2018.12.06

待望のムンク展!

Img     ‘叫び’(1910年)

Img_0001     ‘生命のダンス’(1925年)

Img_0002     ‘青いエプロンをつけた二人の少女’(1905年)

Img_0003     ‘自画像、時計とベッドの間’(1940~43年)

パソコンの想定外の故障により1ヵ月もお休みしてしまいました。本日から再開しますのでまたおつきあい下さい。

東京都美で開催中の‘ムンク展’(10/27~1/20)は予想以上の人気でおおいに盛り上がっていた。わが家は今年はムンクイヤーなので期待の回顧展。2007年にも西洋美で公開されたオスロ市にあるムンク美のコレクション、今回は真打の‘叫び’が含まれているのでぐぐっと前のめりになる。

5月オスロに行ったとき、オプションでムンク美鑑賞に参加した人たちの話を聞くと‘叫び’はみられなかったとのこと。これは意外でこの絵は常時展示しているわけではないらしい。だから、日本でお目にかかれるのは特別の出来事かもしれない。

オスロ国立美にいつも飾ってある‘叫び’が描かれたのは1893年、このときムンク(1863~1944)は30歳、それから17年後に再度描かれたのが今回登場した‘叫び’、国立美にあるものと較べて一番目立つ違いは人物の顔の描き方。この人物には目ん玉がなく目のまわりが緑でまるく輪郭されているため幽霊のイメージがより強くなっている。

2つの‘叫び’を同じ年にみれたのは大きな喜び。ミューズに感謝!念願の絵との対面が果たせたのであとは気軽にみれるかなと思っていたら、チコちゃんではないが‘ボーっとはみてられない’作品が続々現れてテンションは上がったまま。西洋美にも出品された‘生命のダンス’や‘絶望’、‘赤と白’が‘叫び’と一緒に展示されているのだから予想を大きく上回る豪華なラインナップであることはまちがいない。

しかも、はじめてみる作品で思わず足がとまるものが多い。こんないい絵があったのという感じ。とくに目を奪われるのがムンクの画業人生の後半に描かれたもの。色彩が明るくなりまるでマティスのフォービスムやドイツ表現主義のイメージ。

お気に入りは‘青いエプロンをつけた二人の少女’と‘庭のリンゴの樹’、そして‘自画像、時計とベッドの間’。こうした絵をみるとムンクの色彩には力があるなとつくづく思う。心をこめてムンクに乾杯!

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2016.10.18

ご機嫌な‘デトロイト美展’! ドイツ絵画

Img     キルヒナーの‘月下の冬景色’(1919年)

Img_0001     ココシュカの‘エルベ川、ドレスデン近郊’(1921年)

Img_0002     ノルデの‘ヒマワリ’(1932年)

Img_0003     ベックマンの‘オリーブ色と茶色の自画像’(1945年)

日本ではなかなかお目にかかれないドイツ人画家の作品、6月マドリードで美術館巡りをしたときプラドのすぐ近くにあるティッセン・ボルネミッサ美でキルヒナーやベックマンたちの表現主義の作品を数多くみた。そのパート2がデトロイト美展で楽しめるとは思ってもみなかった。

チラシで大きく取り扱われているマティスやピカソに心が動かなかったのに、まったく想定外だったドイツ絵画はその強烈な色合いと鋭利的なフォルムに圧倒されっぱなしだった。この画面がぐっと迫って来る感じは2年前、国立新美で開催さた‘チューリヒ美展’でも味わった。こうやって少しずつドイツの画家の作品が蓄積されていくのは嬉しい限り。

キルヒナー(1880~1938)の描く山々はいつも空に向かって鋭い槍の先が突きでているような感じ。そして色は薄紫とピンクがかった薄い赤がよく使われる。精神的に参っていたキルヒナーはどうしてもこういう色で気を紛らわしたかったのかもしれない。

今回の収穫のひとつがココシュカ(1886~1980)のドレスデン近郊を描いたもの。川岸の目の覚める赤の線と家々の上に横たわる緑の雲の対比がとても刺激的。ココシュカ作品でこれほど色彩の力に度肝を抜かれたのははじめて。

ノルデ(1867~1956)の‘ヒマワリ’も強い磁力を放っている。花のもっている優しさはどこかへいき生命力の強さだけが黄色と緑によって印象づけられる。ノルデの回顧展を一回くらいみたいと長年思っているが、この絵をみてその気持ちがいっそうふくらんでいく。

ベックマン(1884~1950)はアメリカの美術館に出かけるとほかの画家にくらべるとよく遭遇する。例えば、ワシントンのナショナルギャラリーやNYのMoMAにいい作品がある。デトロイト美からは2点きている。蝋燭が倒れた変な静物画と自画像。緊張感を強いられる自画像としばらく向きあった。

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2013.03.24

MoMA(2) 96億円で落札されたムンクの‘叫び’と遭遇!

Img_2     ムンクの‘叫び’(1895年)

Img_0001_2     ムンクの‘メランコリー’(1891年 個人蔵) 

Img_0004_2     アンソールの‘死と向き合う仮面たち’(1888年)

Img_0002_2     フリーダ・カーロの‘変化と私’(1937年)

‘犬も歩けば棒に当たる’とはよくいったもので、MoMAで大変嬉しい展示があった。なんと、昨年5月サザビーズのオークションで史上最高の96億円で落札されたムンク(1863~1944)の‘叫び’が公開されていた!

1893年~1910年の間に描かれた4点の‘叫び’のうち、この作品は1895年に描かれたパステル画。美術館に入口のところにこの絵の展示をを知らせる告知物があったのにそれには気づかず、5階の一角が大いに混雑しているのをみてここで今ミニムンク展をやっていることがわかった。

画集に必ず載っている‘叫び’(オスロ国立美&ムンク美)はまだみていないので、これらとの比較でこのパステルル画の感想はいえないが、パステルの特徴として後ろの赤く染まった空と海や男の衣装の青が大変鮮やか、話題の絵を運のいいことにみれたのだから、オスロ国立美にある油彩の‘叫び’を必ずみることを決心した。

ほかにも前から気になっていた‘メランコリー’や日本にやって来たことのあるMoMA蔵の版画‘マドンナ’や‘吸血鬼Ⅱ’などがあったので夢中になってみた。こんな想定外のビッグなオマケがついてくるのだから美術館めぐりはやめられない。

前日訪問したフィラデルフィア美で残念だった絵はセザンヌとダリのほかにもう一点あった。それはアンソール(1860~1949)の‘仮面のある自画像’、世の中そう思い通りにはいかないもの。そのかわり、MoMAで同じような仮面が登場する作品に出くわした。

これは20年前にみたという記憶は残っている。骸骨と仮面という組み合わせなら忘れようがない。昨年損保ジャパンで対面した‘陰謀’に続いてまた仮面の絵を、アンソールの仮面にぐっと近づいてきた。次のターゲットはポールゲッティ美にある‘キリストのブリュッセル入城’、なんとしてもという気になっている。

フリーダ・カーロ(1907~1954)の作品が2点あった。じっくり見ている人も多い。アメリカにはメキシコ人が沢山住んでいるからこの異色の女流画家は人気があるのだろう。館内ガイドのパンフレットにはピカソとかダリと並んでカーロの名前が記載されている。子ザルを抱くカーロ、黒髪と濃い眉毛が目にやきつく。

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2012.05.04

ムンクの‘叫び’ 96億円で落札!

3811_3     ムンクの‘叫び’(1895年)

2月にとりあげたムンクの‘叫び’(拙ブログ2/23)がNYで開催されたサザビーズのオークションで、約1億1992万ドル(約96億1200万円)で落札された。出品が報道されたときの予想値段は8000万ドル(約64億円)以上とされていたが、実際にはこれを50%上回る史上最高の落札価格となった。

これはスゴイ値段。絵画のこれまでの最高額は2年前のオークションでつけられたピカソの作品‘ヌード、観葉植物と胸像’の約1億650万ドル。ムンクのパステルで描かれた‘叫び’はピカソのこの絵をこえた。ムンクの人気ってこんなに高かったのか!?というのが率直な感想。オークションの会場でインタビューされた人が‘ムンクは最高にすばらしいよ!’といっていたのが印象的だった。

美術品の競売にはまったく縁がないのに、ここで競られた金額の情報には美術ファンだから大いに興味がある。で、これまで世間を驚かせた美術作品の落札価格については少ない情報だが記録としてファイルしている。その落札価格をいくつかあげてみると、

<2002/7/11>  ロンドン サザビーズのオークション 
★ルーベンスの‘ベツレヘムの幼児虐殺’(1610年) 4950万ポンド(約90億円)

この落札価格は世界で史上3位の金額(当時) ちなみにその上は
  1位 ゴッホ作品 8250万ドル(約97億円) 1990年NYのオークション
  2位 ルノワール作品 7810万ドル(約92億円) 1990年NYのオークション

<2010/2/3>   ロンドン サザビーズのオークション
★ジョコメッティの‘歩く男’ 1億430万ドル(約94億円)

<2010/5/4> NY クリスティーズのオークション
★ピカソの‘ヌード、観葉植物と胸像’ 1億650万ドル(約101億円)

<2011/5/11>  NY クリスティーズのオークション
★ウォーホルの‘自画像’ 3840万ドル(約31億円)

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2012.04.16

もっと見たいマルクの名画!

3746_4        ‘青い馬Ⅰ’(1911年 ミュンヘン レンバッハハウス美)

3748_3     ‘二匹の猫’(1912年 バーゼル美)

3747_3     ‘森の鹿Ⅱ’(1913年 カールスルーエ 国立美)

3745_3     ‘戦う形態たち’(1914年 ミュンヘン 州立近美)

カンディンスキーと芸術家グループ‘青騎士’をたちあげたフランツ・マルク(1880~
1916)に大変魅せられている。きっかけは今から21年前、池袋のセゾン美(現在はなし)で開かれた‘グッゲンハイム美名品展’でみた牛の絵。生命力あふれる黄色の牛がこの画家に導いてくれた。

マルクというとすぐこの牛がイメージされるが、画集をみると馬や鹿、猫、そして虎も描いている。虎の絵は2年前の‘カンディンスキーと青騎士展’(三菱一号館美)でお目にかかった。これで動物のヴァリエーションは2つに増えたが、まだ馬と鹿と猫には縁がない。

今年の夏に改築が終了するミュンヘンのレンバッハハウスはマルクの絵を一体何点くらい所蔵しているのだろうか?画集やTVの美術番組には形や色が単純化されたインパクトのある作品がいろいろ登場する。常時10点くらい鑑賞できるとなると、絵の前では相当興奮しそう。

そのなかで一番注目しているのが‘青い馬Ⅰ’。表現主義では色は作者の感情を表現するためのもの。マルクは好きな青色で馬を描いた。宗達が象を正面からクローズアップで描くことで躍動感をだしているように、マルクもしっかりと大地に立つ馬を正面から大きく描いている。

バーゼル美にある猫の絵は黄色の猫はすぐわかるが、中央の青い猫は体をどういうふうにねじっているのかよくつかめない。それにしても大きな猫、体の半分は抽象化されたフォルムになっているが、シンプルな造形と鮮やかな色の響き合いは心を打つ。

‘森の島Ⅱ’はキュビスムの絵をみているよう。だから、視線を画面に定着させないと鹿の姿がとらえられない。じっとみていると奥深い森の様子がわかってくる。ところが、‘戦う形態たち’になると、もう抽象画の世界。中央で激しく絡まっている赤の青の塊は蛸とか蛇のイメージ。

この絵があるミュンヘンの州立近美は黙示録的な情景を連想させる‘ティロル’(拙ブログ11/7/31)も所蔵している。いつかミュンヘンでマルクの絵を心行くまで楽しみたい。

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2012.04.15

夢の美術館! ドイツ最北にあるノルデ美術館

3741_2     祭壇画‘キリストの生涯・磔刑’(1912年 ゼービュル ノルデ美)

3743_2        ‘仮面とダリア’(1919年 ノルデ美)

3744_2        ‘汝らも幼子のようになるべし’(1929年 エッセン フォルクヴァング美)

3742_2     ‘海と黄色い太陽’(1938~45年 ノルデ美)

ゴッホの色彩表現に大きな影響をうけたドイツ表現主義のエミール・ノルデ(1867~
1956)にはキルヒナー同様、大きな関心を寄せている。でも、この画家の鮮やかな原色を使って描かれた宗教画や風景画に出会った回数は極めて少なく、昔から遠い存在の画家のイメージが続いている。

そんなノルデだが、情報はいろいろある。ノルデは晩年デンマーク国境にほど近い小さな村、ゼービュルで暮らした。ハンブルクから北へ200kmのところにあるこの村はノルデが生まれたノルデ村(現在はデンマーク)からはそう離れてない。ここに1957年に開館したノルデ美術館があり、油彩500点、水彩2500点が所蔵されている。

この美術館とベルリンの郊外にあるブリュッケ美術館に足を運べばノルデにだいぶ近づけそうだが、その実現は簡単ではない。ハンブルク美へ意を決して訪問するときはさらに頑張ってゼービュルまで行きなさい、とミューズがささやいているのだが、さてどうなるか。

ノルデ美で最も気になる絵はグリューネヴァルトの‘イーゼンハイムの祭壇画’に霊感をうけて制作された‘キリストの生涯’、中央の‘磔刑’は色彩は格段に鮮やかだがグリューネヴァルトのものと感じが似ている。ノルデの宗教画は宗教画くさくなく、人物表現がカリカチュア風なのですっと画面のなかに入っていける。

これまでみた作品で一番魅了されたのは1996年にあった‘フォルクヴァング美展’で公開された‘汝らも幼子のようになるべし’。これは宗教画で中央にいるのがキリスト、赤い衣裳をつけ髪は長く口びるは真っ赤だから一瞬女性かと思った。その明るい表情からは性格のよさがうかがわれ、教えをそのまま実行すれば幸せになれそうな気になる。でも、右にいる男たちはキリストや子供たちとは対照的に暗い面持ちで深い悩みを抱えている感じ。

仮面というとアンソールの専売特許かと思っていたらノルデの絵にも‘仮面とダリア’があった。‘海と黄色い太陽’は‘描かれざる絵画’の一枚。ノルデはナチス党員だったのに退廃芸術家の烙印を押され、1941年には秘密警察の監視下におかれすべての創作活動を禁止される。

その通告に70歳のノルデはショックをうけるが、密かに小さな和紙に水彩画を描き続けた。その数1300枚以上、ノルデはそれらを‘描かれざる絵画’と名づけた。老画家のドラマが秘められたこれらの風景画をいつかみてみたい。

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2012.04.14

キルヒナーの回顧展を体験したい!

3740_2     ‘バラ色の二人の裸婦’(1909年 メルツバッハー・コレクション)

3737_2      ‘兵士の自画像’(1915年 オハイオ アレン記念美)

3738_2     ‘フェーマルン島の農場’(1913年 ハンブルク市美)

3739_2     ‘コーヒーテーブル’(1923~24年 エッセン フォルクヴァング美)

日本ではルーヴルとかオルセーといったフランスの美術館や人気のゴッホのあるオランダの美術館が定番のように名品展を開催し名画の数々を披露してくれるが、ドイツの美術館が所蔵する作品も結構やってくる。

お陰で日本にいてもドイツ表現主義の代表的な画家キルヒナー(1880~1938)の絵を楽しめることができる(拙ブログ06/3/5)。これにNYやパリやマドリードでみたものを加えるとこれまでに鑑賞した作品は20点くらい。この数は近代に活躍したドイツの画家のなかでは一番多い。

でも、現地の近現代美術館はまだ一つも訪問してなく、スイスのバーゼル美やベルン美にも縁がないから、キルヒナーとの付き合いは画業全体の3割くらい。だから、この画家の回顧展に遭遇することを密に願っている。こういうときに期待する美術館というと、Bunkamura。ここの学芸員たちはチャレンジングな精神にあふれているから、つい期待してしまう。無理かな?

初期の作品‘バラ色の二人の裸婦’は01年にあった‘メルツバッハー・コレクション展’でお目にかかった。これぞ表現主義、赤や黄色、緑の鮮やかな色調が強く印象に残っている。この絵や‘コーヒーテーブル’などは人物も丸みをおび穏やかな雰囲気につつまれているが、キルヒナーが1911年ベルリンに移ってからは大都市にひそむ孤独な情景が画風を一変させ、人物や建物は細長くとげとげしたフォルムに変わっていく。

‘兵士の自画像’は見たい度の強い絵。第一次大戦が勃発し、1914年に召集されたキルヒナーは精神を打ちのめされ2年で除隊になる。この絵は除隊後まもないころに描かれた。神経が相当参っている様子が画面にでている感じ。

一度訪問してみたいハンブルク市美にもキルヒナーのいい絵がある。回顧展の夢をもち続けていたら、そのうちミューズがすこしずつみせてくれるかもしれない。

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2012.04.12

もっと見たいベックマンの名画!

3732     ‘女たちの湯浴み’(1919年 ベルリン美)

3731          ‘シャンペングラスと煙草をもった自画像’(1919年)

3730     ‘船出’(1932~33年 NY MoMA)

3729             ‘二重肖像画’(1941年 アムステルダム市美)

ドイツ人画家のなかでマックス・ベックマン(1884~1950)はNYのMoMAやグッゲンハイム、ボストンにあるフォッグ美に数点展示してあるので、ほかの画家に比べればその画風に目が慣れている。

このアメリカの美術館での体験は10年以上前のことだが、ここ4,5年の展覧会鑑賞でいうと09年Bunkamuraにやってきた‘夜’(拙ブログ09/2/27)との遭遇がエポック的な出来事だった。これは強烈な絵、これほど無残な拷問の絵がほかにあっただろうか。

‘夜’と同じ時期に描かれた‘女たちの湯浴み’(ベルリン美)が当面の狙い目。大勢の人物は黒の輪郭線でくっきり描かれているので、画面に最接近してじっくりみていたくなる。‘シャンパングラスと煙草をもった自画像’は神経が昂ぶっている感じで攻撃的な印象が強い。この絵は個人蔵なので、ずっと縁がなさそう。

ベックマンはほかの前衛的な画家と同様、ナチスから退廃芸術家の烙印を押され、1933年にフランクフルトの美術学校の教職を追われる。そして、1937年アムステルダムに亡命する。‘船出’は1932年頃から描きはじめた三幅対の最初の作品。全部で10点描いている。MoMAで‘船出’をみてからだいぶ時が経っているが、日本でもこの三幅対を一点みた。それはエッセンのフォルクヴァング美が所蔵する‘ペルセウス’
(1941年)。

残りの8点がどこにあるのかは知らない。ベルリン美に何点かあればみる機会があるのだが、果たして?妻と一緒のところを描いた‘二重肖像画’は来年くらいに改築が終了するアムステルダム市美にあるから、次回のオランダではお目にかかりたい。

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2012.04.11

ディックスの一度みてみたい絵!

3726_2     ‘サロンⅠ’(1921年 シュトゥットガルト美)

3728_3     ‘大都会’(部分 1927~28年 シュトゥットガルト美)

3725_3     ‘マルタ・ディックス夫人の肖像’(1928年 エッセン フォルクヴァング美)

3727_2        ‘シルヴィア・ハルデンの肖像’(1926年 パリ ポンピドーセンター)

グロス同様気になるのがオットー・ディックス(1891~1969)。その作風はグロスほどではないがカリカテュア的なところがあるので関心を寄せているが、縁はまことに薄い。はっきりみたといえるのは2点しかない。

パリのポンピドーを訪問する度に強く印象づけられるのが‘シルヴィア・ハルデンの肖像’。一見すると男性のようにみえる、ある時期までてっきり男性と思ってみていたが、じつは女性でジャーナリスト。リベラルな女性ということは煙草をもつ手のしぐさによく現れている。論理的なしゃべり方ができない男が議論をしかけてきたら‘あのネー、あなたこんなこともわからないの?’とこてんぱんに論破されそうな感じ。

ディックス夫人を描いた作品は今から16年前にあった‘フォルクヴァング美展’でお目にかかった。何も描かれてない背景に浮き上がる黒々したお河童髪が印象的でいまでもよく覚えている。どうでもいいことだが、こういう髪をした女性が一昔前の外国映画によくでてきたような気がする。また、若い頃ジュネーブに住んでいたとき、現地在住の日本人女性で歳はだいぶとっているのにどういうわけはこういう少女風の髪をしていた人を多くみかけた。

ドイツのシュトゥットガルトにある美術館を訪問するのは簡単なことではないが、ここにある‘サロンⅠ’と三幅対に描かれた‘大都会’はとても気になる絵。‘サロンⅠ’はロートレックも描いている娼婦のサロン。右の真ん中にいる女は最も綺麗に着飾っているから指名ナンバーワンかもしれない。その左隣では厚化粧の老練おばさんがとりすまして客を待っている。

ベルリンの歓楽街での様子と戦争で負傷した兵士を一緒に描きこんだ‘大都会’も画面のなかに惹きこまれる。サックスの享楽的な音色に合わせて派手な衣裳に身をつつんだ二人の女がいい気分で踊っている。

ディックスの社会をみる目は鋭く、中央の画面で繁栄の極みに光をあてる一方、その店の外では足を失った兵士が石畳を杖を使い辛そうに進んでいく光景も描いている。この闇の部分もとらえ世の中を痛烈に風刺する深いリアリズムは心を揺るがす。

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2012.04.09

胸に突き刺さるグロスの痛烈風刺画!

3719_2       ‘ロボットの共和国’(1920年 NY MoMA)

3718_2     ‘オスカー・パニッツァの捧ぐ’(1917~18年 シュトゥッガルト州美)

3720_2     ‘メトロポリス’(1916~17年 マドリード ティッセン・ボルネミッサ美)

3721_2     ‘詩人ヘルマンナイスの肖像’(1927年 NY MoMA)

西洋の風刺画ですぐ思いつくのはドーミエとジョージ・グロス。今日はそのグロスの痛烈な絵を。

グロス(1893~1959)の絵を沢山みているわけではなく、ほんの片手ほど。一番最初にみた作品は改築される前のNY近代美術館。つるっぱげの人物の絵がぐぐっとインプットされている。

デ・キリコの影響を受けマネキンをロボットに変えた絵もMoMAが所蔵しているが、こちらはみた記憶がない。現在、この2点が常設展示されているかわからない。新しいMoMAを訪問しなければと思いつつも延び延びになっている。

‘オスカー・パニッツァに捧ぐ’にはグロス特有の戯画的な人物が数多く描かれている。また、真ん中には骸骨が座って飲み物でのどを潤している。グロスの描く人物の毒の効いた顔つきをみてすぐ連想したのは昔TVによく流れたトリスウイスキーのCM。角々した横顔の目つきを鋭くするとグロスの絵になる。

この絵とよく似ているのが昨年出かけたマドリードのティッセン・ボルネミッサ美でみた‘メトロポリス’、あの暴力的な顔つきをした人物が大勢集まる大都市ベルリン、その繁栄ぶりとやがてやってくる崩壊を予兆する影とひずみが未来派のような鮮烈な赤で扇情的に描かれている。

これまで体験したグロスで体が一番フリーズしたのはロンドンのテート・モダンにある‘自殺’(拙ブログ08/2/12)。グロスは一枚々が胸に刺さる。

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