2020.09.13

Anytime アート・パラダイス! ビーアスタット

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   ‘ロッキー山脈、ランダーズ・ピーク’(1863年 メトロポリタン美)

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    ‘コーコラン山’(1877年 コーコラン・ギャラリー)

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   ‘マーセド川、ヨセミテ渓谷’(1866年 メトロポリタン美)

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    ‘滝の景観’(1887年 テイッセン・ボルネミッサ美)

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    ‘バッファローの移動’(1867年 ボストン美)

メトロポリタンでチャーチより4歳年下のビーアスタット(1830~
1902)の描いた‘ロッキー山脈、ランダーズ・ピーク’をみたときも絵の大
きさに圧倒された。チャーチの‘アンデスの山奥’よりもさらに大きく縦
1.85m、横3.07mの超ワイドスクリーン。ビーアスタットが得意とし
たのはアメリカ西部の情景。ここでは平和なインディアン居住地の様子が描か
れている。目を見張らせるのは背後に見える雄大な山々。一部頂に雪をかぶり
切り立つようにそびえる山が目に焼きつく。

この絵をみた5年後、まったく情報のなかったワシントンのコーコラン・ギャ
ラリーで想定外のハドソンリバー派が姿を現してくれた。コールもチャーチも
ビーアスタットも揃っている。目の前の道にお宝が落ちているような感じだっ
た。ビーアスタットはむくむくと沸き立つ雲のなかに白い山が美しく映える
‘コーコラン山’に大変魅了された。

ここ1年、BSシネマでジョン・ウェインが主演する西部劇を楽しくみている。
でも、アメリカに住んだことがないので拳銃使いの達人が大勢の男たちをやっ
つけた‘西部’という舞台がどのあたりをさすのかいまいちピンとこない。そこで
物語にでてくるテキサス州やコロラド州の町がどこにあり、‘赤い河’のリオ・
グランデ川がどのあたりを流れているのかをネットで調べてだいたいの位置
関係をつかむようにしている。

西部劇とは直接むすびつかないヨセミテ渓谷があるところは今では頭にアバウ
ト入っている。今年の春訪問する予定だったがコロナ感染の影響でいったん
ゼロになった。メトロポリタンにある‘マーセド川、ヨセミテ渓谷’やボストン美
でみた‘ヨセミテ渓谷’に描かれた場所がいずれの日かに再挑戦するヨセミテ観光
に含まれていれば嬉しいのだが、果たして。

ハドソンリバー派は滝の光景を描くことが多い。ビーアスタットにも‘滝の景観’
がある。これは2016年、マドリードのティッセン・ボルネミッサ美に飾って
あった。ここは2度目の訪問だったのでハドソンリバー派のコレクションにも
目がとまった。また、ちょうど1年前の2015年、ボストン美でビーアスタッ
トは‘バッファローの移動’など3点と遭遇していたのでこの滝にも敏感に反応
した。

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2020.09.11

Anytime アート・パラダイス! ハドソンリバー派 チャーチ

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    ‘アンデスの山奥’(1859年 メトロポリタン美)

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    ‘コトパクシの眺め’(1857年 シカゴ美)

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    ‘ナイアガラ’(1857年 コーコラン・ギャラリー)

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    ‘湖水からの眺め’(1859年 コーコラン・ギャラリー)

美術館で絵をみるとき感動の形はいろいろある。描かれたモチーフの色彩に
くらくらするときもあれば構図の妙に感心させられることもある。また、
ピカソのキュビスムのように形の変容に唖然とさせられ、ダリのシュールな
夢世界のような題材に惹かれることもある。そして、感動の頻度は少ないが
もうひとつのサプライズが絵の大きさ。

メトロポリタンでハドソンリバー派をみたとき、度肝を抜かされたのは描か
れている壮大なアメリカの大自然に見合うように大画面に描かれていたこと。
チャーチ(1826~1900)の‘アンデスの山奥’は縦1.68m、
横3.02mの特大サイズ。これだけ大きくてもすぐ納得。都会の光景を描
くのとちがい、東部や西部にある大スケール感をともなう風景はミニ映画館
のなかにいるような気分でみるのがもっともふさわしいかもしれない。

コールをハドソンリバー派の第一世代とすると、チャーチは第二世代。その
惹きつけてやまないダイナミックでかつ細密描写の著しい風景画は大きな美
術館ならどこでも展示してある。シカゴ美には‘コトパクシの眺め’があり、
フィラデルフィア美、ボストン美でも気分を高揚させてくれる。これほどで
くわすとは思ってもいなかった。これまで出かけたのは主としてシカゴ、
東海岸のブランド美術館だったが、今後西海岸のLAやサンフランシスコに
ある美術館を訪問したら、また姿を現してくれそうな予感がする。

ワシントンではナショナル・ギャラリーにコールが多くあり、これは期待通
りだった。想定外の収穫はコーコラン・ギャラリー。ここにはハドソンリバ
ー派の専用展示室が設けられており、コール、チャーチ、ビーアスタットが
ずらずらっと並んでいた。もっとも魅了されたのがチャーチの‘ナイアガラ’
と頂に雪をかぶった雄大な山の姿に見惚れてしまう‘湖水からの眺め’。‘ナイ
アガラ’はあまり近づくと滝壺に落ちてしまいそうになるのでちょっと離れて
みた。まさに身震いするほどの驚異のリアリティ。

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2020.09.10

Anytime アート・パラダイス! ハドソンリバー派 コール

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     ‘雷雨のあとのコネチカット川’(1836年 メトロポリタン美)

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    ‘ナイアガラ滝の遠景’(1830年 シカゴ美)

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   ‘キャッツキル山地の眺め‐初秋’(1837年 メトロポリタン美)

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    ‘楽園追放’(1828年 ボストン美)

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    ‘生命の旅、子供’(1842年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー) 

メトロポリタン美へはじめ行ったのは30年前の1990年。その頃絵画に
対する感じ方は普通程度だったので美術本で知っているモネ、ルノワール、
ゴッホ、ゴーギャンの絵には強く反応したが、この美術館に自然を緻密に描
くハドソンリバー派の大きな絵が飾ってあることは知る由もなかった。
その中核の画家であるトマス・コール(1801~1848)、フレデリッ
ク・エドウィン・チャーチ(1826~1900)、アルバート・ビーアス
タット(1830~1902)の作品を実際にこの目でみたのはアメリカ
の美術館巡りを本格的にスタートさせた2008年のこと。

これ以降、アメリカへ行くたびに彼らの大画面に驚くほど細かく描かれた
風景画に遭遇し、深くのめりこむようになった。ヨーロッパの美術館でハド
ソンリバー派にお目にかかることはまずない。唯一展示してあったのがマド
リードのテイッセン・ボルネミッサ美。ここはホッパーをもっており、アメ
リカ絵画の蒐集に熱心なのでハドソンリバー派もゲットしている。ハドソン
リバー派と縁ができたのは情報がまったくなかったところからアメリカの美
術館へ飛び込んだことの成果といっていい。ミューズに感謝!

METにあるコールで息を呑むほど目を奪われるのは‘雷雨のあとのコネチカッ
ト川’と‘キャッツキル山地の眺めー初秋’、そしてシカゴにある‘ナイアガラ滝
の遠景’にもすごく惹きこまれる。どの絵もアメリカの雄大な自然を実体験し
てないのにBS番組でよく流れてくるドローンを使った大自然紀行の映像をみ
ているような感覚。

自然にできる秩序には神が宿っており、その存在が山々や草木の細部までリ
アルに表現させているのではないかと思わせるコールの風景画はまさに神業
的な創作かもしれない。また、こういう自然を背景にしてコールは宗教画や
ロマンチックな物語画にも挑戦している。それがボストン美にある‘楽園追放’
とワシントン・ナショナル・ギャラリーの連作‘生命の旅、子供’。ミケランジ
ェロがシスティナ天井画に描いた‘原罪、天国のアダムとイヴ’と比べるとコー
ルの漆黒の絵の方が追放される2人の苦しみが切々と伝わってくる。

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2020.09.09

Anytime アート・パラダイス! ワイエス 身近な田舎風景

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       ‘霧のオルソンハウス’(1967年)

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       ‘ペンテコースト’(1989年)

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       ‘テールス アイランド’(1954年)

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    ‘粉挽き小屋’(1962年 フィラデルフィア美)

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       ‘三日月’(1987年)

今はコロナ禍のため海外旅行は先延ばしせざるをえないが、普通の生活が取
り戻せたらまた出かけようと思ってる。大雑把な計画としては東海岸にある
美術館めぐりはひとつのオプション。これまで訪問した美術館はツアーの
行程に入っているNY、ボストン、フィラデルフィアだったので、今後の目標
はボルチモア美とかイエール大美など美術本にときどきでてくる美術館。
長距離バスに乗っていろいろ動くとこれまでとはちがったアメリカの景色に
遭遇するかもしれない。

ワイエス(1917~2009)が生まれたペンシルベニア州チェッズフォー
ドはフィラデルフィアから遠くないところにあるらしい。アメリカの内陸部
はケンタッキー州しか行ったことがないのでどんなところかイメージできな
いが、田舎であることは間違いない。ワイエスは都市文明に背を向け生涯
田舎の生活に没頭し、アメリカの農場や自然の風景を描き続けた。代表作
‘クリスティ―ナの世界’の舞台はボストンの先にあるメーン州の海辺の村クー
シング。クリスティーナが住んでいた家を描いた‘霧のオルソンハウス’はつい
ジーンとなってみてしまう。

昔から山歩きに縁がなく海派で生きているので‘ペンテコースト’や‘テールス 
アイランド’にでてくる漁師の使う網や舟にはすごく親しみを覚える。以前
ボストンで美味しいロブスターを食べたが、シーフードの食材は東海岸の海
でどっさりあがってくるのだろう。今年の春はサンフランシスコで海老や
カニにありつける予定だったが、コロナ感染の影響でダメになった。残念!

‘粉挽き小屋’と‘三日月’は2008年Bunkamuraで開催されたワイエス展でお
目にかかった。ところが、‘粉挽き小屋’を所蔵するフィラデルフィア美は2度
訪問したが、どういうわけかこの絵は姿をみせなかった。このあたりの展示
方針がよくわからない。小屋のまわりに立つ細い木々や金網にひっかかる
枯草の精密すぎる写実描写にぐっと惹きこまれる。‘三日月’は構図のとり方が
じつに上手い。軒下に氷の柱がぶら下がり、それと垂直方向に4つの蔓籠
が釣り下がられている。ここばかりに目をむけているとタイトルの三日月を
見落とす。画面の中央に描かれている。

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2020.09.08

Anytime アート・パラダイス! ワイエスのレアリスム

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    ‘クリスティ―ナの世界’(1948年 MoMA)

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     ‘シードッグ’(1971年 北カロライナ美)

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     ‘ハンター’(1943年 トレード美)

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     ‘競売’(1943年 フィラデルフィア美)

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     ‘アルバートの息子’(1957年 オスロ国立美)

海外の美術館をめぐっているとまったく想定外の展覧会に出くわすことがあ
る。このたまたまがビッグな画家の回顧展だともう天にも昇るような気持ち。
2008年のホッパー展(シカゴ美)がそうだし、2016年のワイエス展
(マドリード テイッセン・ボルネミッサ美)も嬉しくてたまらなかった。

名の知れた画家に関連する書物、例えばTASCHEN本とか日本の出版社が市販
している画集(高価な専門美術本ではないもの)はかなり揃っているが、
アンドリュー・ワイエス(1917~2009)については1冊もない。
そのため、アメリカの国民的画家なのにその画業全体がつかめずにいた。それ
がマドリードで遭遇した回顧展のおかげで半分くらいのところまできた。立派
な図録はホッパー展のもの同様わが家の家宝である。

NYのMoMAで‘クリスティ―ナの世界’に出会ったことでワイエスという画家を
知った。目が点になったのは体を地面に横たえた少女のまわるにはえている
草々の超精密が描写。なぜこの少女はこんな格好でいるかということより、絵
の完成には点描と同じくらいの高い技術を必要とし長い時間がかかっただろう、
と制作のことばかりに気が回っていた。男性の肖像画‘シードッグ’の金色の
髭にも参ったという感じ。

1943年に描かれた‘ハンター’と‘競売’でも草一本々の描き方には相変わらず
の高い写実性がみられる。さらに意表を突かれるのが‘ハンター’の俯瞰の視点。
枝を沢山出した大木の下にハンターがうろついている。競売にかけられた農場
に大勢の人たちが集まっている場面を絵にするというルポライター的な感覚も
社会的レアリスムに関心の高かったワイエスの真骨頂がでている。

‘アルバートの息子’は2018年北欧を旅したとき、オスロ国立美でお目にか
かった。ここでワイエスがみれるとは。ヨーロッパの美術館でワイエスをみた
のははじめてのこと。大収穫だった。

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2020.09.07

Anytime アート・パラダイス! ホーマー 多岐にわたる画題

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     ‘夕食の角笛’(1870年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー)

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     ‘新農地’(1865年 メトロポリタン美)

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    ‘4人の漁師妻たち’(1881年)

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      ‘救助にむかう’(1886年 フィリップス・コレクション)

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     ‘クローケー’(1866年 シカゴ美)

ホーマー(1836~1910)との縁が一気に深まったのは2008年
シカゴ美で水彩画をたくさん集めた特別展に遭遇したとき。隣の展示室では
大ホッパー展をやっており、大忙しだった。ここで手に入れた図録にはメイ
ンの水彩だけでなく油彩も多数載っているので我が家のお宝図録になってい
る。そのあと、ホーマーがアメリカでは高い人気を誇る画家であることが
だんだんわかってきた。足を運んだブランド美術館ではいつも油彩が1,2
点姿を現してくれ目を楽しませてくれるのである。

画家には画題を絞って描くタイプと多岐にわたる画題でその才能を発揮する
タイプがあるが、ホーマーは後者。これがホーマーの魅力。緊迫感のある
画風で高く評価された海洋画は50歳ころから取り組んだテーマでそれ以前
はいろんな絵を描いている。ワシントン・ナショナル・ギャラリーへ出かけた
とき、‘夕食の角笛’に思わず足がとまった。左手を腰にあて右手で夕食を知ら
せるために角笛を吹く少女の姿に見惚れてしまった。白いスカートが風で揺
れているところにいい。こうした動きのある人物描写には注意が集中する。

人物に動きがあるのがホーマーの特徴。新しい農地での仕事が忙しい農夫、
海岸沿いを子供を背負ったり籠を脇にかかえて進む漁師の妻たち。よくみ
ると4人とも後ろ足のかかとが地面からあがっている。そのため、右方向へ
すたすた進む感じがよくでている。‘救助へむかう’はワシントンにあるフィリ
ップス・コレクションでお目にかかった。傾斜のきつい坂を登る3人が背後
からとらとらえられている。事の重大さが最後尾の男性の前傾姿勢でわかる。

‘クローケー’は懐かしい遊び。小さい頃日本でもこれで遊んでいた大人をよく
みかけた。場所は絵のように芝生の上ではなく公園。この遊びは木槌で木製
ボール(日本では鉄の球)を打って鉄の門を通し、相手のボールを追いのけ
ながらゴールのボールにあてるもの。こういう遊びが絵になるというのがお
もしろい。

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2020.09.06

Anytime アート・パラダイス! ホーマーの絶品海洋画

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      ‘見張り’(1896年 ボストン美)

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     ‘夏の夜’(1890年 オルセー美)

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    ‘右に左に’(1909年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー)

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     ‘ライフライン’(1884年 フィラデルフィア美)

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    ‘メキシコ湾流’(1899年 メトロポリタン美)

ボストン生まれのホーマー(1836~1910)はカサット同様、アメリ
カの美術館をまわったお蔭でその魅力が発見できた画家。この画家の作品は
ヨーロッパの美術館ではほとんどみる機会がない。アメリカへ行く前、知っ
ていたのはオルセーで足がとまった‘夏の夜’だけ。そして、日本であった
ジャポニスム展(西洋美 1988年)でみたことになっている絵がワシン
トン・ナショナル・ギャラリーが所蔵する‘右に左に’。この2枚だと気になる
画家ではあっても情報が少なすぎて、関心の度合いは変化がないまま時が
流れていく。

作品の数がだんだん増えていったのは2008年からはじまった3回のアメ
リカ旅行。大きな美術館を訪問するたびにホーマーに遭遇した。とくに多く
あるのが故郷のボストン美。待望の‘見張り’と対面できたのは2015年。
はじめての訪問ではホーマーは知る由もなかったが、図録に載った絵をみて
次は見逃さないようにと思った。

そのリカバリーのチャンスがめぐってきた2008年のとき気合十分だった
が、なんと展示室が修復工事で閉鎖中。よくあることとはいえ縁の弱さが悔
やまれた。思いの丈を叶えるのにさらに7年かかった。船の見張り役が大声
を出している姿がアップでとらえられている。この緊迫感にみちた表現が
見事。息を呑んでみていた。予想と違っていたのが絵のサイズ、あまり大き
な絵でなかった。

追っかけ画があと2枚あった。はらはらドキドキの絵‘ライフライン’と北斎
漫画を下敷きにして荒波をゆらゆら飛ぶ鳥を描いた‘右に左に’。どちらも
2013年にフィラデルフィアとワシントンで運よく見ることができた。
救難隊員が難破船から女性を救い出す場面を描くというのは絵画がまさに
ドキュメンタリーフィルムの役割を果たしていることを意味している。

水の動きを描くというのは大変難しい。下手な絵描きには大波がうねる海
の絵はとても無理。‘メキシコ湾流’はホーマーにしか描けない。右から竜巻
が迫り、マストの折れた舟のまわりにはサメがうようよいる。‘黒人青年が、
あまりにかわいそう’と抗議した婦人にホーマーは‘彼は救われるのです。
ご心配なく’と答えたという。

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2020.09.05

Anytime アート・パラダイス! ホッパー ロンリーウーマン

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    ‘ニューヨークの映画館’(1939年 MoMA)

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    ‘午前11時’(1926年 ハーシュホーン美)

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  ‘ホテルの部屋’(1931年 テイッセン・ボルネミッサ美)

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     ‘ブルックリンの部屋’(1932年 ボストン美)

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    ‘西部のモーテル’(1957年 イェール大美)

ニューヨークではじめてMoMAへ行ったときホッパー(1882~1967)
は‘ガソリンスタンド’の印象が強くてもう一つの‘ニューヨークの映画館’はよく
覚えてない。映画館という設定のため画面全体が暗く‘見れど見ず‘’の状態だっ
たのだろう。はっきり認識したのは2度目以降のこと。通路の光に照らし出さ
れている若い金髪の女性は案内係。視線を下に落とし物思いに沈んでいる
様子。マネの‘フォリー=ベルジェールの酒場’に描かれているバーの女給の
イメージと重なる。

ホッパーは旅好きだからホテルの部屋がよくでてくる。その室内情景が女性
の淋しさで染まっているのがワシントンのハーシュホーン美が所蔵する‘午前
11時’とマドリードにあるテイッセン・ボルネミッサ美の自慢のコレクション
である‘ホテルの部屋’。二人の顔ははっきり見えないが、なにか満たされない
ことがあり刹那的な心持ちになっている感じ。こういうときは遠くからみて
いるほかない。‘午前11時’の裸婦のモデルをつとめているのはホッパーの妻。

‘ブルックリンの部屋’も初回のボストン美ではかすりもしなかった。ミレー、
モネ、ゴッホ、ゴーギャンらに夢中で鑑賞のエネルギーはホッパーまで残っ
ていなかった。ミュージアムショップで購入した図録に載っているのをみて
次回は要必見のマークをつけた。この椅子に座っいる女性も顔をみせない。
大きな窓のむこうに外の建物のてっぺんが描かれ部屋には夕陽がさしこんで
いる。部屋と周囲を含めた解放的な空間で描かれる女性には一人感人がすご
くでている。孤独感のほかに感じようがない。

‘西部のモーテル’でこちらを向いている女性はだいぶ張りつめている様子。
大きな旅行バッグが二つあるのは一人で長旅をしているためなのか。
アメリカに住んだことがないので西部のイメージがつかめない。モーテルの
窓がやけに大きいが、実際こういう構造になっている?

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2020.09.04

Anytime アート・パラダイス! 映画監督ホッパー

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    ‘ホテルのロビー’(1943年 インディアナポリス美)

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      ‘夜の話し合い’(1949年)

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    ‘夜のオフィス’(1940年 ウォーカー・アート・センター)

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   ‘NYの室内’(1932年 シェルドン・メモリアル・アート・ギャラリー)

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      ‘夏の夕暮’(1947年)

ここ1年くらい‘BSプレミアム シネマ’で放送される名画をよくみている。
先月は‘アラビアのロレンス’が登場したのでTVに内蔵されているビデオに
しっかり収録した。今はTVガイドによってかつてみたお気に入りの映画が
ラインナップされるかを確認するのが楽しみになっている。
今月はBSプレミアムではないが、BSテレ東で9/30(後6:55~)に
‘大脱走’(主演スティーブ・マックィーン)が放送される。待ってました!

映画が小さい頃から好きでアメリカ映画を数多くみてきた。映画狂とまで
はいかないので優れた監督の名前がぱっぱっとはでてこないが、メジャー
な人ならだいたい知っている。映画は監督の腕といいシナリオに恵まれる
とヒットする。画家でも風俗画風の作品が得意な人は映画監督の才能を兼
ね備えているかもしれない。

ホッパー(1882~1967)の絵をみると、まるで映画のワンシーン
のような場面がいくつもでてくる。代表作の‘夜ふかしをする人たち’もそう
だし、ここに紹介する5点もMy名画ビデオを再生させて停止ボタンを押
すとよく似た構図になるものが何カットもある。

‘ホテルのロビー’は見慣れた光景、来年から海外旅行を再開させたいがまだ
無理かな? ‘夜の話し合い’は同じく3人が描かれているが、こちらはホッ
パーには珍しく会話の場面。この3人は三角関係。だいぶこじれているよう
で険悪な雰囲気になっている。

‘夜のオフィス’はやり手ビジネスマンがまだ仕事をしている。隣の秘書も
ビジネスライクに割り切ってつきあっている。特別手当の請求は抜かりな
いだろう。‘NYの室内’は二人の男女に会話はなく男性は新聞を読み、女性は
ピアノの鍵盤をつまらなさそうにたたいている。こんな冷えた関係になっ
たのは何が原因なのだろうか。

‘夏の夕暮’は若いカップルの逢引きのシーン。電灯の光に照らされて浮かび
上がる二人の密着度が感情の高まりを暗示している。

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2020.09.03

Anytime アート・パラダイス! ホッパーの飲食する人たち

Img_20200903222601       ‘自動販売機’(1927年)

Img_0002_20200903222601       ‘チョップ・スーイ’(1929年)

Img_0003_20200903222701       ‘ニューヨークのレストラン’(1922年)

Img_0001_20200903222701     ‘夫人のためのテーブル’(1930年 メトロポリタン美)

今年はコロナウイルスの感染の影響で海外旅行がパーになり、楽しみにして
いたホテルのランチバイキングめぐりもサービスそのものがなくなった。
そのため、外で食事をする機会がぐんと減っている。これに友人との飲み会
の自粛、同窓会や各種OB会の開催中止がつけくわわる。3ヶ月後、忘年会が
できるだろうか。

ものを食べたり飲んだりする場面を描いた絵画でより親しみを覚えるのは
印象派以降のもの。3人の画家がすぐ思い浮かぶ。フランス人のマネ
(1832~1883)、ドガ(1834~1917)とアメリカ人のホッ
パー(1882~1967)。シカゴ美でホッパー展に遭遇したのは生涯の
喜びだが、大きな収穫だったのが様々な物語が立ち上がってくる飲食の場面
を描いた作品。全部で5点でていた。

メトロポリタンにある‘夫人のためのテーブル’は腰をまげていそいそとテー
ブルの準備をする女給仕の姿が目に焼きつく。マネの‘ビアホールのウエイ
トレス’がすぐ頭をよぎった。レストランのなかの雰囲気が絶妙な構図によっ
てうまく表現されている。‘ニューヨークのレストラン’は人気のお店なのか
大勢の客で賑わっており中央の二人ずれの横ではウエイトレスが皿のかた
ずけをし、後ろ姿の女性の横を男性が立ち去っていく。

ドガとホッパーの描く風俗画風の作品はどこか似ている。‘自動販売機’の中央
で物静かにコーヒーを飲んでいる女性はドガの傑作‘アプサント’をみている感じ
がする。ホッパーはパリに住んでいたからドガのこの絵を意識したにちがい
ない。モデルは2年後‘チョップ・スーイ’にも登場する。今度は友人の女性
と一緒。二人は‘NYのレストラン’と同じく正面向きと後ろ姿で描かれている。
会話が弾んでいる気配はなさそう。

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