2018.01.23

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その十

Img_0003     ダヴィッドの‘ソクラテスの死’(1787年)

Img     アングルの‘ド・ブロイ公爵夫人’(1853年)

Img_0002    ドラクロアの‘レベッカの略奪’(1864年)

Img_0001     コローの‘手紙’(1865年)

パリのルーヴルで最も多くの観客を集めている部屋はダ・ヴィンチの‘モナリザ’が飾られているところ。そして、すぐ近くにあるフランス絵画の大作がずらっと並んでいる部屋にも大勢の人がいる。新古典派のダヴィッド(1748~1825)の‘皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠’、ドラクロア(1798~1863))の‘民衆を導く自由の女神’、アングル(1780~1867)の‘グランド・オダリスク’、まさにこれぞ輝けるフランス絵画という感じ。

METでもこのビッグ3の傑作が楽しめる。ダヴィッドというとナポレオンを描いた画家とすぐイメージされるが、プッサン同様、歴史画の名手、そのひとつが‘ソクラテスの死’、ルーヴルにある‘サビニの女たちの略奪’と‘ホラティウス兄弟の誓い’と遜色のない完成度の高い作品でダヴィッドの比類ない才能をみせつけている。

アングルの肖像画を心底スゴイな思ったのははじめてMETへ行ったときロバート・レイマン・コレクションのコーナーでみた‘ド・ブロイ公爵夫人’、200%KOされたのが青色のしゅすの衣服の質感描写。以来、この女性の虜になっている。

アングルにあうとすぐ捜したくなるのがロマン派のど真ん中にいるドラクロア、アメリカの美術館をまわるとドラクロアのお馴染みの激しく体を動かす馬の絵にでくわす。ここにあるのはその馬に救い出されたレベッカが乗せられているもの。

ドラクロアと同世代のコロー(1796~1875)は風景画も肖像画のともに上手い大画家。METで印象深いのが‘荒野のハガル’。だが、フェルメールの描く女性を連想させる‘手紙’にはどういうわけか縁がない。次回の訪問で姿をみせてくれるだろうか。

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2018.01.22

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その九

Img_0001     ヴァトーの‘メズタン’(1719年)

Img     ブーシェの‘ヴィーナスの化粧’(1751年)

Img_0003     フラゴナールの‘恋文’(1775年)

Img_0002     シャルダンの‘シャボン玉’(18世紀)

ロココ絵画をまとまった形で楽しめる美術館はどこか、まずは本家のルーヴルでヴァトー(1684~1721)、ブーシェ(1703~1770)、そしてフラゴナール(1732~1806)に目を馴らせる。次の2ラウンドへ進むと選べるオプションは複数用意されている。

大きな美術館ではMET、ワシントンのナショナルギャラリー、エルミタージュ、そして邸宅美術館が2つ、ロンドンのウォレス・コレクションとNYのフリック・コレクション。アメリカの3つの美術館へすべて足を運ぶと、ルーヴルのかわりになるほどいい絵が揃っている。

イタリア喜劇のキャラクターを描いたヴァトーの‘メズタン’は美術本に必ず載っている有名な絵。ヴァトーの雅宴画には楽器を演奏する人物がよく登場するが、音楽は感情をストレートに刺激するから映画のワンシーンをみているような気分になる。

裸体画家の系譜に思いめぐらすとき、はじまりを誰にするかちょっと迷うがそのあとはすぐでてくる。仮にティツィアーノからはじめるとすると、次がルーベンスときて、ブーシェ、ルノワールと進んでいく。NETにある‘ヴィーナスの化粧’はうっとりするほど魅力的なヴィーナス、大胆な見方をすると‘科捜研の女’の女優沢口靖子がモデルになるとこんな感じかもしれない。

フラゴナールは女性の繊細な心をとらえるのがじつに上手い。‘恋文’は着飾った女性が顔をこちらにむけるポーズがやけに生々しく、好きなひとを想う感情の高まりがきりっと伝わってくる。これにワシントンのナショナルギャラリーにある‘読書する娘’、ウォレス・コレクションの‘恋文を読む娘’に加えた3点がMyベストフラゴナール。

ブーシェと同時代を生きたシャルダン(1699~1779)の‘しゃぼん玉’も忘れられない一枚。6年前三菱一号館美でシャルダン展に遭遇したのは幸運だった。これでシャルダンの軸ができ、以前にもまして作品と向き合えるようになった。

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2018.01.21

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その八

Img     プッサンの‘朝日を捜す盲目のオリオン’(1658年)

Img_0002     プッサンの‘サビニの女たちの略奪’(17世紀)

Img_0001     ロランの‘船団に火を放つトロイアの女たち’(17世紀)

Img_0005     ロランの‘日の出’(1647年)

神話の物語や歴史上の出来事を書物で読むだけでなく映画を楽しんだり絵画をみたりすると、話の理解がさらに進む。西洋絵画と長くつきあっているのでこうした絵画のもっている力を感じさせる作品によく遭遇する。

METにある5点のプッサン(1599~1665)にはそんな物語が主題かと、つい熱心に画面の隅から隅までみてしまうのがある。ひとつはギリシャ神話の盲目のオリオンが登場する‘朝日を捜す盲目のオリオン’、そしてもう1点は緊張感で体がフリーズしそうになる‘サビニの女たちの略奪’。

オリオンは巨人の狩人、恋にからむ災難で盲目にされてしまった。捨てる神あれば拾う神ありで、オリオンは日の出のときに太陽の光をあびれば目が見えるようになるとの神託をえる。その道案内をするのがオリオンの肩に乗っている少年。ギリシャ神話がこういう絵になるとさらに興味が沸いてくる。

サビニ族の未婚の女たちがローマ人に略奪されるという有名な話は歴史の本をひもとくよりプッサンのこの絵をみるといっぺんにわかる。女たちの悲鳴が聞こえてくるよう。プッサンはこういう迫力のある場面を描かせると天下一品!

夜空に輝く星々にはペアになってお互いをまわる連星というのがあるが、画家のなかにも一緒に飾られる画家たちがいる。プッサンとロラン(1604~1682)、ターナーとコンスタブル、ゴッホとゴーギャン、、METにあるロランは2点、‘船団に火を放つトロイアの女たち’と日本にやって来た‘日の出’。

一口に風景画といってもいろいろなタイプがあり、プッサンやロランのものはテーマとなっている物語に思いをはせ同時に背景の風景も楽しめる風景画。‘船団の灯を放つトロイアの女たち’は一度読んだことのあるヴェルギリウスの‘アイネイス’にでてくる話を題材にしたもの。なかなかいい絵でじっとみてしまう。

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2018.01.20

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その七

Img_0001     エル・グレコの‘トレド風景’(1597年)

Img     エル・グレコの‘枢機卿の肖像’(1600年)

Img_0003     ベラスケスの‘フアン・デ・パレーハの肖像’(1650年)

Img_0002     ゴヤの‘マヌエル・オソーリオ・デ・スーニガ’(1788年)

スペイン・マドリードにあるプラド美はボストン、ルーヴル、オルセー、エルミタージュと並んで日本との相性がとてもいい美術館。来月の24日からは館蔵作品による‘ベラスケス展’がはじまるので楽しみに待っている方も多いかもしれない。

プラドへ出かけるとスペイン絵画のビッグ3、エル・グレコ(1541~1614)、ベラスケス(1599~1660)、ゴヤ(1746~1828)を心ゆくまで楽しむことができ、スペイン絵画の通になったような気分になる。そのため、ほかの美術館にある作品はもうみなくてもいいと思う人もでてくる。

その一方で、いい作品がまだほかにも残っていると鑑賞に貪欲な人もいる。そんな人の期待にMETが所蔵しているコレクションは間違いなく応えてくれる。作品の質の高さは折り紙付きでルーヴル、ロンドンのナショナルギャラリー、エルミタージュを上回る。

それを強く印象づけるのが8点くらいあるエル・グレコ、唯一の風景画‘トレド風景’をはじめ、朱色の衣裳が目に焼きつく2つの肖像画‘枢機卿’、‘学者の姿をした聖ヒエロニムス’、大作‘黙示録第五の封印’など傑作が揃っている。

長くグレコの追っかけをしているが、アメリカの美術家にあるグレコはつくづくスゴイなと思う。METのほかワシントンのナショナルギャラリーは‘ラオコーン’や‘聖マルティヌスと乞食’など5点を所蔵し、シカゴ美にはこれまた有名な‘聖母被昇天’がある。また、NYの邸宅美術館フリックコレクションにも‘神殿の清め’、‘聖ヒエロニムス’など3点、ワシントンのフィリップスコレクションには‘悔悛の聖ペテロ’がある。

ベラスケスの天才ぶりを感じさせる作品が従者、フアン・デ・パレーハの肖像画。このちょっとふてぶてしい表情に思わず足がとまり、ずっとみていた。王を描くときのように脚色をしなくていいから、ベラスケスはパレーハの内面を深くとらえている。このリアルさは尋常ではない。

スペインはいい子ども画を描く画家を多く輩出してきた。エル・グレコには‘ろうそくの火を吹く少年’があるし、貧しさのなかでも明るく生きる男の子を描いたムリーリョ、そして、20世紀の大画家ピカソも自分の息子を何度もモデルに使っている。極めつきは大好きなゴヤの‘マヌエル・オソーリオ・デ・スーニガ’。この可愛すぎる男の子をみるとゴヤに惚れ直す。

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2018.01.19

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その六

Img     ラ・トゥールの‘女占い師’(1632~35年)

Img_0003     ラ・トゥールの‘マグダラのマリア’(1638~43年)

Img_0001     フェルメールの‘水差しを持つ女’(1662~65年)

Img_0002     レンブラントの‘ホメロス像をみるアリストテレス’(1653年)

METには絵画鑑賞の醍醐味が味わえる部屋がいくつかある。そのひとつがカラヴァッジョとラ・トゥール(1593~1652)が並んでいるところ。画家の全作品を見渡してその出来映えはどうかという見方をするなら、ラ・トゥールの2点のほうがカラヴァッジョの4点より価値が高い。

その絵は風俗画の傑作‘女占い師’とろうそくの光と静謐さに心が震える‘マグダラのマリア’。この2点がフランスでなくアメリカの美術館にあるというのがアメリカの美術環境の豊かさを物語っている。METだけでなく、ワシントンのナショナルギャラリーも4点ある‘マグダラのマリア’のひとつを所蔵しているし、テキサス州フォートワースにあるキンベル美でも思わず一人々の姿をじっとみてしまう‘クラブのエースを持ついかさま師’が目を楽しませてくれる。

フェルメール(1632~1675)が展示されている部屋もフェルメール好きにとってはたまらない空間だろう。なんと5点もある。何回も書いているが、NYはフェルメールの聖地ともいえる。METでうっとりし、すぐ近くの邸宅美術館、フリック・コレクションへ移動するとまた3点みれる。合計8点。さらに、ワシントンまで足をのばせばさらに4点が加わる。アメリカ東海岸の旅にでるとフェルメールの通になれること請け合い。

METのフェルメールでぞっこん参っているのが‘水差しを持つ女’、マウリッツハィスにある‘真珠の耳飾りの少女’とともにこの絵がMy‘ベストフェルメール’。3,4年前日本にやって来たとき、まわりにいる西洋絵画ファンにこの絵の魅力をPRしまくった。そして、‘だまされる能力も大事だよ!’とつい余計なことまで言ってしまった。

ヨーロッパでもアメリカでも大きな美術館を訪問するとレンブラント(1606~1667)にどっと遭遇する。METもその例に漏れず、15点でてきた。そして、ワシントンナショナルギャラリーにも16点あった。‘ホメロス像をみるアリストテレス’は全作品のなかでも5本の指に入る傑作。はじめてみたときレンブラントの肖像画の真髄をみた気がした。

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2018.01.18

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その五

Img_0002     カラヴァッジョの‘合奏’(1595年)

Img_0001     グエルチーノの‘ペリシテ人に捕われたサムソン’(1619年)

Img_0003     レーニの‘慈愛’(1630年)

Img    ルーベンスの‘ヴィーナスとアドニス’(17世紀)

METの絵画コレクションはルネサンス以降は美術本に載っている有名な作品がどどっと登場してくる。そのはじまりが高い人気を誇るカラヴァッジョ(1571~1610)。4点ある。‘合奏’,‘リュート弾き’、‘聖ペテロの否認’、‘聖家族’。

ワシントンのナショナルギャラリーにはフェルメールもラ・トゥールも揃っているが、カラヴァッジョはない。だから、METがダヴィンチはないがこちらにはカラヴァッジョもフェルメールもいっぱいあるよ、とどや顔かもしれない。

2年前、奇跡といってもいいカラヴァッジョ展が西洋美で開催された。作品の数はなんと11点、日本でこれほど多くのカラヴァッジョがみれるのだから天にも昇る気持ちになった。作品をコンプリートする道のりは長いが一枚でも多くみたい、そう思うと簡単にはくたばれない。

カラヴァッジョの影響も強く受けているグエルチーノ(1591~1662)の‘ペリシテ人に捕われたサムソン’は3年前ようやく遭遇した。その年、日本でも回顧展があったから、絵の前では敏感に反映した。グエルチーノはやはりこういうカラヴァッジョの描き方を意識した作品がぐっとくる。回顧展に出品されていたものよりこの絵とボストン美にあるもののほうに強く惹かれる。

グエルチーノ展があったのでレーニ(1575~1642)もやってくれないかと思うが、これは実現しないだろう。でも、レーニは当時おおいにもてはやされた大画家。そのため、海外の美術館をまわるとよくでくわす。だが、どういうわけか‘慈愛’はまだ済みマークがついていない。見逃すはずはないのだが、目にとまらなかった。

バロックの王、ルーベンス(1577~1640)はアメリカではどの美術館へ出かけても大きな絵はみれない。METにあったのは10点くらい、一番のお気に入りは‘ヴィーナスとアドニス’、狩りに行こうとするアドニスの足をもって引き留めようとしているクピドの姿がなんとも可愛いい。

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2018.01.16

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その四

Img_0004     ブリューゲルの‘穀物の収穫’(1565年)

Img_0001          ウェイデンの‘j受胎告知’(1464年)

Img  ギルランダイオの‘聖クリストフォロスと幼児キリスト’(15世紀)

Img_0002     ホルバインの‘ヴュディッヒ家の人の肖像’(1532年)

画家への思い入れが強くなると描かれた作品を全部みたくなる。そのひとりブリューゲル(1525~1569)は昨年、長年気になっていたボイマンス美蔵の‘バベルの塔’が運よくみることができた。あと3つくらいみたいのだが、当面のターゲットとしているのはベルリン国立絵画館にある‘ネーデルランドの諺’。

アメリカの美術館が所蔵するブリューゲルは3点、METでは‘穀物の収穫’が楽しめる。この絵で印象深いのは木の下で足を広げて休息をとっている男、これと同じような姿をブリューゲルはミュンヘンのアルテ・テークにある‘怠け者の天国’では聖職者にさせている。

北方絵画で描かれる‘受胎告知’はみなよく似ており、ウェイデンの作品でも聖母と天使の距離が近いのが特徴。そして、キリストをみごもるという大事な話なのに緊張感はあまりなく、そのことは横においてふたりの女性が親しげに部屋のなかでくつろいでいる感じ。

2015年METを訪問したとき、必見リストに入れていたのがギルランダイオ(1449~1494)の‘聖クリストフォロスと幼児キリスト’、大きなフレスコ画だが、ここに描かれているのも大男、すぐ頭に浮かんだのがガリバー。絵画をみていると時空をいろいろとびまわる。

この画題の作品はほかにみたことがなかったが、昨年のボイマンス美にはボスの同名の絵が出品された。こちらはギルランダイオとは対照的に巨人というイメージがしない聖人。

ブロンズィーノの肖像画同様、大変惹きつけられるのがホルバイン(1497~1543)の男性の絵。この人物はホルバインがロンドンにいたときにつきあっていたドイツの商人。じつにリアルな描写でまるで目の前に本人がいるよう。

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2018.01.15

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その三

Img     ボッティチェリの‘受胎告知’(15世紀)

Img_0004     ブロンズィーノの‘若い男の肖像’(1540年)

Img_0001     ヴェロネーゼの‘マルスとヴィーナス’(1570年代)

Img_0002     ロットの‘ヴィーナスとクピド’(1520年代)

ルネサンス絵画のなかで特別の輝きを放っているボッティチェリ(1445~1510)、2年前のちょうど今頃から3ヶ月弱にわたって東京都美で一級の‘ボッティチェリ展’が開催され目を楽しませてくれた。目玉として登場した‘書物の聖母’の精緻に描かれた金の細かい線が今も目に焼きついている。

そのとき、METにあるボッテイチェリの‘聖ヒエロニムスの聖体拝領’の別ヴァージョン(ミラノ個人蔵)が出品された。アメリカの美術館でボッテイチェリを見る機会は限られているのでこういう作品に出会うとすぐ反応する。METにはもう一枚お馴染みのテーマ‘受胎告知’がある。左から放射状にさしこんでくる光をみるとこれは確かに宗教画なんだと、気持ちは自然に静まり深い沈黙の世界に入る。

男性の肖像画をとりあげることはご存知のように少ない。だが、ときどきインパクトが強いのでいつか取り上げようと思わせる人物に出会う。ブロンズィーノ(1503~1572)の‘若い男の肖像’もそんな一枚。METからそう遠くないところにあるフリックコレクションにもこれと同様にとてもいい若い貴族の肖像が響き合うように飾られている。そのため、フィレンツェのウフィッツイに瞬間移動したような気分になる。

METのコレクションの質の高さをみせつけるのはほかにもたくさんある。ヴェネツィア派のヴェロネーゼ(1528~1588)の‘マルスとヴィーナス’は見事な寓意画でここにあるティツアーノやティントレットを上回る出来映え。この絵やロンドンのナショナルギャラリーにある連作‘愛の寓意’はプラハの皇帝ルドルフ2世の注文によって描かれた。

ロレンツォ・ロット(1480~1556)はヴェネツィア生まれの画家なのに、ティツィアーノとは争う土俵を変えマルケ地方の都市などで制作に励んだ。ナショナルギャラリーやミラノのブレタ美にある作品が強く記憶に残っているが、‘ヴィーナスとクピド’も一度みたら忘れられないほどの強烈な磁力を放っている。

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2018.01.13

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その二

Img     ラファエロの‘聖者と王座の聖母子’(1505年)

Img_0004     ベリーニの‘聖母子’(1480年代)

Img_0002     パオロの‘世界の創造と楽園追放’(15世紀)

Img_0001     サセッタの‘東方三博士の旅’(1435年)

絵画の鑑賞に熱が入りだしたころはTVで放送される美術番組は欠かさずみて、作品や美術館の情報を貪欲に仕入れていた。最近は美術館巡りの番組はなくなったが、以前はこうしたシリーズに有名な美術館が登場した。

METが特集されたときは定番の名画の見どころ加え所蔵作品が美術館にどういう経緯でもたらされたかがわかるコレクター物語にも話が及んでいた。こういうガイダンスは頭によく残るので実際館内をまわる際はすごく役立った。

ルネサンス絵画に熱心ならダ・ヴィンチとラファエロが気になるが、METには残念ながらダ・ヴィンチはない。だが、ラファエロ(1483~1520)は20歳のとき描いた‘聖者と王座の聖母子’がある。これに対し、ワシントンのナショナルギャラリーはダ・ヴィンチの‘ジネヴラ・デ・ベンチ’とラファエロの‘アルバの聖母’をどんと飾っている。だから、この二人に関してはMETは目をつぶってね、というしかない。

ヴェネツィア派の大親方、ベリーニ(1434~1516)はアメリカ人コレクターはしっかり集めており、‘聖母子’も魅了される一枚。顔をちょっと傾けてこちらをみる聖母の目が強く印象に残った。この表情は普通の女性そのもの、宗教色がないのは幼児キリストも同じ。なんとも可愛い赤ちゃん。

TV番組の解説が頭の中によく入っているのがともにシエナの画家、パオロ(1400~1482)とサセッタ(1392~1450)が描いた‘世界の創造と楽園追放’と‘東方三博士の旅’、二人の絵を見る機会はきわめて少ない。これまで出会ったのを記憶しているのはMET以外ではルーヴルとロンドンのナショナルギャラリーくらい。

パオロの絵はおもいろい工夫がされている。世界の創造とあの楽園追放の二つの話が一緒に描かれている。気を引くのは太陽系の天体の軌道を連想させる‘世界の創造’、ケルビムの雲に乗ってやってきた神と何層にも重なる円の組み合わせは一度みたら忘れられない。

‘東方三博士の旅’のみどころは三博士たちが山を下っているように描いているところ。旅人たちがただ横に移動するより、こうした地形のアップダウンのなかを歩いている姿のほうがいかにも長い道中を進んできたという印象を与える。

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2018.01.12

美術館に乾杯! メトロポリタン美 その一

Img_0003_2    セントラルパークの一角にあるメトロポリタン美

Img     ファンエイクの‘キリストの磔刑、最後の審判’(1430年)

Img_0002     クリストゥスの‘カルトゥジオ会修道士の肖像’(1446年)

Img_0001     カンピンの‘受胎告知’(1425年)

パリのルーヴルとともにこれぞ美術館!という感じがするのがNYのメトロポリタン美(以下MET)。ここを訪問するのがNY観光のハイライト。NYにはいい美術館がたくさんあるが、時間がないとだいたいはここ一本にしぼって、あとはブロードウエイでミュージカルを楽しむ人が多い。

収蔵されている美術品は絵画から彫刻、工芸、家具、写真、武器、甲冑、、と多岐にわたっているので、一日ではとうてい見きれない。だから、ルーヴル同様、美の真髄にふれいい気持になりたければ何度か訪問して心に響く名品を少しずつ増やしていくほかない。

これまで何回か訪問したが、鑑賞の対象はどうしても絵画が中心となる。そして、狙い目の最初にくるのが印象派、アメリカの大きな美術館はどこへ行っても質の高い印象派とポスト印象派の傑作が楽しませてくれる。METでも美術本に載っている超一級の作品がここにもあそこにも飾られている。

印象派の前の古典絵画やバロック、ロマン派、ロココなどにもみるべき名画が目白押しだが、ワシントンナショナルギャラリーと較べて北方絵画がなかなか充実している。そのなかで最も印象深いのがファン・エイク(1390~1441)が初期に描いた縦長の板絵‘キリストの磔刑、最後の審判’。

ファンエイクお得意の細密描写に視線が集中するが、ギョッとさせられるのが右の‘最後の審判’の真ん中にでてくる髑髏、大天使ミカエルが背中に乗っており、髑髏の下は恐ろしい怪物がうごめく地獄の世界。ファンエイクの作品でこれほど怪奇に満ちた絵はほかにない。

ファンエイクの写実主義の影響を強く受けたクリストゥス(1415~1476)の修道士の肖像には見逃せないものが描かれている。それは下の額縁のところにとまっているハエ(拡大で)、このこまかい芸をつかっただまし絵に思わず足がとまった。

カンピン(1374~1444)の‘受胎告知’の三連祭壇画がみれるのは別の場所にあるクロイスターズ、この絵のほかにも有名な‘一角獣のタピスリー’があるので、またNYへ行く機会があったらでかけてみるつもり。

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