美術館に乾杯! ア―ティゾン美術館 その七
西洋美術の殿堂のような存在である大原やア―ティゾンには予想外の中国の
絵や日本画がある。2011年、MIHO MUSEUMで開催された長澤芦雪展に
大原が所蔵する‘群龍図’というはじめてみる絵が出品された。ええー、大原は
芦雪をもっているの!?この美術館の懐の深さをみる思いだった。
ア―ティゾンのコレクションはたぶん大原よりもっと多い。ここには中国元
時代末の画僧、因陀羅の描いた‘丹霞焼仏図’がある。これは‘禅機図断簡’と呼
ばれる禅宗画で五幅あり(もともとは同じ画巻)、全部国宝に指定されてい
る。ほかの四幅は東博、根津、畠山、静嘉堂文庫におさまっている。やはり、
目ききのコレクターは価値のある美術品を見逃さない。だから、中国の画家
に学んだ雪舟の‘四季山水図’だって手に入れる。この水墨画は中国から帰国し
た後に描かれたものといわれている。
今、ここで‘琳派と印象派’展は行われているが、こういう企画展ができるのは
自分のところに琳派の絵があるから。宗達工房によって扇子に描かれた‘保元
平治物語絵’は所蔵名品展かなにかでみた覚えがあり、琳派好きにはたまらな
い体験だった。尾形光琳(1658~1716)の‘李白観瀑図’は琳派展には
ちょくちょく登場する。構図のセンスがよく李白の眺めている滝の大きさが
感じとれるのがスゴイ。
鈴木其一(1796~1858)の‘富士筑波山図’はちょうど其一の画才にだ
んだん惹きこまれる頃に遭遇したから忘れられない屏風となった。その後、
鈴木其一展(2016年、サントリー美)にも出品された。富士山と筑波山が
一緒にみられる風景画滅多にないので多くの人の目を楽しませ、この絵をも
っているアーティゾンの名前も強く印象づけたにちがいない。
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