2012.03.11

3.11 東日本大震災から1年

3619_2     ‘平等院鳳凰堂 阿弥陀如来坐像’(平安時代後期・1053年)

3618_2     ‘広隆寺 弥勒菩薩半跏像’(7世紀)

3620_2     ‘当麻曼荼羅縁起’(鎌倉時代・13世紀 神奈川 光明寺)

3621_2        小林古径の‘観音’(1940年)

昨年3月11日に起きた東日本大震災から1年がたった。いつもは時間がすぎるのは早いなと思いながらすごしているのに、この1年はとても長く感じられた。想像を超えた大地震、そしてそれに伴う福島の原発事故、処理がなかなか進まない瓦礫の山、、

急がれるのは街の復興計画の具体案づくりと迅速な実行。復興庁には現地の自治体と緊密に協議を重ね一日でも早い街の復興にむけて全力で取り組んでもらいたい。

拙ブログでは大震災のあと‘癒しのアートにつつまれて!’を立ち上げたが、今日は1年経ったのでまた仏像や仏画が載っている美術本を広げて静かに手を合わせている。こういうとき長く拝んでいたくなるのはやはり平等院の‘阿弥陀如来坐像’(11/3/22)と広隆寺の‘弥勒菩薩半跏像’。

光明寺にある‘当麻曼荼羅縁起’は昨年東博であった‘法然と親鸞’展に出品された。来迎の場面が描かれたものとしては知恩院にある‘阿弥陀二十五菩薩来迎図(早来迎)’とこの‘当麻曼荼羅縁起’(ともに国宝)が双璧。

早来迎のほうはスピード感を感じるのに対し、‘当麻曼荼羅’では阿弥陀や菩薩は音楽が奏でられるなか黄金に色づく空をゆっくりと降りてくる感じ。この場面をみていると死の恐怖が消え有難い気持ちになる。

小林古径の横向きの十一面観音にも癒される。この絵をみたのはまだ一回しかないが、05年にあった回顧展の図録をときどきみて心をしずめている。

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2011.04.04

癒しのアートにつつまれて! 永遠の女性美

2539_2     ボッティチェリの‘ヴィーナスの誕生’(1485年)

2538_2     ミケランジェロの‘デルフォイの巫女’(1508~09年)

2541_2        フェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’(1665年)

2540_2          ルノワールの‘女優ジャンヌ・サマリーの肖像’(1878年)

西洋の宗教画はルネサンスになると人物描写はぐっと人間らしくなる。だから絵との距離も心理的にはすごく近い。絵にもっと近づきたい気持ちにさせ、そして心が鎮められる絵の筆頭はボッティチェリ(1444~1510)の描いた‘ヴィーナスの誕生’。My‘永遠の女性美’は彫刻では‘ミロのヴィーナス’とミケランジェロの‘ピエタ’、絵画では‘ヴィーナスの誕生’。

フィレンツェのウフィツィ美での楽しみが‘ヴィーナスの誕生’なら、ローマのシスティーナ礼拝堂に入ったとき天井画でいの一番に捜すのはミケランジェロ(1475~1564)の‘デルフォイの巫女’。この大きな目にうっとりする。腕とか足は男性っぽいがこの愛くるしい顔がそんなことを忘れさせる。

ボッティチェリ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロ、皆心を打つ美しい女性を描いた。そして、ヴェネツィア派のベリーニ、ティツィアーノも親しみやすくて美しい女性を描くことでは負けてない。例えば、ティツィアーノの‘聖母被昇天’の聖母は完璧に癒される美しさをたたえている。

男性でも女性でも肖像画では目がポイントであることはいうまでもない。やさしい目、憂いのある目、そんな女性をじっとみているだけで心は自然と落ち着く。フェルメール
(1632~1675)の振り返る一瞬をとらえたような‘真珠の首飾りの少女’にぞっこん惚れている。少女は半身像、これだけ内面がしんみり伝わってくるとかえって近づけない。この絵は嬉しいことに来年7月、新東京都美の開館記念展にやってくる(拙ブログ09/10/28)。その前に現地で会うことになりそうだが、再会するのは何回あってもいい。

ルノワール(1841~1919)の女性画は日本画の鏑木清方同様、数多くでとりあげてきた。1点々好みの順位をつけてはいないが、上位にランクづけしているものはほとんどご登場願った。この女優ジャンヌ・サマリーの肖像も以前エルミタージュ美のお宝として紹介した。10年以上前になるが損保ジャパン美にやってきたので、このすばらしい女優の立ち姿を楽しまれた方も多いはず。こういう明るくて性格のよさそうな女性が周囲にいると本当に気も晴れる。

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2011.04.03

癒しのアートにつつまれて!  女性画

2534_2     黒田清輝の‘湖畔’(重文 1897年)

2535_2       上村松園の‘母子’(1934年)

2536_2     鏑木清方の‘たけくらべの美登利’(1940年)

2537_2           片岡球子の‘むすめ’(1974年)

拙ブログは西洋絵画でも日本画でも女性を描いた作品を数多くとりあげてきた。絵画が好きなのは美しい女性や清らかな女性と会えるからといっても過言でない。そのお気に入りの女性画のなかから、心をとてもとても癒してくれるものを選んでみた。まずは日本の絵から。

子供を描いた癒し系の絵で最もいいのは岸田劉生の麗子像。では、大人の女性で心を静めてくれるのはどの絵か。すぐ頭に浮かぶのは黒田清輝(」1866~1924)の
‘湖畔’。この絵は美術の本には必ず載っているからすごく目に馴染んでいるが、実際にみたのは3回しかない。

この前みたのは07年東京芸大美?であった‘黒田清輝展’。07年から東博の管理になり、平常展(本館1階)でみる機会が多くなるのかなと思っていたが、あまり登場しない。見逃したのかもしれないが、もう4年経った。そろそろ対面したいところ。

東近美が所蔵する上村松園(1875~1949)の‘母子’は日本画の聖母子像。後ろ頭にちょこっと髪を残した坊やを母親はやさいい眼差しでみつめている。昨年あった大回顧展にも出品されたから、同じように癒された方は大勢おられるのではなかろうか。

鏑木清方(1878~1972)の描く女性画をこよなく愛しているので、これまでこの画家の作品を沢山紹介してきた。そのなかで心が安まる女性というと京近美にある‘たけくらべの美登利’。この絵に魅せられるのは構図が三角形になっているから。そして水仙をもつきれいな手にも惹きつけられる。

片岡球子(1905~2008)の‘むすめ’は山種の所蔵。丸ぽちゃの顔がとても愛らしい。不安なときとか暗い気分のとき、こういう天性の明るさをもった女性に出会うと救われる。女性はやはり太陽みたいな存在である。

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2011.04.01

癒しのアートにつつまれて!  日本の子供たち

2530_2     岸田劉生の‘麗子微笑’(重文 1921年)

2529_2          竹久夢二の‘かげやとうろくじん’(1912年)

2532_2     ‘橘直幹申文絵巻’(部分 重文 鎌倉時代)

2531_2     渓斎英泉の‘木曾街道 倉賀野宿・烏川之図’(江戸時代 天保中期)

日本で子供が描かれた絵を絵巻から水墨画、江戸絵画、浮世絵、近代日本画、洋画までひっくるめてみたとき、癒される作品としてすぐ頭に浮かぶのは岸田劉生(1891~1929)の‘麗子微笑’(東博)

この絵は日本画と違って油彩なのだから、常時展示されているのが本来の姿。でも、重文に指定されているので展示期間が制限され、ある一定の間隔でしかみることができない。パリのオルセーはいつ行ってもルノワールの傑作‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場’を楽しむことができるのに、世界に誇れるこのすばらしい麗子像はたまにしかみれないのである。

油彩の場合、展示ルールはまったく意味がない。こんなつまらない展示の仕方はいい加減やめてもらいたいが、日本の美術館は権威主義で頭の硬い人が多いからこの願いは100%実現しない。洋画の最高傑作である麗子像は東博にやってくる外国人を
200%いい気持ちにさせるのは間違いないのに、本当に残念。

竹久夢二(1884~1934)には雑誌の表紙などを含めると子供の絵が沢山ある。その中ですごく惹かれているのが地面に影を映す男の子の絵。こういう絵は描けそうで描けない。黒でなく青の影だが、違和感なくすっと目のなかにおさまるのが不思議。

出光美が所蔵する‘橘直幹申文絵巻’の巻頭に肩の力のぬける風俗描写がでてくる。5,6年前、これを出光でみたときは目が点になった。鎌倉時代にこんな楽しい絵があったとは!万屋の店先で女が忙しく働いており、女の横では裸の幼児がなにかを手伝っている。じつにいい光景。

西洋画に描かれた大勢の天使を連想するのが渓斎英泉(1791~1848)の絵。茶店の裏手の川で母親は洗い物をし、男の子たちは楽しそうに水遊びをしている。とても心が和む。

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2011.03.31

癒しのアートにつつまれて!  子供の絵

2526_2        フォルリの‘ヴィオラを弾く天使’(1480年)

2527_2     ベラスケスの‘赤いドレスのマルガリータ王女’(1654年)

2525_2     ゴヤの‘マヌエル・オソーリオ・デ・スーニガ’(1788年)

2528_2       ハルスの‘笑う少年’(1627年)

西洋絵画をみていて可愛い天使や子供を描いた作品にでくわしホットすることがよくある。そのなかからとくに気に入っているのをならべてみた。

天使の絵、NO.1はヴァティカン博にある‘ヴィオラを弾く天使’(拙ブログ10/3/12)。これは1480年頃、メロッツィオ・ダ・フォルリ(1438~1494)によって教会の後陣に描かれた。フレスコ画なので描かれた当時の色がそのまま残っており、明るく輝く天使のカールした金髪に心を奪われる。

ベラスケス(1599~1660)の描いた王女マルガリータのなかでは3歳ころの肖像に最も惹かれている。赤とグレイの組み合わせがとてもいい衣裳を着て、しっかりポーズをとる姿には王家の子供の雰囲気が漂っている。所蔵するウィーン美術史美の図録に収録されたマルガリータの肖像3点のうちこの図版が一番大きい。だから、日本には貸し出さないだろうと思っていたら、なんと3年前国立新美の展覧会にやって来た!

肖像画を500点くらい描いたゴヤ(1746~1828)に1月またのめりこんだ。子供の絵でかぎりなく好きなのが赤いコンビネゾン(つなぎ服)を着た男の子の絵。これをみるのがメトロポリタン訪問の楽しみのひとつになっている。この男の子とオスーナ公爵家族の肖像に描かれた4人の子供たちをみると、真に心が安まる。とにかくゴヤは子供を愛らしく描く。

笑う人物を描かせたらハルス(1580~1666)の右にでる者はいない。子供でも大人でもその屈託のない笑顔をみているとこちらも自然と頬がゆるむ。これはフェルメールの絵があるマウリッツハイス美が所蔵している。

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2011.03.23

癒しのアートにつつまれて! 西洋彫刻

2506_2            ‘ミロのヴィーナス’(紀元前100年頃 ルーヴル美)

2503_2     ミケランジェロの‘ピエタ’(1498~1500年 サン・ピエトロ大聖堂)

2504_2        ミケランジェロの‘聖母子と幼児聖ヨハネ’(1505年 バルジェロ美)

2505_3        ロッビアの‘女性の肖像’(1465年 バルジェロ美)

昨年2度イタリアを訪れ、古代彫刻やルネサンスに活躍したドナテッロやミケランジェロ、バロック時代のベルニーニの彫刻を沢山みたおかげで西洋彫刻の流れがだいぶわかるようになった。その造形は力強い男性彫像から優美な雰囲気をたたえたヴィーナス像、そして人物を写実的に表現したものまでいろいろある。

心を鎮めてくれる彫刻というとすぐ頭をよぎるのがルーヴルにある‘ミロのヴィーナス’。ルーヴルは08年、昨年の2回とも絵画中心の鑑賞に終始したので、有名な‘ミロのヴィーナス’や‘サモトラケの勝利の女神’は展示室を移動中横目でちらっとみて‘うんうん、ここにあるんだよな’ですましている。

‘ミロのヴィーナス’はS字にゆるく曲がる人体描写がなんといってもすばらしい。手は一体どうなっていたの?TVでみたシミュレーション映像を思い出しイメージしてみるのだが、それはすぐどうでもよくなり目に焼きついているこの美しいプロポーションに見蕩れてしまう。

数ある西洋彫刻のなかで最も心が癒されるのはミケランジェロ(1475~1564)の‘ピエタ’。キリスト教徒ではないから宗教的に感情が高ぶることはないが、この聖母マリアの姿をみていると、世の中の母親が子供に抱く愛情というものはかくも大きく、子供はいい子だってできの悪い子だって皆同じように母親の深い愛情によって守られているのだと、言い聞かされているような気持ちになる。

彫刻は絵画と違って立体なので、聖母子像も目の前に聖母と幼子イエスがいるような錯覚を覚える。このリアル感が彫刻の魅力。昨年ミケランジェロの円形浮彫りを3点みたが、フィレンツェのバルジェロ国立美にある‘聖母子と幼児聖ヨハネ’が一番印象深い。

バルジェロ美にはもうひとつ心の安まる浮彫りがあった。それはロッビア(1399~
1482)が制作した色つきの‘女性の肖像’。とても線の細い静かな女性で、息を呑んでみつめていた。彩釉の技法を確立したロッビアはフィレンツェにある孤児養育院に青地に映える愛くるしい幼児を描いた円形浮彫りを残している。次回はこれを是非みようと思っている。

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2011.03.22

癒しのアートにつつまれて! 仏像

2499_2      平等院 定朝作‘阿弥陀如来坐像’(1053年)

2500_2        広隆寺 ‘弥勒菩薩半跏像’(7世紀)

2501_2        中宮寺 ‘菩薩半跏像’(7世紀)

2502_2     興福寺 ‘阿修羅’(734年)

最近は国内を旅行する機会が少なくなっているが、大地震とそれによって引き起こされた想像を絶する津波が東北・関東にもたらした甚大な被害や福島第一原発の容易ならざる事態を映像や新聞の写真でみるにつけ、今すぐにでも京都や奈良へでかけ仏像の前でずっと祈っていたくなる。

こういうときにすぐ思いつく仏像はある程度絞られる。とにかく穏やかな顔をしている仏さんとか静かでやさしい雰囲気をもった仏像の前に立ちたい。宇治平等院へはまだ一度しか行ってないが、鳳凰堂にある国宝‘阿弥陀如来坐像’の非常にはっきりした顔立ちは目に焼きついている。金色といい安定した形といい、その穏やかで調和のとれた阿弥陀さまの姿をみていると気持ちが自然と落ち着いてくる。

微笑みの仏像として有名なのが広隆寺と中宮寺にあるもの(いずれも国宝)。二体とも本物をみたのはもう随分前のことだが、その高い芸術性が感じられる造形はいつまでも体の中に残っている。‘弥勒菩薩半跏像’は7世紀前半、朝鮮から伝来した新羅仏という説が有力。右膝に肘を立てて細い指を頬にあてる姿はとてもやさしく、そしてかぎりなく美しい。

新羅仏にくらべると中宮寺にある‘菩薩半跏像’はいくぶん丸みをおびた顔をした日本オリジナルの微笑み像。その表現はより優美で写実的になり、像の前では心が静かに浄化されいくようだったことは今でもよく覚えている。この二つの半跏像は世界に誇る日本の宝ではなかろうか。

興福寺の‘阿修羅’(国宝)をみていると本当に癒される。2年前東博にやってきて大勢の観客を集めたが、地元奈良へ帰ってからは新装された国宝館に飾られ、相変わらず存在感抜群の姿で人々に感銘を与え続けている。今は阿修羅にひたすら祈りたい。

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2011.03.21

癒しのアートにつつまれて! ダ・ヴィンチ コレッジョ ムリーリョ

2495_2     ダ・ヴィンチの‘聖アンナと聖母子’(1502~16年 ルーヴル美)

2496_2     コレッジョの‘幼いキリストを礼拝する聖母’(1525年 ウフィツィ美)

2497_3     コレッジョの‘バスケットの聖母’(1525年 ロンドンナショナルギャラリー)

2498_2          ムリーリョの‘ロザリオの聖母’(1650~55年 プラド美)

数多くある聖母子や聖家族の絵のなかで心が鎮めれられるものはラファエロのほかにまだいくつかある。ダ・ヴィンチ(1452~1519)が描いたもので癒しの絵はなんといっても‘聖アンナと聖母子’。聖アンナの慈愛にあふれる顔をみるたびに、男でも女でも子供でも大人でも人は母親の愛に抱かれているときが一番幸せだなと思う。

ラファエロの5,6歳年下のコレッジョ(1489~1534)の聖母子にも大変魅せられている。この画家に開眼したのは03年に訪れたドレスデン美で‘聖夜’をみてから。そしてその3年後、ウフィツィで以前は気にもとめてなかった‘幼いキリストを礼拝する聖母’と遭遇し、聖母子ならラファエロとコレッジョ、そしてムリーリョが決定的になった。

コレッジョの描く聖母マリアはラファエロよりさらに母親の深い愛情が感じられ、やさしい眼差しで生まれたばかりのキリストをみつめている。コレッジョは小さいころから内気な性格だったようで、まわりの人たちに対しても心やさしかったにちがいない。この絵はこれまで見たコレッジョ作品のなかで最も印象深いものだが、5年くらい前西洋美にやってきた。

ロンドンナショナルギャラリーが所蔵する‘バスケットの聖母’も心がとても安らぐ絵。赤ちゃんを膝にのせたお母さんの姿はどこにでも目にする光景。これほど人間味にあふれる聖母子像はみたことがない。奥のほうで仕事をしているのは父親ヨセフで、強い絆でむすばれた家族の情景が生き生きと描かれている。

ムリーリョ(1617~1682)の絵はプラド美の感想記で紹介したばかりだが、この絵をはずすわけにはいかない。コレッジョの絵から130年くらいあとだから、人物描写もさらに身近になっている。聖母マリアはスペインの街を歩けばすぐにでもでくわすような若い女性という感じ。赤ちゃんも可愛いいから、かけよって声をかけたくなる。

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2011.03.20

癒しのアートにつつまれて! ラファエロ

2491_2        ‘小椅子の聖母’(1513~14年 ピッティ美)

2492_2         ‘システィーナの聖母’(1513年 ドレスデン国立絵画館)

2493_2        ‘ベルヴェデーレの聖母’(1506年 ウィーン美術史美)

2494_2            ‘大公の聖母’(1504~05年 ピッティ美)

世の中には絵画が好きな人は大勢おられるが、絵もいろいろあるから心の安まる絵も人それぞれ。風景画に心を奪われる人もいれば、女性画に夢中の人もいるだろう。また、宗教画を中心に美術館を巡っている人も多い。そして具象画だけが見る人に感動を与えるわけではなく、表現媒体としての絵画の可能性は広く抽象絵画やコンテンポラリーアートによって精神がリラックスする人だっている。

西洋絵画のなかで大きな割合を占めているのが宗教画。だから、海外の美術館めぐりをしていると聖母マリアやキリストを描いた絵には数多く出くわす。そのなかでとりわけ惹かれているのがラファエロ(1483~1520)の描く聖母子像。美術ファンなら誰しも生涯の思い出となる絵との遭遇があるはず。‘小椅子の聖母’(拙ブログ05/1/4)と‘システィーナの聖母’(10/8/17)はまさにそんな絵。

‘小椅子の聖母’があるのはフィレンツェのピッティ宮殿。ここは通常のツアーは行かない。だから、訪問するとしたら自由時間のとき。でも、はじめてのフィレンツェだとこの時間がミケランジェロの‘ダヴィデ’が展示してあるアカデミア美とかドゥオーモの頂上のぼりなどにあてられることが多いから、街の中心からすこし離れたピッティ宮殿まで足が向かわない。

ここはまだ一回しか行ってなく、記憶が薄れてきたので次回のフィレンツェでは必ず行こうと今から決めている。顔をくっつけるようにしている聖母マリアと幼子キリスト。でも、この絵の前では宗教画をみている感じはしない。ほのぼのとした親子の情愛にあふれるこの絵をみていると真に心が癒される。

ドレスデン美にある‘システイーナの聖母’は下にいる二人の天使の姿がじつに愛くるしい。ひとりは頬杖をつき、もうひとりは手の上にあごをのせて上のほうを眺めている。ベリーニもティツィアーノもルーベンスも天使をいっぱい描いているが、可愛さではこの二人が横綱。

三角形構図で描かれた聖母子ではルーヴルにある‘美しき庭師’(08/2/25)とウィーンの‘ベルヴェデーレの聖母’がお気に入り。どちらの絵でも聖母は本当にやさしいお母さんという感じ。ピッティ宮殿にはもうひとつ心が和む聖母子がある。‘大公の聖母’。マリアが抱くキリストは赤ちゃんそのもの。昨日は岩手県山田町の避難所で赤ちゃんがお風呂にいれてもらっていた。お母さんも大喜び。

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2011.03.19

癒しのアートにつつまれて! 棟方志功

2490_2          ‘弁財天妃の柵’(1974年 棟方板画美)

2487_2     ‘両妃飛天図’(1956年)

2488_2     ‘桃太郎図屏風’(1953年 棟方板画美)

2489_2       ‘みみずく図’(部分 制作年不詳)

東北・関東に大きな被害をもたらしたM9.0の巨大地震が起きて一週間がたちました。犠牲者の数の多さ、家が津波や地震で壊され、愛する家族や友人、知人を失なわれた多くの方々のことを思うと本当に心が痛みます。復興へむけての支援といってもできることといったら義援金くらいしかないのですが、横浜にいてこの地震を同時に体験しましたから、これから長い復興の道を歩まれる被災者の方に心を寄せて暮らしていこうと思っております。

拙ブログはアートの鑑賞記を中心に毎日更新しているのですが、地震に見舞われて今辛い思いをされている方々の気持ちがすこしでも和らぎ、心の平穏が保てることを願いまして新シリーズ‘癒しのアートにつつまれて’(不定期)をスタートさせることにしました。

現代にあっては芸術が宗教かもしれません。西洋画でも日本画でも、また彫刻でもアートには心を癒してくれるもの、そして静かに祈りたくなるようなものが沢山あります。そんな作品をできるだけ多く集めてみようと思います。一回目は東北が生んだ偉大な版画家、棟方志功。

棟方志功(1903~75)の作品は最近とんとご無沙汰している。これは3年前までは半年に一回のペースで出かけていた鎌倉の棟方板画美の作品をほとんど見終わったから。で、棟方の絵を見る機会は日本民藝館のみになった。作品をアップする回数はぐっとへっているが、画集は一定のサイクルで眺めている。今回、癒し系とか元気がでそうな絵を選んだ。

このシリーズを思いついたとき真っ先に頭に浮かんだのが‘弁財天の柵’(拙ブログ05/11/5)。豊満な女人像の大首絵はいくつもあるが、この絵が最も気に入っている。立姿の仏像画では青森の記念館にある絵(06/9/26)に癒される。躍動感のある姿に見蕩れるのが‘両妃飛天図’。鮮やかな黄色や緑の色使いが心をふわふわさせてくれる。

画面全部を使って描かれている桃太郎は目がきりりとして勇ましい。大きな目、ふっくらした頬、太い手足。幼稚園くらいの子供にこうした格好をさせお化粧をすると可愛いくなる。子供の笑顔は悲しいとき皆を和ませる。志功の生き物の絵には鷲や鯉などもあるが、可愛いのはみみずく。この枝に止まっているみみずくはそれぞれ目の描き方が異なり個性を持たせている。どのみみずくもすぐゆるキャラとしてでデビューできる。

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