2020.03.31

美術館に乾杯! 大徳寺 その三

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  李唐の国宝‘山水図'(南宋時代・12世紀 高桐院)

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 国宝‘大井戸茶碗 銘 喜左衛門'(朝鮮時代・16世紀 孤篷庵)

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 国宝‘曜変天目茶碗'(南宋時代・12~13世紀 龍光院)

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  ‘一休宗純墨蹟'(重文 室町時代・15世紀 真珠庵)

高桐院は中に入れる塔頭のひとつだが、ここにある中国絵画の名品‘山水図'
はこれまで美術館で開かれる南宋絵画展とか大きな国宝展のようなイベント
的な特別展でお目にかかった。こういう中国絵画における山水画の楽しみは
自然の大画面になかに描かれた人物描写。右は瓢箪をもった男の子、左では
瀑布を仰ぎ見る二人の高士に目がとまる。

茶の湯展では欠かせないピースが大井戸茶碗、数ある名碗のなかでとくに
評価が高いのが孤篷庵が所蔵する国宝の‘銘 喜左衛門'、日用生活で使う
茶碗とそう変わりないというこの‘普通さ'がこの茶碗の魅力。そして、ちが
うところは高台にみられる白釉の大きな粒。一見雑な感じだが、これが渋い
枇杷色といい取り合わせになっている。

龍光院にある‘曜変天目茶碗'をみる機会がなかなか訪れなかったが、2017
年の秋ようやく夢が実現した。率直な印象は静嘉堂文庫の稲葉天目の星の輝
きもすばらしいが、龍光院の天目も美しいじゃないか、という感じ。
時間がたっぷりあるので3回もまわった。お陰で藤田美のものも含めて日本
にある天下の三碗がすべて目の中に入った。

達筆な字にほど遠い者にとってはいい書の価値がなかなか実感できない。
でも、ときどき強く惹かれるものに出くわすことがある。一休宗純
(1394~1481)の墨蹟もそのひとつ。‘諸悪莫作 衆善奉行'(もろも
ろの悪をなさず、もろもろの善を行う)。結構ハチャメチャなところがあっ
た一休だから、‘そうですか、でも、和尚さんは平気でその逆をしてますよ
ね'とツッコミを入れたくなる。

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2020.03.30

美術館に乾杯! 大徳寺 その二

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   大仙院庭園 枯山水石組

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 狩野元信の‘四季花鳥図'(重文 室町時代・16世紀 大仙院)

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  狩野永徳の国宝‘花鳥図'(室町時代・1566年 聚光院)

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  狩野永徳の国宝‘花鳥図'(室町時代・1566年 聚光院)

大徳寺山内にある24の塔頭のうち常時拝観が可能なのは大仙院、高桐院、
瑞峰院、龍源院の4つだけ。これまで足を運んだのは大仙院のみ。訪問し
たときはまだ日本画へ前のめり状態ではなかったので枯山水の庭園のほうが
強く印象に残った。枯山水庭園をすぐイメージする竜安寺とちがって、ここ
では部屋のすぐそばにこじんまりと庭園が造られているので石組の形で表現
された険しい山岳や砂の大海に浮かぶ舟をじっくりと感じることができる。

狩野派の礎をつくった狩野元信(1477?~1559)の絵をはじめてみ
たのはここに飾ってあった‘四季花鳥図'。これは八幅の障壁画だが、画像は
美術本によく載っている場面。ところが、じっさいにみたのはこれではなく
てもう半分のほう。だから、S字のように曲がる松の太い幹の後ろにどどっ
と流れ落ちている滝や鮮やかな赤い羽が印象的な鳥にいつかお目にかかりた
いと強く願ってきた。それがようやく実現したのは3年前サントリー美で開
催された狩野元信展。天にも昇るような気持でみていた。

聚光院方丈にもすばらしい障壁画がある。描いたのは狩野松栄(1519~
1590)と永徳(1543~1590)の父子。でも、これらは非公開。
だから、専門家でないと見る機会がない。ところがいいめぐりあわせが
2003年におきた。東博が襖絵を全部公開する特別展を開催してくれたの
である。

お気に入りはMr.狩野派の永徳が描いた‘花鳥図'。松を思わせるような巨大な
梅の木。その細い枝が左のほうへどんどんのびていくフォルムには躍動感を
ためた安定感がある。梅を主役に引きたてているのは幹にとまる鳥や鶯、
流石永徳、ものが違うという感じ。この梅の木の反対側に描かれている体を
ねじった鶴と松の関係がおもしろい。松がぐっと幹を傾けているので鶴は
それに呼応するように首を松のほうへむけている。

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2020.03.29

美術館に乾杯! 大徳寺 その一

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    大徳寺山門

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  牧谿の国宝‘観音猿鶴図'(南宋・13世紀)

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  牧谿の‘龍虎図'(重文 13世紀)

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   ‘五百羅漢図'(重文 南宋・1178年頃)

京都の街を移動するのはとても楽。縦と横の通りを頭に入れるとそう迷うこ
となく目的地にたどり着く。美術品の宝庫である大徳寺へ行くには一番北の
北大路通をめざせばいい。昔1年ほど京都に住んでいたのでこのあたりの感
じはよくつかめる。

大徳寺の本坊と塔頭の多くが非公開になっているためここにあるお宝をじか
に見る機会はごく限られている。そのため、中国絵画の最高傑作のひとつと
称される牧谿の‘観音猿鶴図'にお目にかかれたのは美術館で開かれる特別展
でのこと。これまで運よく2度見る機会があった。真ん中の慈愛あふれたま
なざしの観音をはさんで鶴と子どもを抱く手長猿が対角線で結ばれている。
ぱっとみてこれはいい!と感じるのだからスゴイ水墨画である。

‘龍虎図も'牧谿の絵で正面向きの虎はあまりみない構図。俵屋宗達がたぶん
これを真似て描いたちょっとユーモラスな顔つきに変えて描いた虎が出光美
にある。宗達流の猫のような虎のもとが牧谿だったとは。

12世紀に制作された‘五百羅漢図'(100幅のうち現存82幅)も大徳寺
のお宝になっている中国絵画の大作だが、12幅が明治の頃アメリカに流出
した。現在、ボストン美とワシントンのフリーア美が分蔵しているが、幸いな
ことにフリーアでみることができた。

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2020.03.28

美術館に乾杯! 妙心寺 その二

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   如拙の国宝‘瓢鮎図'(室町時代・1413年頃 退蔵院)

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  狩野元信の‘瀟湘八景図'(重文 16世紀 東海庵)

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  海北友松の‘花卉図屏風'(重文 17世紀)

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  海北友松の‘寒山拾得図屏風'(重文 17世紀)

妙心寺の三門の西側にある退蔵院に室町時代に描かれた記念碑的な水墨画
がある。描いたのは禅好きの足利四代将軍・義持と密接な関係をもってい
た相国寺の画僧如拙。角ばった顔の男が瓢箪を持って立っており、その先
の川には大きな鯰は泳いでいる。この風采のあがらない男は一体何をしよ
うとしているのか。

如拙が義持から与えられたテーマは‘すべすべした瓢箪でぬるぬるした鯰を
おさえとれるか?'。まず不可能なことはわかっているが、禅の極意を得よ
うとする僧たちは答えがあるようないような禅問答をくりかえす。それら
が絵の上のほうにびっしり記されている。

狩野元信(1477?~1559)の行体で表現されたお馴染みの画題
‘瀟湘八景図'は牧谿の幻想的な絵とくらべると山々の輪郭が見やすいため、
描かれているがかれている場所のイメージがよくのみこめる。墨の濃淡で奥
行き感をだし霧や霞の感じさせるところがなかなかいい。

妙心寺には狩野山楽だけでなくこれまたビッグネームの海北友松(1533
~1615)が最晩年に仕上げた3つの屏風がある。もっとも魅了される
のが‘花卉図'、大覚寺にある山楽の牡丹もすばらしいが、友松の牡丹もぐっ
とくる。牡丹はボリュームがあるのでこれくらいどーんと登場すると思わず
息を呑んでみてしまう。

不気味な笑いが気になる‘寒山拾得図'、経巻を思いっきりひろげているのが
寒山で後ろで箒をもっているのが拾得。金碧画で寒山拾得をみることはほか
にないが、地の金が二人の笑いの違和感を消しているのがおもしろい。

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2020.03.27

美術館に乾杯! 妙心寺 その一

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   狩野山楽の‘龍虎図屏風'(重文 17世紀初)

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  狩野山楽の‘商山四皓図屏風'(重文 17世紀初)

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 狩野山楽・山雪の‘梅花遊禽図襖'(重文 1631年 天球院)

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  長谷川等伯の‘枯木猿猴図'(重文 16世紀 龍泉菴)

仁和寺から南へちょっと歩くと禅寺の妙心寺がある。京都の寺や神社は全
部が全部いつ行っても中に入れるというわけではない。だが、こうした
非公開になっている文化財が年に2回特別にみれる機会がある。妙心寺は
普段みれるところとこの特別な公開を利用して2回訪問した。

ここにある日本絵画で最も印象深いのは狩野山楽(1559~1635)
の‘龍虎図'。龍と虎が戦うとどっちが勝つか?この絵に限っていえば、虎
に軍配が上がる。虎の絵は数多くあるが、獰猛度No.1はこの虎。口を開け
て龍を威嚇する姿には大きなパワーが秘められている。うかつに近づくと
大怪我をしそう。

‘商山四皓図'は色彩の力が全面にでている屏風。描かれている人物は中国
秦時代の隠士。いずれも髭や眉毛は白かったため四皓と呼ばれていた。
視線が向かうのはその白く光る髭ではなく、一癖ありそうな目。とくに
中央にいる人物のグロテスクな目つきが忘れられない。

天球院は境内にある塔頭のひとつ。ここに見ごたえのある花鳥画がある。
山楽・山雪(1590~1651)親子の合作による‘梅花遊禽図'。これ
を主として描いたのは山雪、このとき42歳で山楽は73歳だった。はっ
とするのは老梅の樹が垂直に角々と曲がる前衛的な表現。このフォルムに
度肝を抜かれる。そして岩の上にいる山鳥と枝のてっぺんにとまる小禽。
この二羽がつくる斜めのラインと樹のつくる垂直線が画面に動きを与え
ている。

龍泉菴にある長谷川等伯(1539~1610)の‘枯木猿猴図'も妙心寺
のお宝。数点描いた猿の絵は牧谿の手長猿がお手本になっている。左が
父猿で右は母子猿。心が和む水墨画に乾杯!

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2020.03.26

美術館に乾杯! 大覚寺

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  狩野山楽の‘紅梅図襖'(重文 桃山時代・17世紀初)

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  狩野山楽の‘牡丹図襖'(重文 17世紀初)

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  狩野山楽の‘松鷹図襖'(重文 17世紀初)

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  渡辺始興の‘野兎図'(重文 1734年)

京都嵯峨野にある大覚寺は狩野山楽(1559~1635)の障壁画の宝庫。
だから、嵯峨野をめざすのはお目当ての絵画をみるため美術館に足を運ぶの
と同じ感覚。桃山時代を象徴する絵画というと金碧画をすぐ思い浮かべるが、
山楽の描いた金碧画の最高傑作が宸殿の間を飾る襖絵‘紅梅図'と‘牡丹図'。

この絵の前にたつのは大きな鑑賞体験。永徳の金碧画が金地にうねる太い松
の幹が浮き上がっているのに対し、山楽のモチーフにはもちろん力強さはあ
るがそれに柔らかさとエレガントさが加わる。形のいい梅樹の枝ぶりに呼応
するように紅梅を鳥たちが楽しんでいる姿が心を打つ。一方、牡丹図のほう
は大きな牡丹の花と垂直にのびる岩の塊の組み合わせがとても新鮮。なんだ
か大宮の盆栽美術館にいるような気分になる。

水墨画の‘松鷹図'は松の巨木の存在感に視線が釘づけになる。そして鋭い目
をした鷹が枝にとまり獲物をうかがう様子にも惹きつけられる。こういう松
がうねる豪快な造形をみると武士たちはドバっとアドレナリンが出たにちが
いない。

渡辺始興(1683~1755)の障子の腰板に描かれた‘野兎図'は肩の力
がすっとぬける絵。素早い動きをする兎だということがこの描写ですぐイ
メージできる。琳派色の強い‘吉野山図'(東博)同様、始興の才能の高さが
うかがわれる作品。

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2020.03.25

美術館に乾杯! 南禅寺

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Img_20200325222601     南禅寺三門

 

Img_0003_20200325222601   徽宗の国宝‘冬景山水図’(南宋時代・12世紀 金地院)

 

Img_0002_20200325222601   長谷川等伯の‘禅宗祖師図’(重文 桃山時代・1602年 天授庵)

 

Img_0001_20200325222601   狩野探幽の‘群虎図’(重文 江戸時代・17世紀)

 

東山の山麓に展開する南禅寺でもっとも印象深いのは三門。石川五右衛門が
‘絶景かな’と唸ったというのもよくわかる。覚えているのはこの三門と方丈
の隣に流れる水道橋くらいで境内にはほかの塔頭がどう配置されていたかは
記憶がかなり薄れている。

塔頭のひとつ金地院にある風流天子、徽宗(1082~1135)が描い
たとされる国宝の‘冬景山水図’は大きな南宋絵画展や国宝展が開かれるときは
よく声がかかる中国絵画の傑作。こちらに背中をみせる高士の横からどっと
迫る大きな岩の塊や向こう側で鋭角的な形をして上にのびる岩の面に圧倒的
な存在感があり、勢いのある筆さばきが目に強い刺激となる。

天授庵方丈の障壁画に描かれた長谷川等伯(1539~1610)の‘禅宗祖
師図’は回顧展には欠かせない重要な作品。猫を左手で捕まえているのは中国
唐代の名僧。このあと猫はあわれにも切断されるのだが、この猫にはそんな
悲壮感はどこにもないからむしろこの場面をユーモラスにとらえてしまう。

狩野探幽(1602~1675)の‘群虎図’は本坊小方丈の障壁画。竹に虎と
いうお決まりの描き方でダイナミックに飛びまくる虎や水を呑む虎が描かれ
ている。探幽の虎はなかなか魅力的。

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2020.03.24

美術館に乾杯! 醍醐寺 その二

Img_0002_20200324221001     国宝‘閻魔天像’(平安時代後期・12世紀)

 

Img_0003_20200324221001    国宝‘訶梨帝母像’(鎌倉時代・13世紀)

 

Img_20200324221001  俵屋宗達の‘舞楽図屏風’(重文 江戸時代・17世紀)

 

Img_0001_20200324221001  俵屋宗達の‘田家早春図’(重文 江戸時代・17世紀)

 

醍醐寺の仏画はバラエティにとんでおり、‘閻魔天像’と‘訶梨帝母像’にも魅了される。菩薩の形で描かれる密教の閻魔天は鎌倉時代以降にでてくる忿怒の形相をした地獄の王とはうって変わって優しいイメージ。ぷくっとした丸顔で水牛にまたがる姿は安心してみられる。

閻魔天同様、画面いっぱいに描かれている訶梨帝母(かりていも)はもともと
は幼児を食らう悪鬼女の鬼子母神。マグダラのマリアがキリストと会って改心
したように鬼子母神も釈迦と出会ったことで幼児を庇護する善神に変身する。
ここでは右手に多産を象徴する柘榴を持ち、左手に裸の赤子を抱いている。頬
がゆるむのが訶梨帝母の前にいる童子が帯を引っ張って柘榴をねだるところ。

琳派好きの人にとってここ醍醐寺は一度は訪問すべき場所かもしれない。それ
は足を運ぶ価値のある美術品の中に俵屋宗達の絵画が3点も含まれているから
である。‘舞楽図屏風’、‘扇面散貼付屏風’、そして‘芦鴨図衝立’(いずれも重文)。また、現在は静嘉堂文庫にある国宝の‘源氏物語関屋澪標図屏風’も明治期までは醍醐寺にあった。

舞楽を演じる舞人が金地に鮮やかに映える緑や赤の衣装を身に着けている。
カラフルな色彩の力と意匠性豊かな装飾性がまさに琳派の真髄。そして、空間
のつくりかたにも非凡な才能がうかがわれる。左の上隅に松と桜を添えている
が、憎いのが全部をみせないで上部をカットしていること。これにより想像が
ふくらみ目の前の空間がぐっと広がる。

‘田家早春図’は‘扇面散貼付屏風’の一枚で茅葺屋根の家が二軒うまいことおさまっている。扇面は宗達が営む絵屋の主力商品だからその構図はさらさらっといいものが出来上がる。宗達はこの扇面でデザインの腕をあげ、光琳は小さい頃から親しんでいた着物の柄で自然に装飾の極意を身につけた。

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2020.03.23

美術館に乾杯! 醍醐寺 その一

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    醍醐寺 五重塔(国宝 平安時代951年)

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  国宝‘文殊渡海図’(鎌倉時代・13世紀)

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   国宝‘絵因果経’(奈良時代・8世紀)

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   国宝‘五大尊像’(鎌倉時代・12~13世紀)

今年は新型コロナウイルスの感染の影響で桜の下での宴会ができず歩いて楽し
むだけになっている。京都で桜の名所となっている醍醐寺の花見はどうなって
いるのだろうか。こういう桜や紅葉が真っ盛りのとき京都へ入ると大混雑する
のはわかっているので、あのすばらしい光景を一度は目にしたいという思いは
あるもののこのタイミングでの旅行は避けている。

醍醐寺へは2回行ったので着くまでの交通アクセスは覚えている。地下鉄で
醍醐寺駅まで行きそのあとは巡回バスに乗りこめば寺のすぐ近くに到着する。
醍醐寺の見どころはなんといっても美しい姿の五重塔。国宝の五重塔あるい
は三重塔はほかにもあるが、これが一番印象深い。

仏画のなかでは物語性のある‘文殊渡海図’に大変魅了されている。寺のお宝を
展示する霊宝館でいつもみられるわけではないため、この絵にはじめて遭遇
したのは奈良博でおこなわれた‘日本仏教美術名宝展’(1995年)。描かれ
ているのは獅子に乗った文殊菩薩が眷属を従えて大海の上を進んでいる場面。
先頭にいる善財童子、目を奪られる獅子をはじめみんな雲の絨毯に乗って進
むところは冒険映画のワンシーンをみているようでちょっとワクワクする。

‘絵因果経’は時間があればずっとみたくなる釈迦の物語。長さは15m36㎝
もあるこの絵巻は2014年渋谷松濤美で全場面展示された。画像は魔王が
軍衆を率いて悉達太子(出家前の釈迦)を妨害するが、これを太子が慈悲力
で防ぐ場面。

鎌倉時代の初期に描かれた‘五大尊像 不動明王像’は体が熱くなるほど忘れら
れない仏画。とくに中心にいる不動明王像は圧倒的な存在感をみせている。
目をかっと見開き上の歯で下唇を噛む姿には凄みがあり周りの炎がそのパワ
ーを倍増させる。怖い顔でにらまれたら体がすぐちじこまってしまう。

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2020.03.22

美術館に乾杯! 仁和寺 その二

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   空海の国宝‘三十帖冊子’(平安時代・9世紀)

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 国宝‘宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱’(平安時代・10世紀)

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  国宝‘宝相華蒔絵宝珠箱’(平安時代・10世紀)

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  野々村仁清の‘色絵瓔珞文花生’(重文 17世紀)

2年前のちょうど今頃東博で‘仁和寺と御室派のみほとけ’が開催され、
仁和寺のお宝がどっと披露された。おかげで春秋の特別展示では一度にみれ
ないものまでお目にかかれることになった。804年に入唐した空海が長安
の恵果阿闍梨から密教の秘法を修得した。そのとき、現地で書き写した経典
類の記録が‘三十帖冊子’。何が書いてあるか読めないが、空海の筆となると
真剣にみてしまう。

その冊子を収納する箱が仏教関連の特別展や国宝展の定番美術品となって
いる‘宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱’。金銀の研出蒔絵で描かれているのは宝相
華唐草、迦陵頻伽(かりょうびんが、極楽浄土に棲むという想像上の鳥で
人面鳥身の姿をしている)、蝶、鳥、雲気など。これらの文様がぐるっと回
るような形で配置されている。柔らかく流麗な表現にいつも夢中にさせら
れる。

もうひとつの蒔絵のお宝‘宝相華蒔絵宝珠箱’も蓋の表や側面にびっしりリズ
ミカルに描かれている宝相華唐草や鴛鴦、尾長の瑞鳥などが目を楽しませて
くれる。平安時代の蒔絵の遺品はわずかしか残っていないので仁和寺の箱
は長く記憶にとどまる。

江戸時代に仁和寺の門前に窯を開いていた野々村仁清の‘色絵瓔珞文花生’は
胴の中ほどが膨らんだ中蕪型の造形が印象的。ここに描かれている卍形を含
む瓔珞(ようらく、宝玉・貴金属を連ねた飾り)が目を楽しませてくれる。
これは仁清が仁和寺に寄進したもの。

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