2023.11.17

西洋美で大キュビスム展!

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 ローランサンの‘アポリネールと友人たち’(1909年 ポンピドゥー)

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  レジェの‘婚礼’(1911~12年)

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  ドローネーの‘パリ市’(1910~12年)

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  クプカの‘色面の構成’(1910~1911年)

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   ピカソの‘輪を持つ少女’(1919年)

西洋美で開催中の‘キュビスム展 美の革命’(10/3~1/28)をみる
ため、先週に引き続き上野にでかけた。東博のやまと絵展同様、館内には制
服姿の中学生、中国人を含む外人観光客がここにもあそこにもいた。美術史
における形の革命、‘キュビスム’の美術をポンピドゥーセンターが所蔵する
絵画や抽象彫刻でどーんとお見せしましょう、という感じだから誰にとって
もエポック的な鑑賞体験となるのは間違いない。

お目当ての作品はやはりまだみてないもの。今年はマリー・ローランサン
(1883~1956)の当たり年でポンピドゥーにある‘アポリネール
とその友人たち(第2ヴァージョン)’との対面が叶った。どういうわけか、
パリでこの絵と会った実感がない。常時展示されてない絵なのかもしれない。
真ん中の男性が詩人のアポリネールでその隣にピカソが描かれている。恋人
のローランサンは右の水色のドレスを着た女性。人物とお馴染みの鹿はいろ
いろ曲がり具合を変えた円の装飾表現によって繋がっている。

日本初登場のレジェ(1881~1955)の‘婚礼’は一度お目にかかったこ
とがあるが、今回は長く絵の前にいて大きな画面のなかに一体何人いるのか
チェックした。何度も数えたが、気づいたのは10人。キュビスム様式で描
かれている顔なので‘アハ!ピクチャー’的なところがあり、言われるとそうか、
と顔の輪郭をとらえることができる。みてのお楽しみ!

ドローネー(1885~1941)の‘パリ市’は3人の裸婦の表現がキュビ
スム+マグリット流のシュルレアリスムとなっているのがおもしろい。マグ
リットの絵は‘白紙委任状’(ワシントン国立美)をみた人は同じことをイメー
ジするだろう。クプカ(1871~1957)の‘色面の構成’は背景の明るい
暖色(オレンジと黄色)が後退する暗い寒色(青と緑)で描かれた女性を前
に押し出している。この絵と同じくピカソ(1881~1973)の‘輪を持
つ少女’ははじめてお目にかかった。手元のピカソ本に載っていないので大き
な収穫だった。

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2023.11.09

もっとみたいピカソ!

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1億3900万ドルで落札された‘Femme a la Montre’

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1億7930万ドルで落札された‘アルジェの女たち バージョン0’

Img_0001_20231109220501    ‘夢’(1932年 ガンツコレクション)

美術品との関りが深くなると、有名なオークションで巨額の値がついた作品
のニュースが飛び込んでくると俄然エキサイトしてくる。競売大手のサザビ
ーズが8日開催したオークションでピカソの‘Femme a la Montre’が
1億3900万ドル(約209億7200万円)で落札されたとのこと。これ
は今年落札された美術品では世界最高額となった。

この絵は亡くなった慈善家のコレクションが所蔵していたものだが、ぱっと
みてとても惹かれる。手元にあるピカソの美術本や過去に手に入れた展覧会
図録には載ってないから衝撃を受けた。これほど色彩に力があるキュビスム
肖像画がまだあったのか!という感じ。この落札額は2015年、‘アルジェ
の女たち バージョン0’についた1億7930万ドル(当時の新聞記事によ
ると約215億円)に次ぐ高額落札というのも納得がいく。

この絵と‘アルジェの女’は誰の手に入ったのだろうか?名の知れた美術館の
所蔵になったら本物を見る機会が可能性としてはあるかもしれない。たとえ
ば、パリのポンピドーとかNYのMOMAなら期待できる。でも、超富裕層のコ
レクションにおさまったら永遠に縁はない。そうはいってもなにかの間違い
でピカソ展に出品されることを妄想して、My‘もっとみたいピカソ’にリスト
アップすることにした。

もう一点、みたくてみたくてしょうがない絵がある。‘夢’、所蔵しているのは
ガンツコレクション。2013年あるTV番組をみていたら‘高額絵画ベスト3’
というのがでてきた。それによると、
1位 セザンヌの‘カード遊びをする人たち’ 246億円
2位 ピカソの‘夢’            153億円
3位 ポロックの‘N0.5 1948’     138億円 
この絵を夢でなく目が覚めているときにみたい。ミューズに祈り続けるつもり。   

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2022.10.28

西洋美の‘ピカソとその時代’展!

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  ピカソの‘緑色のマニキュアをつけたドラ・マ―ル’(1936年)

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  ピカソの‘窓辺の静物、サン=ラファエル’(1919年)

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  クレーの‘青の風景’(1917年)

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  クレーの‘植物と窓のある静物’(1927年)

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  マティスの‘雑誌・ヴェルヴの表紙図案’(1943年)

西洋美で開催中の‘ベルリン国立ベルクグリュ―ン美展 ピカソとその時代’
(10/8~1/22)をみてきた。今年はドイツにある美術館のコレクショ
ンが大当たり。6~9月にエッセンのフォルクヴァング美(西洋美)、ケル
ンのルートヴィヒ美(国立新美)のものが披露され、そして、今月はじめか
らベルリンのベルクグリュ―ン美が再度西洋美に登場した。ここの美術館の
作品は日本初お目見え、メインディッシュはあのピカソ(1881~
1973)なので平日にもかかわらず館内は結構混んでいた。

春にパナソニック汐留美でもイスラエル博所蔵のピカソをみたから、キュビ
スム特有の人物表現となっている女性の両目が極端にずれたりしていてもそ
う驚かない。モデルをシュルレアリスムの写真家であったドラ・マールがつ
とめた‘緑色のマニキュアをつけたドラ・マール’が目玉の作品かもしれない。
ぱっとみると片方の目が小さいので変な感じだが、顔全体はとても綺麗。
感情の起伏の激しい女性だが、これをみるととても惹かれる。
‘窓辺の静物、サン=ラファエル’はモチーフのフォルムの歪みがあまり気にな
らず、具象性の強い窓の表現によってつくられる安定感が目に心地よく映る。
全体の構成がよく計算されており、青を基調とする色調のハーモニーがとて
もソフトで軽やか。

予想を大きく上回ったのがクレー(1879~1940)。全部で34点飾
られていた。クレーをこれほどたくさんみたのは久しぶり。ミニ回顧展とい
っていいほど内容は充実している。思わず足がとまったのがお馴染みの子ど
ものお絵かきのようにみてしまう‘青の風景‘。小さい頃家を描くときはこうい
う風に屋根を三角形にすると気持ちが落ち着き、次に描くものに調子にのっ
て移れた。‘植物と窓のある静物’は緑の地に描かれた赤のカーテンがつけられ
た窓や頭が赤で顔が黒の男に不思議な緊張感がある。

15点あるマティス(1869~1954)は晩年の切り紙絵(6点)を長
くみていた。お気に入りは‘雑誌・ヴェルヴの表紙図案’。躍動する黒の人物の
姿が緑の面に浮きぼりになっている。ここでみたマティスは来年4月に東京
都美で開かれる‘マティス展’のちょうどいいプレリュードになった。

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2022.05.27

パナソニック汐留美の‘ピカソ ひらめきのの原点’!

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  ‘座る女’(1949年 イスラエル博)

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  ‘海の前の女’(1939年)

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  ‘牧神と山羊’(1959年)

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  ‘貧しい食事’(1904年)

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  ‘夜、少女に導かれる盲目のミノタウロス’(1934年)

現在、パナソニック汐留美で開催中の‘ピカソ ひらめきの原点’(4/9~
6/19)をみてきた。出品されているピカソですべてエルサレムにある
イスラエル博が所蔵する自慢のコレクション。イスラエル博というと昨年
の秋、三菱一号館美で披露された印象派の絵が目を楽しませてくれた。
それから半年後、今度は20世紀の美術界の絶対的帝王ともいえるピカソ
。これまでこの博物館の作品はほとんど縁がなかったが、ゴッホ(2点)、
モネの傑作があってピカソも版画や油彩のいい絵を揃えているのだから、
博物館の格付けではトップクラスに位置づけれらるとみて間違いない。

ピカソ(1881~1973)の回顧展は西洋絵画ではキラーコンテンツ
のひとつだから、予想以上に多くのファンが集まっている。やはりピカソ
はいつでも特別な画家。広くない展示室に120点が並んでいた。版画が
中心の構成なので眼を見張らせる大きな絵はないが、白黒だけの色彩が消
えた作品の質が高いため、これを通じてピカソの画業全体の流れ、青の
時代、キュビスム、ピカソが愛した女性がモデルになった肖像画、闘牛、
ギリシャ神話を題材にした刺激的な絵を存分に楽しむことができる。

油彩で思わず足がとまったのはチラシに使われている‘座る女’。気になって
しょうがないのが緑と黄色によって鼻や目がイメージされる顔の横にみら
れる濃い緑とこげ茶の模様。イモムシを連想したり、帽子掛けのようにも
みえるが、これは髪の毛なんだろうか?こういう顔の不思議な表現ははじ
めてみた。そして、ゲルニカにでてくる牛の目を思い浮かべる‘海の前の女’
や晩年のマティスの切り紙絵が重なる‘牧神と山羊’にも惹かれる。

メインディッシュの版画や素描は数が多い。展示室に入ってすぐのところ
にお気に入りの‘貧しい食事’があった。青の時代は油彩でも版画でも1点々
心に響く。見ごたえのある‘ヴォラール連作’では‘夜、少女に導かれる盲目
のミノタウロス’を長くみていた。びっくりするのがミノタウロスの頭と腕
が異様に大きいこと。ピカソ流のギリシャ神話画は力強さと神秘性がない
交ぜになっている。

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2021.12.30

ピカソの‘ゲルニカ’!

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    ピカソの‘ゲルニカ’(1937年 ソフィア王妃芸術センター)

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   現代アートの殿堂、ソフィア王妃芸術センター(マドリード)

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   プラド別館に展示されていたときの‘ゲルニカ’

26日の日曜美術館にピカソ(1881~1973)の‘ゲルニカ’が登場した。
このタイミングでなぜ‘ゲルニカ’?と思ったが、スタッフがわざわざマドリ
ードへでかけソフィア王妃芸術センターに飾ってあるこの大作を8Kカメラ
で撮影したためだった。そして、実物の大きさ(縦3.5m 横7.8m)
を再現し、番組のゲストたちにみてもらっていた。

‘ゲルニカ’の本物はこれまで3回みたことがあり、誕生のきっかけとなった
ドイツ軍によるゲルニカ無差別爆撃のことやピカソがこの絵をどういうふう
に仕上げたかについてもだいぶ情報が入っているので、番組に前のめりに
なるということもなく気軽に話を聞いていた。興味深かったのは左上に描
かれている鳥。このモチーフをしっかりみたという実感がない。暗くてよく
見えないのと前にいる牛と息苦しさのためよだれをたらす馬のインパクト
が強烈なので鳥の存在がかき消されている。

1990年仕事でスペインに出張したとき、日曜を利用してマドリードにあ
るプラド美を楽しんだ。ベラスケスやボスの絵など名画の数々を満喫したあ
と、別館に移動して‘ゲルニカ’と対面した。なんとこの大作は防弾ガラスの
囲いのなかに閉じ込められていた!こんなに警備が厳しいとは思ってもみな
かった。1981年NYのMoMAからスペインに帰って来てここで展示さ
れることになったが、ソフィア王妃芸術センターへ移ったのは1991年だ
から、こういうピリピリした精神状態でこの絵をみる最後の年だったのであ
る。ソフィアでも2回みる機会があったが、絵の前にはもう不格好な防弾
ガラスはなかった。

もう一回くらいみてみたいが、海外旅行を再開するときはスペインの優先
順位はどうしてもパリやイタリアより低くなるのでマドリードに行けるか
どうかはわからない。

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2013.04.02

ピカソの‘黄色い髪の女’と再会!

Img_0008_2     ピカソの‘黄色い髪の女’(1931年)

Img_0006_2     ピカソの‘水差しと果物鉢’(1931年)

Img_0002_2     マルクの‘黄色い牝牛’(1911年)

Img_0007_2     カンディンスキーの‘小さな喜び’(1913年)

グッゲンハイムはMoMA同様、久しぶりに訪れるので期待の作品が多かった。でも、その大半は次回に繰り越し、必見リストに◎がついていたのはシーレ、モディリアーニ、ロスコ、リキテンスタイン、そしてステラ。

こうした作品に会えればこの美術館は気が楽になる。実質2回の鑑賞でもうOK?、これには理由がある。1991年池袋にあったセゾン美(現在はなし)で‘グッゲンハイム美展’が開催された。当時大変話題になった展覧会なので足を運ばれた方も多いのではなかろうか。

その出品作がすごいラインナップだったことはその2年後この美術館を訪問し手に入れた図録(英文)をみて理解した。ここに載っている作品の多くが日本にやって来ていた!特筆ものはカンディンスキー、傑作がずらずらと並んでおり、夢見気分でみたことを今でもよく覚えている。今回日本でみた作品が3点でていた。

ピカソの4点のうち‘黄色い髪の女’と‘水差しと果物鉢’を長いことみていた。何年か前Bunkamuraで展示された‘黄色い髪の女’はお気に入りの作品、ピカソは昔から対象が直線的で角々描かれたものは好みでなく、この絵のように丸みをおびた造形にだけ熱い視線を注いでいる。

セゾンでみた‘水差しと果物鉢’は強いインパクトを持った作品。太い黒線で縁どられた水差しやテーブルカバーと鮮やかな緑が強く印象づけられる。緑、黄色、紫、好きな色が全部でてくるので上機嫌。

マルク(1880~1916)に開花するきっかけになったのがセゾンで遭遇した‘牝牛’、牛の飛び跳ねる姿が様式化されており、これにより動物のもつ生命力が力強く表現されている。その絵以降、マルクを体験する機会が何度かあったが、これを超える作品にまだ出会ってない。

この美術館自慢のカンディンスキー(1866~1944)はまたいっぱいみたかったのだが、4点のみ。残念ながらお目当てのものは姿をみせてくれなかった。その一枚‘小さな喜び’は日本で公開された17点のなかにも入っていたが、今回の展示はこの絵のタイトルのように小さな喜びにとどまった。

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2013.03.26

MoMA(4) 絶大な人気を誇るアンリ・ルソーとピカソ!

Img_0003     ルソーの‘眠るジプシー女’(1897年)

Img_0004     ルソーの‘夢’(1910年)

Img_0001     ピカソの‘アヴィニョンの娘たち’(1907年)

Img     ピカソの‘泉の女たち’(1921年)

5階に展示されている作品のなかで多くの人が集まっているのはゴッホ、ピカソ、そしてアンリ・ルソー。ちょっと驚きなのはルソー(1844~1910)、20年前はこんなに人はいなかった。でも、今は大変な人気。

‘眠るジプシー女’も‘夢’も大きな絵、本物をみたのはずいぶん前だから普段は美術本の図版でのつきあい、これに慣れると絵のサイズはとんでしまう。‘夢’が縦2m、横3mもあるどデカい絵であることをすっかり忘れていた。

‘眠れるジプシー女’はへんな絵だが、不思議な魅力をもっている。一見舞台の書割りの感じ、右からマンドリン、横たわるジプシー女、そして置物のようなライオン、幼稚園の園児たちがこの3つの作り物を斜めにべたっと貼り付けたのかなと思ってしまう。それにしても怖くないライオン、ライオンキングはこの絵から生まれた?

この絵がとても静かでポエジーなのに対し、‘夢’は東洋風にいえば極楽浄土の世界。草木の緑が‘蛇使いの女’(1907年 オルセー)同様印象深く、果物の橙色や花びらのうす青やピンク色も目に心地いい色調。主役の植物に囲まれて裸婦がソファーに横たわり、ライオンや象、猿、そして大きな鳥が思い々のポーズをとっている。まさに熱帯の楽園、時間はあればずっとみているのだが、、

ピカソ(1881~1973)が生み出したキュビスムを象徴する作品‘アヴィニョンの娘たち’、この有名な絵を拙ブログではまだとりあげてなかった。なんとはなしにその機会がなかった。1990年にやって来たとき、この絵の前では‘これが本物か!’と夢中になってみた。

印象に強く残っているのは右の2人の女、その刷毛を緩やかに曲げたような鼻からは小さいころ動物園でみたマントヒヒの鼻を連想した。今回は左端に立つ女をMETで会った‘クーロス’の逞しい足のことを思い浮かべながらみていた。

ピカソの作品は数多く展示してあったが、リスト載せていた新古典主義時代の‘泉の女たち’と対面できたのは幸運だった。量感のある人物表現にぐっと惹きこまれる。

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2012.05.24

ピカソの‘パラード’ 21年ぶりにポンピドゥーで公開!

3879_2     ‘バレエ・パラードの幕’(1917年 ポンピドゥーセンター)

3880_2         ‘ひじかけ椅子に座るオルガ’(1917年 パリ ピカソ美)

3881_2     ‘3人の踊り子’(1925年 ロンドン テート・モダン)

今日のニュースにピカソの作品がでてきた。ピカソがバレエ‘パラード’のために制作した緞帳が所蔵しているパリのポンピドゥーセンターで21年ぶりに公開されるという。

この緞帳は15年前日本にやってきた。モダンアートに関心がある方は足を運ばれたのではないかと思われる‘ポンピドゥー・コレクション展’(1997年)、場所は東現美。この美術館で開催された展覧会のなかでは最も多くの観客を集めた超一級の展覧会だった。 そこで話題を集めたのがこの‘パラード’。

幕は高さ10.5m、横16.4mあり、みあげるほど大きなものだった。布に描かれているのは道化師やサーカスの芸人、羽を生やした馬ペガサス。馬の上に乗っている女性のモデルは1年後にピカソと結婚するオルガ。明るい色彩でサーカスの楽しさが画面に満ち溢れている。

ピカソ(1881~1973)が92年の生涯で深く愛した女性は7人。3人目がロシアバレエ団のダンサーだったオルガ。貴族の娘で父親はロシア陸軍の将校だった。‘ひじかけ椅子に座るオルガ’には彼女の気位の高さがよくでている。

オルガは有名になったピカソにいろいろ要求する。‘私を描くときは私とよくわかるように描いてよ、それからあなたは一流の芸術家なのだから、上流階級の人たちとの交流はうまくやってネ、、、’ 長男のパウロが生まれたが、二人の愛は長続きせず、ピカソはブルジョワ的な生活にも飽きてくる。

‘3人の踊り子’はピカソとオルガとの仲が破局にむかっているころの作品。ピカソのイライラした気持ちが踊り子の破壊的なフォルムに現れているのかもしれない。この絵を描いた2年後、ピカソは17歳のマリー・テレーズと運命的な出会いをする。

45歳のピカソから‘あなたはとても美しい顔をしている。あなたの絵を描かせてください。すばらしい作品になるはずです’と誘われれば、マリー・テレーズだって悪い気はせずこれに応じる。そして‘夢’などの傑作が次々と生み出されていく。

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2009.02.28

ピカソのやさしい絵と激しい絵!

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ピカソがわかりにくいキュビスムの絵だけを描いていたなら、この画家に対する興味はそう大きくはならなかったろうが、この天才画家は表現したいモティーフをいろいろな描き方で制作しており、その中には心をとらえて離さない名画がいくつもある。今日は‘ゲルニカ’と同じく、ぞっこん惚れている絵をピックアップした。

★黄色い髪の女 (1931) : NY,グッゲンハイム美 (上の画像)
★夢 (1932) : NY,ヴィクター・W・ガンツ夫妻蔵 (真ん中)
★泣く女 (1937) : ロンドン、テート・モダン (下)

‘黄色い髪の女’は04年、Bunkamura主催の‘グッゲンハイム美展’で日本にやってきた。この展覧会が開催されているとき、上野ではちょうど‘マティス展’があり、そこに‘黄色い髪の女’とよく似ている‘夢’(1940)が出ていた。もし、‘どちらか好きな方を差し上げる‘と言われたら、即座にピカソの絵と答える。

モデルをつとめたマリ=テレーズはピカソの暴力的ともいえるストレートな欲望をまったく鎮めてしまうほど清らかな女性だったのだろうか。このやさしい寝姿を見ていると、そんな女性をイメージする。

この絵の翌年に描かれた‘夢’はまだお目にかかってない。見たい度のすごく高い絵で、これと会えたら心臓がバクバクしそうな気がする。個人蔵だが、これまで展覧会に出品されたことがあるのだろうか?NYの有名な画廊のようなところで見られるのなら、次回美術館めぐりをするときは、万難を排して出向くのだが。

これと同じくらい好きなのがテート・モダンにある‘赤い肘掛椅子の裸婦’(1932)。昨年、テートで会えるものと期待していたが、ふられてしまった。

‘泣く女’は上の2枚のやさしいい絵とは対照的にとても激しい絵。別ヴァージョン(拙ブログ07/3/25)がマドリッドの国立ソフィア王妃芸術センターにあるが、テートのほうが断然いい。あふれ出る涙が三角形の白い面であらわされている。

ドイツ表現主義の画家たちも人間が発する怒りとか悲しみをピカソほどにはとげとげしい直線は使わないが、体をゆがませたりして描いている。ピカソと表現主義派が同じ悲しさを表現しても、見る者の共振度は随分違う。

ピカソの‘泣く女’を見て、‘ドラ・マールはヒステリックに泣いてるが30分もたつとけろっとして、またパリの街にとびだしていくのだろうな’とすぐ思う。これはいうなれば瞬間的な悲しみ。感情の起伏は大きいが長く続くとも思えない。感情の爆発をピカソはキュビスムの描き方で表現した。まさに天才の芸術!

これに対して、グロスやベックマンが描く悲しみの情景は腹にズシンとこたえ、共感する悲しみは心の奥深くに長くとどまる。ワーグナーの歌劇みたいに粘っこいのである。

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2009.02.27

Bunkamuraのピカソ・クレー展

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Bunkamuraで現在開かれているノルトライン=ヴェストファーレン州美蔵の‘ピカソ・クレー展’(1/2~3/22)は目玉のクレー作品を3年前川村記念美で見たから、パスと決めていた。

が、チラシに使われているピカソの絵が頭から離れず、これを見逃すと悔いを残すかなという気分があるような無いような。背中を押してくれたのは美術本。最近読み終えたイヴ=アラン・ボア著‘マチスとピカソ’(日本経済新聞社 00年6月)にもこれが出てきた。そして、何気なしに手にとった本に今回展示してあるマックス・ベックマンの絵があった。‘ええー、これが出ているの!’ で、この2点を見るために渋谷へ足を運んだ。

★ピカソの‘鏡の前の女’(上の画像)
★ベックマンの‘夜’(真ん中)
★シャガールの‘祝祭日(レモンをもつラビ)’(下)

‘鏡の前の女’(1937)は大きな絵で、期待値以上の傑作だった。この美術館の自慢がクレー作品ということは川村記念美での鑑賞でよくわかったが、こんないいピカソがあったとは。ピカソで好きなのは同じキュビスムでも対象を丸く表現した絵。例えば、昨年国立新美&サントリー美であった回顧展に展示された‘ドラ・マールの肖像’(拙ブログ08/10/24)とか‘読書’のように、鋭角的な形とか直線が少なければ少ないほどいい。

‘鏡の前の女’はNYのMoMAにある‘デッサンする少女のいる室内’(1935)やポンピドーの‘ミューズ’(1935)と画面の構成はよく似ているが、女の体の描き方が違っている。足をほかの2つのように前にのばしておらず、あぐらをかいている感じで、鏡の横にある花瓶同様、女の体は丸みをおびている。この柔らかさがとてもいい。いっぺんに好きになった。もう一点、新古典主義時代に描かれた大作‘二人の座る裸婦’(1920)にも圧倒された。

強烈な画面だったのがベックマンの‘夜’(1918~19)。息苦しくなるほどすごい絵である。‘この絵は何を描いているのだろう?’と隅から隅まで神経をピリピリさせながら見た。左の首を吊られている男は苦しそう。これほど残虐なシーンを見たのははじめて。

右で手を縛られ両足を大きく広げている女の顔は見えないが、苦痛で悲鳴をあげているにちがいない。その隣でレーニンみたいな顔をしている男に体を抱えられ、涙を流している女は娘だろうか。赤い衣服の先に出ている足はぐにゃっと上のほうに曲がっている。どんな理由かわからないが、これは一家が惨殺される場面。

ドイツ表現主義でもベックマンとグロスが描く絵からは半端ではない衝撃をうける。日本の地獄絵を見るのは好きだから、こういうタイプの絵はもうイイやということはない。この二人の回顧展とか表現主義展にいつか遭遇しないかなと願っている。

シャガールの絵はオマケだったが、これはただのオマケではない。手元にあるTASCHENのシャガール本には‘祝祭日’(1914)も‘バイオリン弾き’(1911)も載っている。ラビの頭にどういうわけか小人のラビが、これって昨日紹介した春信の浮世之介に似てない!

館自慢のクレーは全作品57点のうち27点ある。お気に入りは‘頭も手も足もハートもある’(06/7/4)や‘黒い殿様’やチラシに使われている‘駱駝’。一度みているのでさらっと見て館を出た。

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