狩野探幽の‘桐鳳凰図屏風’(江戸時代 17世紀)
喜多川歌麿の‘青楼絵本年中行事・倡舗張付彩工図’(1804年)
長沢芦雪の‘唐獅子図屏風’(18世紀末)
竹内栖鳳の‘大獅子図’(1902年)
現在、サントリー美で行われている‘不滅のシンボル 鳳凰と獅子’展(6/8~7/24)をみてきた。これは開館50周年記念展‘美を結ぶ、美をひらく’の第2弾。1回目が所蔵の名品を全部みせます!タイプの豪華な内容だったのに対し、今度は他館のものや寺社にある普段は見る機会のないものなどを‘鳳凰と獅子’という吉祥のテーマのもとに目いっぱい集めてきている。
この展覧会のチラシを手に入れたとき、是非見にいこうと思ったのは竹内栖鳳のライオンの絵が載っていたから。絵の存在を知ったのは随分前のことなのに、なかなか縁がなかった。お目当ての作品はこれ1点だったが、もうひとつ期待したことがある。それは図録。サントリー美がつくる図録はよくできているので毎回これを購入するのが楽しみのひとつになっているが、今回はとりわけ欲しかった。
とりあげたテーマ、鳳凰と獅子がいいし、このモチーフが描かれた絵画やこれが意匠化されたやきものや蒔絵などにびっくりするほどすごいのが揃っている。質の高さからいうと東博で行なわれる特別展と遜色ない。三の丸尚蔵館からは若冲の‘旭日鳳凰図’拙ブログ09/10/10、展示は7/4まで)、狩野永徳の‘唐獅子図’(07/11/9、7/6~7/24)が展示されるし、国宝が‘文殊渡海図’(醍醐寺 09/4/23)など3点もある。
また、若冲の静岡県美にあるモザイク画‘樹花鳥獣図屏風’(展示は終了)も飾り、現在休館している五島美からは名品の‘青磁鳳凰耳花生’(重文)をしっかり借りてきている。だから、今回の図録は価値の高いお宝本を手に入れたようなもの。素直に嬉しい。今日はその優品のなかから絵画を、明日は彫刻、やきものなどを紹介したい。
日本画で鳳凰の絵というとすぐ思い浮かべるのは狩野探幽(1602~1674)の描いた‘桐鳳凰図屏風’(07/4/8)と若冲の‘旭日鳳凰図’。絵画で鳳凰がどんと見られるのは意外に少ない。歌麿(1753~1806)の鳳凰図(6/27までの展示)は羽根を大きくひろげ量感あふれる鳳凰なので見ごたえがあるが、この浮世絵を見る機会はなかなかない。これは平木浮世絵財団のものだが、大英博物館蔵との遭遇を夢見ている。
思わぬ収穫だったのが長沢芦雪(1754~99)の‘唐獅子図’。信楽で大芦雪展(4/24)を体験したばかりだから、このへんてこな獅子に敏感に反応した。これが獅子?八曲一双の左隻に描かれているのが横向きに走る獅子。まるで平家の落ち武者のよう。右隻でこれと対峙する獅子がこれまた獅子らしくなく、その顔は馬面の龍。絵の前ではニヤニヤしっぱなし(6/27)。
さてお目当ての竹内栖鳳(1864~1942)の‘大獅子図’(大阪・藤田美 6/27)である。これはまさにライオン。小さい頃動物園でみたライオンが目の前にいるような錯覚をおぼえる。魚や動物をリアルに描かせたら栖鳳の右にでるものはいない。動物園はもう何十年と縁がないから、隣の方の好きなNHKの動物番組に登場するライオンがアフリカの草原をのしのしと歩き回る姿をイメージしていた。
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