2017.04.10

外国人も魅了する日本の桜!

Img_0001     ‘桜下弾弦図屏風’(17世紀前半 出光美)

Img_0002     宮川長亀の‘上野観桜図’(18世紀前半 大倉集古館)

Img_0003     ‘醍醐花見図’(重文 16世紀末 国立歴史民俗博)

Img     ‘豊公吉野花見図屏風’(重文 16世紀末 細見美)

日本に海外から多くの人たちが来るようになり、春の一大イベントである花見が外国の人たちの心をとらえるようになってきた。4/4の上野には外国人観光客が大勢いた。4月、花見目的で日本を訪れる外国人は年々増えているようで、月ベースでみると最も多い7月の数字に迫っている。

花見が日本人に愛されるのは桜の美しさだけでなく、気候が寒い冬から暖かくなり体も心も軽やかになることとも関係している。そして、年度が替わり職場には新たに社会人になった人や新天地を求めてやってきた人がおり、またほかから転勤で移ってきた人もいておおいに活気づく。

となると、会社では花見にくり出そうという話はすぐ決まり、そういうことがない人でも週末は家族で弁当をつくって出かけようとなる。こうした日本人の定番行動に海外からのお客が加わるのだから、4月は日本全国、花見の話題が尽きない。

日本の絵画にも桜や花見を描いたいい絵がたくさんある。‘日本の美!桜’シリーズでとりあげなかったものを並べてみた。風俗画‘桜下弾弦図屏風’は出光美の自慢のコレクション、はじめてお目にかかったときは心がほわーとなった。

現在、大倉集古館は改修中で閉鎖されているが、いつ再オープンするのだろうか?ここには上野の花見の様子を描いたのがある。描いたのは享保から寛保(1716~44)頃活動した宮川長亀、にぎやかな花見の光景は昔も今も変わらない。

花見が大好きだった豊臣秀吉、晩年に醍醐寺と吉野で催した盛大な花見が絵に描かれている。吉野の桜は名古屋にいたとき喜び勇んででかけたが、醍醐寺の桜はまだ縁がない。来週、‘海北友松展’(京博)をみるために京都に出かけるが、醍醐寺は楽しめない。いつか花見のころここを訪れたい。

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2016.03.12

‘洛中洛外図屏風(舟木本)’が国宝に!

Img_0003       ‘洛中洛外図屏風(舟木本)’(部分 17世紀前半 東博)

Img_0001     ‘遊女たちの踊り’

Img     福田平八郎の‘漣’(1932年 大阪新美建設準備室)

東博で定期的に展示される‘洛中洛外図屏風(舟木本)’が重文から国宝に格上げされることになった。これを描いた岩佐又兵衛(1578~1650)の作品が国宝に指定されるのははじめてのこと。

この決定はちょっと意外だった。いくつかある洛中洛外図では米沢市にある狩野永徳が描いた‘上杉本’が国宝としてでんと存在しているので、新たに‘舟木本’が国宝になることは頭のどこにもなかった。でも、考えてみればこれが国宝とよばれてもなんら違和感はない。上杉本同様、画面には都に暮らす人々の様子が生き生きと描かれており、時代の空気や都の喧噪を伝える風俗画の魅力が十二分に味わえる。

10年くらい前、東博にこの屏風が展示されたとき3回くらい通って、描かれている場面と格闘した。手に持っているのは小学館から刊行されている‘アートセレクション 洛中洛外図屏風(舟木本)’(奥平俊六著 2001年)、この本で解説されている箇所を全部つきとめようというのである。

これ、じっさいやってみると大変、画面全体が明るくないのとなにしろ2728人が登場するので場面々をひとつひとつみていくのは本当にくたびれる。粘り強く単眼鏡で屏風の端から端までなめまわして吹き出しのついた場面をひとつ残らず確認した。時間がかかった分だけ、この洛中洛外図屏風を徹底的に楽しみ腹の底から笑った。これは一生忘れられない鑑賞体験。なかでも一番魅了されるのが遊女が踊っている場面、この軽さ、明るさ、ライブ感覚、まさにこれぞ風俗画!という感じ。

新たに重文に指定されたもののなかに福田平八郎(1892~1974)の‘漣(さざなみ)’があった。これからはこの年代の画家たちの作品にスポットが当たってくるのかもしれない。

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2013.11.07

アゲイン ‘洛中洛外図屏風’に完全密着!

Img_0002_2     ‘歴博甲本 念仏踊’(重文 室町時代・16世紀 国立歴博)

Img_0005_2  ‘福岡市博本 通りのにぎわい 曲芸’(重文 江戸時代・17世紀 福岡市博)

Img_0006_2     ‘福岡市博本 通りのにぎわい 炭売りの大原女’

Img_0007_2     ‘池田本’(重文 江戸時代・17世紀 岡山・林原美)

東博で開催されている‘京都展’(10/8~12/1)は11/6から後期がスタート、重文の‘洛中洛外図屏風’が3点でてくるので喜び勇んで出かけた。

洛中洛外図をみるのは体力的にしんどい面があるが、残っている重文3点をみれば済マークがつくので完全密着してみた。前回同様通期に展示されている‘舟木本’はパス。まず列の最前列に並んで蟹の横這いをしたのは国立歴博にある最古の洛中洛外図‘歴博甲本’。

通りで営業している店が何を売っているのか見当をつけようと思うのだが、知識不足ではっきりとはわからない。当たっているかなというのは扇子屋、やきもの屋、魚屋、そして右隻の左端に公衆浴場があるのをみつけた。ここから視線を下に移すと辻では念仏踊の真っ最中。この洛中洛外図では祭りの場面がそれほど躍動的に描かれてないので、この輪舞する踊り手の姿に思わず足がとまる。通りには定番の動物、犬、闘鶏、猿がいた。

次にみた‘福岡市博本’は楽だった。屏風としては六曲一双だが、天地が短く通りがひとつだけしか出てこないので目をキョロキョロさせずにすみ、描かれているひとつ々の場面に気持ちが集中できる。目を惹いたのが女たちが夢中になってみている曲芸、女の後ろをみると煎茶売りが商売をしている。そして、その右にあるうどん屋の前では男が竹で子どもを打ちつけている。何が気にさわったのか?

右隻のはじめにおもしろい場面が描かれている。白い衣装を着た坊主が酔っぱらって千鳥足、女に支えられてやっと立っている感じ。隣で行なわれている勧進相撲に興じてつい飲みすぎたのかもしれない。イベントや祭りに酒がつきものというのは今も昔も変わりない。また、左隻にでてくる二人の大原女にも足がとまった。頭に炭をのせ元気よく歩いている。その前では人形使いが女、子どもたちの視線を釘づけにしている。

最後にみた‘池田本’(岡山・林原美)でびっくりさせられるのはまばゆいばかりに輝く金雲と描かれている人物の多さ、その数なんと3000人。画面のいたるところで賑やかな祭りの場面や見世物や踊りがみられ、京の町全体にあふれる活気と華やかさがあますところなく描かれている。単眼鏡で隅から隅までみたのでちょっと疲れた。

とくに興味深くみたのはエンターテイメント心に火をつける見世物。猿の被りものをしたパフォーマンスがあったり綱渡りの曲芸があったりするのでタイムスリップして観客のなかに紛れ込みたくなった。そして、目が点になったのが祭りに繰り出す武者たちの被る兜。クワガタの角を馬鹿デカくしたような形の兜、これには参った!また山鉾のまわりにくくりつけられている虎の皮にも目がいく。

前期も後期も洛中洛外図にすべての鑑賞エネルギーを注ぎ込んだ。この展覧会は一生の思い出になる。

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2013.10.27

アートに乾杯! 心をときめかせる風俗画3点

Img_0002     国宝‘婦女遊楽図屏風’(左隻 17世紀前半 大和文華館)

Img       ‘歌舞伎図巻 茶屋遊びの場’(重文 17世紀前半 徳川美)

Img_0001     ‘桜下弾弦図屏風’(17世紀前半 出光美)

今年の春、新歌舞伎座が完成したのを機に行われた‘歌舞伎展’(サントリー美)で待望の絵と出会った。名古屋の徳川美が所蔵する‘歌舞伎図巻’、何年か前現地でみたのだが、そのとき展示されていたのは残念ながら期待していた場面でなく追っかけがリセットされていた。

みたかったのは‘茶屋遊びの場’、男装した采女が舞台の中央で大刀に寄りかかっている姿。もう何年も前からしびれてきたこの体をS字にまげたカッコいいポーズ、やっとその前に立ちいい気持でながめていた。こういう鮮やかな色彩と繊細な文様が目を惹く衣装を身に着けた人物が登場する風俗画をみると心が大いにときめく。

この采女をみたので風俗画は大仕事が終わった感じ。ここまで来るのに何年もかかった。美術本に載っている主だったものはほぼ目のなかにいれたが、最も感激したのはこの‘歌舞伎図巻’と奈良の大和文華館にある国宝‘婦女遊楽図屏風(松浦屏風)’。

じつはこの2枚のちょっと大きめの図版をリビングの壁に飾っている。松浦屏風は奈良ではじめてみたときからだから、もう20年くらいになる。そして、この春から采女も一緒に飾っている。松浦屏風に描かれている遊女は普通イメージする遊女とはまったく異なり、自分の感性をしっかり主張する魅力にあふれる女性が文を書いたり遊戯に興じている感じ。

これと会ったときは修復が終わったばかりだったので、屏風全体が輝いていた。地の金箔に目がくらくらし18人の着る小袖の色の組み合わせと華麗な文様がえもいわれず美しく声を失ってみていた。まさに‘THE 風俗画’。それ以来日本画の好きな人がいるとこの屏風を薦めている。

出光美にある‘桜下弾弦図’も大変魅了されている一枚。これまで4回くらいみる機会があったが、いつも左の長いキセルをもつ人物にでれっとしている。桜が満開になるとこの絵がふと頭をよぎる。

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2013.10.10

‘京都展’ 洛中洛外図は楽し!

Img_0006_2   国宝‘洛中洛外図屏風 上杉本 御所’(室町時代・16世紀 米沢市上杉博)

Img_0005_2     ‘上杉本 子どもたちの綱引き’

Img_0004_2  ‘洛中洛外図屏風 歴博乙本 御霊祭’(重文 室町時代・16世紀 国立民俗博)

Img_0002_2 ‘洛中洛外図屏風 勝興寺本 二条城’(重文 江戸時代・17世紀 富山県勝興寺)

日本画の風俗画のなかでとりわけ脳を本気にさせるのが洛中洛外図屏風、室町時代から江戸時代にかけてかなりの数制作されたが、現在国宝、重文に指定されているのは7点。それらが全部結集する‘京都展’が10/8から東博ではじまった。

まず7点の展示日程のことを。
★前期展示(10/8~11/4):上杉本(国宝)、歴博乙本(重文)、舟木本(重文)、
                   勝興寺本(重文)
★後期展示(11/6~12/1):歴博甲本(重文)、舟木本、福岡市博本(重文)
                   池田本(重文)

今回の展覧会は前菜がなくいきなりメインディッシュをいただく感じ。また、食後のスイーツもなし。大作の洛中洛外図や壁画や襖絵なので作品の数は全部で20しかない。でも、ビフテキを食べるのに時間がかかるようにこれらをしっかり楽しんでいると館内に結構長くいることになる。

洛中洛外図をみるのはかなりしんどい。多くの方が同じ思いだろう。それは金雲の合い間に描かれているひとつ々の場面が小さいから。これが沢山あって京都の町の光景を余すところなく描写している。右から左へそして下から上へと視線を動かしていくが、描かれている日常生活の情報が多すぎるからおもしろいのに疲れる。

上杉本は以前米沢市へ遠征して時間をかけてみたので、どんな光景が描かれているかはしばらくみていると想い出す。この洛中洛外図は2000年に修理が完了したこともあって色彩が鮮やかなので、とても楽しめる。足が止まるのが御所での舞楽、武士の家の前で行われている闘鶏、将軍の邸宅、家の屋根葺き、子どもたちの綱引きや羽子突き遊びなど。

上杉本を単眼鏡を使って満喫したあと、目に力をいれたのは初見の‘歴博乙本’と‘勝興寺本’。通期展示の‘舟木本’は上杉本同様、何が描かれているかはわかっているので今回はパス。歴博乙本で興味深かったのは御霊祭の神輿、祭りの熱気が伝わってくるよう。

勝興寺本の見どころは左隻の中央に大きく描かれた二条城、当時は天守閣があり城の前を祇園祭の神輿が進んでいる。この洛中洛外図は人物が比較的大きく描かれているので、画面の隅から隅まで根気強くみた。注目したのは祭りの行列に舟木本でもみられる幌を担いだ母衣武者が登場するところ。また、猿曳きにも目がとまった。

後期も洛中洛外図を存分に楽しみたい。

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2013.02.27

やっと‘歌舞伎図巻’がみれた!

Img_0003_2     ‘歌舞伎図巻’(重文 江戸時代17世紀 徳川美)

Img_0002_2     ‘歌舞伎図巻’(拡大図)

Img_2     ‘邸内遊楽図屏風’(江戸時代17世紀 サントリー美)

Img_0005_2     歌川国貞の‘役者はんじ物 市川団十郎’(1812年 千葉市美)

サントリー美で開催されている‘歌舞伎 江戸の芝居小屋’展(2/6~3/31)を楽しんだ。サントリー美へ出かけるのは久しぶり。帰るときミッドタウンのなかを通ったら3つの店舗が閉鎖されていた。ここの集客力ができたときより低下しているのだろう。案内嬢の話だと4月リニューアルするらしい。都内では今商業施設間の顧客争奪戦がヒートアップ。出店する店舗はおいしい食べ物や魅力ある商品を提供しないと生き残るのは難しいかもしれない。

もうすぐ完成する新歌舞伎座を祝って行われるこの展覧会、期待する絵が1点あって足を運んだ。それは25日で展示は終了した‘歌舞伎図巻’。今回下巻がでたのだが、最後の場面‘茶屋遊び’に描かれている男装した采女(うねめ)のカッコいい姿をぜひともみたかったのである。

じつはこの図巻は08年名古屋の徳川美でみることはみた(拙ブログ08/5/15)。ところが、展示替えがありこの場面はみれなかった。この采女との対面を楽しみにして乗り込んだのにとんだ肩すかし。こういうときはがっくりくる。どこの美術館でも名品はなかなか出さない。やっとサントリーでリカバリーのチャンスが巡ってきた。素直に嬉しい。

これをはじめてみたときびっくりしたのは保存状態の良さ。画面全体で色彩がこんなに輝いている風俗画はめったにみれない。そして、采女の思わず声をかけたくなる決めポーズ。この姿がなんともいい。顔のふっくらした采女は大刀に寄りかかり体を竹久夢二式美人のようにS字に曲げ、胸には流行のファッションアクセサリーとしてロザリオをさげている。これをみれたのは一生の思い出。

今回はほかにもサントリー美蔵の‘邸内遊楽図屏風’などがでており、館内は華やかな歌舞伎の雰囲気につつまれている。収穫ははじめてお目にかかった‘歌舞伎遊楽図屏風’(重文 文化庁 展示は25日で終了)。大きなオマケをもらったような気分。

人気役者を描いた浮世絵が沢山でている。最も多いのが歌川国貞と豊国の描いたもの。そのなかで市川団十郎は十二代が先頃亡くなったばかりだから、特別な思いでみていた。足がとまったのは‘役者はんじ物の市川団十郎’。また、勝川春章の‘岩井半四郎の大夫’などにも魅せられた。

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2012.02.05

岩佐又兵衛の‘山中常盤物語絵巻’ 3月MOAで全巻公開!

3500_2     ‘山中常盤物語絵巻’(重文)

3501_2     ‘浄瑠璃物語絵巻’(重文)

3502_2     ‘堀江物語絵巻’

今年前半に行われる日本および中国美術関連の展覧会には毎月とぎれることなくビッグな作品が登場する。1月は‘清明上河図’、2月は国芳の浮世絵。そして、今ワクワクしながら待っているのが3月の熱海のMOAで展示される岩佐又兵衛の‘山中常盤物語絵巻’。

今年が開館30周年となるMOAではこれを記念して所蔵する名品が1年かけてどどっとでてくる。なかでも特筆ものは岩佐又兵衛(1578~1650)の絵巻物。展示の内容は次のようになっている。
★‘山中常盤物語絵巻’ 3/3~4/4
★‘浄瑠璃物語絵巻’   4/6~5/9
★‘堀江物語絵巻’    5/11~6/5

‘山中常盤’は12巻全部が公開されるのは03年の秋以来のこと。長らく待ったがようやくみることができる。04年千葉市美であった‘岩佐又兵衛展’にこの絵巻もでてきたが、展示されたのは残念ながら第3巻のみ。この回顧展のあとみた映画やMOAが作った図録により物語がどのように絵画化されているかは頭に入ったのに、本物はなかなか姿をみせてくれなかった。

今回‘浄瑠璃‘と‘堀江’(ともに12巻)が連続して展示されるが、これは開館記念展以来30年ぶりのことだそうだ。こちらは鑑賞済みなのでパス。

3月~6月に開かれる展覧会でみられる作品で頭のなかを占領しているのは、
★曽我蕭白の‘雲龍図’:ボストン美 日本美術の至宝 (東博 3/20~6/10)
★雪舟の‘山水長巻’:毛利家の至宝 (サントリー美 4/14~5/27)
★尾形光琳の‘八橋図屏風’:KORIN展 (根津美 4/21~5/20)

対面を楽しみにして開幕を待ちたい。

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2011.11.06

サントリー美 南蛮美術全開!

3235_2     ‘南蛮人渡来図屏風’(左隻 桃山時代 17世紀前期 三の丸尚蔵館)

3236_2     ‘南蛮人渡来図屏風’(右隻部分)

3238_2     ‘泰西王侯騎馬図屏風’(重文 17世紀初期 神戸市博)

3237_2     ‘元和八年 長崎大殉教図’(部分 1626~32年 ローマ・ジェズ教会)

サントリー美では現在、‘南蛮美術の光と影’展(10/26~12/4)が開かれている。じつはこの展覧会はパスの予定だった。それが急遽でかけることになったのは三の丸尚蔵館にある‘南蛮人渡来図屏風’が出品されることがわかったから。

07年ここで‘BIOMBO 屏風 日本の美’展があり、サントリー自慢の‘泰西王侯騎馬図’(重文 通期)や伝狩野山楽の‘南蛮屏風’(重文 10/26~11/14)をはじめ‘レパント戦闘図・世界地図’(重文 香雪美 11/23~12/4)、‘洋人奏楽図’(重文 永青文庫)など有名な南蛮絵画が展示された。だから、この手の絵のヴァリエーションはもういいかなという気分があり、また長いこと追っかけている‘南蛮人渡来図’は今回もでてこないだろうと思っているから開幕していても完全にパスモード。

ところが、ミューズのお告げなのかもしれないがなにかの拍子でHPの出品作リストをクリックしたら、なんと‘南蛮人渡来図’がでていた! 展示は11/14までだから、あやうく見逃すところ。入館するとすぐあった。この屏風の存在を知ったのは99年。この年に出版された‘週間朝日百科 皇室の名宝’に載っていた。以来対面を待ち望んでいたが、やっとみることができた。

この南蛮屏風はほかの例えば、サントリー美にあるものとくらべると人物の描写がずいぶん違う。右隻左隻に何人いるか数えてないが、全体的に胴体と足がやたらと長く顔がとても小さい。この長身がまずインプットされたあと、顔の表情に目をやるとこれがまたおもしろい。

左隻の入港してきた南蛮船の甲板上で生糸の取引しているポルトガル人や日本人の顔はまるっこく穏やかな表情なのに対して、右隻に描かれている上陸したカピタン(総司令官、先頭で日傘をさしかけられている)は威厳をたもつためかしかめっ面をして南蛮寺(教会)に向かっている。

長年の夢が叶ったのでほかの作品は気楽にみた。10何年ぶりにみたのが神戸市博蔵の‘泰西王侯騎馬図’。今回サントリーのものと一緒に展示してある(通期展示)。これは圧巻!この絵の見所は王侯の姿より馬の迫力あるメンチ切り。二つの絵をよく見比べてみると、サントリーの馬のほうが鋭い。

特筆ものの絵が3点あった。それはローマのジェズ教会からやってきた長崎大殉教図(通期)。こんな貴重な絵がみれるとは思ってもみなかった。流石、サントリー。描かれているのは1622年イエズス会士をはじめとするキリシタン55人が処刑される場面。切り落とされた首を息を呑んでみていた。

最後にこのほか有名な絵(いずれも重文)の展示期間をまとめておきたい。
★狩野内膳の‘南蛮屏風’(神戸市博) 11/9~11/21
★‘四都図・万国人物図屏風’(神戸市博) 10/26~11/14
★‘洋人奏楽図屏風’(MOA) 10/26~11/7
★‘泰西風俗図屏風’(福岡市美) 11/16~12/4
★‘聖フランシスコ・ザヴィエル像’(神戸市博) 通期

サントリー開館50周年を記念する特別展だから、南蛮美術に関するものを全部みせますという感じ。南蛮屏風、王侯騎馬図、泰西風俗画、殉教図、世界地図、蒔絵螺鈿の聖餅箱、十字架、踏絵、南蛮胴具足、、、こういう豪華なラインナップの南蛮展はこの先20年はないだろう。

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2009.10.14

惚れ直した英一蝶の風俗画!

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板橋区美へまたでかけ、‘英一蝶展’の後期(9/25~10/12)に展示された作品を楽しんだ。8点のために横浜からはちょっと遠いこの美術館に足を運んだのはひとえに英一蝶の絵が好きだから。

前期を見たとき(拙ブログ9/9)と同様、ユーモラスな絵や底抜けに楽しい宴会の場面を見て、心はプラトー状態。展覧会は12日に終了したので、お気に入りの絵とこれから追っかけたい絵をとりあげてみた。

★四季日待図巻:出光美(上の画像)
★僧正遍昭落馬図:大和文華館(真ん中)
★田園風俗図屏風:ワシントン、フリーア美(下)

この回顧展は展示作品50点がいいだけでなく、それらを収録している図録がとても嬉しい編集になっている。拍手を送りたいのが図巻‘四季日待’(重文)と‘吉原風俗’(サントリー美)の図版がふたつとも巻の最初から終わりまで全部大きいこと。

この2点は所蔵している出光とサントリーで開催された企画展などで数回みており、図録もあるのだが、どれも小さな図版に収まっていて、本物を見たときの楽しい気分が再現しづらくなっている。今回この図録が手に入ったので、絵を見る機会が多くなりそう。

‘四季日待図巻’のハイライトは上の最も浮かれている風流踊りの場面。踊りの輪のなかで一際目立つのが幇間。手にもった盃と扇子をリズミカルに振り、宴会の場をおおいに盛り上げている。

三宅島に流されていた一蝶は自分が幇間として吉原に出入りしていた頃を思い出して、この絵を描いたのだろう。逆境にあっても、心の中ではこんな晴れやかな気分を持ち続け、絵でそれを表現できたというのがすごい!

女郎花(おみなえし)に見とれて落馬した遍昭を描いた真ん中の絵は展示替えなどでこれまで相性が悪い。図録でそのユーモラスな表情を見るたびになんとかしなくてはと思っている。

フリーア美にある六曲一双の屏風‘田園風俗図’は来年春ワシントンを再訪することにしているので、ひょっとすると会えるかもしれない?サプライズがあればいいのだが。

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2009.09.09

期待を裏切らない板橋区美の英一蝶展!

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板橋区美で開催中の‘英一蝶展’(9/5~10/12)を楽しんだ。ここ数年、英一蝶と池大雅の回顧展を待っていたが、そのひとつが実現した。

この美術館は25年前にも一蝶展を行っている。今回の出品数は50点。手元にある美術本に載っているもので対面できるかなと期待していた‘松風村雨図’とか‘僧正遍昭落馬図’(大和文華館)は残念ながら展示されてなかった。おそらく前回出品されたので今回はほかの作品を選択したのだろう。

前期(9/5~9/23)と会期中でているものに拙ブログで取り上げたのがある。
★大井川渡口図 (通期、07/7/19
★朝暾曳馬図 (前期、静嘉堂文庫、09/4/25
★布晒舞図 (前期、遠山記念館、06/12/1
★田園風俗図屏風 (前期、サントリー美、07/8/4
また、後期(9/25~10/12)に登場するものでは
★雨宿り図屏風 (東博、05/7/15

英一蝶(1652~1724)の絵が楽しいのは人物の動感描写が上手で、場面設定がとてもユーモラスだから。思わず笑ってしまうのは‘大井川渡口図’、‘茶挽坊主悪戯図’、‘徒然草 御室法師図’、‘鐘馗図’。見てのお楽しみ!

日常の仕事風景や遊びをリズミカルにスピード感のある筆さばきで描いたのが上の‘麦搗図’や‘投扇図’。‘麦搗図’では、お母さんにかまってもらおうとぐずぐず言っている幼子と木の後ろに隠れて作業をみているお兄ちゃんも一緒に描いているところが実にいい。‘投扇図’のぴゅーと跳んだ扇子の行き先を見逃さないように!

サントリー美蔵の‘吉原風俗図巻’(真ん中)は一蝶が三宅島配流中の作品。江戸にいる頃吉原はよく通ったところだから、格子先の遊女と交渉する武士の気持は手にとるようにわかるだろう。後期に展示される‘四季日待図巻’(重文、出光美)も座敷でおこなわれる華やかで楽しい宴会が生き生きと描かれているので、こちらまでついつい浮かれてしまう。

風景画のいいのがあった。下の大きな‘富士山図’(山梨県博)。雄大にそびえる富士山を背景に渡し場の光景が描かれている。人物は随分小さいので相当高いところから人々をとらえているイメージ。一蝶の空間に対する想像力はやはり並のものではない。

有名な新体操リボンを連想させる‘布晒舞図’(重文)はあるし、‘吉原風俗’も‘四季日待’もある。申し分のない回顧展といっていい。流石、板橋区美である。拍手々!後期にも8点でるので、また出かけるつもり。

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