2017.05.10

ココシュカの‘風の花嫁’!

Img_0002     ココシュカの‘風の花嫁’(1914年 バーゼル美)

Img     アルマ・マーラー(1879~1964)

Img_0001  アルマ・マーラー著‘グスタフ・マーラー’(1987年 中公文庫)

若いころスイスのジュネーブに住んでいたが、その頃は美術への関心度は人並みだったので質の高い作品を揃えるチューリヒ美やバーゼル美へ出かけようなどとは思ってもみなかった。

でも、隣の方はバーゼル美に行っている。一週間ほどジュネーブを離れてドイツに滞在したことがあり、そのとき日本人の奥さん仲間と連れ立ってバーゼルへ足をのばしたらしい。二人の西洋絵画の知識は観光客としてルーヴル美で楽しむほどのものだから、どんな絵があったかについては会話にならない。

このバーゼル美にはみたい作品がいくつかあるが、オスカー・ココシュカ(1886~1980)の‘風の花嫁’もそのひとつ。30年前にこの絵の存在を知り、どんないきさつで描かれたかもしっかりインプットされた。ココシュカは25歳のとき7つ年上の女性と恋に落ちた。

その女性はアルマ・マーラー(1879~1964)、23歳の時結婚したマーラーを1911年に亡くして1年くらいたったときだからまだ32歳の女盛り、その美貌に多くの男性が引き寄せられていた。彼女も風景画家だった父親の子どもだから芸術心は旺盛、若いココシュカとの愛にすぐ火がついた。

アルマは‘傑作が描けたら妻になってあげる’とココシュカにいうが、いい絵が出来上がったのに二人の愛は成就しなかった。アルマにとってココシュカは所詮短期間じゃれあった若いつばめ。1915年、アルマは建築家のグロピウスと結婚した。

口さがない人はアルマを世紀末ウィーンの‘ファム・ファタル(魔性の女)’と決めつける。際立つ美しさゆえ男もいちころで参ってしまう。そう呼ばれることをアルマは女の勲章と思っていたかもしれない。


 


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2015.06.08

心をザワザワさせるクリムトの‘ダナエ’!

Img     クリムトの‘ダナエ’(1907~08年)

Img_0001 ベラスケスの‘ヴィーナスの化粧’(1651年 ロンドン ナショナルギャラリー)

Img_0003 パルミジャニーノの‘弓を削るキューピッド’(1534年 ウイーン美術史美)

Img_0002 カラヴァッジョの‘ナルキッソス’(1599年 バルベリーニ宮美)

来年3月西洋美で行われるカラヴァッジョ(1571~1610)の回顧展のことを思うとアートと接する日々のくらしがいっそう楽しくなる。でも絵画に対する鑑賞欲は一人の画家にとどまっておらず、好きな画家であれば何人重なっても腹がいっぱいになることはない。だから、贔屓のクリムト(1862~1918)がまたやってこないかなと妄想する。

クリムト作品でずっとずっと追い求めているのが‘ダナエ’、この絵ほどギリシャ神話の話を生で感じさせてくれるものはない。変身術を駆使して狙った女性と交わるゼウス、このダナエと思いを果たすために変身したのが黄金の雨、牡牛ならわかりやすいが自然現象の雨とか雲に姿を変えるというのは??という感じ。

ベラスケス(1599~1660)の絵をだいぶみてきて、この画家の天才ぶりが理解できるようになってきた。ベラスケスの描く肖像画などもついみとれてしまうが、最も魅了されるのはベラスケスがスペインを離れてローマに滞在しているときに描いたもの。宮廷画家としてのしばりから解放されて芸術家心が刺激されるのか大胆すぎるほどの自由な筆使いで人物を描いている。

その傑作のひとつが‘ヴィーナスの化粧’、スペインでは裸婦はご法度、でもここはローマ。だから女性の描写も自由奔放、鏡を使って女性の顔をちらっとみせるという大サービスをしそのやわらかい肌を生感覚で表現していく。ベラスケスにとって、ローマは画家人生のなかで一番充実していた場所だったにちがいない。

この絵で鏡をもっているキューピッドが主役で描かれているのがパルミジャニーノ(1503~1540)の‘弓を削るキューピッド’、このキューピッドの綺麗な目が心を打つ。女の子のようにもみえる美少年、ヨーロッパを旅行しているとときどきこういうびっくりするほど美しい男の子に出会うことがある。別にそういう趣味があるわけではないが、ついみとれてしまう。

来年大きな楽しみをもたらしてくれるカラヴァッジョもギリシャ神話を題材にした作品を描いている。それはローマのバルベリーに宮国立古代美が所蔵する‘ナルキッソス’、自己陶酔に陥るナルキッソスの姿が映画とか舞台で演じられているような感じで描かれている。この絵をみるとあのイケメンの俳優も鏡の前にたってうっとりしているのかなとつい連想してしまう。こんなことを思わせるほどその描写がリアルなことがカラヴァッジョの大きな魅力。

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2013.12.26

今年はクリムトイヤー!

Img_0001 ‘メーダ・プリマフェージの肖像’(1912年 NY メトロポリタン美)

Img_0003  ‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ’(1907年 NY ノイエギャラリー)

Img_0004      ‘踊り子’(1916~18年 NY ノイエギャラリー)

一年間にみた絵画をふりかえってみて嬉しさがこみあげてくるのはやはり贔屓の画家のことを思い出すとき。今年わが家はクリムトイヤーだった。クリムト(1862~1918)にぞっこん惚れており画集に載っている作品をコンプリートすることを夢見ているので、アメリカの美術館と宇都宮美で15点もみれたことは一生の思い出。

1月に訪問したニューヨークのノイエギャラリー。06年にクリムトの‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ’が展示されるようになってから、このギャラリーはNYの人気のスポットになったという話を聞いていたので館内では心が踊った。

クリムト好きの女性は多くおられると思うが、その人たちにとってニューヨークはご機嫌な街かもしれない。ノイエギャラリーでは‘アデーレ’、‘踊り子’、‘黒い羽毛の帽子’の3点の肖像画と風景画3点、合わせて6点と対面でき、ここから5分も歩けば着くメトロポロタン美では‘メーダ・プリマフェージの肖像’と‘純白の婦人の肖像’と遭遇、そしてMoMAに寄ると‘希望Ⅱ’もみれる。しめて9点。これは本当に浮き浮きするラインナップ。

手元の画集をみると背景に中国人たちが描かれた‘フリーデリケ・マリア・ベーアの肖像’という作品がMET蔵となっているが、残念ながら姿を現してくれなかった。アメリカにはもう1点ある、それは4月宇都宮美で開かれたクリムト展にやって来たワシントンナショナルギャラリー蔵の‘赤子(揺りかご)’。

宇都宮美まで遠征して鑑賞したクリムトは‘アッター湖のほとり’(ウィーン、レオポルト美)が忘れられない一枚になった。この回顧展にでていた油彩は全部で6点。うち3点は日本の美術館にあるもの。お気に入りは名古屋に住んでいたときよくみた‘人生は戦いなり(黄金の騎士)’(愛知県美)。久しぶりに会ったので、しばらくいい気持でながめていた。 

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2013.05.26

クリムトの花オール・オーヴァー!

Img_0003     ‘けしの野’(1907年 ウィーン ベルヴェデーレ宮)

Img_0001     ‘ひまわりの咲く農家の庭’(1905~06年 ベルヴェデーレ宮)

Img_0005     ‘農家の庭’(1905~06年 プラハ 国立近代美)

Img     ‘りんごの樹Ⅱ’(1916年 ベルヴェデーレ宮)

オーストリアのウィーンは2003年に訪問した。はじめてこの街に足を踏み入れてから20年経っていたので、ウイーン美術史美やクリムトの‘接吻’があるベルヴェデーレ宮殿がとても新鮮に感じられた。ウィーンはヨーロッパではお気に入りの街、あと1,2回行きたいという気持ちを強く持っている。

そのときの楽しみ方はおおよそイメージできている。3つある楽しみの大半を占めているのがクリムト、シーレめぐり。あとは美術史美でチェッリーニの傑作彫刻‘フランソワ1世の塩入れ’をみることと昨年その素晴らしいコレクションが公開されたリヒテンシュタイン美を訪問すること。

クリムト(1862~1918)の作品が沢山あるベルヴェデーレ宮、2回の訪問と日本であったクリムト展などで画集に載っている名画にだいぶ済みマークがついている。でも、まだ9点も残っている。今、クリムト作品の展示についての生の情報がないが、とても一回では終わりそうにない。

そのなかでとくに関心の高いのが正方形の画面いっぱいに花が描かれた風景画。‘けしの野’や‘ひまわりの咲く農家の庭’は花をモチーフにした静物画とちがい、絵にとても力がある。数多くの花が画面全体にオール・オーヴァーに広がり、花の命の輝きを感じさせる。装飾的に描かれているのに花の存在感が強く印象に残るその生感覚、これが一番の魅力。‘ひまわり’と画面構成がよく似ているのがプラハの国立近代美が所蔵する‘農家の庭’、これも大変魅せられる。

‘りんごの樹Ⅱ’は15年くらい前日本にやってきた。大きなアフロヘアのような形をした木に赤や黄色のりんごが豊かに実っている。インパクトのある木のフォルムが今も忘れられない。ベルヴェデーレ宮にはりんごの木を描いた作品がもう1点あたったのだが、こちらは‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’などと同様2006年競売にかけられ個人が所有することになった。これで対面の夢が完全に消えた。

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2013.05.25

もっとみたいクリムトの風景画!

Img_0004_2

Img_2     ‘アッター湖畔のカンマー城Ⅰ’(1908年 プラハ 国立近代美)

Img_0001_2     ‘アッター湖畔のカンマー城Ⅲ’(1910年 ウィーン ベルヴェデーレ宮)

Img_0003_2  ‘アッター湖畔ウンターアッヘの家並み’(1916年 ウィーン ベルヴェデーレ宮)

若いころスイスのジュネーブに住んでいたとき、オーストリアのザルツブルクへクルマで行った。クリムト(1862~1918)が毎夏恋人のエミーリエ・フレーゲと一緒に避暑のため出かけたアッターゼー(ゼーは湖の意味)はザルツブルクからそう遠くないところにある。

このアッター湖畔で描いた風景画が全部で何点あるのかわからないが、手元の画集などには13点載っている。このうちお目にかかったのは以前ベルヴェデーレ宮にあり今は個人が所有している‘アッター湖畔ウンターアッヘの家並み’や宇都宮美でみた‘アッター湖のほとり’など5点ほど。残った8点の多くは個人蔵だから、今後本物に出会う可能性はきわめて少ない。

アッター湖はオーストリア国内では最大の面積を誇る南北約20㎞の細長い湖。クリムトが湖に浮かべたボートから望遠鏡も使って描いたカンマー城は湖の北にあるオーストリア王室の夏の離宮。‘カンマー城Ⅰ’を所蔵するプラハの国立近代美は10年前訪問したことがある。

この美術館ではとても残念なことがあった。クプカの美しい抽象絵画やミュシャの装飾性にあふれる人物画と出会ったのに、どういうわけかクリムトの‘乙女たち(処女)’と‘カンマー城Ⅰ’が姿をみせてくれなかった。なにしろはじめての美術館だから館内のレイアウトがよくつかめない。ぐるっとまわったつもりでも一部の展示室は見落としていたのかもしれない。監視員に英語が通じなくてとうとうクリムト作品に会えなかった。一体どこにあったのだろうか?

二度目のプラハはないから、この2点は夢のままで終わりそう。どこかの美術館で‘プラハ近代美展’があるかなと思ったりもするが、これは200%妄想。それに仮に実現しても(しないが)クリムトよりミュシャのいい絵をもってくるのだろう。かえすがえすもクリムトを見逃したことが悔やまれる。

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2013.05.22

クリムトを追っかけて宇都宮美へ!

Img_2     クリムトの‘黄金の騎士’(1903年 愛知県美)

Img_0003_2     クリムトの‘赤子’(1917~18年 ワシントンナショナルギャラリー)

Img_0001_2     クリムトの‘アッター湖畔’(1900年 ウィーン レオポルト美)

Img_0006     マッキントッシュ夫人の‘刺繍パネル’(1904年 グラスゴー美術学校)

宇都宮美で開かれている‘クリムト展’(4/21~6/2)をみてきた。宇都宮まで行っているJR湘南新宿ラインに乗ったのだが、美術館に着くまで3時間40分かかった。バス料金にびっくり。駅前から乗っている時間は20分なのに400円が料金箱に。

クリムト(1862~1918)の生誕150年を記念して企画されたこの回顧展は最初愛知県美でおこなわれ、そのあと東京をとびこして宇都宮へ巡回。クリムトを日本でみるのは3,4年ぶり。作品は愛知県美自慢のお宝‘黄金の騎士’を軸に油彩、素描、そしてウイーン世紀末芸術に集った作家たちによってつくられた家具、工芸品、ジュエリーなどが展示してある。

15年くらい前これと同じようなラインナップのクリムト展をみたが、作品の質はそのときと同じレベル。今回の追っかけ作品は‘黄金の騎士’ではなくワシントンナショナルギャラリーからやってきた‘赤子’とウィーンのレオポルト美にある‘アッター湖畔’。

‘赤子’は1月ワシントンを訪問した際はすでに名古屋へ出張していたため08年のときと同様お目にかかれなかった。だから、ようやくみれたという感じ。画面上のほうで顔をみせている赤ちゃんはぱっとみると端午の節句できれいな服を着せられた日本の男の子を連想させる。

期待通り心に響いたのは‘アッター湖畔’。正方形の画面にはひんやりとした静謐な空気が流れている。印象に強く残るのが波紋を表わす明るいうす緑の点々。その斜めに流れる波をじっとみていると色は違うが福田平八郎の‘漣(さざなみ)’が目の前をよぎった。昨年ウィーンで行われたクリムトの風景画を集めた特別展(レオポルト美)をみれなかったのは残念でならないが、この‘アッター湖畔’と対面できたのでもって瞑すべしの心境。

今年わが家はクリムトイヤー、アメリカ美術館めぐりでクリムト作品に全部で9点(そのうち初見が7点)出会い、宇都宮でも油彩6点(初見5点)が姿を現してくれた。それらはノイエギャラリーにある‘踊り子’(拙ブログ4/04)など画集に載っている作品が多く、クリムト狂いには心躍る鑑賞体験。こんなことは二度とないかもしれない。

クリムト以外の作品ではマッキントッシュの夫人の装飾意匠に大変魅了された。クリムトはエジプトの棺に描かれた目の模様を‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’に使っているが、この‘刺繍パネル’にもこの目が上に描かれている。興味深くながめていた。

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2013.04.04

待望のノイエギャラリーでクリムト三昧!

Img_0003_2        ノイエ・ギャラリーの外観

Img_0001_2     クリムトの‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’(1907年)

Img_0002_2         クリムトの‘踊り子’(1916~18年)

Img_0008_2     クリムトの‘黒い羽毛の帽子’(1910年)

Img_0005_2     シーレの‘緑樹に囲まれた町’(1917年)

5番街にあるノイエ・ギャラリーに関する情報がぐーんと増えたのは11年10月に放送されたBSプレミアムの美術番組‘極上美の饗宴’。おかげでギャラリーのある場所がイメージできた上、ここにあるクリムトは‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’だけでなくほかにも2点あることがわかった。

ここへ是非とも足を運ぼうと思ったのはクリムトが3点もみれるから。でも訪問できる日は月曜日、だから開館してないだろうと半分あきらめていた。ところが、前日のNY観光を案内してくれた現地の男性ガイドさんに休館日を調べてもらったら、火曜&水曜だった。これは運がいい。開館時間は11時(夜6時まで)なので目と鼻の先にあるグッゲンハイムをみたあと寄ればいい。

好きな画家のことゆえ知ってることはもらさず伝えたくなる。ギャラリーは地下鉄4・5・6線86ST駅の前の通りを5番街に向かって7、8分歩くと到着する。ここからはMETへもグッゲンハイムへもすぐ行ける。館内に入ると料金は心づけでいいという。館全体が2月4日新装オープンする美術館のため準備の真っ最中、公開されているのはクリムトの作品が飾られている部屋だけ。急いで2階へ上がった。

ありました、ありました!クリムトの絵が、予定では3点だったが、なんと6点も、ええー、こんなにクリムトがあるの!もう天にも昇るような気分。そしてビッグなオマケがシーレ。これはたまらない。クリムトはここに紹介する3点、プラスTVで知った‘アッター湖畔ヴァイセンバッハの森番の家’(1912年)、‘カンマー城の公園’(1909年)、‘高いポプラの木’(1906年)

以前ウイーンでみたことのある‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像’の前ではどうしても2006年に落札された金額155億円のことが頭にちらつく。ウィーンの人たちにとってはこの黄金に輝くクリムトの傑作がベルヴェデーレ宮殿から姿を消したことは残念でならないだろうが、NYへよく出かける美術ファンには楽しみのスポットがひとつふえたことになる。

初見の5点をこころゆくまでみた。とくに長くみていたのは赤が印象的な‘踊り子’と魅力溢れる肖像画‘黒い羽毛の帽子’。そして、シーレの‘緑樹に囲まれた町’にも200%魅了された。わずか7点の鑑賞だったが、忘れられないノイエ・ギャラリーになった。NYへまた来ることがあったらもう一度行ってみたい。

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2013.03.17

メトロポリタン美(6) はじめてクリムトに出会った!

Img_0002_2     クリムトの‘メーダ・プリマフェージの肖像’(1912年)

Img_0004     ピカソの作品

Img_0005     バーン=ジョーンズの‘愛の歌’(1868~1877年)

Img_0001     ベックリンの‘死の島’(1880年)

クリムト(1862~1918)の絵を1点でも多くみたいと願っているので、訪問の可能性のある主要な美術館が所蔵する作品はおおよそ頭の中に入っている。必見リストに書き込まれているクリムトは3点。今回‘メーダ・プリマフェージの肖像’と‘純白の婦人’の2点が姿をみせてくれた。前回ゼロだからリカバリーは上々といったところ。

ルドンの花の絵があった部屋で遭遇した‘純白の婦人’がサージェント的な肖像画なのに対し、‘メーダ・プリマフェージ’は気丈な少女を明るい色彩やメルヘンチックな文様を用い装飾的に描いたクリムトらしい作品。晩年のクリムトは黄金から離れこうした明るい色彩表現に新境地をもとめた。画集にこういう作品が4,5点載っているが、今回運良くMETとすぐ近くにあるノイエ・ギャラリーで3点もみることができた。この余韻は半年くらい続きそう。

印象派の部屋にどうわけかピカソ(1881~1973)の絵があった。青の時代の‘盲人の食事’もお気に入りだが、この黄色を基調にしたこの作品にも吸いこまれた。これは画集でみたことがないので大収穫。ワシントンナショナルギャラリーにある‘サルタンバンクの一家’とともに初期に描かれた作品のお気に入りリストの上位に即登録した。

アメリカのブランド美術館でラファエロ前派のバーン・ジョーンズ(1833~1898)を体験したのはボストン美とここの2館だけ。ボストンの‘希望’は画集に載ることが多いが、’愛の歌’はでてないので撮影した写真を使った。昨年、三菱一号館美で行われた回顧展にはバーミンガム美蔵のエッチングが出品された。目が寄っていくのが金属の質感がリアルに表現された騎士の甲冑、その硬さを手前に描かれた色鮮やかな花々が優しくほぐしている。

ベックリン(1827~1901)の‘死の島’はとても重い絵。館内は大勢の人がいるため図書館みたいに静かな空間のなかを進んでいるというわけではない。が、この絵のまわりだけは静寂な空気につつまれている。絵のなかの静けさは画面の外にも広がり周囲を暗く音のない世界に変えている感じ。緊張気味にみてしまうのは岩の島に向かう小舟に乗っている人物が身にまとう白の衣装、なんだか魔術師のイメージ。島でこれから謎の儀式をとりおこなうのであろうか。

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2011.11.03

ウィーンは2012年 クリムト・イヤー!

3224_3     ウィーンでクリムトがみられる美術館(拡大図で)

3226_2     ‘白樺の森’(1903年)

3225_2     ‘けしの野’(1907年 ベルヴェデーレ宮)

3223_2     ‘ダナエ’(1907~8年)

2ヶ月くらい前、クリムト(1862~1918)に関する大きな情報が入ってきた。2012年はクリムト生誕150周年。これを記念してウィーンの美術館(拡大図)では‘クリムトとウィーン現代美術の誕生’をテーマに、いろいろな特別展が開催されるという。

夫々の美術館が所蔵作品をどんな形でみせ、また他国にあるクリムトの絵をどのくらい集めてくるのかについては、今のところまったく情報なし。だから、これから美術館のHPを定点観測するつもり。この情報の入り方によっては来年予定している海外旅行を変更してウィーンが入るツアーにスイッチすることも考えている。

クリムト好きが夢想する回顧展は例えばこんなラインナップ。‘接吻’など代表作がごそっとあるクリムトのメッカ、ベルヴェデーレ宮殿の場合、06年に宮殿を離れた5点を6年ぶりに仲間たちと再会させる。その5点とは
★‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ’(1907年 ノイエ・ギャラリー)
★‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅱ’(1912年 拙ブログ11/9/6
★‘アッター湖畔ウンターアッハの家並み’(1916年)
★‘白樺の森’(1903年)
★‘林檎の木’(1912年)

もちろん出迎えるのは今も宮殿を豪華に飾るクリムト全作品、‘接吻’、‘ユーディットⅠ’、‘アダムとイヴ’、‘ソーニア・クニップスの肖像’、‘カンマー城の庭園内の道’、そして未見の‘水蛇Ⅰ’(10/7/24)、‘花嫁’、‘フリッツァ・リートラーの肖像’、‘ひまわりの園’、‘けしの野’、‘アッター湖のカンマー城Ⅲ’。

節目の年である来年はかつてウィーンにあった5点の里帰りとしては絶好のタイミング。勝手な推測だが、クリムトを愛するウィーンの人々のためにも再び展示できるように学芸員は動いているような気がする。果たして?

これに‘ダナエ’(個人)とかスイスのゾロトゥルン美が所蔵する‘金魚’(08/9/27)とかが加わることになったら、ウィーン行きは即決定。これから、‘パラス・アテナ’(09/9/20)のあるウィーン・ミュージアム・カールスブラッツや‘アッター湖のほとり’、‘死と生’などを所蔵するレオポルト美もふくめてクリムト関連の美術館から出される展示情報を注意深く見守りたい。

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2011.11.02

ニューヨークでみれるクリムト!

3220_2     ‘希望Ⅱ’(1907~08年 MoMA)
3222_2        ‘メーダ・プロマヴェージの肖像’(1912年 メトロポリタン美)

3221_2     ‘フリーデリケ・マリア・ベーアの肖像’(1916年 メトロポリタン美)

美術が好きな方なら将来開催される展覧会や作品展示の情報が手に入ったときの喜びはわかってもらえると思うが、昨日紹介したノイエ・ギャラリーにクリムト(1862~
1918)が3点あったことを知りちょっと興奮している。

次にNYを訪れるときこのギャラリーにある‘アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像Ⅰ’との再会も計画のなかに入っているが、ほかに2点みれるとなるとギャラリーの全体日程のなかでの位置づけが変わってくる。と同時に美術館めぐりの際思いえがいている重点鑑賞画家にクリムトが一気に名を連ねる。

というのも、ニューヨークではクリムトがあと3点みれるからである。トータルすると6点。クリムトがこのくらい体験できるとそれこそ画家の魅力の虜になる。1点はMoMAにある黄金様式の作品‘希望Ⅱ’。これは一度みたことがある。だが、それは前のMoMAのとき。だから、新しいMoMAで常時展示されているのか情報がない。クリムトはどこでも人気があるから、行けばみれると思うが、どうだろうか。

メトロポリタン美にあるのはクリムトの晩年の時代に描かれた‘メーダ・プロマヴェージの肖像’と‘フリーデリケ・マリア・ベーアの肖像’。08年に訪れたときはぬかりなく必見リストに載せていたが、残念ながら2点とも姿をみせてくれなかった。常時展示されてあるのがたまたま貸し出し中だったのか、それとも展示はローテーションになっているのか、そのあたりはわからない。リカバリーしたい絵だが、後者なら次にみれるとは限らない。

メトロポリタンとノイエ、そしてMoMAはすごく近いところにある。ノイエ・ギャラリーに極め付きの黄金の傑作‘アデーレ’が展示されてから、ここへは大勢の人が訪問しているのではなかろうか。そして、METとMoMAでもう3点体験できたら、クリムト好きにとってはたまらないひと時である。NYクリムト三昧をはやく実現したい。

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