2014.03.27

4月 Eテレで白熱教室‘行動経済学入門’!

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長年月末購入していたテレビガイド誌‘TV太郎’が3月で休刊になった。同じようなものが4,5冊あるがあまり売れないのかもしれない。わが家ではこのテレビガイドは美術番組の情報を得る貴重な媒体なので、代わりとして一番売れてそうな?‘TVnavi’にスイッチした。

ルーチンとしてまず目を走らせるのは定番の‘日曜美術館’&‘美の巨人たち’、その次がBS朝日の‘名画の旅’(金曜、9時)。でも、困ったことが。この本にはTV太郎には記載されていた番組の内容がなし、これは不便。
ほかでチェックするのはBSTBSの‘江戸のススメ’(月曜 10時)とBSプレミアムの‘イッピン’(火曜 7時半)

美術関連の番組はこれくらいだが、ほかの分野のものもざっとみる。関心を寄せているのがBS朝日の‘BBC地球伝説’、Eテレの‘地球ドラマチック’と‘白熱教室’、‘白熱教室’は毎回欠かさずみているわけではないが、おもしろそうなもののときはチャンネルをまわす。明日は今楽しくみている‘MITの物理学教室’の最終回がある。

この番組、4月は興味深いテーマが登場する、題して‘お金と感情と意思決定の白熱教室~行動経済学入門~’(金曜 11時) 日程はつぎの通り、
①人間は‘不合理’な存在である!(4/4)
②こうしてあなたも人に迎合する!(4/11)
③人々の感情を動かすにはどうするか?(4/18)
④だからあなたはダイエットに失敗する!(4/25)

この講義をする先生はギリシャ神話のシシュフォスの話(拙ブログ13/5/15)が出てくる‘不合理だからすべてがうまくいく’(2010年 早川書房)を書いたデューク大学のダン・アリエリー教授、2冊でている本を読んだので1から4回のタイトルがどんな話なのかおおよそ推察できるが生の講義だからおもしろいにちがいない。ここ10年くらい行動経済学に知的エネルギーを注ぎ込んでおり、関連の本もだいぶ読み理解が進んだ。だから、アリエリー教授の講義はとても楽しみ。

2006年5月に出版された友野典男著‘行動経済学 経済は感情で動いている’(光文社新書)はよく書けているいい本。行動経済学に関心のある方にはお薦めしたい。

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2013.05.15

働くことの意味  実験に使われたシシュフォスの神話!

Img_0001_2     マイケル・マクローン著‘ギリシャ・ローマ神話’(00年 創元社)より

Img_2     ティツィアーニの‘シシュフォス’(1548~49年 マドリード プラド美)

ギリシャ神話に魅せられており、定期的にこれまで読んだ本の頁をぱらぱらめくったり物語が絵画化されたものをながめている。ある物語が行動経済学の‘不合理だからすべてがうまくいく’(ダン・アリエリー 10年 早川書房)にでてくるので今日はそのことを。

ダン・アリエリーは行動経済学の分野で活躍しているデューク大学の教授(NY生まれのイスラエル人)。‘予想どおりに不合理’に次いで上梓した‘不合理だからすべたがうまくいく’のなかに働くことの意味を解明するために行われた実験が紹介されている。

実験協力者は学生でレゴのバイオニクル(小さな戦闘用ロボット)を組み立てて報酬をもらう。学生会館に張り出された‘レゴでこづかい稼ぎをしよう!’をみて組み立てが大好きな学生たちが集まってきた。いつもように参加者は条件の違う2つのグループに分けられる。‘意味あり’条件と‘シシュフォス条件’

‘意味あリ’条件ではバイオニクルを1体組み立てるたびに2ドルもらえる。報酬は11セントずつ減っていく。時間制限なし。‘シシュフォス’条件のほうはちょっとおもしろい。報酬の金額も時間制限なしも同じ。二つのグループのちがいはこう。

‘意味あり’では参加者のジョーが40個のピースを正確に組み立ててつくったロボットは1体、2体とできあがると台に置かれる。これに対して‘シシュフォス’ではチャドが1体をつくって2体目にはいると、実験者のショーンは1体目を分解する。

チャドはこれに驚いて‘ち、ちょっと、なに壊してんだよ?’という。すると、ショーンは‘なあに、ただの手順さ、きみがもう1体バイオニクルをつくるときのために、ばらしておかないとね’と説明する。

はたして、ジョーは10体つくり15ドル5セントをゲットしていい気分で帰っていった。一方チャドは4体つくって7ドル34セントを受け取った。ショーンがこの仕事を楽しんだかと尋ねるとチャドは‘そうだな、レゴで遊ぶのは好きだけど、この実験はそう楽しいってほどじゃなかった’と肩をすくめていった。

ジョーはこの仕事はその場かぎりのものであることはわかっていたが、仕事に意味があると思い楽しみながらバイオニクルをつくり続けることができた。ところが、チャドは自分の作品が少しずつ解体されていくのを見せつけられ、自分の仕事に意味がないと思わざるをえなかった。

この実験は仕事の喜びをやる気に変えられるかどうかは自分の仕事にどれだけ意味を見いだせるかにかかっているということを示している。

コリントスの王、シシュフォスは神の怒りにふれ冥界で巨大な岩を転がして険しい丘の上まで運び上げるように命じられる。ふつうならこれだけ大きな岩だから50個くらい運べばまあこらえてやろうかとなるが、ギリシャの神はそんなのは罰のうちにはいらないと気が遠くなるような罰を与える。

丘のてっぺん近くにくると岩をポンと押し、ふもとにまで転がり落とす。ありゃー、また一からやり直し、‘こんな無駄な骨折りは勘弁してよ!’とシシュフォスは未来永劫呟くことになる。

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2013.05.13

ピーク・エンドの法則と展覧会の展示方法!

Img_4     マッテオ・モッテルリーニ著‘経済は感情で動く’(2006年)より

Img_0002_3     ミュンヘン アルテ・ピナコテーク

拙ブログの画面の左側には‘お気に入り本’を載せている。多くは美術関連の本なのだが、ほかの分野のものもある。行動経済学もそのひとつ、以前紹介したことのあるコロンビア大学ビジネススクールのシーナ・アイエンガー教授が上梓した‘選択の科学’(12/2/13)と‘予想どおりに不合理’‘不合理だからすべてがうまくいく’(ともにダン・アリエリー)

タイトルに使った‘ピーク・エンドの法則’は同じく行動経済学を扱った‘経済は感情で動く’(08年 紀伊国屋書店)という大変おもしろい本にでてくる話。著者はイタリア人のマッテオ・モッテルリーニ氏。この本には心理学の興味深い実験がいろいろでてくる。‘ピーク・エンドの法則’はその一例。実験は虫歯の治療を受けている人に対して行われたもの。

上の図の黒の部分が治療中に感じた痛みで、時間の経過で示されている。患者Aは8分で終わり、患者Bの場合は24分ガリガリやられている。こういう実験に協力する人は大変、治療のあいだ60秒ごとに‘0’(苦痛なし)から‘10’(極端な苦痛)をいわされる。そして、治療が終わったあと感じた苦痛を全体として評価する(ここでも‘0’から‘10’の段階で)。

興味深いのはこの苦痛の全体的な判断について、治療時間は患者の判断には影響しないことがわかった。この判断には治療のあいだに感じた苦痛の強さ(ピーク時)と最後に感じた苦痛の強さ(エンド時)が明らかに関連していた。

この例だと、ピークとエンドの平均は患者Aより患者Bのほうが小さい。AもBもピークの痛さは変わらないが、Aの治療はかなりの苦痛を伴って終わった。で、実験者はBのほうが痛みはひどかったのに、治療はいやだという記憶はそれほど強くないと結論付けた。

定期的に歯の治療を受けガリガリやられているので、この‘ピーク・エンドの法則’は腹にストンと落ちた。たしかに最後が痛かったときはそのショックは尾をひく。これに対し、治療が長くかかってもソフトランディングで終わるとブルーな気はそう重たくない。

この法則を展覧会で受ける感動にあてはめてみた。名画を展示する場所をどこにするかは主催者もいろいろ検討する。大体目玉の作品は導線でいうと真ん中あたりにもってくることが多い。最初の部屋に目玉は配置しない。

‘ピーク・エンドの法則’でいってるように展覧会の鑑賞に要した時間は全体の満足度に影響しない感じがする。目玉作品から受けた感動がとても大きくて、最後の部屋にあった作品がぐっとくれば展示室を出たとき‘ああー、いい展覧会だったね!最高にいい気分’となる。

現状では最後の部屋は‘終わりよければ、すべてよし’的な思いで作品は配置されていない。‘ピーク・エンドの法則’に習って最後の部屋には意識的にいい作品を並べるのもひとつの方法。展覧会の楽しい気持ちがいっそう高められる効果はある。三菱一号館美であった‘クラーク・コレクション展’ではルノワールの傑作が真ん中の大きな部屋だけでなく最後の部屋にもどどっと展示してあった。ひょっとするとこの法則を知っているのかもしれない。

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