2015.08.22

岩佐又兵衛の‘小栗判官絵巻’!

Img     岩佐又兵衛の‘小栗判官絵巻’(第七巻 17世紀 三の丸尚蔵館)

Img_0001     ‘小栗判官絵巻’(第十三巻)

Img_0002     ‘小栗判官絵巻’(第十五巻)

Img_0003     ‘彦火々出見尊絵巻’(17世紀 三の丸尚蔵館)

迎賓館で七宝を楽しんだあと向かったのは皇室つながりで三の丸尚蔵館、現在ここで‘絵巻を愉しむーをくり絵巻を中心に’(7/4~8/30)が開かれている。

三の丸尚蔵館へ来るのは久しぶり、前回何をみたのかすぐには思い出せない。定点観測しているHPに岩佐又兵衛(1578~1650)の‘小栗判官絵巻’が登場するとあったので出かけようという気になった。この‘小栗判官絵巻’は全15巻もある長い長い絵巻、じっくりみるのは2004年、千葉市美であった‘岩佐又兵衛展’以来。

絵巻は展示期間の前期後期で巻を替えており、後期の今は第七、十三、十五巻がでている。十三、十五巻は一度みたが、七巻ははじめてお目にかかった。小栗が乗りこなす馬が大きいこと!圧倒的な存在感で階段を駆け登り、傾斜のある建物の屋根を平気で進んでいく。あっけにとられてみていた。

十三巻のこの段は餓鬼姿で熊野をめざす小栗を照手姫が後ろから押している場面、ここは瀬田の唐橋。十五巻は小栗の死後の世界。絵巻の最後の見どころで多くの仏菩薩に供養される場面が描かれている。

展示されている絵巻はほかに祈祷の中で御酸をする姫君の身を案じて主人公が屋根から覗くところがおもしろい‘彦火々出見尊絵巻’、‘住吉物語絵巻’、‘酒呑童子絵巻’などがあった。絵巻は日本美術の華だからいずれも目に力をいれてみた。

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2015.08.12

国宝‘一遍聖絵’、今秋 藤沢・遊行寺で全12巻公開!

Img     国宝‘一遍聖絵’(巻第十二 部分)

昨日の朝日新聞に嬉しい展覧会情報が載っていた。藤沢市にある遊行寺では今秋、国宝の‘一遍聖絵’(1299年)を12巻すべて公開するという。場所はリニューアルされた宝物館で展示期間は10/10~11/16

この展示はこのあとパート2がある。11月の後半からは宝物館、神奈川県立歴史博物館(横浜市桜木町)、そして金沢文庫で4巻づつ公開される(12月半ばまで)、そして東博でも所蔵している‘巻第七’(原本)がこれとコラボして11/3から展示される。

鑑賞のオプションは2つ、頑張って藤沢まで足をのばし遊行寺で12巻をしっかり楽しむ、藤沢は遠いという人は金沢文庫か県立歴博まで出かけ4巻をみ、そして東博のオリジナルの‘巻第七’をプラスワンとする。遊行寺、時宗総本山・清浄寺はまだ訪問したことがないが、HPをみるとJR藤沢駅北口から徒歩15分で着くらしい。

この絵巻は時宗の祖となった念仏聖・一遍上人(1239~1289)の生涯を描いたもの。2002年京博で保存修理の完成を記念した特別展があり、当時住んでいた広島から全12巻をみるため新幹線に乗り込んだ。絵巻は鎌倉時代の人々の生活や風景が描き込まれているから、信仰の尊さを表現しているだけでなく当時の風俗を知る貴重な資料としての役目もはたしている。

風俗画をみるのはとても楽しい。遊行寺を訪問することを決めた。

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2015.05.21

再度足を運んだ‘鳥獣戯画展’!

Img_0001     国宝‘鳥獣戯画 甲巻’(12世紀)

Img_0002     国宝‘鳥獣戯画 乙巻’(12世紀)

Img_0003     国宝‘華厳宗祖師絵伝 元暁絵 巻一’(13世紀)

Img        ‘元暁絵 巻二’(13世紀)

上野の東博で行われている‘鳥獣戯画展’は後期(5/19~6/7)に入ったので、再度足を運んだ。10時に平成館の前に着いたが、すでに大勢の人、この時点で入館するのに50分、さらに‘鳥獣戯画’で人気度抜群の甲巻の後半部分をみるのにさらに120分。

5/1のときは外での待ち時間はだいたい同じだったが、中は倍待たなければみれない。この調子だと月末から最後の週はトータル4時間待ちになりそう。とにかく、兎や猿や蛙の人気は絶大!8年前サントリー美で鳥獣戯画展があったときとは大違い、あのときはこんなに並ばなかった。

後期の目的は‘華厳宗祖師絵伝 元暁絵’(全3巻)をみることだから、最初から甲巻の蛙が兎を投げ飛ばす場面はパス。館のなかにはいると‘元暁絵’へ急いだ。この絵巻は一度、東博の平常展示でお目にかかったが展示されたのは一部のみ。今回は物語の最初から最後まででているので目に気合を入れてみた。

冒頭の場面は元暁(がんぎょう)と義湘(ぎしょう)が新羅の山中で大雨に遭遇したため、やむなく墓とわかった塚に泊まるところ。手前の明恵みたいな顔をしたのが元暁で夢枕に赤鬼が立っている。鬼にうなされ夢から覚めた元暁はすべては心のもちようであると悟り、入唐を断念する。

この絵巻の最もおもしろいところは龍宮へ向かう使者たちが海にできたブラックホールのような穴へ吸い込まれる場面、海面がぐらぐら揺れまわりには摩竭魚(まかつぎょ)が元気よく飛び跳ねている。この高僧伝に惹きつけられるのは人物や風景が比較的大きく描かれているため。波の動きが細かい線描でリアルに表現され海の薄青が目にとても心地いい。

思いの丈が存分に叶えられたのであとは‘鳥獣戯画’の乙、丙、丁巻を列の流れるままにみた。足がとまったのは乙巻で獅子が息をふきかける先に描かれた蝶。どうして獅子と蝶の組み合わせなの?こういう意表をつくモチーフの登場は強く心に残る。3巻をみおわって甲巻の列をみるとさらにのびなんと140分になっていた。この状況では並ぼうかという気持ちは完全に消えた。

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2015.05.14

人気沸騰の‘鳥獣戯画展’!

Img     国宝‘鳥獣戯画 甲巻 弓で的を射る兎’(13世紀)

Img_0001     国宝‘鳥獣戯画 丙巻 首引き’(13世紀)

Img_0003     国宝‘華厳宗祖師絵伝 義湘絵’(13世紀)

Img_0002     国宝‘仏眼仏母像’(12~13世紀)

現在東博で開催されている‘鳥獣戯画展’(4/28~6/7)は開幕以来連日大勢の人を集めているようだ。猿や兎や蛙がでてくる鳥獣戯画は美術の教科書で一度は目にしたことのある絵巻であり、漫画の原点みたいなものだから特別親しみを覚える。だから、長い行列ができてもこの絵だけはみておこうという気になる。

GWの前に足を運んだが、甲巻の前にたどり着くのに2時間かかった。この絵巻が修復によりきれいによみがえったことを日曜美術館で詳しく取り上げていたから、以前より目に力が入る。もっともひきつけられるのはやはり甲巻。兎と蛙が弓で的を射るのを競う場面をしっかり楽しんだ。勝負ごとはどの種目でもそれをやっている者は神経をピリピリさせるもの、兎と蛙の動きにはそれがよく現れている。

人物が登場する丙巻は風俗画の魅力が満ち々ている。思わず口元がゆるむのが若い僧と年とった尼が行っている首引き、綱引きなら小さいころ学校の運動会でやったが、こういう首にひもをひっかけてやるものはいつごろまで行われていたのだろうか、

今回会場で展示を知ったのが‘華厳宗祖師絵伝 義湘絵’、4巻が全部でているのだからびっくりした。これは数ある絵巻のなかでもMyお気に入りのベスト3に入れているもの。これまで3回お目にかかったが、最初から最後までみたのははじめて。すばらしい!

最大の見どころは義湘に恋した善妙が海に身を投じて龍になり義湘の乗った船を支えて新羅まで行くところ、見事な線描と明るい彩色により表現された海原をダイナミックに進む龍の姿と波のうねりが心を強く打つ。後期(5/19~6/7)には‘元暁絵’がこれまた全部展示される。こちらも見逃せないので再度足を運ぶことにしている。

もうひとつ仏画の傑作がでている。‘仏眼仏母象’(前期4/28~5/17)、とにかくこの展覧会は高山寺の至宝があそこにもここにもあるという感じ。鳥獣戯画だけみておわりではもったいない。甲巻だけで体は疲れるだろうが、これをみたあと少し休憩をとりほかの作品にも目をむけてみると楽しみがさらに増す。

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2014.11.29

国宝 ‘過去現在絵因果経’の全場面展示!

Img_0003     国宝‘過去現在絵因果経’(奈良時代 8世紀)

Img_0002     国宝‘訶梨帝母像’(鎌倉時代 13世紀)

Img_0001     ‘不動明王像’(重文 平安時代 10世紀)

Img     俵屋宗達の‘舞楽図屏風’(重文江戸時代 17世紀)

京都の醍醐寺へは2度足を運んだことがある。お楽しみは五重塔をみることと霊宝館に展示されている国宝などとの対面。出かけるときはHPで公開されている国宝を事前にチェックする。これで5年くらい前は狙っていた‘文殊渡海図’をようやく目にすることができた。

ところが、もうひとつ追っかけている‘過去現在絵因果経’は2回ともでてこなかった。3つある国宝の‘絵因果経’、2つは運よく見たがここにあるものとはなかなか縁がむすばれない。ところが、ようやく鑑賞の機会が巡ってきた。京都ではなくて、東京で。

久しぶりに出かけた渋谷の松濤美、ここで11/24まで‘醍醐寺展’が開催され、念願の‘過去現在絵因果経’が全場面公開されていた。15メートルもあるこの日本最古の絵巻を夢中になってみた。小さいころ遊んでいた紙芝居と同じような心持で釈迦のお話に感情移入していく。

クライマックスは魔王が大勢の怪物を引き連れて釈迦の修業を妨害するところ、まったく動じない釈迦。こういう風に悟りをひらくまでの道のりが絵でインプットされるとイメージしやすい。思わぬところでこの国宝がみれたのは本当に幸運だった。

今回作品の展示が前期と後期に分けてあったが、後期は国宝の‘訶梨帝母像’がでていた。これは西洋画でいうと聖母子のような絵。自然と心が和む。‘不動明王像’は目に特徴がある。なぜかバセドー病のように目がとび出ている。だから、よく記憶されている。

これもきていたのか、と思わずニンマリだったのが宗達の‘舞楽図屏風’。この屏風でいつも視線が向かうのが左隻の右上の羅陵王。その鋭いまなざしに釘付けになる。やっぱり宗達はいい、いい、と心のなかで呟きながら館を後にした。

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2013.05.31

追っかけ‘佐竹本三十六歌仙絵’!

Img_0001_2  ‘佐竹本三十六歌仙絵 藤原仲文’(重文 鎌倉時代 13世紀 京都・北村美)

Img_0002_2     ‘小大君’(重文 奈良・大和文華館)

Img_0003_2     ‘紀友則’(重文 京都・野村美)

Img_0004_2     ‘藤原敏行’(重文)

‘佐竹本三十六歌仙絵’には特別の思い入れがあり、一点でも多くみたいと願っている。でも、この絵の追っかけはとても完成しない。サントリー美の展覧会であらたに一点が姿をみせてくれ、これまでみたものは37点のうち17点になった。

過去に‘佐竹本’を少しまとまった形でみる機会がいくつかあった。
★‘日本と東洋の美’(東博 1992年)  ‘平兼盛’など5点
★‘歌仙の饗宴’(出光美 2006年)   ‘小大君’‘紀友則’など9点
★‘特集陳列 佐竹本三十六歌仙絵’(東博 2006年)  ‘小野小町’など4点
★‘森川如春庵コレクション’(三井記念美 2007年)  ‘藤原敏行’
★‘もののあはれ展’(2013年 サントリー美)   ‘藤原高光’‘源順’

‘徒然なるままに’さんが06年ご自身のブログで‘佐竹本’37点がどこの美術館あるいは個人に所有されているかをまとめられた。大変有難い情報で追っかけに利用させてもらおうと思っている。その貴重なリストによると個人の所蔵が多く16点を数える。このなかでお目にかかったのは画像に載せている‘藤原敏行’、‘藤原興風’、‘小野小町’、‘壬生忠見’の4点だけ。残りは大‘佐竹本三十六歌仙絵展’でもないかぎりみれそうにない。

対面の可能性があるのは美術館にあるもの。日本画の場合、常時展示されていないので美術館へでかけてもみれるという保証はないのだが、アバウトに狙いを定めている美術館は、

★京都・北村美 ‘藤原仲文’
★京都・湯木美 ‘在原業平’
★京都・泉屋博古館 ‘源信明’
★諏訪湖・サンリツ服部美 ‘大中臣能宣’
★広島・耕三寺博物館 ‘紀貫之’

まずは旅行計画のたてやすい京都の3つの美術館。ぼちぼち進んでいきたい。

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2013.05.24

国宝‘大神社展’に‘北野天神縁起絵巻’が登場!

Img_0003_2     国宝‘北野天神縁起絵巻’(鎌倉時代 13世紀 京都・北野天満宮)

Img_0001_2     狩野内膳の‘豊国祭礼図屏風’(重文 左隻部分 17世紀 京都・豊国神社)

Img_0007_2     国宝‘彩絵檜扇’(平安時代 12世紀 広島・厳島神社)

Img_0005_2     ‘狩衣 紺地白鷺葦模様’(安土桃山時代 16世紀 岐阜・春日神社)

二度目の‘大神社展’(4/9~6/2)のお目当ては後期展示(5/8~6/2)の国宝‘北野天神縁起絵巻’。この絵巻は展示される機会が滅多にないから心待ちにしていた。東博に展示されるのは‘巻第八’で僧日蔵が六道めぐりをする場面、東京展のあと巡回する九博では‘巻第六’の清涼殿に落雷し雷神が現れる場面が展示される。

長年待っている雷神の絵が東博で展示されないのは残念だが、東京でこの絵巻をみれるなんて幸運このうえないことなので‘巻第八・天道’を2回並んでみた。ほかの絵巻とちがって天地が50㎝もあるので、一人々の人物が大きく描かれているのが特徴、だから勢いのある動きや表情豊かな顔を夢中になってみてしまう。赤ん坊をかかえて走っている女や正面向きの男の円い顔、優雅に空を飛ぶ天女、年老いたことを嘆き悲しむ老婆、、、

‘豊国祭礼図’のみどころはなんといっても二つの風流踊りの輪。最近は洛中洛外図のような画面にびっしり描き込まれ当世風俗をじっくり追っかけることがしんどくなっているのだが、久しぶりの‘豊国祭礼図’、単眼鏡のピントを合わせてこのエネルギッシュな踊りをのぞいてみる価値はある。傘を被った女たちは体を大きく曲げリズミカルに踊っている。このスピード感、イタリアの未来派がみたら裸足で逃げるにちがいない。これは世界に誇れる一級の風俗画。

入ってすぐの部屋には前期春日大社や熊野速玉大社の古神宝がどどっと飾られていたが、後期は広島の厳島神社や鎌倉の鶴岡八幡宮のお宝づくし。その一つ‘彩絵檜扇’を長くみていた。薄い檜の板に雲母を蒔き野原の風景を楽しむ直衣や狩衣を着た人物がじつに繊細に描かれている。こんな装飾性豊かな扇を一度でいいから手にしてみたい。

刺繍であらわされた白鷺が幾羽も飛び交う紺地の狩衣にも足がとまった。能衣装をみる機会がこれまで数回あったが、この模様は強く印象に残る。

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2012.03.24

スーパー展覧会!‘ボストン美 日本美術の至宝’ その二

3664_2     ‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻 三条殿炎上’(13世紀後半)

3665_2  ‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻 後白河上皇を拉致する信頼軍’(13世紀後半)

3666_2     ‘吉備大臣入唐絵巻 巻三’(12世紀後半)

3667_2     ‘吉備大臣入唐絵巻 巻三’(12世紀後半)

曽我蕭白の‘雲龍図’とともに鑑賞を楽しみにしていたのが‘平治物語絵巻 三条殿夜討巻’。この日本にあったら国宝間違いなしの絵巻は2000年にも里帰りしている。このときは広島に住んでいてみることができなかった。その絵巻とようやく対面でき今は満ち足りた気分。

顔を画面にくっつけるようにしてみたのが三条殿が炎上する場面。これまで美術本でこのシーンを何度みたことやら。紅蓮の炎の表現はじつにリアル。建物が勢いよく燃えるときはこんな感じ。こちらにまで熱い空気が流れてきて火の揺れ動く音や燃える木からでるパチパチという音が聞こえてくるよう。この炎上のシーンばかりみていると、そのすぐ下で二人の武士が男の首を切り落とすところを見逃す。

東博や静嘉堂文庫にある‘平治物語絵巻’と比べるとボストンが所蔵するものは迫力が一段とまし、騒然とし殺気に満ちた合戦の様子がストレートに伝わってくる。とくにスゴイのが動的描写。牛車が猛スピードで走り、激しく炎上する建物の横では血まなぐさい闘いがそこかしこで繰り広げられる。そして後白河上皇を乗せた牛車を取り囲む武士の数が圧倒的に多く、その菱形をした隊列は軍団のパワーを見せつける。

1週間くらい前NHKであったこの展覧会を紹介する番組(俳優の石坂浩二らが出演)に牛車のスピード感を表わすのに車輪を細い線のぐるぐる巻きにし漫画的に表現しているという話がでてきた。この描き方は以前静嘉堂文庫で絵巻をみたとき気づいていたが(拙ブログ09/6/29)、ボストン美蔵でもこの表現がでてくるとこがわかったので隣の方と4つの目でじっくりみた。車輪のむこうに犬の足まで描かれている。これはスゴイ!

2年前奈良博の‘大遣唐使展’にやってきた‘吉備大臣入唐絵巻’(10/4/22)は四巻全部が展示されている。まだ縁の無かった巻二と三をニヤニヤしながらみた。文選(もんぜん)の試験では吉備大臣は幽鬼(安倍仲麿の霊)の協力を得て出される問題を盗み聞きする。本当に楽しい絵巻、一生の思い出になる。

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2011.03.24

期待値を大きく上回る‘白洲正子 神と仏、自然への祈り’展!

2507_2     ‘日月山水図屏風’(重文 室町時代 16世紀)

2510_2     ‘長命寺参詣曼荼羅図’(桃山時代 17世紀)

2508_2       ‘女神坐像’(重文 平安時代 9世紀)

2509_2     ‘狗児’(重文 鎌倉時代 13世紀)

‘白洲正子 神と仏、自然への祈り’展(3/19~5/8)をみるため、世田谷美へ足を運んだ。当初この展覧会は鑑賞することにしていたのに、チラシに載った展示作品をみて気が変わり今回はパスでもいいかなと思っていた。

が、3.11の大地震のため美術館めぐりの計画が大きく狂ってきた。開催中だった展覧会や開催の決まっていたものの多くが休館になったり延期になったりしているのである。そのため、急遽開館中の世田谷美を訪問することになった。ここは到着するまで随分時間がかかる。用賀駅から出ているバスは30分に1本、タイミングが悪いと長く待つはめになる。今日はその悪い日。交番で地図をもらい歩くことにした。

この特別展は白洲正子の生誕100年を記念するもの。といっても、白洲正子の眼を通して日本美術を深くみようなんて考えははじめからなく、いつものスタイルで思いは追っかけ作品を一つでも二つでも眼のなかにおさめることだけ。だから、この大変な目利きが書いた紀行文を立ち止まって読むことはせず、気楽にみてまわった。

感心するのは作品の見せ方。この演出はこの展覧会に携わった人たちのセンスの良さを物語っており、白洲正子の美に対する豊かな感性と自然や神仏へむかう心情をよくくみとり、仏像、絵画、能面などを印象深く見せてくれる。いい展覧会を体験していると思わせるのはとにかく作品の内容がいいから。ズバリ、東博で行われる展覧会となんらかわらない一級の展覧会である。見てのお楽しみ!満載。

再会したかったのは大阪の金剛寺にある‘日月山水図屏風’。3,4年前あったサントリーの屏風展にも出品されていた。これは右隻のほう。じっくりみているうちに加山又造の絵(拙ブログ06/3/1107/2/20)が重なってきた。又造はこの山水図を参考にしていることは知っていたが、よくみるとこの絵に描かれているモチーフをいくつもとりこんでいることがわかった。左上にみられる金箔や銀箔の小さな四角がそうだし、複雑な波濤フォルムをベースにしこれをさらに洗練させ立体的な波の形に昇華させたのは間違いない。

参詣曼荼羅図が数多くでていた。そのなかで色がよく残り、画面の隅から隅まで楽しめたのが‘長命寺参詣曼荼羅図’。右のほうには大勢の参拝客にまじって犬や鶏がみえ、左には蹴鞠に興じる人たちがいる。そして、眼が点になるのが連続して綿密に描かれている波の線。こういう曼荼羅図だと眼が疲れないし飽きない。

今回の追っかけ作品は‘女神坐像’(京都・松尾大社)と‘狗児’(高山寺)。量感があり存在感いっぱいの‘女神坐像’で釘付けになるのが長い髪。この黒髪パワーにたじたじといったところ。高山寺にある狗児の木彫は前々から気になっていたが、本物はやはりよかった。いっぺんに魅せられた。

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2010.04.22

奈良博の大遣唐使展に‘吉備大臣入唐絵巻’が里帰り!

1476_2    ‘吉備大臣入唐絵巻’の‘遣唐使船の到着’(一巻)

1477_2     ‘吉備大臣と名人の囲碁勝負’(四巻)

1479_2     韓幹の‘照夜白図’

1478_2     ‘仕女図’

平城遷都1300年を記念して開催される‘大遣唐使展’(奈良博、4/3~6/20)は10年に一度クラスの大展覧会。会期中、絵画、書、彫刻、やきもの、工芸などが全部で
261点展示される。その内容がすごい!わが国の国宝41点だけでなく、中国、米国からやってきた一級の文物も沢山ある。こんな機会は滅多にないから目に力をいれてしっかりみた。

この特別展のお目当てはボストン美から10年ぶりに里帰りする‘吉備大臣入唐絵巻’(一巻、四巻)。2000年、東博であった国宝展に出品されたのを見逃したから、今回はなんとしても見なくてはという気持ちが強い。

この絵巻は吉備真備(きびのまきび)の説話を絵画化したもの。制作の時期は平安時代、12世紀の後半とみられている。遣唐使として中国に行った吉備大臣は唐の皇帝によって楼にとじこめられ、難題をいろいろふっかけられる。だが、これを鬼となっていた安倍仲麻呂のアシストを得て難なく解決し、‘文選’‘囲碁’などの宝物をもって無事日本に帰還する。

一巻は吉備大臣の乗った船が唐に到着する場面。紙のかすれがあり体全部はみえないが、右にいるのが吉備大臣。岸には武官たちが待ち受ける。人物の顔をみると、伴大納言絵巻に登場する人たちの顔とよく似ている。四巻に描かれているのは囲碁の勝負。異時同図法が用いられ、右から左へ3つの場面が展開する。

一番右では唐の名人と真剣勝負の真っ最中。なかなか勝負がつかない。で、吉備大臣はズルをする。黒石をひとつ飲み込むのである。これが占いでバレたので強力な下剤を飲まされる。だが、吉備大臣は気合をいれてこれを腹に残して、勝負を決着させる。真ん中は衣服を脱がされてチェックされてるところ、左では臭いのを我慢してみるが黒石は発見できないでいる。

この絵巻の全体がどうなっているかは第2会場へ向かう途中に設けられた大型画面にデジタル画像による解説があるのでしばらくいるとおおよそわかるし、人物表現のおもしろさ、動きのある描写を楽しむことができる。

びっくりする絵画があった。08年、メトロポリタン美でみた‘照夜白図’が展示されている!この白馬は玄宗皇帝の愛馬。たて髪の細かい描写と顔をぐっと上げて立ち止まる躍動感あふれる姿を釘付けになってみた。また、隣にある同じくMET蔵の周文の‘琉璃堂人物図’にも足がとまる。

皇帝の王子の墓に描かれた壁画、‘仕女図’(陝西省考古研究院)をみるのは2度目。4,5年前あった‘中国国宝展’に出品された。とくにひ惹きつけられるのは右の女。ふっくらした顔をとらえた線描と口紅の赤を再度目に焼き付けた。

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