2016.07.17

祝 西洋美術館 世界遺産に!

Img     コルビュジエ設計の‘西洋美術館’(1959年)

Img_0002     ‘ロンシャン礼拝堂’(1955年)

Img_0001_2      ‘フィルミニ教会堂’(2006年)

上野の西洋美術館が3度目の挑戦でようやく世界遺産に決まった。拍手々! トルコで想定外のクーデターが発生したため、イスタンブールで行われていた審査はどうなるのかと心配したが、世界遺産の登録に尽力された方々の思いが通じ晴れて世界遺産の仲間入りができた。

上野の美術館といえば東博と西洋美が横綱格、これまで何度も足を運んでいるのでチケットを購入して入館するとき細い柱が立った開放的なピロティに特別な思いをいだくこともない。建築物というのは慣れてしまえば空気にみたいなもの。

でも、フランスの建築家コルビュジエ(1887~1965)が設計したこの美術館が1959年に出現したときは建築家たちだけでなく一般の人々の目にも新鮮にうつったにちがいない。とくに人が通れるピロティは革新的なアイデア。

今年は西洋美に注目が集まっている。3月には11点の作品を披露するというカラヴァッジョの回顧展を開催し、今度は世界遺産への登録が決まった。秋の‘クラーナハ展’(10/15~1/15)まではわかっているが、その後の企画展の情報がまだ入ってこない、世界遺産になったのでまたどーんとビッグネームの回顧展をやってくれたら嬉しいのだが、例えば‘ウイーン美術史美蔵のブリューゲル展’とか、過剰期待がすぎる?

‘美の巨人たち’では以前よくコルビュジエをとりあげていた。フランスにある‘ロンシャン礼拝堂’と‘フィルミニ教会堂’をみてみたい気持ちは強いが夢のままに終わりそう。

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2015.08.19

迎賓館赤坂離宮の一般公開!

Img      迎賓館赤坂離宮の正面

Img_0001     花鳥の間

Img_0002     涛川惣助の‘七宝花鳥図三十額 じょうびたきに牡丹’

Img_0003               ‘小鷺’

今日は特別な一日だった。5/25にアップした七宝の話に石野昭子さんからコメントをいただき、迎賓館赤坂離宮の一般公開の申し込み期間中であることを教えてもらった。さっそくメールで申し込んだところ、なんと抽選にあたった! 公開は8/18から8/27までだが、今日が希望した日。石野さん本当にありがとうございました。おかげさまで念願だった涛川惣助の無線七宝の傑作をみることができました。

迎賓館があるのはJRの四ツ谷駅から歩いて7分のところ。建物に近づくとTVのニュースで伝えられる世界各国の国王や大統領などをむかえる歓迎行事の様子が脳裏をよぎってくる。ここがその舞台なのだと。身分証明書の提示があったり、手荷物をチェックされたりでちょっと緊張気味。

迎賓館のなかは写真撮影はNGだが、外観を撮るのはOK、ブログ用と隣の方をいれたものと2枚撮った。2階にあがり5つの部屋を順番にみていく。どの部屋にもボランティアの人がいて説明してくれる。お目当ての涛川惣助(1847~1910)の七宝が飾ってあるのは‘花鳥の間’。

そして、国・公賓のサロンとして使われ表敬訪問や首脳会談が行われるのが‘朝日の間’。目を奪われるのがノルウエー産のうすピンク色をした大理石の円柱。この迎賓館は明治42年(1909)に建設されたが、ノルウエーから大理石を16本も運んできていた。また、壁に張られたインパクトのある西陣の織物も印象深い。

‘花鳥の間’の壁面に飾られた30の楕円形七宝、描かれた花や鳥はまるで絵画をみているよう。涛川惣助が生み出した無線七宝の技により鳥の羽や花びらをふわっとやわらかく表現しぼかしをいれることができるようになった。単眼鏡も使って30額をしっかりみて目に焼きつけた。

この七宝をみたことは一生の思い出、帰りがけに購入した七宝だけの図録をながめている時間が長くなりそう。

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2015.06.01

作庭家 重森美玲!

Img     東福寺 本坊庭園南庭

Img_0001     東福寺 市松模様の庭

Img_0002    国宝‘東福寺龍吟庵’の庭

Img_0003     東福寺光明院 波心庭

日曜美術館をみるようになって長い年月がたつ。だから、とりあげる内容がどういう思いで企画されたのかがおおよそわかる。一番多いのが今話題の展覧会を紹介するもの。その展覧会が出かけることになっている場合は格好のガイダンスの役目を果たしてくれる。そのため目にも力がはいる。

こういう情報が即役立つものがある一方で、このタイミングでなぜこの作家なの?というのもある。5月に登場した作庭家、重森美玲(1896~1975)はそんな思いが強かった。美玲のつくった庭を番組の司会者でもある俳優の井浦新、ジャズミュージシャンの菊池成孔、そして作家の高橋源一郎が訪ねるという趣向。

すぐにピントきた。井浦新は昨年2回にわたって南禅寺界隈の別荘群にある庭をめぐっている。この流れで井浦は番組スタッフに‘東福寺にある重森美玲さんのつくった庭もじっくりみたいな’と言ったのだろう。勝手な推測だがそれでこの番組ができあがった?

東福寺で美鈴が手がけた枯山水の庭をみた。もう随分前のこと。まるで竜安寺の枯山水の庭をみているようだった。まさに日本の美が現代に蘇ったという感じ。これはとても深く心が静まる空間、理想をいえば年に一回くらいはこういうところに身を置いてみたい。

裏側にあるという石と苔でできた市松模様が目を惹く庭はその存在を知らなかった。ここはいつ出かけてもみれるのだろうか?ダメなような感じもするが、いつかこの目でという思いが強い。

そして、サプライズの庭がでてきた。国宝‘東福寺龍吟庵’の庭。東福寺に国宝の庵があったとは!まず目が集中するのは竹垣に表現された稲妻。そして、その後ろでは龍が庭一面に舞っていた。これは是非お目にかかりたい庭、でも、ここも普段は非公開のような気がするから実現は難しそう。

東福寺光明院にある波心庭には石がたくさん置かれている。重森がつくった設計図をみると左上の3つの石から放射状に線が引かれており、それに沿って石が並べられている。だから、ビジーな感じがしない。‘永遠のモダン’をつくりだすことに精進した重森美玲、こうした現代の古典ともいえる庭の傑作をひとつひとつ見て歩きたくなった。

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2012.02.29

東京スカイツリー完成!

3577_3     東京スカイツリー

3578_2     ヘラクレスの塔(スペイン ア・コルーニャ)

3579_2     塔の町 サン・ジミニャーノ(イタリア)

東京スカイツリーが今日完成した。高さは634メートル、世界一高いタワーである。
拍手!

08年の7月に着工したこのスカイツリーは建設が進むにつれその圧倒的な高さと美しい形で人々を驚かせてきた。なにしろ333メートルの東京タワーの倍弱の高さだから、とてつもなく巨大な建造物。千葉市美や江戸東博へでかけたときはいつも電車の窓から釘付けになってみていた。

見学ができるようになるのは5月22日からで、入場券の予約は3月22日にはじまる。オープンしたら連日大混雑になることは間違いないから、出動するのは秋口ころにしようと思っている。高さ350メートルと450メートルのところにある展望台からの眺めはすばらしいにちがいない。

今日は東京スカイツリーの完成にあわせて塔の話を。昨年の10月、BSプレミアムの番組‘時を刻む’に‘ヘラクレスの塔’が登場した。この塔が建っているのはスペイン北西部、大西洋に面した港町ア・コルーニャ(人口25万人)。今から2000年前、古代ローマの時代に建てられたものだが、現在も灯台として使われている。高さは59メートル、ローマ時代は43メートルだったが、18世紀の修復で上の部分が追加された。

2000年以上も聳え立つこの塔には古代ローマの高い建築技術がつまっており、
2009年世界遺産に登録されている。‘ヘラクレスの塔’は街の人々の心のよりどころであり、14歳頃ここに住んでいたピカソは‘キャラメルで作ったみたいだ’といっていたそうだ。

この番組にもでてきたイタリアの塔の町、サン・ジミニャーノは6年前訪問した(拙ブログ06/5/12)。小高い丘の上にあるこの町には50メートルをこえる塔が14本もそびえている。建てられたのは13~14世紀にかけて。最も高いのは市庁舎、グロッサの塔
(1311年)で54メートル。

貴族たちは競って高い塔を建て力と富をみせつけた。それで塔は70以上にも乱立、これは度がすぎているというので当時の行政長官が54メートルより高い塔を建てることを禁じる法律をつくった。すると、ある貴族は双子の塔を建て、‘2つの塔を足し合わせると一番だ!’と胸をはったという。自己顕示欲というのは際限が無い。

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2011.01.23

ガウディと伊東豊雄がグラシア通りで曲線の響き合い!

2275_2     ガウディの‘カサ・ミラ’

2276_2           ガウディの‘カサ・パトリョ’

2277_2           伊東豊雄が設計したマンション(真ん中)

2278_2     水道局ビル(トック・アグバル)

バルセロナ観光のハイライトは何といってもはガウディがつくった建築物。サグラダ・ファミリア、グエル公園、カサ・ミラ、カサ・バトリョがツアーの定番コース。カサはスペイン語で家のこと、ミラ、パトリョは人の名前。市内の中心地、グラシア通りにあるこの二つの邸宅は前回ともにバスの中からみるだけだったが、今回はミラ邸を交差点の反対側からじっくりみて、写真もバッチリ撮った。

ここは現在4家族が住んでいるそうだが、大勢の観光客がやってくる世界遺産のなかで生活するのはどんな気分だろうか?入り口の近くから鋳鉄製の手すりに施された装飾をみていたら、乾燥させた北海道産の昆布を連想した。なかに入れるのだが、またしても時間がない。

カサ・バトリョはここから海側へ500mくらい行ったところにある。幸運にもバスの席が邸宅のほうにあったので停車中にカメラにおさめた。前回はうまく撮れなかったが、この度は大成功。ぱっと見はミラ邸よりずっとファンタジックな感じで心が踊る。窓の手すりの意匠はあの‘オペラ座の怪人’が被っている白マスクのイメージ。ここは人が住んでおらず、内部が見学できるようだ。

カサ・ミラを反対側の歩道からみていたら、ガイドさんがすぐ右のところに日本人建築家、伊東豊雄(1941~)が設計したマンションがあることを教えてくれた(写真の真ん中)。伊東豊雄の建築物には大いに関心を寄せているので(拙ブログ06/12/14)、素早く反応。外観の横にのびる曲線が縦に連続するデザインは七夕のとき笹につける切り紙みたいである。

バルセロナはスペインの経済の中心だから、建築にも斬新なものが多い。4年前、モンジュイックの丘から街全体を眺めたのだが、一際目をひく砲弾のような形をした建物が遠くにみえた。05年の秋に完成した水道局ビルとのこと。すごく惹かれたが、そのときは縁がなかった。が、今回はうまいことに近くを走ったバスの中からとエレベーターであがったサグラダ・ファミリアの塔からみることができた。

この34階建てのビルは高さが142mあり(バルセロナで3番目の高さ)、夜は赤や青でカラフルにライトアップされるらしい。設計したのにはフランス人建築家、ジャン・ヌーベル(1945~)。砲弾のような形は一度行ったことにあるのこぎり山のモンセラットの岩から霊感を得たという。次回バルセロナに来ることがあれば、最接近してみたくなった。

グエル公園(07/7/17)では、再び色鮮やかな粉砕タイルで装飾された曲がりくねったベンチに腰をかけたり、‘ドラゴン’(07/3/16)のまえで写真を撮った。ここはいつも楽しい気分になる。4年前との違いは物売りが増えたこと。地べたに布を敷き、フラメンコの踊り子の置物やスカーフなどを売っている。

おもしろいことに買っている人も結構いる。観光客は沢山いるのにお土産店がないので、つい買ってしまうのだろう。違法商売だから買う側も罰せられるが、そんなことはお構いなし。男たちは警察がくるとさっと商品を隠し、しばらくするとまたぞろはじめる。いい商売を考えついた。

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2011.01.22

バルセロナ 教会の内部が完成していたサグラダ・ファミリア!

2271_2           サグラダ・ファミリア 生誕のファサード

2272_2           生誕のファサード 愛徳の門

2273_2      教会内部のステンドグラス

2274_2          柱と丸天井

スペインを旅行して来ました。名所観光や美術館めぐりの話がしばらく続きますが、お付き合い下さい。

スペインを訪れるのは4年ぶり。いつものようにA旅行会社の団体ツアーに参加した。前回(拙ブログ07/3/16)とダブルのはバルセロナ、グラナダ、ラ・マンチャ、マドリード、はじめてのところはタラゴナ、エルチェのヤシ園(ともに世界遺産)。ツアーはバルセロナ観光からはじまる。

4度目のバルセロナでサプライズが多かったのが人気の観光名所、サグラダ・ファミリア。建築家アントニオ・ガウディ(1852~1926)が設計・建築したこの未完の大聖堂のなかは07年のときのように、都会のビルの建築現場に居合わせた感じだろうと想像していた。ところが、なんと内部はきれいに完成していた。

現地の日本人ガイドさんによると、昨年11月にローマ法王がやってきたそうで、このため工事のペースをあげたらしい。祭檀や丸天井を息を呑んでみるとは思ってもいなかった。ステンドグラスが美しく輝き、高くのびる柱や丸天井がこれほど豊かな造形力をもっていたとは!祭檀の後ろから地下聖堂がみえ、ガウディの墓の一部が目に入ったのも収穫だった。

写真撮影で嬉しいことがあった。ガイドさんが生誕のファサードが全部おさまるポイントに案内してくれたのである。ガイドブックにはここから撮ったものが載っているが、前回はこの場所にくる時間がなかったのだろう。‘愛徳の門’にある彫刻は上のほうが‘マリアの受胎告知’で、下の人物像は‘子供の天使たちの合唱隊’。ガウディがつくったオリジナルの‘合唱隊’は石膏製だったが内戦中に破壊されたので、日本人彫刻家の外尾悦郎がこれのレプリカを石でつくった。

サグラダ・ファミリアの全体が完成するのは2020年ということになっている。果たして?現在ある塔は8本(生誕と受難のファサードに4本ずつ)。これにもう10本立て、最終的には18本になる。今あるのは100mくらいだが、最も高いイエスにささげられる中央塔は170mになるという。これがどのくらい高いかというと、例えば圧倒的な高さを誇るケルン大聖堂が157m。これよりも高いのだから、もう天にもとどきそう!

鐘楼のエレベーターに乗って上にあがってみた。ここからまわりの塔や街の光景を見るのは1983年以来。このエレベーター(有料2ユーロ)はローマ法王の訪問以降予約制になったとのこと。大勢の観光客がやってくる春や夏は予約をとるのが大変そうだから、短い待ち時間ですばらしい眺望が体験できたのは幸運だった。

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2009.03.21

好きな門 ベスト10!

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数日前の朝日新聞にアスパラクラブ会員に対して行ったアンケート‘好きな門は?’の調査結果が載っていた。回答総数1万266人が選んだベスト10は次のようになっている(複数回答)。

1位 日光東照宮陽明門   3780人
2位 浅草寺雷門       3029人
3位 首里城守礼門      2102人
4位 東大寺南大門      2084人
5位 東京大学赤門      1988人
6位 南禅寺三門       1776人
7位 知恩院三門       1125人
8位 東京デイズニーランド正門  810人
9位 桜田門           791人
10位 迎賓館赤坂離宮正門   780人 

日本一の門は納得の‘日光東照宮陽明門’(国宝、上の画像)。大変な数の彫刻で飾られた豪華な金色の門の前に立つと、西洋のバロック建築とか中国王朝の宮殿を見ているような気分になる。

これは天下をとった徳川家が権力の凄さを諸大名や民に見せつけるために巨費を投じてつくったもの。こういうときの意匠や彫刻は中国に昔からあるものと決まっている。お馴染みの唐獅子、龍、獏などをこれでもかというくらいデコラティブにとりつけるのは武家の好み。京にいる天皇や公家のテイストではない。

 欧米からやってくる観光客にとって、この陽明門はヨーロッパにあるバロック様式の聖堂を彷彿とさせるから日本人以上に感動するかもしれない。

浅草寺の雷門は人気が高く2位。これは意外だった。4位の東大寺南大門(下)は中に運慶、怪慶がつくった‘金剛力士像’(国宝)があるから、個人的には雷門よりはこちらのほうが印象深い。久しく東大寺の大仏さんや阿形像、吽形像を見てないから、会いたくなってきた。京都の南禅寺や知恩院の三門もお気に入り。

10位までのなかで沖縄の首里城はまだ見てない。北海道には何度も行きたいなと思うのに、南の方はどうも縁がない。沖縄サミットがあったとき、首里城がクローズアップされ、いつか訪問しようと思ってはいたが、それっきり。一度は見ておきたいところだから、なんとかしなくては、、

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2007.08.29

日光東照宮

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日光東照宮を20数年ぶりに訪問した。で、前回通った道はすっかり忘れている。東北道の宇都宮インターで降りたのは覚えているが、そこから日光までのルートがあやふや。“あの頃、日光・宇都宮道路はあった?”なんて話しているうちに日光インターが近づいてきた。高速道路を走っているので、宇都宮からはすぐという感じ。

そこから先もまだ、道路沿いの景色のイメージが戻ってこない。やっと、日光東照宮に着いたのを実感したのは赤い神橋が見えてきたあたりから。市営の駐車場から階段を上がり、広い表参道に立つと、この道を進んだことをかすかに思い出した。

見学の順番は“日光山輪王寺”、“日光東照宮”、“日光二荒山神社”、最後に“家光廟大猷院”。お目当ては前回、存在すら知らなかった国宝の大猷院(たいゆういん)。輪王寺の宝物館には探幽の3幅の掛け軸があったが、アベレージの作。ここではサプライズはなかった。

で、日本のバロック建築、東照宮へ急いだ。“見ざる・言わざる・聞かざる”の“三猿”の彫刻がある“神厩舎”には白い馬がいた。白い馬は午前中だけここに居るらしい。前回会えなかったのはお昼すぎに到着したからだ。これはラッキー。

いい気分になり、導線を右に曲がると“陽明門”(国宝、上の写真)が目に飛びこんできた。絢爛豪華さに昔ほどびっくりしないが、今は金色ではなくあの胡粉の白に強く惹きつけられる。最高の技で仕上げられた獅子や獏、龍などの彫物を一つ々みていると徐々に気分が高揚してきた。横の回廊に目をやると、美しい緑や赤で彩色された花鳥の彫刻が陽明門をいっそう引き立てている。

唐門のむこうの拝殿、石の間、本殿では案内の人が一通り、社殿の形式、“権現造”や内部に描かれた絵画のことを説明してくれる。真ん中の絵は拝殿の左の間にある狩野探幽作、“白澤(はくたく)”。前回見たはずだが、記憶が全く消えているから、はじめて見るようなもの。平和な世に出現するという白澤は昨年みた狩野一信の“五百羅漢図”(拙ブログ06/3/2)で関心の高かった聖獣だから、とても興味深かった。右の間には青竹と麒麟が描かれていたので見逃してはならじと、大勢の人が出口のほうへむかう中を掻き分けて、逆サイドにある絵の前に立った。“このおっさん、えらく熱心やな!”と思われたにちがいない。

有名な“鳴龍”はこの拝殿の中にあると思っていたら、これは勘違いで“それは陽明門を降りた右側の本地堂ですよ”と言われた。前は自分たちで天井に描かれた龍(下の写真)の頭のあたりで手をパチッとたたいた覚えがある。で、また拍手するのを楽しみにしていたら、かわりに説明する男性がいい音のでる拍子木を数回たたいてくれた。耳をすますと龍の頭のあたりから金鈴のような音が聞こえてきた。何度聞いてもいい音!

最後に見た大猷院の規模は東照宮より一まわり小さいが、豪華さは東照宮と変わりなく、期待以上の満足が得られた。ここの拝殿にも探幽が描いた唐獅子や狛犬があったので、再接近してみた。4つまわったので少しくたびれたが、心地よい疲れだった。

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2007.07.17

もっと知りたいスペイン! その二 アントニ・ガウディ

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TBSの“世界遺産”で2週続けて“アントニ・ガウディの建築物”を放映してくれたので、“もっと知りたいスペイン!”(拙ブログ07/6/18)のその二はスペインが生んだこの天才建築家にした。

ガウディがつくった建築物を全部見てみたい気持ちは強いが、普通のツアーだと訪問できる建物は限られている。半日くらいの自由行動があると、“グエル邸”、山と地中海をイメージした“カサ・ミラ”(3/16)とか海から発想した“カサ・パトリョ”の内部を見たり、屋上のユニークなオブジェを楽しめるのだが。ここは、建築の専門家ではないから、上の“サグラダ・ファミリア贖罪聖堂”と下の“グエル公園”を満喫することで心を落ち着かせるほかない。

ガウディは74歳のとき、路面電車にはねられるというショッキングな死に方をする。病院に運ばれたとき、みすぼらしいいでたちだったので、誰もガウディと気づかなかったらしい。亡くなった1926年、聖堂は降誕のファサードと4本の塔が姿を見せており、4本のうち1本は完成していた(画像手前の一番左の塔)。ガウディの最大の理解者であり、パトロンであった大実業家、エウセビオ・グエルが1918年に死去した後は、ガウディは聖堂の建設に専念し、資金集めをし、無償で働いていたから、この天才の突然の死は多くのバルセロナ市民を悲しませたにちがいない。

番組ではガウディ建築のあの幻想的な色使い、直線と曲面を多用した独創的なフォルムは何に刺激されて生み出されたのかを解き明かしていた。ガウディは小さい頃から生地レウスの自然に親しみ、成人して、カタルーニャの聖山と呼ばれる“モンセラー”に登ったりしたので、山や植物、生き物などが独創的な建築にとり必要なモィーフとなった。“創造するのではない、人間がつくりだすものは自然という偉大な書物のなかに書かれている”と語っている。

この自然主義はサグダラ・ファミリア聖堂やグエル公園でもあちこちにみられる。聖堂の外壁にはかたつむり、とかげ、亀、内部のかたつむりを連想させる螺旋階段、そして聖堂そのものが静寂な森である。グエル公園では、階段の中央に流れる水盤に蛇やドラゴンがおり、柱廊の天井にある太陽を表現した色鮮やかな円形装飾が目を楽しませてくれる。そして、観光客や市民の憩いの場になっている曲がりくねったベンチの装飾モティーフにもバラやクローバー、シュロの模様が使われている。

自然を創造の源にしたガウディの建築物をみていると、自然を愛する芸術家だけにミューズは微笑むような気がしてきた。

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2007.07.07

美の壺 五重塔と音楽

917NHK教育で金曜夜10時に放映される“美の壺”はお気に入りの美術番組。

とぼけたキャラクターが持ち味の谷啓と女性ナレーターのおもしろい掛け合いで、美術品を見る壺を25分でまとめてくれるので大変勉強になる。

で、毎月購入する“TV太郎”で何が取り上げられるかをチェックし、関心のあるものがでてくるときは必ずみることにしている。

昨日は“五重塔”だった。2ヶ月前、京都で醍醐寺の五重塔(拙ブログ5/19)を見たばかりなので、目と耳に力をいれてみた。面白い見方だなとすごく興味深かったのは五重塔の姿を音楽になぞらえていたこと。全国の五重塔を研究している専門家が登場し、“逓減率”というデータをつかって塔の特徴を分類していた。

逓減率というのは初層に対する五層の幅の割合のことで、例えば、初層が1に対し五層が0.5だったら、逓減率は0.5。これは安定感のある形。0.7だとすらっと背が高くみえる感じ。具体的な例をあげると、法隆寺の五重塔は0.5、山口市にある瑠璃光寺は0.68、そして醍醐寺は0.61となっているそうだ。法隆寺がずっしり安定型、瑠璃光寺のは細みの長身型、醍醐寺は安定感があり、そして高くも見える理想型。

それで、このように特徴づけられる塔のプロポーションがどんな音楽のリズムを想起するのか?ここからは番組制作者の創作。“法隆寺は重厚なベースのリズムが合う、瑠璃光寺のイメージはバイオリンの独奏による上品なリズム、醍醐寺はバランスがよく堂々としているので、色々な音が響きあう交響曲のハーモニーを想わせる”とナレーションし、バックにベース、バイオリン、管弦楽団の演奏を流していた。使われている交響曲はベートーベンの7番の一番盛り上がるところ。“ううーん、醍醐寺の五重塔とベートーベンの7番か。こんなコラボがあったのか!”と思わず唸ってしまった。

これにはちゃんと種本がある。全く知らなかったのだが、作家の井上靖(1907~
1991)は著書“塔”で“すべての日本の塔が多かれ少なかれ<凍れる音楽>にほかならない”と述べているのだという。早速本屋に行ってみようと思う。

右は番組でその優雅な姿からバイオリンの独奏が聴こえてくると言わしめた“瑠璃光寺五重塔”(国宝、室町中期、1442年の創建)。はじめて見たときは大変感動した。ここを訪れる観光客は誰もが手前の池側から記念写真を撮る。これほどいい撮影ポイントはない。番組には羽黒山五重塔(05/11/10)や東寺の54.8mと一番高い五重塔も取り上げられたから、“THE五重塔”のてんこ盛り。

木造建築の技を結集してつくられた五重塔。その美しさにしみじみ感じ入る。まさに日本の宝である。

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