2019.01.18

美術館に乾杯! バルベリーニ宮国立古典美 その一

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Img_0001     バルベリーニ宮国立古典美

Img_0003  カラヴァッジョの‘ホロフェルネスの首を斬るユディト’(1599年)

Img_0002     カラヴァッジョの‘ナルキッソス’(1599年)

Img_0005  ジェンティレスキの‘悔悛のマグダラのマリア’(1645~50年)

ローマにある美術館でカラヴァッジョ(1571~1610)の作品を所蔵しているのは6館。テルミニ駅からそう遠くないところに位置するバルベリーニ宮国立古典美もそのひとつ。。

カラヴァッジョに開眼したのは2001年の暮れに岡崎市美まで足をのばし日本で最初に開かれた回顧展をみたとき。それまで美術本でみて気になる存在だった画家の絵と直にむきあうのだから大変緊張した。出品された6点のなかで息を呑んでみたのがバルベリーニ宮殿からやって来た‘ナルキッソス’。

美少年ナルキッソスがローマのモデル派遣会社をのぞいてみるとすぐ見つかりそうな少年として描かれているのがすごく現代風。ギリシャ神話の世界がわれわれが日常的に楽しむ映画のワンカットを見るように近くなると絵との距離がぐっと縮まる。

バルベリーニ宮は日本の美術館との相性がとてもよく今年は‘ホロフェルネスの首を斬るユディト’が大阪のあべのハルカス美に巡回する‘カラヴァッジョ展’(12/26~2/16)に出品される。この絵は2006年歴史の重みを感じさせる宮殿に前のめり状態で入館したのにどこかへ貸し出し中で展示されてなかった。ガックリ!

ようやくお目にかかれたのはその4年後の2010年にこの美術館の近くにあるスクデリア・デル・クイリナーレ美で開かれた大回顧展。長年の思いの丈がやっと叶えられ大仕事をし終えたような気分だった。首を斬られ鮮血がふきでるホロフェルネスの絶叫する姿と勇気を振り絞って事を起こしたユディトの傍らでその光景を冷静にみとどけている老婆の顔が今も脳裏に焼きついている。

ここはカラヴァッジョの影響をうけた画家たちの作品も数多く収集しているが、アルテミジア・ジェンティレスキ(1593~1654)の‘悔悛のマグダラのマリア’は運よく2016年西洋美であった回顧展で遭遇した。これをみてカラヴァッジェスキのなかではこの女流画家がもっともカラヴァッジョの画風に近いことを再確認した。

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2019.01.17

美術館に乾杯! ボルゲーゼ美 その四

Img_0003     ベルニーニの‘プロセルピナの略奪’(1621~22年)

Img_0004      ‘プロセルピナの略奪’のクローズアップ

Img_0006     ベルニーニの‘アポロンとダフネ’(1622~25年)

Img_0002     カノーヴァの‘パオリーナ・ボルゲーゼ’(1805~08年)

事前に予約をとってボルゲーゼ美へ出かける人のなかにはベルニーニ(1598~1680)の大理石彫刻をみるためという美術愛好家が多くいるかもしれない。ここでは生涯の喜びともいえるすばらしい傑作が2点みられる。ベルニーニが23歳から25歳のときにつくりあげた‘プロセルピナの略奪’と‘アポロンとダフネ’。

‘プロセルピナの略奪’をみたときの衝撃度はマグニチュード7の地震にも相当するほどの大きさだった。とくに目が点になったのが冥界の王プルートの指がプロセルピナの肌に食い込む部分の弾力感。まるで軟式テニスのボールをぎゅっと握ったよう。硬い大理石を使って白い肌をこれほど質感豊かに表現できるとは。まさに神業!

もうひとつびっくりすることがある。それは恐怖におびえ抵抗するプロセルピナの頬に流れる涙。ええー、プロセルピナ、泣いてるよ!こんなリアルな人物彫刻はみたことがない。この興奮は当分おさまらなかった。

別の部屋に飾ってある‘アポロンとダフネ’も息を呑むほどの超傑作!キューピッドがいたずらして放った矢を受けて恋に火がついたアポロン。もう貞淑なニンフ、ダフネに一直線。でも、ダフネはそれが迷惑でたまらない。だから、二人の表情が対照的。

穏やかで一途な愛にみちたアポロンに対し、逃げようと恐怖におびえるダフネ。追いつかれた瞬間ダフネは変身の術を使って月桂樹に徐々に姿を変えていく。よくみると手や髪の毛が月桂樹の葉になっている。お馴染みのギリシャ神話がベルニーニの卓越した技量によって立体的に視覚化される。彫刻の力は絵画よりダイナミックで躍動感にあふれている。200%KOされた。

アントニオ・カノーヴァ(1757~1822)の‘パオリーナ・ボルゲーゼ’も長くみていた。1803年ボルゲーゼ家の当主と結婚したナポレオンの妹パオリーナが‘パリスの審判’に勝ったヴィーナスのモデルをつとめている。この作品によって新古典主義の彫刻家、カノーヴァに開眼した。

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2019.01.16

美術館に乾杯! ボルゲーゼ美 その三

Img_0001  クラーナハの‘ヴィーナスと蜂の巣をもつキューピッド’(1531年)

Img_0002     ドメニキーノの‘ディアナの狩猟’(1617年)

Img_0003     ルーベンスの‘キリストの埋葬’(1601~02の年)

Img_0006     ベルニーニの‘成人した自画像’(1630~35年)

3年前、西洋美ではじめとなるクラナーハ展が開催された。予想を上回る大規模な回顧展だったが、クラーナハ(1472~1553)の代名詞になっている薄いヴェールで裸体を覆うヴィーナスのなかに期待していたボルゲーゼ蔵のものがなかった。

この異様に細長く描かれたヴィーナスをウィーンやブリュッセルなどいろいろな美術館でみてきた。最も惹かれているのがボルゲーゼにある蜂の巣をもっているキューピッドと一緒に描かれたもの。キューピッドが蜂に刺されるのは快楽には苦痛がともなうという教訓。

人間は瞬間的にちくっとするくらいの痛さはすぐ忘れてしまうので欲望を達成する嬉しさをどんどん膨らましていく。こういう後になってじわじわきいてくる痛みというのはとても厄介。自戒しなければいけない。

カラッチ一族がつくったボローニャ派の流れをくむドメニキーノ(1581~1641)に開眼するきっかけになったのは‘ディアナの狩猟’、狩猟祭りの真っ只中で視線が集中するのが水のなかに体を沈めてこちらをじっと見つめている若い女性。美術鑑賞眼のあったシピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿はこの絵がすっかり気に入り、ドメニキーノから強引にとりあげてしまったという。教皇パウルス5世の甥っ子だった枢機卿はあくどいことを平気でやる。

今月の20日まで西洋美で行われているルーベンス展にボルゲーゼの‘キリストの埋葬’が出品されている。これはルーベンスが最初のローマ滞在の際に描いたもの。雲間から差す光がとても印象的。

西洋彫刻でミケランジェロとともに心を200%奪われているベルニーニ(1598~1680)、ここには神業としか思えない傑作彫刻がずらっと展示してあるが、画家ベルニーニの作品もお目にかかれる。自画像が2点あり、画像は成人したベルニーニ。

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2019.01.15

美術館に乾杯! ボルゲーゼ美 その二

Img_0001_2     ティツィアーノの‘聖愛と俗愛’(1514年)

Img_0002     ラファエロの‘バリオーニの祭壇画’(1507年)

Img     ラファエロの‘一角獣の貴婦人’(1506年)

2,3年前、ヴェネツィア派に焦点をあてた展覧会が度重なりティツィアーノ(1490~1576)のいい絵がいくつもやって来た。例えば、ナポリのカポディモンテ美が所蔵する‘ダナエ’やヴェネツィアの聖堂にある大作‘受胎告知’など。

イタリアルネサンスの絵画はフィレンツェやローマへ足を運べばダ・ビンチ、ボッティチェリ、ラファエロが存分に楽しめるが、ヴェネツィアへ行くとアカデミア美や聖堂には色彩豊かなベリーニ、カルパッチョ、ジョルジョーネ、ティツイアーノ、テントレット、ヴェロネーゼたちの名画がどどっと飾ってある。

ティツィアーノについてはローマでもとびっきりの傑作がみられる。ボルゲーゼにある‘聖愛と俗愛’、これはティツィアーノが25歳のとき描いた作品で1899年銀行家のロスチャイルドはこの絵一点にボルゲーゼの美術品と壮館を含めた当時の全評価額を上回る金額をつけている。まさにこの美術館のお宝中のお宝!

心を奪われるのは可愛いキューピッドを真ん中にはさんで並んでいる二人の女性。腰に布をまとった裸婦のヴィーナスと華やかな白の衣装を着た婦人。顔立ちはぱっとみると双子のように似ている。ボルゲーゼでこの絵にめぐりあえたのは幸運というほかない。

ここにはラファエロ(1483~1520)も4点ある。目を惹くのは正方形の大きな画面に描かれた‘バリオーニの祭壇画(キリストの遺体の運搬)’。死せるキリストをこういう風に運んでいる絵は珍しい。一角獣をすぐ思い浮かべるのはボルゲーゼとモロー美にあるもの。モローが描いた一角獣は大きくて美しい姿をしているのに対し、貴婦人の手に抱えられている一角獣は小さいので存在感が薄い。

ラファエロは愛するフォルナリーナの肖像を数点描いておりフィレンツェのピッティ宮殿とローマのバルベリーニ美にある絵が有名だが、ボルゲーゼにも一枚ある。情報がまったくなかったのでびっくりした。

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2019.01.14

美術館に乾杯! ボルゲーゼ美 その一

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Img_0002      ボルゲーゼ美

Img     カラヴァッジョの‘病めるバッカス’(1594年)

Img_0003     カラヴァッジョの‘パラフレニエールの聖母’(1606年)

Img_0004     カラヴァッジョの‘ゴリアテの首をもつダヴィデ’(1610年)

前回ローマへ行ったのは2010年5月。この年カラヴァッジョ(1571~1610)の大回顧展が開催されたので喜び勇んででかけた。生涯の思い出となった展覧会からもう9年の時が流れた。また、ビバ!イタリアモードに回帰したいところだが、もうしばらくはほかの国の旅が続く。

2006年、ローマでカラヴァッジョの絵とベルニーニの彫刻を集中的にみるために美術館と聖堂を精力的にまわった。この両方の願いと叶えてくれるのが広いボルゲーゼ公園の一角にあるボルゲーゼ美。ここはその頃から予約制を採用しており事前に手続きをしておいた。

世界にはこういう邸宅美術館が数多くあるが、このボルゲーゼ美には超一級の古典絵画や彫刻などがずらっと揃っている。だから、この旅行から帰ったときは西洋美術好きと会うたびにボルゲーゼのスゴさを熱く語っていた。

イタリア人が大好きなカラヴァッジョはヨーロッパでは大変な人気があるが、ここには全部で6点ある。これほど多くカラヴァッジョをもっている美術館はほかにない。2001年日本ではじめてのカラヴァッジョ展が開かれたときは‘果物籠を持つ少年’と‘執筆する聖ヒエロニムス’は出品された。2016年にあった2度目の回顧展(西洋美)にも‘果物籠’はまたやって来た。

そして、今年8月から北海道、名古屋、大阪でまたカラヴァッジョ展が行われる。‘病めるバッカス’は北海道で、‘ゴリアテの首を持つダヴィデ’は名古屋で展示されることが決まっている。これでボルゲーゼのカラヴァッジョが日本で公開されるのは4点になる。

残りの2点は‘パラフレニエールの聖母(蛇を聖母)’と‘洗礼者ヨハネ’、聖母子が蛇を踏みつけている‘蛇の聖母’はお気に入りの一枚だが、なかなか貸し出してくれない。でも、じっと待っていると再会できるかもしれない。

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2018.11.01

美術館に乾杯! ケンウッド・ハウス

Img     レンブラントの‘自画像’(1663~65年)

Img_0001     フェルメールの‘ギターを弾く女’(1673~74年)

Img_0002  ハルスの‘ピーテル・ファン・デン・ブロッケの肖像’(1633年)

Img_0003     フラゴナールの‘サクランボを摘む人々のいる風景’(18世紀)

2010年、ロンドンの中心部から少し離れ北の方向にあるハムステッド・ヒースへ地下鉄ノーザンラインに乗って出かけた。めざすはこの美しい公園の一角に建つ白い館、ケンウッド・ハウス。最寄りのハムステッド駅からタクシーで10分くらいで到着する。ここにお目当ての絵が2点ある。

若い頃ロンドンに3ヶ月語学研修で滞在した。住んでいたのはノーザンラインの終点エッジウェア―駅の近く、そのためハムステッド駅は英語学校から帰ってくるときよく途中下車した。久しぶりのノーザンラインだったのですごく懐かしかった。

ケンウッド・ハウスは典型的な邸宅美術館。こういう館で絵画をみるのは特別の体験。美術品鑑賞の趣味がなければ一生縁がない場所に来ている、と思うとちょっと心が豊かになる。さて、名画との対面、みたくてしょうがなかったレンブラント(1606~1669)の‘自画像’とフェルメール(1632~1675)の‘ギターを弾く女’はもとダイニングルームだったところに飾られていた。

レンブランが描いた自画像ではここにあるのが一番いいかもしれない。不機嫌そうな表情は本人そのままという感じで近寄り難いほどの存在感がある。これを見れたのは生涯の思い出。そのあと、この自画像の話を絵画好きの人と会うたびにした。

カラヴァッジョとちがってフェルメールは200%のめりこんでいるわけではなく‘真珠の耳飾りの少女’や今上野にやって来ている‘真珠の首飾り’、‘水差しを持つ女’など‘好きなタイプのフェルメール’だけに魅せられ続けている。‘ギターを弾く女’は好きなタイプの一枚。卵形の顔をした明るい女性がつまびくギターの音色を気持ちよく聴いている。

笑顔の人物を描かせたら右にでる者がいないハルス(1581~1665)、自信にあふれ生き生きとした姿が印象的な‘ピーテル・ファン・デン・ブロッケの肖像’も心に残る絵。この人物はオランダの植民地で大儲けした東インド会社の幹部。

このほかで目にとまったのはヴァン・ダイクと4点あったフラゴナール(1732~1806)の‘サクランボを摘む人々のいる風景’。作品の数は多くはないが大きな満足感が得られる美術館だった。

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2018.10.31

美術館に乾杯! ヴィクトリア&アルバート美 その三

Img_0004     ロセッティの‘白日夢’(1880年)

Img        バーン=ジョーンズの‘愛の車’(未完 1870年)

Img_0001  モリス&バーン=ジョーンズの‘ステンドグラス’(1880~90年)

Img_0002     ブレイクの‘反抗する天使に怒るサタン’(1808年)

ここは世界に冠たる装飾美術の殿堂なので、刀剣や宝飾品、陶器、ロダンの彫刻などもみたが記憶に深く刻まれているのはやはり絵画。コンスタブルのいい風景画とともに心を揺るがすのがラファエロの前派の作品。

そのなかで息を呑んでみたのがロセッティ(1828~1882)の‘白日夢’、モデルはあの‘プロセルピナ’のジェイン。これまでみたロセッテイのなかでこの2点がベストワン。だから、もうロセッティは済みマークをつけてもいいのだが、あと1点どうしても見たいのがある。それはリヴァプールのウォーカー・アート・ギャラリーが所蔵する‘ダンテの夢’、来年の三菱一号館の展覧会にやって来る?と勝手に妄想したくなるがダメだろうな。

バーン=ジョーンズの‘愛の車’は運がなく姿を現してくれなかった。未完成の絵だが、裸体の男性が乗る大きな車輪をつけた移動台を大勢の男女が引っぱっている。次はなんとしてもリカバリーしたい。また、ここにはモリス(1834~1896)と一緒に制作したステンドグラスもある。

テイトを訪問するとターナー同様数多くみることができるブレイク(1757~1827)、V&Aの自慢は‘反抗する天使に怒るサタン’。ブレイクの回顧展に遭遇することを夢見ているが今のところその気配はまったくない。そのため、テイト製作のブレイク本を手にしてその大胆な身振り手振りで感情を強く表出する人物を凝視している。

その大半はテイトのコレクションで占められているが、アメリカのボストン美にも2点鑑賞欲をそそるのがある。開拓の余地がまだまだある画家なので、作品をもっている美術館はひとつでも多く訪問したい。

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2018.10.30

美術館に乾杯! ヴィクトリア&アルバート美 その二

Img_0001     ボッティチェリの‘ズメラルダ・ブランデイーニの肖像’(15世紀)

Img    ドナテッロの‘キリストの昇天と鍵の授与’(15世紀)

Img_0002   コンスタブルの‘主教の庭からみたソールズベリー大聖堂’(1823年)

Img_0003  コンスタブルの‘舟造り フラットフォードの製粉所付近’(1815年)

ヴィクトリア&アルバート美にはラファエロのほかにルネサンス美術の有名な作品が二つある。ボッテイチェリ(1445~1510)の初期の肖像画‘ズメラルダ・ブランディ―ニの肖像’とドナテッロ(1386~1466)の浮彫り彫刻‘キリスト昇天と鍵の授与’。

ともに作品の前にたどりつくのに時間がかかった。はじめての美術館の場合、館内のレイアウトがよくつかめないのでいくつもの部屋を行ったり来たり。ボッテイチェリの描いた女性はスッキリ顔で15世紀ころに生きたイタリア人という感じがせず、現在の服を着ていたらフィレンツェの街を歩いている女性と変わらない。だから、ボッティチェリの女性にはいつも親しみを覚える。

ドナテッロの彫刻をイタリア以外の国でお目にかかれるのは幸運なこと。ここには3点あり、精神性の高さを感じさせる‘キリストの昇天と鍵の授与’を食い入るようにしてみていた。フィレンツェにあるドナテッロをまだ全部みてないのでまたイタリアに縁があったら追っかけるつもり。

テイト・ブリテンにはターナーがこれでもかというほど展示してあるが、V&Aではコンスタブル(1776~1851)が存分に楽しめる。もっとも惹かれるのが‘主教の庭からみたソールズベリー大聖堂’。主教の依頼で描かれたこの風景画は6点あるが、これは最初に描かれたもの。陽光に白く輝く大聖堂の天にのびる塔が目に焼きついている。手前に並ぶ木と木の間に聖堂を入れる構図はここに立てば誰でも考えそうだが、明るい空や強い生命力を思わせる木々の細かい描写は簡単には真似できない。

‘舟造り、フラットフォードの製粉所付近’は2年後に描かれたテイトにある‘フラットフォードの製粉所’とペアになる作品。コンスタブルは人がいる川の光景を描くのがとても上手く、製作中の舟のまわりをよくみると3人の男性が忙しく働いている。一連の川の絵に200%魅了されている。

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2018.10.28

美術館に乾杯! ヴィクトリア&アルバート美 その一

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Img     ラファエロの‘奇跡の漁り’(1515~16年)


Img_0001     ‘タペストリー・奇跡の漁り’(1516~21年)

Img_0002     ラファエロの‘聖ペテロへの鍵の授与’(1515~16年)

Img_0003     ラファエロの‘アナニアスの死’(1515~16年)

2010年に訪問したヴィクトリア&アルバート美は世界最大級の装飾美術館。世界中から集めてきた工芸、デザイン、ファッションなどの装飾美術がどさっと展示されている。とにかくいろんなものがあるのでじっくり見たら何日もかかりそう。

ここへやって来た最大の目的は有名なラファエロ・カルトンをみるため。カルトンはタペストリーの下絵、ラファエロ(1483~1520)は1515年レオ十世からシスティーナ礼拝堂の下部壁画に飾られるタペストリーの絵を依頼された。1517年に10枚の下絵は完成しブリュッセルにあるタペストリーの工房に送られた。

そのタペストリーのひとつが3番目の画像の‘奇跡の漁り’、2番目がその下絵。タペストリーとは左右が逆になっている。この原寸大の下絵は7枚が現存しているが、すべてV&Aにある。いずれも縦3m、横3~5mの大きなもの。下絵といってもラファエロの絵画だから見ごたえ十分、しかもビッグサイズ、ヴァチカン美にある‘ラファエロの間’にいるような気分になる。

描かれているのはペテロとパウロの物語だが、その構成や描写には激しい動きがみられ新たな絵画バロック様式に一歩も二歩も踏み出した感じ。とくに‘アナニアスの死’のドラマチックで誇張的な表現はバロックそのもの。こうした激しい感情の動きがリアルに描写された人物に目を奪われると宗教画の荘厳さはどこかへとんでしまう。

ラファエロ・カルトンにお目にかかれたのは生涯の思い出。ミューズに感謝!

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2018.10.27

美術館に乾杯! ロイヤル・アカデミー

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Img_0003    ピカデリーサーカスのすぐ近くにあるロイヤル・アカデミー

Img_0001     コンスタブルの‘水門を通過する舟’(1826年)

Img_0002     コンスタブルの‘跳ねる馬’(1825年)

Img     ミケランジェロの‘聖母子と幼児聖ヨハネ’(1503~05年)

若い頃ロンドンに2ヶ月くらい住んでいたことがあり、ピカデリーサーカスにはよく出かけた。そこからハイドパークの方へ向かって5分も歩くとロイヤル・アカデミーに着く。ここではパリのグラン・パレと同じように大きな展覧会が定期的に開催される。

はじめてここへ入ったのは1990年、イギリスに出張することになり運よくモネの連作作品を80点も集めた大回顧展に遭遇した。モネの人気はどこでも高く3ヶ月の会期中に50万人が押し寄せるという盛況ぶり。そのため出かけた日曜日は入館するのに2時間もかかった。苦労してみたモネ展が海外で体験した最初の展覧会となった。

2度目の訪問は2010年、このとき9つの美術館を回ったが、ロイヤル・アカデミーでは企画展はなく必見リストに載せていた2つの作品を見ようと意気込んで出かけた。ところが、コンスタブル(1776~1837)の代表作のひとつ‘跳ねる馬’はどういうわけか姿をみせてくれなかった。絵を修復中とのこと、ガックリ!

もう一つの傑作‘水門を通過する舟’は2003年六本木の森美術館が開館したとき、その記念展に出品された。コンスタブルは1998年にあったテイトギャラリー展(東京都美)で開眼したが、この絵をみて思い入れ度Aランクの画家が決定的となった。

‘跳ねる馬’との対面は叶わなかったが、ミケランジェロのレリーフ‘聖母子と幼児聖ヨハネ(トンド・タッデイ)’はしっかり目のなかにおさめた。この彫刻をみたことでミケランジェロの彫刻のコンプリートが達成できた!最後のピースにたどり着くのに長い月日が流れたので感慨深い。

さて、‘跳ねる馬’のリカバリーはいつになるか、イギリス旅行の優先度が上がると実現するのだが、予定は他の場所で数年先までうまっているのでまだ時間がかかりそう。

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