2016.07.14

中宮寺の‘半跏思惟像’に思うこと!

Img_0002       国宝‘半跏思惟像’(飛鳥時代・7世紀 奈良 中宮寺)

Img ミケランジェロの‘ピエタ’(1498~99年 サン・ピエトロ大聖堂)

Img_0001     ダ・ヴィンチの‘聖アンナと聖母子’(1516年 ルーヴル美)

先週の‘美の巨人たち’に中宮寺にある国宝‘半跏思惟像’が登場した。この仏像彫刻の最高傑作が韓国からやって来た半跏思惟像と一緒に展示されていたのは翌日の10(日)まで、長年この番組を見ているがこんな閉幕寸前のタイミングで話題の作品を取り上げるのは本当に珍しい。

NHKは日曜美術館ではなくEテレで半跏思惟像にスポットを当て、この仏像が中国、韓国、日本で誕生した長い歴史をたどりそれぞれの造形上の違いを浮き彫りにしていた。これに対し美の巨人たちが多くの時間をさいていたのは中宮寺の半跏思惟像をつくった仏師たちが独自に採用した彫刻の技法、そして最後にはつくられた当時の姿を再現、なんとこの仏像は宝冠をかぶり飾り物を手や腹につけ黄金に輝いていた!

これよりはやはり見慣れた漆黒に輝く姿のほうがぐっとくる。奈良の中宮寺を訪ねそのお姿を拝見し東博でも2度もみることができた。つくづくこの仏像は美しいなと思う。まさに世界に誇れるスーパー仏像といっても過言ではない。

では、この半跏思惟像のもっている雰囲気となにか似たものを西洋美術に感じるとすればそれは一体どれか、すぐ二つのものが頭に浮かんだ。彫刻はミケランジェロ(1475~1564)の‘ピエタ’の聖母マリア、そして絵画ならダ・ヴィンチ(1452~1519)の‘聖アンナと聖母子’で中央に描かれている聖アンナ。

この2点は半跏思惟像同様、大変魅了されている。3点に感じられる愛情あふれる美しさ、その響き合いをひそかに楽しんでいる。

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2016.07.08

東博の‘ほほえみの御仏~二つの半跏思惟像~’!

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Img_0001     国宝 ‘半跏思惟像’ (飛鳥時代・7世紀 中宮寺)  

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Img_0003     ‘半跏思惟像’(三国時代・6世紀 韓国国立中央博物館)

日本と韓国にある大変美しい仏像、‘半跏思惟像’があさっての日曜まで東博で展示されている。特別展‘ほほえみの御仏~二つの半跏思惟像~’がはじまったのは先月の21日、次の日の朝でかけたので待ち時間はあまりなかった。そのあとはどうだっただろうか、展示は残り二日、展示室は相当な混雑が予想される。

仏像好きの人はだぶん足を運ばれたと思うが、中宮寺の半跏思惟像は2005年の3月に一ヶ月ちょっと同じく東博で公開された。そのときはおひとりだったが、この度はご縁がありすぎるほどある韓国の本歌と一緒におでましいただいた。

中宮寺の‘木造菩薩半跏像’は過去2度みているので、まずは韓国の‘金銅弥勒菩薩半跏思惟像’(これも韓国の国宝)のほうを時間をかけてみた。仏像は顔でも体全体でもみる位置によってその表情が変わる。正面からはしゃがんでみたが視線を下に落としすこし微笑む姿がとてもいい。金属の像だから木造ほどのなめらかな丸さはだせないが、それでも下からみあげると赤ちゃんを思わせるほど弾力のある丸顔が心をとらえて離さない。

これに対して中宮寺にある‘菩薩半跏像’は卵形の顔が特徴、目をパッチリさせたらフィギュアの浅田真央ちゃんになる。そして視線を集中させるのが頬にあてている右手の指先、この手の造形がなんといっても最高に美しい。

ここでもしゃがんでうっとりながめていると横にいた年配の女性が‘涙がでそうだわ、家にコピーした小さな仏像を飾っているが本物にやっと会えました’と感激していた。この優しいお姿をみれば誰だって心が揺すぶられる。二つの傑作仏像を一緒にみれたことは生涯の思い出になる。東博に感謝!

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2015.04.12

近代日本彫刻の傑作が登場!

Img     柴田是真の‘野菜涅槃図蒔絵盆’(1888年 ボストン美)

Img_0002     菱田春草の‘海老にさざえ’(1891年 東芸大)

Img_0003     竹内久一の‘神武天皇立像’(1890年 東芸大)

Img_0001     山本芳翠の‘西洋婦人像’(1882年 東芸大)

板橋区美に柴田是真(1807~1891)の‘果蔬蒔絵額’というすばらしい名品があり、2009年と2012年にあった回顧展で目を楽しませてくれた。東芸大美で開かれている‘ダブルインパクト 明治ニッポンの美’(4/4~5/17)には、これを上回る蒔絵盆がボストン美からやって来ている。題名はどこかで聞いたような‘野菜涅槃図’、正直これをみるためだけに出かけてもいいなと思った。是真のベスト3に入る傑作のような気がする。

東芸大が所蔵する絵画や彫刻、工芸にも目を配らないと片手落ちになる。是真が大根やかぼちゃなどを本物が目の前にあるように思わせるほどその質感を見事に写しとったのに対し、菱田春草(1874~1911)は潮の香りのするエビやさざえを生き生きと描いている。二人の卓越した描写力にはただただ感服させられる。

最後の部屋(地下1階)にとてつもなく大きい彫像が展示されている。それは一度東近美であった彫刻展でお目にかかった竹内久一(1857~1916)の‘神武天皇立像’、近代になってつくられた彫像でこれほど高さのあるものは他にみたことがない。台座まで入れると3mちかくある。天皇という存在が重きをなした明治という時代がこうした彫像をつくらせた。

久しぶりにみた作品がもうひとつあった。山本芳翠(1850~1906)の‘西洋婦人像’、この色白の婦人にぞっこん参っている。芳翠の描く女性の絵を画家の名前を伏せて日本にやって来るフランス人やイギリス人にみせたら、ほとんどの人がヨーロッパの画家が描いたとイメージするにちがいない。芳翠の技がまったく本場の画家たちと同じレベル、あるいはそれ以上であることをこの絵は証明している。

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2015.03.28

久しぶりの‘インドの仏’展!

Img  ‘法輪の礼拝’(シュンガ朝 紀元前2世紀頃 パールフット 砂岩)

Img_0001     ‘仏頭’(クシャーン朝 2世紀頃 ガンダーラ 漆喰)    

Img_0003     ‘仏坐像’(クシャーン朝 2世紀頃 ガンダーラ 片岩)

Img_0002     ‘仏立像’(グプタ朝 5世紀頃 サールナート 砂岩)

インドはこれまで2回訪問したので、インドの地図はおおよそ頭に入っている。まだ縁がないのが東インド、その中心がコルカタ、昔はカルカッタといっていた。ここにあるコルカタ・インド博物館(1814年創立)は有名な美術館であることは以前から情報として入っていた。

だから、この美術館が所蔵する仏像などで構成される‘インドの仏’展(東博 3/17~5/17)への期待値はことのほか高い。作品約90件は表慶館で公開されている。入ってすぐのところにいきなりこの美術館の至宝が現われた。

インド中部、パールフット遺跡から出土したインド仏教美術の黎明期につくられた欄楯(らんじゅん)浮彫、今回5点でており‘法輪の礼拝’はそのひとつ。ブッダの存在を表した法輪はしっかり力強く彫られている。6年前サーンチーのストゥーパの周りを囲む欄楯を熱心にみたことが思い出された。

うっとりながめていたのがガンダーラの仏像‘仏頭’、これほど美しい顔をしたブッダは2003年広島で体験した‘パキスタン・ガンダーラ&インド・マトゥラー 彫刻展’でもお目にかからなかった。また。‘仏坐像’も心を打つ傑作、噂には聞いていたがコルカタ・インド博のコレクションは一級品揃い。

最初に出迎えてくれる‘仏立像’はグプタ朝の時代サールナートでつくられたもの。静かな表情と体のラインをうつしだす無紋の衣が目に焼きついた。ブッダの慈悲の心を感ぜずにはいられない。

今月は以前ビデオ収録した‘ブッダ最期の旅’(案内人五木寛之 2007年 BSプレミアム)をみてブッダの物語に深く傾倒している。そして、岩波文庫の‘ブッダ最後の旅’を購入した。だから、この展覧会では一点々敏感に反応する。まさに脳が本気になっている。

ブッダに関心がある方のためにひとつ情報を、Eテレの‘100分de名著’では4/1(水)から‘ブッダ最後のことば’(4回 10:00~10:25)がはじまる。‘般若心経’もよくできていたから、これも期待できそう。

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2015.03.02

木喰の愛らしい微笑仏!

Img_0003     ‘地蔵菩薩’(1801年 日本民藝館)

Img_0004     ‘薬師如来’(1805年 新潟・柏崎市)

Img_0001     ‘如意輪観音菩薩’(1804年 長岡市・寶生寺)

Img_0002     ‘不動明王’(1797年 山口市・善門寺)

円空(1632~1695)と木喰(1718~1810)の木彫仏を一緒にならべる展覧会は2008年東博であった‘対決 巨匠たちの日本美術’でも体験した。このとき木喰は14体でてきた。今横浜のそごうに集結しているのは114体。

はじめて木喰の仏像をみたのは日本民藝館。ここにある微笑仏をみていっぺんに木喰に嵌った。どれもいいが最もお気に入っているのが‘地蔵菩薩’、頬っぺたをまるくふくらまして満面の笑みをうかべる姿に200%魅了されている。こんなに嬉しそうな顔をした仏さんがほかにあっただろうか。

‘薬師如来’さんにもニコニコしてもらった。愛嬌のある団子鼻に細い目と厚い唇口、このやさしいお顔をみたら明日からの人生が楽しくなる。生きる勇気をもらえる仏像に会えるのは幸せなこと。

初見のものが沢山あったが、思わず足がとまったのは頬に手をあててすましたポーズをとる‘如意輪観音菩薩’、忘れられない仏像になりそう。大きな収穫だった。

‘不動明王’は円空も木喰もつくっている。木喰のものは5体、いずれも火焔光背があり、その忿怒の形相は迫力満点。そのなかでは山口市のお寺からやって来たものがいい。体型は赤ちゃんのようだが、目だけはぎょろっとして真剣に怒っている。‘悪いことをしたら許さないからね’、といわれている感じ。

円空、木喰にまた惚れ直した。ミューズに感謝!

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2015.03.01

心打たれる‘円空・木喰展’! 円空

Img_0001     ‘観音菩薩’(1682年以降 板葺町 阿弥陀堂)

Img_0003     ‘大黒天’(1677年頃 岐阜市 円空美)

Img     ‘不動明王’(1686年頃 岐阜・関市)

Img_0004     ‘宇賀神’(1686年頃 愛知・岡崎市)

横浜そごうで開催中の‘円空・木喰展’(2/7~3/22)を楽しんだ。円空(1632~1695)はそごうと縁が深い。10年前にも円空展を行っており、このときは155体が展示された。今回は木喰(1718~1810)とのコラボ、全部で81体でている。

円空をまとまった形でみるのは3度目なので円空仏には目がだいぶ慣れてきた。やさしい顔をした仏から相当怖い不動明王までいろいろでてくる。微笑みの円空仏で最も心を打たれたのが‘観音菩薩’、説明文に観音像のなかでこれが表情の優しさでは一番と書いてあったが、確かにそのとおりかもしれない。

初見で圧倒されたのが素朴だがボリューム感あふれる‘大黒天’さん、こういう木彫をみると俄然ノミをもって山に入り似たような木を探したくなる。彫られているのは首から上だけだから頑張って手を動かすと少しは形になりそう。たぶん10分の一くらいだろうが。

今回の収穫は荒々しい彫りのあとが心にぐさっとささる‘不動明王’と‘宇賀神’、鼻がデカくて厚い唇をした‘不動明王’をじっとながめているとピカソやモデイリアーニが心惹かれたアフリカの仮面のイメージが重なってくる。

2年前、東博であった回顧展でこうした激しい感情を表現した円空仏に開眼した。野性味にあふれ怖い仏にも円空の魂が表出されている。息を吞んでみていた。

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2015.01.23

みちのくの仏像が東博に集結!

Img_0001     国宝‘薬師如来坐像’(平安時代9世紀 福島・勝常寺)

Img_0002     ‘薬師如来坐像’(重文 平安時代862年 岩手・黒石寺)     

Img_0003     ‘十一面観音菩薩立像’(重文 14世紀 給分浜観音堂)

Img     ‘聖観音菩薩立像’(重文 平安時代11世紀 岩手・天台寺)

東博で行われている‘みちのくの仏像’展(1/14~4/5)をみてきた。会場は本館1階の特別5室、この場所のイメージがちがっていた。大々的な仏像展を想像してっきり平成館が舞台だと思っていた。

現在休館中の平成館ではなく5室ならみれる仏像の数もぐっと少なくなる。全部で19点。こういうときはすぐ頭を切り替える。いい仏像が東北からやって来ていることはチラシでわかっているからみるぞモードになるのも早い。お目当てはすでに国宝の‘薬師如来坐像と両脇侍立像’と決めてある。

長年国宝ウオッチャーをしているから、この仏像が福島県の勝常寺にあることは以前から知っている。でも、東北をクルマで走る計画はポンポンとは進まないので、本物をみるには大きなエネルギーがいる。だから、このようにわざわざおでましいただけると大変ありがたい。じっくり時間をかけてみた。

螺髪の部分の白が顔から下を彩色された黒と金色と重厚なコントラストをなし、この仏像に強烈な存在感を与えている。やはり本物の仏像には圧倒される。東北にあるお宝はなかなかみれないから喜びも大きい。

岩手県奥州市の黒石寺にある‘薬師如来坐像’も心をとらえて離さない。目じりをあげた厳しい表情からは仏様の偉さがひしひしと伝わってくる感じ。この薬師如来坐像が男性的なのに対し、三大薬師といわれるもうひとつの薬師如来(宮城・双林寺)は顔がぽっちゃりと丸く女性そのもの。3つ一緒にみれたのは幸運だった。

今回大きな仏像に出くわした。奈良や京都の寺で仏像をみているような気分にさせてくれたのが高さが3メートル近くもある‘十一面観音菩薩立像’、あまりの大きさにあっけにとられてみていた。牡鹿半島の給分浜の高台にまつられているそうだ。

最初のコーナーにあった‘聖観音菩薩立像’も忘れられない仏像、ノミのあとがそのまま残る鉈彫の仏像をみた回数は少ないので敏感に反応、目をこらして体の隅から隅までみていた。これは貴重な出会い。

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2013.05.05

予想どおりにお宝の山 国宝‘大神社展’!

Img_0004     国宝‘橘蒔絵手箱’(南北朝時代 14世紀 和歌山・熊野速玉大社)

Img  国宝‘沃懸地螺鈿金銅装神輿’(平安時代 12世紀 和歌山・鞆淵八幡神社)

Img_0001     国宝‘女神坐像’(平安時代 9世紀 京都・東寺)

Img_0002     国宝‘家津美御子大神坐像’(平安時代 9~10世紀 熊野速玉大社)

東博で今開かれている‘国宝 大神社展’(4/9~6/2)は予想どおりに国宝が続々登場する。国宝の追っかけをライフワークにしているから、こういう展覧会はじつに有難い。お蔭でリストに載せていた国宝のかなりの数に鑑賞済みマークがついた。

一度訪問したことのある熊野速玉大社、宝物館でお宝をみたが、それらはほんの一部。国宝の数は多く、全部みようとすると一生かかる感じ。蒔絵手箱は過去にみたことのある‘桐蒔絵’と初見の‘橘蒔絵’、蒔絵を楽しくみるにはひとつコツがある。それは蒔絵の前ではつま先立ちをしたりして視線を上下左右に動かすこと。そうすると光に反射した螺鈿のうすピンクや緑の輝きに酔いしれることができる。図録にでている‘唐花唐草蒔絵’もみたかったが、これは九博のみの展示。まだまだ追っかけは続く。

今回一番の収穫は鞆淵八幡神社にある‘沃懸地螺鈿金銅装神輿’がみれたこと。こういうお宝神輿をみる機会は滅多にないから、目をかっと開きぐるぐるまわりながらみた。装飾で気を惹くのがいくつもある円い鏡板。鏡をこれほど興味深くみたのははじめてかもしれない。

神像はこれまで2回くらい展覧会でお目にかかった。そのなかで強く印象に残っているのが今回も出品されている松尾大社蔵の‘女神坐像’。その長くのびたおかっぱ髪が目に焼きついている。再会して目が寄っていくのはやはり黒髪。これに対し男神はさらさらとながめて終わり。

女神像のほうに目がいくなかで大変惹きつけられたのが東寺からお出ましいただいた‘女神坐像’。みごたえのある大きな坐像。こういうものが東寺にあったことをすっかり忘れていたが、その魅力は松尾大社のものと勝るとも劣らない。図録にはもう1点、熊野速玉大社にある‘熊野夫須美大神坐像’(九博展示)が載っている。どうやら女神像はこの3点がベスト3のような気がする。

男神像は‘家津美御子大神坐像’が群をぬいていい。造形的にみると顔は目も鼻も大きく男っぽいのに下の足の部分がこじんまりとしておりやさしい感じ。そして、横からみると奥行きもあまりない。

展覧会の会期は前期が明日5/6までで、後期は5/8~6/2。待望の‘北野天神縁起絵巻’が後期に登場するのでもう一回楽しむつもり。

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2013.03.15

仏像力を全身で感じる円空仏!

Img_0001_2     ‘両面宿儺坐像’(江戸時代17世紀 千光寺)

Img_0003_2     ‘金剛力士(仁王)立像 吽形’(17世紀 千光寺)

Img_0004_2     ‘迦楼羅(烏天狗)立像’(17世紀 千光寺)

Img_0002_2     ‘千手観音菩薩立像’(17世紀 清峰寺)

現在東博で開催中の‘円空展’(1/12~4/7)にでている円空仏は飛騨の千光寺にあるものが中心、その数100体、チラシに使われているのは美術の本によく載っている‘両面宿儺坐像’(りょうめんすくなざぞう)、これが高山市に出向かなくてみれるのだから有難い話、開幕してから2か月経っての鑑賞となったが存分に楽しんだ。

会場は本館正面の部屋。この1室に大きい円空仏から小さいものまでびっしり並んでいる。全部で100体あるからじっくりみると結構時間がかかる。長いことみていたのはいつかこの目でと願っていた‘両面宿儺座像’、この怪物は2つの顔をもっている。こういう顔が複数ある仏像をみるのははじめてではないが、その造形にはちょっと戸惑う。

右にある顔がとても不安定、胴体から切り離された顔がぽんと置かれた感じで、横に揺らすところっと下に落ちてきそう。そして、もう一つの違和感が肩のところにみえる手、右肩の後ろにある手は人差し指が目に入ってくるからすぐ気づく。でも左肩の手はぼやっとみていると見逃す。

この手はぱっとみると右の顔の怪物の手にみえる。だから、2つの顔と4本の手を持つ怪物が描かれているというより、2人の怪物が体を寄せ合ってるようにみえる。じっとみてしまうのは眉毛や目じりのところに刻まれた力強い線。また、厚い唇や大きな鼻にも目がいく。この怪物に会ったことは生涯の思い出になりそう。

吽形は部屋の中央にどーんと飾られている。地面から生えた立ち木が円空の即興パフォーマンスで金剛力士像に変身。頭がやけにデカく未完成の像という感じだが、木の形をそのまま生かした造形がかえって強い存在感を与えている。こういう仏像ははじめて体験したのでぐるぐる回ってみた。

烏天狗の立像も一度みたら忘れられない造形力を発揮している。これは正面よりは横からみるほうがいい。ノミを勢いよくふるい、対象の形をざざざっと彫りだす円空の造形感覚はとても前衛的で重厚。8年前横浜そごうであった回顧展(拙ブログ05/6/7)のときはこういう円空仏はなかったからすごく新鮮に感じられる。

日曜美術館でとりあげられた‘千手観音菩薩立像’は期待の一体。この像は全国でも数体しかないそうだから、貴重な体験。体の横からでた千手は見慣れているが観音の微笑む顔は円空仏にしかないもの。この慈愛にみちた微笑みをこの先もずっとながめていたい。

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2011.08.13

サプライズ200%の‘空海と密教美術展’! その一

2950_2        国宝‘降三世明王立像’(平安時代 839年 東寺)

2949_2        国宝‘帝釈天騎象像’(平安時代 839年 東寺)

2951_2     国宝‘蓮華虚空菩薩坐像’(平安時代 9世紀 神護寺)

2952_2     国宝‘薬師如来坐像’(平安時代 9世紀 大阪・獅子窟寺)

現在、東博で行われている大人気の‘空海と密教美術展’(7/20~9/25)をみてきた。昨日金曜日の朝10時半に入館したので外で待つことはなかったが、盆休み中はそれこそ9時半の開館時間から長い行列ができるかもしれない。

国宝の追っかけをライフワークにしているから、この展覧会のように国宝がドドドっと揃う展覧会は目に気合が入る。が、今回はチラシに載っている曼荼羅図や仏像、書をすでにみているため、体は前のめり状態でもない。だから、久しぶりに対面する東寺の講堂にある立体曼荼羅8点をたっぷり楽しもうという作戦。

そういう狙いなのだから、8体をぐるっとまわりながらみれる最後の特別展示コーナーから先にみればよかったが、レイアウトの状況がつかめないから最初の書からのろのろ歩きでスタートした。まずは仏像の感想から。

京都へ行かなくて東寺の講堂の中に身をおいているような気分にさせてくれるのだから、展覧会というのは有難い。菩薩2体、明王2体、四天王2体、そして梵天、帝釈天。最も時間をかけてみたのが‘降三世明王立像’と‘帝釈天騎象像’。‘降三世’は忿怒の相の顔が4つ、手が左右合わせて8本。この異相の手は躍動感に満ちている。

そして、とても惹きつけられるのが帝釈天。これほどイケメンの帝釈天はほかに見たことがない。また、帝釈天が乗っている象も安定感があり可愛い。この隣に展示してある‘大威徳明王騎牛像’は顔、手、足が6づくし。6本の足をもつ大威徳はほかに見た記憶がない。だから、足ばかりみていた。

大収穫だったのが京都の神護寺にある‘五大虚空蔵菩薩坐像’の2体。この5体は追っかけ仏像のひとつ。以前現地を訪問したとき、これは事前に予約しないとみれないことがわかった。で、いつか再訪しようと思っていた。その坐像が目の前にある!この情報はまったくなかったから、もう天にも昇る気分。ふっくらした赤い顔に放心状態。

もう一点、切れ長の目が印象深い‘薬師如来坐像’の前にも長くいた。普通なら獅子窟寺まででかけるインセンティブは働かないから、本当に嬉しくなる。

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