心に響く光琳デザイン!
尾形乾山の‘銹絵染付金彩絵替土器皿’(重文 18世紀 根津美)
熱海のMOA美では春になると尾形光琳(1658~1716)の国宝‘紅白梅図屏風’を展示するのが恒例となっているが、熱海は遠いのでさっとでかけるというわけにはいかない。それに対して、同じく国宝の‘燕子花図屏風’がある根津美は都心のど真ん中にある美術館。だから、ここで光琳がでてくるときは欠かさず足を運んでいる。
ここ数年館内で多くみかけるようになったのが外国人、観光客か日本に住んでいる人かは区別できないが、以前の琳派展にくらべると明らかに人数が増えている。作品一点々を真剣にみている姿を目の当たりにすると琳派の生み出した華麗な意匠美が彼らの心を確実にヒットしているのは間違いない。
この展覧会の前にみたのはリアルな描写に焦点をあてた江戸絵画、それが一転して今度は意匠性の強い光琳の装飾画と乾山(1663~1743)の味わい深いやきものと絵画。美術の好みをリアル派と装飾派とわける必要はない。いいアートならこちらの気分はすぐそこに染まり心を震わせる。
京博からやって来た光琳の‘太公望図’は流水の流れや太公望の垂れ下がった眉毛など画面全体はやわらかい曲線や円形で占められている。そして、目に焼きつくのが緑と金色の濃厚なコントラスト。モダンアートの香りがするところも光琳の先進性かもしれない。
乾山のやきものでもっとも琳派の美を感じさせるのが流水など光琳デザインをふんだんにとりいれた‘銹絵染付金彩絵替土器皿’、この小さな何でもない皿が選ばれた文様によって珠玉の一品に変容した。魅了され続けている。
秋のころにみたら心は一段と高揚するにちがいないのが東博所蔵の‘紅葉に菊流水図’、上から紅葉、白い菊、そして群青の流水、洗練された琳派の真髄がここにギュッとつまっている。
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