2024年 日本美術で‘最高の瞬間’ ベスト10!(3)
‘青磁水仙盆’(北宋12世紀 国立故宮博物院)
今年、日本美術および中国美術で遭遇した傑作の残り4点は仏画と中国の
やきもの、工芸品、そして染織。気持ちを高ぶらせて出かけた特別展は、
☆‘法然と極楽浄土’ 4/16~6/9 東博
☆‘故宮の所蔵品展’ 8/4 国立故宮博物院
☆‘人間国宝・志村ふくみ’ 11/21~1/19 大倉集古館
国宝に指定された美術品が登場する展覧会は年間の鑑賞計画の中では◎つ
きで強く記憶される。東博で開催された‘法然と極楽浄土’には4点の国宝が
出品された。その中で特に心をとらえたのが‘阿弥陀二十五菩薩来迎図
(早来迎)’、会期中出ずっぱりだったので2度足を運んだ。修復が完了し
てはじめての披露だというのも背中を押した。色がよくでており、左上か
らの対角線に沿ってすーっと降りてくる阿弥陀様と大勢の菩薩のスピード
感がじつにいい。
今年はこの‘早来迎’がドドーンと心を揺るがしたが、中国美術でも‘最高の瞬間!’が連続した。舞台は台北にある国立故宮博物院。ここを訪問するのは30数年ぶりで2度目。お目当てはなんといっても世界に誇る陶磁器の名品。お宝中のお宝が北宋時代の12世紀につくられた‘青磁水仙盆’。この汝窯で焼かれた絶品の青磁との対面を長い間夢見てきたがようやく実現した。天にも昇る気持ちだった。
もうひとつサプライズMAXの工芸品がある。それは2014に開催された特別展‘台北 国立故宮博物院 神品至宝’(東博&九博)で九博のみの展示のため見逃した‘肉形石’。玉髄という石を豚の角煮を連想させるつくりものに変える超絶技巧に大きな衝撃を受けた。専用の展示室では普段は横に飾られている有名な‘翠玉白菜’はどこかへ出張中で楽しめなかったが、求めていた‘角煮’がみれたので言うことなし。12月に入ってでかけた志村ふくみさんの染織の回顧展も幸運なめぐり合わせだった。最新作の‘野の果てⅡ’の品があって優しい色づかいに心が洗われる思いだった。
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