2016.09.17

待望の‘鈴木其一展’!

Img      ‘朝顔図屏風’(左隻 江戸時代後期 メトロポリタン美)

Img_0001    ‘富士千鳥図’(江戸時代後期)

Img_0002          ‘向日葵図’(江戸時代後期 畠山記念館)

Img_0003          ‘日出五猿図’(1848年 野崎家塩業歴史館)

5年前、千葉市美で酒井抱一展があったとき弟子の鈴木其一(1796~1858)の絵もたくさん登場した。それらを楽しみながら、次は鈴木其一単独の回顧展をみてみたいと強く思った。だが、同時にそういうことは実現しないだろうなという気もした。

ところが、‘鈴木其一、全部見せますよ!’と意気に感じる美術館が現れた。ミッドタウンのサントリー美、‘鈴木其一 江戸琳派の旗手’は9月10日に開幕し10月30日まで行われる。会期中に展示される作品の数は全部で120点くらい。いつものようにサントリー得意の細切れ展示なので全部みようとすると3回も出動しなくてはならないが、これまでみたものが多くあるので一度で終わり。

お目当てはメトロポリタンからやって来た‘朝顔図屏風’、会期中ずっと展示されるのでいつ出かけても楽しめる。日本での公開は過去2回あったが、幸運にも両方みた。最初が1994年名古屋市博で開かれた琳派展、そして次が2004年の東近美の琳派展、この朝顔図はMETにある日本画のなかでは人気No.1の絵らしい。以前BSプレミアムでこの絵が紹介され、大勢のアメリカ人が目を輝かせてみていた。

アメリカの琳派ファン同様はじめて名古屋でお目にかかったとき、朝顔の質感描写に200%KOされた。深みのある青の花弁のなかからでてくる光の美しいこと、そして見飽きさせないのが朝顔のバリエーションの多さ、花の大きさ、向きに変化をつけ、さらになす紺のような青にも微妙に違いがみられる。光琳の燕子花に比べ自由で生感覚の感じがあり現代のグラフィックデザインをみているような気分になる。3度もみれてこれほど幸せなことはない。

久しぶりの対面となった‘向日葵図’にも思わずうなった。江戸の後期に日本でもこんなすばらしい向日葵の絵があった。光琳も抱一もここまで近代感覚にあふれた静物画にはたどり着かなかった。鈴木其一の画才、恐るべし。

初見で収穫だったのは屏風絵の‘富士千鳥図’、目を釘づけにする作品がひょいと現れるのが回顧展のいいところ。個人コレクターの目だけを楽しませたものが多くの琳派ファンにも披露されるのだからたまらない。じっとみていたらいろいろな姿で描かれた千鳥が朝顔のバリエーションと構成と重なってきた。

‘日出五猿図’にも魅了された。猿が五匹、互いに手をつないで丸い太陽を囲んでいる。こんなアイデアもでてくるのだから其一の頭のなかは想定外に柔らかい。ダリ展のあとにこの絵をみたから敏感に反応した。

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2015.12.31

琳派に明け暮れた2015年!

Img   俵屋宗達の国宝‘源氏物語関屋図屏風’(1631年 静嘉堂文庫美)

Img_0003         ‘澪標図屏風’(1631年)

Img_0002     杉本博司の‘月下紅白梅図’(2014年)

12/23、この日が会期の最終日だった2つの展覧会に足を運んだ。ひとつは静嘉堂文庫美で行われていた‘金銀の系譜’、もうひとつは千葉市美の写真家杉本博司(1948~)の回顧展‘今昔三部作&趣味と芸術ー味占郷’。

静嘉堂文庫へでかけるのは久しぶりだし、お目当ての俵屋宗達の国宝‘源氏物語関屋・澪標図屏風’をみるのは2006年以来のこと。ワシントンのフリーア美で‘松島図’と対面したばかりなので、3年かけた修復が終了した‘関屋・澪標図’に心がどう動くのか対面を楽しみにしていた。

‘関屋図’ですぐ反応したのが源氏が乗っている牛車のすぐ横と関山のむこうにある岩、茶、青、緑で彩色された表現は‘松島図’に描かれた海の岩のデジャブがおきているよう。そして、‘澪標図’で視線が追っかけるのが明石の君がいる船のまわりの波の描写と源氏のいる牛車や従者たちを取り囲むようにしてたつ松の木々、波の動きは‘松島図’にくらべて穏やかで静かに海面が揺れている感じだが、松を横の方向にのばす平坦な描き方は‘松島図’と共通する。

‘松島図’がアメリカに流失しなければ国宝の指定をうけ、今年のような琳派の長い歴史のなかで節目の年には‘風神雷神図’、‘関関屋・澪標図’と一緒に展示され琳派の美の神髄をみせつけたことだろう。‘松島図’が日本にないことがかえすがえすも残念でならない。

千葉市美の‘杉本博司展’でみたかったのは4月MOAで開催された琳派展に出品された‘月下紅白梅図’、NHKの美術番組で制作過程を含めて詳しく紹介されたので、本物がみたくてしょうがなかった。本歌が写真で再現されこんな漆黒の紅白梅図に変容した。今、日本美術に深く傾倒している杉本博司のアート魂は半端ではない。

今年も拙ブログにおつきあいいただきましてありがとうございます。
皆様よいお年をお迎えください。

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2015.12.19

琳派のDNAを受け継いだ画家たち!

Img_0004     今村紫紅の‘龍虎’(1913年 埼玉県近美)

Img     山口蓬春の‘扇面流し’(1930年 山口蓬春記念館)

Img_0003        福田平八郎の‘花菖蒲’(1934年 京近美)

Img_0001    前田青邨の‘罌粟’(1930年 光記念館)

2004年に東近美で琳派展が開かれたとき、最後の展示室に明治以降に活躍した日本画家の作品や海外のボナール、マティスやクリムトの作品などが一緒に並んだ。こういう構成は従来の琳派の展覧会にはなかったので、戸惑いを覚えた美術ファンからネガティブな声があがった。‘どうして琳派展にマティスの絵があるの?’

11年前この展覧会を担当した古田亮氏(現在は東芸大准教授)は今回の‘宗達展’の企画メンバーに名を連ねている。そのため、展示の最後の締めとして日本画家の作品が再度ラインナップされている。50ドルした図録(ハードカバーでないものは40ドル)には全部で14点載っている。だが、展示替えがありお目にかかったのは9点。

一部?があったが多くの作品は琳派のDNAがしっかり受け継がれているなと思わせるもの。ここにあげた今村紫紅(1880~1916)の‘龍虎’、山口蓬春(1893~1971)の‘扇面流し’、福田平八郎(1892~1974)の‘花菖蒲’は2004年のときも出品された。

‘龍虎’は宗達の‘風神雷神図屏風’のイメージと重なるし、‘扇面流し’は宗達の‘洗面散図屏風’(出光美)や光琳の流水模様がすぐ頭に浮かぶ。そして、平八郎の‘花菖蒲’は光琳の‘燕子花図屏風’が現代に蘇った感じ。歴史画を得意とした前田青邨(1885~1977)にも光琳の燕子花のもつ豊かなデザイン性とリズミカルな動きをよく消化した‘罌粟(けし)’という傑作がある。

こうした作品を描いた画家たちは現代における琳派の後継者のようにみえるが、画業のすべてが琳派の画風にどっぷりのめりこんでいるというわけではない。絵画の可能性をつきつめるなかで琳派にみられる色彩性とか装飾的な要素が画家の絵心を強く刺激したのである。

現代琳派の極め付きのような加山又造の‘千羽鶴’は残念ながらみれなかったが、この絵が展示してあったときの様子が目に浮かぶ。この絵をみたアメリカの人たちは宗達や光悦を祖とする琳派の美と精神は日本では脈々と現代のアーティストに受け継がれていることを深く感じたにちがいない。

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2015.12.18

フリーア美のミニ琳派展!

Img_0004

Img_0001     尾形光琳の‘群鶴図屏風’(17~18世紀)

Img_0002     尾形光琳の‘菊流水図団扇’(17~18世紀)

Img_0003     酒井抱一の‘蝶に牡丹図’(19世紀)

Img     鈴木其一の‘白椿・薄野図屏風’(19世紀前半)

フリーア美には全部で18の展示室があり、現在は日本美術の部屋5,6,7では‘宗達展’とコラボして琳派関連の絵画ややきものがずらっと展示されている。このことは日本を出る前に知っていたので、手元の美術本でフリーアが所蔵している光琳などの絵をチェックしておいた。

尾形光琳(1658~1716)は3点でていた。‘群鶴図屏風’、‘白梅図屏風’、そして‘菊流水図団扇’。六曲一双の‘群鶴図’は1994年、名古屋市博で行われた琳派展でお目にかかった。フリーア美にあるものは門外不出であるはずなのだが、この鶴の絵はチャールズ・フリーアが蒐集したものではなく後年フリーア美が購入したものだと思われる。

今回狙っていたのは菊と水流が描かれた団扇、もうひとつある蔦の細道が絵柄になったものも一緒にみれればよかったがこちらは次の楽しみとなった。団扇の下には乾山のお馴染みの角皿と色絵で文様をあしらった小さな香合がおかれ3点セットで鑑賞するという洒落た演出。

酒井抱一(1761~1828)は見栄えのする‘三十六歌仙図屏風’がでていた。これは敬愛する光琳が描いたもの(メナード美)の写し。これで其一のもの(出光美)もいれて3人の‘三十六歌仙図’をみることができた。ほかに2点の花鳥画があった。写真のため画質は落ちるが‘蝶に牡丹図’と‘月に秋草図‘、もう一点、はじめてみる‘達磨図’もなかなかよかった。

光琳の団扇絵同様、期待していたのが鈴木其一(1796~1858)の‘白樺・薄野図’。ありました、こういう瞬間は本当に嬉しい。これはもともと屏風の表と裏に描かれていたもの、金屏風には緑の土披に意匠化された白椿が、銀屏風には薄の穂先が型を繰り返すようにびっしり描かれている。

ほかには中村芳中の柿の絵や池田孤邨の楓が咲き誇る作品などがあり部屋全体が琳派の美につつまれていた。宗達展のプラスαにこんな豪華な琳派コレクション、一生の思い出になった。

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2015.12.17

心を揺さぶる‘雲龍図屏風’!

Img 俵屋宗達の‘雲龍図屏風’(17世紀前半 ワシントン フリーア美)

Img_0003  光悦・宗達の‘四季草花下絵和歌色紙帖’(17世紀 ベルリン東洋美)

Img_0001     俵屋宗達の‘伊勢物語 布引の滝’(17世紀 ミネアポリス美)    

Img_0002     俵屋宗達派の‘雑木林図屏風’(17世紀 フリーア美)

フリーア美には宗達の作品では‘松島図’のほかに鑑賞欲をとても刺激するのがもう一点ある。それは‘雲龍図屏風’、これも長いこといつかこの目でと思ってきた。‘宗達展’が開催されたお蔭でこの龍もみることができた。

これは宗達の晩年の作といわれている。左右2頭の龍をみていると自然に‘風神雷神図’が思い浮かんでくる。宗達の当然意識したにちがいない。とくに左の龍の足を大きくひろげるポーズはニヤッと笑った雷神の姿を彷彿とさせる。

この迫力に満ちた龍の姿をいっそうパワフルにしているのが龍の下に描かれている波濤。右の龍の横には尾形光琳が描いた‘波濤図’(メトロポリタン美)を思い出させる上から覆いかぶさるようにしてうねる波頭がみられ、左の下にも強風にあいられて荒々しい白波が次から次と生まれている。さらに目をこらすと、波頭には吹き墨により黒の小さな点々がついている。なんという芸の細かさ!これは図版ではわからないのでしっかり目に焼きつけた。水墨はほかにクリーブランド美や東博のコレクションなどが7点くらいあった。

本阿弥光悦の書とのコラボ作品で足がとまったのはベルリン東洋美から出品された‘四季草花下絵和歌色紙帖’、2004年日本橋三越で開催された琳派展に36枚のうちの後半の18枚が展示されたが、今回は36枚全部でている。これは大収穫だった。

宗達とその工房が手がけた‘伊勢物語図色紙’も収穫のひとつ。図録には10点載っているが展示してあったのははじめてお目にかかるミネアポリス美の‘布引の滝’など7点。新規のものが4点もあったのでご機嫌、この色紙は現在60点知られているが、これで35点が目のなかに入った。

展示の後半はフリーア美が所蔵する俵屋宗達派の作品がずらずらっと飾られている。とくに魅了されたのは金地の屏風の大半を緑で占める‘雑木林図’(六曲一双)、右隻(図版)では画面いっぱいに槙、楢などが写実的に描かれているが、左隻では余白を大きくとり左に梢だけが描かれている。この構成がとても現代的で強く印象に残った。

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2015.12.16

ワシントンで宗達の‘松島図’と対面!

Img_0004   アムトラックの車内雑誌に掲載された‘宗達展’の案内

Img     俵屋宗達の‘松島図屏風’(17世紀 ワシントン フリーア美)

Img_0002     尾形光琳の‘松島図屏風’(18世紀 ボストン美)

Img_0003      尾形光琳の‘松島と富士’(18世紀)

3年ぶりにアメリカを旅行し、念願の‘宗達展’(10/24~1/31 ワシントン アーサー・M・サックラー・ギャラリー)を鑑賞し、さらにいくつか美術館をまわってきた。その感想記がしばらく続きます。おつきあいください。

今年は琳派400年という記念の年。国内では京博で大規模な琳派展(終了)が行われたが、海のむこうのアメリカではワシントンで現在‘宗達展’(10/24~1/31)を開催中。場所はフリーア美の敷地内の地下にあるアーサー・M・サックラー・ギャラリー。

1年くらい前、この展覧会の情報に接したときすぐにワシントンをめざすことを決めた。いつものようにA旅行会社の団体ツアーに参加し、ワシントン観光のとき、一時離脱してフリーア美に駆け込むという作戦。いくつかあった選択肢のなかからわれわれの希望にぴったりのがあり、気分よく申し込んだ。

ほかに訪問した美術館はフィラデルフィア美、メトロポリタン美、グッゲンハイム美、ボストン美の4館。このなかでお楽しみはフィラデルフィアとボストン、2013年はじめてフィラデルフィアに足を運んだが、お目当てのセザンヌの‘大水浴図’、ダリの‘インゲン豆’、デュシャンの‘大ガラス’が姿を見せてくれなかった。だから、今回はそのリカバリー。そして、ボストンの狙いは2008年に出かけたとき建設中だったアメリカ館(2010年完成)、はたしてホーマーの絵と会えるか、その結果はおいおいと。

まずはメインディッシュの宗達の‘松島図屏風’から。日本にあったら国宝はまちがいないこの六曲一双の屏風の存在を知ったのはずいぶん前のこと。ワシントンは4度目だが、フリーアに入るのは3度目。過去2回はひょっとして‘松島図’に会う大サプライズがあるのではないかと思って入館したが、ダメだった、でも今回は確実に展示してある。

サックラーギャラリーはフリーアの敷地内にあり展示室は地下につくられている。地下3階まで急いで降りていくと会場にたどり着いた。入ってすぐにあの‘松島図’が出迎えてくれた。図版の上が右隻で下が左隻。もう昂奮しちゃって心がふわふわし視点が定まらない。

この絵の見どころはなんといっても波の描写、水の動きをとらえるのは大変難しいのに宗達は金地の海原にできる波の様子を胡粉を効果的に使いシャープにそしてリズミカルに描ききっている。波がまるで生き物のように踊り狂っているよう。

波頭の表現がとても立体的なのに対し、岩や松、洲浜は平坦な描写で模様をかたどったシールをペタッと貼ったような感じ。左隻の下のほうの黒い輪みたいなところが洲浜、そのまわりを波がうねるように渦巻いているのが印象的。静的な松や洲浜と風に吹かれてダイナミックに形を変化させる波のコントラストがじつに見事!

さらに進んだところに宗達の画風を受け継いだ‘松島図’が飾ってあった。お馴染みのボストン美にある尾形光琳(1658~1716)が描いた‘松島図’、そして初見の光琳に帰属するとみられる‘松島と富士’。宗達だけでなくこういう作品もどどっと出てくるのが回顧展の醍醐味。どれも食い入るようにしてみた。

最大の追っかけ画‘松島図’がみれて天にものぼるような気持ちだった。ミューズに感謝!

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2015.07.05

光琳コンプリートへの道!

Img     ‘大黒天図’(17世紀 MIHO MUSEUM)

Img_0001     ‘梅図’(17世紀 大阪市美)

Img_0002     ‘千羽鶴図香包’(18世紀)

Img_0003     ‘松島図屏風’(18世紀 大英博)

滋賀県の信楽にあるMIHO MUSEUMへ横浜からクルマで行くには休憩をいれて7時間くらいかかる。往復すると大きなエネルギーを消費することになるから気合が入らないと行けないが、この美術館で行われる企画展は伊藤若冲、長澤芦雪、与謝蕪村の回顧展のように見逃せないものばかり。だから、すでに7回も訪問した。

尾形光琳(1658~1716)の‘大黒天図’はこのくらいクルマを走らせたのだからお目にかかれてもよさそうな作品、ところがまったく縁がない。平常展示の作品をチェックしていたが姿を見せてくれなかった。いつになったらこの愛嬌のある大黒天に会えるのだろうか?

大阪市美にある‘梅図’にもなかなか遭遇しない。光琳の墨で描かれた花鳥画はそののびやかな筆使いが魅力、梅でも竹でも本当に光琳の線は形を柔らかくすうーっとひいていくので思わずみとれてしまう。

香包はこれまで画集に載っているものを片手くらいみたが、まだ縁がないのが個人蔵の‘千羽鶴図’、宗達の千羽鶴をイメージさせるこの作品は心をわくわくさせる。宗達つながりでは‘松島図屏風’も一度みてみたいもの。これは大英博のコレクションだが、日本に里帰りし鑑賞の機会に恵まれることがこの先あるだろうか。

大英博にはもう長いこと足を運んでいない。日本美術を展示する部屋ではお目にかかれる可能性はある。いつかロンドンを再訪することがあったらこの絵のことを忘れないようにしようと思う。

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2015.07.03

なかなか会えない乾山の絵画!

Img_0001     ‘八橋図’(重文 18世紀)

Img  ‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 薄・鶉図 九月’(18世紀 根津美)

Img_0002     ‘蔦紅葉図’(18世紀 メトロポリタン美)

Img_0003          ‘紅葉に菊流水図’(18世紀 東博)

今年は企画展のなかに琳派展を加える美術館が多いので、手元の‘琳派追っかけリスト’に載せているものが少しは消えるかなとひそかに期待している。だが、そう思い通りにはいかないもので、尾形乾山(1663~1743)については今のところゼロ。

サントリー美の乾山展で登場することを願っていた2点ともダメだった。個人が所蔵する‘八橋図’(重文)と根津美にある‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 薄・鶉図 九月’、このあとの展覧会で乾山がみれることがわかっているのは同じくサントリー美で行われる‘藤田美名品展’だけ、光琳と合作でつくった角皿が一点展示される。

そして、可能性がちょっとあるのは11月京博で開催される琳派展、どんな構成になるのかわからないが宗達や光琳が軸になるのは間違いないので乾山の作品が何点も入り込む余地はないような気がする。だから、乾山の収穫は一点だけに終わり、また長いウエイティングタイムにはいることになりそう。

名品との対面には概して長い時間がかかる。‘八橋図’は2006年京博であった‘京焼展’に出品されたが、京都へ出かけたときは展示替えでみれなかった。11月の琳派展にでてくるだろうか?そして、‘薄・鶉図 9月’、この絵を長いこと追っかけているが、根津美はよほど大事にしているのかなかなか展示しない。

出光美の‘乾山の芸術と光琳’(2007年)にも東博で行われた‘大琳派展’(2008年)にもでてこなかった。また、根津美の企画展で関連するものには期待しながら足を運んでいるがまだ姿をみせてくれない。なぜ展示されないのか不思議でならない。

NYのメトロポリタン美にある‘蔦紅葉図’もいつかこの目でという思いが強いが、海外の美術館のコレクションだから遠い存在。運に恵まれることもある。METを再訪したとき日本美術の展示室に飾られているのを夢見ることにした。

サントリーにでていた‘紅葉に菊水流図’は東博でこれまで数回みたのだが、絵葉書は残念ながら用意されてなく記憶が薄れがちだった。でも、図録を手に入れたからじっくり楽しめる。今小さな喜びを噛みしめている。

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2015.05.13

尾形光琳に乾杯! 燕子花と紅白梅

Img       国宝‘燕子花図屏風’(18世紀 根津美)

Img_0001     国宝‘紅白梅図屏風’(18世紀 MOA美)

Img_0002      ‘雪松・蔦図団扇’(18世紀)

Img_0003     尾形乾山の‘銹絵染付金彩絵替土器皿’(重文 18世紀 根津美)

今年は尾形光琳(1658~1716)の300回忌という節目の年にあたるので、東京や京都の美術館では琳派展が数多く開催される。根津美の特別展(5/17まで)の最大の呼び物は‘燕子花図屏風’と‘紅白梅図屏風’の同時展示、ともに国宝であるこの光琳の代表作が一緒に楽しむことができるのは日本文化のなかに琳派がしっかり根をはり多くの人に愛されていることの証でもある。だから、傑作が左右に並ぶ風景を目に深く焼き付けた。

‘燕子花’をみるたびに思うのは光琳の卓越したデザイン感覚、呉服屋に育ち幼いころから着物の柄に目が慣れているので、意匠が持っている魅力をどう表現したらいいかというのが自然と身についたのかもしれない。

これに対し晩年に描いた‘紅白梅’は人間味が感じられる作品、左の老木の白梅は下に垂れる細い枝が人生の黄昏を思わせ、右の若々しい紅梅は生の喜びを両足を地面にぐっと踏ん張って立つような姿で表している。そして、中央の川には時の移り変わりを象徴するように自在に出来上がる流水模様が現れそして消えていく。息を呑んでみていた。

今回初見の作品は雪松と蔦が描かれた団扇。これは手元の画集のどれにも載っていないので大きな収穫。‘浜松図団扇’(5/4~5/17)もまだみていないものだが、もう一度出かけるかは微妙。

光琳の弟、乾山(1663~1743)のやきものでプラスαを期待していたが、これは一点もなかった。でも、お気に入りの‘銹絵染付金彩絵替土器皿’とまた対面したので満足度は高い。なにしろこの揃いものは滅多に展示されないので、一皿々心を揺すぶる絵柄をじっくり味わった。

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2015.04.21

横浜高島屋でも琳派展!

Img_0001     尾形光琳の‘宇治橋図団扇’(18世紀)

Img_0002     酒井抱一の‘鹿楓図団扇’(19世紀)

Img     中村芳中の‘白梅小禽図屏風’(18~19世紀)

Img_0003           神坂雪佳の‘金魚玉図’(20世紀)

今年は琳派イヤー、1月日本橋三越で箱根の岡田美の琳派コレクションが公開され、根津美では4/18から‘燕子花と紅白梅’(4/18~5/17)がはじまった。そして、横浜でも高島屋で今‘細見美 琳派のきらめき’(4/15~4/27)が行われている。

京都の細見美が所蔵する俵屋宗達や尾形光琳、酒井抱一らの作品はかなりみているが、美術館がつくった琳派だけの図録に載っているものでまだみてないのが少し残っている。たぶん、ここにある作品をどっともってくるのだろうとふんで出かけてみた。果たして、読みはズバリあたった。おかげでかぎりなくコンプリートに近づいた。

一番のお目当ては尾形光琳(1658~1716)の宇治橋を絵柄にした団扇、橋の下には国宝‘紅白梅図屏風’で見慣れた流水が描かれている。だから、なにか特別な絵のように思えてくる。じつはこれをみるのが目的だった。だから、隣にあった‘栁図香包’はさらっとみてほかのところへ移動した。

細見コレクションでお気に入りの一枚が酒井抱一(1761~1828)の鹿と楓の団扇、表が鹿で裏が楓、いつも魅せられているのが鹿の首からおしりまでのびる墨の線。この曲がり具合がなんともいい。一見すると鹿のシールを団扇にぺたっと貼った感じだが、この曲線により立体的な鹿になっている。

酒井抱一と鈴木其一、そして中村芳中(?~1819)を沢山もってることで有名な細見の琳派コレクション、だから、抱一ファンで千葉市美で開催された‘酒井抱一展’(2011年)を見逃した人にはこの展覧会は楽しいかもしれない。抱一のお宝全部見せますという感じだから見ごたえがある。そして、芳中も代表作の‘白梅小禽図屏風’をはじめいいのがずらっとでている。

神坂雪佳(1866~1942)のユーモラスな金魚の絵が心をとらえてはなさない。琳派のDNAを受け継ぐ雪佳の絵はそのソフトでやさしい琳派の趣が特徴、真正面から描かれた金魚の姿はじつに可愛らしく、若冲の河豚の絵とも強く共振する。

デパートで行われる展覧会は会期がとても短い、4/27まで開かれている。

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