2017.04.21

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その十

Img_0001     クノップフの‘愛撫’(1896年)

Img_0004     クノップフの‘妹マルグリットの肖像’(部分 1887年)

Img     バーン=ジョーンズの‘プシケの婚礼行列’(1895年)

Img_0002    ヌンクの‘孔雀’(1896年)

とても気になる絵の存在がきっかけとなって、画家が好きになることがある。だが、その絵とじっさいにお目にかかれるかというと簡単ではなく時間がかかる。ベルギー象徴派のクノップフ(1858~1921)が描いた‘愛撫’を見た瞬間、クノップフへの関心が大きくなった。そして、ようやくベルギー王立美を訪問する機会がめぐってきた。

チータと女性のハイブリッドスフィンクスが一見女性を思わせる若者と頬を寄せ合っている謎めいた作品、心がザワザワしてくる感じはクリムトが描く官能的な女性をみるときと似ている。スフィンクスがエジプトにあるようなライオンだったら、どんな印象になるだろうか、女性の顔を美しくみせるために黒い点々のあるチータにしたのかもしれない。

クノップフにとって理想の女性は6歳下の妹マルグリットだった。そのため、描かれるモデルの容貌はマルグリットのイメージがベースになっている。肖像画は結婚前のマルグリットをクノップフが29歳のとき描いたもので、生涯手放さなかった。

クノップフに強い影響を与えたのがイギリスのラファエロ前派の画家、バーン=ジョーンズ(1833~1898)、ここには‘プシケの婚礼行列’が展示されていた。人物の配置はバーン=ジョーンズお得意の女性のシールを横一列にぺたぺた張り付けたような構成。真ん中がこれから恐ろしい怪物のところへ嫁ぐことになるプシケ。

ヌンク(1867~1935)の鈍く光る青を基調にした‘孔雀’は森のなかに出現した幻想世界に紛れ込んだような気分にさせる作品。まさに象徴派全開。この美術館にはデルヴィル(1867~1953)の鑑賞欲をおおいに刺激する‘悪魔の宝物’があるのだが、どういうわけか2回とも姿を見せてくれなかった。残念な思いをずっと引きずっている。

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2017.04.20

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その九

Img_0003      ダリの‘聖アントワーヌの誘惑’(1946年)

Img     ミロの‘スペインの踊り子(オレ)’(1924年)

Img_0001     アンソールの‘憤慨した仮面’(1883年)

Img_0002     アンソールの‘燻製ニシンを取り合う骸骨達’(1891年)

好きな画家の場合、手元に集めている情報は他と比べて多い。美術本は複数あり、展覧会の図録もたまっていく。シュルレアリストのダリ(1904~1989)もその一人。だから、どの絵がどこの美術館にあることはしっかりインプットされている。

2015年12月、フィラデルフィア美を再訪し前回みれなかった‘ゆでたインゲン豆の柔らかい構造(内乱の予感)’と対面した。残るはベルギー王立美の‘聖アントワーヌの誘惑’、この絵でとくに魅せられるのはあの巨漢の象の細くて長い足が小さいころ遊んだ竹馬をイメージさせること。驚くべきシュールな造形をいつかこの目でとらえたいが、3度目の美術館訪問があるかどうかはわからない。隣の方のご機嫌次第。

このところミロ(1893~1983)の回顧展に遭遇してない。ミロファンとしては昨年あったダリ展(国立新美)に続いて、ミロも期待したくなるがその気配はまだない。‘スペインの踊り子(オレ)’は現地でも楽しんだが、2002年世田谷美で開かれたミロ展に出品された。そのため、絵の前に立ったときは親しみを覚えた。

マグリット、デルヴォー同様、この美術館を訪問したことで画家との距離が一気に縮まったベルギー人画家がいる。北海に面した町、オステンドで生まれ育ったジェームス・アンソール(1860~1949)。5,6点展示してあった作品で目に焼き付いているのが仮面と骸骨、絵のタイトルに仮面がついているのが‘憤慨する仮面’と‘奇妙な仮面’、そして死してなお食欲が旺盛なあまり喧嘩してしまう‘燻製のニシンを取り合う骸骨達’。

アンソールの当面の追っかけ作品はLAのポール・ゲッティ美にある‘キリストのブリュッセル入城’、まだ足を踏み入れていないLAなので旅行計画の優先順位は高く、そのうち訪問の機会がやって来そう。

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2017.04.18

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その八

Img_0003     マグリットの‘光の帝国’(1954年)

Img_0004     マグリットの‘キリンの浴槽’(1949年)

Img_0001     デルヴォーの‘民衆の声’(1948年)

Img     デルヴォーの‘ピグマリオン’(1939年)

ベルギー王立美をはじめて訪れたのは2005年、このとき近代絵画で必見作品の上位を占めていたのがシュルレアリストの3人、ダリ(1904~1987)、マグリット(1898~1967)、そしてデルヴォー(1897~1994)、残念なことにダリの‘聖アントワーヌの誘惑’は姿を見せてくれなかったが、ベルギーが生んだビッグ2は存分に楽しむことができた。

当時は同じ部屋にマグリットとデルヴォーは飾ってあったが、今はマグリットは別料金がいる独立したマグリット美術館(2009年オープン)におさまっている。2015年、この美術館の監修でマグリット展が国立新美で開催され所蔵作品が数多く出品された。

マグリットが50歳をこえて描いた最高傑作が‘光の帝国’、連作は10点以上あるが美術の本に載っているのは1954年のもの、ほかのヴァージョンは過去に日本にやって来たがこれはまだ登場してない。2年前に展示されたのはNYのMoMAが所蔵するものだった。

2011年、マグリット美で再度前のめりになってみて心にぐさっときたのが‘キリンの浴槽’、シュルレアリストの創作過程に首をつっこむのは無謀なことだが、ついマグリットはどこからキリンをガラスコップのなかにとじこめることを思いついたのか詮索したくなる。うーん、わからない?

長生きしたデルヴォーはマグリットと同世代、ここには10点くらいあった。比較的大きな絵が多いが、目に焼き付いているのはジョルジョーネやティツィアーノの構図を借りて裸婦を描きその背景に電車を走らせるという奇妙な作品‘民衆の声’とデルヴォーのマザコンをどうしても感じてしまう‘ピグマリオン’。

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2017.04.17

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その七

Img_0002     スーラの‘セーヌ川のグランド・ジャット島’(1888年)

Img_0001     ゴーギャンの‘緑のキリスト’(1889年)

Img     ココシュカの‘役者ラインホールドの肖像’(1908年)

Img_0003     シャガールの‘私と村’(1912年)

ベルギー王立美に良い印象をもつのは古典絵画から近代絵画、さらにはオブジェなどもふくむ現代アートまで多くの作品がみられるから。その展示スタイルはNYのメトロポリタンと似ている。

印象派とポスト印象派で心に残るのはスーラ(1859~1891)の点描画‘セーヌ川のグランド・ジャット島’、いつも気にとめている画家がでてくると美術館に足を運んだ甲斐があるというもの。古典絵画ではブリューゲルがみれ、近代絵画でスーラ、ダリ、マグリット、デルヴォーが揃っていれば目にも力が入る。

ゴーギャン(1848~1903)は図録には3点載っているが、みたのは2点、ブルターニュに滞在していたころゴーギャンが描いたキリスト物語は大胆な色使いが特徴、ここで死せるキリストに使われているのは緑、同じ年にもう一枚‘黄色のキリスト’も仕上げている。

ココシュカ(1886~1980)が初期に手掛けた肖像画はまだ激しい筆致はみられず目鼻をはっきり描いているのでモデルの生気が感じられる。そして、おもしろいのは女性でも男性でも腕を曲げ手の指を開けていること。身振りをつけ個性を引き出そうとしている。この男性の肖像はいかにも役者らしい雰囲気がでている。

NYのMoMAにシャガール(1887~1985)の代表作‘村と私’があるが、その別ヴァージョンに遭遇するとは思ってもみなかった。サイズ的にはこちらはぐっと小さくMoMAの3分の1ほど。村人と向かいあっている乳牛の大きな顔の目の横に乳しぼりの様子が描かれている。こういう牛の体の一部にまたモチーフを描きこむというアイデアは並みの画家の頭からは浮かんでこない。

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2017.04.16

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その六

Img_0002     J.ボズの‘マラー’(パリ カルナヴァレ美)

Img     ダビィッドの‘マラーの死’(1793年)

Img_0001_2     ダビィッドの‘マルスとヴィーナス’(1824年)

Img_0003     アングルの‘アエネイスを聞く皇帝オーグスト’(1819年)

いい絵を一枚でも多くみたいと願っているのは描かれた美しい女性の姿や素晴らしい風景に心を打たれるからだが、もうひとつ絵画をみる効用に歴史上おこった事件や出来事を絵画によってイメージできるということもある。

ベルギー王立美には衝撃度としてはマグニチュード7くらいの絵画がある。それはダビィッド(1748~1825)が45歳のときに描いた‘マラーの死’、古典絵画に通じている人はこの暗殺されたマラーの姿は十字架から降ろされた死せるキリストを連想するにちがいない。ダビィッドのこの絵によってマラーは民衆のために命を落とした殉教者というイメージができあがった。

フランスの歴史を知らないで血だらけになって浴槽に横たわっている人物をみると、一見女性かと思うこともある。女性は風呂にはいるとき頭にシャワーキャップを被っているので、だが、よくみると男、フランス革命の後混乱期にあったパリで庶民に支持されたジャコバン派の指導者の一人、マラーである。

持病の皮膚病の治療のため浴槽に入って仕事をしていると、敵対する富裕層が支持するジロンド派側のコルデーという女性がジャコバン派のシンパを偽装して面会を求めてやってきた。そして、隙をみてコルデーはマラーを隠し持ったナイフで刺し殺した。

この暗殺事件の3ヶ月後、ダビィッドが依頼に応じて描いたのがこの絵。模写が2点存在し、その一つがルーヴルにあり、2005年横浜美で開催されたルーブル美展に出品された。オリジナルをブリュッセルでみたのもこの年。そのため、この絵は忘れられない一枚になった。

ナポレオンの失脚でフランスにおれなくなったダビィッドが身を寄せたのがベルギー。ギリシャ神話を題材にした‘マルスとヴィーナス’は亡くなる1年前の作品、戦いのシーンがでてくる歴史画とはちがい、花園的な雰囲気に包まれている。

ダビィッドの弟子アングル(1780~1867)の‘アエネイスを聞く皇帝オーグスト’は人物表現が彫刻作品を思わせるのが特徴。アングルのこんな絵はあまりみないので強く印象に残っている。

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2017.04.15

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その五

Img     レンブラントの‘ニコラス・ヴァン・バンベック’(1641年)

Img_0001     ハルスの‘山羊と3人の子ども’(17世紀)

Img_0003     ヤン・マセイスの‘スザンヌと長老たち’(1567年)

Img_0002     ヴァン・ダイクの‘ジェノヴァの貴婦人と娘’(17世紀)

レンブラント(1606~1669)が最高傑作‘夜警’を描いたのは1642年、この1年前に仕上げたのがアムステルダムに住む富豪商人とその妻の肖像。バンベックはベルギー王立美にあり、妻の肖像はバッキンガム宮殿が所蔵している。

‘笑い絵’がトレードマークのハルス(1582~1666)、この‘山羊に曳かせた荷車と3人の子ども’も思わず頬が緩む。これはもともと大きな家族の肖像画だったのを切り離した右面のほう。ハルスは30代の後半に裕福なブルジョワからの注文を受けて散歩から帰る子どもと羊を描いた。笑う子どもをみるとこちらもつい笑いたくなる。しかも3人いるから仏頂面はできない。

ヤン・マセイス(?~1575)はクエンティン・マセイスの息子、アントワープの画家組合から親方の称号を得たが異端信仰を問われてアントワープを追放された。で、向かったのがイタリア、ここでヤンはマニエリスムに出会い妖艶な女性像を得意とするようになる。中央で腰をかけるスザンヌ、その輝く白い肌からは妖しい色香が発散されている。アントワープ王立美にはゾクッとする‘ユディット’がある。いつかみてみたい。

一時期イタリアのジェノヴァで制作活動をしていたヴァン・ダイク(1599~1641)は貴婦人となかなか美形の娘の肖像画を描いた。ヴァン・ダイクの女性画には二つのタイプがある。

ひとつは先日現役を引退したフィギュアスケートの浅田真央ちゃんのような卵形の丸顔で目がパッチリしたお人形さんのような女性、これは脚色性の強い定型化された女性像。もうひとつはこの肖像画にみられる素のままを描いた感じの女性。描き分けたのはヴァン・ダイクが商売上手だったから。

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2017.04.14

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その四

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Img_0001_2     ルーベンスの‘エレーヌ・フールマンの肖像’(1630年代)

Img_0002     ルーベンスの‘東方三博士の礼拝(1618~20年)’

Img_0003     ルーベンスの‘聖リヴィナスの殉教’(1633年)

Img     ヤン・ブリューゲルの‘金の皿と花輪の静物画’(1618年)

ドイツで生まれたルーベンス(1577~1640)が父の死で母の生地アントワープで住むようになったのは10歳のとき。そして、8年間絵の修行をしたイタリアからアントワープに戻って来たのが33歳、ここからバロックの王として大活躍がはじまる。

この街には工房を兼ねたルーベンスの豪華な邸宅があるが、ツアーに参加する旅行ではここはパスなのでまだ縁がない。だから、ルーベンスに200%感動するのはノートルダム大聖堂に飾ってある大傑作‘キリスト昇架’と‘キリスト降架’、もうひとつルーベンスが楽しめるのはアントワープ王立美、ここもまだ足を踏み入れてない。

この美術館には世界最大のルーベンスコレクションがある。ブルッセルでみられる‘東方三博士の礼拝’や聖リヴィナスの殉教’、‘ゴルゴダの丘に登る’などの3~5mの大作と同じように目を見張らされるものがドーンと飾られているのだろう。

ルーベンスの絵というと輝ける肌をもった裸婦や激しい動きをする人物や馬などをすぐ連想するが、ベルギー王立美にあるのはキリストの物語や悲劇の聖人を描いたもので臨場感のあるダイナミックな描写に緊張感を強いられることはなく、静かに深くながめ絵が多い。

美術の本に載っている若妻‘エレーヌ・フールマンの肖像’は2回とも姿を見せてくれなかった。2011年のときは今度こその思いだったのにまたもハズレ。係員に尋ねると修復中との返事、まったく泣けてくる。いつになった会えることやら。

ブリューゲルの2番目の息子、ヤン(1568~1625)は父とはちがった花の絵で人気の画家になった。‘金の皿と花輪の静物画’は見事な出来栄え。これが最も気にっている。ヤンはルーベンスとうまがあい2人は共同制作している。また、コートールド美ではルーベンスがヤンの家族を描いた肖像画をみた。

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2017.04.13

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その三

Img     鍋いっぱいのムール貝を食べる喜び!

Img_0001     ブリューゲルの‘反逆天使の転落’(1562年)

Img_0003     ブリューゲルの‘鳥罠のある冬景色’(1565年)

Img_0002     ブリューゲルの‘ベツレヘムの人口調査’(1566年)

昨年末、銀座4丁目のサッポロライオンで友人と忘年会をしたとき、国内産のムール貝のワイン蒸しを注文した。ブリュッセルで美味しいムール貝にありついたのでメニューをみてすぐとびついたのである。ところが、身のぷるっとしたベルギーのものとくらべるとボリューム感は半分。で、無性に本場のムール貝が食べたくなった。

農民の生活をやさしい心で活写したブリューゲル(1526~1569)の絵の中にも鍋いっぱいのムール貝がでてくる。ブリュッセルは3度行ったことがあるが、いつも楽しみなのがムール貝。ベルギービールがまたいけるので蟹をたべるときのように黙って夢中に食べる。何と食べるにしても夢中に食べるときほど幸せなことはない。

農民画家ブリューゲルは1563年、37歳のときアントワープからブリュッセルに移り、以後亡くなるまでここで暮らした。だから、王立美にはブリューゲルがしっかり4点所蔵されている。これはウイーン美術史の12点に次ぐ多さ。1556年頃に描かれたちょっとコンデイションの良くない‘東方三博士の礼拝’と上の3点。

2005年、はじめてこの美術館を訪れたとき見たい度の大きかったのがボスの影響を強く受けた‘反逆天使の転落’、中央の大天使ミカエルと天使たちにやっつけられる怪物たちはじつに変な生き物ではあるが、ボスが描くものほど怖さやグロテスクなところはなく、漫画チックでユーモラスな格好をしている。

右端にはムール貝のお化けがおり、その上のほうにはふぐと鳥のハイブリッド種が口を大きく開け体を思いっきり丸くして天使に立ち向かっている。まさにふぐ提灯、思わず笑ってしまう。画面の隅から隅までじっくりみていると、こんなおもしろくてファンタジックな世界をブリューゲルはどんなことから刺激をうけて生み出したのかこの時代に瞬間移動して聞いてみたくなった。

‘鳥罠のある冬景色’はウイーン美術史美にある‘雪中の狩人’のような静かな村の光景が心に深く刻まれるのに対して、‘ベツレヘムの人口調査’は多くの人たちが登場する‘謝肉祭と四旬節の喧嘩’と同じく一日のある時間帯にこの村におきていることをあれこれ描いている。この日は村の人口調査が行われたので、左の建物に登録する人たちが殺到している。

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2017.04.12

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その二

Img_0004     ボスの‘キリストの磔刑’(1485~90年)

Img     クエンティン・マセイスの‘聖アンナの家族’(1509年)

Img_0002     ウェイデンの‘アントワーヌ・ド・ブルゴーニュ’(15世紀)

Img_0003     ティントレットの‘サタンと戦う大天使ミカエル’(1590年)

王立美で残念な絵が2枚ある。ひとつはボス(1450~1516)の最初期の作品‘キリストの磔刑’とダリのシュール魂が見事に花開いた‘聖アントワーヌの誘惑’、この美術館は運よく2度訪問する機会があったのだが、どういうわけかこの2つは姿をみせてくれなかった。

ボスの絵は必見リストにブリューゲルとともに二重丸をつけて載せているから、見落とすことはないはず。どうして会えないのか不思議でならないが、修復中だった? 昨年6月マドリードのプラドでみた大ボス展でリカバリーを期待していたが、出品されてなかった。この絵に関してはどうも相性が悪い。

来週の18日からボイマンス美が所蔵するブリューゲルの‘バベルの塔’が東京都美で公開される。ワクワクしているが、この展覧会にはビッグなオマケがついている。それはボスの作品2点、プラドでも展示してあった‘放浪者’と‘聖クリストフォロス’。ボスに関心がある人は血が騒ぐだろう。

イタリア絵画から大きな影響をうけたクエンティン・マセイス(1465~1530)の‘聖アンナの家族’は大人や子どもが沢山描かれているのに、ビジーでもなく繊細で丁寧な筆使いに魅了される。こういう家族のあたたさが感じられる宗教画はあまりみたことがない。

ウェイデン(1399~1464)のファン・エイクのリアルな肖像画を彷彿とさせる‘アントワーヌ・ド・ブルゴーニュ’も大きな収穫。ウェイデンのモデルを画面いっぱいに描いたものははじめみた。キリストやマリアの絵だけでなく肖像画も相当上手い。

ティントレット(1519~1594)の‘サタンと戦う大天使ミカエル’はドレスデン美にも別ヴァージョンがある。これは画家が70歳をすぎて描いたもので、得意の斜めの構図で臨場感のある戦いの場面を表現している。まるでスピーデイに展開するスペクタクル映画をみているよう。

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2017.04.11

美術館に乾杯! ベルギー王立美 その一

Img_0001    ベルギーの首都ブリュッセルにあるベルギー王立美

Img_0003     ロベルト・カンピンの‘受胎告知’(15世紀)

Img_0002     バウツの‘火の試練’(1475年)

Img     メムリンクの‘聖セバスティアヌスの殉教’(1470年)

人気の観光名所をみたりおいしい食べ物にありつくのが旅行の大きな楽しみだが、都市毎の魅力は自ずと差がでる。ベルギーのブリュッセルは楽しい思い出のつまった街、とりわけ忘れられないのが食、この国では美味しいフランス料理がいただけるし、名物のムール貝がある。そして高級ブランド、ゴディバなどのチョコレート。

美術好きな人にはさらに楽しみが重なる。古典絵画や近代絵画がびっくりするほどあるベルギー王立美、アールヌーヴォーの装飾が心を浮き浮きさせるヴィクトル・オルタの邸宅。ベルギー王立美はブリュッセル観光には欠かせない場所で団体ツアーの場合必ず行程に入っており、パリのルーヴルのような存在。

作品は古典絵画、近・現代絵画、そしてマグリットの3つに分かれている。マグリットは以前はデルヴォーと一緒の部屋に飾ってあったが、2009年6月に独立の美術館で展示されるようになり、これをみるためには別料金がいる。2015年、ここの所蔵品がごそっと国立新美にやって来たのは記憶に新しいところ。

ロベルト・カンピン(1375~1440)はフランドル絵画の先駆者と言われる人物で‘フレマールの画家’とも呼ばれる。‘受胎告知’にはヴァージョンが数点あり、そのひとつがNYのメトロポリタンでもみられる。普通、受胎告知の場面は柱廊や聖堂だが、ここではお告げはぐっとくだけて室内。このため、マリアがとても身近に感じられる。

バウツ(1410~1475)の‘火の試練’はとても大きな絵。これは2つのパネルの右のほうで左には‘無実の伯爵の冤罪’が描かれている。‘火の試練’は冤罪で夫を殺された妻が皇帝の前で真っ赤に燃えた鉄棒を手掴みにし夫の無実を立証するところ。誤審を認めた皇帝はすぐさま‘あの男が私にいいよってくるのよ!’と嘘をついた妃を火あぶりの刑にする。それが後景に描かれている。

メムリンク(1440~1494)は2011年、ブリュージュのメムリンク美を訪問し開眼した。王立美にも4点くらいあった。足がとまったのが‘聖セバスティアヌスの殉教’、矢を何本も射られて顔は苦痛にゆがむはずなのに、この聖人はそんな苦しさを表情にださず静かに災難を受け止めている。これぞ宗教心の強さ。

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