中心になっていく。放菴のすごいところは画業を重ねるにつれ構図のつくりかたが自在になっていくこと。最晩年に制作された屏風などは木の枝振りに言葉を失うほど魅了される。

一番お気に入りの絵はみるたびに元気をもらう‘金時遊行’、浮世絵にも鳥居清長らが金時を描いているがみてて楽しいのはにこやかな表情が完璧にすばらしい放菴の金時。手をあげて踊るようなポーズにつられてこちらの体も揺れてくる。

目を見張るような大きな腰をした女性が3人描かれている‘羅摩物語’は久しぶりに会った。‘湧泉’、‘炎帝神農採薬図’と一緒にこの大作がみれるのは回顧展だからこそ。しばらく息を吞んでみていた。すると昨年あったシャヴァンヌ展のことが思い出された。

思わず足が止まるのが‘白雲幽石図’、ぱっとみたイメージは宇宙を飛んでいる巨大な隕石に仙人が乗っている感じ。このところ地球科学関連のTV番組をよくみるので、墨の濃淡やたらし込みにより表現されたボリューム感あるれる岩山がすぐ隕石にみえてくる。

池大雅の‘瀟湘八景’に刺激を受けて描いた‘瀟湘夜雨’も心を打つ一枚。川辺の柳とその前を通りすぎていく小舟を巧みに配置する構図によって水墨画のもっている魅力をいっそう引き出している。しばらくいい気持ちでみていた。

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