2018.07.26

魅了される紅型の美!

Img    国宝‘紅色地龍宝珠瑞雲模様衣裳’(18~19世紀 那覇市歴史博)

Img_0003  ‘白地流水蛇籠に桜葵菖蒲小鳥模様衣裳’(19世紀 沖縄県博・美)

Img_0002    ‘黒漆雲龍螺鈿大盆’(18~19世紀 浦添市美)

Img_0001     ‘朱漆椿密陀絵沈金椀’(16~17世紀 サントリー美)

サントリー美で行われている‘琉球 美の宝庫’展(7/18~9/2)をみてきた。出動を早めたのは紅型の最高傑作、国宝‘紅色地龍宝珠瑞雲模様衣裳’(那覇市歴史博)が7/18~7/30しか展示されないから。

6年前ここで紅型展が開かれたとき、期待に反してこの宝珠を追っかける龍が描かれた紅型はやって来なかった。国宝に指定された2006年にTVの美術番組でこれが紹介されいつかこの目でと思ってきたが、やっと願いが叶った。ミューズに感謝!

紅型の魅力はこの強烈な色彩、紅色は鉱物を砕いてつくる顔料のため粒子が粗く光をより反射する。そのため、植物からつくる染料と較べて倍以上の鮮やかな色になる。まさに光あふれる沖縄ならではの染織。この地に黄色と青で表現された龍が3つの姿でダイナミックに躍動している。絵柄からすると中国のものと変わらないが、濁りのない鮮やかな色彩は沖縄オリジナル。長いことみていた。

狙いは龍の一点買いなので、あとは紅型展にも出品された木綿の‘白地流水蛇籠に桜葵菖蒲小鳥模様衣裳’などをさらっとみて、ずらっと並んだ‘国宝 琉球国王尚家関係資料’を楽しんだ。チラシに大きく載っている‘王冠(付簪)’は今はレプリカがでており、本物は後半の8/22~9/2に登場する。

また、雲龍がどんと描かれた大きな黒漆螺鈿盆にも魅了された。光のあたり具合でいろいろな表情をみせる螺鈿細工もこれくらい大きいと見ごたえがある。視線を上下させて螺鈿の輝きを目に焼きつけた。

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2017.12.21

東博の‘刀剣鑑賞の歴史’!

Img     ‘太刀 銘 光忠’(重文 鎌倉時代・13世紀)

Img_0001     国宝‘刀 無銘 正宗(名物 観世正宗’(鎌倉時代・14世紀)

Img_0002     国宝‘短刀 銘 行光’(鎌倉時代・14世紀)

現在、東博本館では特集展‘刀剣鑑賞の歴史’(12/5~2/25)が行われている。場所は1階の14室(正面向かって右奥角っこの部屋)。たまたま東博のHPを開いたら、目に入ったので忘年会がはじまる前に出かけてきた。

東博へ定期的に通っていたころは刀剣が飾ってあるところには必ず行っていた。そのため、東博が所蔵する国宝、重文は数点を残してだいたい目に入っている。刀をみるときとくに関心を寄せているのは刃文、本を読んだりしてその種類を頭に入れた。

ここにあげた国宝‘短刀 銘 行光’が‘直刃(すぐは)’で、見事な‘のたれ’がみられるのが相州正宗の国宝‘刀 無銘 正宗(名物 観世正宗)’、そして長船光忠の‘太刀 銘 光忠’で目が釘付けになるのが‘丁子刃(ちょうじば)’や‘互の目(ぐのめ)’。

覚えることはまだある。刀工がいた場所とその時代。いろいろなところで刀はつくられてきたが、備前と相州をおさえておけばまあ安心。日本最大の刀剣生産地である備前には平安後期に興った古備前派、鎌倉前期の一文字派、そして鎌倉中期に不動の地位を築いた長船派の三派がある。光忠は長船派の祖、その子どもが長光。

鎌倉中期に京や備前から集まってきた刀工たちによってはじまったのが相州鍛冶。祖は新藤五国光、その子どもとも弟子ともいわれるのが行光、正宗。今回は国宝が4点、行光の短刀、正宗(名物観世正宗と金象嵌銘正宗)、正宗の子どもの貞宗の名物亀甲貞宗がみられる。見ごたえのある刀剣に魅了された。

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2017.05.26

武蔵御嶽神社の国宝‘赤糸威鎧’!

Img_0002    日本茜 BSプレミアム5月10日 ‘失われた色を求めて’より

Img_0003    日本茜の根

今月の10日、BSプレミアムで放送された‘失われた色を求めて~植物染め・伝統100色を今の世に~’(90分)を興味深く見た。番組の主役、染織家吉岡幸雄氏(70歳)は以前から美術番組で知っており、2008年日本橋高島屋で開催された‘千年紀ー源氏物語の色’展にも足を運んだ。

この吉岡氏と志村ふくみさんのおかげで植物染めの理解が進み、古来からある日本の色の美しさを強く感じるようになった。番組はその植物染めの再現がどのように行われたかを詳細に追っかけていた。吉岡氏はイギリスのヴィクトリア&アルバート博物館から植物染めを永久保存したいという依頼を受け、この2年間に50色を再現し納品している。

色は紫、茜、藍、紅、黄の4色がでてきたが、そのなかで熱く反応したのが茜(あかね)。武蔵御嶽神社(青梅市)にある国宝‘赤糸威鎧’では平安時代に染められた茜がみられるということがわかった。威の真ん中に残っている赤色が黄色がまじったような深い赤の茜で左右の薄い赤は明治36年に化学染料を使って修理されたもの。色はだいぶ褪色している。

茜は再現が難しい色、吉岡氏は奈良の五條市で3年がかりで農家の人と一緒になって日本茜を育て草の根から茜色を染めている。でもとれる量は少ないようだ。3年かけてまた育て何度も染めて濃い茜色を生み出していく計画とのこと。

今年は年初にあった‘春日大社展’(東博)で見事な鎧を4点もみることができた(いずれも国宝)。そして、武蔵御嶽神社にも日本茜がみられる鎧があるという情報を得た。俄然、この鎧をみたくなった。遠足がてら訪問するかもしれない。

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2017.04.30

さいたま市大宮盆栽美術館を訪問!

Img_0003     大宮盆栽村に隣接した一角にある‘さいたま市大宮盆栽美’

Img_0002     盆栽庭園 季節に合わせ40鉢の盆栽を展示

Img_0001     ‘五葉松 銘 日暮し’(樹齢450年)

Img     ‘五葉松 銘 青龍’

かねてから一度行ってみたいと思っていた‘さいたま市大宮盆栽美術館’に27日出かけてきた。背中を押してもらったのはまたしてもみどりがめさん、6年ぶりに名品の‘五葉松 銘 日暮し’(樹齢450年)が展示されることを教えてもらったので展示期間の4/27~4/30、5/3~5/5に照準を合わせていた。

TVのニュースでも盛んに流れていたが、4/27~30、さいたまスーパーアリーナ(まだ行ったことがない)で‘第8回世界盆栽大会inさいたま’が行われた。この大宮盆栽美もそのサブ会場になっているため会期に合わせて‘日暮し’が登場したのである。

美術館の場所はJR宇都宮線の土呂駅で下車して徒歩5分のところ。10時半に到着するとすでに大勢の人がいた。その3分の2くらいが外国人、近年海外で盆栽の人気が高まっていることは情報としては入っていたが、外国人観光客の顔が喜びにあふれているのをみて盆栽の世界はスゴイことになっているのがよくわかった。

盆栽のことはまったく知らない。だから、初心者の手前、興味は前からあり大宮盆栽美が2010年にオープンしたことはインプットされていた。そして、2013年4月に放送されたBSプレミアムの美術番組‘イッピン 盆栽’で盆栽のイロハのイくらいわかった。そのとき紹介されたのがこの美術館にある‘五葉松 銘 青龍’。この名品が今、盆栽庭園に展示してある(3/17~5/10)。たしかに、横から見ると龍にみえる。盆栽のおもしろさがちょっとわかってきた。

ギャラリー内の特設スペース‘真・行・草の間’のうち‘真の間’に置かれているのが‘五葉松 銘 日暮し’、この松の樹齢は450年。へえー!一日見ていても見飽きないという意味をこめて命銘されたという。まさにその通り。はじめての本格的な盆栽鑑賞でこんな有名なものにお目にかかれたのは幸運だった。

GWの5/3~5/5にも展示される。また大勢の盆栽ファンが押し寄せるにちがいない。

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2017.02.28

二度目の‘春日大社展’!

Img      国宝‘本宮御料古神宝類 蒔絵箏’(平安時代 12世紀)

Img_0003     拡大(左部分)

Img_0001     拡大(右部分)

Img_0002     国宝‘赤糸威大鎧’(鎌倉~南北朝時代 13~14世紀)

Img_0004     ‘鹿図屏風’(江戸時代 17世紀)

東博で開催中の‘春日大社展’(~3/12)は残り2週間となった。後期に一番のお目当てである‘本宮御料古神宝類 蒔絵箏’が登場するのでワクワク気分で出かけた。

この見事な蒔絵の箏の存在を知ったのは1998年に発行された‘週刊朝日百科 日本の国宝 春日大社’を買ったとき。見開き頁に大きく載った甲板に蒔絵で表された流水文様をみていつか本物をこの目でと強く思った。その願いが19年経ってようやく実現した。これほど嬉しいことはない。

目を釘づけにさせるのが大胆にそして柔らかく曲げられた流水の形。この造形感覚がまったくスゴイ、そして流れにそって元気よく飛んでいる鳥たち、槽の端のところには鴛鴦もみえる。この箏を二度とみることはないだろうから単眼鏡を使いながら隅から隅までじっくりみた。

もう一点、期待していたのがあった。国宝の‘赤糸威大鎧(竹虎雀飾)’、前期に展示された同じく国宝の‘赤糸威大鎧(梅鶯飾)も感激したが、この大鎧はさらに見事な出来栄え。こんな美しい兜、鎧があったのか!豪華さを演出しているのが赤と黄金の組み合わせ、国宝の鎧をかなりみたが、これが群を抜いていい。一生の思い出になる。

春日大社といえば鹿、通期で展示されている‘鹿図屏風’にもまた足がとまった。

念願のお宝がたくさんみれて200%満足した。ミューズに感謝!

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2017.01.20

サプライズ! 東京都庭園美の‘並河靖之展’

Img     ‘四季花鳥図花瓶’(1899年 三の丸尚蔵館)

Img_0001     ‘桜蝶図平皿’(明治中期 京近美)

Img_0002     ‘龍文瓢形花瓶’(明治中期 ギャルリー・グリシーヌ)

Img_0003     ‘藤草花文花瓶’(明治後期 並河靖之七宝記念館)

18日の美術館巡りは4館足を運んだが、最後に寄ったのが東京都庭園美。新館ができてもう3年くらい?経っているがなかなか来る機会がなかった。久しぶりの訪問なのでJR目黒駅からの道順がちょっと不安だったが、歩き出すとだんだん美術館までのイメージが湧いてきた。

ここで今行われているのは七宝界の神様みたいな存在だった並河靖之(なみかわやすゆき 1845~1927)の回顧展(1/14~4/9)。この展覧会の情報が入ってきたのはほんの一ヶ月前、まさか並河靖之展に遭遇するとは思ってもいなかった。

今回でているのは全部で93点、名品がすべて集まったという感じ。日本だけでなくイギリスのヴィクトリア・アンド・アルバート博からもたくさん出品されているのだからたまらない。おそらく30年に一度クラスの回顧展、だから一点々噛みしめながらみた。

まず入ってすぐの部屋に最高傑作‘四季花鳥図花瓶’が飾ってある。黒地に映える緑の紅葉と鶯は何度みても感動する。並河の繊細な感性が漆黒の背景というのがこれほど美を演出してくれることを気づかせてくれた。そして円形の‘桜蝶図平皿’でも緑の地が強く印象に残る。中心で浮き上がる蝶はその精緻な描写からすると蛾のイメージに近い。

はじめてお目にかかったもので思わず足がとまったのが‘龍文瓢形花瓶’、同じ龍をモチーフにした花瓶がもう一点あったが、並河の七宝というと花鳥図を連想するのでこの龍の出現には驚いた。こういう異色の作品があったとは!

藤を描いたものが7点あった。そのなかでぐっと曳きこまれたのが‘藤草花文花瓶’、描かれた垂れ下がる紫と白の藤の花と長い花瓶の形がぴったり合っている。じっとみていると昨年12月根津美でみた応挙の藤の絵が重なってきた。

なお、この展覧会はこのあと二つの美術館を巡回する。
・伊丹市立美 9/9~10/22
・パラミタミュージアム(三重県) 10/28~12/25

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2016.11.12

お楽しみ満載、静嘉堂文庫美の‘漆芸名品展’!

Img     

Img_0001    ‘羯鼓催花・紅葉賀図蜜陀絵屏風’(重文 17世紀)

Img_0003     国宝‘曜変天目と黒漆塗天目台’(南宋時代・12~13世紀)

Img_0002    尾形光琳の‘住之江蒔絵硯箱’(重文、18世紀)

Img_0004    柴田是真の‘柳流水青海波塗重箱’(19世紀)

最近は世田谷にある静嘉堂文庫や五島美へ出かけるのは2年に一回くらいになってきた。久しぶりに静嘉堂文庫を訪問し、‘漆芸名品展’(10/8~12/11)を楽しんだ。

今回の目的は修理が終わって初公開されるという‘羯鼓催花・紅葉賀図密陀絵屏風’をみること。これまでここへは何度も足を運んでいるが、この密陀絵屏風にはどういうわけか縁がなかった。だから、この企画展の情報が入ってはじめてその存在を知った。

漆絵というと柴田是真の作品くらいしか目が慣れてないので、屏風サイズのものがありしかも重文とくれば是非ともみたくなる。11/8~11/20は二つともみれるというのでこのタイミングで美術館めぐりを調整していた。入館するといきなり目に飛び込んできた。

画面自体が大きいので人物描写がよくつかめる。いやいやこんな漆絵の名品があったのか!という感じ。何が描かれているかはあとで図録をみればわかるので解説文は読まず画面の隅から隅までじっくりみた。色のベースは漆絵特有の茶色系の色、派手さはなく渋い色調、そこに朱が重なりこの2色が人物の顔と足の白を浮き上がらせている。そして、縁飾りの装飾に目をやると螺鈿の貝が光っている。本当に見事な漆絵、一生の思い出になる。

お目当ての作品をみたのであとは帰りのバスの出発時刻をにらみながら定番の国宝‘曜変天目’や光琳の蒔絵、そして根津美であった柴田是真展に出品された‘柳流水青海波塗重箱’をみていた。

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2016.10.19

待望の‘志村ふくみ展’!

Img_0003     ‘澤’(1967年)

Img_0004     ‘若紫’(2007年)

Img_0002     ‘熨斗目(生絹)’(1981年)

Img_0001     ‘紅襲(桜かさね)’(1976年)

昨年、文化勲章を受章した紬織の人間国宝、志村ふくみ(1924~)の回顧展(9/10~11/6)で世田谷美でみてきた。これまで志村ふくみの着物をたくさんみているわけではないが、TVの美術番組で紹介されたものや人間国宝展に出品されたものをみて、草木染めの色の魅力にとりつかれてきた。

今回、優しくて品のある色合いや微妙なグラデーションが目を惹く着物が会期中全部で80点くらいでている。自然に生えている植物からとれる染料からこんなにバリエーション豊かな色を生まれてくるのだから、もっと草木に心を通わせないといけないと思う。

館内には着物姿の女性たちが多くいた。着物がとけ込んでいるような京都のような歴史のある街とはちがって、普通の都市では茶会とか結婚式といった特別の日にしかこういう光景はみない。だから、美術館で着物を着た人に出くわしたのは‘ハレ’の日だったのかもしれない。

足がとまったのは緑のグラデーションが心に沁みる‘澤’、自然と何度も何度も対話を重ね、志村は微妙に変化する色を自然のままに重ね合わしている。‘源氏物語’シリーズの‘若紫’にも魅了される。少し前、デトロイト美展でみキルヒナーの紫とは対照的にこの紫はまさに日本の紫。

青や赤でも日本の色彩はヴァリエーションの幅がとても広い。‘熨斗目’は白との親和性がすごくいい薄い青にみとれていた。そして、‘紅襲’は控えめな色だがじわーっと心がつつまれる感じ。こんな着物を着た女性が現われるとメロメロになりそう。

満足度200%の展覧会だった。ミューズに感謝!

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2015.09.01

組織委員会 東京五輪エンブレムの使用中止を決定!

Img     横山大観の‘群青富士’(部分 1917年 静岡県美)

Img_0001     尾形光琳の‘紅白梅図屏風’(18世紀後半 MOA美)

Img_0002     歌川広重の‘よし原仲の町桜の紋日’(1840~58年)

7/24に決まった2020年東京五輪のエンブレム、本日、大会組織委員会はこれを使わないことを発表した。このエンブレムはどうしても好きになれなかったのでホットしている。多くの国民がこうなることを望んでいたのではなかろうか。

エンブレムをつくった佐野氏にまつわるほかの作品のパクリ疑惑がこれほど噴出してきたら、もうアウト。組織委員会が会見で明らかにしたデザインの原案自体が著名な外国のタイポグラファーの展覧会のポスターに酷似していたり、エンブレムを活用する場面の写真をネット上の個人のサイトから無断転用したことが判明するなど、騒動を鎮めるための説明が逆に火に油を注ぐことになった。

新国立競技場の建設についでエンブレムも白紙撤回、東京五輪の準備は本当にうまくいくのか心配になってくる。

さて、仕切り直しのエンブレム、優秀なデザイナーは大勢いるのだからいいものができなくてはおかしい。勝手な希望をいくつか述べてみたい。まず第一は1964年の東京五輪のエンブレムを踏襲しないこと。これにこだわるからデザインに躍動感がでてこない。21世紀、先進都市東京でおこなわれる五輪、最高のスポーツの祭典を日本人のおもてなしの心でやさしく力強く繰り広げる。

デザインにとりこみたいモチーフは日本を象徴するもの、東京をイメージさせるもの、いろいろある。すぐ思いつくのは富士山とか桜、浮世絵に描かれた日本橋、そして日本美術の中核をなす琳派の造形、例えば流水を使ってくれないかなと思ったりもする。

二度も失敗は許されない。皆で五輪を盛り上げられるいいエンブレムを是非つくってもらいたい。

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2015.08.30

サプライズ! 輪島塗の‘菊蒔絵貝桶’

Img       北村辰夫の‘菊蒔絵貝桶一式’(2015年)

Img_0001       貝桶の蓋の裏に施された貝の装飾

Img_0002              ‘菖蒲’

Img_0003             ‘合歓の木’

ここ数年TV局が制作する美術番組のなかで熱心にみているのは絵画ではなくて工芸品がとりあげられたもの。先月もBS朝日の‘アーツ&クラフツ’で輪島塗がでてきたので食い入るようにしてみた。

そして、28日金曜の深夜Eテレで‘よみがえる超絶技巧 輪島塗 貝桶プロジェクトの2年’が放送された。8月のTV番組ガイドを購入した際にこの番組が目にとまり気になっていた。一ヶ月前に輪島塗の職人たちがみせる熟練の技がしっかりインプットされているので、今回は一体どんな超絶技巧がでてくるのか、どんな輪島塗の絶品が登場するのか興味津々。

番組の冒頭は外国人コレクターが今年6月に完成した‘菊蒔絵貝桶一式’と対面する場面、720枚の貝とそれらをおさめる二つの貝桶、満足げな表情をみせていたのはこの貝桶を注文したオーストラリアの日本美術コレクター夫妻。この貝桶を2年かかってつくりあげたのは漆芸家の北村辰夫。はじめてお目にかかる人物で作品にはまったく縁がない。

番組をみていくうちにこの人が輪島塗に新風を吹き込み斬新な意匠と高度な技を結集させた作品を次々に生み出し海外でも高く評価されている凄腕の漆芸家であることがわかってきた。輪島に工房を構え2年前50人の職人たちからなる貝桶プロジェクトを立ち上げた。驚くのはこのなかに若い職人たちが多くいること。

北村のこの貝桶での新たな挑戦は蒔絵と沈金の融合。そのため番組の多くの時間が3人の女性沈金師の奮闘ぶりにあてられている。貝桶の蓋の裏側には蒔絵で貝が描かれ四季の草花がきれいに浮き上がっている。でも、これは最終の出来上がりの半分、ここに沈金師がノミをいれて削り金粉や金箔などを埋め込み模様を整え意匠に華麗さと深みを与えていく。

誰もこういうことをやったことがないので腕は確かな沈金師とはいえ大胆に細工をしていくことがなかなかできない。工房の棟梁である北村は出来栄えをチェックしひとことふたこと感想をいい3人の背中を押してやる。こういうリーダーのもとでは仕事がしやすい。そして、見事な‘菖蒲’と‘合歓の木’ができあがった。

手本にした江戸中期の貝桶の名品に施された職人たちの超絶技巧が平成の世によみがえり、さらに蒔絵と沈金を組み合わせた新たな技法も誕生した。なにかワクワクするような話。サプライズの職人たちの技と漆芸家北村辰夫の名前が強く心に刻まれた。

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