2018.02.25

名宝揃いの‘仁和寺と御室派のみほとけ’展!

Img_0004     国宝‘千手観音菩薩坐像’(奈良時代 8世紀 葛井寺)

Img     国宝‘薬師如来坐像’(平安時代 1103年 仁和寺)

Img_0001     ‘馬頭観音菩薩坐像’(重文 鎌倉時代 13世紀 中山寺)

Img_0002     国宝‘宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱’(平安時代 10世紀 仁和寺)

出動が遅くなったが現在東博で行われている‘仁和寺と御室派のみほとけ’(1/16~3/11)をみてきた。事前に得た情報から今回のお目当ては2/14から展示されている大阪の葛井寺(ふじいでら)にある国宝の‘千手観音菩薩坐像’一本にしぼっていた。

この最古の千手観音にはじめて会ったのは1995年奈良博で開催された‘日本仏教美術名宝展’、仏像のお宝と数々遭遇し一生忘れられない展覧会になっているが、特別大きな感銘を受けたのが葛井寺の千手観音だった。このクラスの仏像に会えるのは生涯に一度くらいと思っていたのに、運よくまたみることができた。ミューズに感謝!

いろいろある仏像のなかで千手観音の魅力は突出している。鳥の羽のようにもみえる左右から出ている手の束、数えきれないほどの手がびっしり密集するこのボリューム感に目が釘づけになる。こんな圧の強い千手観音はほかにみたことがない。こういうのをみると仏像をまた追っかけたくなる。

仁和寺にある仏像や仏画などのお宝はこれまで現地に足を運んだり展覧会でだいたいみているが、ひとつ残っていたのが檀象の国宝‘薬師如来坐像’、丹念に彫られた10cmたらずの薬師如来、国宝館で見る機会がなかったので幸運なめぐり合わせ。係員の催促をかいくぐって粘り強くみていた。

ほかの寺からも仏像がたくさん集結していたが、もっとも魅了されたのは福井の中山寺にある‘馬頭観音菩薩坐像’、怖い顔をした馬頭観音の迫力に圧倒されっぱなし。これまでみたもののなかでは最上位のランクに即登録した。

平安時代につくられた‘宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱’は国宝展などが開催されるときはよく出品される定番の蒔絵。リズミカルに描かれた宝相華唐草や迦陵頻伽の文様にいつも夢中にさせられる。

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2017.09.29

慶派の傑作 勢揃い!

Img     康慶の国宝‘伝行賀坐像’(1189年 奈良・興福寺)

Img_0002  国宝‘持国天立像(左) 多聞天立像(右)’(13世紀 奈良・興福寺)

Img_0001     ‘観音菩薩立像’(重文 12~13世紀 神奈川・満願寺)

Img_0003     康弁の国宝‘龍燈鬼立像’(1215年 奈良・興福寺)

運慶の父である康慶の仏像で最も有名なのは‘法相六祖坐像’、これは興福寺南円堂にあるが、ここに入ったかどうか記憶があやふや。南円堂は5月興福寺の前を通ったときたしか工事中という案内がでていたような気がする。北円堂同様、いつも入れるわけではないのでこの祖師像にはお目にかかってないかもしれない。

いずれの像も今僧侶と対面しているようなリアルさがある。お気に入りはぎょろっとした目が印象的な立膝の‘伝行賀坐像’とえらがはり強面の面構えについひいてしまう‘伝玄賓坐像’。運慶だけでなく父親だってこんなスゴイ彫像を生み出している。

同じく南円堂にある国宝の‘四天王立像’は誰の作かはっきりとわかってないが、運慶作とも考えられているのが手の位置により体全体に動きがでている持国天像と多聞天像。顔についた分厚い肉をみて水戸黄門役で有名な東野英治郎を思い出した。

満願寺にある‘観音菩薩立像’は大きなまゆ毛とはっきりした目に強い圧を感じ、しばらくみていた。これと隣にある‘地蔵菩薩立像’は運慶派の仏師がつくったとされる。運慶の‘阿弥陀如来坐像と両脇侍立像’とくらべると顔が少しきつい感じ。

興福寺の国宝館を訪ねるたびに強く目に刻まれるのが運慶の三男、康弁が手がけた‘龍燈鬼立像’ともうひとつの邪鬼像‘天燈鬼立像’。三角パンツをはいた龍燈鬼は燈籠を頭の上にのせがっと仁王立ち。短足で太い腿、龍がまきつく首はないにひとしく大きな顔、なんともユーモラスな邪鬼像、愛すべき2体に乾杯!

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2017.09.28

最高の‘運慶展’! 静の運慶

Img_0004     国宝‘大日如来坐像’(1176年 奈良・円成寺)

Img     ‘地蔵菩薩坐像’(重文 12世紀 京都・六波羅蜜寺)

Img_0003     ‘聖観音菩薩立像’(重文 1201年 愛知・瀧山寺)

Img_0001     国宝‘無著菩薩立像’(1212年 奈良・興福寺)

画家でも彫刻家でもその名前をきくとすぐイメージする作品がある。運慶の場合、すぐ思い浮かべるのは南大門の仁王像と円成寺の‘大日如来坐像’。今年は5月奈良に行ったので久しぶりに巨大な‘金剛力士立像 阿形 吽形’に会った。修学旅行でみて以来4度目の対面だった。

一方、運慶のでデビュー作‘大日如来坐像’については、ずいぶん昔クルマで奈良観光をしたとき円成寺にも寄った。そして、2011年金沢文庫であった運慶展で再会した。この仏像で魅せられるのは目に心地いい張りのある頬。そしてパワーの放出を感じさせる胸元でむすんだ智拳印(ちけんいん)。今回はまず、この仏像との対面から運慶ワールドがはじまる。体がきりりと引き締まるような仏像である。

京都の六波羅蜜寺にある‘地蔵菩薩坐像’の見どころは衣文の流動的な彫りが幾重にも重なっているところ。地蔵さんの顔はいかにもまじめなお坊さんという感じ。また頭もよさそう。一度出かけた六波羅蜜寺と2008年にあった東博の展覧会でもお目にかかった。

仏さんの彫像で収穫だったのが愛知の瀧山寺が所蔵する‘聖観音菩薩立像’。名古屋に住んでいたときは仕事が忙しくて寺巡りをする余裕がなかったので、聖観音菩薩はかすりもしなかった。運慶の仏像のなかでは思わず見惚れてしまうほどの美しさ。この寺にはもう2体あるそうだから、クルマを走らせとけばよかった。

興福寺の北円堂に飾られている‘無著菩薩立像’、今回ライトアップの効果によってその姿を頭のてっぺんから足の先までじっくりみることができた。前にも書いたが、頭に野球帽をかぶせれば完璧にヤンキースのマー君になる。本当によく似ている。

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2017.09.27

最高の‘運慶展’! 動の運慶

Img_0002_2     国宝‘毘沙門天立像’(1186年 静岡・願成就院)

Img_0003_2     ‘不動明王立像’(重文 1189年 神奈川・浄楽寺)

Img_2      国宝‘恵光童子立像’(1197年 和歌山・金剛峯寺)

Img_0004     l国宝‘世親菩薩立像’(1212年 奈良・興福寺)

春の‘快慶展’(奈良博)に続き、秋の日本美術の展覧会の目玉‘運慶展’が東博で昨日からはじまった。会期は11/26まで。早速出かけてきた。2日目だからまだ混んでないと思ったが、10時半に入ったら予想以上に観客が集まっていた。この土日は大勢の人が足を運びそう。

過去運慶(?~1223)の彫刻をまとまったかたちでみたのは3回くらいあるが、一度にお目にかかれるのはせいぜい片手くらい。今回はそれを大きく上回る22体。最高の‘運慶展’といっていい。そのなかで一番の収穫は静岡の願成就院にある国宝‘毘沙門天立像’、これまで縁がなかったがやっとみれた。目の鋭さもさることながら弾力性のある丸ぼったい頬がこれほど主張する毘沙門天像はみたことがない。

一度みたことのある‘不動明王立像’は森の石松というか片目のジャックというか右目は半開き。じつに個性的な不動明王、背景の激しく燃え上がる火炎が明王の怒りをすさまじさを象徴している。不動明王の感情を人間臭くリアルに表現する運慶の力量に圧倒される。

どの彫刻も光をいろんな角度からあて細部までよくみえるようにしてあるが、その演出が最も効果的に思えたのが‘八大童子立像’、かつて京博で開催された‘空海展’で現存する6体と対面したが、そのときのイメージがだいぶ消えていたので、このライトアップのおかげで一体々じっくりみることができた。一番ぐっときたのは眉間にしわを寄せ思いつめたように前方をながめる‘恵光童子’。

兄の無著の人気が高すぎて世親の存在感はどうしても薄くなる。これは顔の白い部分が無著にくらべて少ないことも関係している。顔の表情はきつく意志は強そう。‘静の無著’に対して‘動の世親’という感じ。

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2017.08.14

見ごたえのある‘タイ展’!

Img_0001    ‘ナーガ上の仏陀坐像’(12世紀末~13世紀)

Img     ‘仏陀遊行像’(14~15世紀)

Img_0003     ‘ラーマ2世王作の大扉’(19世紀)

Img_0002     ‘虎や猪などが彫られ下方部分’

タイのバンコクは仕事で2回訪問したが、休みの日を利用して観光として出かけたのは定番の寺院などが主でバンコク国立博物館に寄る時間はなかった。ここでタイ仏教美術の神髄がみれることはわかっているから、このたび東博の特別展‘タイ~仏の国の輝き~’(7/4~8/27)にその傑作の数々がやって来てくれたことは本当に有り難い。

入っていきなりチラシに載っている‘ナーガ上の仏陀坐像’が現れた。すぐメインディッシュがでてくるの!という感じ。この蛇が瞑想中の仏陀を雨風から守るというモチーフはインドやアンコールワットの仏像展で目に焼きついているから、食いつきはすごくいい。これはタイの国宝であることは間違いない。声を失ってみていた。

スコータイ時代につくられた‘仏陀遊行像’も大きな収穫、腰が少しS字に曲がったやわらかい仏像の足元をみるとかかとが上がりまさに歩いている姿。こういうタイプの仏像ははじめてみたので2回ぐるぐる回りした。

そして、最後に飾ってある現在のバンコク王朝の仏教美術にサプライズが待っていた。それは高さが5.6mもある大きな扉。これは木製で金が張られており、表面に植物や動物がびっしり彫られている。ここだけは写真撮影がOK、そして解説パネルにどの部分にどの動物がいるかが示されている。

登場する動物で下方にいるのが蛙、蛇、亀、鹿、猪、虎など、ほかのところを単眼鏡を使ってじっくりみると猿や小鳥、蜘蛛や蝶、栗鼠、蜥蜴などもみつかる。

バンコクへ行ったのは25年前のこと、今は道路の交通渋滞は解消されているだろうか、この展覧会をみてまた‘微笑みの国’を旅行してみたくなった。

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2017.04.25

久しぶりの‘阿形・吽形’!

Img_0002    観光客で混雑する東大寺・南大門

Img_0003     国宝‘金剛力士立像 吽形’(1203年)

Img_0001     国宝‘東大寺法華堂日光仏立像’(8世紀中頃)

Img     国宝‘誕生釈迦仏立像’(8世紀中頃)

奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)を楽しんだ後、長らく見ていない南大門の‘金剛力士立像 阿形・吽形’へ行くことにした。奈良博までの道順はだいたいわかっているが、そこから先は博物館の案内でもらった‘奈良公園ウォークマップ’をみながら進んだ。

予定では南大門をみてそのまま大仏殿まで進み、そのあと5年前にオープンした東大寺ミュージアムに寄ることにしていた。だが、修学旅行の生徒たちと外国人観光客があまりに多いので大仏はやめて‘阿形・吽形’だけにし、南大門のすぐ近くにあるミュージアムへ入った。

ミュージアムの観覧料金は500円。これは中に展示されているものは国宝がずらずらと続くのでお得感がある。前に三月堂でみたのがいつだったか思い出せないほど長い時が流れたのが‘日光・月光仏立像’、顔のふっくらしたこの塑造の仏像の特徴は顔が白いこと。白く光るのは雲母の入った土で仕上げられているため。

この前にあったのがお馴染みの‘誕生釈迦仏立像’、美術品との付き合いが長くなると釈迦や仏教の話がだんだん頭のなかに入ってくる。この誕生仏のおかげで釈迦は生まれてすぐ歩いたという並みの人間とは違う特別な力をもって生まれたことを知る。さらにスゴイのが赤ん坊なのに難しい言葉もしゃべれる。7歩進んで、右手は天、左手は地を指し、‘天上天下唯我独尊’(てんじょうてんげゆいがどくそん)といったという。こりゃ参った!

修学旅行があるのはこの時期、だから、駐車場には大型バスが何台も並んでいる。京都へ近鉄で帰るとき隣の席にいた中学生は佐賀市からやって来たという。その日京都に着きまず奈良にでかけそのあと2日かけて京都の名所観光をするという。楽しくて気持ちがずっとハイになっていた修学旅行のことをかすかに思い出した。

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2017.04.23

奈良博の‘快慶展’も大盛況!

Img_0003     ‘地蔵菩薩立像’(重文 鎌倉時代13世紀 東大寺)

Img_0001     ‘孔雀明王坐像’(重文 1200年 金剛峯寺)

Img_0002     ‘不動明王坐像’(重文 1203年 醍醐寺)

Img     ‘釈迦如来立像’(13世紀 キンベル美)

京都の美術館へ行くときは奈良まで足をのばすことが多い。この度は嬉しいことに奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)が開催中、ホテルのランチビュフェでたらふく食べたあと近鉄の快速に乗り込んだ。

久しぶりの奈良だったので、奈良博までは近鉄奈良駅からすぐ到着すると勘違い。イメージの倍近く15分かかった。途中、大勢の外国人観光客が鹿にせんべいを食べさせていた。以前はこれほど多くの外国人はみかけなかった。京都もそうだが、ここも人気の観光地だからいっぱい外国人がいる。

運慶とともに鎌倉彫刻を代表する仏師快慶(?~1227以前)、その仏像をまとまった形でみるのは2回目。前回は同じ奈良博で行われた運慶との合同展覧会(1994年)、作品の数は20点ほど。今回は全部で36点、そのうちアメリカの3つの美術館から3点里帰りしている。

快慶の仏像でいつも熱心にみているのは目、目をむいて怒りの表情をみせる不動明王は除くとたいていは切れ長のきりっとした目をしている。東大寺にある‘地蔵菩薩立像’はお気に入りのひとつ。この菩薩より目の開きが少し大きくその分目線が鋭いのが‘孔雀明王坐像’、顔のふくらみと厳しい眼光が圧倒的な存在感を生み出している。これをみるのは2004年の‘空海と高野山’(京博)以来、息を呑んでみていた。

最後の展示コーナーに並んでいた立像に思わず足がとまるものがあった。アメリカのテキサス州にあるキンベル美からお出ましいただいた黄金の‘釈迦如来立像’、金泥のコンディションが良いのでついつい見とれてしまう。衣文の流麗な線は慈愛あふれる釈迦如来の美しさを引き立てている。

彫刻好きの隣の方も満足げな顔、快慶は兵庫県の浄土寺にある国宝‘阿弥陀如来像’もクルマで見に行ったのでこの回顧展をもって済みマークをつけられる。ミューズに感謝!

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2016.07.14

中宮寺の‘半跏思惟像’に思うこと!

Img_0002       国宝‘半跏思惟像’(飛鳥時代・7世紀 奈良 中宮寺)

Img ミケランジェロの‘ピエタ’(1498~99年 サン・ピエトロ大聖堂)

Img_0001     ダ・ヴィンチの‘聖アンナと聖母子’(1516年 ルーヴル美)

先週の‘美の巨人たち’に中宮寺にある国宝‘半跏思惟像’が登場した。この仏像彫刻の最高傑作が韓国からやって来た半跏思惟像と一緒に展示されていたのは翌日の10(日)まで、長年この番組を見ているがこんな閉幕寸前のタイミングで話題の作品を取り上げるのは本当に珍しい。

NHKは日曜美術館ではなくEテレで半跏思惟像にスポットを当て、この仏像が中国、韓国、日本で誕生した長い歴史をたどりそれぞれの造形上の違いを浮き彫りにしていた。これに対し美の巨人たちが多くの時間をさいていたのは中宮寺の半跏思惟像をつくった仏師たちが独自に採用した彫刻の技法、そして最後にはつくられた当時の姿を再現、なんとこの仏像は宝冠をかぶり飾り物を手や腹につけ黄金に輝いていた!

これよりはやはり見慣れた漆黒に輝く姿のほうがぐっとくる。奈良の中宮寺を訪ねそのお姿を拝見し東博でも2度もみることができた。つくづくこの仏像は美しいなと思う。まさに世界に誇れるスーパー仏像といっても過言ではない。

では、この半跏思惟像のもっている雰囲気となにか似たものを西洋美術に感じるとすればそれは一体どれか、すぐ二つのものが頭に浮かんだ。彫刻はミケランジェロ(1475~1564)の‘ピエタ’の聖母マリア、そして絵画ならダ・ヴィンチ(1452~1519)の‘聖アンナと聖母子’で中央に描かれている聖アンナ。

この2点は半跏思惟像同様、大変魅了されている。3点に感じられる愛情あふれる美しさ、その響き合いをひそかに楽しんでいる。

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2016.07.08

東博の‘ほほえみの御仏~二つの半跏思惟像~’!

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Img_0001     国宝 ‘半跏思惟像’ (飛鳥時代・7世紀 中宮寺)  

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Img_0003     ‘半跏思惟像’(三国時代・6世紀 韓国国立中央博物館)

日本と韓国にある大変美しい仏像、‘半跏思惟像’があさっての日曜まで東博で展示されている。特別展‘ほほえみの御仏~二つの半跏思惟像~’がはじまったのは先月の21日、次の日の朝でかけたので待ち時間はあまりなかった。そのあとはどうだっただろうか、展示は残り二日、展示室は相当な混雑が予想される。

仏像好きの人はだぶん足を運ばれたと思うが、中宮寺の半跏思惟像は2005年の3月に一ヶ月ちょっと同じく東博で公開された。そのときはおひとりだったが、この度はご縁がありすぎるほどある韓国の本歌と一緒におでましいただいた。

中宮寺の‘木造菩薩半跏像’は過去2度みているので、まずは韓国の‘金銅弥勒菩薩半跏思惟像’(これも韓国の国宝)のほうを時間をかけてみた。仏像は顔でも体全体でもみる位置によってその表情が変わる。正面からはしゃがんでみたが視線を下に落としすこし微笑む姿がとてもいい。金属の像だから木造ほどのなめらかな丸さはだせないが、それでも下からみあげると赤ちゃんを思わせるほど弾力のある丸顔が心をとらえて離さない。

これに対して中宮寺にある‘菩薩半跏像’は卵形の顔が特徴、目をパッチリさせたらフィギュアの浅田真央ちゃんになる。そして視線を集中させるのが頬にあてている右手の指先、この手の造形がなんといっても最高に美しい。

ここでもしゃがんでうっとりながめていると横にいた年配の女性が‘涙がでそうだわ、家にコピーした小さな仏像を飾っているが本物にやっと会えました’と感激していた。この優しいお姿をみれば誰だって心が揺すぶられる。二つの傑作仏像を一緒にみれたことは生涯の思い出になる。東博に感謝!

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2015.04.12

近代日本彫刻の傑作が登場!

Img     柴田是真の‘野菜涅槃図蒔絵盆’(1888年 ボストン美)

Img_0002     菱田春草の‘海老にさざえ’(1891年 東芸大)

Img_0003     竹内久一の‘神武天皇立像’(1890年 東芸大)

Img_0001     山本芳翠の‘西洋婦人像’(1882年 東芸大)

板橋区美に柴田是真(1807~1891)の‘果蔬蒔絵額’というすばらしい名品があり、2009年と2012年にあった回顧展で目を楽しませてくれた。東芸大美で開かれている‘ダブルインパクト 明治ニッポンの美’(4/4~5/17)には、これを上回る蒔絵盆がボストン美からやって来ている。題名はどこかで聞いたような‘野菜涅槃図’、正直これをみるためだけに出かけてもいいなと思った。是真のベスト3に入る傑作のような気がする。

東芸大が所蔵する絵画や彫刻、工芸にも目を配らないと片手落ちになる。是真が大根やかぼちゃなどを本物が目の前にあるように思わせるほどその質感を見事に写しとったのに対し、菱田春草(1874~1911)は潮の香りのするエビやさざえを生き生きと描いている。二人の卓越した描写力にはただただ感服させられる。

最後の部屋(地下1階)にとてつもなく大きい彫像が展示されている。それは一度東近美であった彫刻展でお目にかかった竹内久一(1857~1916)の‘神武天皇立像’、近代になってつくられた彫像でこれほど高さのあるものは他にみたことがない。台座まで入れると3mちかくある。天皇という存在が重きをなした明治という時代がこうした彫像をつくらせた。

久しぶりにみた作品がもうひとつあった。山本芳翠(1850~1906)の‘西洋婦人像’、この色白の婦人にぞっこん参っている。芳翠の描く女性の絵を画家の名前を伏せて日本にやって来るフランス人やイギリス人にみせたら、ほとんどの人がヨーロッパの画家が描いたとイメージするにちがいない。芳翠の技がまったく本場の画家たちと同じレベル、あるいはそれ以上であることをこの絵は証明している。

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