2017.07.24

美術館に乾杯! フリック・コレクション その六

Img_0002     ゴヤの‘鍛冶屋’(1815~20年)

Img_0003     コンスタブルの‘白馬’(1819年)

Img_0001     ターナーの‘ケルン 郵便船の到着、夕刻’(1826年)

Img     ドガの‘リハーサル’(1879年)

ルーヴル、オルセー、ロンドンナショナルギャラリー、プラドといったヨーロッパにあるブランド美には古典絵画から印象派まで名画がずらっと並んでいる。そのため、ついほかの美術館へ足を運ばなくても美の感動は十分に得られたと思ってしまうことがある。

だが、世界は広い。とくにアメリカの美術館をみないとその感動はコンプリートにならない画家も存在する。思い浮かぶのは3人、エル・グレコ(1541~1614)とゴヤ(1746~1828)とロートレック(1864~1901)、メトロポリタンとワシントンナショナルギャラリーには感心するほどグレコとゴヤのいい絵が揃っている。

そして、印象派のロートレックの油彩ついてはシカゴ、MET、ボストン、フィラデルフィア、ワシントンナショナルギャラリーで作品の前に立つと、オルセーだけではロートレックをみたことにはならないことを思い知らされる。

フリックもゴヤを2点所蔵しており、そのひとつ‘鍛冶屋’が心を打つ。3人の鍛冶職人は呼吸をあわせて熱く焼けた鉄のかたまりを鍛造している。労働者が仕事をする姿をゴヤはもう一枚描いている。それはブダベスト国立美にある‘刃物研ぎ師’、こうした生活力のある庶民を写実的に描いたものをどちらもみれたのは幸運だった。

イギリスの国民的画家、コンスタブル(1776~1837)とターナー(1775~1851)の作品がしっかり飾ってあるのは流石という感じ。立ち尽くしてみていたのがコンスタブルの‘白馬’、ロンドンのナショナルギャラリーなどの美術館でお目にかかる代表作と同じくらいの完成度。イギリス以外でみられる作品ではこれが一番かもしれない。

ターナーはヨーロッパ北部の3つの港町の風景を3点描いているが、ここには‘ケルン 郵便船の到着、夕刻’と‘デイエップ港’がおさまっている。ともに見ごたえのある大作でモネの作品を予感させる。

ルノワールの母と子どもの絵同様、ドが(1834~1917)の‘リハーサル’が記憶に強く残っている。バレエの踊り子と年老いたヴァイオリン奏者の組み合わせという意表をつく画面構成が気を引く。でも、ヴァイオリンの音色に合わせて踊ることが実際にあったのだろうか。ずっとひっかかっている。

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2017.07.23

美術館に乾杯! フリック・コレクション その五

Img_0002     ブーシェの‘ブーシェ夫人’(1743年)

Img     フラゴナールの‘恋の追及:砦への侵入’(1770~72年)

Img_0003  ホイッスラーの‘フレデリック・レイランド夫人の肖像’(1873年)

Img_0001     ルノワールの‘母と子どもたち’(1876年)

ロココ絵画を趣味にしている愛好家ならフリック・コレクションにある作品の数々は心をかきたてるにちがいない。ここはルーヴル、ロンドンのウォレス・コレクションとともにロココの聖地。

個人の邸宅にロココの絵が飾ってあるとなんだか当時の貴族たちの世界を垣間見るような気になる。ブーシェ(1703~1770)は‘ブーシェ夫人’、連作‘四季’、そして子どもたちをモデルに使って描いた‘芸術と科学’が目を楽しませてくれる。27歳の妻の肖像はヴェネツィア派のジョルジョーネやティツィアーノが描いた横たわるヴィーナスを下敷きにしており、女性が美しくみえる定番のポーズが心をとらえて離さない。

フラゴナール(1732~1806)の‘恋の追及’は縦が3m、横が2mをこえる大作が4点並ぶ恋の物語。これほど大きな絵はルーヴルでもみられないから、ロココ絵画の神髄にふれる貴重な鑑賞体験だった。ルイ15世の最後の愛人デュバリー夫人の依頼で描かれたが、作風が好みにあってなかったのか夫人はこの連作を返してきた。

アメリカの大きな美術館、例えばMET、ボストン、ワシントンナショナルギャラリーへ行くとホイッスラー(1834~1903)の縦長の画面に描かれた肖像画にでくわす。ホイッスラーはこうしたところだけでなく、フリックとフリーアでも傑作にお目にかかれる。ホイッスラーの初期のパトロンだったフレデリック・レイランドの夫人の肖像画はフリック自慢のコレクションであり、画家の代表作のひとつ。

印象派のルノワール(1841~1919)の‘母と子どもたち’と遭遇したのも大きな収穫。この絵は第二回印象派展の出品作。終始視線がとどまっているのは母と娘の似たような大きな目。こういう絵をみると顔を描くときはやはり目が一番大事だということがよくわかる。

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2017.07.22

美術館に乾杯! フリック・コレクション その四

Img_0003 ピエロ・デッラ・フランチェスカの‘福音書記者聖ヨハネ’(1454~69年)

Img_0001     ヴェロネーゼの‘智と力’(1580年)

Img     ヴァン・ダイクの‘クランブラッシル伯爵婦人’(1636年)

Img_0002     ロランの‘山上の垂訓’(1656年)

ルーヴル、メトロポリタンのような大きな美術館にはルーベンスやレンブラントの傑作が必ずといっていいほどあるのに対し、北方絵画のファン・エイクやボス、ブリューゲルなどは数が少ないため揃えられないことが多い。イタリアの画家でいうと、ピエロ・デッラ・フランチェスカ(1416~1492)もこのグループに入る。

フリック・コレクションで驚かされるのはそのフランチェスカの‘福音書記者聖ヨハネ’を所蔵していること。これはもともとは祭壇画に4人の聖人たちが描かれていたものだが、ほかの3人、聖アウグスティヌス、聖ミカエル、聖ニコラウスは夫々リスボン、ロンドン、ミラノの美術館におさまっている。

ヴェネツィア派の最後の巨匠ヴェロネーゼ(1528~1588)というとすぐ思い出すのはルーヴルのあの巨大絵画、本家のヴェネツィアの美術館には沢山飾ってあるが意外にもぐっときた印象が薄く、ロンドンナショナルギャラリーにあったものとフリックコレクションンの‘智と力’と‘美徳と悪徳’のほうが強く心に刻まれている。大きな‘智と力’を邸宅の一室でじっくり見るというのは特別な鑑賞体験。そのため、よく記憶されているのかもしれない。

4,5点あるヴァン・ダイク(1599~1641)はお馴染みの卵形の美形に魅了される‘クランブラッシル伯爵婦人’が一番のお気に入り。描かれるモデルはヴァン・ダイクが脚色してきれいに顔を整えてくれるので、他の女性と同じ風に出来上がっても‘まあ、いいか’と納得したのだろう。ヴァン・ダイクは商才に長けた画家だった。

日本にやってくる西洋画のなかにはほとんど出くわすことのないクロード・ロラン(1604~1682)、アメリカのコレクターはプッサン同様ロランの作品を熱心に集めている。広大な背景のなかに浮き上がる小山で説教をするキリストを大勢の人々が心を鎮めて聞いている。こういう風景画の形をとる宗教画はすっと絵に入っていける。

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2017.07.21

美術館に乾杯! フリック・コレクション その三

Img_0003     ホルバインの‘トマス・モア’(1527年)

Img     レンブラントの‘自画像’(1658年)

Img_0002     レンブラントの‘ポーランド人の騎手’(1655年)

Img_0001     ブロンズィーノの‘ロドヴィコ・カッポーニ’(1550~55年)

男性の肖像画よりきれいな女性が描かれた作品の前にいるほうが気持ちはぐっとリラックスする。だから、夢中になってみてきた女性の肖像が数限りなくファイルされている。ところが、ここフリック・コレクションでは男性に軍配を上げざるを得ない傑作が飾られている。

イギリスの宮廷画家として活躍したホルバイン(1497~1543)の肖像画はまだ両手もみていないのに、フリックにある‘トマス・モア’をみたためにもうほかはみなくてもいいや、という気になっている。ホルバインは人物のリアルな姿を描くことにかけては天下一品の腕前だったので、ロンドンにおける友人でパトロンだった人文主義者トマス・モアはまさにこんな顔をした人物だったのか、という感じ。歴史上の人物がこれほど身近に思える肖像画はそうない。まったくスゴイ絵。

レンブラント(1606~1669)もぐっと惹きこまれるのが2点ある。52歳のときの自画像と‘ポーランド人の騎手’、この自画像をみるとレンブラントが偉大な王のように思えてくる。実生活は経済的に困窮していたにもかかわらず、こういう堂々とした姿に自分を粉飾できるのだから、レンブラントは肝っ玉が座っている。

‘ポーランド人の騎手’は1650年代オランダ人が想像力をかきたてられたポーランド人の騎手の武勇伝がモチーフになっている。馬に騎乗した男の顔には固い意志とみなぎる自信がうかがえ、まわりの景色をみながらゆっくりと前進するその立ち振る舞いについ見とれてしまう。

マニエリスムの画家、ブロンズィーノ(1503~1572)の女性の肖像には不思議な魅力があるが、この若い男性の肖像も心にズキッと矢が刺さる感じ。はじめてみたとき、ブロンズィー二にこんなまともな男性画があったの!?とドギマギした。

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2017.07.19

美術館に乾杯! フリック・コレクション その二

Img_0001     ベリーニの‘聖フランチェスコ’(1480~90年)

Img     リッピの‘受胎告知’(1440年)

Img_0002     ファン・エイクの‘聖母子、聖人と寄進者’(1441~43年)

Img_0003     ダーヴィットの‘キリスト降架’(1510~15年)

訪問した美術館がいつまでも心に残る場合は関心のある画家の作品と強く結びつけられことが多い。フリック・コレクションですぐ出てくる名画というと、ヴェネツィア派の元祖ベリーニ(1434~1516)の‘聖フランチェスコ’。こんないい絵がさらっと飾ってあるのがこのコレクションのスゴイところ。

古典絵画を鑑賞しているとキリスト教徒でもないのにキリストや聖人の物語に理解が進むようになる。聖フランチェスコの話でも書物の情報だけだと人間くささが薄められる。でも、ベリーニの絵のお陰で聖フランチェスコの法悦がイメージできるようになった。

数多く描かれた‘受胎告知’ではフラ・アンジェリコが描いたものが忘れられないが、ここにあるフィリッポ・リッピ(1406~1469)の作品も心が深く鎮められる。すぐ近くのMETで宗教絵画パート1をみてフリックに移動してパート2を楽しんでいる感じ。

フリック・コレクションの質の高さをみせつけられるのがファン・エイク(1390~1441)、この北方絵画のビッグネームの作品を一点でも所蔵していれば美術館の価値が上がるといわれる。だから、‘聖母子、聖人と寄進者’も前のめりでみてしまう。

ヘラルト・ダーヴィット(1460~1523)はファン・エイクの画風を受け継ぎブリュージュで活躍した画家。右手のマグダラのマリアが涙を手で拭う姿にとても惹かれる。その背景に目をやると遠くにオランダの風車がみえる(拡大画像で)。

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2017.07.18

美術館に乾杯! フリック・コレクション その一

Img_0001          NY ミュージアムマイル

Img       フリック・コレクションの入口

Img_0002     フェルメールの‘士官と笑う女’(1658~59年)

Img_0003     フェルメールの‘女と召使い’(1667~68年)

アメリカにある邸宅美術館の第2弾はノイエギャラリー同様、NYミュージアムマイルにあるフリック・コレクション。メトロポリタンを十分堪能したあと、次はどの美術館にするか、好みの美術によって行先が変わってくる。

近・現代アートに心を奪われている人は五番街のMoMAへ行く前にグッゲンハイムとホイットニーに寄っておこうと思うかもしれない。古典絵画や印象派が趣味なら足が向かうのはフリック・コレクションかもしれない。METからは急ぎ足で行くと10分くらいで到着する。

フリック・コレクションはロンドンのウォレス・コレクション、パリのマルモッタンン美と並ぶ典型的な邸宅美術館。これまで幸運にも2度訪れる機会があったので、所蔵絵画がだいたい頭のなかに入っている。質の高い名画がずらっと揃っているが、フェルメール(1632~1675)にぞっこん嵌っている女性はこの美術館は絶対出かけなくてはいけない場所と思いつめていることだろう。

まず、METで‘水差しを持つ女’、‘信仰の寓意’、‘眠る女’、‘窓辺でリュートを弾く女’、‘少女’の5点を楽しんで、ぐんとあがった高揚感を保ったまますぐ近くのフリック・コレクションに向かい、‘士官と笑う女’と‘女と召使い’と対面する。これでフェルメールを合計7点、‘こんな幸せなことがあるかしら’とついつぶやいてしまう。

人気の高いフェルメールを7点も効率よくみれるのだから、フェルメール狂いにはNYは最高の街にちがいない。
2年前、大好きな‘水差しを持つ女’が来日してくれた。フリックにある2点もお気に入りなので、日本でみられることを妄想することがあるが、これは逆立ちしてもムリ。

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2017.07.16

美術館に乾杯! NY ノイエギャラリー その二

Img_0003     クリムトの‘アッター湖畔の森番の家’(1912年)

Img     シーレの‘緑樹に囲まれた町’(1917年)

Img_0001     ベックマンの‘自画像’(20世紀)

Img_0002     キルヒナーの‘街路、ベルリン’(1910年代)

オークションで史上最高額がついた美術品の話がときどきメデイアで報じられるが、これに最も敏感なのが美術市場に深くかかわっているコレクターだろうが、お金に縁がない美術好きでもおおいに興味を掻き立てられる。

2006年6月20日、クリムト(1862~1918)の描いた‘アデーレ・ブロッホバウアーの肖像Ⅰ’を手に入れたコレクターが支払った金額はなんと155億円!購入者は2001年NYにノイエギャラリーをオーフンさせた巨大化粧品会社、エスティ ローダーの会長(ユダヤ人)

この富豪はドイツやオーストリアの美術品を集めていたが、‘アデーレ’の獲得によりコレクションはさらにはくがつくことになった。この絵が個人の邸宅におさまったのであればクリムトファンの満足は下がったままだが、美術館に飾られるとなると、展示される場所がウィーンからNYに移っただけだから溜飲がさがる。

落ち着き先がNYというのは理想的かもしれない。ウィーンだと訪問するのはあと1回くらいが正直なところだが、NYはパリ同様、まだまだ出かけますよ、という思いなのでクリムトとの大接近は楽しみの大きな源泉になる。

ノイエギャラリーが所蔵するクリムトの風景画は‘アッター湖畔の森番の家’、‘カンマー城の公園’、そして‘高いポプラの木’。正方形のキャンバスに描かれた風景画を一枚でも多くみたいと願っているので、1点々味わい深い。

そして、シーレ(1890~1918)の‘緑樹に囲まれた町’と遭遇したのも収穫だった。この絵をみた5ヶ月後、よく似た絵がロンドンのオークションで24億円で落札されたという記事が新聞に載った。だから、ノイエギャラリーの‘緑樹’はいいめぐり会いだった。

ギャラリーの3階に展示されていたベックマンやキルヒナーは新装オープンの準備のためお目にかかれなかった。次はココシュカなどとともに表現主義も楽しめそう。

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2017.07.15

美術館に乾杯! NY ノイエギャラリー その一

Img     NYのミュージアムマイルにあるノイエギャラリー

Img_0003     クリムトの‘アデーレ・ブロッホバウアーの肖像Ⅰ’(1907年)

Img_0001     クリムトの‘黒い羽毛の帽子’(1910年)

Img_0002        クリムトの‘踊り子’(1916~18年)

海外の美術館をまわるとき、あまり広くない場所にいくつもの美術館が集まっている街なら何度でも出かけたくなる。そんな理想的なアートの街になっているのはパリ、マドリード、NY、ワシントン。

この前ニューヨークへ行ったのは2015年の12月、このときはワシントンのフリーア美で宗達の‘松島図’をみるのが目的だったらNYではメトロポリタンを軽くみるだけだった。収穫が多かったのが2013年1月の美術館めぐり。

とくに期待値の高かったのがMETから北へ400mくらい行ったところにあるノイエギャラリー(2001年オープン)。ここにはウイーンのベルヴェデーレ宮にあったクリムト(1862~1918)の‘アデーレ・ブロッホバウアーの肖像Ⅰ’が飾ってあり、今やクリムトファンが大勢押し寄せる人気の美術スポットになっている。

2013年の2月に新装オープンしたが、美術館の運営システムは変わってないだろう。料金については無料、11時開館で6時まで、休館は火曜と水曜。コレクションは目玉のクリムトが‘アデーレ’のほかに‘黒い羽毛の帽子’、‘踊り子’など全部で7点、シーレが1点あったが、現在はその数がすこし増えているかもしれない。

このノイエギャラリーができたことでNYのアート魅力度がまたアップした感じ。クリムトはMETに2点、MoMAに1点あり、シーレもMoMAが一点所蔵している。だから、この街へやって来ればフェルメール、カラヴァッジョが楽しめるだけでなくクリムトやシーレまで心をウキウキさせてくれる。パリではクリムトには会えない、NYはまったく並外れたアートの街!

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2017.07.13

美術館に乾杯! オットー・ワグナーの近代建築

Img_0001     ウィーンの‘リング通り’
Img_0002    オットー・ワグナーの‘マヨルカ・ハウス’(1899年)

Img_0003       ‘マヨルカ・ハウス’の拡大

Img     オットー・ワグナーの‘カールス・プラッツ駅舎’(1899年)

海外ツアーに参加し自由行動で単独に動けるときはなるべきその街の地下鉄やバス、電車を利用して目的地をめざすことにしている。観光バスの中からではシンボル的な建物のある場所や通りの方向を立体的につかむのは難しい。街の雰囲気を体で覚えるにはやはり公共交通機関に乗ったり自分の足で歩くのが一番。

二度目のウイーンでオットー・ワグナー(1841~1918)が建てた装飾性豊かな世紀末様式の建築をみてまわったときも‘リング通り’を走っている電車をしっかり利用した。

まずめざしたのが‘分離派館’の近くにある‘マヨルカ・ハウス’、ここは現在も人が住んでいる集合住宅。外観のバラの装飾模様がすばらしく、思わず足がとまった。これがウィーンのアールヌーヴォーか!という感じ。イタリアのマヨルカ産のタイルが使われており、巨大な壁画をみているよう。

ここで小さな事件があった。隣の方は現地の男性から‘中国人か?’と言われたらしい。むきにならなくていいのに‘ジャパニーズよ!’と強く返事したという。2003年の頃は豊かになった中国人がヨーロッパ観光のいたるところに出没していた時期で、この名所スポットにもどこからともなく中国人ツアーがやってきた。そのため、東洋人は皆中国人にみえたのだろう。

‘マヨルカ・ハウス’から次の目的地‘カールス・プラッツ駅舎’まで移動するのに予想外に手間取った。どこをどう間違えたのかずいぶん歩いてやっとたどり着いた。ワグナーはこの駅舎ではじめて建物の外観に花の模様を描いた。金色のひまわりのデザインはクリムトの絵を思いおこさせる。

このときは時間がなくてワーグナーのもうひとつ有名な‘郵便貯金局’(1906年、1912年)を見逃した。またウイーンを訪れることがあったら、是非リカバリーしたい。

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美術館に乾杯! ウィーン美術アカデミー付属美

Img_0004     ボッティチェリの‘聖母子’(15世紀)

Img_0005     ボスの‘最後の審判’(1506年)

Img_0002      中央パネル‘この世’の拡大

Img_0003      中央パネル‘この世’の拡大

昨年6月、マドリードのプラド美でボス(1450~1516)の大回顧展をみれたことは古典絵画ではカラヴァッジョ展(2010年 ローマ)とともに生涯の思い出。夢にまでみた作品が続々と現れてくるラインナップに体が震えるほど興奮した。

この回顧展で一番のお目当てだったのがポルトガルのリスボン国立古美から出品された‘聖アントニウスの誘惑’、これでボスの怪奇ワールド三部作が全部目のなかに入った。あと二つは最高傑作の‘快楽の園’とウィーン美術アカデミー付属美にある‘最後の審判’。

‘最後の審判’をまたみたかったが、これは実現しなかった。ウィーンでこの絵に遭遇したのは35年くらい前のこと。美術アカデミー付属美は美術史美からすぐ近くのところにあり、こじんまりとした美術館だった。強く印象に残っているのはボスとボッテイチェリ(1444~1510)の‘聖母子’、そして昨年西洋美のクラーナハ展にやってきた‘ルクレティア’。

‘最後の審判’と‘快楽の園’をみたのは同じ年。だから、ボスが表現する一風変わった怪物たちのバリエーションが一気に広がった。‘最後の審判’でその異様な姿が目に焼きついたのが頭と足だけの怪物。こういう体の丈をぎゅっと縮めた人物をボスはどこから発想したのだろうか。

この小人タイプには怖さはないが、上のほうにいる髭ずらの男は同じく胴なしで鷲のような足をくっついている人間と鳥のハイブリッド種、怪奇的なキャラの立ち方なのであまり長くはみていられない。

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