鏑木清方 幻の‘築地明石町’特別公開!
今年の秋は日本画関連の展覧会シーンに二つのビッグイベントがある。
ひとつは1ヶ月前みた‘佐竹本三十六歌仙絵’(京博 10/12~11/24)。
そして二つ目のお楽しみは‘鏑木清方 幻の<築地明石町>特別公開’(東近美
11/2~12/15)。どちらもみられるとは思ってなかった絵なの
で、いつも以上に気分が高揚する。
鏑木清方(1878~1970)の代表作である‘築地明石町’との対面を
もう何年も待ちわびていたがようやく実現した。これはおおげさにいうと
奇跡の出会い。しかも‘新富町’と‘浜町河岸’を含む三部作揃い踏みだから感動
袋は大きく膨らみパンと割れてしまいそう。
3点とも予想以上に絵のコンディションがいい。一体どこにあったのだろう。
これまで絵の大きさの点で最も見ごたえがあったのは大谷コレクションの
‘道成寺・鷺娘’(双幅)で縦183㎝、横75㎝の大作。鎌倉大谷美(現在
は無し)でみたときは体が震えるほど魅了された。その感動と似たものが
今回出品された縦174㎝、横74㎝もある大きな絵3点でもおこった。
趣味で油絵の肖像画や裸婦を描いている友人がおもしろいことをいう。女性
でも男性でもつい描きたくなる雰囲気をもっていたり表情をする人物がいる。
その強く表現したいところがうまく描けたらあとはうまくできあがる、と。
‘築地明石町’もモデルとなった女性の写真が3,4点展示されていたが、確か
に綺麗な女性で清方の心には友人と同じようにこの女性を描きたいという
気持ちがふつふつと沸いてきたのかもしれない。松園の美人画にはない女性の
もっている生感覚。この静かでさらっとした美しさを目に焼きつけた。
これまでみた作品では3点の横に飾ってあった‘初冬の花’に思わず足がとまっ
た。‘築地明石町’効果で勝手に四部作にしたくなった。
最近のコメント