2015.04.17

ズームアップ 名画の響き合い! 2014年

Img     草間彌生の‘富士山’

Img_0001     原画をもとにした浮世絵版画‘富士山’

Img_0002     浮世絵版画‘富士山 別ヴァージョン1’

Img_0003     浮世絵版画‘富士山 別ヴァージョン2’

ここ5年くらいの間に草間彌生(1929~)をとりあげた美術番組を3度みた。最初が2011年のBSプレミアム、2009年からはじめた‘わが永遠の魂’シリーズをアトリエで毎日描きつづける草間に密着し作品をとおして浮かび上がる草間の芸術家魂に迫っていた。そして、海外のオークションにクサマ作品を求めて集まるコレクターたちやこの年マドリードの美術館でスタートした回顧展についても熱く取材。

2度目は2013年?BS朝日かどこかの番組であの松岡修造が大胆にも草間とおしゃべり。このときは笑っちゃうくらい話がかみ合わなかった。修造、ご苦労さんという感じ。そして今年の正月、BSプレミアムで放送された‘わたしの富士山~浮世絵版画への挑戦~’、確か2時間くらいやっていた。

草間が富士山を描き、その原画をもとにアダチ版画研究所の彫り師、摺り師が浮世絵版画を制作した。一番上が草間が完成させた‘富士山’で、続く三枚が浮世絵版画の‘富士山’、版画は原画を忠実に再現したもの(二番目)とアダチ研究所の独自の判断で色彩を変えた‘富士山’がつくられた。

草間は版画の出来具合に大満足で、そのうえアダチが提案した色の違う別ヴァージョンの色彩の輝きに感激していた。青や黄色、そしてピンク色の富士山に摺りあげたのは若手の摺り師、すばらしい色彩感覚の持ち主で今のの時代にふさわしいポップな富士山の浮世絵版画に仕上がった。昨年新宿に完成したプライベート美術館、草間美に現在も飾ってあるかわからないが、時間をつくって出かけようと思っている。

1874年からスタートした‘ブームアップ 名画・名作の響き合い!’は2014年をもって終了いたします。お楽しみいただけたでしょうか。数々の名作を皆さんと共有できたことを心から喜んでいます。

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2015.04.16

ズームアップ 名作の響き合い! 2013年

Img     北岡明佳教授の‘ガンガゼ’

Img_0001_2     須藤玲子の‘幕 和紙垣’

Img_0003     吉岡徳仁の‘蜘蛛の糸’

Img_0002     オロスコの‘ブラック・ブーメラン’

オランダの画家エッシャーの作品をみたことがきっかけとなって錯視アートに興味をもつようになった。そして、昨年この思いをさら刺激するおもしろいTV番組にでくわした。その番組は美術関連のものではなくれっきとした教育番組、放送大学で年2回行われている‘錯覚の科学’という講座。

これをみて立命館大の北岡明佳教授(1961~)が創作した錯視デザインが注目を集めていることを知った。この先生のつくった‘蛇の回転’は3年前にインプットされていたが、あのレデイ・ガガが‘ガンガゼ’を自分のアルバム‘アートポップ’のデザインに使っていたことはノータッチ。中心から矢が飛び出してくる感じがするこのデザイン、確かにすごく美しいし造形の感性がじつにシャープ。今年は明治大学にある錯視美術館へ出かけてみるつもり。

昨年その存在を知ったテキスタイルデザイナーの須藤玲子(1954~)、東近美で開催された展覧会に出品された‘幕 和紙垣’を見逃したのは痛いが、日本の布の魅力を世界に伝えようと新作をどんどん手がけているので、また作品に接する機会があるかもしれない。とりあえずの目標はANAインターコンチネンタルホテルとマンダリンオリエンタルホテル東京に飾られている作品。とても楽しみ!

吉岡徳仁(1969~)も今心の中にどんと入りこんでいるデザイナー。自然結晶から生み出された‘蜘蛛の糸’は東現美であった個展で刺激の強かった作品。意図した造形ではなくて自然の力にゆだねてできる美の形、日常生活のなかにこういうデザインをとりこんでいくというのは日本人の自然観とはぴったり合う。吉岡徳仁の新作から目が離せない。

今年出会ったオロスコ(1962~)にいっぺんに嵌った。メキシコ人で知っている画家はオロスコとかフリーダ・カーロなど片手くらいしかいないが、豊かな才能に恵まれたオロスコがそのど真ん中に入ってきた。とくに魅せられるのは‘ブラック・ブーメラン’のような柔らかい曲線から生み出されるシンプルな造形。余計なものがカットされ原始的な生命力そのものが表現されている。

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2015.04.14

ズームアップ 名画の響き合い! 2012年

Img_0002     村上隆の‘五百羅漢図 白虎’

Img          ‘朱雀’

Img_0004           ‘青龍’

Img_0001     奈良美智の‘春少女’

絵画や彫刻などの美術品をみて強く印象に残るものはどんな要素が突出していたかと考えてみると、作品のサイズが大きく関係していることも多い。
 
日本画で大きなもので思いつくのを挙げてみると、長谷川等伯の‘涅槃図’、高野山にある‘両界曼荼羅図’、昨年東博の‘日本国宝展’に出品された‘阿弥陀聖衆来迎図’、竹内栖鳳の‘ベニスの月’、横山大観の‘蓬莱山’、、、こうしたビッグサイズ作品の仲間入りしそうなものがこの秋公開される。

それは村上隆(1962~)が制作した‘五百羅漢図’、天地3m、長さはなんと100m、展覧会が開かれるのは六本木の森美(10/31~3/6)。これが2012年中東カタールの首都ドバイで展示されたとき、日本ではその様子が‘芸術新潮 5月号’で紹介された。そのタイトルが刺激的、‘まだ村上隆が、お嫌いですか?’

村上ワールドの魅力がつまった‘玄武’、‘朱雀’、‘白虎’、‘青龍’がどんな風に表現されているかは図版で一応頭に入ったが、さて、本物の前に立ったときどんなことになるだろう。描かれている羅漢や四神がどーんと迫ってきそう。画面の隅から隅までじっくりみるつもりだが、アドレナリンが出っ放しになるのはまちがいない。

3年前横浜美で回顧展が開催された奈良美智(1959~)、目と目の間がびよーんと離れたぺこちゃん風の‘春少女’、この顔の少女はたくさんみたが、この春少女は特注おしゃれヴァージョン、瞳が宝石のような輝きを放ち着ている服にもぼかしが入っている。無垢な可愛さに神秘的な香りが加わったペコちゃん。女性らしくなって魅力がました。

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2015.04.13

ズームアップ 名作の響き合い! 2011年

Img     草間彌生の‘ミラールーム 生命の輝きに満ちて’

Img_0002     ミヤケマイの‘知恵の実’

Img_0003     植木寛子の‘愛と音楽の神イシス’

Img_0001     新宮晋の‘宇宙の鏡’

草間彌生(1929~)が80歳をこえてなお精力的に創作活動を続ける様子が正月のBSプレミアムに映し出されたとき、ひとつ驚くことがあった。2011年の5月マドリードからスタートした最新作の回顧展はNYのホイットニー美で終了したものと思っていたら、なんとさらに続き南米6都市を巡回していた。

サンパウロの美術館では多くの美術ファンが無限に繰り返される水玉模様や赤や青や黄色の鮮やかな原色が目に飛び込んでくる画面を釘付けになってみている。今やクサマの絵画や彫刻は世界中のアートシーンに浸透しつつある。

‘ミラールーム 生命の輝きに満ちて’のような鏡や電飾を使ったインスタレーションをはじめて体験したのは2004年東近美で行われた回顧展、3mのミラーボールがまわる部屋はラスベガスのショーを楽しんでいるような感じだった。

普段はほとんど縁のない女性現代アーティストのなかで関心を寄せている数少ない作家が束芋とミヤケマイ。4年前留学先のパリから帰ってきたミヤケマイの作品を偶然、Bunkamuraのギャラリーでみつけた。目玉が‘知恵の実’、お河童髪の少女が左の角っこに顔を出し、右上には林檎がみえる。そして、落下した林檎は絵の前の床にいくつも転がっている。可愛くてちょっと思索的。また、ミヤケマイの作品をみたくなった。

ガラスア―ティストの植木寛子(1978~)は才能にあふれている。サントリー美で開催された‘あこがれのヴェネチアン・グラス’に大変魅力的な作品が飾られていた。ガラスでつくったイシスの像、目が慣れているコップとか皿、杯の横にこうした人物の像が姿を現すと思わず足がとまる。しげしげとみていた。

田んぼをわたる風が新宮晋(1937~)の‘宇宙の鏡’を動かしている。宇宙や自然を映す鏡がこうしたのどかな景色のなかで自然と一体となった人々の暮らしを実感させてくれる。

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2015.04.06

ズームアップ 名作の響き合い! 2010年

Img_0002     村上隆の‘大仏オーヴァル’

Img_0001     草間彌生の‘自画像’(フィレンツェ ウフィッツイ美)

Img_0004     崎山隆之の‘花器 聴涛’

Img_0003     隠崎隆一の‘時の光景 結界Ⅰ’

数年前、フランスのヴェルサイユ宮殿に村上隆(1962~)が制作した巨大な彫刻‘大仏オーヴァル’が展示されたときは一部の人がクレームをつけた。美術品がこうした騒ぎを引き起こすのはアートの歴史には昔からあることだが、作品のもっているパワーがそれだけ強烈だということの証。河童のような頭をした大仏さん、太陽王ルイ14世は‘朕は黄金は大好きじゃが、このカエルみたいな顔はなんとかならないのか’と言っているかもしれない。

スーパーおばあちゃんの草間彌生(1929~)、今年86歳、正月に放送された美術番組では毎日エネルギッシュにキャンバスにむかって描き続けていた。この元気さをみれば90歳になっても今のようにスピーディに手を動かしている姿を想像したくなる。フィレンツェ、バザーリの回廊に展示してある‘自画像’からは美を求める草間彌生の心意気がよく伝わってくる。

現在活躍している陶芸家の作品が並ぶ展覧会では伝統的な茶陶だけでなく、自由な発想がその抽象的な造形に深みと力強さを与えるオブジェ的な作品も数多くでてくる。﨑山隆之(1958~)の‘花器 聴涛’はアフリカのサハラ砂漠を進んでいたらこんな光景に出くわしそうなイメージを与える作品。

備前焼の隠崎隆一(1950~)は鋭い感性の持ち主、‘時の光景 結界Ⅰ’は一見するとアンフォルメルの画家、タピエスの抽象画を思い起こさせる。備前焼で魅せられているのは隠崎隆一と‘聖衣’などをつくった金重晃介、古田織部が愛した備前のアヴァンギャルドの精神をこの二人がしっかり受け継いでいる。

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2015.04.05

ズームアップ 名作の響き合い! 2009年

Img_0003     束芋の‘団地層’

Img_0002     束芋の‘悪人’

Img     十二代三輪休雪の‘龍人伝説 花園’

Img_0001     十二代三輪休雪の‘掌器’

元来人と話すことが好きなので、はじめて会う人でも気軽に話しかける。だから、アートフェアとかギャラリーへ出かければ今現在活躍中のア―ティストたちとも話がはずみ最新の美術事情についての情報が増えることはわかっている。

だが、今はそういう習慣がないので現在誰が美術界で注目されているのか、よく知らない。そういう人に遭遇するチャンネルはもっぱらTVで放送され美術番組。才能のある作家は自分が売り込まなくても周りがほっておかない。TV各局の腕利きプロデューサーが必ずフォローしてくれるので、毎年3,4人くらいは気になる作家としてインプットされる。

束芋(1975~)もTVで知ったア―ティスト。2009年横浜美で回顧展‘断面の世代’が開催されたときは、会場にいた彼女と遠慮もなくしゃべってしまった。小柄で感じのいい人、‘団地層’は3分弱のアニメのインスタレーション、団地という集合住宅は昭和の時代の風景、だからこれに焦点を当てるというのはノスタルジックな感覚、1970年代生まれの束芋はそこに昔住んでいたように団地の断面を切り出し、同じ間取りの部屋の中をなめつくすように細かく描き出す。まるで弁当箱は同じなのになかに入っている具が違う弁当をみているよう。

束芋は朝日の新聞小説‘悪人’の挿絵を描いた。新聞では縁がなかったのでその原画が非常に刺激的だった。言葉を失ってみていたのが女性の長い首をいくつかの手が重なり合うように絞めているもの。顔は唇以外は無く、右では気持ちの悪い口のお化けがなにかぶつぶつ言っている。シュール的でもあるしアンチンボルドが生み出した花や果物で顔を造形するグロテスクな人物画の香りもする。毒気がたっぷり入っており、‘悪人’のイメージにはピッタリ。

同じ手の描写でもぐっとエロチックなのが十二代三輪休雪(1940~)の‘花園’、これは‘龍人伝説’シリーズ(17点)のひとつで、龍人の手は愛欲のはじまり。休雪の陶芸における中心のテーマであるエロスがドキッとするほど生々しく表現されている。

‘掌器’はダブルイメージが使われた作品。手びねりで茶碗をつくる様子が想起され、そしてできあがった器を手に持って愛でている。シュルレアリスム感覚に誘われるといつも強く反応する。

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2015.04.04

ズームアップ 名作の響き合い! 2008年

Img_0003     ミヤケマイの‘秘密’

Img  安田侃の‘意心帰’(イタリア トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニ)

Img_0001     パトリック・ヒューズの‘水の都’

Img_0002     オロスコの‘ブギ・フルッティ’(部分)

7年前横浜高島屋で開かれたミヤケマイの個展、‘ココでないドコか’、どういうきっかっけでこのア―ティストに遭遇することになったか記憶がうすれているが、作品のイメージは強く心に刻まれている。その後、2011年にBunkamuraへでかけたとき、ここのギャラリーで行われていた‘膜迷路’というタイトルのついた個展にもでくわした。

2回とも会場にいた彼女と少し話をした。構えたところがなく気軽に話せる人だったのでまわりから好かれるタイプのア―ティストにちがいない。作品の構成には浮世絵の影響が強く出ている。‘秘密’はお気に入りの一枚。女性を忍者のように天井に張りつかせ、そこから下に置かれたバラを見させている。しかも顔の一部は画面からはみ出している。蜂が二匹顔の近くに飛んでいるのも憎い演出。ところで彼女は今40歳くらい?

イタリアにアトリエをもち魅力あふれる彫刻をつくり続けている安田侃(1945~)、存在感のある白大理石の丸い作品‘意心帰’はプッチーニの生誕150周年を記念してつくられたもので、この街の湖畔に永久設置されている。モチーフはプッチーニが作曲した‘蝶々夫人’、こういう作品は現地でみると感激は倍増するだろう。

イギリスのパトリック・ヒューズ(1939~)は人を楽しませる術に長けたア―ティスト、‘水の都’はBunkamuraでで開催された‘だまし絵’展(2009年)で多くの人の目を釘づけにした作品。正面から見ると遠近法のきいた絵をみている感じだが、左右に動くと途端に建物がぐにゃっと動きこちらにむかってくる。だから、何回も右に左に体を移動させたくなる。

今年の2月、東京都現美でオロスコ(1962~)の回顧展をみたとき、最も魅せられたのが大作‘ブギ・フルッティ’、ここでオロスコは円や半円、そしてきれいにカットされたガラスの破片のようなものをエレガントな調子で複雑かつ緻密に配置している。その心をとらえて離さない造形のひとつ々を生き生きと輝かせているのは赤と緑を基調とする明快な色彩。これはカンディンスキーが生み出した究極の抽象美にもひけをとらない傑作。

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2015.04.03

ズームアップ 名作の響き合い! 2007年

Img_0003     束芋の‘ドールハウス’

Img     マリーナ・カポスの‘築地の魚’

Img_0002     北川宏人の‘ワンピース・花柄’

Img_0001     高見澤英子の‘セルリア’

娯楽にはいろいろあるが、映画は10年ぐらい前までは劇場でみたりレンタルビデオを借りたりして結構見ていた。ところが、そのなかにアニメはあまり入ってこない。楽しんだものは宮崎駿のヒットした作品を4作くらい。

アニメとの密着度は弱いのに束芋(1975~)がつくるアニメのインスタレーションにはすごく引き込まれている。6年前銀座のギャラリー小柳でみたのは‘ドールハウス’、大画面に3階建てのミニチュアのドールハウスが現れる。しばらくするとなぜか手が出てきて家具などを置いていく。一体この手は何なの?ここで皮膚をかきむしらなくての、そして外からタコが侵入してきた。6分の短い映像だが、みた後も長い時間心に居座っていた。

マリーナ・カポス(1972~)は日本にやって来て東京をモチーフにした作品を制作、その12点がトーキョーワンダーサイト渋谷で展示された。魚の絵は築地へ出かけたときのイメージがもとになっている。ほかにもタコが画面全体で暴れているのもある。どれも魅力いっぱい、マリーナは日本が好きなようで名前を‘加甫州麻理奈’と漢字書きにしている。いつか大きな回顧展に遭遇できたら嬉しいのだが、はたして?

東京の渋谷や新宿などの賑やかな場所にでかけたときすれ違った若者が目の前に立っているという感じなのが北川宏人(1967~)がテラコッタでつくった人物像。表情の描写や衣装の色合いはリアルな現実をそのまま映している。感心するのは‘ワンピース・花柄’でもみられる北川のイタリアテイストの色彩。

ガラス・ア―ティストの高見澤英子(1969~)の作品、‘セルリア’に大変魅了されている。花器と花のバランスがじつにいい。視線が集中するのは横にぐるっと曲がった花の姿。この意表をつく造形は一度みたら忘れられない。

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2015.04.02

ズームアップ 名作の響き合い! 2006年

Img_0001     奈良美智の‘パフ・マーシー’

Img_0003     束芋の‘真夜中の海’

Img_0002     吉岡徳仁の‘パーネチェア’

Img     メサジェの‘ふくらんだりしぼんだり’(部分 パリ ポンピドー)

奈良美智(1959~)の描く少女は不二家の可愛らしいペコちゃんと瞬間的に結びつくが、バリエーションのなかには目をつりあげ、過激な言葉をあびせ大人をタジタジにさせるキャラクターも登場する。‘パフ・マーシー’もそのタイプの作品。柿を連想させるお河童髪の少女は首も胴体もなく顔だけ、その表情はどうも不機嫌、こういうときは近づきすぎると厄介なことになるから遠くで眺めていた。

品川駅の近くにある原美、一度束芋(1975~)の回顧展(2006年)をみるため訪問した。普段はあまり関心のない美術館だが、このときは例外でEテレの番組‘トップランナー’で知った束芋の作品がみたくて出かけた。

‘真夜中の海’は4分の映像インスタレーション、髪のお化けみたいなものが波にすり替わったりする荒々しく呪術的な雰囲気の漂う映像だった。束芋の作品にはちょん切られた指とか不気味に変形した手などが登場するのが特徴。こうした自殺とか変死といった人生の影の部分も意識させる構成はアートが社会の実相を反映していること主張するためには必要なこと。この展覧会をみて束芋という女性作家が気になる存在になった。

吉岡徳仁(1967~)の‘パーネチェア’は‘ハニーポップ’同様、これまでの椅子の概念をごろっと変えた作品、柔らかい素材でもその構造の特性を利用してしったりと強度をもつ形に変えることができる。こうしたユニークな作品には海外のブランド美術館のMoMAやポンピドーなどもすぐ飛びつき永久所蔵品に選定した。

大きな枕や座布団、ぬいぐるみの手や足などがあちこちに置かれた部屋にしゃがみこんでいる女性はフランスのア―ティスト、アネット・メサジェ(1943~)、今年73歳だが創作意欲はますます盛んといったところ。

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2015.04.01

ズームアップ 名作の響き合い! 2005年

Img_0002     奈良美智の‘あおもり犬’(青森県美)

Img     中島晴美の‘WORK-0506’

Img_0003     植木寛子の‘向日葵の蕾’

Img_0001     舟越桂の‘戦争をみるスフィンクス’

村上隆とともに注目している日本人ア―ティストは青森の弘前市出身の奈良美智(1959~)。その作品に最接近したのは9年前弘前で行われた大規模な展覧会‘A to Z’、美術というのは時々好奇心をどっと突き上げ、鑑賞のために多くのエネルギーを使わせる。勢いにまかせてクルマで青森まで行ってしまった。

青森県美で出会ったのが大きな立体作品‘あおもり犬’、高さは8.5m。地下2階の野外トレンチに設置されており、美術館の名物作品となっている。これほど大きな犬の像はこれまで国内でも、またよその国でもつくられたことはないのではなかろうか。この作品は奈良美智が青森が誇る芸術家のひとりであることを物語っている。

中島晴美(1950~)は水玉模様がトレードマークの陶芸家、女性のような名前だがじつは男性。以前から柔らかく丸みのある造形に魅せられてきた。下にのびる丸い突起物は深海を探索していたら突然姿を現した新発見の海中生物のような感じ。磁土という素材からこんな作品を生み出す中島の造形感覚と技の高さ、視線が釘付けになる。

2011年サントリー美で行われたヴェネチアン・グラスの展覧会で才能豊かな日本人グラス・ア―ティストに遭遇した。2002年からムラーノ島にアトリエを構えて制作している植木寛子(1978~)、今年37歳。‘向日葵の蕾’の前ではドキッとした。シュールな感情を抱かせる女性の足、その色がいかにもイタリア的、そして装飾として使われた向日葵の蕾。参りました!

舟越桂(1951~)の‘戦争をみるスフィンクス’は衝撃的な作品。スフィンクスが両性具有であるのはアングルの絵などでイメージできるが、顔はだいたい女性と決まっている。ところが、このスフィンクスの顔と体はエジプトの神官を連想させる男性。だから、得体の知れないこの怪物をじっとみていると体がちょっと強張る。

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