2017.08.14

見ごたえのある‘タイ展’!

Img_0001    ‘ナーガ上の仏陀坐像’(12世紀末~13世紀)

Img     ‘仏陀遊行像’(14~15世紀)

Img_0003     ‘ラーマ2世王作の大扉’(19世紀)

Img_0002     ‘虎や猪などが彫られ下方部分’

タイのバンコクは仕事で2回訪問したが、休みの日を利用して観光として出かけたのは定番の寺院などが主でバンコク国立博物館に寄る時間はなかった。ここでタイ仏教美術の神髄がみれることはわかっているから、このたび東博の特別展‘タイ~仏の国の輝き~’(7/4~8/27)にその傑作の数々がやって来てくれたことは本当に有り難い。

入っていきなりチラシに載っている‘ナーガ上の仏陀坐像’が現れた。すぐメインディッシュがでてくるの!という感じ。この蛇が瞑想中の仏陀を雨風から守るというモチーフはインドやアンコールワットの仏像展で目に焼きついているから、食いつきはすごくいい。これはタイの国宝であることは間違いない。声を失ってみていた。

スコータイ時代につくられた‘仏陀遊行像’も大きな収穫、腰が少しS字に曲がったやわらかい仏像の足元をみるとかかとが上がりまさに歩いている姿。こういうタイプの仏像ははじめてみたので2回ぐるぐる回りした。

そして、最後に飾ってある現在のバンコク王朝の仏教美術にサプライズが待っていた。それは高さが5.6mもある大きな扉。これは木製で金が張られており、表面に植物や動物がびっしり彫られている。ここだけは写真撮影がOK、そして解説パネルにどの部分にどの動物がいるかが示されている。

登場する動物で下方にいるのが蛙、蛇、亀、鹿、猪、虎など、ほかのところを単眼鏡を使ってじっくりみると猿や小鳥、蜘蛛や蝶、栗鼠、蜥蜴などもみつかる。

バンコクへ行ったのは25年前のこと、今は道路の交通渋滞は解消されているだろうか、この展覧会をみてまた‘微笑みの国’を旅行してみたくなった。

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2017.04.25

久しぶりの‘阿形・吽形’!

Img_0002    観光客で混雑する東大寺・南大門

Img_0003     国宝‘金剛力士立像 吽形’(1203年)

Img_0001     国宝‘東大寺法華堂日光仏立像’(8世紀中頃)

Img     国宝‘誕生釈迦仏立像’(8世紀中頃)

奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)を楽しんだ後、長らく見ていない南大門の‘金剛力士立像 阿形・吽形’へ行くことにした。奈良博までの道順はだいたいわかっているが、そこから先は博物館の案内でもらった‘奈良公園ウォークマップ’をみながら進んだ。

予定では南大門をみてそのまま大仏殿まで進み、そのあと5年前にオープンした東大寺ミュージアムに寄ることにしていた。だが、修学旅行の生徒たちと外国人観光客があまりに多いので大仏はやめて‘阿形・吽形’だけにし、南大門のすぐ近くにあるミュージアムへ入った。

ミュージアムの観覧料金は500円。これは中に展示されているものは国宝がずらずらと続くのでお得感がある。前に三月堂でみたのがいつだったか思い出せないほど長い時が流れたのが‘日光・月光仏立像’、顔のふっくらしたこの塑造の仏像の特徴は顔が白いこと。白く光るのは雲母の入った土で仕上げられているため。

この前にあったのがお馴染みの‘誕生釈迦仏立像’、美術品との付き合いが長くなると釈迦や仏教の話がだんだん頭のなかに入ってくる。この誕生仏のおかげで釈迦は生まれてすぐ歩いたという並みの人間とは違う特別な力をもって生まれたことを知る。さらにスゴイのが赤ん坊なのに難しい言葉もしゃべれる。7歩進んで、右手は天、左手は地を指し、‘天上天下唯我独尊’(てんじょうてんげゆいがどくそん)といったという。こりゃ参った!

修学旅行があるのはこの時期、だから、駐車場には大型バスが何台も並んでいる。京都へ近鉄で帰るとき隣の席にいた中学生は佐賀市からやって来たという。その日京都に着きまず奈良にでかけそのあと2日かけて京都の名所観光をするという。楽しくて気持ちがずっとハイになっていた修学旅行のことをかすかに思い出した。

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2017.04.23

奈良博の‘快慶展’も大盛況!

Img_0003     ‘地蔵菩薩立像’(重文 鎌倉時代13世紀 東大寺)

Img_0001     ‘孔雀明王坐像’(重文 1200年 金剛峯寺)

Img_0002     ‘不動明王坐像’(重文 1203年 醍醐寺)

Img     ‘釈迦如来立像’(13世紀 キンベル美)

京都の美術館へ行くときは奈良まで足をのばすことが多い。この度は嬉しいことに奈良博で‘快慶展’(4/8~6/4)が開催中、ホテルのランチビュフェでたらふく食べたあと近鉄の快速に乗り込んだ。

久しぶりの奈良だったので、奈良博までは近鉄奈良駅からすぐ到着すると勘違い。イメージの倍近く15分かかった。途中、大勢の外国人観光客が鹿にせんべいを食べさせていた。以前はこれほど多くの外国人はみかけなかった。京都もそうだが、ここも人気の観光地だからいっぱい外国人がいる。

運慶とともに鎌倉彫刻を代表する仏師快慶(?~1227以前)、その仏像をまとまった形でみるのは2回目。前回は同じ奈良博で行われた運慶との合同展覧会(1994年)、作品の数は20点ほど。今回は全部で36点、そのうちアメリカの3つの美術館から3点里帰りしている。

快慶の仏像でいつも熱心にみているのは目、目をむいて怒りの表情をみせる不動明王は除くとたいていは切れ長のきりっとした目をしている。東大寺にある‘地蔵菩薩立像’はお気に入りのひとつ。この菩薩より目の開きが少し大きくその分目線が鋭いのが‘孔雀明王坐像’、顔のふくらみと厳しい眼光が圧倒的な存在感を生み出している。これをみるのは2004年の‘空海と高野山’(京博)以来、息を呑んでみていた。

最後の展示コーナーに並んでいた立像に思わず足がとまるものがあった。アメリカのテキサス州にあるキンベル美からお出ましいただいた黄金の‘釈迦如来立像’、金泥のコンディションが良いのでついつい見とれてしまう。衣文の流麗な線は慈愛あふれる釈迦如来の美しさを引き立てている。

彫刻好きの隣の方も満足げな顔、快慶は兵庫県の浄土寺にある国宝‘阿弥陀如来像’もクルマで見に行ったのでこの回顧展をもって済みマークをつけられる。ミューズに感謝!

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2016.07.14

中宮寺の‘半跏思惟像’に思うこと!

Img_0002       国宝‘半跏思惟像’(飛鳥時代・7世紀 奈良 中宮寺)

Img ミケランジェロの‘ピエタ’(1498~99年 サン・ピエトロ大聖堂)

Img_0001     ダ・ヴィンチの‘聖アンナと聖母子’(1516年 ルーヴル美)

先週の‘美の巨人たち’に中宮寺にある国宝‘半跏思惟像’が登場した。この仏像彫刻の最高傑作が韓国からやって来た半跏思惟像と一緒に展示されていたのは翌日の10(日)まで、長年この番組を見ているがこんな閉幕寸前のタイミングで話題の作品を取り上げるのは本当に珍しい。

NHKは日曜美術館ではなくEテレで半跏思惟像にスポットを当て、この仏像が中国、韓国、日本で誕生した長い歴史をたどりそれぞれの造形上の違いを浮き彫りにしていた。これに対し美の巨人たちが多くの時間をさいていたのは中宮寺の半跏思惟像をつくった仏師たちが独自に採用した彫刻の技法、そして最後にはつくられた当時の姿を再現、なんとこの仏像は宝冠をかぶり飾り物を手や腹につけ黄金に輝いていた!

これよりはやはり見慣れた漆黒に輝く姿のほうがぐっとくる。奈良の中宮寺を訪ねそのお姿を拝見し東博でも2度もみることができた。つくづくこの仏像は美しいなと思う。まさに世界に誇れるスーパー仏像といっても過言ではない。

では、この半跏思惟像のもっている雰囲気となにか似たものを西洋美術に感じるとすればそれは一体どれか、すぐ二つのものが頭に浮かんだ。彫刻はミケランジェロ(1475~1564)の‘ピエタ’の聖母マリア、そして絵画ならダ・ヴィンチ(1452~1519)の‘聖アンナと聖母子’で中央に描かれている聖アンナ。

この2点は半跏思惟像同様、大変魅了されている。3点に感じられる愛情あふれる美しさ、その響き合いをひそかに楽しんでいる。

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2016.07.08

東博の‘ほほえみの御仏~二つの半跏思惟像~’!

Img_0002     

Img_0001     国宝 ‘半跏思惟像’ (飛鳥時代・7世紀 中宮寺)  

Img

Img_0003     ‘半跏思惟像’(三国時代・6世紀 韓国国立中央博物館)

日本と韓国にある大変美しい仏像、‘半跏思惟像’があさっての日曜まで東博で展示されている。特別展‘ほほえみの御仏~二つの半跏思惟像~’がはじまったのは先月の21日、次の日の朝でかけたので待ち時間はあまりなかった。そのあとはどうだっただろうか、展示は残り二日、展示室は相当な混雑が予想される。

仏像好きの人はだぶん足を運ばれたと思うが、中宮寺の半跏思惟像は2005年の3月に一ヶ月ちょっと同じく東博で公開された。そのときはおひとりだったが、この度はご縁がありすぎるほどある韓国の本歌と一緒におでましいただいた。

中宮寺の‘木造菩薩半跏像’は過去2度みているので、まずは韓国の‘金銅弥勒菩薩半跏思惟像’(これも韓国の国宝)のほうを時間をかけてみた。仏像は顔でも体全体でもみる位置によってその表情が変わる。正面からはしゃがんでみたが視線を下に落としすこし微笑む姿がとてもいい。金属の像だから木造ほどのなめらかな丸さはだせないが、それでも下からみあげると赤ちゃんを思わせるほど弾力のある丸顔が心をとらえて離さない。

これに対して中宮寺にある‘菩薩半跏像’は卵形の顔が特徴、目をパッチリさせたらフィギュアの浅田真央ちゃんになる。そして視線を集中させるのが頬にあてている右手の指先、この手の造形がなんといっても最高に美しい。

ここでもしゃがんでうっとりながめていると横にいた年配の女性が‘涙がでそうだわ、家にコピーした小さな仏像を飾っているが本物にやっと会えました’と感激していた。この優しいお姿をみれば誰だって心が揺すぶられる。二つの傑作仏像を一緒にみれたことは生涯の思い出になる。東博に感謝!

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2015.04.12

近代日本彫刻の傑作が登場!

Img     柴田是真の‘野菜涅槃図蒔絵盆’(1888年 ボストン美)

Img_0002     菱田春草の‘海老にさざえ’(1891年 東芸大)

Img_0003     竹内久一の‘神武天皇立像’(1890年 東芸大)

Img_0001     山本芳翠の‘西洋婦人像’(1882年 東芸大)

板橋区美に柴田是真(1807~1891)の‘果蔬蒔絵額’というすばらしい名品があり、2009年と2012年にあった回顧展で目を楽しませてくれた。東芸大美で開かれている‘ダブルインパクト 明治ニッポンの美’(4/4~5/17)には、これを上回る蒔絵盆がボストン美からやって来ている。題名はどこかで聞いたような‘野菜涅槃図’、正直これをみるためだけに出かけてもいいなと思った。是真のベスト3に入る傑作のような気がする。

東芸大が所蔵する絵画や彫刻、工芸にも目を配らないと片手落ちになる。是真が大根やかぼちゃなどを本物が目の前にあるように思わせるほどその質感を見事に写しとったのに対し、菱田春草(1874~1911)は潮の香りのするエビやさざえを生き生きと描いている。二人の卓越した描写力にはただただ感服させられる。

最後の部屋(地下1階)にとてつもなく大きい彫像が展示されている。それは一度東近美であった彫刻展でお目にかかった竹内久一(1857~1916)の‘神武天皇立像’、近代になってつくられた彫像でこれほど高さのあるものは他にみたことがない。台座まで入れると3mちかくある。天皇という存在が重きをなした明治という時代がこうした彫像をつくらせた。

久しぶりにみた作品がもうひとつあった。山本芳翠(1850~1906)の‘西洋婦人像’、この色白の婦人にぞっこん参っている。芳翠の描く女性の絵を画家の名前を伏せて日本にやって来るフランス人やイギリス人にみせたら、ほとんどの人がヨーロッパの画家が描いたとイメージするにちがいない。芳翠の技がまったく本場の画家たちと同じレベル、あるいはそれ以上であることをこの絵は証明している。

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2015.03.28

久しぶりの‘インドの仏’展!

Img  ‘法輪の礼拝’(シュンガ朝 紀元前2世紀頃 パールフット 砂岩)

Img_0001     ‘仏頭’(クシャーン朝 2世紀頃 ガンダーラ 漆喰)    

Img_0003     ‘仏坐像’(クシャーン朝 2世紀頃 ガンダーラ 片岩)

Img_0002     ‘仏立像’(グプタ朝 5世紀頃 サールナート 砂岩)

インドはこれまで2回訪問したので、インドの地図はおおよそ頭に入っている。まだ縁がないのが東インド、その中心がコルカタ、昔はカルカッタといっていた。ここにあるコルカタ・インド博物館(1814年創立)は有名な美術館であることは以前から情報として入っていた。

だから、この美術館が所蔵する仏像などで構成される‘インドの仏’展(東博 3/17~5/17)への期待値はことのほか高い。作品約90件は表慶館で公開されている。入ってすぐのところにいきなりこの美術館の至宝が現われた。

インド中部、パールフット遺跡から出土したインド仏教美術の黎明期につくられた欄楯(らんじゅん)浮彫、今回5点でており‘法輪の礼拝’はそのひとつ。ブッダの存在を表した法輪はしっかり力強く彫られている。6年前サーンチーのストゥーパの周りを囲む欄楯を熱心にみたことが思い出された。

うっとりながめていたのがガンダーラの仏像‘仏頭’、これほど美しい顔をしたブッダは2003年広島で体験した‘パキスタン・ガンダーラ&インド・マトゥラー 彫刻展’でもお目にかからなかった。また。‘仏坐像’も心を打つ傑作、噂には聞いていたがコルカタ・インド博のコレクションは一級品揃い。

最初に出迎えてくれる‘仏立像’はグプタ朝の時代サールナートでつくられたもの。静かな表情と体のラインをうつしだす無紋の衣が目に焼きついた。ブッダの慈悲の心を感ぜずにはいられない。

今月は以前ビデオ収録した‘ブッダ最期の旅’(案内人五木寛之 2007年 BSプレミアム)をみてブッダの物語に深く傾倒している。そして、岩波文庫の‘ブッダ最後の旅’を購入した。だから、この展覧会では一点々敏感に反応する。まさに脳が本気になっている。

ブッダに関心がある方のためにひとつ情報を、Eテレの‘100分de名著’では4/1(水)から‘ブッダ最後のことば’(4回 10:00~10:25)がはじまる。‘般若心経’もよくできていたから、これも期待できそう。

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2015.03.02

木喰の愛らしい微笑仏!

Img_0003     ‘地蔵菩薩’(1801年 日本民藝館)

Img_0004     ‘薬師如来’(1805年 新潟・柏崎市)

Img_0001     ‘如意輪観音菩薩’(1804年 長岡市・寶生寺)

Img_0002     ‘不動明王’(1797年 山口市・善門寺)

円空(1632~1695)と木喰(1718~1810)の木彫仏を一緒にならべる展覧会は2008年東博であった‘対決 巨匠たちの日本美術’でも体験した。このとき木喰は14体でてきた。今横浜のそごうに集結しているのは114体。

はじめて木喰の仏像をみたのは日本民藝館。ここにある微笑仏をみていっぺんに木喰に嵌った。どれもいいが最もお気に入っているのが‘地蔵菩薩’、頬っぺたをまるくふくらまして満面の笑みをうかべる姿に200%魅了されている。こんなに嬉しそうな顔をした仏さんがほかにあっただろうか。

‘薬師如来’さんにもニコニコしてもらった。愛嬌のある団子鼻に細い目と厚い唇口、このやさしいお顔をみたら明日からの人生が楽しくなる。生きる勇気をもらえる仏像に会えるのは幸せなこと。

初見のものが沢山あったが、思わず足がとまったのは頬に手をあててすましたポーズをとる‘如意輪観音菩薩’、忘れられない仏像になりそう。大きな収穫だった。

‘不動明王’は円空も木喰もつくっている。木喰のものは5体、いずれも火焔光背があり、その忿怒の形相は迫力満点。そのなかでは山口市のお寺からやって来たものがいい。体型は赤ちゃんのようだが、目だけはぎょろっとして真剣に怒っている。‘悪いことをしたら許さないからね’、といわれている感じ。

円空、木喰にまた惚れ直した。ミューズに感謝!

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2015.03.01

心打たれる‘円空・木喰展’! 円空

Img_0001     ‘観音菩薩’(1682年以降 板葺町 阿弥陀堂)

Img_0003     ‘大黒天’(1677年頃 岐阜市 円空美)

Img     ‘不動明王’(1686年頃 岐阜・関市)

Img_0004     ‘宇賀神’(1686年頃 愛知・岡崎市)

横浜そごうで開催中の‘円空・木喰展’(2/7~3/22)を楽しんだ。円空(1632~1695)はそごうと縁が深い。10年前にも円空展を行っており、このときは155体が展示された。今回は木喰(1718~1810)とのコラボ、全部で81体でている。

円空をまとまった形でみるのは3度目なので円空仏には目がだいぶ慣れてきた。やさしい顔をした仏から相当怖い不動明王までいろいろでてくる。微笑みの円空仏で最も心を打たれたのが‘観音菩薩’、説明文に観音像のなかでこれが表情の優しさでは一番と書いてあったが、確かにそのとおりかもしれない。

初見で圧倒されたのが素朴だがボリューム感あふれる‘大黒天’さん、こういう木彫をみると俄然ノミをもって山に入り似たような木を探したくなる。彫られているのは首から上だけだから頑張って手を動かすと少しは形になりそう。たぶん10分の一くらいだろうが。

今回の収穫は荒々しい彫りのあとが心にぐさっとささる‘不動明王’と‘宇賀神’、鼻がデカくて厚い唇をした‘不動明王’をじっとながめているとピカソやモデイリアーニが心惹かれたアフリカの仮面のイメージが重なってくる。

2年前、東博であった回顧展でこうした激しい感情を表現した円空仏に開眼した。野性味にあふれ怖い仏にも円空の魂が表出されている。息を吞んでみていた。

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2015.01.23

みちのくの仏像が東博に集結!

Img_0001     国宝‘薬師如来坐像’(平安時代9世紀 福島・勝常寺)

Img_0002     ‘薬師如来坐像’(重文 平安時代862年 岩手・黒石寺)     

Img_0003     ‘十一面観音菩薩立像’(重文 14世紀 給分浜観音堂)

Img     ‘聖観音菩薩立像’(重文 平安時代11世紀 岩手・天台寺)

東博で行われている‘みちのくの仏像’展(1/14~4/5)をみてきた。会場は本館1階の特別5室、この場所のイメージがちがっていた。大々的な仏像展を想像してっきり平成館が舞台だと思っていた。

現在休館中の平成館ではなく5室ならみれる仏像の数もぐっと少なくなる。全部で19点。こういうときはすぐ頭を切り替える。いい仏像が東北からやって来ていることはチラシでわかっているからみるぞモードになるのも早い。お目当てはすでに国宝の‘薬師如来坐像と両脇侍立像’と決めてある。

長年国宝ウオッチャーをしているから、この仏像が福島県の勝常寺にあることは以前から知っている。でも、東北をクルマで走る計画はポンポンとは進まないので、本物をみるには大きなエネルギーがいる。だから、このようにわざわざおでましいただけると大変ありがたい。じっくり時間をかけてみた。

螺髪の部分の白が顔から下を彩色された黒と金色と重厚なコントラストをなし、この仏像に強烈な存在感を与えている。やはり本物の仏像には圧倒される。東北にあるお宝はなかなかみれないから喜びも大きい。

岩手県奥州市の黒石寺にある‘薬師如来坐像’も心をとらえて離さない。目じりをあげた厳しい表情からは仏様の偉さがひしひしと伝わってくる感じ。この薬師如来坐像が男性的なのに対し、三大薬師といわれるもうひとつの薬師如来(宮城・双林寺)は顔がぽっちゃりと丸く女性そのもの。3つ一緒にみれたのは幸運だった。

今回大きな仏像に出くわした。奈良や京都の寺で仏像をみているような気分にさせてくれたのが高さが3メートル近くもある‘十一面観音菩薩立像’、あまりの大きさにあっけにとられてみていた。牡鹿半島の給分浜の高台にまつられているそうだ。

最初のコーナーにあった‘聖観音菩薩立像’も忘れられない仏像、ノミのあとがそのまま残る鉈彫の仏像をみた回数は少ないので敏感に反応、目をこらして体の隅から隅までみていた。これは貴重な出会い。

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