2016.12.03

二度目の‘円山応挙展’!

Img_0001          ‘楚蓮香図’(1786年)

Img_0003      ‘朝顔図’(1784年 相国寺)

Img_0002     ‘雲龍図屏風’(重文 1773年)

Img     ‘七難七福図巻’(重文 1768年 相国寺)

現在、‘円山応挙展’を開催中の根津美は地下鉄銀座線の表参道駅で下車して徒歩10分くらいで到着する。慣れ親しん道順だがひとつ難点がある。地下鉄から地上に上がってくるまでに傾斜のきつい階段があり、これがだんだん辛くなってきた。中国人観光客を必ずみかけるPRADAの前をすぎるころようやく呼吸が元にもどってくる。

展覧会が日曜美術館で紹介されたことが人気に拍車をかけているようで、館内は大勢の人で賑わっている。お目当ては後期(11/29~12/18)にでてくる作品。‘楚蓮香図’は図録をざっとみて過去にみたものかなと思っていたが、目の前に現れたのは別ヴァージョンだった。ちょっと腰を曲げた楚蓮香が蝶々と遊んでいる姿に今回いっそう惹きつけられたのは着物の柄や色彩が格別綺麗だったから。3点みたなかでこれが一番いい。

‘朝顔図’はサントリー美で公開された鈴木其一の‘朝顔図屏風’(メトロポリタン美)を思い浮かべながらみていた。背景の色が冴えないが朝顔ひとつ々の描写を単眼鏡でみると流石、応挙は写生の達人、という感じ。花のなかからでてくる光のとらえかたは其一同様、じつにリアルで印象深くうつる。

後期に登場した‘雲龍図屏風’は応挙展には欠かせない作品でキラーピースといっていい。この金色の龍と対面するのは四度目、数ある龍のなかでフリーア美にある俵屋宗達の龍とこの龍に200%魅了されているので息を呑んでみていた。

前期のとき、なぜか二階の展示室にあった‘七難七福図巻’をみないで帰ってしまった。電車のなかで図録をながめこの図巻どこにあった?と合点がいかなかった。これまで開かれた企画展はすべて一階で完結していたので二階まで展示が続くことをまったく思いつかなかった。この日もTVに出演した学芸員がちょうど前にいたので展示されている場所を聞いた。

出品リストを手にもっているのに絵と向かいだすとこれを忘れてしまうのでこういうミスをしてしまう。でも、過去の回顧展で前期にひろげてあったところはみていたため救われた。‘七難’の場面で食い入るようにしてみたのは突然現れた大蛇からみんなが大慌てで逃げるところ。実際にはこんな大きな蛇はいないだろうが、心理的にはこれほど巨大で怖かったにちがいない。

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2016.11.11

プラスαが予想以上に多い‘円山応挙展’!

Img_0002     ‘雪中水禽図’(1777年)

Img_0001     ‘老松鸚哥図’(1787年)

Img_0003           ‘雪中残柿猿図’(1774年)

Img     ‘藤花図屏風’(重文 1776年)

足を運び料金を払ってみる展覧会には当然出品作に対する期待値がある。その大きさは過去に同じような回顧展をみていればとびきり大きいものではなくなる。根津美ではじまった‘円山応挙展’(11/3~12/18)は正直なところ、一度大きな回顧展をみたこともありプラスαが少しでもあればという気持ちだった。

ところが、入館してみるとはじめてお目にかかるものが予想外に多く流石、根津美!作品の集め方が違うなと、感心させられた。そのため一度のつもりが後期(11/29~12/18)も見る気になり、200円安くなる‘またどうぞ券’を購入しておいた。

目を楽しませてくれたのは円山応挙(1733~1795)が40代の頃に描いたもの。思わずうなったのが‘雪中水禽図’、雪の積もった松の木に下に鴛鴦、真鴨などが七羽のいる。仔犬がたくさん登場する作品はみたことはあるが水鳥がこれほど多く描かれたのは記憶にない。水のなかに首をつっこんだり、羽をばたばたさせたりして雪の静寂さをこわす小さな喧噪に視線が釘づけになる。

これに対し、鸚哥の絵は羽の赤のインパクトが強烈。応挙の色使いで目に沁みるのはこれまでは孔雀の青だったが、色の力の強さはこの赤が上回る。写生力の話よりカラリスト、応挙のほうがずっと新鮮。若冲の鸚鵡の白ばかりに頭の中を独占されていたが、この鸚哥が割って入りそう。

長澤芦雪には猿の絵が何点もあるが、応挙の猿はみたことある?思いおこすと同じ雪の光景で描かれたものが一枚あるだけ。だから、柿にありつく猿を熱心にみてしまう。構図のとりかたがじつに上手い。

根津美の自慢の応挙は‘藤花図屏風’、たしかにこの藤は心に響く。それは藤の姿がモダンだから。金地に紫の花びらが宝石にようにキラキラ輝いているようにみえ、これはえもいわれず美しい。この藤をみるたびに応挙はスゴイなと思う。

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2015.03.13

予想以上に楽しめる‘動物絵画の250年’!

Img_0002     宋紫石の‘鯉図’(18世紀後半)

Img_0004     原在明の‘水呑虎図’(19世紀後半)

Img_0001        円山応挙の‘芭蕉と虫図’(18世紀後半)

Img     長沢蘆雪の‘狗子蓮華図’(18世紀後半)

久しぶりに府中市美を訪れ開催中の‘動物絵画の250年’(3/7~5/6)をみてきた。府中市美へ着く前にいつもひとつの選択がある。京王線の東府中駅で下車したあとバスを待つか歩くか、どっちにするか、今回はバスが出る5分と35分の中間あたりに電車がついたのでバスに乗ることにした。

動物を描いた絵を集めた展覧会は2007年にもあった。題して‘動物絵画の100年 1751~1850’、だから今回はその続編、作品の数は166点、前期(3/7~4/5)と後期(4/7~5/6)で半分ずつ展示される。8年前の構成がどうだったか忘れたが、いい絵がいくつもあった。

こういうテーマの場合、作品を描いた画家の格や知名度はゼロクリアにしたほうがいい。作品の魅力を決めるのは描写のおもしろさや珍しさ、並んだ作品をみると主催者の思いがよく伝わってくる。こんなおもしろい描き方をした動物の絵があるんですよ、是非みてください!そんな感じ。

宋紫石(1715~1786)の‘鯉図’にすぐ反応した。若冲が鯉の絵を描くとき胴体の一部を画面から消えさせるのはこの絵の影響ではないかと。鯉は全部で6点でてくる。

虎は収穫があった。それは原在明(1778~1844)、富士山を描いたいい絵がある絵師でインプットされているが、こんな迫力のある目をした虎も描いていたとは。体をすこしよじらせて水に映った自分の顔をみるポーズがなかなかいい。忘れられない虎になりそう。

今回の大発見は円山応挙(1733~1795)の‘芭蕉と虫図’、この絵が飾ってある部屋に入り、遠くからみて、ああ、ここにも若冲がある、それは楽しみ!と思った。順番にみていき絵の前に来た。するとこれを描いたのは応挙とある、ええー!?これ応挙の絵、応挙と若冲が墨の絵でコラボしているとはまったくイメージできなかった。

狗子を描いたものは前期4点、後期5点、長沢蘆雪(1754~1799)の最近発見されたという‘狗子蓮華図’がとてもいい。応挙でも蘆雪でも狗子の絵をみると心が和む。

この展覧会、みる前は後期はパスでもいいかなと思っていた。でも、そうもいかなくなった。図録をみると後期にも鑑賞欲を刺激する作品がいくつも登場する。とくに興味をそそるのが若冲の‘河豚と蛙の相撲図’、これは楽しみ!

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2013.06.28

ファインバーグコレクション 目をひく応挙、蘆雪、蕭白!

Img_0004_2     円山応挙の‘鯉亀図風炉先屏風’(江戸時代 18世紀)

Img_0006_2                長沢蘆雪の‘藤に群雀図’(18世紀)

Img_0002_2     曽我蕭白の‘宇治川合戦図屏風’(18世紀)

Img_0005_2        鳥文斎栄之の‘遊女と蛍図’(18~19世紀)

円山応挙(1733~1795)が描く鯉の絵にとても魅了されている。その鯉がファインバーグコレクションにもあった。この絵は名古屋の徳川美でみたものとよく似ている。目が寄っていくのは水面下にある鯉の体の描き方。普段みている池の鯉は水面の下はこんなに透き通ってはみえない。だから、余計に釘づけになってみてしまう。

図録をみて惜しいことをしたなと思わせる作品が2点ある。それは前期(5/21~6/16)に展示された長沢蘆雪(1754~1799)の‘藤に群雀図’と‘梅・薔薇に群鳥図’。蘆雪は鳥を描くのが上手い。とくに雀がいい。雀の名手は蘆雪と菱田春草。

雀は一羽でいるとそれほど印象は強くないが、何羽も一緒になって木の枝などにとまっていると人目を惹きつける存在感がでてくる。とにかくにぎやかで群れているのが楽しくてしょうがないという感じ。この‘藤に群雀図’はみたかった!

曽我蕭白(1730~1781)は4点、後期(6/18~7/15)の展示は京博で行われた‘曽我蕭白展’(05年)でもみたことのある‘宇治川合戦図’と仙厓の絵をみている気分になる‘大黒天の餅つき図’。‘宇治川合戦図’で視線がむかうのはどうしても右の武者、京劇の役者のように顔は白く塗りたぐり唇は女でもないのに真っ赤。

なんじゃいこの赤、じぇじぇじぇ!蕭白は色彩にかんしても200%規格外の絵師、派手な赤や黄色をどどっと使う。この色彩パワーは京劇の影響かもしれないが、蕭白にとってどうして京劇が刺激の源になったのだろうか?興味は尽きない。

最後のコーナーは浮世絵の肉筆画と版画が沢山飾ってあった。菱川師宣や師平が描いた吉原風俗画は日本の美術館や展覧会でもなかなかお目にかかれないので、夢中になってみた。ほかで足がとまったのは勝川春章の細密描写が冴える‘文を破る女図’と鳥文斎栄之の蛍と遊ぶ遊女の絵。小さい頃は夏になると蛍を光をみるのが楽しみのひとつだった。絵ではない生の蛍をまたみたくなった。

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2013.05.01

祝 富士山 世界遺産へ登録!

Img_0005_2             長沢蘆雪の‘富士越鶴図’(1794年)

Img_0001_2     与謝蕪村の‘富岳列松図’(部分 重文 18世紀 愛知県美)

Img_0002_2     池大雅の‘夏雲霊峰図屏風’(1772~77年 島根 八雲本陣記念財団)

Img_0008_2 曽我蕭白の‘富士・三保松原図屏風’(部分 1762年 パワーズコレクション)

今日は嬉しいニュースがとびこんできた。富士山が世界文化遺産として来月登録されることになった。拍手々!国内の世界遺産は2年前に平泉が選ばれたがこれで13件目。大変めでたいことなので、富士山を描いた名画をとりあげることにした。まずは江戸絵画から。

江戸時代に活躍した絵師たちが描いた富士山で最も気に入っているのが長沢蘆雪(1754~1799)の‘富士越鶴図’。これをはじめてみたとき、体が熱くなった。富士山の中腹から鶴の群れが隊列を組んでこちらに飛んでくる。富士山だけならそれほど立体感を感じないのに、こういう風に大勢の鶴が前との間隔をあけずにグライダー飛行のようにゆるくカーブしてくると、雄大なスケールの富士の存在感がいっそう増し、そのリアルな量感がぐっと迫ってくる。

与謝蕪村(1716~1783)の富士も目に焼きついている。目を奪われるのが富士の白さ。まさに雪一色の富士といった感じ。画面が極端に横に長く、天地の半分は沢山の松の木で占められている。濃い墨で勢いよく描かれた松林が横に連続し、そのむこうに安定感のいい富士が白く輝いている。この富士にもう一度会いたい。

よく旅にでた池大雅(1723~1776)は富士山にも登っており、富士を何点も描いている。島根の八雲本陣記念財団が所蔵する‘夏雲霊峰図’は長いこと追っかけているが、なかなか縁がない。先月京都で狩野山楽・山雪展をみたので、今残っているビッグネームの回顧展は池大雅だけになった。京博を訪問するときはアンケートに山楽山雪展と一緒に池大雅展も書き添えていた。ひとつは夢が叶った、池大雅についても帆を高くかかげておきたい。あとはいい風が吹くのを待つばかり。

曽我蕭白(1730~1781)の‘富士・三保松原図屏風’は大作でアメリカのデンバーにあるパワーズコレクションが所蔵している。2005年にあった回顧展(京博)で遭遇し、かたずを呑んでみていた。蘆雪、蕪村、蕭白の富士がベスト3だが、ほかでは(浮世絵は除く)谷文晁にいいのがある。今年はサントリー美で‘谷文晁展’(7/3~8/25)があるから、また会えるかもしれない。

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2012.10.14

見逃せない三の丸尚蔵館の‘円山派展’!

4347_2     長澤芦雪の‘唐子睡眠図’(江戸時代中期)

4345_2     竹内栖鳳の‘和暖’(1924年)

4346_2     山元春挙の‘晴天鶴’(1916年)

4348_2    円山・四条派の系譜 ( )内の数字は入門年

今年は前半にビッグなものがあった日本美術の展覧会、後半はそれほど忙しくない。で、心踊る西洋絵画関連の特別展の合間をぬってお目当ての展覧会に足を運んでいる。

東京駅から近い三の丸尚蔵館(無料)では今、‘描き継ぐ日本美ー円山派の伝統と発展’(前期9/15~10/14、後期10/20~11/11)が開かれている。作品の数はいつものように多くはなく25点ほど、今日で前期は終了したが、円山応挙(1733~1795)は2点とも後期にでてくる。どちらもまだ縁がなかったので楽しみ。

長澤芦雪(1754~1799)の睡眠中の唐子を描いた作品が大変気に入っている。昨年3月府中市美で開催された‘江戸の人物画展’にも出品された。円山派は応挙をはじめ仔犬の絵がとてもいい。山口素絢の‘朝顔狗子図’にも心が和む。

今回この展覧会に出かけたのは京都画壇の中心的な画家山元春挙(1874~1933)の‘晴天鶴’をみるためだった。春挙が気になりだしたのは15年くらい前島根県の安来にある足立美で‘瑞祥’というタイトルのついた雄大な蓬莱山の絵をみてから。‘晴天鶴’で惹きこまれるのは高さを感じさせる山や岩と明快な群青。後期にもう1点でてくる。

会場に来て、これはいい絵に出くわしたと思ったのが竹内栖鳳(1864~1942)の‘和暖’。HPに載っていた題名と絵が結びつかなかったが、この絵は追っかけ画のひとつだった。栖鳳は動物や魚の絵の名手。この3頭の鹿もすごくいい。2年前は虎の絵をみて、今回は鹿。これらは献上されたものだから、画家の制作にかける意気込みがちがう。

ここにくるといつも収穫がある。今では美術館めぐりの欠かせない場所になっている。

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2012.04.24

お目当ての絵を求めて再度‘三都画家くらべ’展へ!

3775_2     円山応挙の‘許由巣父図’(1773年)

3774_2     勝川春章の‘美人読書詠歌図’(18世紀後半)

3776_2              歌川広重の‘武蔵多満川図’(19世紀後半)

3773_2             狩野山雪の‘蝦蟇鉄拐図’(17世紀前半)

現在、首都圏で人気の江戸絵画を楽しめる3つの展覧会が開かれている。東博の‘ボストン美 日本の至宝’(6/10まで)、千葉市美の‘曽我蕭白と京の画家たち’(5/20まで)、そして府中市美の‘三都市画家くらべ’(5/6まで)。勝手に‘江戸絵画ゴールデントライアングル’とネーミングしている。

一日で3箇所をまわるのは大変だが、時期をずらして出かけそこに展示されている京都で活躍した蕭白、応挙、若冲らの作品や国芳、広重の浮世絵版画をじっくりみると一気に江戸絵画の通になれること請け合い。とにかくいい絵が沢山でている。

前期(拙ブログ3/27)に手に入れた図録をみて気になった絵を中心に30分ほどみた。‘人物画くらべ’のところで足がとまったのが円山応挙(1733~1795)の‘許由巣父図’。川で耳を洗う許由のしぐさにわけもなく惹かれた。東博にある狩野永徳の絵では許由は滝の水をすくいこれで耳を洗っているが、応挙のほうが耳についた穢れをより素早く落とせそう。

じつは最も楽しみにしていたのが勝川春章(1726~1749)の肉筆画‘美人読書詠歌図’。今回はこの絵と狩野山雪(1589~1651)の2点買いだった。が、春章の美人画は着物の描写にMOAや出光にある作品ほど目を奪われなかった。たまにはこういうこともある。

期待通りぐっと惹きこまれたのが山雪の‘蝦蟇鉄拐図’。これは蝦蟇のほうだが、蕭白と同じようにかなりアクの強い人物表現になっている。山雪は日本の前衛作家の元祖かもしれない。こういう絵をみると来年京博で開かれる‘山楽・山雪展’がますます楽しみになってくる。

図録ではさらったみた歌川広重(1797~1858)に大変魅了された。これは肉筆の掛け軸だが、広重がこんな山水画のようなしっとりくる風景画を描いていたとは。風景画を得意とした北斎と広重、‘動’の北斎に対して、‘静’の広重とよくいわれるが、広重のこの絵はそれをじみじみ実感させてくれる。

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2011.09.13

板橋区美の‘実況中継EDO’は何のこと?

3068_2     円山応挙の‘群獣図屏風’(左隻 三の丸尚蔵館)

3069_2              小田野直武の‘鷺図’

3071_2     宋紫石の‘富士山図’(東博)

3070_2     谷文晁の‘西遊画紀行帖’(板橋区美)

板橋区美のへんてこなタイトルのついた展覧会をみるため、池袋から東武東上線に乗った。急行だと最初にとまるのが成増駅、ここから美術館行きのバスがでている。いいタイミングでバスが来たからひょいと乗った。ところが、途中からいつもと違うことに気がついた。運転手から‘このバスは美術館へは行きません’、えっー?

西高島平駅で下車してまた15分くらい歩いた。はじめてこの美術館行ったときはこのルートだったので、どうにかたどり着けた。成増駅からのバスは全部美術館行きと勘違いしたのがいけなかった。次回はバスの行き先に要注意。

‘実況中継EDO’展(9/3~10/10)は作品の数はいつものように全部で43点と少ない。だから、鑑賞に要する時間はそうかからない。入館料は600円。この美術館を定期的に訪問しているのは期待値以上の作品がでてくるから。江戸絵画に長いことフォーカスし、展覧会のタイトルは遊び心にあふれている。

‘実況中継EDO’って何?はじめEDOと江戸がリンクしなかった。E・D・Oは何の略かな?は入館してわかった。でも‘実況中継’の?はしばらく消えなかった。でもそのうちに、そういうことネで納得。

今回は1点買い鑑賞。それは長年追っかけていた円山応挙(1733~1795)の‘群獣図屏風’。やっと象が登場する左隻をみることができた。昨年8月、三の丸尚蔵館であった‘虎 獅子 ライオン’では虎が描かれた右隻のみの展示(拙ブログ10/8/1)。象さんがまた遠のいたと気落ちしたが、意外に早く目の前に現れてくれた。

象が他の動物とは体の大きさがちがう格別な存在なのに、ここではその扱いを受けてない。胴体の後ろの部分は太い幹の木に隠れてみえない。図版をながめて、虎とくらべると存在感があまりないなと思っていたが、本物をみてその感を強くした。で、象のキングは若冲の‘象と鯨図屏風’に決定!

応挙の象をみたのであとは軽くみた。そのなかで足が止まったのは小田野直武
(1749~1786)の鷺の絵。この絵は府中市美の動物展にも出品された。手前の鷺はバックに描かれたものと比べるとびっくりするほど大きいのにぱっとみるとそう感じない。これは精緻な描写によって視線が鷺ばかりに集中するから。

風景画では宋紫石(1715~1786)の富士山と谷文晁(1763~1840)の滝が印象深い。また、1点すばらしい絵がある。見てのお楽しみ。

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2011.06.26

企画力をみせつけるサントリー美の‘鳳凰と獅子’展! 絵画

2786_2     狩野探幽の‘桐鳳凰図屏風’(江戸時代 17世紀)

2788_2     喜多川歌麿の‘青楼絵本年中行事・倡舗張付彩工図’(1804年)

2789_2     長沢芦雪の‘唐獅子図屏風’(18世紀末)

2787_2     竹内栖鳳の‘大獅子図’(1902年)

現在、サントリー美で行われている‘不滅のシンボル 鳳凰と獅子’展(6/8~7/24)をみてきた。これは開館50周年記念展‘美を結ぶ、美をひらく’の第2弾。1回目が所蔵の名品を全部みせます!タイプの豪華な内容だったのに対し、今度は他館のものや寺社にある普段は見る機会のないものなどを‘鳳凰と獅子’という吉祥のテーマのもとに目いっぱい集めてきている。

この展覧会のチラシを手に入れたとき、是非見にいこうと思ったのは竹内栖鳳のライオンの絵が載っていたから。絵の存在を知ったのは随分前のことなのに、なかなか縁がなかった。お目当ての作品はこれ1点だったが、もうひとつ期待したことがある。それは図録。サントリー美がつくる図録はよくできているので毎回これを購入するのが楽しみのひとつになっているが、今回はとりわけ欲しかった。

とりあげたテーマ、鳳凰と獅子がいいし、このモチーフが描かれた絵画やこれが意匠化されたやきものや蒔絵などにびっくりするほどすごいのが揃っている。質の高さからいうと東博で行なわれる特別展と遜色ない。三の丸尚蔵館からは若冲の‘旭日鳳凰図’拙ブログ09/10/10、展示は7/4まで)、狩野永徳の‘唐獅子図’(07/11/9、7/6~7/24)が展示されるし、国宝が‘文殊渡海図’(醍醐寺 09/4/23)など3点もある。

また、若冲の静岡県美にあるモザイク画‘樹花鳥獣図屏風’(展示は終了)も飾り、現在休館している五島美からは名品の‘青磁鳳凰耳花生’(重文)をしっかり借りてきている。だから、今回の図録は価値の高いお宝本を手に入れたようなもの。素直に嬉しい。今日はその優品のなかから絵画を、明日は彫刻、やきものなどを紹介したい。

日本画で鳳凰の絵というとすぐ思い浮かべるのは狩野探幽(1602~1674)の描いた‘桐鳳凰図屏風’(07/4/8)と若冲の‘旭日鳳凰図’。絵画で鳳凰がどんと見られるのは意外に少ない。歌麿(1753~1806)の鳳凰図(6/27までの展示)は羽根を大きくひろげ量感あふれる鳳凰なので見ごたえがあるが、この浮世絵を見る機会はなかなかない。これは平木浮世絵財団のものだが、大英博物館蔵との遭遇を夢見ている。

思わぬ収穫だったのが長沢芦雪(1754~99)の‘唐獅子図’。信楽で大芦雪展(4/24)を体験したばかりだから、このへんてこな獅子に敏感に反応した。これが獅子?八曲一双の左隻に描かれているのが横向きに走る獅子。まるで平家の落ち武者のよう。右隻でこれと対峙する獅子がこれまた獅子らしくなく、その顔は馬面の龍。絵の前ではニヤニヤしっぱなし(6/27)。

さてお目当ての竹内栖鳳(1864~1942)の‘大獅子図’(大阪・藤田美 6/27)である。これはまさにライオン。小さい頃動物園でみたライオンが目の前にいるような錯覚をおぼえる。魚や動物をリアルに描かせたら栖鳳の右にでるものはいない。動物園はもう何十年と縁がないから、隣の方の好きなNHKの動物番組に登場するライオンがアフリカの草原をのしのしと歩き回る姿をイメージしていた。

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2011.05.22

奇は新なり ‘長沢芦雪展’(後期)!

2698_2     ‘群龍図’(江戸時代 18世紀)

2697_2     ‘鍾馗と蝦蟇図’(1787年)

2699_2               ‘富士越鶴図’(1794年)

2696_2     ‘白象唐子図屏風’(江戸時代 18世紀)

‘長沢芦雪展’の後期(4/26~6/5)出品作をみるため再度信楽までクルマを走らせた。前期(拙ブログ4/24)にあったものは数点、大半は新規の作品(43点)なので存分に楽しめた。

一番のお目当ては大原美が所蔵する‘群龍図’。これは図録でみてとても気になった絵。四角の画面にいろんな向きをした龍が沢山描かれている。一体何匹いる?画像は拡大しても正確に数えるのは無理だが、なんと28匹!こんなに龍の目に釘付けになったのははじめて。

龍をどういう姿にしてどう配置するか、芦雪(1754~1799)は何回もシミュレーションしたにちがいない。おもしろいのが龍の向きのヴァリエーション、真横向き(左右)、上下斜め向き、正面向き、そして斜め後ろ向き。

5つある群れの塊は右2つは龍の目は左のほうを、左の3つのグループは右のほうをみており、対峙する形になっている。墨の濃淡をきかせて描かれた胴体は輪郭がぼやているが、インパクトのある顔を立体的に重ねあわせ臨場感あふれ画面をつくりだしている。

画集によく載っている‘鐘馗と蝦蟇図’は長らく追い求めていたが、やっとみることができた。愛嬌のある蝦蟇の姿がとてもいい。瞬間的に若冲の‘菜蟲譜’に登場するカエルが目の前をよぎった。これに会えたのでニコニコモード全開。

‘富士越鶴図’は芦雪が好きになるきっかけとなった絵。この絵は構図が新鮮。丹頂鶴が富士山の後ろのほうから現れ緩くカーブをえがきながら左方向へ旋回している。まるで子どもが遊ぶ飛び出し絵本をみているよう。こういうハットする構図が芦雪の一番の魅力。

04年に金閣寺でみた‘白象唐子図’(06/7/29)と嬉しい再会。この絵が展覧会に出品されるのは昭和12年(1937)以来のことらしい。子どもたちは象の頭の上に登ったり、大きな鼻をさわったり、背中に乗っかりワイワイガヤガヤ。やさしい目をした象は元気に遊ぶ子どもたちを嬉しそうにみている。

前後期でみた芦雪の絵は84点。今は満ち足りた気分である。芦雪の大きな回顧展を2回も体験できたのは幸運なめぐり合わせというほかない。ミューズに感謝!

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