2018.04.28

心に響く光琳デザイン!

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Img_0001     尾形光琳の国宝‘燕子花図屏風’(18世紀 根津美)

Img_0002     尾形光琳の‘太公望図屏風’(重文 18世紀 京博)

Img_0003    尾形乾山の‘銹絵染付金彩絵替土器皿’(重文 18世紀 根津美)

Img_0004        尾形乾山の‘紅葉に菊流水図’(18世紀 東博)

熱海のMOA美では春になると尾形光琳(1658~1716)の国宝‘紅白梅図屏風’を展示するのが恒例となっているが、熱海は遠いのでさっとでかけるというわけにはいかない。それに対して、同じく国宝の‘燕子花図屏風’がある根津美は都心のど真ん中にある美術館。だから、ここで光琳がでてくるときは欠かさず足を運んでいる。

ここ数年館内で多くみかけるようになったのが外国人、観光客か日本に住んでいる人かは区別できないが、以前の琳派展にくらべると明らかに人数が増えている。作品一点々を真剣にみている姿を目の当たりにすると琳派の生み出した華麗な意匠美が彼らの心を確実にヒットしているのは間違いない。

この展覧会の前にみたのはリアルな描写に焦点をあてた江戸絵画、それが一転して今度は意匠性の強い光琳の装飾画と乾山(1663~1743)の味わい深いやきものと絵画。美術の好みをリアル派と装飾派とわける必要はない。いいアートならこちらの気分はすぐそこに染まり心を震わせる。

京博からやって来た光琳の‘太公望図’は流水の流れや太公望の垂れ下がった眉毛など画面全体はやわらかい曲線や円形で占められている。そして、目に焼きつくのが緑と金色の濃厚なコントラスト。モダンアートの香りがするところも光琳の先進性かもしれない。

乾山のやきものでもっとも琳派の美を感じさせるのが流水など光琳デザインをふんだんにとりいれた‘銹絵染付金彩絵替土器皿’、この小さな何でもない皿が選ばれた文様によって珠玉の一品に変容した。魅了され続けている。

秋のころにみたら心は一段と高揚するにちがいないのが東博所蔵の‘紅葉に菊流水図’、上から紅葉、白い菊、そして群青の流水、洗練された琳派の真髄がここにギュッとつまっている。

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2018.04.27

根津美のエンターテイメント ‘光琳と乾山’展!

Img_0002     尾形乾山の‘八橋図’(重文 18世紀 文化庁)

Img_0001  尾形乾山の‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 9月’(1743年 根津美)

Img_0003     尾形乾山の‘色絵菊流水図’(18世紀 イセ文化財団)

Img     尾形光琳の‘寿老人図’(18世紀)

尾形光琳(1658~1716)の大傑作‘燕子花図屏風’を所蔵している根津美では定期的に琳派展が開催される。装飾の要素の強い作品が並ぶため美術館に入るとエンターテイメント満載のイベントを楽しむ気分になる。

今回は光琳、乾山(1663~1743)の兄弟によるコラボに焦点をあてた構成になっている。会期は4/14~5/13.昨年琳派関連の図録や美術本を整理し、My琳派図録を数冊をつくった。そのため、二人の主要な絵ややきものについてはどこの美術館が所蔵しているかはすぐピンとくる。

でも、琳派は奥が深いのでまだ縁のない作品が残っており、さらに初美の作品もひょいと出品される。ここにあげた4点はやっと会えた追っかけの2点とプラスαとして新たに図録に加わった2点。みどりがめさんに展示の情報を教えてもらったのが、乾山の‘八橋図’(展示は27日まで)。

この絵に会うのに何年かかったことか!光琳のように橋と燕子花は意匠性を高めて描かれてなくざっざっと並べていった感じだが、それがかえって物語の情景を連想させ人の気配を感じさせる。この絵は以前は個人蔵だったが、今は文化庁となっている。根津美が購入すればよかったのに。

‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図’は全部現存しているのかわからないが、これまで画集でみたのは7点、そのうち‘9月’だけは根津美にあるのになぜかすれ違いが続いた。やっと遭遇した。一仕事したような感じ。収穫は展覧会にはじめて出品された‘八月’。三羽の雁が飛ぶ姿が目に沁みる。こういう作品をさらっと展示するのが根津美のスゴイところ。

黄色の菊が印象的な乾山のやきもの‘色絵菊流水図’にも思わず足がとまった。大きめの角皿なのでとても見栄えがする。ほかにお馴染みの光琳と合作の角皿が8点。そのひとつが寿老人。そして、横に並ぶ初登場の光琳の‘寿老人図’を興味深くみていた。

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2018.01.05

ミューズに願いをこめて!

Img_0001         長澤芦雪の‘降雪狗児図’(18世紀 逸翁美)

Img_0003     尾形乾山の‘定家詠十二カ月和歌花鳥図 薄・鶉図’(根津美)

Img_0002     尾形乾山の‘八橋図’(重文 18世紀)

Img_2     尾形乾山の‘銹絵雪笹文手鉢’(滴翠美)

まだ、美術館へ出かける日が決まっていない。東博で1/16からはじまる‘仁和寺と御室派のみほとけ’(3/11まで)が頭にあるが、チラシに大きくでている葛井寺の国宝‘千手観音菩薩坐像’が登場するのは後半の2/11からとなっている。

仁和寺にあるお宝はほとんどみているので今回はパスでもいいのに、この千手観音がみれるとあらば見逃すわけにはいかない。じつは一度みたことがあり、千手観音という仏像に開眼したのはこれをみたから。数えきれほどの手、手、手、、、このインパクトが強烈。再会が楽しみなのでこの展覧会は2/11以降の出動となりそう。

というわけで美術鑑賞はまだアイドリング状態なので、‘追っかけリスト’をじっとながめて今年対面が叶いそうな作品を夢想している。勝手な候補はいくつかあるが、可能性がありそうなのは長澤芦雪(1754~1799)の‘降雪狗児図’。

昨日プレビューしたのは前半の展覧会に絞ったものだったが、秋まで広げてみると五島美の特別展‘逸翁と古経桜’(10/20~12/9)に大阪にある逸翁美のコレクションが出品される。ここにこの犬の絵が入っていれば申し分ない。はたして、

根津美で行われる‘光琳と乾山展’(4/14~5/13)に尾形乾山(1663~1743)の‘定家詠十二カ月和歌花鳥図 薄・鶉図’がでてくることは確実。これまで展示替えなどでこの鶉と縁がなかった。漸く連作がコンプリートしそう。

あとは個人蔵の‘八橋図’と‘銹絵雪笹文手鉢’といったオマケがついているかどうか。ここは根津美のブランド力の期待したいところ。もちろん、ミューズへの祈りは欠かせない。

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2016.09.17

待望の‘鈴木其一展’!

Img      ‘朝顔図屏風’(左隻 江戸時代後期 メトロポリタン美)

Img_0001    ‘富士千鳥図’(江戸時代後期)

Img_0002          ‘向日葵図’(江戸時代後期 畠山記念館)

Img_0003          ‘日出五猿図’(1848年 野崎家塩業歴史館)

5年前、千葉市美で酒井抱一展があったとき弟子の鈴木其一(1796~1858)の絵もたくさん登場した。それらを楽しみながら、次は鈴木其一単独の回顧展をみてみたいと強く思った。だが、同時にそういうことは実現しないだろうなという気もした。

ところが、‘鈴木其一、全部見せますよ!’と意気に感じる美術館が現れた。ミッドタウンのサントリー美、‘鈴木其一 江戸琳派の旗手’は9月10日に開幕し10月30日まで行われる。会期中に展示される作品の数は全部で120点くらい。いつものようにサントリー得意の細切れ展示なので全部みようとすると3回も出動しなくてはならないが、これまでみたものが多くあるので一度で終わり。

お目当てはメトロポリタンからやって来た‘朝顔図屏風’、会期中ずっと展示されるのでいつ出かけても楽しめる。日本での公開は過去2回あったが、幸運にも両方みた。最初が1994年名古屋市博で開かれた琳派展、そして次が2004年の東近美の琳派展、この朝顔図はMETにある日本画のなかでは人気No.1の絵らしい。以前BSプレミアムでこの絵が紹介され、大勢のアメリカ人が目を輝かせてみていた。

アメリカの琳派ファン同様はじめて名古屋でお目にかかったとき、朝顔の質感描写に200%KOされた。深みのある青の花弁のなかからでてくる光の美しいこと、そして見飽きさせないのが朝顔のバリエーションの多さ、花の大きさ、向きに変化をつけ、さらになす紺のような青にも微妙に違いがみられる。光琳の燕子花に比べ自由で生感覚の感じがあり現代のグラフィックデザインをみているような気分になる。3度もみれてこれほど幸せなことはない。

久しぶりの対面となった‘向日葵図’にも思わずうなった。江戸の後期に日本でもこんなすばらしい向日葵の絵があった。光琳も抱一もここまで近代感覚にあふれた静物画にはたどり着かなかった。鈴木其一の画才、恐るべし。

初見で収穫だったのは屏風絵の‘富士千鳥図’、目を釘づけにする作品がひょいと現れるのが回顧展のいいところ。個人コレクターの目だけを楽しませたものが多くの琳派ファンにも披露されるのだからたまらない。じっとみていたらいろいろな姿で描かれた千鳥が朝顔のバリエーションと構成と重なってきた。

‘日出五猿図’にも魅了された。猿が五匹、互いに手をつないで丸い太陽を囲んでいる。こんなアイデアもでてくるのだから其一の頭のなかは想定外に柔らかい。ダリ展のあとにこの絵をみたから敏感に反応した。

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2015.12.31

琳派に明け暮れた2015年!

Img   俵屋宗達の国宝‘源氏物語関屋図屏風’(1631年 静嘉堂文庫美)

Img_0003         ‘澪標図屏風’(1631年)

Img_0002     杉本博司の‘月下紅白梅図’(2014年)

12/23、この日が会期の最終日だった2つの展覧会に足を運んだ。ひとつは静嘉堂文庫美で行われていた‘金銀の系譜’、もうひとつは千葉市美の写真家杉本博司(1948~)の回顧展‘今昔三部作&趣味と芸術ー味占郷’。

静嘉堂文庫へでかけるのは久しぶりだし、お目当ての俵屋宗達の国宝‘源氏物語関屋・澪標図屏風’をみるのは2006年以来のこと。ワシントンのフリーア美で‘松島図’と対面したばかりなので、3年かけた修復が終了した‘関屋・澪標図’に心がどう動くのか対面を楽しみにしていた。

‘関屋図’ですぐ反応したのが源氏が乗っている牛車のすぐ横と関山のむこうにある岩、茶、青、緑で彩色された表現は‘松島図’に描かれた海の岩のデジャブがおきているよう。そして、‘澪標図’で視線が追っかけるのが明石の君がいる船のまわりの波の描写と源氏のいる牛車や従者たちを取り囲むようにしてたつ松の木々、波の動きは‘松島図’にくらべて穏やかで静かに海面が揺れている感じだが、松を横の方向にのばす平坦な描き方は‘松島図’と共通する。

‘松島図’がアメリカに流失しなければ国宝の指定をうけ、今年のような琳派の長い歴史のなかで節目の年には‘風神雷神図’、‘関関屋・澪標図’と一緒に展示され琳派の美の神髄をみせつけたことだろう。‘松島図’が日本にないことがかえすがえすも残念でならない。

千葉市美の‘杉本博司展’でみたかったのは4月MOAで開催された琳派展に出品された‘月下紅白梅図’、NHKの美術番組で制作過程を含めて詳しく紹介されたので、本物がみたくてしょうがなかった。本歌が写真で再現されこんな漆黒の紅白梅図に変容した。今、日本美術に深く傾倒している杉本博司のアート魂は半端ではない。

今年も拙ブログにおつきあいいただきましてありがとうございます。
皆様よいお年をお迎えください。

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2015.12.19

琳派のDNAを受け継いだ画家たち!

Img_0004     今村紫紅の‘龍虎’(1913年 埼玉県近美)

Img     山口蓬春の‘扇面流し’(1930年 山口蓬春記念館)

Img_0003        福田平八郎の‘花菖蒲’(1934年 京近美)

Img_0001    前田青邨の‘罌粟’(1930年 光記念館)

2004年に東近美で琳派展が開かれたとき、最後の展示室に明治以降に活躍した日本画家の作品や海外のボナール、マティスやクリムトの作品などが一緒に並んだ。こういう構成は従来の琳派の展覧会にはなかったので、戸惑いを覚えた美術ファンからネガティブな声があがった。‘どうして琳派展にマティスの絵があるの?’

11年前この展覧会を担当した古田亮氏(現在は東芸大准教授)は今回の‘宗達展’の企画メンバーに名を連ねている。そのため、展示の最後の締めとして日本画家の作品が再度ラインナップされている。50ドルした図録(ハードカバーでないものは40ドル)には全部で14点載っている。だが、展示替えがありお目にかかったのは9点。

一部?があったが多くの作品は琳派のDNAがしっかり受け継がれているなと思わせるもの。ここにあげた今村紫紅(1880~1916)の‘龍虎’、山口蓬春(1893~1971)の‘扇面流し’、福田平八郎(1892~1974)の‘花菖蒲’は2004年のときも出品された。

‘龍虎’は宗達の‘風神雷神図屏風’のイメージと重なるし、‘扇面流し’は宗達の‘洗面散図屏風’(出光美)や光琳の流水模様がすぐ頭に浮かぶ。そして、平八郎の‘花菖蒲’は光琳の‘燕子花図屏風’が現代に蘇った感じ。歴史画を得意とした前田青邨(1885~1977)にも光琳の燕子花のもつ豊かなデザイン性とリズミカルな動きをよく消化した‘罌粟(けし)’という傑作がある。

こうした作品を描いた画家たちは現代における琳派の後継者のようにみえるが、画業のすべてが琳派の画風にどっぷりのめりこんでいるというわけではない。絵画の可能性をつきつめるなかで琳派にみられる色彩性とか装飾的な要素が画家の絵心を強く刺激したのである。

現代琳派の極め付きのような加山又造の‘千羽鶴’は残念ながらみれなかったが、この絵が展示してあったときの様子が目に浮かぶ。この絵をみたアメリカの人たちは宗達や光悦を祖とする琳派の美と精神は日本では脈々と現代のアーティストに受け継がれていることを深く感じたにちがいない。

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2015.12.18

フリーア美のミニ琳派展!

Img_0004

Img_0001     尾形光琳の‘群鶴図屏風’(17~18世紀)

Img_0002     尾形光琳の‘菊流水図団扇’(17~18世紀)

Img_0003     酒井抱一の‘蝶に牡丹図’(19世紀)

Img     鈴木其一の‘白椿・薄野図屏風’(19世紀前半)

フリーア美には全部で18の展示室があり、現在は日本美術の部屋5,6,7では‘宗達展’とコラボして琳派関連の絵画ややきものがずらっと展示されている。このことは日本を出る前に知っていたので、手元の美術本でフリーアが所蔵している光琳などの絵をチェックしておいた。

尾形光琳(1658~1716)は3点でていた。‘群鶴図屏風’、‘白梅図屏風’、そして‘菊流水図団扇’。六曲一双の‘群鶴図’は1994年、名古屋市博で行われた琳派展でお目にかかった。フリーア美にあるものは門外不出であるはずなのだが、この鶴の絵はチャールズ・フリーアが蒐集したものではなく後年フリーア美が購入したものだと思われる。

今回狙っていたのは菊と水流が描かれた団扇、もうひとつある蔦の細道が絵柄になったものも一緒にみれればよかったがこちらは次の楽しみとなった。団扇の下には乾山のお馴染みの角皿と色絵で文様をあしらった小さな香合がおかれ3点セットで鑑賞するという洒落た演出。

酒井抱一(1761~1828)は見栄えのする‘三十六歌仙図屏風’がでていた。これは敬愛する光琳が描いたもの(メナード美)の写し。これで其一のもの(出光美)もいれて3人の‘三十六歌仙図’をみることができた。ほかに2点の花鳥画があった。写真のため画質は落ちるが‘蝶に牡丹図’と‘月に秋草図‘、もう一点、はじめてみる‘達磨図’もなかなかよかった。

光琳の団扇絵同様、期待していたのが鈴木其一(1796~1858)の‘白樺・薄野図’。ありました、こういう瞬間は本当に嬉しい。これはもともと屏風の表と裏に描かれていたもの、金屏風には緑の土披に意匠化された白椿が、銀屏風には薄の穂先が型を繰り返すようにびっしり描かれている。

ほかには中村芳中の柿の絵や池田孤邨の楓が咲き誇る作品などがあり部屋全体が琳派の美につつまれていた。宗達展のプラスαにこんな豪華な琳派コレクション、一生の思い出になった。

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2015.12.17

心を揺さぶる‘雲龍図屏風’!

Img 俵屋宗達の‘雲龍図屏風’(17世紀前半 ワシントン フリーア美)

Img_0003  光悦・宗達の‘四季草花下絵和歌色紙帖’(17世紀 ベルリン東洋美)

Img_0001     俵屋宗達の‘伊勢物語 布引の滝’(17世紀 ミネアポリス美)    

Img_0002     俵屋宗達派の‘雑木林図屏風’(17世紀 フリーア美)

フリーア美には宗達の作品では‘松島図’のほかに鑑賞欲をとても刺激するのがもう一点ある。それは‘雲龍図屏風’、これも長いこといつかこの目でと思ってきた。‘宗達展’が開催されたお蔭でこの龍もみることができた。

これは宗達の晩年の作といわれている。左右2頭の龍をみていると自然に‘風神雷神図’が思い浮かんでくる。宗達の当然意識したにちがいない。とくに左の龍の足を大きくひろげるポーズはニヤッと笑った雷神の姿を彷彿とさせる。

この迫力に満ちた龍の姿をいっそうパワフルにしているのが龍の下に描かれている波濤。右の龍の横には尾形光琳が描いた‘波濤図’(メトロポリタン美)を思い出させる上から覆いかぶさるようにしてうねる波頭がみられ、左の下にも強風にあいられて荒々しい白波が次から次と生まれている。さらに目をこらすと、波頭には吹き墨により黒の小さな点々がついている。なんという芸の細かさ!これは図版ではわからないのでしっかり目に焼きつけた。水墨はほかにクリーブランド美や東博のコレクションなどが7点くらいあった。

本阿弥光悦の書とのコラボ作品で足がとまったのはベルリン東洋美から出品された‘四季草花下絵和歌色紙帖’、2004年日本橋三越で開催された琳派展に36枚のうちの後半の18枚が展示されたが、今回は36枚全部でている。これは大収穫だった。

宗達とその工房が手がけた‘伊勢物語図色紙’も収穫のひとつ。図録には10点載っているが展示してあったのははじめてお目にかかるミネアポリス美の‘布引の滝’など7点。新規のものが4点もあったのでご機嫌、この色紙は現在60点知られているが、これで35点が目のなかに入った。

展示の後半はフリーア美が所蔵する俵屋宗達派の作品がずらずらっと飾られている。とくに魅了されたのは金地の屏風の大半を緑で占める‘雑木林図’(六曲一双)、右隻(図版)では画面いっぱいに槙、楢などが写実的に描かれているが、左隻では余白を大きくとり左に梢だけが描かれている。この構成がとても現代的で強く印象に残った。

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2015.12.16

ワシントンで宗達の‘松島図’と対面!

Img_0004   アムトラックの車内雑誌に掲載された‘宗達展’の案内

Img     俵屋宗達の‘松島図屏風’(17世紀 ワシントン フリーア美)

Img_0002     尾形光琳の‘松島図屏風’(18世紀 ボストン美)

Img_0003      尾形光琳の‘松島と富士’(18世紀)

3年ぶりにアメリカを旅行し、念願の‘宗達展’(10/24~1/31 ワシントン アーサー・M・サックラー・ギャラリー)を鑑賞し、さらにいくつか美術館をまわってきた。その感想記がしばらく続きます。おつきあいください。

今年は琳派400年という記念の年。国内では京博で大規模な琳派展(終了)が行われたが、海のむこうのアメリカではワシントンで現在‘宗達展’(10/24~1/31)を開催中。場所はフリーア美の敷地内の地下にあるアーサー・M・サックラー・ギャラリー。

1年くらい前、この展覧会の情報に接したときすぐにワシントンをめざすことを決めた。いつものようにA旅行会社の団体ツアーに参加し、ワシントン観光のとき、一時離脱してフリーア美に駆け込むという作戦。いくつかあった選択肢のなかからわれわれの希望にぴったりのがあり、気分よく申し込んだ。

ほかに訪問した美術館はフィラデルフィア美、メトロポリタン美、グッゲンハイム美、ボストン美の4館。このなかでお楽しみはフィラデルフィアとボストン、2013年はじめてフィラデルフィアに足を運んだが、お目当てのセザンヌの‘大水浴図’、ダリの‘インゲン豆’、デュシャンの‘大ガラス’が姿を見せてくれなかった。だから、今回はそのリカバリー。そして、ボストンの狙いは2008年に出かけたとき建設中だったアメリカ館(2010年完成)、はたしてホーマーの絵と会えるか、その結果はおいおいと。

まずはメインディッシュの宗達の‘松島図屏風’から。日本にあったら国宝はまちがいないこの六曲一双の屏風の存在を知ったのはずいぶん前のこと。ワシントンは4度目だが、フリーアに入るのは3度目。過去2回はひょっとして‘松島図’に会う大サプライズがあるのではないかと思って入館したが、ダメだった、でも今回は確実に展示してある。

サックラーギャラリーはフリーアの敷地内にあり展示室は地下につくられている。地下3階まで急いで降りていくと会場にたどり着いた。入ってすぐにあの‘松島図’が出迎えてくれた。図版の上が右隻で下が左隻。もう昂奮しちゃって心がふわふわし視点が定まらない。

この絵の見どころはなんといっても波の描写、水の動きをとらえるのは大変難しいのに宗達は金地の海原にできる波の様子を胡粉を効果的に使いシャープにそしてリズミカルに描ききっている。波がまるで生き物のように踊り狂っているよう。

波頭の表現がとても立体的なのに対し、岩や松、洲浜は平坦な描写で模様をかたどったシールをペタッと貼ったような感じ。左隻の下のほうの黒い輪みたいなところが洲浜、そのまわりを波がうねるように渦巻いているのが印象的。静的な松や洲浜と風に吹かれてダイナミックに形を変化させる波のコントラストがじつに見事!

さらに進んだところに宗達の画風を受け継いだ‘松島図’が飾ってあった。お馴染みのボストン美にある尾形光琳(1658~1716)が描いた‘松島図’、そして初見の光琳に帰属するとみられる‘松島と富士’。宗達だけでなくこういう作品もどどっと出てくるのが回顧展の醍醐味。どれも食い入るようにしてみた。

最大の追っかけ画‘松島図’がみれて天にものぼるような気持ちだった。ミューズに感謝!

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2015.07.05

光琳コンプリートへの道!

Img     ‘大黒天図’(17世紀 MIHO MUSEUM)

Img_0001     ‘梅図’(17世紀 大阪市美)

Img_0002     ‘千羽鶴図香包’(18世紀)

Img_0003     ‘松島図屏風’(18世紀 大英博)

滋賀県の信楽にあるMIHO MUSEUMへ横浜からクルマで行くには休憩をいれて7時間くらいかかる。往復すると大きなエネルギーを消費することになるから気合が入らないと行けないが、この美術館で行われる企画展は伊藤若冲、長澤芦雪、与謝蕪村の回顧展のように見逃せないものばかり。だから、すでに7回も訪問した。

尾形光琳(1658~1716)の‘大黒天図’はこのくらいクルマを走らせたのだからお目にかかれてもよさそうな作品、ところがまったく縁がない。平常展示の作品をチェックしていたが姿を見せてくれなかった。いつになったらこの愛嬌のある大黒天に会えるのだろうか?

大阪市美にある‘梅図’にもなかなか遭遇しない。光琳の墨で描かれた花鳥画はそののびやかな筆使いが魅力、梅でも竹でも本当に光琳の線は形を柔らかくすうーっとひいていくので思わずみとれてしまう。

香包はこれまで画集に載っているものを片手くらいみたが、まだ縁がないのが個人蔵の‘千羽鶴図’、宗達の千羽鶴をイメージさせるこの作品は心をわくわくさせる。宗達つながりでは‘松島図屏風’も一度みてみたいもの。これは大英博のコレクションだが、日本に里帰りし鑑賞の機会に恵まれることがこの先あるだろうか。

大英博にはもう長いこと足を運んでいない。日本美術を展示する部屋ではお目にかかれる可能性はある。いつかロンドンを再訪することがあったらこの絵のことを忘れないようにしようと思う。

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