2020.12.01

美術館に乾杯! 太田記念美術館 その三

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         葛飾北斎の‘雨中の虎’(1849年)

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     喜多川歌麿の‘三保の松原道中’(1788年)

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     菊川英山の‘当風三美人’(1814年)

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   歌川豊国の‘役者舞台之姿絵 まさつや’(1794年)

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         歌川国貞の‘石川五右衛門’(1852年)

浮世絵とのつきあいが長くなるとときどき嬉しい作品の発見に遭遇する。
葛飾北斎(1760~1849)が亡くなる数ヶ月前に仕上げた肉筆画
‘雨中の虎’と対になる‘雲龍図’がパリのギメ美にあることが2007年にわ
かった。そして、同年ここで開催されたギメ美蔵浮世絵名品展で披露さ
れた。このペアリングは3年前大阪のあべのハルカス美で開かれた北斎展
でも行われ多くの人の目を楽しませた。

太田にも喜多川歌麿(1753~1806)の美人画が何点もあるが、
一番のお気に入りが‘三保の松原道中’(部分)。どこに惹かれているかと
いうと女が乗っている籠のむこうに3人の男が描かれていること。手前
の一行だけでも十分にぎにぎしいのだから、籠を西洋画の窓のように使
って男の旅人描き込まなくてもいいと思うが、歌麿は三保の松原の空間
の広がりをみせるためぬかりなく3人をつけ加えた。歌麿は超一流の
風景画の名手でもある。

菊川英山(1787~1867)の美人画は海外の美術館のコレクション
によって開眼させられた。こんなギャル的でかつ洒落ている美人画があっ
たのか、という感じ。‘当風三美人’はその名のとおりの艶やかな姿と後ろ
の障子にシルエットで描かれた遊女や客の楽し気な様子が目に焼きついて
いる。

役者絵は一度見たら忘れられない顔つきやポーズがよしあしの決め手にな
ることが多い。その点で抜群なのが歌川豊国(1769~1825)の
‘役者舞台之姿絵 まさつや’。描かれているのは三代目大谷鬼次が両手を
開いて見得をきる場面。写楽の江戸兵衛ともダブルがどちらもアクの強
い表情にぐっと惹きこまれる。歌川国貞(1786~1864)の‘石川
五右衛門’は東海道五十三次シリーズの一枚で終着地点の京。南禅寺の
山門から満開の桜を眺め、五右衛門が‘絶景かな’と感極まる場面である。

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2020.11.30

美術館に乾杯! 太田記念美術館 その二

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     菱川派の‘隅田川之景’(18世紀初頭)

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     歌川国貞の‘二見浦曙の図’(1833年)

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    渓斎英泉の‘日本橋雪之曙’(1835年)

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   歌川広重の‘日光山華厳ノ滝、霜降ノ滝、裏見ノ瀧’(1851年)

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    歌川国芳の‘東都名所浅草今戸’(1830年)

太田記念美は浮世絵専門の美術館なのでこれまで名の知れた絵師たちの回顧
展を次々と開催してきた。お目にかかったものをざっとあげると、葛飾北斎、
歌川広重、歌川国芳、歌川国貞、歌川豊国、菊川英山、月岡芳年。まだ実現
してないのが喜多川歌麿、これをなんとか企画してもらいたいのだが、果た
して。

菱川派の‘隅田川之景’はみせ所が隅田川と富士山とくれば風俗画エンターテ
イメントとしては申し分ない。川に多く浮かぶ舟には舟遊びを楽しむ人が大
勢くりだしている。こういう光景をじっくりみると江戸の人々の生活にふれ
たような気になり親近感が生まれてくる。

伊勢観光の人気のスポットである二見ヶ浦の夫婦石は2度みた。だから、
歌川国貞(1786~1864)の絵には敏感に反応する。この二見ヶ浦が
特別印象に残っているのはご来光の表現にインパクトがあるから。爆弾が
爆発したような直線の発射は惑星の公転図のイラストをみるよう。

日本橋の絵というと歌川広重(1797~1858)の専売特許的なイメー
ジがあるが、渓斎英泉(1791~1848)の‘日本橋雪之曙’も心をとらえ
る傑作。これは‘木曽街道六十九次’シリーズの最初の図。雪晴れの朝、魚を
運ぶ男たちが行きかっている。

広重が描いた日光山の滝の絵によってあの有名な華厳の滝のほかにもう二つ
‘霜降の滝’(右)と‘裏見の滝’(左)があることを教えてもらった。いつかみ
たいと思っているがなかなか現地に行けない。
歌川国芳(1797~1861)の風景画も魅力いっぱいで西洋画の描き方
をとり入れた‘東都名所浅草今戸’は瓦焼きの窯からもくもくとたちこめる煙
の表現が目を釘づけにする。

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2020.11.29

美術館に乾杯! 太田記念美術館 その一

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        石川豊信の‘二代目瀬川吉次の石橋’(18世紀)

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       鈴木春信の‘鉢の木の暮雪’(1767年)

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     鳥居清長の‘三囲参詣の往来’(1778年)

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     歌川豊国の‘子供の戯れ’(1800年)

現在、東京で浮世絵を専門に展示している美術館は表参道の太田記念美、
すみだ北斎美、たばこと塩の博物館。通った回数が多いのは太田記念美。
今年はコロナ感染の影響で一度も出かけてないが、企画展の情報はHPでし
っかり定点観測している。昨年、歌川豊国展をみたときは以前は靴を脱い
でスリッパにはき変えていたが、それがなくなり鑑賞がよりスムーズに
なった。

ここの展示室は1階、2階、地下の3ヶ所。浮世絵は大きな絵ではないので
これくらいのスペースでもかなりの数をみることになる。回顧展の場合は、
前期、後期の2回興行だから存分に美人画、役者絵、風景画を楽しむこと
ができる。一時期、ギメ美など浮世絵コレクションで定評のある美術館
の所蔵する作品の里帰り展が開催されて好感度をぐんとあげたが、来年あ
たりからまた期待したい。

石川豊信(1711~1785)という浮世絵師に開眼したのはここで
‘二代目瀬川吉次の石橋’をみたから。その後ヨーロッパ、アメリカから
の里帰り展でもちょくちょく愛嬌のある丸い顔で微笑んでいる女性に遭遇
しますます豊信が好きになった。

鈴木春信(1725~1770)の‘鉢の木の暮雪’は風流うたい八景‘’シリ
ーズの一枚。八枚全図を揃えているのは太田記念美だけ。すばらしい!
鳥居清長(1752~1815)の‘三囲参詣の往来’はとても気に入って
いる。どこがいいかというと上の土手を人々が歩いている光景。手前の女
性たちの行列と向こうの往来が呼応している感じで参詣の賑わいが伝わっ
てくる。

歌川豊国(1769~1825)はライバルだった写楽とおなじくらい
役者絵で評判をとった人気絵師。得意の人物描写は子どもにもみられ‘子供
の戯れ’というおもしろい作品ができあがった。3人の子が障子の腰板にふ
ざけた顔やポーズを映して遊んでいる。見た瞬間びびっときた。子供の無
邪気な悪ふざけがこれほどおもしろく真に迫っている絵をほかにみたこと
がない。

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2020.11.28

美術館に乾杯! 平木浮世絵財団 その三

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     葛飾北斎の‘富嶽百景 登龍の不二’(1834年)

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     小川芋銭の‘反照’(1933年)

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     前田青邨の‘鯉’(1963年)

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     福田平八郎の‘鯉’(1954年)

人気の浮世絵師がいろいろいる中で斬新な構図でみる者の心を鷲づかみにす
るのは葛飾北斎(1760~1849)、歌川広重、歌川国芳の3人。その
先鞭をつけたのはやはり天才、北斎。これに広重も国芳も大きな影響をうけ
た。‘富嶽三十六景 神奈川沖浪裏’の構図の刺激があったからこそのちに
広重の‘名所江戸百景’の傑作の数々や国芳のワイドスクリーンを使って描い
た鯉や鯨の絵が生まれたといっても過言でない。

‘富嶽三十六景’の数年後に描かれた‘富嶽百景’のも強く印象に残る一枚がある。
不二を仰ぎ見る龍のポジションが絶妙に決まっている‘登龍の不二’。そして
龍のパワーと勢いを演出しているのが水玉模様を連想させるような雲。こん
な雲が富士山を囲む絵はみたことがない。みればみるほどおもしろい。

平木コレクションには明治以降に活躍した日本画家の作品もある。小川芋銭
(1868~1938)の‘反照’で描かれているのは川合玉堂がよくてがけ
た山々や農村の風景。でも、芋銭には浦上玉堂風の神秘的な空気な流れてい
る。手前にひとりの樵の姿がみえる。

前田青邨(1885~1977)の‘鯉’に魅了され続けている。水の表現に
たらし込みという琳派の描き方を使い泳ぎまわる鯉の群れがリズミカルに描
かれている。装飾性に富む鯉の絵というのは華やかな桜の表現以上に心を打つ。
これに対し福田平八郎(1892~1974)の二匹の鯉はデザイン的な要素
が強く、現代的な感覚のする花鳥画である。

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2020.11.27

美術館に乾杯! 平木浮世絵財団 その二

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         喜多川歌麿の‘庭中の涼み’(1788~90年)

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         歌川国芳の‘禽獣図会 獅子’(1839~41年)

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    伊藤若冲の‘花鳥版画 雪竹に錦鶏図’(1771年)

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    伊藤若冲の‘花鳥版画 薔薇に鸚哥図’(1771年)

浮世絵関連の図録が数多くあるので2年前から大整理をしており、8割方で
きあがった。いろんなところに分散している美人画や役者絵、風景画を絵師
ごとに図録に作品を積み重ねていくとダブりのないMy図録が完成する。
図録の数が一番多いのは喜多川歌麿(1753~1806)で5冊もある。

国内の浮世絵コレクションだけでなく海外の美術館から里帰りしたものなど
をずらっと集めると歌麿は一体全部で何枚描いたのか?というほどいろいろ
な美人画がでてくる。内外問わずどこの美術館もほかにはない歌麿があると
おおいに胸をはりたくなるだろう。平木コレクションの‘庭中の涼み’はほかで
はみないもの。鳥居清長にも女性に混じって男性が登場するが歌麿ほど男女
はくだけてない。だから、同じみるなら歌麿の方がおもしろい。

歌川国芳(1797~1861)は2週間前ようやく2回目の編集が終了し
た。全部で3冊。なにか大仕事をしたような感じ。こういう作業は意外に手
間取るもので何度もみているのに同じ絵あることに気がつかない。それは摺
りの状態が違い色が変わっているため。よくみると同じ絵じゃないか!とい
うのはたびたびでてくる。でも、ほかとは絵柄がちがうものはヴァリエーシ
ョンのひとつとして存在感を増していく。‘禽獣図会 獅子’は貴重な絵。
国芳はこんな獅子の子落しの絵を描いていたとは!

伊藤若冲(1716~1800)の‘花鳥版画’(6点)を全部みるのにだい
ぶ時間がかかった。絵の存在を知ってからみたくてしょうがなかったが、その
機会がなかなか訪れなかった。ららぽーと豊洲にUKIYO-e TOKYOができこれ
は運がむいてきたと思ったが、そうは問屋が卸さない。‘美術館はいい絵は
簡単にはみせてくれない’の法則がきいているのである、そうこうしてい
るうちに若冲展が連続で開催されたので思いの丈が叶えられ、‘雪竹に錦鶏図’
や‘薔薇に鸚哥図’が目の中に入った。みるたびに200%KOされている。

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2020.11.25

美術館に乾杯! 東京富士美術館 その三

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     ターナーの‘嵐の近づく海景’(1804年)

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     クールベの‘水平線上のスコール’(1873年)

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         モネの‘海辺の船’(1881年)

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     カイユボットの‘トルーヴィルの別荘’(1882年)

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         マグリットの‘観念’(1966年)

印象派やポスト印象派の絵が日本の美術館にあってもそう驚くことはない。
モネは結構な数の美術館が所蔵しているし、マネ、ルノワールやセザンヌ
らはアーチゾン美(旧ブリジストン美)へ行けばみれるし、ゴッホやゴー
ギャンは損保ジャパン、大原へ足を運ぶと楽しめる。だが、それ以前の
作品となるともし美術館で出会うとちょっとびっくりする。

東京富士美にはターナー(1775~1851)が2点ある。若い頃描か
れた‘嵐の近づく海景’と脂がのりきった50代の‘ヘイヴーツリュイスから
出航するユトレヒトシティ64号’。ターナーらしい緊張感のある海景画が
ここでみれるというのは大原のエル・グレコの絵と同じようにヨーロッパ
で美術館巡りをしているような気分になる。

2008年、パリでクールベ(1819~1877)の大規模な回顧展に
遭遇したのは生涯の思い出。そこに数多く描いた波の絵が9点集結してい
た。このシリーズは大原にある作品で目が慣れていたが、‘水平線上のスコ
ール’はこれらと波のパワーに遜色なく砂浜にドドーンと打ち寄せている。

モネ(1840~1926)の‘海辺の船’はなかなかいい絵だが、国内で
開かれるモネ展にはあまりでてこない。また、カイユボット(1848~
1894)の‘トルーヴィルの別荘’は2013年ブリジストン美であった
回顧展ではじめてお目にかかった。この展覧会でカイユボットの画業全体
がわかりこの画家の才能に惚れ直したが、この絵もそれに一役買っている。

予想外だったのがマグリット(1898~1967)の‘観念’。スーツ姿の
男性の頭が林檎に変わっている。マグリットの作品にちょくちょく登場す
る林檎が頭に変容するところが意表を突かれる。でも、のけぞるほどの
怪奇さはないからニヤニヤしてみてしまう。これぞマグリットマジック!

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2020.11.24

美術館に乾杯! 東京富士美術館 その二

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     川合玉堂の‘朝雪’(1952年)

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     上村松園の‘菊寿’(1939年)

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     鏑木清方の‘春宵’(1935年)

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       福田平八郎の‘春光’(1942年)

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     堂本印象の‘パリの小路’(1953年)

川合玉堂(1873~1957)には水車を描いた作品が何点かあり、‘朝雪’
は冬の水車の光景。今、地方の農村や山里を旅して実際に使われている水車
に遭遇することがあるだろうか。以前広島にいたとき岡山県の北部で観光名
所となっている大きな水車に出会ったが、生活用のものだとかなり山奥まで
行かないと目にすることはできない?それとも、もう残っていない?

富士美は上村松園(1875~1949)と鏑木清方(1878~1972)
のとてもいい美人画を所蔵していることで知られている。‘菊寿’は松園展の欠
かせないピースで図録に何度も登場する。ここ数年足が遠ざかっている鎌倉の
鏑木清方記念美でミニ清方展が10数年前、定期的に開催され、ほかの美術館
がもっている作品が集まった。‘春宵’はそのとき見惚れた絵。富士美蔵のもの
は数回に分けて7点くらい展示された。これでこの美術館は赤丸つきになった。

福田平八郎(1892~1974)のカラフルな花鳥画‘春光’は記憶をたどれ
ば、どこかの美術館で開かれた‘富士美蔵日本画名品展’でみたのかもしれない。
図録を整理し平八郎展のものに集約して張り付けたのだから、強く印象づけら
れた作品であることはまちがいない。2回体験した回顧展に出品されなかった
ので余計に思い入れがある。

堂本印象(1891~1975)の‘パリの小路’は日本画家の作品とは思えな
い絵。ここには藤田嗣治とも佐伯祐三ともちがうパリの街並みがある。おも
しろいことに甥っ子の堂本尚郎(1928~2013)も1951年に‘蔦のあ
る白い家’という似たような風景画を描いている。

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2020.11.23

美術館に乾杯! 東京富士美術館 その一

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         池大雅の‘渓上高隠図’(19世紀)

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    鈴木其一の‘萩月図襖’(19世紀)

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         橋本雅邦の‘三保松原図’(1902年)

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     横山大観の‘聳砂丘’(1956年)

八王子にある東京富士美へは2度出かけた。国道16号線をどんどん中央
自動車にむかって北上したが、2時間くらいかかったような記憶がある。
でも、今は東名の横浜町田ICのところの渋滞が解消されたから30分くら
い早く着くかもしれない。思い出深い展覧会は2013年のちょうど今頃
みた‘光の賛歌 印象派展’。目玉の絵画、ルノワールの‘ブージヴァルの
ダンス’(ボストン美)の効果もあり大賑わいだった。

ここの所蔵作品はモネやターナーなどの西洋絵画が多いという印象がある
が、どっこい日本画もいいのが揃っている。江戸絵画では池大雅
(1723~1776)が妻の玉瀾の絵と対になった‘渓上高隠図’がある。
どこかであった企画展に展示されたときは富士美は大雅ももっているのか、
と感心した。

琳派が好きな人なら鈴木其一(1796~1858)の‘萩月図襖’と‘風神
雷神図’にはすぐ反応するだろう。富士美の存在を知ったのはかなり前行わ
れた琳派展で琴線にふれる萩と月の絵をみたとき。隣りの方もこの絵がお
気に入りである。

明治以降に描かれた日本画のコレクションも充実している。橋本雅邦
(1835~1908)の‘三保松原図’はかなり横に傾いている松の木々の
お陰で雄大な富士の安定感がより強く感じられる。これに対し、横山大観
(1868~1958)の‘聳砂丘’は冠雪の富士、濃い墨で表現された松原、
手前のうねる海原が夫々存在感があり響き合っている。

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2020.11.22

美術館に乾杯! 横山大観記念館

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    横山大観の‘霊峰飛鶴’(1953年)

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    横山大観の‘四時山水’(部分 1947年)

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    冨田渓仙の‘祗園夜桜’(1921年)

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    菱田春草の‘秋の夜美人’(1902年)

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    小川芋銭の‘蓬莱山’(1928年)

ヨーロッパやアメリカにある邸宅美術館へでかけると、例えばNYのフリッ
ク美では大きな美術館とはちがうこじんまりした展示室でくつろいだ気分
で名画や調度品を楽しめる。日本でも画家の住んでいた屋敷が○○記念館
となって公開されているところへいくと同じことがおこる。上野の不忍池
のそばにある横山大観記念館もそんな美術館。

これまで3回くらい足を運んだことがあるが、ここで忘れられない作品が
‘霊峰飛鶴’。横山大観(1868~1958)が数多く描いた富士山のなか
では一番気に入っている。富士を背景に鶴の群れが飛んでいくという着想
は奇才長澤芦雪にもみられるが、大観の鶴の飛ばせ方はじつにオーソドック
スでまさに吉祥画。そして、大観が80歳になったのを機に描いた絵巻
‘四時山水’に遭遇したのも大きな収穫。紅葉がきれいな今この絵をみると
心が相当ハイになるにちがいない。

冨田渓仙(1879~1936)の‘祗園夜桜’は大観の傑作‘夜桜’につなが
る作品。現在はこういう篝火をたいて夜桜をみるということはないので、
この幻想的な桜イベントの現場にタイムスリップしたくなる。夜つながり
で菱田春草(1874~1911)の‘秋の夜美人’にも思わず足がとまる。

同じ茨城県出身の小川芋銭(1868~1938)は大観と同い年。大観
は独学で日本画を学んだ芋銭を高く評価しており、1917年芋銭は日本
美術院の同人になった。記念館にも‘蓬莱山’などが飾ってある。

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2020.11.21

美術館に乾杯! 泉屋博古館分館

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     橋本雅邦の‘深山猛虎図’(1885~89年)

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    モネの‘モンソー公園’(1876年)

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    藤島武二の‘幸ある朝’(1908年)

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    板谷波山の‘彩磁更紗花鳥文花瓶’(1919年)

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    宮川香山の‘青華紅彩桃樹文耳付花瓶’(20世紀)

行きつけの美術館へ出かけるのは毎日の散歩と同じで毎日を楽しく生きてい
くためのルーチンワークのようなもの。だから、広い東京を西へ東へと動い
ても体が疲れるということはない。でも、ときどき美術館に到着するまで
傾斜のある坂道を歩いたりエスカレーターに乗って深い谷底から上がってく
るようなこともある。六本木にある泉屋博古館分館はそれを経験する美術館
のひとつ。

泉屋博古館を訪問するときは近くにある大倉集古館と連チャンすることがよ
くあった。分館ができたのは2002年。何度か通っているうちに住友の
コレクションの特徴がつかめてきたが、絵画で嬉しいのが日本画の橋本雅邦
(1835~1908)と狩野芳崖がみれること。作品の数は雅邦の方が
多く(5点くらい)、‘深山猛虎図’や‘春秋山水’など見ごたえのある作品が目
を楽しませてくれる。

ここにはモネ(1840~1926)の若い頃の作品が2点ある。回顧展に
お呼びがかかる‘モンソー公園’と‘サン=シメオン農場の道’。モネとはね
んごろなつきあいをしているから、国内の美術館にはどの絵があるかはだい
たいインプットされている。モネに関連した展覧会がアーチゾン美である。
タイトルが‘琳派と印象派’とくれば感動二段重ねは間違いないが、コロナ感染
がまた多くなっているので行けそうにない。
藤島武二(1867~1943)の図録の大整理を2ヶ月前行った。そのな
かに‘幸ある朝’もしっかり入っている。

板谷波山のやきものも住友コレクションのお宝のひとつ。波山をたくさん所蔵
しているのは出光、泉屋博古、新潟の敦井美、MOA,そして地元の茨城県
陶芸美。分館でも2009年に回顧展が開催された。‘彩磁更紗花鳥文花瓶’は
お気に入りの一つ。また、初代宮川香山(1842~1916)についても
‘青華紅彩桃樹文耳付花瓶’など優品が揃っている。流石である。

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