2017.05.04

ブリューゲルとルーベンスの風景画!

Img_0002     ブリューゲルの‘干し草の収穫’(1565年 プラハ国立美)

Img_0001     ブリューゲルの‘穀物の収穫’(1565年 メトロポリタン美)

Img   ルーベンスの‘虹のある風景’(1636年 ウォレスコレクション)

Img_0003     ルーベンスの‘野良の帰り’(1630年代後半 ピッティ美)

先週、東京都美でみたブリューゲル(1526~1569)の‘バベルの塔’の感激の余韻に今浸っている。まだみれてないブリューゲルの作品はツアー旅行に参加すれば美術館と縁がありそうな都市とは違いたどりつくまでに苦労のいる街ばかり。だから、ロッテルダムからやって来た‘バベルの塔’のようなあこがれの作品がみれると感激もひとしお。

これまで日本で公開されたブリューゲルで楽しい思い出があるのはプラハ国立美が所蔵する‘干し草の収穫’、農民画家としてのイメージは古典絵画ではブリューゲル、そして近代では日本において人気の高いミレー。では、どちらに強い思い入れがあるかというとブリューゲルのほう。

農民の生活がリアルに表現されると絵画の魅力が増すかというとそうでもない。そこに多少のデフォルメがあって生き生きとした風俗になっていると画面にぐっと惹きこまれる。ブリューゲルの農民の働く姿と風景がミックされた作品でお気に入りはもう一枚ある。メトロポリタン美の‘穀物の収穫’。

この2点をみるたびに思う起こすのがルーベンス(1577~1640)が晩年に描いた風景画、そのなかでとくに‘干し草の収穫’との強い関連性が感じられるのが‘虹のある風景’と‘野良の帰り’、ルーベンスは‘干し草’に描かれた母親と二人の娘の歩く姿を意識したことはまちがいない。

ブリューゲルつながりでルーベンスの風景画に大変魅了されている。‘虹のある風景’はすでにウォレスコレクションで思いの丈を叶えた。‘野良の帰り’については、フィレンツェを訪問したときピッテイ宮殿にも足を運んだのでお目にかかっているはずだが、じつはみたという実感がない。

そのときはたぶんラファエロの‘小椅子の聖母’と会うことに気が張っていたから、みれどみずの状態だったのだろう。この先、フィレンツェへ行く機会があったら、じっくりみてみたい。

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2017.05.03

北方絵画のお楽しみ!

Img_0001     バウツの‘キリストの頭部’(1470年)

Img_0002     ダーフィットの‘風景の中の聖母子’(1520年)

Img     メムリンクの‘風景の中の二頭の馬’(1490年)

Img_0003     ヘームスケルクの‘オリュンポスの神々’(1556年)

ブリューゲルの‘バベルの塔’やボスの作品を所蔵するボイマンス美があるオランダのロッテルダムはまだ足を踏み入れたことがない。オランダとベルギーをまわるツアーだとこの街は行程に入ってないため、もし二人の絵をみようとするとアムステルダムに滞在してで出かけるほかない。

だが、団体ツアーに慣れてくると何から何まで自分でやらなくてはならない個人旅行はちょっとおっくう。だから、ロッテルダム旅行はだいぶ先となるはずだった。ところが、運がいいことに館内を改修するボイマンス美はわざわざ日本まで自慢の古典絵画をたくさんもってきてくれることに。まったく予想だにしなかった展開。

どんな作品があるのか事前の情報はなく、展示室を進むうちにファン・エイクやウェイデンの技法を受け継いだ写実的な絵画がいろいろ現れてきた。足がとまったものをあげてみると、バウツ(1410~1475)の‘キリストの頭部’、ダーフィット(1460~1523)の‘風景の中の聖母子’、メムリンク(1433~1494)の‘風景の中の二頭の馬’。

バウツの人物描写は本当にリアルでこの時代に生きたモデルと今会っているよう、まさに人間キリストのイメージ。北方絵画に描かれる聖母は控えめでやさしい感じの少女がキリストを抱いている感じ。鮮やかな赤の衣装が目に焼きつく。

ほかに長くみていたのが北方のマニエリストのヘームスケルク(1498~1574)の‘オリュンポスの神々’、ギリシャ神話は生涯の楽しみだから、筋肉質の神々の姿を一人々興味津々でながめていた。

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2017.05.02

ブリューゲルの‘バベルの塔’に乾杯!

Imgブリューゲルの‘バベルの塔’(1568年頃 ロッテルダム ボイマンス美)

Img_0002     白い漆喰を下からあげて運ぶ作業

Img_0001     ボスの‘放浪者(行商人)’(1500年頃)

Img_0003     ボスの‘聖クリストフォロス’(1500年頃)

ついにやって来たブリューゲル(1526~1569)の‘バベルの塔’(4/18~7/2)をみるため喜び勇んで東京都美へ行った。ブリューゲルの絵がウィーンの美術史美などにあることは多くの西洋絵画ファンは知っているが、日本でブリューゲルをみる機会はほとんどないこともこれまたわかっている。

そんなブリューゲルのあの‘バベルの塔’がなんと24年ぶりに登場するというのだから夢みたいな話。この‘バベルの塔’、ブリューゲルに興味をもちだしたころから2つあることを知っている。ウィーン美術史美にある‘バベルの塔’は運よく2度お目にかかった。今回展示されているのはこれではなくオランダ、ロッテルダムにあるボイマンス美が所蔵する‘バベルの塔’。

ウィーンにあるものが1563年に描かれ、その5年後の1568年(亡くなる1年前)にボイマンスのものが仕上げられた。ボイマンス蔵は美術史美の約半分の大きさ。2つを比べてみるとサイズだけでなくいくつか違いがある。目の前にあるボイマンスヴァージョンで目を引きつけるのは塔の上部の左右に浮かぶ立体感のある雲。

この絵ではウィーンと比べ地平線が低くなっているため、この高層建築がどんと地上に建っているようにみえる。雲を塔の上ではなく上層階にかからせて描き塔の壮大さを強調している。図版でこの雲がずっと気になっていたが、本物と対面してバベルの塔がまさに天にもとどくほどの高さだったことを実感した。

この建設現場には1400人も描かれているそうだが、残念ながら単眼鏡をもってしても顔の表情などはまったくとらえられない。ただ、黒い点や白い点がみえるだけ。だが、画面の最も手前に描かれた塔の周囲の景観、そこの左半分をよくみると11人の男が確認できた。

この塔をどうやって建てていったのか、作業の様子がよくわかるのが左半分の各層にのびる白い部分。これは漆喰を滑車を使ったまきあげ機で上にあげているところ。おもしろいのは人々の体が漆喰で真っ白になっていること。

このあたりは東芸大によってつくられた拡大複製画や3DCG映像のおかげで詳細にわかるようになっている。これはGOOD JOB!図録を購入するとこの拡大複製画がついているのも気が利いている。そして、色で目立つのが頂上と左端の赤、これはレンガの色。

今回のボイマンス美のコレクション公開にはビッグなおまけがついている。なんとボス(1450~1516)が2点!昨年プラドであったボスの没後500年を記念した大回顧展にも出品された‘放浪者(行商人)’と‘聖クリストフォロス’。ここにも拡大パネルで描かれているモチーフが詳しく解説されているので、これをみながらながめると楽しみが増す。

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2016.02.02

ボスの没後500年を記念した大規模回顧展!

Img_0001 ‘守銭奴の死’(1500~10年 ワシントンナショナルギャラリー)

Img_2     ‘快楽と大食の寓意’(1500~10年 イエール大美)

Img_0002_2     ‘この人を見よ’(1486~1505年、フィラデルフィア美)

昨年12月、フィラデルフィア美でボス(1453~1516)の絵を‘この人を見よ’など3点みた。このとき目に力を入れてみたのは今年の2月からボスの生まれたオランダ南部、スヘルトーヘンボス市で没後500年を記念した大回顧展(2/13~5/8)が開催されることを知っていたから。今回はローマであったカラヴァッジョ展のときのような特別鑑賞旅行は叶わないのでここでボスの世界を楽しもうという思いだった。

このボス展には1/31まで三菱一号館美で展示されていた‘愚者の石の切除’(プラド美)、‘愚者の船’(ルーヴル美)、‘守銭奴の死’(ワシントンナショナルギャラリー)などボス本に載っている有名な作品が数多く出品されるようだ。会期中は大勢のボスファンがこの街に押し寄せるにちがいない。

2014年10月に発行された‘芸術新潮’のボス特集号で最新のボス研究の成果や作品が掲載されている。この本によるとボスの真筆は20点という。また、興味深い話もでてくる。アメリカにある‘守銭奴の死’と‘快楽と大食の寓意’、そして‘愚者の船’は今は別々の美術館にあるが、もともとは同じ祭壇画を構成する作品だったらしい。

このことは2003年の2月に放送された日曜美術館のなかで平岡いう女性のボス研究者が解説してくれた。そこでは中央のパネルの‘カナの婚礼’(ロッテルダム ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美)については真筆かどうかはふれられていなかったが、‘芸術新潮’ではボスのオリジナル作品は現存せず後世の画家による模写とされている。

‘快楽と大食の寓意’を所蔵するイエール大美にはゴッホの‘夜のカフェ’もある。ニューヘブンはNYからだと簡単に行けそうなのでまた東海岸を旅行することがあったら、真っ先にめざしたい。

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2013.03.21

メトロポリタン美(10) 額縁にハエがとまっている!

Img_0001_2     クリストゥスの‘カルトゥジオ会修道士の肖像’(1446年)

Img_2     エル・グレコの‘黙示録第5の封印’(1608~14年)

Img_0002_2     ベラスケスの‘エマオの晩餐’(1622~23年)

Img_0003_2     フェルメールの‘窓辺で水差しを持つ女’(1662~65年)

メトロポリタンにある古典絵画はワシントンナショナルギャラリーと同じように前回時間をかけてみたので、リカバリーリストに書き込んでいるのは数点。集合時間が迫っているので大急ぎで回った。

作品が展示してあるのは2階の中央部分の部屋、まず目指したのはファン・エイクの一世代後のクリストゥス(~1476)が描いただまし絵。この修道士の肖像のどこがだまし絵? 額縁の下のところにハエがとまっている(拡大画像で)!前回この絵はリストに載せてなくて見逃した。09年Bunkamuraでだまし絵展があったとき、この絵のことを思い出しほぞを噛んだ。

フランドルの画家たちは自分の技術の高さを誇示するためこういう本物そっくりのものを描いて見る者をびっくりさせた。これも絵画をみる一つの楽しみ。普通こんな肖像画にハエがでてくるなんて思わないから、絵の情報がないと見落とす。関心のある方はこのハエをお忘れなく。

次の追っかけ画はベラスケス(1599~1660)の若い頃の作品‘エマオの晩餐’、前回は肖像画の傑作‘ファン・デ・パレーパの肖像’など4点をみたが、この絵はでてなかった。作品の存在を知ったのもこの後のこと、カラヴァッジョの‘エマオの晩餐’はキリストを正面からとらえているが、ベラスケスはキリストを横向きに描き手をあげ驚いた表情の弟子たちを手前と奥に配置。テーブルを囲む3人を画面いっぱいに描くことでこの奇跡に出くわした弟子の驚きの大きさを表現している。

エル・グレコ(1541~1614)はすでにみている4点、プラスαはなかった。大作‘黙示録第5の封印’の鮮やかな緑と枢機卿の見事な肖像画をしばらく言葉を失ってみていた。ワシントンナショナルギャラリーとMETにあるグレコは真に傑作揃い。作品の質の高さにはほとほと感心させられる。アメリカのコレクターたちはスペイン絵画をスゴイ情熱をもって収集していたに違いない。

今回フェルメール(1632~1675)の部屋では特別の思いがあった。昨年9月、BSプレミアムの‘極上美の饗宴’に出演した歌舞伎俳優の中村獅童がフェルメールの作品に対しおもしろい見方をしていた。それを思い出しながら大好きな‘窓辺で水差しを持つ女’にうっとり。アメリカにあるフェルメールではこの絵に最も魅了されている。

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2013.03.06

フィラデルフィア美(6) ウェイデンの傑作と対面!

Img_0006     ボスの‘この人を見よ’(1470~85年)

Img_0005_2     ウェイデンの‘聖母と聖ヨハネと十字架上のキリスト’(1450~60年)

Img_0002_2     ファン・エイクの‘聖痕を受ける聖フランチェスコ’(1420~40年)

Img_0004_2     プッサンの‘海神ネプチューンの勝利’(1635年)

2階に展示してある15世紀から17世紀にかけて制作された作品を大急ぎでみた。必見リストに載せているものは数点だから、そう時間はかからない。不確定要素は貸出しによる不在だけ。

事前の作品情報でつかんでいるボス(1450~1516)は2点、‘東方三賢王の礼拝’はダメだったが‘この人を見よ(群衆の見世物にされたキリスト)’はみることができた。アメリカの美術館でボスがあるのはこことワシントンのナショナルギャラリーだけなので、目に力が入る。キリストの隣にいる男の残虐性に満ちた顔つきが強く印象づけられる。ウンベルト・エーコの小説‘薔薇の名前’の映画にこんな顔をした大男がでてくる。

今回大傑作があった。それはウェイデン(1399~1464)の‘聖母と聖ヨハネと十字架上のキリスト’、絵画を鑑賞しているとき画集でみるのと本物とで印象が大きくちがうことが時々ある。この絵は普通の宗教画だろうと思っていたが、その想像を3倍くらい上回る傑作だった。これまでみたウェイデンはプラドで体験した‘十字架降下’に最も感動したが、この絵も‘うゎー、これはスゴイ!’と思わず声がでた。深紅の背景が目に焼きつく見事な宗教画がこの美術館におさまっていたとは。これは一生の思い出になる。ミューズに感謝!

ファン・エイク(1390~1441)の絵はリストに入れるのをうっかり忘れていた作品なのに、目の前にひょいと現れてくれた。獲物を追っかけるハンターのような目つきをしていたから、‘俺のことも忘れないでくれよ!’と声をかけたかったのかもしれない。すぐ画集にこの絵があったことを思い出した。幸運というほかない。

プッサン(1594~1665年)は5年前メトロポリタンで遭遇した回顧展によりぐっと距離が縮まった画家なので、‘海神ネプチューンと海の女王アムピトリーテーの勝利’を夢中になってみた。これだけ多くの人物がいると目移りがするものだが、巧みに配置されているため一人々の姿や動きが順々に目に入ってくる。

よくみると中央の裸の女王を中心にして三角形がつくられ、そして宙を舞うクピドたちをつなぐと逆三角形になっている。前列で目を奪われるのが正面向きに全力で車輪を引っ張る3頭の馬。その躍動感みなぎる前足に呼応するように右の裸婦も足を大きく広げている。

フィラデルフィア美は6回で終了です。明日からはニューヨークでの美術館めぐりのことを。

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2012.04.01

もっと見たいファン・エイクの名画!

3694_2      ‘ルッカの聖母子’(1435年 フランクフルト シュテーデル美)

3693_2             ‘教会の聖母子’(1438~39年 ベルリン美)

3695_2       ‘アルノルフィーニの肖像’(1438年 ベルリン美)

3696_2       ‘ボードワン・ド・ラノワの肖像’(1436~38年 ベルリン美)

昨年11月ベルギーを旅行したとき、アントワープでの美術館めぐり(拙ブログ11/12/25)は収穫が多かった。ツキのはじまりはBSの美術番組で偶然はいってきた新美術館、MASミュージアムの情報。

この番組のお陰でルーベンスやファン・エイク、アンソールの絵などで有名なアントワープ王立美は2011年の9月から2017年の秋までの長期休館に入っており、所蔵の名画の一部がMASミュージアムに展示されていることがわかった。アントワープ王立美は一度は行ってみたい美術館だが、街の中心部からは少し離れたところにあり今回は無理かなという感じだったから、この代替展示は願ったり叶ったり。変ないい方だが、休館になったことでかえって運が向いてきた。

しかもMASには最も関心を寄せていたファン・エイクが2点とも展示されていたのだから二重の喜び。これはファン・エイク全点鑑賞にはずみがつく。残りの追っかけ画の目標はとりあえず4点。フランクフルト1点、ベルリン3点。シュテーデル美にある‘ルッカの聖母子’は王立美の聖母子と聖母の姿がそっくり。

ベルリン美蔵の‘教会の聖母子’は縦31cm、横14cmの小品。この小さな画面に教会の内部がびっくりするほど細密に描かれている。ファン・エイクの技はまったく神業的。そして、ベルリン美には肖像画が2点ある。‘アルノルフィーニ’はロンドンのナショナルギャラリーのある夫妻の絵と同じモデル。この人物は商人なので右手に書簡を持っている。一方‘ラノワ’は貴族。威厳のある顔つきで豪華な衣裳を身に着け宮廷の杖を手に持っている。

西洋美で開催される‘ベルリン国立美展’(6/13~9/17)でかすかに期待していたファン・エイクはダメだった。ファン・エイク、ボス、ブリューゲルはヨーロッパの美術館では別格扱いで大切にされているから、日本にはほとんどやってこない。新装なった東京都美に期待しているのだが、やはり無理だろうか?

アントワープ王立美関連の情報をひとつ。秋に損保ジャパン美で行われる‘アンソール展’はひょっとしてと思っていた王立美蔵のものだった!やってくれますねェー、損保ジャパン。MASでみれなかった‘陰謀’が登場するかもしれない。

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2012.03.19

もっと見たいホルバインの名画!

3647_2     ‘商人ゲオルク・ギーゼ’(1532年 ベルリン美絵画館)

3645_2     ‘クロムウェルの肖像’(1533年 ロンドン ポートレイト・ギャラリー)

3646_2     ‘市長マイヤー家の聖母子’(1528年 ドイツ ダルムシュタット宮廷美)

3644_2       ‘家族の肖像’(1528年 バーゼル美)

肖像画というと女性を描いたものが関心の8割をしめており、男性の肖像は軽くみることが多い。だが、ホルバインとレンブラントとゴヤの3人は例外でしっかりみている。

ひとりの画家の作品を7割くらいみると、追っかけのエネルギーはまだ体験のすくないほかの画家に自然と移っていく。今、大きな関心を寄せているのはホルバイン(1497~1543)。これまでみた作品は少なく、昨年11月マウリッツハイス美でお目にかかった‘ロバート・チェースマンの肖像’(拙ブログ11/12/13)や‘ジェーン・シーモアの肖像’など4点をふくめても15点ほど。

当面のターゲットはベルリンにある‘商人ゲオルク・ギーゼ’とロンドンのポートレイト・ギャラリーが所蔵する‘クロムウェルの肖像’。どちらもじっとみていると人物の個性がよく伝わってくる。商人が座っているテーブルの上にあるガラスの花瓶や後ろの壁の棚にある本などの驚くほど細密な描写をじっくりみてみたい。

ロンドンはナショナルギャラリーは何度も訪問しているのにポートレイト・ギャラリーにはまだ足を踏み入れてない。2年前手に入れた美術本でこのクロムウェルの肖像画があることを知ったので次は是非出かけようと思っている。この絵の前では言葉を失ってみているような気がする。

ホルバインはロンドンへ渡る前はバーゼルで絵を描いていたから、スイスで一番の美術館といわれているバーゼル美にはホルバインの作品が100点もある。だから、ここへはなんとしても訪問したい。とくにみたいのが‘墓の中の死せるキリスト’や‘家族の肖像’、そしてホルバインのパトロンだったボニファチウス・アマーバッハの肖像画。

また、バーゼル市長ヤコブ・マイヤーを描いた聖母子の祭壇画にも魅せられる。ヴェネツィアにあるベリーニやティツィアーノの描いた聖母子を彷彿とさせるのだから、ホルバインの技は卓越している。この画家に一歩づつ近づいていきたい。

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2012.03.15

もっと見たいウェイデン・メムリンクの名画!

3634_2

3632_2     ウェイデンの‘最後の審判’(15世紀中頃 ボーヌ施療院)

3631_2     メムリンクの‘最後の審判’(1467年 ポーランド グダニスク ボモルスキ美)

3633_2              メムリンクの‘バテシバの水浴’(1485年 シュツットガルト美)

絵画の鑑賞体験はできるだけバラエティに富んだものにしたいと常々思っているが、最近は細密描写が特徴の北方絵画に惹きこまれることが多くなった。

関心を寄せていたのはちょっと前まではファン・エイクとウェイデンの二人だけだった。ところが、昨年11月ブルージュでメムリンクの‘聖ウルスラの殉教’(拙ブログ11/12/23)や‘聖カタリナの神秘の結婚’(1/13)に遭遇し、この画家に一気に開眼した。

ウェイデン(1399~1464)は一度みてみたい絵がある。それはフランス ブルゴーニュ地方のボーヌニにある施療院に飾られてる祭壇画‘最後の審判’。この絵はだいぶ前に知ったが、そのころはまだウェイデンに開眼してなかったから、宗教画の一枚というくらいの感覚しかなかったが、今ではこの絵の前に立ったらさぞかし心が揺すぶられるだろうなとイメージするようになった。

メムリンク(1440~1494)も‘最後の審判’を描いている。でも、この祭壇画は簡単にはみられない。これを所蔵しているのはポーランドのグダニスクの美術館。グダニスクはポーランドの北部、バルト海に面する港湾都市。ブルージュで‘聖カタリナの神秘の結婚’に200%KOされたから、この‘最後の審判’にも大変魅せられる。ウェイデン同様一生の思い出になりそうな絵だから見たい度は強いが、グダニスクの街はいかんせん不安になるくらい遠い。

シュツットガルトにある‘バテシバの水浴’は心理的には以前よりすごく近くなった。レンブラントの絵ではバテシバは豊満な体で描かれているが、メムリンクのバテシバは細身で品のいい顔をしている。いつかお目にかかりたい。

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2012.03.13

もっと見たいブリューゲルの名画!

3624_2     ‘ネーデルランドの諺’(1559年 ベルリン美絵画館)

3623_2     ‘農民の婚礼の踊り’(1566年 デトロイト美)

3625_2     ‘ベツレヘムの嬰児虐殺’(1565~67年 ウィーン美術史美)

3626_2     ‘雪中の東方三博士の礼拝’(1567年 オスカー・ラインハルト・コレクション)

2週間前に放送されたBSプレミアム‘極上美の饗宴 バベルの塔’をみて、ブリューゲル(1526~1569)の絵がまた頭のなかを占めるようになった。

‘極上美の饗宴’は毎回興味深くみているが、いつも収穫が多い。この番組でおもしろかったのは実物の10倍の450インチの大画面に映し出された‘バベルの塔’。画集では塔の建設現場で働いている人物たちは細かすぎてよくみえないのにここでは画面の密度を落とさずみせてくれる。これがTVの醍醐味。

また、ジオラマ作家のつくった模型がとてもよくできていた。この作家のことはまったく知らなかったが、この世界では一番有名なのだろう。できあがった立体の‘バベルの塔’を公開することがあるのならみてみたい。

ブリューゲル作品の情報でひとつ加わったのがプラドが所蔵することになった新発見の‘聖マルティン祭のワイン’。昨年のベルギー旅行で念願の‘悪女フリート’(拙ブログ11/12/24)や‘サウルの自殺’(11/12/22)、‘鳥罠のある冬景色’(11/12/16)をみたあとにこの絵が登場したということは‘次はこの絵をみなさい’というミューズのお告げかもしれない。

これを含めて今、ブリューゲルの作品で関心が高いのは5点。見たい度の筆頭はベルリン美にある‘ネーデルランドの諺’、各場面をひとつ々目にやきつけたい。アメリカのデトロイトにある‘農民の婚礼の踊り’も一度みてみたいが、これは夢のままにおわる可能性が強い。ブリューゲルのこんないい絵がどうしてデトロイトにあるのか?、その経緯を敬愛する森洋子女史に伺ってみたいが、目利きの富豪コレクターがいたにちがいない。

ブリューゲルの油彩画は50点前後といわれているが、ウィーン美術史美はそのうち14点を所蔵している。これまで運良く12点みることができた。残るは‘ベツレヘムの嬰児虐殺’と‘嵐の海’、‘嬰児虐殺’については情報が二つあり、ロンドンの王室コレクションにも同名の絵がある。

まったく同じようにもみえるが、画面を仔細にみると一部がわずかながらちがっている。だとすると二つは別ヴァージョン。それとも、どちらかの記述がまちがっている?ウィーンで確かめたいが、この絵がいつも展示してあるかわからないのでちょっと厄介。

スイスのヴィンタートゥールにあるオスカー・ラインハルト・コレクションはBS番組のおかげでいろいろ情報が入り今では憧れの美術館。ゴッホやルノワールの絵とともにブリューゲルの‘雪中の東方三博士の礼拝’との対面を心待ちにしている。

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