2016.11.15

近代日本美術の煌き! 2015年(平成27)

Img_0002     村上隆の‘見返り、来迎図’

Img     中根総子の‘薩摩切子’

Img_0001     北村辰夫の‘菊蒔絵貝桶一式’

美術館へ出かける回数は年に40から50回の間に落ち着いてきており10年くらい前と比べるとかなり減っているのに、1年前どの美術館でどんな展覧会をみたかがすぐには思い出せなくなっている。だが、関心の高かったものはかろうじて記憶が戻ってくる。

昨年の今頃足を運んだのは村上隆(1962~)の‘五百羅漢図展’(森美術館)、ときどきよくできた図録をみて村上隆のもっている創作パワーの大きさに感心させられている。今はどんな作品に取り組んでいるのだろうか、展示室の最後のほうに飾ってあった‘見返り、来迎図’は注記にまだ手を加えていると書かれていたが、もう完成しただろう。この作品のタイトルがおもしろい、菱川師宣の‘見返り美人’をもじって、菩薩さんは後ろを振り返りながら来迎している。

薩摩切子はこれまで数回みる機会があった。感動のはじまりは鹿児島市の尚古集成館を訪問したこと。このときぼかしが幻想的な表情をみせる赤や青のすばらしいカットクラスのとりこになった。そのあと、またチャンスがめぐってきた。2009年、サントリー美で開催された‘まぼろしの薩摩切子’、もう痺れっぱなしだった。

今、薩摩切子は伝統の技が受け継がれ現代的な感覚からもすっと入っていける魅力的な作品が次々と生まれている。その中心的な人物が昭和61年(1986)に薩摩切子を復活させた中根総子。この青の作品は複雑に絡み合う曲線と緻密なカットにより表現された優雅できりっとしまった造形が心を揺すぶる。

昨年の夏、Eテレで紹介された漆芸家北村辰夫(1952~)。腕のいい職人を束ねてつくりあげた‘菊蒔絵貝桶一式’、今は注文したオーストラリアのコレクターのもとにおさまっている。本物をみたかったが、北村の作品の大半は個人コレクターの所蔵だから逆立ちしても無理。こういう作品はコレクターアイテムだから仕方がない。

これで昨年から1年4ヶ月続けてきた‘近代日本美術の煌き!’は終了。楽しんでいただけたでしょうか。

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2016.11.14

近代日本美術の煌き! 2014年(平成26)

Img_2     川瀬忍の‘青磁花入 銘・参星’

Img_0002_2     千住博の‘Rujin’

Img_0001_2     杉本博の‘月下紅白梅図’

神農巌とともに大きな関心を寄せている川瀬忍(1950~)、‘青磁花入 銘・参星’にもぞっこん参っている。花入れ口にある二つの小さくとがったところをみるとついあることを思い出す。それは和菓子職人の技、美味しい和菓子のなかには花びらの模様をこのとがった線のように形どったものがある。ちがう場ながらこなれた技はとても似通った線を生み出している。

また、胴の長い形をみると諏訪湖の北澤美や箱根のポーラ美に飾ってあるガラス作品を連想する。例えばガレのクロッカス形花瓶とかドーム兄弟のダチュラ文花器、やきものがどんどん進化してほかの作品と響きあうような新しい造形が生みだされるのはすばらしいこと。川瀬忍と神農巌はこれからも目が離せない。

千住博(1958~)の個展が2014年シンガポールで開かれ、最新作の屏風‘Rujin’がお披露目された。日曜美術館に出演した千住の話がおもしろい、光琳の‘燕子花屏風’を意識してこの24mもある大作を制作したという。たしかに横に連続して流れる滝の姿は燕子花が同じ形で画面に何度も繰り返されるのとかぶる。

これに対し光琳の‘紅白梅図’に写真で挑んだのが杉本博(1948~)、超高性能のカメラを使って原画を撮影し‘夜の紅白梅図’を生み出した。千葉市であった杉本博展でお目にかかったが、息を吞んでみていた。今、日本美術と正面から向かい合っている杉本の創作活動に期待したい。

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2016.11.13

近代日本美術の煌き! 2013年(平成25)

Img     吉岡徳仁の‘レイオブライト’

Img_0001     中島宏の‘青瓷彫文壺’

Img_0002     川北良造の‘欅造方盛器’

現代アートでクリスタル作品が大きな注目を集めていることはわかっている。でも、そうしたものに接する機会はほとんどない。NYとかパリとかミラノにあるファショナブルな店舗とか富裕層の豪邸に出入りすることができればそうした世界を垣間見れそうだが、それが実現する可能性は限りなくゼロに近い。

人気のアーチスト、吉岡徳仁(とくじん、1967~)の‘レイオブライト’は普段は縁のない宝飾品が並んだ展示空間に紛れ込んだような気にさせてくれる作品。オルセーの新印象ギャラリーに設置されたガラスのベンチといいこの作品といい、吉岡の豊かな造形感覚と創作のアイデアは時代を突き抜けている。また最新作と巡り合いたい。

中島宏(1941~)は今年75歳、15年くらい前から知っている陶芸家であるが、今もあらたな青磁を生み出そうと制作を続けている。彫りによる独特な装飾模様が得意で‘青瓷彫文壺’も凹凸の模様が一つの形で繰り返されるのではなく変容しながら無限に広がるイメージをもっており強く惹きつけられる。

NHKの美術番組で工芸に的を絞った‘美の壺’と‘イッピン’をよくみているが、竹細工や木工品が取り上げられるときはとりわけ夢中になる。木工品の魅力はあの木目の美しさや木のもっている温もりの感覚。木工芸の人間国宝である川北良造(1934~)の‘欅造方盛器’は中央の円形と器の長方形が見事に調和した優品。木目のつくる曲線のおもしろさに目が釘づけになる。

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2016.11.09

近代日本美術の煌き! 2012年(平成24)

Img     神農巌の‘堆磁線文壺’

Img_0001     福島善三の‘中野月白瓷鉢’

Img_0002     吉田美統の‘釉裏金彩更紗文花器’

日頃の生活のなかで頻繁に気になる芸術作品と出くわしているわけではないが、ときどき大きな喜びをもたらしてくれるものがひょいと姿を現すことがある。まだ2ヶ月残っているので一年の振り返りモードにはちと早いが、今年は音楽で乾杯をあげたくなるいい曲が耳に入った。‘パワーオブラブ’、まさに衝撃度M7クラスの名曲だった。

やきものの世界でこの曲と同じくらいのサプライズを味わったのは神農巌(1957~)の青磁。2年前、東近美の工芸館で開かれた‘青磁のいま’で忽然と現れた。出品された5点いずれも後光がさしているような感じだったが、もっとも惹かれたのが‘堆磁線文壺’。

花の蕾を思わせる壺の器面は微妙な盛り上がりがあり新体操に使われるリボンがひらひらと揺れるようにしなやかな線文をつくりだしている。器全体の造形として完璧な球体が心を打つことはよくあるが、口縁や表面につけられた形がぐさっとくるものはこれまでみたことがない。個展が開かれるときは万難を排して駆けつけたい。

福島善三(1959~)の青磁も個性的で自分の色がしっかりでている。やや白っぽい青の色は端正で品のいい形をなめらかにつつみこんでいる感じ。こういう作品だと部屋の空気が自然と緩む。

古谷で釉裏金彩の技を追求し高く評価されているのが小松出身の吉田美統(みのり 1932~)、金彩という装飾はややもすると志野などと較べて低く見られがちだが、それは鑑賞する側が日本の美意識に肩入れしすぎるからにすぎない。この‘釉裏金彩更紗文花器’は銀ねずみが金彩の更紗文を渋く輝かせている。

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2016.11.08

近代日本美術の煌き! 2011年(平成23)

Img_0001     加藤孝造の‘瀬戸黒茶碗 昇竜’

Img     大澤光民の‘鋳銅鋳ぐるみ花器 地から宙から’(文化庁)

Img_0002     土屋順紀の‘紋紗着物 桃花源’

TVの美術番組でやきものが取り上げられるときはだいたいその制作工程が順を追ってでてくる。これがやきものへの理解を助けてくれる。一時期NHKの‘やきもの紀行’を毎回みていたことがあり、この番組をおかげでやきもののイロハを学んだ。

瀬戸黒の人間国宝に2010年に認定された加藤孝造(1935~)はこの番組で紹介されたひとり、‘瀬戸黒茶碗 昇竜’はなんといって力強い黒の輝きが心に響く。納得のいく黒を出すのはなかなか難しい、窯の温度が1200度になったところで引き出し一気に冷まして黒をつくりだすが、その一瞬のタイミングがうまくいかないと思うような色にならない。瀬戸黒をみるたびにやきものの奥深さを教えられる。

大澤光民(1941~)は鋳物産業で知られる富山県高岡市の出身。鋳金というと重いイメージがあるがこの鋳ぐるみの花器は抽象的なデザインにはっとさせられる作品。タイトルの‘地から宙から’はすっと入っていけるから不思議。高級ホテルのロビーなどに置いてあっっても違和感のない景色になりそう。

志村ふくみに師事した土屋順紀(よしのり 1954~)の‘紋紗着物 桃花源’は植物染料から生み出される透明感のあるやさいい色合いが心をとらえて離さない。この着物は小さいころ見たトンボの羽のイメージ。小柄な女性が着ると似合いそう。

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2016.11.07

近代日本美術の煌き! 2010年(平成22)

Img     十五代沈壽官の‘薩摩蝶乗花瓶’

Img_0001     川瀬忍の‘青磁大鉢’

Img_0002     市野雅彦の‘丹波赤ドベ釆器’

やきものの展覧会は絵画とちがって展示されるのは茶碗など小さなものなのでデパートのように展示スペースが美術館ほど広くなくても、結構な数が並べられる。そのため、名品をたくさん堪能したという思いが強くその感動は長く持続する。

2011年日本橋三越で行われた‘歴代沈壽官展’はぐっとくる白薩摩がずらっと揃ったすばらしいやきもの展だった。そのなかで忘れられないひとつが十五代沈壽官(1959~)の‘薩摩蝶乗花瓶’、十五代は1999年、司馬遼太郎の作品にも登場する十四代のあとを継いで沈壽官を襲名した。

父親同様、陶工としての才能はとても高く魅力に富む作品を多く生み出している。この花瓶は蝶々が器にとまるという意表をつく発想が目を釘付けにする。象牙のようにやわらかい白とそれをひきたてる首と底に施された精緻な文様、ずっとみていたい一品。

川瀬忍(1950~)は今関心を寄せている青磁の名手、2011年にホテルオークラの横にある智美で個展があったが、迂闊にも見逃した。だが、運よく2年前東近美の工芸館で開催された‘青磁のいま’にめぐり合い、独創的なフォルムが目を惹く大鉢を楽しむことができた。現代感覚にあう青磁の美しさに出会ったという感じ。

市野雅彦(1961~)は兵庫県篠山市在住の丹波焼の作家、今年55歳。丹波焼のいいものが日本民藝館にあるが、この緋色とユニークな造形が印象的な‘丹波赤ドベ釆器’も強い磁力を放っている。やきものの器というよりの刺激的なオブジェをみているよう。ふくらみのある曲線はあたたかさとともにシャープさもかねそなえている。

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2016.11.06

近代日本美術の煌き! 2009年(平成21)

Img_0001     森本草介の‘休日’(ホキ美)

Img     平子真理の‘お猿でござる’

Img_0002     天野裕夫の‘手工神’

10年前、新橋にある‘東京美術倶楽部’で創立百周年を記念したビッグな展覧会があり、雪舟の国宝の絵画ややきものの名品などがどどっと展示された。美術品のコレクターではないので普段は縁のないところだったが、この展覧会がきっかけとなりここで開催されるアートフェアを2006、07年と2回続けてみた。

森本草介(1937~2015)の女性画が1点づつでており、画面に吸い込まれるようにみていた。森本の絵には高い値段がついていることは知っていたので、会場にいた画商に2006年の作品の落札額を聞いてみた。すると、‘昨年は2700万円でした。今年もそれくらいするのでは’といわれた、図録が古本屋で高く売れるはずである。ホキ美にある‘休日’で視線が向かうのは木のテーブルと椅子の質感描写と髪や白い肌の描き方。こういう絵に嵌った愛好家は欲しくてたまらなくなるにちがいない。

日本画家の平子真理(1962~)は猿の絵が得意、‘アートフェア東京’でみた‘お猿でござる’は一目みたとたん魅せられたので橋本関雪の猿同様、My‘好きな動物画’に登録している。このアートフェアも2回足を運んだだけで今はとんとご無沙汰しているが、来年は寄ってみたい。

彫刻家の天野裕夫(1954~)のブロンズ作品‘手工神’はその異様な形に一瞬体がフリーズした。手と顔が合体した世にも奇妙な神様、記憶に強く刻まれる口を大きく開けた驚きの表情と角のようにも逆立った髪の毛のようにもみえる五本の指、とにかくこの作品は忘れられない。

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2016.11.05

近代日本美術の煌き! 2008年(平成20)

Img_0001     絹谷幸二の‘蒼天の相馬野馬追’

Img_0003     岩澤重夫の‘天水’

Img     榎俊幸の‘翼竜図屏風’

年間を通してみてよく出かける美術館は国立新美と東京都美、そして東博。最近は一年に40回から50回くらいしかみてないのでひとつ々の展覧会の印象が強い。そのため、訪問の回数が多い美術館に対する愛着度が自然と深まっていく。

国立新美と東京都部の場合、お目当ての展覧会の横でいろいろな企画展が開かれている。例えば、2ヶ月くらい前院展に遭遇した。また書道などもある。こうしたところに飾られている作品をお金を払ってみる気にまだなっていないが、来年あたりはふらっと入るかもしれない。

その理由は贔屓の絹谷幸二(1943~)の新作がこういう機会にみれるのではないかという期待があるから。そして、才能のある若手の画家による新しい表現スタイルの作品に出くわすことも十分考えられる。どの展覧会が刺激に満ちているのか少し調べる必要はあるが、日本橋高島屋で開かれた絹谷幸二展に出品された‘蒼天の相馬野馬追’をみて感動したことが洋画の展覧会でもおきると楽しくなるのだが。

岩澤重夫(1924~2009)の‘天水’は亡くなる1年前の作品で第40回日展に出品された。風景画で心酔している東山魁夷の‘青’や奥田元宋の‘赤’の作品のようにこの滝の絵の‘緑’にも強く惹きつけられる。これほど長い滝が実際にあるわけではないが、山奥に深く入っていくとこういう神秘的な光景がみれるのではないかとつい思ってしまう。

榎俊幸(1961~)の怪獣絵画‘翼竜図屏風’はぞくっとするほどの怖さがある。大きく口をあけ威嚇する姿はゴジラやTレックスのパワーにひけをとらない。異色の竜が屏風におさまると‘竜虎図’もかすんでしまいそうな感じ。

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2016.11.04

近代日本美術の煌き! 2007年(平成19)

Img_0003     森本草介の‘初秋の川辺’

Img_0002     奥谷博の‘歓喜の極’

Img_0001     志賀暁吉の‘青瓷壺’

Img     北村辰夫の‘更紗蒔絵十字架’(金沢21世紀美)

海外に出かけて名のある美術館を訪問することがわが家の大きな楽しみになっているが、国内にある美術館も同様に関心を寄せている。そのひとつが千葉市にあるホキ美、ここは写実絵画のコレクションで有名らしいのだが2年前、森本草介(1937~2015)の作品が33点、日本橋三越で披露された。

このとき図録はつくられず、販売されていたのはホキ美の図録。以前神田の古本屋で過去にあった森本草介展でつくられた図録をみつけたが、3万円くらいの値段がついていた。だから、森本草介に限ってはその図録は通常の展覧会の図録のように2500円くらいでは買えないようになっている。

フランスのブルゴーニュ地方の風景をお馴染みのセピアトーンで描いた‘初秋の川辺’は木々が映りこむ川の水面の描写に目が点になる。写真でこういう風景をみてもそれほど感激しないが、絵になると写真とはちがう絵画の魅力をつくづく感じてしまう。

奥谷博(1934~)は森本草介、絹谷幸二とともに洋画界のビッグネーム、ところがまだ回顧展に縁がない。そのため、これまでお目にかかったのはほんの作品でその画業全体がみえてない。この2羽の鷹、鷲?が海面から垂直に飛び上がっていく‘歓喜の極’はどこでみたのか忘れたが強く印象に残っている。

‘日本陶芸展’という実力勝負のやきもの展が毎日新聞の主催で2年に一回開かれている。2007年、19回目のとき大賞・桂宮賜杯に輝いたのが若干30歳の志賀暁吉(1977~)が制作した‘青瓷壺’、形といい青磁らしい色といい惚れ惚れするような見事な青磁。それから9年経ち40歳ちかくになった志賀は現在はどんな作品をうみだしているのだろうか。

北村辰夫(1952~)は海外のコレクターから高く評価されている漆芸家。昨年8月ETVで放送された美術番組でその超絶技巧を目の当たりにした。こういうすごい作家というのはコレクターの目にはとまってもメディアに登場しないので一般の美術ファンにはまったく縁のない存在、本物の‘更紗蒔絵十字架’を一度みてみたい。

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2016.11.02

近代日本美術の煌き! 2006年(平成18)

Img     千住博の‘松風荘襖絵’(部分)

Img_0001     鈴木蔵の‘志埜茶盌’(菊池寛実記念 智美)

Img_0002    田口善明の‘鯉蒔絵飾箱’(東近美)

現役の日本画家で回顧展があったらすぐ駆けつけようと思っているにはほんの数人。そのひとりがNY在住の千住博(1958~)、TVの美術番組ではときどき見かけるが遭遇した回顧展はまだ一回しかない。ちょうど10年前山種美でアメリカのフィラデルフィアにある‘松風荘’という書院造の日本建築に飾られる襖絵が公開された。

この書院造は以前は東山魁夷の作品が飾られていたが損傷したため新たに千住が20面制作することになった。モチーフは千住の代名詞となっている‘ウォーターフォール’、日本人にとって滝というのは神を感じさせる自然の一部だから、こういう襖全体を使って表現された滝の光景は特別感激する。東近美で最新作を含めた千住展が開かれることをひそかに願っているが、実現するだろうか。

やきもののなかで人気の高い‘志野’、鈴木蔵(おさむ、1934~)は1994年荒川豊蔵に次いで二人目の‘志野’の人間国宝に認定された。今年82歳。運よくホテルオークラのすぐ側にある智美で行われた回顧展(2010年)とめぐり合い、たっぷりとした乳白色の志野釉を腹の底から楽しんだ。まさに志野の名人。

田口善明(1958~)の蒔絵作品には鯉や金魚、エビといったモチーフがなどがドーンと登場する。この大きく描かれた鯉はインパクトが強く、前衛舞踊の舞台美術に使われたらダンサーのパフォーマンスを引き立てそうなイメージがある。こんなキャラの濃い蒔絵はなかなかみられない。

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