2026.08.22

オールスター日本画家の傑作女性画!

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  小林古径の‘河風’(1915年 山種美)

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  安田靫彦の‘花の酔’(1912~13年頃 宮城県美)

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  菊池契月の‘少女’(1932年 京都市美)

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  中村貞以の‘爽涼’(1956年 東近美)

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  中村岳陵の‘都会女性職譜 女給’(1933年 三重県美)

上村松園や鏑木清方の美人画に魅了されたことにより、美人画家以外の画家
が描くすばらしい出来栄えの女性画に遭遇すると敏感に反応する。そして、
これが積み重なり作品の数が増えていくと、夜空に輝く星々のような存在と
なって長く記憶にとどまる。そんな絵を選んでみた。

小林古径(1883~1957)にはびっくりするようないい絵が2点ある。
白い顔の美形の女性が目に焼きつく‘河風’。源氏物語絵巻に登場するような
女性を近代感覚に合わせて再登場させたような感じ。そして、この絵の4年
後に江戸時代の花見をする一人の女性を古典絵画風に優雅に表現している。
顔はイメージは‘河風’と同じ。

歴史画を得意とする安田靫彦(1884~1978)は秀吉や頼朝・義経な
ど男性にスポットをあてたものが多いが、女性を取り上げた作品では‘飛鳥の
春の額田王’や‘王昭君’が傑作として人気がある。そのなかで、‘綺麗な女性だ
な’、とつい見惚れてしまうのが宮城県美が所蔵する‘花の酔’。親しみの湧く
絵なので、靫彦の女性画というとすぐこの絵を選ぶことになる。

菊池契月(1879~1955)の‘少女’と中村貞以(1900~1982)
の‘爽涼’は今の時代にモデルと自然に対面できる作品。洋画家の肖像画的な
絵とちがって日本画だと女性の内面まで立ち入らず静かにみていようという
感じ。中村岳陵(1890~1969)の‘都会女性職譜 女給’はモダンな
印象をうけ、‘あるある’感覚で笑みがこぼれる。

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2026.08.20

‘昭和の日本画100選’に選ばれた傑作女性画!

Img_0003_20260820230801   土田麦僊の‘大原女’(1929年 京近美)

Img_0001_20260820230801   菊池契月の‘南波照間’(1928年 京都市美)

Img_0002_20260820230801   小林古径の‘髪’(重文 1931年 永青文庫)

Img_20260820230801   小倉遊亀の‘浴女 その一’(1938年 東近美)

Img_0004_20260820230801   

竹久夢二の‘五月の朝’(1932年 竹久夢二伊香保記念館)

アートとのつきあいがより楽しくなるためには、美術館で開催される特別展
のスケジュールや単発で流れてくる作品の情報(新たに見つかった作品、オ
ークションでついた金額、、)をしっかりつかんでおくことが必要。たとえ
ば、朝日新聞には定期的に現在、美術館で行われている展覧会の情報が一覧
となって紙面に載る。このときは手元の情報に見逃しがないか時間をかけて
ながめている。

わが家には近代日本画の名画を知る貴重な図録がある。それは1989年に
朝日新聞から出版された‘昭和の日本画100選’。日本橋の三越本店で行われ
た特別展に足を運び、日本画の魅力を目に焼きつけたが、大阪の三越だけの
出品だったり、出品されなかったものがあったので100点すべてをみることは叶わなかった。そのため、この図録に載っている作品で見逃したものを追っかける長い旅がはじまった。現在、まだ5点残っている。

100点の中から女性をモチーフにした絵にスポットをあて、そして松園の
‘序の舞’と清方の‘築地明石町’を除いた上でお気に入りの作品を5点選んでみ
た。一見ルネサンスのボッティチェリの絵をみているようなのが土田麦僊(1887~1936)の‘大原女’。ルノワールがみたら裸足で逃げるかもしれない。長野県出身の菊池契月(1879~1955)の‘南波照間’(はいはてろま)もすばらしい作品。二人の女性の背景に広がる景色は琉球。

歴史画や静物画が得意な小林古径(1883~1957)はいい女性画をいくつも描いている。その筆頭が重文に指定されている‘髪’。永青文庫ではじめてお目にかかったときは思わず背筋をしゃんとさせた。東近美にある小倉遊亀(1895~2000)の‘浴女 その一’には大きなサプライズがあった。それは浴槽のなかで揺れ動く水の巧みな描写。すごい日本画じゃないか!と思った。10月、東近美ではじまる竹久夢二(1884~1934)には季節が違うので愛らしい若い女性が描かれた‘五月の朝’は出品されないだろう。再会を期待してたが、残念!

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2026.08.19

女優・相撲取りを描いた画家たち!

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  小倉遊亀の‘コーちゃんの休日’(1960年 東京都現美)

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  橋本明治の‘女優’(1967年 東近美)

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  奥村土牛の‘踊り子’(1956年 山種美)

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  橋本明治の‘関取’(1973年 島根県美)

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  奥村土牛の‘稽古’(1966年 山種美)

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  ビュフェの‘睨み合い’(1987年 ビュフェ美)

日本画家の小倉遊亀(1895~2000)の決定版回顧展が2002
年東近美で行われたが、とても惹かれる女性画があった。モデルがすぐ
イメージできるタイトルがついている。‘コーちゃんの休日’。浴衣姿で
長椅子に横たわってこちらをみているのは‘愛の賛歌’や‘サントワマミー’
で知られるシャンソン歌手で女優の越路吹雪(知ってる人は知っている)。
院展の会場でこの絵をみたとき、コーちゃんは‘へえー、一寸、わたしの
癖でてると思わない。悪い癖みんな。手にも足つきにも、どこにもさ’と
夫に言ったという。

島根県の浜田市に生まれた橋本明治(1904~1991)は著名人を
何人も描いている。‘経営の神様’と呼ばれた松下幸之助。松竹の創業者、
大谷竹次郎。‘髭の殿下’、三笠宮寛仁親王殿下。歌舞伎の名女形である
中村歌右衛門。女性では画家と同じ山陰出身(鳥取)の女優司葉子。
この女優は森繫久彌主演の喜劇映画‘社長シリーズ’に出演しているので
お馴染みさん。いつも‘日本のオードリー・ヘップバーン’だなと思いなが
らみている。

奥村土牛(1889~1990)が1956年に描いた‘踊り子’のモデル
はバレリーナの谷桃子。ついみとれてしまう傑作。土牛はこんなことを
語っている。‘谷桃子さんのお宅へ数えきれないくらい写生に通って、
純粋従順な人柄が分った。絵描きは感情が強くモデルとの間でも気持ち
がぴったりしないと、その人は描けない。すっかり頭に入ったので、写
生に捕らわれずに描いてみた’。

相撲取りをモデルにした絵は運よく3点縁があった。もっとも本人に似
ているの橋本明治が‘関取’のタイトルで描いた大関貴ノ花。画家は横綱に
なって欲しいという願いを込めて、実際より10キロ太らせて描いてい
る。土牛の‘稽古’の登場する相撲取りは横綱栃錦がモデル。でも、まった
く似ていない。フランスの画家、ビュフェ(1928~1999)は相
撲が好きだったのか、堂々とした横綱大乃国(現芝田山親方)を描
いている。大乃国だけは眉毛も目もたれ下がっているのに、行司,勝負
審判、観客は皆つりあがっているのがおもしろい。

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2026.08.18

伊東深水 美人画のモデルとなった女優たち!

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  ‘婦人像’(1957年 山種美)

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  ‘黒いドレス’(1956年)

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  ‘巷は春雨’(部分 1955年 福富太郎コレクション)

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  ‘菊を活ける勅使河原霞女史’(1966年 草月会)

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  ‘愚痴’(1969年)

画家との距離があることがきっかけとなり、ぐんと縮まることがある。美人
画で一世を風靡して伊東深水は意外な人の父親だった。その人物は歌手で女
優の朝丘雪路。日本テレビに大橋巨泉がMCをつとめる人気の深夜番組があ
り、巨泉のアシスタントで出演していたのが朝丘雪路。天真爛漫でとてもチ
ャーミングな女性だったが、番組を楽しんでいた頃は俳優の津川雅彦の妻と
いうのはしっかりインプットされていた。

朝丘雪路が深水の娘であることを知ったのは絵画鑑賞が本格的になり、ビッ
グネームの日本画家に目が慣れたころ。ええー!? そうだったの。これに
より絵の好みだけでなく、画家に親しみを覚えるようになった。深水は
1955年に日劇ミュージックホールの楽屋裏を題材にして‘巷の春雨’とい
う風俗群像画を描いているが、下の左端にいるのが朝丘雪路。上で腕組みし
て瞑想しているのがコメディアンのトニー谷(知ってる人は知っている)。

女優の木暮実千代がモデルになった‘婦人像’も印象深い作品。いかにも華や
かな女優という印象が強く、映画のワンシーンをみているよう。一ヶ月前、
中村錦之助が主演した仁侠映画‘瞼の母’(東映 1962年)を観たが、
番場の忠太郎が探し求めた母親に扮しているのが木暮実千代。絵に描かれ
た婦人は一目で木暮とわかる。

‘黒のドレス’に登場する女性は青山学院大学在学中からファッション・モデ
ルとして活躍していた大内順子。ファッション・ジャーナリストとしてTV
に出演していた姿が記憶に少し残っている。生け花の草月流の二代目家元
勅使河原霞はTVでみたような気がするが、、映画監督の勅使河原宏は霞の
兄。回顧展でお目にかかった瞬間、びっくりしたのが‘愚痴’。モデルは徳島
生まれの日本舞踊家、竹原はんだが、平成期の紅白歌合戦の名物となった
豪華な衣装を着て唄った小林幸子が目の前にいると思った。本当によく似
ている。

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2026.08.17

伊東深水 圧を感じる美人画の魅力!

Img_0001   ‘雪の夕’(1961年)

Img_0005_20260817225301   ‘通り雨’(1949年)

Img_0002   ‘姿見’(1958年)

Img_20260817225301   ‘舞’(1956年頃 名都美)

Img_0004_20260817225301   ‘赤と白’(1956年)

伊東深水(1898~1972)は師匠の鏑木清方(1878~1972)
同様、多くのファンがいる人気の美人画家。でも、回顧展はまだ2回しか遭
遇してない。最初が京都旅行のとき偶然出会った2006年美術館「えき」
KYOTOで行われたもの。その5年後の2011年にまた平塚市美で縁があっ
た。それから15年経過したが、美術館で深水の美人画は残念なことに一度
もみてない。学芸員は深水には関心がないのだろうか。

そのため、作品の数は2つの特別展で達したMAXに上乗せがないまま。美人
画とのつきあいは生涯の楽しみだから、美人画家の図録をローテーションし
ながら定期的に楽しんでいる。そのなかで深水はクリーンナップの5番をま
かせられており、松園・清方とはちがった魅力をもつ作品がたくさんある。

深水の美人画の特徴は画面いっぱいに着物や洋服を着た美しい女性が大きく
描かれていること。しかも、色彩に力があって着物の柄まで丁寧に描写され
ているから、とても圧を感じさせる女性の絵になっている。これはラファエ
ロ前派のロセッティの女性像に前の立ったときに受ける圧の強さと似ている。

ここにあげた5点はお気に入りのベスト&ベスト。最近、登場する着物姿の女性をみる見方がちょっと変わってきた。それは200%楽しんでいる喜劇映画の‘社長シリーズ’(東宝 森繫久彌主演)の影響。このシリーズはどの作品も森繁社長らの楽しむ宴会に人気の芸者が登場し、踊りや歌を披露するシーンがでてくる。それに深水の描く美人画がかぶってくるのである。草笛光子(知ってる人は知っている)が扮する芸者はたとえば‘姿見’の女性みたいだな、とか。こんな風にみているから、モデルの女性と距離がすごく近くなる。その最たる絵が‘赤と白’に描かれた明るくて若々しい女性。この絵は1956年頃に製作された青春映画のポスターをみているよう。

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2026.08.16

鏑木清方 絶品美人画をみる楽しみ!

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‘築地明石町’(重文 1927年 東近美)

Img_0003_20260816225001   ‘いでゆの春雨’(1943年)

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‘道成寺’(1929年 大谷コレクション)

Img_20260816225001   ‘祭さじき’(1928年 福富太郎コレクション)

Img_0004_20260816225001   ‘秋の夜’(1919年 秋田県近美)

絵画をみて心が晴れやかになるのは近代日本画の美人画と西洋画で描かれた
女性たち。西洋画でも日本画でも特定の画家に限定せず、幅広くみてきたが、
図録や画集をつい手に取りたくなる画家はほぼ固まっている。上村松園と
鏑木清方、そして西洋の画家ではラファエロとルノワール。

松園、清方の絵は作品情報をもとに一枚でも多く本物をみようと、美術館巡
りをし話題となった特別展を見逃すことなく足を運んできた。清方について
は、2019年に長くゝ待った‘築地明石町’は東近美に展示されるという奇跡
のような‘大事件’があった。一番大事なピースがやっと姿を現してくれたとい
う感じ。しかも、東近美におさまったので、回顧展が開催される間隔があい
たとしても、定期的にお目にかれることになったのだから、理想的な鑑賞環境
が整えられたといってもいい。上野の東芸大美では松園の‘序の舞’、‘草紙洗小
町’に会え、竹橋へ行けば清方の代表作‘築地明石町’が楽しめる。これほど嬉し
いことはない。

清方の絶品美人画をみていると、本当に幸せな気分になる。絵のなかだけど
こんな綺麗な女性に会えることは滅多にない。この感情の盛り上がりはルノワ
ールの描く明るくふるまう女性や笑っている顔と対面したときと似ている。
‘いでゆの春雨’と‘祭さじき’に遭遇したときは天にも昇る気持ちだった。

以前鎌倉にあった大谷コレクションをみせてくれる美術館に飾られてた‘道成寺’の衝撃は半端でなかった。横に並ぶ‘鷺娘’はもうどこかへ吹っ飛んで、この赤の豪華な衣装を着た白拍子花子の華麗な姿を唖然としてみていた。そして、ぱっとみるとフィギュアスケートの浅田真央ちゃんを連想させる‘秋の夜’にも魅了され続けている。

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2026.08.15

上村松園 もっとも惹かれる美人画 ベスト&ベスト!

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  ‘序の舞’(重文 1936年 東芸大)

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  ‘草紙洗小町’(1937年 東芸大)

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  ‘鼓の音’(1940年 松伯美)

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  ‘牡丹雪’(1944年 足立美)

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  ‘楚蓮香’(1914年頃)

上村松園の美人画に魅了され続けているのはラファエロの母子像をみている
ときと同じ感情が沸き起こってくるから。ラファエロの描く聖母マリアは
宗教画なのにその優しくて品のある表情のため、理想化された女性の美では
あっても堅苦しくなくすっと絵の中に入り込める。松園の美人画にもそんな
ところがある。

松園は京都生まれの画家なのにMyベスト&ベストに登録している‘序の舞’と
‘草紙洗小町’はなぜか東芸大の所蔵となっている。お陰で大きな回顧展に遭遇
しなくても何年か待っていると東芸大美の所蔵名品展でタイミングがあうと
お目にかかれる幸運が訪れる。これは松園ファンにとっては有難い。

松園に魅せられると一度は足を運んでおきたいのが奈良にある松伯美。ここ
は上村松篁、上村淳の花鳥画も鑑賞できるので大きな満足が得られる。松園の
絵では回顧展には欠かせないピースである‘楊貴妃’、‘花がたみ’のほかにもう
ひとつ人気のある‘鼓の音’にも出会える。鼓の稽古をしている女性は安定した
三角形構図におさまっており、つい見入ってしまう。ポンと冴えわたった鼓の
音が聞こえてくるよう。

構図の良さに同じように惹かれるのが‘牡丹雪’。島根県の安来市にある足立美
で遭遇したときは思わず足がとまった。以来、この巧みな動感描写を感心し
ながら楽しんでいる。そして、一瞬これは鏑木清方の絵ではないかと錯覚さ
せる‘楚蓮香’にも200%KOされ続けている。別ヴァージョンがいろいろ描か
れているがこの絵が群をぬいて強い磁力を放っている。ゼウスのように蝶に
変身して楚蓮香のまわりを舞って美女の香りに酔いしれたらどんなに楽しい
ことか。

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2026.08.14

松園・清方 ハッとする美人画!

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  上村松園の‘楊貴妃’(1922年 松伯美)

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   ‘花がたみ’(1915年 松伯美)

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   ‘焔’(1918年 東博)

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  鏑木清方の‘遊女’(1918年 横浜美)

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   ‘妖魚’(1920年 福富太郎コレクション)

絵画作品をみていると‘この絵をあの画家が描いたの?’と戸惑うようことがあ
る。たとえば、上村松園(1875~1949)の描く美人画は品があって
清澄な感じのする女性というイメージができあがっている。そのため、中国
美人の代名詞みたいな楊貴妃が湯浴み後の姿で登場すると、あらら、、胸ま
でだして描いちゃったの!?となる。ここには妖しい空気は流れていないの
で、心臓がバクバクすることはないが、珍しい楊貴妃をみたなという思いは
長く記憶される。

この絵を所蔵する奈良の松伯美にはもうひとつ有名な絵がある。それは恋し
い人への思いが過剰に膨らみ錯乱した女性を描いた‘花がたみ’。松園は心が
病んだ患者を病院で繰り返し写生し、女性が舞う姿として表現しているが、
その近づきがたい世界の緊張感がすごく感じられる。そして、女性の感情の
激しさが凄絶な美人画になったのが‘焔’。六条御息所は燃えさかる嫉妬の思い
で体が震えんばかりだというのがこの姿をみればよくわかる。

鏑木清方(1878~1972)は極めつきの妖しい美人画を2点描いて
いる。横浜美にある‘遊女’をはじめてみたとき、いつになく心がザワザワし
た。浮世絵で遊女の絵は菊川英山や渓斎英泉で馴染んでいるが、デカタンス
遊女のイメージ。それに比べると、このモデルは肌は白く美形なのでつい長く
ながめてしまう。

この絵の2年後に描かれたのが‘妖魚’。20年くらい前、東近美であった‘アー
ル・ヌーボー展’でお目にかかったときはびっくり仰天した。これが清方の
作品!? 豊満な体に長い黒髪がまきつくように垂れ下がる官能表現にまっ
たく声が出なかった。

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2026.08.13

松園・清方 母子像 子ども絵!

Img_0001_20260813230601   上村松園の‘しゃぼん玉’(1903年頃)

Img_20260813230601    ‘母子’(重文 1934年 東近美)

Img_0004_20260813230601   鏑木清方の‘鰯’(1937年頃 東近美)

Img_0003_20260813230601    ‘汐路のゆきかい’(1959年 茨城県近美)

Img_0002_20260813230601    ‘菖蒲打’(1945年)

物書きには‘文は人なり’というように文章は書き手の人柄を表すということが
あるが、画家についても‘絵は人なり’がいえるのだろうか。どの絵にもそれが
あるとは思わないが、母子像や子どもの絵をみてると、優しい心根がでてい
るような気がすることがある。

上村松園の美人画に赤ん坊が登場するものはこれまで3点お目にかかった。
心がとても和むのが初期の作品‘しゃぼん玉’。この絵をみる度に松園は日本の
ラファエロだなと思う。59歳のとき描いた‘母子’は代表作の序の舞’とともに
重文に指定されている。赤子は顔をみせないが可愛い子と自然にイメージが
ふくらむ。

鏑木清方は母親と幼児をクローズアップでは描いてないが、庶民の暮らしのひとコマをとらえた‘鰯’にとても惹かれる。母親は小僧さんから鰯を買っており、その横に軒先を駆ける童子を描きこんでいる。清方はこういうほろっとさせる風俗画が何点もある。まわりの人を屈託なく愛する人物だったのだろう。

子どもの絵では細い竹をもった男の子と手をつないで歩く女の子が橋の手前ですれ違う光景を描いた‘汐路のゆきかひ’と、鉢巻をして菖蒲打に興じる子どもたちの絵が強く印象に残っている。3点とも2022年東近美で開催された大回顧展に出品された。

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2026.08.12

松園・清方 蛍で共演!

Img_0002_20260812230301   上村松園の‘新蛍’(1944年 東近美)

Img_0003_20260812230301    ‘初夏の夕’(1949年)

Img_0004_20260812230301    ‘新蛍’(1929年 山種美)

Img_20260812230301   鏑木清方の‘蛍’(1940年 名都美)

Img_0001_20260812230401    ‘朧駕籠’(1907年 練馬区美寄託)

近代日本画の画家で回顧展をみた回数が群を抜いて多いのが、横山大観
(1868~1958)と美人画の上村松園(1875~1949)。その
ため、二人の図録が本棚の一角のどーんと並んでいる。そうなると、手にと
ってながめることが多くなり、魅了されたその画風が心に沁み込んでいく。

そして、お目にかかった作品が増えるにつれ画家がよくとりあげるテーマや
モチーフにはたと気づく。松園は清純な感じのする女性を数多く描いている
が、そこに古来から夏の風物詩である蛍狩りが描きこまれるものが結構ある。
そのなかで一番のお気に入りは東近美が所蔵する‘新蛍’。画面の中央にいる
蛍とそれをじっと眺める美しい女性を右に配置する構図がぴたっときまって
いる。

‘初夏の夕’が松園の美人画では異色の妖艶さが感じられる作品。蛍と戯れて
いる女性が体をちょっと傾けているのがとてもいい。山種美にある20年前
に描かれた‘新蛍’とみくらべると無性に惹かれる。2010年東近美で開催された大回顧展では、最後に登場したこの絵をみて大きな衝撃をうけたことを今でも鮮明に覚えている。

鏑木清方(1878~1972)の蛍の絵はまだ2点しか遭遇してない。‘蛍’は女性を三角形の構図にして右に蛍がにぎやか飛び交っているので、蛍狩りの楽しさがストレートに伝わってくる。袖に入り込んだ蛍というアイデアが視線を惹きつける。‘朧駕籠’は心中した夫婦の物語が題材になっている。死んだ妻が生き残った夫のところへ幽霊となったやって來て、二人は楽しい時を過ごすが妻はすっと姿消してしまう。駕籠から降りた幽霊のまわりに蛍が飛んでいる場面が描かれている。

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