2026.09.04

エピソード記憶として忘れられないピカソの絵!

Img_20260904233201   ‘ゲルニカ’(1937年 国立ソフィア王妃芸術センター)

Img_0001_20260904233201   プラド美別館に飾られていた‘ゲルニカ’

Img_0002_20260904233301   ‘バレエ「パラード」の幕’(1917年 ポンピドー)

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‘黄色い髪の女’(1931年 グッゲンハイム美)

Img_0003_20260904233301   ‘水差しと果物鉢’(1931年 グッゲンハイム美)

Img_0005_20260904233401   ‘3人の踊り子’(1925年 テートモダン)

過去におこった出来事や旅行などの思い出がエピソード記憶として長く残っ
ていることはいろいろある。たとえば、絵画や彫刻の傑作に出会ったこと、そのときの大きな感動は長い年月を経てもすぐよみがえってくる。ピカソの絵にはそれがいくつもある。

ピカソの代表作である大作‘ゲルニカ’は現在、マドリードの国立ソフィア王妃芸術センターで展示されている。この絵とは運よく3回縁があった。はじめてみたのは1990年仕事でスペインに出張したとき。プラド美の別館で長年の思いの丈を叶えたが、なんと防弾ガラスのなかに閉じ込められていた!これほど警備が厳しいとは思ってもみなかった。1981年NYのMoMAからスペインに帰って来てここに展示され、1991年にソフィア王妃センターに移った。だから、ピリピリしながらこの絵をみる最後の年だった。

1997年、東京都現美で開催された‘ポンピドー・コレクション展’でお目にかかった‘バレエ「パラード」の幕’(縦10.5m、横16.4m)も忘れられない‘ピカソ事件’。ロシア・バレエ団の演目「パラード」にピカソは舞台装置と衣装のデザインの担当で参画した。パリのポンピドーへ出かけても、普段はみれないから貴重な鑑賞体験である。

ピカソの静物画で一番のお気に入りはNYのグッゲンハイム美が所蔵する‘水差しと果物鉢’。これは1991年池袋にあったセゾン美(現在はなし)で行われたすばらしい‘グッゲンハイム美展’でめぐりあった。強いインパクトをもった傑作で緑、黄色、紫と好きな色が全部でてくるので心が晴れ晴れする。おもしろいことに、お世話になっている歯科医院の待合室にコピーが飾ってあったので治療の痛みが緩和された。

優しいピカソの絵の代表といっていい‘黄色い髪の女’はNYと渋谷のBunkamuraで遭遇した。この絵はいつもマチスの‘夢’(1940年)と一緒に楽しんでいる。ピカソの主要作品で最初に衝撃を受けたのはロンドンのテート・ギャラリー(現在のテートブリテン)でみた‘3人の踊り子’。キュビスムで描かれた人物像なのに、踊りに夢中になる男女の生き生きした姿を目の当たりにしている気分。そのキュビスム流動感描写に感心した。

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2026.09.03

ピカソが愛した女性たち!

Img_0001_20260903222701   ‘ドラ・マールの肖像’(1937年 パリ国立ピカソ美)

Img_0002_20260903222701   ‘鏡の前の少女’(1932年 MoMA)

Img_20260903222701   ‘肱掛け椅子に座るオルガ’(1917年 パリ国立ピカソ美)

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‘花の女’(1946年 パリ国立ピカソ美)

Img_0003_20260903222701   ‘ジャクリーヌ・ロックの肖像’(1954年 パリ国立ピカソ美)

画家の物語がまとまって頭に入ってくるのは回顧展が開催されたときつくら
れる図録の最期の載っている年譜。これを読んでおもしろいのがピカソ
(1881~1973)。91歳まで長生きし、画業の幅が絵画、彫刻・陶
器、素描・版画と広いのでいろいろな作品が楽しめる。それに加え、交友関
係が広く愛した女性も多いことも興味を掻き立てる。

ピカソがキュビスムの描き方で女性を表現した作品でもっとも好きなのは
‘ドラ・マールの肖像’。ロンドンのテートモダンにある‘泣く女’のモデルも
ドラ・マールだが、泣いてないときの彼女はじつに綺麗。彼女はユダヤ系の
血を引くユーゴスラビア人の写真家。そして、2022年、西洋美で開催さ
れた‘ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリュ―ン美展’でも大変惹か
れる‘緑色のマニキュアをつけたドラ・マール’に出会った。

17歳のときピカソにみそめられモデルになったマリー・テレーズは
1932年に描かれた‘鏡の前の少女’に登場した。‘夢’とはちがい目がぱっち
りした少女が曲線のつくる柔らかさにより女神にような神々しさをもつ姿
で描かれている。マリーの絵は‘読書’なども入れて5点くらい魅了され続けて
いる。一方、‘肘掛け椅子に座るオルガ’は‘新古典主義の時代’の作品なので、
普通の肖像画と対面している感覚で安心してみられる。このロシア・バレエ
団のダンサーは‘私を描くときは、私とわかるように描いてちょうだいよ’と
ピカソに注文をつけた。ピカソも惚れた弱みで美人のいうことは聞かざるを
えないだろう。彼女は最初の妻。

二番目の妻にして最後のモデルとなったジャクリーヌ・ロックはキュビスム
調で手を組み合わせるポーズで描かれている。目力の強さが深く心に刻まれ
る。戦後、21歳の画学生だったときピカソに愛されたフランソワーズ・ジ
ローは‘人間は誰でも動物に似ているものだが、君は違う。植物だ’と言われ、
‘花の女’として描かれている。こんな肖像画は誰も思いつかない。

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2026.08.31

ピカソは子ども絵の名手!

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  ‘アルルカンに扮したパウロ’(1924年 パリ国立ピカソ美)

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  ‘ピエロ姿のパウロ’(1925年 パリ国立ピカソ美)

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  ‘大きな帽子を被った少女’(1901年 フォッグ美)

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  ‘鳩をもつ子ども’(1901年 コート―ルド美)

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  ‘ラス・メニーナス’(1957年 バルセロナ ピカソ美)

国立新美で行われているピカソ(1881~1973)の回顧展は作品の見
せ方、演出の仕方がこれまでとはひと味もふた味も違っていた。だから、お
馴染みの絵なのに新鮮な感覚で楽しめた。たとえば、キュビスムの画家、
ピカソのイメージがまったく消えてしまう‘アルルカンに扮したパウロ’はとて
も可愛いくて、心が洗われた。その翌年に描かれた‘ピエロ姿のパウロ’は元気
いっぱいの坊やという感じ。

ピカソは絵描きとしての腕が群をぬいているから、子どもの絵だって上手に
描く。ハーバード大の構内のあるフォッグ美で‘大きな帽子を被った少女’に出
会ったときは大きな衝撃をうけた。まるで印象派のルノワールの絵をみてい
るよう。明るいピンクの色が目に心地よく、塗りは厚く点描風に描かれてい
る。天才ピカソは何でも描けるのだなと感心した。

ロンドンのコート―ルド美が所蔵する‘鳩をもつ子ども’は‘青の時代’の初期に
属する作品。力強く引かれた輪郭線の使い方や平板的な表現はゴーギャンや
象徴派の画家たちの影響がみてとれる。そして、鳩を両手でもつ子どものちょ
っと感傷的な内面描写がなかなかいい。強く記憶に残る子どもの絵である。

スペインのバルセロナを旅行したとき、まだ美術鑑賞は普通のレベルだったが、
観光名所のひとつとしてピカソ美を訪問した。ありゃら、、という感じだった
のが、‘ラス・メニーナス’。ええー?あのキュビスムのピカソがベラスケスの
有名な‘ラス・メニーナス’を自分流に描いちゃったの!顔はマチスのように緑
や青が塗られている。これはマルガリータだけを描いているが、全体の作品も
あった。何年か後に、ピカソはこれを題材として58点もの連作を描いたこと
を知った。

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2026.08.29

デザイナーがコラボした‘ピカソ展’!

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  ‘読書’(1932年)

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  ‘腕を重ねて座る女’(1937年)

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  ‘人形を抱くマヤ’(1938年)

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  ‘コリーダ:闘牛士の死’(1933年)

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  ‘草上の昼食(マネに基づく)’(1960年)

現在、国立新美ではデザイナーのポール・スミスがディレクションした
‘ピカソ展’(6/10~9/21)がおこなわれている。作品はすべてパリ国立
ピカソ美が所蔵するもので、過去にやって来たものと数多く再会した。

入場すると若い人たちが大勢いた。そして、外国人も目立つ。今年は近現代
アートの企画展では‘テート美ーYBA&BEYOND’(2~5月)でも現在森美で
開催中の‘ロン・ミュエク’(~9/23)でも同じ光景をみた。日本の展覧会
シーンはインバウンドの数が増加しているのでこれが当たり前のようになっ
てきた。しかも、天才ピカソ(1881~1973)とくれば当然と言えば
当然の流れ。

見慣れた作品がセンスのいい明快な色彩と綺麗な装飾で整えられた舞台で輝
きを増している感じである。その最たるものがチラシに使われている‘読書’。
モチーフが直線的でねじれた形態が強い刺激となって迫ってくるピカソのキ
ュビスム全開の作品に較べると、連続する丸みが若い女性(モデルはマリー
=テレーズ)をリズミカルに浮き上がらせ美しい女神のように仕立ている。

‘腕を重ねて座る女’と‘人形を抱くマヤ’も角々したところが少なく、リラック
スして絵の前に長くいられる。これに対し、‘コリーダ:闘牛士の死’は馬の
悲鳴が聞こえてくるようでその激しい暴力性から緊張感を強いられる。この
絵の前だけは別空間だった。最後に登場するマネの絵に基づく‘草上の昼食’は
日本でみるのはこれがはじめて。バルセロナ・ピカソ美にある‘ラス・メニー
ナス’と比べると、こちらのほうが丸っこい人物描写と多用された緑により安
心して楽しめる。

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2023.11.17

西洋美で大キュビスム展!

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 ローランサンの‘アポリネールと友人たち’(1909年 ポンピドゥー)

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  レジェの‘婚礼’(1911~12年)

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  ドローネーの‘パリ市’(1910~12年)

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  クプカの‘色面の構成’(1910~1911年)

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   ピカソの‘輪を持つ少女’(1919年)

西洋美で開催中の‘キュビスム展 美の革命’(10/3~1/28)をみる
ため、先週に引き続き上野にでかけた。東博のやまと絵展同様、館内には制
服姿の中学生、中国人を含む外人観光客がここにもあそこにもいた。美術史
における形の革命、‘キュビスム’の美術をポンピドゥーセンターが所蔵する
絵画や抽象彫刻でどーんとお見せしましょう、という感じだから誰にとって
もエポック的な鑑賞体験となるのは間違いない。

お目当ての作品はやはりまだみてないもの。今年はマリー・ローランサン
(1883~1956)の当たり年でポンピドゥーにある‘アポリネール
とその友人たち(第2ヴァージョン)’との対面が叶った。どういうわけか、
パリでこの絵と会った実感がない。常時展示されてない絵なのかもしれない。
真ん中の男性が詩人のアポリネールでその隣にピカソが描かれている。恋人
のローランサンは右の水色のドレスを着た女性。人物とお馴染みの鹿はいろ
いろ曲がり具合を変えた円の装飾表現によって繋がっている。

日本初登場のレジェ(1881~1955)の‘婚礼’は一度お目にかかったこ
とがあるが、今回は長く絵の前にいて大きな画面のなかに一体何人いるのか
チェックした。何度も数えたが、気づいたのは10人。キュビスム様式で描
かれている顔なので‘アハ!ピクチャー’的なところがあり、言われるとそうか、
と顔の輪郭をとらえることができる。みてのお楽しみ!

ドローネー(1885~1941)の‘パリ市’は3人の裸婦の表現がキュビ
スム+マグリット流のシュルレアリスムとなっているのがおもしろい。マグ
リットの絵は‘白紙委任状’(ワシントン国立美)をみた人は同じことをイメー
ジするだろう。クプカ(1871~1957)の‘色面の構成’は背景の明るい
暖色(オレンジと黄色)が後退する暗い寒色(青と緑)で描かれた女性を前
に押し出している。この絵と同じくピカソ(1881~1973)の‘輪を持
つ少女’ははじめてお目にかかった。手元のピカソ本に載っていないので大き
な収穫だった。

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2023.11.09

もっとみたいピカソ!

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1億3900万ドルで落札された‘Femme a la Montre’

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1億7930万ドルで落札された‘アルジェの女たち バージョン0’

Img_0001_20231109220501    ‘夢’(1932年 ガンツコレクション)

美術品との関りが深くなると、有名なオークションで巨額の値がついた作品
のニュースが飛び込んでくると俄然エキサイトしてくる。競売大手のサザビ
ーズが8日開催したオークションでピカソの‘Femme a la Montre’が
1億3900万ドル(約209億7200万円)で落札されたとのこと。これ
は今年落札された美術品では世界最高額となった。

この絵は亡くなった慈善家のコレクションが所蔵していたものだが、ぱっと
みてとても惹かれる。手元にあるピカソの美術本や過去に手に入れた展覧会
図録には載ってないから衝撃を受けた。これほど色彩に力があるキュビスム
肖像画がまだあったのか!という感じ。この落札額は2015年、‘アルジェ
の女たち バージョン0’についた1億7930万ドル(当時の新聞記事によ
ると約215億円)に次ぐ高額落札というのも納得がいく。

この絵と‘アルジェの女’は誰の手に入ったのだろうか?名の知れた美術館の
所蔵になったら本物を見る機会が可能性としてはあるかもしれない。たとえ
ば、パリのポンピドーとかNYのMOMAなら期待できる。でも、超富裕層のコ
レクションにおさまったら永遠に縁はない。そうはいってもなにかの間違い
でピカソ展に出品されることを妄想して、My‘もっとみたいピカソ’にリスト
アップすることにした。

もう一点、みたくてみたくてしょうがない絵がある。‘夢’、所蔵しているのは
ガンツコレクション。2013年あるTV番組をみていたら‘高額絵画ベスト3’
というのがでてきた。それによると、
1位 セザンヌの‘カード遊びをする人たち’ 246億円
2位 ピカソの‘夢’            153億円
3位 ポロックの‘N0.5 1948’     138億円 
この絵を夢でなく目が覚めているときにみたい。ミューズに祈り続けるつもり。   

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2022.10.28

西洋美の‘ピカソとその時代’展!

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  ピカソの‘緑色のマニキュアをつけたドラ・マ―ル’(1936年)

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  ピカソの‘窓辺の静物、サン=ラファエル’(1919年)

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  クレーの‘青の風景’(1917年)

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  クレーの‘植物と窓のある静物’(1927年)

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  マティスの‘雑誌・ヴェルヴの表紙図案’(1943年)

西洋美で開催中の‘ベルリン国立ベルクグリュ―ン美展 ピカソとその時代’
(10/8~1/22)をみてきた。今年はドイツにある美術館のコレクショ
ンが大当たり。6~9月にエッセンのフォルクヴァング美(西洋美)、ケル
ンのルートヴィヒ美(国立新美)のものが披露され、そして、今月はじめか
らベルリンのベルクグリュ―ン美が再度西洋美に登場した。ここの美術館の
作品は日本初お目見え、メインディッシュはあのピカソ(1881~
1973)なので平日にもかかわらず館内は結構混んでいた。

春にパナソニック汐留美でもイスラエル博所蔵のピカソをみたから、キュビ
スム特有の人物表現となっている女性の両目が極端にずれたりしていてもそ
う驚かない。モデルをシュルレアリスムの写真家であったドラ・マールがつ
とめた‘緑色のマニキュアをつけたドラ・マール’が目玉の作品かもしれない。
ぱっとみると片方の目が小さいので変な感じだが、顔全体はとても綺麗。
感情の起伏の激しい女性だが、これをみるととても惹かれる。
‘窓辺の静物、サン=ラファエル’はモチーフのフォルムの歪みがあまり気にな
らず、具象性の強い窓の表現によってつくられる安定感が目に心地よく映る。
全体の構成がよく計算されており、青を基調とする色調のハーモニーがとて
もソフトで軽やか。

予想を大きく上回ったのがクレー(1879~1940)。全部で34点飾
られていた。クレーをこれほどたくさんみたのは久しぶり。ミニ回顧展とい
っていいほど内容は充実している。思わず足がとまったのがお馴染みの子ど
ものお絵かきのようにみてしまう‘青の風景‘。小さい頃家を描くときはこうい
う風に屋根を三角形にすると気持ちが落ち着き、次に描くものに調子にのっ
て移れた。‘植物と窓のある静物’は緑の地に描かれた赤のカーテンがつけられ
た窓や頭が赤で顔が黒の男に不思議な緊張感がある。

15点あるマティス(1869~1954)は晩年の切り紙絵(6点)を長
くみていた。お気に入りは‘雑誌・ヴェルヴの表紙図案’。躍動する黒の人物の
姿が緑の面に浮きぼりになっている。ここでみたマティスは来年4月に東京
都美で開かれる‘マティス展’のちょうどいいプレリュードになった。

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2022.05.27

パナソニック汐留美の‘ピカソ ひらめきのの原点’!

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  ‘座る女’(1949年 イスラエル博)

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  ‘海の前の女’(1939年)

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  ‘牧神と山羊’(1959年)

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  ‘貧しい食事’(1904年)

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  ‘夜、少女に導かれる盲目のミノタウロス’(1934年)

現在、パナソニック汐留美で開催中の‘ピカソ ひらめきの原点’(4/9~
6/19)をみてきた。出品されているピカソですべてエルサレムにある
イスラエル博が所蔵する自慢のコレクション。イスラエル博というと昨年
の秋、三菱一号館美で披露された印象派の絵が目を楽しませてくれた。
それから半年後、今度は20世紀の美術界の絶対的帝王ともいえるピカソ
。これまでこの博物館の作品はほとんど縁がなかったが、ゴッホ(2点)、
モネの傑作があってピカソも版画や油彩のいい絵を揃えているのだから、
博物館の格付けではトップクラスに位置づけれらるとみて間違いない。

ピカソ(1881~1973)の回顧展は西洋絵画ではキラーコンテンツ
のひとつだから、予想以上に多くのファンが集まっている。やはりピカソ
はいつでも特別な画家。広くない展示室に120点が並んでいた。版画が
中心の構成なので眼を見張らせる大きな絵はないが、白黒だけの色彩が消
えた作品の質が高いため、これを通じてピカソの画業全体の流れ、青の
時代、キュビスム、ピカソが愛した女性がモデルになった肖像画、闘牛、
ギリシャ神話を題材にした刺激的な絵を存分に楽しむことができる。

油彩で思わず足がとまったのはチラシに使われている‘座る女’。気になって
しょうがないのが緑と黄色によって鼻や目がイメージされる顔の横にみら
れる濃い緑とこげ茶の模様。イモムシを連想したり、帽子掛けのようにも
みえるが、これは髪の毛なんだろうか?こういう顔の不思議な表現ははじ
めてみた。そして、ゲルニカにでてくる牛の目を思い浮かべる‘海の前の女’
や晩年のマティスの切り紙絵が重なる‘牧神と山羊’にも惹かれる。

メインディッシュの版画や素描は数が多い。展示室に入ってすぐのところ
にお気に入りの‘貧しい食事’があった。青の時代は油彩でも版画でも1点々
心に響く。見ごたえのある‘ヴォラール連作’では‘夜、少女に導かれる盲目
のミノタウロス’を長くみていた。びっくりするのがミノタウロスの頭と腕
が異様に大きいこと。ピカソ流のギリシャ神話画は力強さと神秘性がない
交ぜになっている。

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2021.12.30

ピカソの‘ゲルニカ’!

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    ピカソの‘ゲルニカ’(1937年 ソフィア王妃芸術センター)

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   現代アートの殿堂、ソフィア王妃芸術センター(マドリード)

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   プラド別館に展示されていたときの‘ゲルニカ’

26日の日曜美術館にピカソ(1881~1973)の‘ゲルニカ’が登場した。
このタイミングでなぜ‘ゲルニカ’?と思ったが、スタッフがわざわざマドリ
ードへでかけソフィア王妃芸術センターに飾ってあるこの大作を8Kカメラ
で撮影したためだった。そして、実物の大きさ(縦3.5m 横7.8m)
を再現し、番組のゲストたちにみてもらっていた。

‘ゲルニカ’の本物はこれまで3回みたことがあり、誕生のきっかけとなった
ドイツ軍によるゲルニカ無差別爆撃のことやピカソがこの絵をどういうふう
に仕上げたかについてもだいぶ情報が入っているので、番組に前のめりに
なるということもなく気軽に話を聞いていた。興味深かったのは左上に描
かれている鳥。このモチーフをしっかりみたという実感がない。暗くてよく
見えないのと前にいる牛と息苦しさのためよだれをたらす馬のインパクト
が強烈なので鳥の存在がかき消されている。

1990年仕事でスペインに出張したとき、日曜を利用してマドリードにあ
るプラド美を楽しんだ。ベラスケスやボスの絵など名画の数々を満喫したあ
と、別館に移動して‘ゲルニカ’と対面した。なんとこの大作は防弾ガラスの
囲いのなかに閉じ込められていた!こんなに警備が厳しいとは思ってもみな
かった。1981年NYのMoMAからスペインに帰って来てここで展示さ
れることになったが、ソフィア王妃芸術センターへ移ったのは1991年だ
から、こういうピリピリした精神状態でこの絵をみる最後の年だったのであ
る。ソフィアでも2回みる機会があったが、絵の前にはもう不格好な防弾
ガラスはなかった。

もう一回くらいみてみたいが、海外旅行を再開するときはスペインの優先
順位はどうしてもパリやイタリアより低くなるのでマドリードに行けるか
どうかはわからない。

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2013.04.02

ピカソの‘黄色い髪の女’と再会!

Img_0008_2     ピカソの‘黄色い髪の女’(1931年)

Img_0006_2     ピカソの‘水差しと果物鉢’(1931年)

Img_0002_2     マルクの‘黄色い牝牛’(1911年)

Img_0007_2     カンディンスキーの‘小さな喜び’(1913年)

グッゲンハイムはMoMA同様、久しぶりに訪れるので期待の作品が多かった。でも、その大半は次回に繰り越し、必見リストに◎がついていたのはシーレ、モディリアーニ、ロスコ、リキテンスタイン、そしてステラ。

こうした作品に会えればこの美術館は気が楽になる。実質2回の鑑賞でもうOK?、これには理由がある。1991年池袋にあったセゾン美(現在はなし)で‘グッゲンハイム美展’が開催された。当時大変話題になった展覧会なので足を運ばれた方も多いのではなかろうか。

その出品作がすごいラインナップだったことはその2年後この美術館を訪問し手に入れた図録(英文)をみて理解した。ここに載っている作品の多くが日本にやって来ていた!特筆ものはカンディンスキー、傑作がずらずらと並んでおり、夢見気分でみたことを今でもよく覚えている。今回日本でみた作品が3点でていた。

ピカソの4点のうち‘黄色い髪の女’と‘水差しと果物鉢’を長いことみていた。何年か前Bunkamuraで展示された‘黄色い髪の女’はお気に入りの作品、ピカソは昔から対象が直線的で角々描かれたものは好みでなく、この絵のように丸みをおびた造形にだけ熱い視線を注いでいる。

セゾンでみた‘水差しと果物鉢’は強いインパクトを持った作品。太い黒線で縁どられた水差しやテーブルカバーと鮮やかな緑が強く印象づけられる。緑、黄色、紫、好きな色が全部でてくるので上機嫌。

マルク(1880~1916)に開花するきっかけになったのがセゾンで遭遇した‘牝牛’、牛の飛び跳ねる姿が様式化されており、これにより動物のもつ生命力が力強く表現されている。その絵以降、マルクを体験する機会が何度かあったが、これを超える作品にまだ出会ってない。

この美術館自慢のカンディンスキー(1866~1944)はまたいっぱいみたかったのだが、4点のみ。残念ながらお目当てのものは姿をみせてくれなかった。その一枚‘小さな喜び’は日本で公開された17点のなかにも入っていたが、今回の展示はこの絵のタイトルのように小さな喜びにとどまった。

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