2012.02.29

東京スカイツリー完成!

3577_3     東京スカイツリー

3578_2     ヘラクレスの塔(スペイン ア・コルーニャ)

3579_2     塔の町 サン・ジミニャーノ(イタリア)

東京スカイツリーが今日完成した。高さは634メートル、世界一高いタワーである。
拍手!

08年の7月に着工したこのスカイツリーは建設が進むにつれその圧倒的な高さと美しい形で人々を驚かせてきた。なにしろ333メートルの東京タワーの倍弱の高さだから、とてつもなく巨大な建造物。千葉市美や江戸東博へでかけたときはいつも電車の窓から釘付けになってみていた。

見学ができるようになるのは5月22日からで、入場券の予約は3月22日にはじまる。オープンしたら連日大混雑になることは間違いないから、出動するのは秋口ころにしようと思っている。高さ350メートルと450メートルのところにある展望台からの眺めはすばらしいにちがいない。

今日は東京スカイツリーの完成にあわせて塔の話を。昨年の10月、BSプレミアムの番組‘時を刻む’に‘ヘラクレスの塔’が登場した。この塔が建っているのはスペイン北西部、大西洋に面した港町ア・コルーニャ(人口25万人)。今から2000年前、古代ローマの時代に建てられたものだが、現在も灯台として使われている。高さは59メートル、ローマ時代は43メートルだったが、18世紀の修復で上の部分が追加された。

2000年以上も聳え立つこの塔には古代ローマの高い建築技術がつまっており、
2009年世界遺産に登録されている。‘ヘラクレスの塔’は街の人々の心のよりどころであり、14歳頃ここに住んでいたピカソは‘キャラメルで作ったみたいだ’といっていたそうだ。

この番組にもでてきたイタリアの塔の町、サン・ジミニャーノは6年前訪問した(拙ブログ06/5/12)。小高い丘の上にあるこの町には50メートルをこえる塔が14本もそびえている。建てられたのは13~14世紀にかけて。最も高いのは市庁舎、グロッサの塔
(1311年)で54メートル。

貴族たちは競って高い塔を建て力と富をみせつけた。それで塔は70以上にも乱立、これは度がすぎているというので当時の行政長官が54メートルより高い塔を建てることを禁じる法律をつくった。すると、ある貴族は双子の塔を建て、‘2つの塔を足し合わせると一番だ!’と胸をはったという。自己顕示欲というのは際限が無い。

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2011.01.23

ガウディと伊東豊雄がグラシア通りで曲線の響き合い!

2275_2     ガウディの‘カサ・ミラ’

2276_2           ガウディの‘カサ・パトリョ’

2277_2           伊東豊雄が設計したマンション(真ん中)

2278_2     水道局ビル(トック・アグバル)

バルセロナ観光のハイライトは何といってもはガウディがつくった建築物。サグラダ・ファミリア、グエル公園、カサ・ミラ、カサ・バトリョがツアーの定番コース。カサはスペイン語で家のこと、ミラ、パトリョは人の名前。市内の中心地、グラシア通りにあるこの二つの邸宅は前回ともにバスの中からみるだけだったが、今回はミラ邸を交差点の反対側からじっくりみて、写真もバッチリ撮った。

ここは現在4家族が住んでいるそうだが、大勢の観光客がやってくる世界遺産のなかで生活するのはどんな気分だろうか?入り口の近くから鋳鉄製の手すりに施された装飾をみていたら、乾燥させた北海道産の昆布を連想した。なかに入れるのだが、またしても時間がない。

カサ・バトリョはここから海側へ500mくらい行ったところにある。幸運にもバスの席が邸宅のほうにあったので停車中にカメラにおさめた。前回はうまく撮れなかったが、この度は大成功。ぱっと見はミラ邸よりずっとファンタジックな感じで心が踊る。窓の手すりの意匠はあの‘オペラ座の怪人’が被っている白マスクのイメージ。ここは人が住んでおらず、内部が見学できるようだ。

カサ・ミラを反対側の歩道からみていたら、ガイドさんがすぐ右のところに日本人建築家、伊東豊雄(1941~)が設計したマンションがあることを教えてくれた(写真の真ん中)。伊東豊雄の建築物には大いに関心を寄せているので(拙ブログ06/12/14)、素早く反応。外観の横にのびる曲線が縦に連続するデザインは七夕のとき笹につける切り紙みたいである。

バルセロナはスペインの経済の中心だから、建築にも斬新なものが多い。4年前、モンジュイックの丘から街全体を眺めたのだが、一際目をひく砲弾のような形をした建物が遠くにみえた。05年の秋に完成した水道局ビルとのこと。すごく惹かれたが、そのときは縁がなかった。が、今回はうまいことに近くを走ったバスの中からとエレベーターであがったサグラダ・ファミリアの塔からみることができた。

この34階建てのビルは高さが142mあり(バルセロナで3番目の高さ)、夜は赤や青でカラフルにライトアップされるらしい。設計したのにはフランス人建築家、ジャン・ヌーベル(1945~)。砲弾のような形は一度行ったことにあるのこぎり山のモンセラットの岩から霊感を得たという。次回バルセロナに来ることがあれば、最接近してみたくなった。

グエル公園(07/7/17)では、再び色鮮やかな粉砕タイルで装飾された曲がりくねったベンチに腰をかけたり、‘ドラゴン’(07/3/16)のまえで写真を撮った。ここはいつも楽しい気分になる。4年前との違いは物売りが増えたこと。地べたに布を敷き、フラメンコの踊り子の置物やスカーフなどを売っている。

おもしろいことに買っている人も結構いる。観光客は沢山いるのにお土産店がないので、つい買ってしまうのだろう。違法商売だから買う側も罰せられるが、そんなことはお構いなし。男たちは警察がくるとさっと商品を隠し、しばらくするとまたぞろはじめる。いい商売を考えついた。

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2011.01.22

バルセロナ 教会の内部が完成していたサグラダ・ファミリア!

2271_2           サグラダ・ファミリア 生誕のファサード

2272_2           生誕のファサード 愛徳の門

2273_2      教会内部のステンドグラス

2274_2          柱と丸天井

スペインを旅行して来ました。名所観光や美術館めぐりの話がしばらく続きますが、お付き合い下さい。

スペインを訪れるのは4年ぶり。いつものようにA旅行会社の団体ツアーに参加した。前回(拙ブログ07/3/16)とダブルのはバルセロナ、グラナダ、ラ・マンチャ、マドリード、はじめてのところはタラゴナ、エルチェのヤシ園(ともに世界遺産)。ツアーはバルセロナ観光からはじまる。

4度目のバルセロナでサプライズが多かったのが人気の観光名所、サグラダ・ファミリア。建築家アントニオ・ガウディ(1852~1926)が設計・建築したこの未完の大聖堂のなかは07年のときのように、都会のビルの建築現場に居合わせた感じだろうと想像していた。ところが、なんと内部はきれいに完成していた。

現地の日本人ガイドさんによると、昨年11月にローマ法王がやってきたそうで、このため工事のペースをあげたらしい。祭檀や丸天井を息を呑んでみるとは思ってもいなかった。ステンドグラスが美しく輝き、高くのびる柱や丸天井がこれほど豊かな造形力をもっていたとは!祭檀の後ろから地下聖堂がみえ、ガウディの墓の一部が目に入ったのも収穫だった。

写真撮影で嬉しいことがあった。ガイドさんが生誕のファサードが全部おさまるポイントに案内してくれたのである。ガイドブックにはここから撮ったものが載っているが、前回はこの場所にくる時間がなかったのだろう。‘愛徳の門’にある彫刻は上のほうが‘マリアの受胎告知’で、下の人物像は‘子供の天使たちの合唱隊’。ガウディがつくったオリジナルの‘合唱隊’は石膏製だったが内戦中に破壊されたので、日本人彫刻家の外尾悦郎がこれのレプリカを石でつくった。

サグラダ・ファミリアの全体が完成するのは2020年ということになっている。果たして?現在ある塔は8本(生誕と受難のファサードに4本ずつ)。これにもう10本立て、最終的には18本になる。今あるのは100mくらいだが、最も高いイエスにささげられる中央塔は170mになるという。これがどのくらい高いかというと、例えば圧倒的な高さを誇るケルン大聖堂が157m。これよりも高いのだから、もう天にもとどきそう!

鐘楼のエレベーターに乗って上にあがってみた。ここからまわりの塔や街の光景を見るのは1983年以来。このエレベーター(有料2ユーロ)はローマ法王の訪問以降予約制になったとのこと。大勢の観光客がやってくる春や夏は予約をとるのが大変そうだから、短い待ち時間ですばらしい眺望が体験できたのは幸運だった。

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2009.03.21

好きな門 ベスト10!

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数日前の朝日新聞にアスパラクラブ会員に対して行ったアンケート‘好きな門は?’の調査結果が載っていた。回答総数1万266人が選んだベスト10は次のようになっている(複数回答)。

1位 日光東照宮陽明門   3780人
2位 浅草寺雷門       3029人
3位 首里城守礼門      2102人
4位 東大寺南大門      2084人
5位 東京大学赤門      1988人
6位 南禅寺三門       1776人
7位 知恩院三門       1125人
8位 東京デイズニーランド正門  810人
9位 桜田門           791人
10位 迎賓館赤坂離宮正門   780人 

日本一の門は納得の‘日光東照宮陽明門’(国宝、上の画像)。大変な数の彫刻で飾られた豪華な金色の門の前に立つと、西洋のバロック建築とか中国王朝の宮殿を見ているような気分になる。

これは天下をとった徳川家が権力の凄さを諸大名や民に見せつけるために巨費を投じてつくったもの。こういうときの意匠や彫刻は中国に昔からあるものと決まっている。お馴染みの唐獅子、龍、獏などをこれでもかというくらいデコラティブにとりつけるのは武家の好み。京にいる天皇や公家のテイストではない。

 欧米からやってくる観光客にとって、この陽明門はヨーロッパにあるバロック様式の聖堂を彷彿とさせるから日本人以上に感動するかもしれない。

浅草寺の雷門は人気が高く2位。これは意外だった。4位の東大寺南大門(下)は中に運慶、怪慶がつくった‘金剛力士像’(国宝)があるから、個人的には雷門よりはこちらのほうが印象深い。久しく東大寺の大仏さんや阿形像、吽形像を見てないから、会いたくなってきた。京都の南禅寺や知恩院の三門もお気に入り。

10位までのなかで沖縄の首里城はまだ見てない。北海道には何度も行きたいなと思うのに、南の方はどうも縁がない。沖縄サミットがあったとき、首里城がクローズアップされ、いつか訪問しようと思ってはいたが、それっきり。一度は見ておきたいところだから、なんとかしなくては、、

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2007.08.29

日光東照宮

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日光東照宮を20数年ぶりに訪問した。で、前回通った道はすっかり忘れている。東北道の宇都宮インターで降りたのは覚えているが、そこから日光までのルートがあやふや。“あの頃、日光・宇都宮道路はあった?”なんて話しているうちに日光インターが近づいてきた。高速道路を走っているので、宇都宮からはすぐという感じ。

そこから先もまだ、道路沿いの景色のイメージが戻ってこない。やっと、日光東照宮に着いたのを実感したのは赤い神橋が見えてきたあたりから。市営の駐車場から階段を上がり、広い表参道に立つと、この道を進んだことをかすかに思い出した。

見学の順番は“日光山輪王寺”、“日光東照宮”、“日光二荒山神社”、最後に“家光廟大猷院”。お目当ては前回、存在すら知らなかった国宝の大猷院(たいゆういん)。輪王寺の宝物館には探幽の3幅の掛け軸があったが、アベレージの作。ここではサプライズはなかった。

で、日本のバロック建築、東照宮へ急いだ。“見ざる・言わざる・聞かざる”の“三猿”の彫刻がある“神厩舎”には白い馬がいた。白い馬は午前中だけここに居るらしい。前回会えなかったのはお昼すぎに到着したからだ。これはラッキー。

いい気分になり、導線を右に曲がると“陽明門”(国宝、上の写真)が目に飛びこんできた。絢爛豪華さに昔ほどびっくりしないが、今は金色ではなくあの胡粉の白に強く惹きつけられる。最高の技で仕上げられた獅子や獏、龍などの彫物を一つ々みていると徐々に気分が高揚してきた。横の回廊に目をやると、美しい緑や赤で彩色された花鳥の彫刻が陽明門をいっそう引き立てている。

唐門のむこうの拝殿、石の間、本殿では案内の人が一通り、社殿の形式、“権現造”や内部に描かれた絵画のことを説明してくれる。真ん中の絵は拝殿の左の間にある狩野探幽作、“白澤(はくたく)”。前回見たはずだが、記憶が全く消えているから、はじめて見るようなもの。平和な世に出現するという白澤は昨年みた狩野一信の“五百羅漢図”(拙ブログ06/3/2)で関心の高かった聖獣だから、とても興味深かった。右の間には青竹と麒麟が描かれていたので見逃してはならじと、大勢の人が出口のほうへむかう中を掻き分けて、逆サイドにある絵の前に立った。“このおっさん、えらく熱心やな!”と思われたにちがいない。

有名な“鳴龍”はこの拝殿の中にあると思っていたら、これは勘違いで“それは陽明門を降りた右側の本地堂ですよ”と言われた。前は自分たちで天井に描かれた龍(下の写真)の頭のあたりで手をパチッとたたいた覚えがある。で、また拍手するのを楽しみにしていたら、かわりに説明する男性がいい音のでる拍子木を数回たたいてくれた。耳をすますと龍の頭のあたりから金鈴のような音が聞こえてきた。何度聞いてもいい音!

最後に見た大猷院の規模は東照宮より一まわり小さいが、豪華さは東照宮と変わりなく、期待以上の満足が得られた。ここの拝殿にも探幽が描いた唐獅子や狛犬があったので、再接近してみた。4つまわったので少しくたびれたが、心地よい疲れだった。

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2007.07.17

もっと知りたいスペイン! その二 アントニ・ガウディ

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TBSの“世界遺産”で2週続けて“アントニ・ガウディの建築物”を放映してくれたので、“もっと知りたいスペイン!”(拙ブログ07/6/18)のその二はスペインが生んだこの天才建築家にした。

ガウディがつくった建築物を全部見てみたい気持ちは強いが、普通のツアーだと訪問できる建物は限られている。半日くらいの自由行動があると、“グエル邸”、山と地中海をイメージした“カサ・ミラ”(3/16)とか海から発想した“カサ・パトリョ”の内部を見たり、屋上のユニークなオブジェを楽しめるのだが。ここは、建築の専門家ではないから、上の“サグラダ・ファミリア贖罪聖堂”と下の“グエル公園”を満喫することで心を落ち着かせるほかない。

ガウディは74歳のとき、路面電車にはねられるというショッキングな死に方をする。病院に運ばれたとき、みすぼらしいいでたちだったので、誰もガウディと気づかなかったらしい。亡くなった1926年、聖堂は降誕のファサードと4本の塔が姿を見せており、4本のうち1本は完成していた(画像手前の一番左の塔)。ガウディの最大の理解者であり、パトロンであった大実業家、エウセビオ・グエルが1918年に死去した後は、ガウディは聖堂の建設に専念し、資金集めをし、無償で働いていたから、この天才の突然の死は多くのバルセロナ市民を悲しませたにちがいない。

番組ではガウディ建築のあの幻想的な色使い、直線と曲面を多用した独創的なフォルムは何に刺激されて生み出されたのかを解き明かしていた。ガウディは小さい頃から生地レウスの自然に親しみ、成人して、カタルーニャの聖山と呼ばれる“モンセラー”に登ったりしたので、山や植物、生き物などが独創的な建築にとり必要なモィーフとなった。“創造するのではない、人間がつくりだすものは自然という偉大な書物のなかに書かれている”と語っている。

この自然主義はサグダラ・ファミリア聖堂やグエル公園でもあちこちにみられる。聖堂の外壁にはかたつむり、とかげ、亀、内部のかたつむりを連想させる螺旋階段、そして聖堂そのものが静寂な森である。グエル公園では、階段の中央に流れる水盤に蛇やドラゴンがおり、柱廊の天井にある太陽を表現した色鮮やかな円形装飾が目を楽しませてくれる。そして、観光客や市民の憩いの場になっている曲がりくねったベンチの装飾モティーフにもバラやクローバー、シュロの模様が使われている。

自然を創造の源にしたガウディの建築物をみていると、自然を愛する芸術家だけにミューズは微笑むような気がしてきた。

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2007.07.07

美の壺 五重塔と音楽

917NHK教育で金曜夜10時に放映される“美の壺”はお気に入りの美術番組。

とぼけたキャラクターが持ち味の谷啓と女性ナレーターのおもしろい掛け合いで、美術品を見る壺を25分でまとめてくれるので大変勉強になる。

で、毎月購入する“TV太郎”で何が取り上げられるかをチェックし、関心のあるものがでてくるときは必ずみることにしている。

昨日は“五重塔”だった。2ヶ月前、京都で醍醐寺の五重塔(拙ブログ5/19)を見たばかりなので、目と耳に力をいれてみた。面白い見方だなとすごく興味深かったのは五重塔の姿を音楽になぞらえていたこと。全国の五重塔を研究している専門家が登場し、“逓減率”というデータをつかって塔の特徴を分類していた。

逓減率というのは初層に対する五層の幅の割合のことで、例えば、初層が1に対し五層が0.5だったら、逓減率は0.5。これは安定感のある形。0.7だとすらっと背が高くみえる感じ。具体的な例をあげると、法隆寺の五重塔は0.5、山口市にある瑠璃光寺は0.68、そして醍醐寺は0.61となっているそうだ。法隆寺がずっしり安定型、瑠璃光寺のは細みの長身型、醍醐寺は安定感があり、そして高くも見える理想型。

それで、このように特徴づけられる塔のプロポーションがどんな音楽のリズムを想起するのか?ここからは番組制作者の創作。“法隆寺は重厚なベースのリズムが合う、瑠璃光寺のイメージはバイオリンの独奏による上品なリズム、醍醐寺はバランスがよく堂々としているので、色々な音が響きあう交響曲のハーモニーを想わせる”とナレーションし、バックにベース、バイオリン、管弦楽団の演奏を流していた。使われている交響曲はベートーベンの7番の一番盛り上がるところ。“ううーん、醍醐寺の五重塔とベートーベンの7番か。こんなコラボがあったのか!”と思わず唸ってしまった。

これにはちゃんと種本がある。全く知らなかったのだが、作家の井上靖(1907~
1991)は著書“塔”で“すべての日本の塔が多かれ少なかれ<凍れる音楽>にほかならない”と述べているのだという。早速本屋に行ってみようと思う。

右は番組でその優雅な姿からバイオリンの独奏が聴こえてくると言わしめた“瑠璃光寺五重塔”(国宝、室町中期、1442年の創建)。はじめて見たときは大変感動した。ここを訪れる観光客は誰もが手前の池側から記念写真を撮る。これほどいい撮影ポイントはない。番組には羽黒山五重塔(05/11/10)や東寺の54.8mと一番高い五重塔も取り上げられたから、“THE五重塔”のてんこ盛り。

木造建築の技を結集してつくられた五重塔。その美しさにしみじみ感じ入る。まさに日本の宝である。

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2007.05.19

銀閣寺&醍醐寺

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京都は毎年2,3回訪問し、美術館に行ったり、お寺巡りをしている。有名な寺院や神社は大体まわったが、数が多いのでまだ事前予約がいる桂離宮、苔寺、修学院離宮や醍醐寺などが残っている。で、今回は相国寺から近い銀閣寺と醍醐寺を訪ねた。

この時期は修学旅行が真っ最中なのか、最初に出かけた銀閣寺には制服を着た中学生が沢山いた。今は男女5人で一つのグループをつくり、グループ単位で名所旧跡を回るようだ。みていると観光ガイドを兼ねたタクシーの運転手が寺を案内したり、写真を撮っている。帰りのお土産屋で千葉県から来たという男の子に、小遣いの目安があるのか尋ねると“一万円ぐらい”と言っていた。

生八橋などの試食を沢山置いているお店がやはり人気で、みんな財布を出し、2、3個買っていた。両親とか兄弟、祖母、祖父用とか算段しながら買っているのだろう。昔も今も変わらないなーと懐かしく見ていた。日本人は修学旅行からお土産を買うことをおぼえ、以後この良き風習を一生続けていく。お土産をもらうと誰しも悪い気はしない。普通のお饅頭でもわざわざ買ってきてくれたというのがすごく嬉しくて、お土産をくれた人との親密度が増すことが多い。

銀閣寺(上の画像)は過去一度来たことがあり、二層の観音殿(銀閣)はよく頭に入っているが、どういうわけか白砂を段形に盛り上げた銀沙灘や円錐台形の向月台の記憶がない。たぶん、金閣寺&銀閣寺で観音殿にしか関心がいってなかったからだろう。で、以前見た池田遙邨が描いた名画、“銀沙灘”がイメージできるよう、今回はいろいろな角度からじっくりみた。とくに惹かれるのが円錐台形。これを想いついた人の美意識というか感性は相当レベルが高い。銀沙灘は月の光を反射させるためといわれてるようだから、夜ここの空間に立つとすごく感動するだろう。

醍醐寺は地下鉄東西線の醍醐駅から歩くにはキツイ距離なので、巡回バスに乗った。ここのお目当ては国宝の五重塔(下の画像)。高さは38mと羽黒山(拙ブログ05/11/10)の30メートルを上回る。さらに屋根の上に13mの相輪がある。完成したのは951年だから、この五重塔は京都府下では最古の木造建築物。どーんと立っている感じである。これで代表的な五重塔は全部見た。東寺、法隆寺、興福寺、室生寺、瑠璃光寺(山口市)、羽黒山。醍醐寺のをみて日本の木造建築物のすばらしさを再認識した。

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2007.03.16

バルセロナのアントニ・ガウディ

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久しぶりのスペインとはじめての国、ポルトガルを旅行してきた。A社の“情熱のスペイン、哀愁のポルトガル10日間”は昔から見慣れたキャッチコピーだが、この定番文句が旅心を掻き立てるのである。今回訪れたのは
★スペイン:バルセロナ→バレンシア→クエンカ→マドリード→トレド→ラ・マンチャ→コルドバ→グラナダ→ミハス→セビリア
★ポルトガル:エボラ→リスボン→シントラ・ロカ岬。
スペインではバルセロナ、マドリード、トレド、グラナダ以外ははじめて行くところだし、リスボンも含め期待の観光地が続く楽しいツアーだ。

では、まずバルセロナから。
バルセロナ訪問は3度目。前回が90年だったので、17年ぶりのスペインである。このツアーはバスでポルトガルまで移動するので一つの観光地であちらの名所もこちらの名所もというわけにはいかない。で、バルセロナは天才建築家、アントニ・ガウディ
(1852~1926)が建てた建築物の見学が観光の中心。メインディッシュの前菜として市街を一望できる“モンジュイックの丘”に行き、スペインという国の風景の目慣らしをする。写真撮影ポイントにつくまで現地の日本人ガイドさんがこの丘にあるオリンピック施設を説明してくれる。途中、“ミロ美術館”が見えてきた。前回はここを目指してバスの進行方向の逆からふーふーいいながら歩いたことを思い出した。

日本を発つとき現地の温度を気にしたが、スペインでも暖冬のようで、それほど寒くはなく安心した。市全体が見渡せる場所からは右に地中海、真ん中あたりに“サグラダ・ファミリア”の鐘塔が見える。遠くからではあるが3回目の対面である。“後でまた行くからね!”という感じ。“サグラダ・ファミリア”を観たくてこのツアーを申し込んだ人はすぐにでもあの塔まで飛んでいきたい気分かもしれない。

バスは坂を下ると地中海沿いの道路を通って、街の中心部に進んでいく。車窓から高さが60mもある“コロンブスの塔”をパチリ。昔はこの近くの岸壁に“サンタマリア号”が係留されていたが、確認できなかった。どこへ行ったのだろう?

だんだんバルセロナのお目当てであるガウディの建築物が近づいてくる。最初が波打つ壁面と青や緑の色ガラスに目を見張る“カサ・パトリョ”。24年前、ここを写真に撮っているのに全く記憶がない。グラシア通りで次に現れるのが上の“カサ・ミラ”。これは丁度バスが信号で止まったのでいいショットになった。交差点の四つ角に建っているから見映えがする。建物の形から“石切場”とも呼ばれているらしい。上のほうをみると人がいる。時間があれば中に入れただろうに。残念!

どのツアーでもガウディの作品で時間をかけてみるのは“グエル公園”と未完の聖堂“サグラダ・ファミリア”。“グエル公園”での見所は真ん中の“ドラゴン”と広場の曲がりくねったベンチ。2月9日の新聞にこのドラゴンが若い男に壊されたという衝撃の記事が載っていた。頭の先は欠けて周りを柵で囲っていたから、“これから見に行くのになんてことをしてくれたのだ!自分は一度見ているからいいが、楽しみにしている人もいるのに”と思わず、隣の方と顔を見合わせた。で、てっきり新聞に載ってた情況と変わりないだろうと思っていた。ところが、なんとドラゴンが完璧に修復されていた!!これには驚いた。こんなに素早い対応をしていたとは。はじめてみる隣の方の嬉しそうな顔をみて、ほっとした。

天井に鮮やかな色彩で太陽の円形装飾が施されている柱廊を通りぬけ、上にあがると大変楽しい広場にでてくる。波打つベンチは形もさることながら多彩色のタイルを砕き、また張り合わせる“破砕タイル技法”でコラージュ風につくられたモダンな模様に目を奪われた。明るい赤や青、緑、オレンジ色の組み合わせにはこのベンチの装飾を担当したジュジョール(1879~1949)の豊かな色彩感覚がいかんなく発揮されている。

“サグラダ・ファミリア”はグエル公園からそう遠くないところにある。真近に観るのは
1983年以来。四半世紀もたつから、どこからどういう風にみたのかよく覚えていない。当時は建設してから100年目にあたるのでそれを示すバナーがかけられていた。作業現場は建築は進んでいるのだろうか?と思うくらい閑散としていた。エレベーターで鐘塔を登り、高いところから聖堂全体を眺めたのはいい思い出。現在は観光客が増えているから、エレベーターで登るにはかなり時間がかかりそう。

現場も以前とは様変わりで、都会のビルの建築現場に入り込んだような感じである。当時とは違い、資金も集まり、自然石ではなくコンクリートを使ったり、CG解析などの最新設計で建設しているので作業スピードが上がり、2020年に完成の予定だという。

下の画像は“受難のファサード”の4本の鐘塔部分。樹木のような塔である。塔の先端の模様はヤモリの足のよう。ここにも色が輝くモザイクタイルが使われている。ガウディが最初に手がけた“誕生のファサード”からも写真を何枚も撮った。でも、家に帰りアルバムをひっくり返してみると前撮ったところと同じアングルが多い。ご愛嬌である。

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2006.12.14

伊東豊雄 建築/新しいリアル展

586新日曜美術館が2週連続でこれまで知らなかった作家を発見するきっかけをつくってくれた。

最初が現代アーティスト、大竹伸朗、次が建築家、伊東豊雄。その作品はいずれも目を釘付けにさせ、番組が終了した後、すぐ展覧会へ行くことを決断させるほど大きな力をもっていた。

“伊東豊雄 建築/新しいリアル展”は現在、東京オペラシティアートギャラリーで開催されている(12/24まで)。番組で伊東豊雄をみたとき、“この建築家は世界中から設計依頼が来るトップランナーの一人だろうな!年齢は40代後半~50代前半かな”と思った。活躍ぶりは予想通り、世界各地に斬新な建築物がつくられていた。

が、歳についてはふさふさした髪の毛に惑わされ、大ハズレ。実際は現在、65歳だった(1941、韓国京城市、現ソウル生まれ)。顔の表情、しゃべり方からはとても65歳には見えない。流動体の形態をもつ建築物同様、頭の中と体は柔らかいのだろう。

展示室には現在進行中の建築プロジェクトやすでに完成している建築物の模型が展示してあり、最新のCG技術を駆使して制作された三次元画像で建物の概観や内部の構造をより詳しく解説している。“台中メトロポリタン・オペラハウス”は曲面体のオペラホールやその周りの部屋が連続してつながる開放感溢れる建物。なんだか珊瑚礁をいくつもくっつけたようにみえる。

コンピューターの発達と最新の構造技術により、現在では流れるような形態の建築が可能になった。伊東豊雄が目指すのはこれまでの均質なグリッド(格子)に基づく建築とはちがう、複雑で流動的な連続体を生み出すエマージング(生成する)・グリッドをコンセプトとした建築である。これにより建築が周りの自然環境へ近づき、自然と一体になるような建築物をつくることが可能になる。

靴を脱いで入る展示コーナーでは、床はフラットでなく緩やかな曲面になっているので、慎重に歩かないと転んでしまう。これは岐阜県各務原市営斎場(06年完成)の屋根を再現したもの。斎場の屋根を横からみるとUFOが森の中を飛んでるイメージ。ここに展示してある巻貝の形をした“リラクゼーション・パーク”(建設中、スペイン)の模型に目を奪われる。自然界に存在するものとそっくりの建物が現実につくられているのだから驚く。

大型プロジェクターに“せんだいメディアテーク”(01年)、右の“MIKIMOTO Ginza2ビル”(05年)、“TOD’S表参道ビル”(04年)が映し出されるので熱心にみた。鉄のチューブが目を惹く“せんだいメディアテーク”を訪れる市民は年間100万人いるという。広々とした開放的な空間のなかで本が読める仙台の方が羨ましい。宮城県立美術館を訪問する機会があったら、是非寄ってみたい。“MIKIMOTOビル”はときたま見ることがあるが、てっきり海外の売れっ子建築家の設計によるものだと思っていた。伊東豊雄が設計してたとは。へえー!である。

来年春一般に公開される“福岡アイランドシティ、ぐりんぐりん”は屋根に緑の草木が生えているので、遠くからは丘のように見える。まさに地形と建築が一体化している。先行例として思いつくのは、フンデルトヴァッサー(拙ブログ04/12/24)が“人間と自然の調和”という思想のもとにオーストリアのブルーマウにつくった“保養村”(1997)。日本版の“建築と自然の調和”をいつか見てみたい。

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