2018.03.26

日本の美! 広重の桜

Img     ‘江戸名所 御殿山花盛’(1853年)

Img_0001     ‘東都名所 上野東叡山ノ図’(1830~44年)

Img_0002     ‘東都名所 日暮里’(1830~44年)

Img_0004     ‘江戸近郊八景之図 小金井夕照’(1835~44年)

今年は桜の開花が想定外に早く、上野、千鳥ヶ淵、目黒といった桜の名所は大賑わい。その様子をTVのニュースでみるとそこに瞬間移動したい気分になってくる。週の初めの月曜日だが、これだけ桜が満開だと仕事はそこそこにして宴席にくりだす人が多くいることだろう。

上野で酒盛りをしたことはないが、その傍をニヤニヤしながら通ったことは二度や三度はある。3年くらい前はタイの観光客が大勢いたが、今年はどうだろうか。タイの人だけでなく中国人も相変わらず多い?上野で外国人がサクラを楽しむ光景はもう普通のことかもしれない。彼らはスタンド式の丸テーブルのまわりに陣取って缶ビールを飲んだりしているが、これにも目が慣れてきた。

昨年、浮世絵の展覧会は鈴木春信展(千葉市美)や北斎展(あべのハルカス美)などが目を楽しませてくれたが、今年は太田記念美のような専門館除けば関心をひくものがまだ入ってきてない。これはどうしたことか、ずっと開催されてきた里帰り展がストップしそうなの残念!

浮世絵風景画に桜は度々登場するが、多く描いているのが歌川広重(1797~1858)。これまで取り上げてない作品をいくつかピックアップした。いずれ桜がどどっと楽しめるものばかり。‘御殿山花盛’では女子会はおおいに盛り上がっている。そして、上野や日暮里の花見も活気がある。

小金井の桜の名所にまったく縁がないが、富士山を背景にみる桜はさぞかし美しいだろう。江戸時代、小金井堤の両岸の桜並木を植えさせたのは徳川吉宗。吉宗は江戸市中だけでなく近郊にまで気を配るのだからまさに桜将軍。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.06.21

日本の美! 紫陽花

Img      散歩の足がとまる紫陽花

Img_0002     山口蓬春の‘紫陽花’(1959年 山口蓬春記念館)

Img_0001     山口蓬春の‘紫陽花’(1957年 北海道近美)

梅雨時、詩情を感じさせる花といえば紫陽花、今日は夕方雨があがったのでいつものルートを散歩した。途中、水気をたっぷり含んだ紫陽花にみとれてデジカメのシャッターを押した。

花の名前を一から十まで知っているほど草花には精通してない。たぶん、隣の方の三分の一くらいの知識しかないだろう。それでも、日本画を長くみているので、少しずつ花の形と色合いのヴァリエーションがたまってきた。花鳥画を得意とする画家は平安のころから現代にいたるまで途切れることなく存在している。そして、花のイメージとつながっている画家も多い。

例えば、梅や燕子花ならすぐ尾形光琳を思い浮かべる。では、紫陽花というと誰か、光琳と同じくらいすぐでてくるのは山口蓬春(1893~1971)、以前鎌倉にある山口蓬春記念館によく通い、そのモダンな香りのする花鳥画を楽しんだ。

蓬春の描く花で際立って魅力的なのが紫陽花で代表作に‘榻上の花’(東近美)や‘梅雨晴’(山種美)などがある。ほかにも紫陽花の紫の美しさが心をゆすぶるのがある。それが記念館と北海道近美が所蔵するもの。最近はご無沙汰している記念館、紫陽花をみてドライブがてら出かけてみたくなった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2015.06.04

日本の美! 紫陽花

Img     今が見ごろの紫陽花

Img_0002     葛飾北斎の‘紫陽花と燕’(1833~34年)

Img_0003 酒井抱一の‘立葵紫陽花に蜻蛉図’(1823年 三の丸尚蔵館)

Img_0001     速水御舟の‘翠台緑芝’(左隻 1928年 山種美)

梅雨時になると立ち止まってしみじみ見てしまうのが紫陽花、我が家の周りでも2,3か所でメロンパンのような愛嬌のある丸い花を咲かせている。色はうす青の花と白の花があるがお気に入りはうす青のほう。

紫陽花をよく描いた画家ですぐ思い出すのが山口蓬春(1893~1971)、過去にも何度かとりあげたが、東近美、山種美、そして葉山の山口蓬春記念館に心を奪われる作品がある。この紫陽花の画家、蓬春についで紫陽花好きなのが江戸琳派の酒井抱一(1761~1828)。

三の丸尚蔵館が所蔵する絶品の花鳥画のひとつを飾る‘立葵紫陽花に蜻蛉図’をはじめとても品のいい紫陽花が数点ある。生き生きとした立葵の赤とちょっと控えめな紫陽花のうす青が見事に融和しすっきりとした花鳥画に仕上がっている。

抱一よりひとつ年上の葛飾北斎(1760~1849)が描いた傑作が‘紫陽花と燕’、これは天保初年(1833~34)頃描いた大判花鳥シリーズのなかでもとくに惹きつけられる一枚。中央にどんとおかれた大きな紫陽花の脇に燕が急降下してくるいう意表を突く構図が心をとらえて離さない。

速水御舟(1894~1935)の紫陽花の描き方も忘れられない。北斎とはちがって御舟は紫陽花を兎と組み合わせた。御舟は兎が好きだったのだろうか?モチーフはともかくこの絵には琳派的な装飾性を狙った表現が強くでている。平面的に描かれた紫陽花はデザインのような印象をうける。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2014.12.17

心にとまった言葉! ‘見飽きない光景 見やすい光景’

Img       ‘洛翠庭園’(京都南禅寺界隈別荘群)

Img_0001          ‘流響院’

Img_0002          ‘對龍山荘’

世の中にはお寺巡りや庭園巡りをするのが楽しみという人がたくさんいる。こういう人にとって京都や奈良は自分の庭みたいなもので、世間にはあまり知られていない穴場的なところにも精通している。

京都へは毎年1回くらいは出かけており、訪問した寺院の数も増えてはいるがみたい名所旧跡はまだいっぱい残っている。例えば予約をとらないとみれない桂離宮や修学院離宮、そして苔寺などもまだ縁がない。さらに夢の空間もある。それは南禅寺界隈の別荘群。

今年この南禅寺界隈別荘群がNHKと‘美の巨人たち’でとりあげられた。NHKは2010年にも同じテーマで番組を制作しており、今回はパート2、3月と7月2回放送された。‘美の巨人たち’がスポットをあてた庭園は明治に活躍した庭師小川治兵衛(七代目 1860~1933)が作庭した‘洛翠庭園’。

南禅寺界隈にある庭園は一般公開されてないので、これからもまず見る機会はない。だから、その庭園の様子はこうしたTVの美術番組で映像として目にするだけ。実際に庭を体験しなくてもTVの画質はとてもいいから、その絶景の光景を間接的でも楽しめる。

‘洛翠庭園’で心にとまる話がでてきた。庭を構成する石、水、樹木、芝、苔などはすべて視線を下に向けるようにつくられている。十一代小川治兵衛さんはその理由をこういう。

‘見飽きない光景をつくりたいということと同時に見やすい光景とつくろうと思っているから。斜め上をみているとしんどくなる。で、まっすぐ直線を見る、これもしんどい。一番リラックスして見える目線というと、ちょっと斜め下で見ていると長く見ていられるしリラックスでき心が落ち着くんです’

この‘洛翠庭園’を1909年に作った小川治兵衛の言葉、これが味わい深い。
‘人間は困ったとき目線が自然と下がり足元をみる。すると例えば、蟻のような細かい生き物や土やそんなものが目に入り観察できる。それは自然の摂理がわかることであり、人の気持ちもわかることに結びつく’

庭づくりは奥が深い。‘洛翠庭園’やほかの‘流響院’や‘對龍山荘’といった名園をみることは叶わず夢のままに終わりそうだが、小川治兵衛の作庭の精神にふれることができたのは大きな収穫。これからどこかで庭をみたときはこの話が頭をよぎるだろう。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2014.12.01

日本の美! 秋の紅葉 光琳 乾山 抱一 其一の楓図(7)

Img_0001      尾形光琳の‘十二カ月歌意図屏風 九月’(17世紀)

Img_0002           尾形乾山の‘楓図’(18世紀)

Img     酒井抱一の‘朱楓図屏風’(1818年)

Img_0003     鈴木其一の‘四季花木図屏風’(左隻部分 19世紀 出光美)

日本の花の美しさをモチーフにして描かれた美術品をシリーズ化した‘日本の美!’、秋の定番紅葉はこれまで6回とりあげた。お気に入りのものはまだある。新たに4点を琳派から選んでみた。

琳派といえば今日の新聞に雑誌‘和楽’の大きな広告がでていた。1.2月号の特集は琳派、‘なぜ琳派はこんなに人気なのか!?’ときた、琳派狂いにはたまらないフレーズ、興味をそそる内容のひとつが‘2015年 琳派展覧会カレンダー’。

来年は琳派が生まれて400年、また光琳没後300年の節目の年なので大規模な展覧会が行われる(京博?)ことはチラッと聞いたが正確な情報はつかんでいない。完全網羅したとあるから複数の美術館で琳派展があるのだろう、早速本屋へ行って確認したい。

尾形光琳(1658~1716)の楓の絵は2年前根津美であった光琳展ではじめてお目にかかった。縦長の画面に上から垂れさがってくる楓の枝振りがなかなかいい。弟乾山(1663~1743)の楓は光琳とは逆に上のほうにむかってのびている。紅葉のグラデーションがよく表現されていてとても魅了される。2点はともに個人のコレクション、だから二度目の鑑賞はないだろう。

金地の背景に描かれた楓の赤、川の群青、そして土坡の緑青が鮮やかに映える‘朱楓図屏風’、酒井抱一(1761~1821)が描いたこの屏風をはじめてみたときは立ち尽くして言葉がでなかった。太い幹の楓をどんとまんなかに配置するという意表をつく構図が心を突き動かす。

師匠のこの構図を意識したようなの鈴木其一(1796~1858)の‘四季花木図屏風’も魅力いっぱい。抱一の紅葉がかたまっているのに対し、其一は一枚々を離し濃淡をつけスッキリみせている。出光がこの屏風を所蔵し、根津美がもう一つの傑作‘夏秋山水図屏風’をもっている。ブランド美術館にはやはりいい絵がある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013.10.02

日本の美 萩! 平安から描き継がれてきた秋の定番モチーフ

Img_0002     国宝‘源氏物語絵巻 御法’(復元模写 12世紀前半 五島美)

Img     長谷川等伯の‘萩芒図屏風’(右隻 17世紀初期 京都・相国寺)

Img_0005     酒井抱一の‘四季花鳥図巻’(部分 1818年 東博)

Img_0001     鈴木其一の‘萩月図襖’(19世紀 東京富士美)

風に吹かれる萩やすすきをみると秋の到来を実感する。萩もすすきも平安時代のころから描かれてきた。

名古屋にある徳川美と東京の五島美が所有する国宝‘源氏物語絵巻’、その復元模写19図が2005年11月徳川美でオリジナルと一緒に展示された。この模写は200%大拍手の労作、以来定期的にながめいい気持ちになっている。‘宿木三’と‘御法(みのり)’に心を揺すぶる萩がでてくる。

光源氏の妻、紫の上が亡くなる場面が描かれている‘御法’、桔梗とともに咲き誇る萩は茎が風に吹かれて大きくまがっているのが印象的。死がそこまで忍び寄っている紫の上のはかない命を暗示しているよう。

長谷川等伯(1539~1610)は六曲一双の金地の屏風に萩(右隻)とすすき(左隻)を装飾的に描いている。沢山描かれた萩は右から左へだんだんと横に傾いていく。背景の残された金地の部分のとりかたが絶妙なのでゆたっりとした気分で眺められる。こういう構成は並みの絵師には描けない。右の上では萩のてっぺんをあえて画面からはみださせ、広がりのある萩の姿にみせている。

酒井抱一(1761~1828)の‘四季花鳥図巻’は東博の‘秋の特別公開’(9/18~29)に展示されていたから楽しまれた方も多いかもしれない。大きな月と萩の組み合わせはこの図巻の見どころのひとつ。月にかかるように上から垂れさがる紅白の萩、そこに鈴虫がいる。まさに秋モード全開といったところ。

鈴木其一(1796~1858)も師匠に倣って襖に萩月図を描いた。ラグビーのボールのような月と紅白の萩の安定感を感じさせる配置がなんともすばらしい。この絵の前ではいつも隣の方と‘いいねえ!’を連発しながらみている。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013.10.01

日本の美 菊! 江戸絵画にみる菊図

Img_0002     円山応挙の‘花鳥図’(18世紀 大英博)

Img_0007                  伊藤若冲の‘菊花図’(18世紀)

Img_0005       酒井抱一の‘菊に小禽図’(19世紀 山種美)

Img_0004     鈴木其一の‘菊図’(左隻 19世紀 ボストン美)

小さい頃秋になると父親に連れられて恒例の菊の花の品評会に行った。このため、菊には愛着がある。特賞のリボンがつけられた菊の前ではいつも目をまるくしてみていた。現在でもこういう催しが開かれているのだろうか?

円山応挙(1733~1795)が中国の花鳥画に影響されて描いた作品は今は大英博の所蔵。10年前大阪市美で応挙の大回顧展があったときに里帰りした。二幅のすばらしい花鳥画で菊と小鳥をうっとりながめていた。応挙の描いた花鳥画のなかで孔雀は横におくとして最も魅かれているのはこの絵と三井記念美にある‘紅梅鶴図’。

インパクトのある菊の絵としてすぐ思い浮かぶのは伊藤若冲(1716~1800)の‘菊花図’。若冲の高度なテクニックである筋目描をじっくりみれるのがこの菊の花弁。墨のにじみが広がる面と面の重なりによって菊の質感が見事に表現されている。だから、菊図は若冲の展覧会では楽しみの一つ。いくつかみた菊のなかでこの筋目描が一番いい。

琳派の絵師たちも秋を代表する花として菊をよく描いた。酒井抱一(1761~1828)の‘菊に小禽図’はお気に入りの一枚、スッキリした構図のうえバランスよく配置された白、黄色、赤の菊がじつに印象深い。これは元は十二ヶ月花鳥図として描かれたもので、ほかにもファインバーグコレクションの‘柿に目白図’などがある。

鈴木其一(1796~1858)の‘菊図’は20年くらい前に開催されたボストン美日本画名品展で公開された。当時、まだ鈴木其一の作品をみる回数は少なかったのでこの菊に出会ったときはすごく感激した。いつかまた会いたい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013.09.28

日本の美 薄!  琳派のすすき

Img_0005    光悦・宗達の‘金銀泥薄下絵古今集和歌巻’(17世紀 畠山記念館)

Img_0004     尾形光琳の‘秋草図屏風’(左隻 18世紀 サントリー美)

Img     酒井抱一の‘秋草鶉図屏風’(19世紀 山種美)

Img_0002     鈴木其一の‘芒野図屏風’(19世紀 千葉市美)

琳派の画家たちが繰り返し描いた秋草図、その定番のひとつがすすき。ほかには菊、萩、桔梗(ききょう)、女郎花(おみなえし)、撫子(なでしこ)など、これから秋が深まれば目にとまるようになる。

秋の風情を感じさせるすすきが単独で描かれた巻物というと俵屋宗達が下絵を描き、本阿弥光悦(1558~1637)が古今和歌集を墨書した‘金銀泥薄下絵古今集和歌巻’がある。4.5年前まで畠山記念館へよく通い、珠玉の琳派コレクションをいい気分で鑑賞していた。薄が沢山描かれたこの巻物も心に響く一枚。

尾形光琳(1658~1716)の‘秋草図屏風’はMOAとサントリー美で体験した。サントリーのものは主役のすすきと菊が目立つように構成されているので、秋草図の屏風に描かれたすすきというとすぐこれを思い出す。光琳は宗達や宗雪の画風を受け継いでいるが、その画面構成は装飾性がより豊かになりデザイン的な表現になっている。

江戸琳派の酒井抱一(1761~1828)と鈴木其一(1796~1858)にもとても魅せられてすすきがある。正方形の画面が印象的な‘秋草鶉図’は屏風の前に立つたびに立ち尽くしてみてしまう。ハッとするのが低い位置に描かれた月、その配置にひっかかりをもちながら視線は月をとりかこむようにすっとのびるすすきに釘づけになる。可憐なすすきという感じ。すすきにばかり目を奪われて鶉はよくみてない。

‘芒野図’は画面いっぱいにうめつくされたすすきに目が慣れるまでちょっと時間がかかる。しばらくするとこのすすき野にはS字の道はできていることがわかる。土色のグラデーションをきかせて描かれた野原一面のすすき、一度みたら忘れられないほど強い存在感がある。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013.09.27

日本の美 薄!  近代日本画家のすすきコラボ

Img     菱田春草の‘武蔵野’(1898年 富山県近美)

Img_0004     東山魁夷の‘秋富士’(1955年 静岡県美)

Img_0001     小野竹喬の‘あかあかと日は難面もあきの風’(1976年 京近美)

Img_0003     徳岡神泉の‘薄’(1966年 東近美)

このところぐっと秋らしくなった。半袖で散歩していると寒さを感じるようになったから、そろそろ長袖に切り替えようと思う。散歩の時間は1時間、以前は1時間半くらい歩いていたが、足首とか腰に少し痛みがでてきたのでコースを短縮して1時間にとどめることにした。

秋の風物詩すすきは散歩コースで出くわす。すすきは山の近くとか田んぼがあるようなところへ行かないとみれないと思いがちであるが、ぶらぶら歩いてみると家のまわりでも結構目にする。すすきのイメージは垂れた稲穂と同じで先のほうがいい具合にカーブしているところ。今は穂を手でさわってみることはないが、小さい頃はそのやわらかい手触り感が心地よかっ記憶がかすかに残っている。

日本画とつきあっていると画家が描いた作品によっても季節感じることができる。夏が終わって秋が来たことを強く思わせるすすき、菱田春草(1874~1911)がとてもいいすすきを描いている。‘武蔵野’は明治神宮で4年前ようやく出会った。この絵を所蔵しているのは富山県近美なので何度もみるとこは叶わないが、もう2回くらいはみておきたい。

東山魁夷(1908~1999)が富士山を描いたものはこれまで3点みた。その2点は朱を基調にした色彩豊かな作品、もう一枚は‘秋富士’。これをみるたびに魁夷は春草の絵を意識したのだろうか、と思ってしまう。ちょっと不思議なのがすすきの丈の長さ、こんなに背が高かった?

小野竹喬(1889~1979)の絵は‘奥の細道句抄絵’(10点)の一枚、すすきのフォルムが様式化されデザインのように描かれている。明るい色彩とポップな感じのする画面はまるでポスターをみているよう。竹喬の手にかかると平凡なすすきが洒落た模様になる。晩年の竹喬の作品に200%心を奪われている。

徳岡神泉(1896~1972)の薄は東近美にあることはわかっているのだが、なかなか現れてくれない。背景を写実的に描かないこういう花の絵は外国人の目からするとは抽象画の部類に入る。薄の生命力だけを抽出したようなこの作品にいつか会ってみたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012.02.03

日本の美 椿! 御舟 麦僊 古径 靫彦の共演

3495_3     速水御舟の‘名樹散椿’(重文 1924年 山種美)

3496_4     土田麦僊の‘春’(部分 1920年 講談社野間記念館)

3498_2     小林古径の‘椿’(1933年 敦井美)

3497_2         安田靫彦の‘紅白椿’(1964年 滋賀県近美)

‘日本の美’シリーズはこれまで季節にあわせて桜、紅葉、梅をとりあげてきた。4回目は今が見ごろの椿。

梅や桜は花が咲く頃には散歩の途中でも出くわすが、椿はあまり縁がない。10数年前当時住んでいた広島からクルマを走らせ萩へ行ったとき、椿の名所にも寄った。見ごろの時期としては終わりかけていたので花は半分くらい落ちていたが、赤や白の椿を楽しむことができた。が、それからあとの冬は生の椿をみたかな?という感じですごしている。

近代日本画で椿の絵というとすぐ思い浮かぶのは速水御舟(1894~1935)が描いた‘名樹散椿’。それまで御舟は徹底した写実で日本画に新風を送っていたが、この絵では一転して琳派にみられるような装飾性の強い描き方で椿の美しさを表現している。緑の草地に落ちている紅白の花びらをみていると、ボッティチェリの‘ヴィーナスの誕生’でゼフュロスが吹き散らす花々が目の前をよぎる。

東京の美術館では山種のほかにもうひとついい椿の絵がみられるところがある。それは目白の講談社野間記念館。ここに土田麦僊(1887~1936)の‘春’がある。この大きな絵に大変魅了されている。

画像は左端の扇を除く3扇だが、真ん中に描かれた母と女の子の右に印象深い椿が描かれている。花に囲まれた母子の表情はとても穏やかでまるで西洋画の聖母子像をみているよう。

小林古径(1883~1957)と安田靫彦(1884~1978)の椿の絵も心をとらえて離さない。余分なものを描き込まず濁りのない鮮やかな赤や白で椿の美しさを際立たせている。こういう絵が家にあったらどんなにか心が安らぐことだろう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

その他のカテゴリー

やまと絵 アメリカ絵画 アートに乾杯! アール・デコ アール・ヌーヴォー イギリス絵画 ウィーン世紀末 エコール・ド・パリ オペラ オリンピック キュビスム ギリシャ・ローマ史 クラシック音楽 サッカー シュルレアリスム ジャズ スペイン絵画 スポーツ ズームアップ 名画の響き合い! ダダ テニス ナビ派 バルビゾン派 バロック ファッション フォーヴィスム マニエリスム マラソン ミュージカル ミューズに願いを! ラファエロ前派 ルネサンス ロココ絵画 ロマン派 中国絵画 仏画 個人コレクション 夢の傑作選! 円山四条派 写実派 北方絵画 印象派 古代遺跡 夢の‘日本美術里帰り展’! 夢の展覧会 奇想派 学問・資格 工芸 建築 抽象絵画 文人画 文化・芸術 新古典派 旅行・地域 日本の歌 日本の洋画 日本の美術館 日本の美! 日本映画 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 未来派 東洋・日本彫刻 民画 水墨画 洋風画 浮世絵 海外の美術館 海外の音楽 海外映画 満足のキメ手はリファレンス作品! 狩野派 現代アート 琳派 癒しのアートにつつまれて! 相撲 素朴派 絵巻 美術に魅せられて! 美術館に乾杯! 芸能・アイドル 行動経済学 街角ウォッチング 表現主義 西洋彫刻 西洋画・日本画比較シリーズ 象徴派 近代日本画(古典・歴史画) 近代日本画(女性画) 近代日本画(花鳥画) 近代日本画(風景画) 近代日本美術の煌き! 近代西洋絵画 野球 陶磁器 音楽が誘う絵画の世界! 風俗画 食べ物