2024.11.18

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器!金重陶陽 山本陶秀 伊勢崎淳

Img_0002_20241118230401    金重陶陽の‘備前大破釜’(1938年)

Img_0004_20241118230401     ‘備前手鉢’(1964年)

Img_0003_20241118230401    山本陶秀の‘備前緋襷花入’(1982年)

Img_20241118230401    伊勢崎淳の‘備前長方皿’(2006年 東近美)

Img_0001_20241118230401     ‘風雪’(2013年)

広島で仕事をしていた頃、岡山の備前には2度クルマを走らせ窯元を外から
ながめていた。備前焼に魅せられるのは茶褐色の地肌が素朴でなにか力強い
感じがすること。釉薬を使わないので見どころは窯のなかでおこる窯変の景
色。とくに惹かれるのは藁が燃えてできる赤褐色の筋模様、緋襷(ひだすき)。

これまで運がいいことに大きな備前焼展に2回遭遇した。お陰で古備前およ
び近代の陶芸家の作品を数多く楽しむことができた。昭和時代の初期、桃山
の美をよみがえらせ衰退していた備前焼を復興させたのが金重陶陽(1896
~1967)。東近美にある‘耳付水指’など傑作にであったが、まだまだ数が
少ない。いつかお目にかかりたいと思っているのは圧倒的な存在感で迫って
くる‘備前大破釜’やどっしりとして風格のある‘備前手鉢’。

金重陶陽と同じく備前焼の人間国宝(5人)に指定されている山本陶秀
(1906~1994)は神業に近い轆轤技術を駆使して名品を生み出した。
まだ縁がないのが‘備前緋襷花入’。丸い花入の形は完璧に目に心地よく、自然
にできた濃い朱色の緋襷に視線が釘付けになる。こういう美しさを感じさせる
緋襷はそうはない。

5人目の人間国宝となったのが伊勢崎淳(1936~)。この陶芸家は池田満寿夫、ミロ、イサム・ノグチらと交流し現代美術にも通じており、創作のスタイルに前衛的なセンスがうかがえる。いつか回顧展に遭遇するのを願っているが、そのとき抽象絵画を連想させる表現が気を惹く‘備前長方皿’や風の流れを強く感じさせる前衛彫刻のような‘風雪’がみれれば最高なのだが。

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2024.11.17

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 井上萬二 三浦小平二

Img_0002_20241117225701    井上萬二の‘白磁丸形壺’(1970年)

Img_20241117225701    ‘青白磁彫文鉢’(1987年 東博)

Img_0003_20241117225701    ‘白磁緑釉彫文花瓶’(1990年)

Img_0004_20241117225701    

三浦小平二の‘青磁飾り壺 牧童’(1990年 ギメ東洋美)

Img_0001_20241117225701    

 ‘青磁飾り筒 馬’(1992年)

やきもののことを知るにはTVの陶芸番組をみるのは一番手っ取り早い。
絵画をとりあげるときと違って成形、絵付け、焼成の行程をみせてくれるの
で作品がどういう風にして出来上がるかイメージできる。だから、やきも
のが好きになったとき、NHKの番組を欠かさずみていた。そこに登場した
陶芸家でよく覚えているのが何人かおり、佐賀県有田町(当時)に生まれた
井上萬二さん(1929~)もそのひとり。今年95歳。正確ではないかも
しれないが、元気であれば現役を続けておられるはず。

萬二さんは白磁の人間国宝。白磁は加飾しないから形の美が満足の決め手に
なる。丸形の壺が轆轤によって見事に出来上がるのをみて本当にスゴイなと
思った。長年の轆轤の修練によってこんなすばらしい丸い壺が誕生するのか!
まだお目にかかってない‘白磁丸形壺’にいつか遭遇したい。唐草模様を柔らか
く彫った‘青白磁彫文鉢’を所蔵しているのは東博なのだが、これまでやきもの
展示室で出会ったことがない。これは現代の陶芸作品を並べるより、伝統的
な茶陶などを定期的に披露するほうが優先されるため。

となると、萬二さんの回顧展にめぐりあうのを待つほかない。見落としたか
もしれないが、残念なことに日本橋の高島屋や三越で開催されることがなか
った。これまで出品作に縁があったのは人間国宝展とか大陶芸展。そのため、
数が少ない。いつか回顧展が開かれ心に響く‘白磁緑釉彫文花瓶’とも出会うこ
とを夢見ている。

三浦小平二(1933~2006)の回顧展は運よく日本橋三越で2006年に行われたのをみることができた。5/30の開幕初日にでかけたが小平二さんは体調がよくないようで車椅子で対応をされていた。それから4ヶ月後に亡くなられた。享年73。そんな年にたくさんの青磁の名品が出品された回顧展に出会ったのは幸運なことであった。絶品の青磁が数多く出品されたから、思いの丈は十分叶えられたが、プラスαとして‘青磁飾り壺 牧童’と‘青磁飾り筒 馬’を加えたい。

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2024.11.16

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 加藤卓男 金城次郎

Img_20241116225501    加藤卓男の‘三彩花器 爽容’(1990年)

Img_0001_20241116225501     ‘ラスター彩芥子文六方器’(1978年)

Img_0002_20241116225501     ‘青釉銀華花形花器’(1975年)

Img_0003_20241116225501    金城次郎の‘三彩厨子甕’(20世紀 日本民藝館)

Img_0004_20241116225501    ‘線彫魚文大皿’(1972年)

8月台北を久しぶりに旅行し、故宮博物館や国立歴史博物館で中国陶磁器の
傑作をたくさんみてきた。そのなかに緑と黄褐が鮮やかにでた唐三彩の駱駝
や武人が飾ってあった。日本の美術館でこれほどの唐三彩はなかなかみれな
いので息を呑んでみていた。これを真似てつくられたのが奈良三彩。真似た
のは色で形は駱駝などではなくそれまでの須恵器や土師器。

これをさらに進化させ現代に蘇らせたのが加藤卓男(1917~2005)
の‘三彩花器 爽容’。奈良三彩にくらべると硬さが消え、色調のやわらかさや
ゆったりとした装飾美にとても惹かれる。これが正倉院で一緒に飾られても
なんら違和感がない感じ。見事というほかない。

加藤卓男の陶芸を知ったのはNHKのやきもの番組。印象に強く残っているの
が復元されたペルシャ陶器の技法、ララスター彩。研究を重ね複雑な釉薬の
技法に改良を加え、独自のラスター彩を完成させた。これまでみたのはほん
の数点でオブジェ風の‘ラスター彩芥子文六方器’などお目にかかりたい作品が
いくつも残っている。強い青色と異形が目にとびこんでくる‘青釉銀華花形
花器’にも吸い込まれる。青釉もペルシャ陶器の代表的な釉。

日本民藝館で知った陶芸家の作品を心底楽しんでいるが、沖縄の陶芸家、金城次郎(1912~2004)もその一人。得意としたのは線彫りの魚文や海老文。大皿に描かれた一対の魚。力強い線彫りにより躍動感が生まれ、皿の上で魚がぴちぴち跳ねているよう。どういうわけかまだ縁がないのが‘三彩厨子甕’。厨子甕は蔵骨器。早くお目にかかりたい。

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2024.11.13

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 今泉今右衛門 徳田八十吉

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 十三代今泉今右衛門の‘色絵鍋島緑地更紗文花瓶’(1982年)

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   ‘色絵吹墨珠樹文花瓶’(1992年)

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   ‘色絵吹重ね草花文花瓶’(1995年)

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   ‘燿彩壺 恒河’(2002年)

明治以降に活躍した陶芸家のやきもの展の楽しみ方は目の前に現れる作品の
タイプによっていろいろ変わる。現代に蘇った志野や織部だと見どころはし
っかり押さえられており、その出来栄えの良さにほとほと感心させられる。
また、伝統のやきものの技法が受け継がれていることを意識させないほど
色彩や形が華麗に変容した作品に出くわすと息を呑んでみてしまうというこ
ともよくある。

後者だと有田に生まれ色鍋島の伝統技法を継承しながら、それを大胆に変え
色絵の新しい世界を生み出した十三代今泉今右衛門(1926~2001)
がすぐ思い浮かぶ。陶芸に関心が向い出したころNHKのやきもの番組を見逃
さずみていたら、十三代が出演し霧吹きを利用した吹墨や薄墨を実演してい
た。それが目に焼きついているのでまだ縁がない‘色鍋島緑地更紗文花瓶’や
‘色絵吹墨珠樹文花瓶’を吸い込まれるようにながめてしまう。

1995年につくられた‘色絵吹き重ね草花文花瓶’はオブジェ的な陶芸で動き
のある形と草花文の間に配列された抽象性の強い三角や四角の図柄に思わ
ず足がとまる。これはヨーロッパでみたクリムトの絵の影響らしい。2度目の
回顧展に遭遇したら、個人蔵の出品が叶いお目にかかれるかもしれない。

2011年横浜そごう美で開催された‘追悼 人間国宝 三代徳田八十吉~煌
めく色彩の世界~’で徳田八十吉(1933~2009)の大宇宙を感じさせ
る世界を堪能させてもらった。まるでビッグバンを連想させるような‘燿彩華
文鉢’がいくつも並び、館内にいる間中ハイテンションのままだった。
今これも是非加えたいと強く願っているのは‘燿彩壺 恒河’。青手調の古九谷
特有の釉薬が用いられたこの作品は図柄は抽象画家のフォンタナの線からヒン
トを得ている。古九谷の世界をさらに進化させ、こんなすごい作品を生み出
した。三代徳田八十吉に乾杯!

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2024.11.12

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 川喜田半泥子 荒川豊蔵

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川喜田半泥子の‘志野茶碗 不動’(20世紀 石水博)

Img_0003_20241112224601     

‘井戸手茶碗 さみだれ’(20世紀)

Img_20241112224601    荒川豊蔵の‘志野茶碗 耶登能鳥梅’(1976年)

Img_0001_20241112224601     ‘鼠志野茶碗’(1954年)

何度も足を運んだやきもの展でよく開催される美術館として頭に浮かぶのは
東博、五島美、根津美、三井記念美、出光美、MOA美、茨城県陶芸美。そし
て、百貨店では日本橋三越・高島屋、銀座松屋。このなかで満足度が
急上昇して株をあげたのが銀座松屋。やきもの展ときくと心をはずませて出
かけるのは五島、根津、三越、高島屋が多かったから、松屋のやきもの展に
気づくのがだいぶ遅れた。松屋に二重丸をつけさせたのは2009年に開催
された川喜田半泥子(1873~1963)の回顧展。

やきもの本により川喜田半泥子がスゴイ陶芸家という情報は入っていたが、
なにせ本物にお目にかかったことはなかったから幻の陶芸家だった。それが
松屋で一気に解決し、200%のめりこんだ。過去に行われた個展のことは
知らないが、この特別展は岐阜県現代陶芸美、横浜そごう美、山口県萩美、
三重県美にも巡回したから一級の半泥子展であることは間違いない。お陰で
有名な‘志野茶碗 赤不動’(東近美蔵)や圧倒的な存在感で迫ってくる‘伊賀
水指 慾袋’(石水博蔵)などを堪能することができた。一生の思い出である。

川喜多半泥子の生まれた三重県の津市にある石水博物館は半泥子のやきものをたくさん所蔵しているが、大回顧展に赤が映える‘志野茶碗 不動’は残念ながら出品されなかった。いつかこの博物館を訪問してみたい。半泥子の正業は銀行の頭取で作陶は趣味でやっていた。一流の腕とセンスをもいっていたのに素人の陶芸という感覚でおこなっていたから、作品は展覧会に出品されず販売されたこともなく、多くは知人に贈られた。個人蔵の‘井戸手茶碗 さみだれ’に会えると嬉しいのだが。

半泥子の作品をみていると日本の伝統的なやきものの世界にまぎれこんだような気になるが、同じことが志野を再現した荒川豊蔵(1894~1985)にもいえる。運がいいことに2008年、茨城県陶芸美で行われた‘人間国宝 荒川豊蔵’に遭遇し、長年の思いの丈を叶えることができた。志野が大好きなので‘志野茶碗 耶登能鳥梅(やどのうめ)’や渋い色調が心に響く‘鼠志野茶碗’を縁があればみてみたい。

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ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 松井康成

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   ‘練上線文深鉢’(1971年)

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   ‘練上玻璃光大壺’(1999年)

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   ‘練上玻璃光陶筥’(1997年 茨城県陶芸美)

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   ‘萃瓷練上大壺’(1994年)

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   ‘堆瓷文方壺「朧」’(1983年)

TVで放送される美術番組でやきものや蒔絵などの工芸品は取り上げられると
きは、作品の制作過程に多くの時間が割かれる。絵画の場合でもどうやって
絵が仕上がっていくかをみせてくれることはあるが、やきものと較べると
その回数は少ない。そのため、やきものの番組を1年くらい見続けると趣味
で茶碗や壺をつくらなくても全体の作業の流れがイメージできるようになる。

スーラが点描法によって描いた風俗画や風景画をみると、相当な時間にわた
って創作のエネルギーを注ぎこめるだけのタフな持続力を持ち合わせていな
いと作品の完成にはいたらないことは容易に想像がつく(ゴッホも点描法に
挑戦したが、自分には向いてないとすぐやめてしまった)。それと同じこと
を思うのが松井康成(1927~2003)のやきもの。回顧展にめぐりあ
ったのは2005年、茨城県陶芸美(笠間市)で開催された‘人間国宝 松井
康成の全貌’。タイトルのとおり、はっとさせる大壺がどどっと出品されてお
り、松井の陶芸に200%魅了された。

松井のイメージは二色以上の陶土を組み合わせてその断面の模様を器の表面
として成形する‘練上手’という技法によってつくられている。前からあるこの
技法を松井流に進化させ、具象から抽象まで変化に富んだ多彩な文様を次々
と生み出し鮮やかな色彩によって輝かせた。まさに大壺アート・エンターテ
イメントを楽しんでいる感じ。

いろんなヴァリエーションから感動をもらったが、当面のターゲットは器面
いっぱいに埋め尽くされたピンクの花やグレイのグラデーションが印象的な
‘練上玻璃光大壺’、薄紫や渋い茶色などで表現された花びらが揺れ動いて
いる印象がする飾筥‘練上玻璃光陶筥’、そして、大壺が視覚から消え濃い青で
彩られた熊笹の大きな葉が存在感を誇示するかのように自由に重なり合って
いる‘萃瓷練上大壺’。そして、初期の作品で下にゆっくり流れていく線がつく
る爽快な美を感じさせる‘練上線文深鉢’や装飾性と情緒的な心情が絡まる‘堆瓷
文方壺「朧」’にも惹かれる。

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2024.11.10

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 北大路魯山人

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   ‘朝桜夕楓鉢’(1935∼44年)

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   ‘椿絵鉢’(1955年 何必館・京都現代美)

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   ‘蟹絵平向’(1958年 田部美)

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   ‘銀三彩マルモン鉢’(1955年)

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   ‘志埜草絵鉢’(1955年頃)

北大路魯山人(1883~1959)はその名前ですぐ結びつくのが俳優の
北大路欣也。大ヒットした映画‘八甲田山’に出演し‘天は我々を見放した!’
のセリフで有名な人気俳優である。だから、陶芸家の魯山人も名前つなが
りからいっても忘れられない存在になっている。作品をまとまった形でみた
のは足立美(島根県安来市)が最初。河井寛次郎と一緒に専門の展示室に飾
られていた。

その後回顧展に遭遇したのは、
☆2003年 笠間日動美
☆2005年 川崎市岡本太郎美(岡本太郎との二人展)
☆2007年 日本橋三越本店(吉兆庵美コレクション)
☆2009年 日本橋高島屋
☆2020年 日本橋三越本店(何必館コレクション)
こうした特別展に巡り合い、魯山人のコレクションで知られる美術館、世田
谷美、東近美、吉兆庵美(鎌倉市)、敦井美(新潟市)、何必館・京都現代美、
京近美などにある名品をいくつも鑑賞することができた。

濱田庄司の楽しみが大皿なら、魯山人でぐっと惹かれるのは大きな鉢。いろ
いろみてきたがまだいくつか残っている。乾山の‘色絵紅葉文透彫反鉢’を連想
させる‘朝桜夕楓鉢’と何必館(かひつかん)にある‘椿絵鉢’。2020年、新型
コロナウイルスの感染が拡大する前に日本橋三越で遭遇した何必館のコレクシ
ョンでは2つの大鉢にお目にかかったが、もう一つの椿絵は出品されなかった。

また、ユーモラスな‘蟹絵平向’や小さい頃みた紙風船が蘇ってくる‘銀三彩マルモ
ン鉢’、そして現代に現れた絶品の志野(志埜)にもいつかこの目でという思い
が強い。前回の回顧展から5年経つのでどこかで回顧展が開催されるのを密かに
願っている。

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2024.11.09

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 濱田庄司

Img_0002_20241109232601     ‘白釉黒流描大鉢’(1971年 益子参考館)

Img_0003_20241109232601   ‘琉球赤絵春來春去水指’(20世紀 アサヒビール大山崎山荘美)

Img_0004_20241109232601    ‘柿釉赤絵角皿’(1973年)

Img_0001_20241109232601    ‘藍塩釉茶碗’(1959年 大阪市東洋陶磁美)

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 ‘鉄絵茶碗’(1943年 大阪市東洋陶磁美)

河井寛次郎と共に民藝派陶芸を牽引した濱田庄司(1874~1978)の回顧展に出かけたとき、一番の楽しみは大皿。その見どころは濱田庄司の代名詞になっている‘流し掛け’という陶芸技法。柄杓で釉薬を瞬間芸のように流し掛けて即興的に生み出された文様はポロックのアクション・ペインティングのやきもの版といったところ。この装飾を施すのに15秒以上はかからない。

それで多くの訪問客はこう尋ねる。‘早すぎるのではないか。15秒しかかからないのになぜそんなに高価なのか’。すると濱田は‘皿をつくるのには、60年と15秒もかかっているのです’と答える。この話を聞いて名言だなと思った。抽象画の世界と何ら変わらないこの大皿の名品を運よくいくつもみることができたが、まだ縁がないのが‘白釉黒流描大鉢’。所蔵する益子参考館は訪問したが、なぜかこれは展示されてなかった。

‘流し掛け’同様、大変魅了されているのが赤絵の作品。赤と緑のすっきりした線で表現された草花と漢字の組み合わせが軽やかな気分にさせてくれる‘琉球赤絵春來春去水指’と‘柿釉赤絵角皿’が当面のターゲット。アサヒビール大山崎山荘美にあるのは鑑賞の機会はありそうだが、個人蔵の角皿は夢のままに終わるかもしれない。これと絵柄の動きをみせる調子が似ている‘鉄絵茶碗’も思わず足がとまりそう。

この品のいい茶碗を所蔵している大阪市東洋陶磁美の濱田庄司コレクションをどさっとみせてくれる特別展が2010年栃木県美で開催された。横浜から大遠征をして楽しませてもらったが、これと青の強烈なインパクトによって目がかっと開く感じになる‘藍塩釉茶碗’は展示替えのためみることができなかった。質の高いコレクションなので本物に遭遇すると感激するかもしれない。

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2024.11.08

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 河井寛次郎

Img_0002_20241108233501    ‘三色打薬扁壺’(1962年 京近美)

Img_20241108233601    ‘三色打薬蓋付壺’(20世紀 アサヒビール大山崎山荘美)

Img_0004_20241108233601    ‘草花文扁壺’(1957年頃 岐阜県現代陶芸美)

Img_0003_20241108233601    ‘辰砂菱扁壺’(1941年 京近美)

Img_0001_20241108233601    ‘花鳥扁壺’(1952年 京近美)

河井寛次郎(1890~1966)のやきものを最初にみたのは、生地の島根県安来市にある足立美にもうけられている専用の展示室。この頃広島で仕事をしており、山陽側の倉敷の大原美でも名品を楽しんだ。こうしてはじまったこの民藝派陶芸家とのつきいはその後、ずっと続いていて、日本橋高島屋、日本民藝館、町田市博などで行われた回顧展を見逃すことなく出かけてきた。そして、2年前は大阪の中之島香雪美で開催された特別展‘陶技始末ー河井寛次郎の陶芸’で未見の作品に数多く遭遇するという幸運に恵まれた。

足立、大原、民藝館のほかに作品を多く所蔵しているのは京都の河井寛次郎記念館、京近美(川勝コレクション)、アサヒビール大山崎山荘美。ここを訪問したりあるいはほかの美術館で企画されたやきもの展に所蔵品が展示されるとき、もっとも心がハイになるのが赤と緑、黒の打薬がポロックのアクションペインティングのように施されている扁壷や茶碗。そのため、まだ縁がない川勝コレクションやアサヒビールのものに関心を寄せている。

寛次郎の陶芸が既存のものと大きく異なっていて斬新だなと思わせるのは創作心のままに生み出される大胆で新奇な形。扁壺でもインパクトの強さが際立っており、‘草花文’のように安定感のある器形に抽象的に描かれた文様が違和感なく融合している。感心するのはモチーフの模様と扁壺の形がピッタリ合っていること。‘辰砂菱扁壺’では真ん中のふくらみと絵柄が一緒になって心地いい気分にしてくれる。茶陶でお馴染みの茶碗や水指まどのやきものとはまったくイメージがちがい、アートとしてもやきものに今出会っているよう。

その豊かな感性から生まれてくる形のなかには‘花鳥扁壺’のように絵柄となっている鳥のくちばしと扁壷の口のところの形がシンクロしているものがある。まさに形が形をつくっている。こういう作品は子どもの美育の教材になりそう。このタイプのものは陶彫像といわれており、ほかにも魚や鳥などがあり目を楽しませてくれる。

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2024.11.07

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 板谷波山

Img_20241107232601     ‘葆光彩磁瑞桃文飾皿’(1926年)

Img_0003_20241107232701    ‘帆立貝花瓶’(1906~1916年)

Img_0004_20241107232701    ‘彩磁葡萄文花瓶’(1914年)

Img_0002_20241107232701    ‘一輪生 麦’(1910年)

Img_0001_20241107232701    ‘彩磁唐花文水指’(1940年)

定期的に出かけるブックオフで注意を払って探しているのが芸術家を主人公
にした映画。美術関連でこれまでゲットしたのはミケランジェロ、レンブラ
ント、カラヴァッジョ、ポロック。日本人もひとり入っている。近代陶芸の
巨匠、板谷波山(1872~1963)を榎木孝明が演じた‘HAZAN 
かつて 美しき日本人が いた。’(2003年)

この映画で知ったのが波山は完璧主義者で、つくったやきものにほんの小さな不出来部分があれば、すぐ壊していること。印象的なシーンが妻(南果歩)はそれをこっそり保管していて生活費に困ったときは支援者に買ってもらうところ。思い入れの強い陶芸家の物語を映画でみるとより作品への鑑賞が深まっていくような気がする。ほかの日本人では喜多川歌麿(長谷川一夫)の映画も手にいれた。浮世絵師では東洲斎写楽と葛飾北斎も映画化されたことは知っているが、なかなか遭遇しない。

板谷波山の代名詞となっているのは独特の淡い幻想的な色合いに魅了される‘葆光彩磁(ほこうさいじ)’。出光美、泉屋博古館東京、MOA美、敦井美(新潟市)、茨城県陶芸美などが所蔵する名品はおおよそみたが、残っているのが‘葆光彩磁瑞桃文飾皿’。2014年泉屋博古館東京で行われた回顧展(ほか3館に巡回)では展示替えでお目にかかれなかった。

波山の陶芸ではモチーフの模様がどーんと印象づけられるのが特徴。意表をつくのは帆立貝。これを何枚も重ねると花瓶ができてくる。もうひとつすごく近代的だなと思わせるのはアールヌーヴォー調で表現される‘一輪生 麦’。地味な麦がハイカラな味付けで人目を惹く作品に変身するのだからマジックのよう。よく描かれる葡萄がでてくる‘彩磁葡萄文花瓶’は花瓶の形に葡萄がぴったり融合し、葡萄の存在感がとて強い感じがする。器面いっぱいに青のグラデーションをきかせて表現された唐草文が連続する水指もなかなかいい。

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