2008.05.19

その十六 ポロック  リキテンスタイン  ケリー

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近代美術の作品は2階の19世紀ヨーロッパ絵画の向こう側とその下の1階で展示してある。印象派の部屋と較べると見ている人はかなり少ない。この現象はどこの美術館でも同じ。抽象絵画より具象的でわかりやすい絵のほうが絵のなかにすっと入っていけるから、どうしてもこうなる。

図録をみて前回見逃した作品のなかから是非対面したいものをいくつかコピーしていた。数は多くないから、すべて見られるだろうと思っていたが、予想に反して30%くらいのヒット率。ステラ、ホフマンの幾何学的な絵がダメで、ホックニーの“富士山と花”もなかった。

現代アートはどんどん新作がでてくるから、展示する作品はとびっきり有名なのものでないかぎり固定できないのかもしれない。逆に面食らうほど沢山あったのが、クレー、デイビス、オキーフ。お気に入りのオキーフがこんなに楽しめるとは思ってもいなかった。

ポロック(1912~1956)の上の“秋の律動”や“パーシパエ”は前回みたときの記憶がすぐ戻ってきた。とくに“秋の律動”はポロックのアクション・ペインティングを代表する絵だから、忘れようがない。ドロッピングはとてもわかりやすい技法なので、この絵のように密でなければ自分でもやれそうなる気がする。これを見た多くの人はそう思うにちがいない。でも、行為するポロックの姿を記録した映像や写真をみると、このあさはかな考えはすぐ打ちのめされる。

黒、白、グレー、そして黄土色の線が互いに重なり、絡み合いながら、自由に踊っている感じ。具象を暗示させるフォルムには見えないし、絵の中心というか焦点がないのだが、この厚塗りの描線がぎっしり埋め尽くすオールオーヴァーな画面からは心の奥深くにあるとらえどころのない情感のうごめきとか、複雑系の自然現象をイメージさせるものが伝わってくる。いつかメトロポリタン、あるいはMoMAでポロックの回顧展が開催されることがあったら、万難を排して駆けつけたい。

真ん中はポップ・アートの旗手、ロイ・リキテンスタイン(1923~1979)の“外出”。拙ブログでも一度とりあげたリキテンスタイン(05/10/7)は大好きなアーティストなので、ワシントンナショナルギャラリー蔵の“積みわら”、“ミッキーマウス”とここの“外出”との対面を楽しみにしていたが、実際展示してあったのは“外出”のみ。

これは近現代の巨匠たちの名画などの画題を引用してポップアート風に描いたシリーズの一枚。明るい黄色で彩色し、太く明快な輪郭線で描かれた男女の奇妙な重ね合わせが目を楽しませてくれる。男性はレジェの絵からとり、女性はシュルレアリスムのイメージを使ってフォルムをつくっている。

このシリーズのなかには笑えるのがある。それはポロックのドリップ絵画をパロディ-化した“ブラッシュストローク”や“大きな絵”。また、昨年あったモネ展(国立新美)に出品された“ルーアン大聖堂”(サンフランシスコ近美)も見ごたえのある作品だった。

下のまぶしいほど鮮やかな色彩の絵はエルズワース・ケリー(1923~)の代表作“青・緑・赤”。ケリーやステラの絵にとても魅せられているのはフォルムがすっきりしていて色が輝いているから。輪郭がはっきりした青、緑、赤の色面の組み合わせは超シンプル。絵を見る楽しみは形態より色彩にあるから、このハード・エッジ・ペインティングの名作を夢中になってみた。

これでメトロポリタン美術館はおわり。明日からは最後となったフリックコレクションの珠玉の名画が続きます。

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2007.12.22

村上隆の大回顧展が見たい!

131今日の朝日新聞・be on Saturdayに現在、ロサンゼルス現代美術館で開催されているアーティスト、村上隆の大回顧展のことが紹介されていた。

朝日は村上隆にご熱心で11/22にも大人気の個展の状況をレポートしている。この記事が出たあと、ロサンゼルス現代美のHPをクリックしてみると、確かに大勢の人を惹きつけそうな作品がいくつも展示してある。

記事によると開幕(10月末)一週間後の集計で、1万6千人近く動員し、02年のウォーホル展を千人くらい上回ったという。この勢いだと来年2月11日までの開催期間中に予想をはるかに超える観客が美術館に足を運ぶことになりそう。これはすごい!“世界の村上隆”を思いっきり見せつけている感じである。

ロサンゼルスのあとはNYのブルックリン美術館、ドイツ・フランクフルト近代美術館、スペイン・ビルバオのグッゲンハイム美術館を巡回する。残念なことに日本にはやってこない。村上隆の作品をまだ数点しか見たことがないから(拙ブログ05/2/14)、回顧展を待ちわびていたが、鑑賞の機会がまた遠のいた!NYで見る可能性があるかもしれないが、これはまだ不確定要素が多いので今の段階ではロサンゼルス現代美の映像で雰囲気を楽しむほかない。

右の村上隆の後ろに見えるのは“大仏オーヴァル”。村上龍が司会を務めるTV東京の番組に村上隆が出演したとき、その製作現場を映していた。この製作にすでに1億円を投じているとかなんとか言ってたような気がする。これが完成作だった。本物を見たいー!、見せて頂戴、村上隆!会場ではアニメもみられるようだ。これから、村上はアニメに本腰を入れるとのこと。夢の実現にむかって大車輪で疾走する構えである。

昨年、彼が書いた“芸術起業論”(06/7/9)を紹介したが、村上隆はアーティストであると同時に事業家。とくにコンセプトづくりには一流コンサルタント並みの能力を発揮する。それが“スーパーフラット”。琳派や浮世絵とは違うまだ欧米人が知らない日本美術の伝統を彼らがすっと入っていけるポップアートの流れと融合させて表現する。これなら“大仏”や“だるま”が現代アートファンの目にも新鮮に映るはず。

いつか村上隆の作品が沢山見られるようミューズに手をあわせておこう。

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2007.11.25

東京コンテンポラリーアートフェア2007

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新橋の東京美術倶楽部で開かれていた“東京コンテンポラリーアートフェア2007”
(11/23、24、25)をのぞいてきた。日本における最前線のコンテンポラリーアートについてはまったく知らないから、48あるギャラリー・画廊をまわるのもおっかなびっくりな感じで、目線がどうも定まらない。

4Fからスタートした。西村画廊に今注目している町田久美の“レンズ”があった。少年が坊主頭の後に両手をまわし、皮膚を切り裂くようにして中にある目ん玉をみせている。束芋、石田徹也、町田久美ら最近のアーティストは体をよく切り刻む。町田久美の作品をみるのを楽しみにしていたが、1点だけだったのは残念。画廊通いをしないから、どこの画廊がこの業界で大手なのかわからないが、ここはスペースがほかより倍くらいあったから、トップクラスの画廊にちがいない。

この前に韓国のギャラりーが5つ並んでいた。そのひとつUMギャラリーにいい絵があった。上はDong-Heon、Yeoの作品。草原を移動する豚、ライオン、牛、羊らの群れが画面いっぱいに描きこまれている。明るく彩られた可愛い動物キャラクターのシールをペタペタ貼ったよう。ぱっとみてすぐ、村上隆の“COSMOS”(拙ブログ05/2/14)が頭に浮かんだ。置いてあったパンフレットには同じような絵が2点載っていた。まるで知らない作家だが、韓国では人気のアーティストのような気がする。

次のブースにでていたLee-Nam、LEEの屏風映像を夢中になってみた。8扇のひとつ々にちがった花鳥画が描かれており、そのひとつが宗達の“蓮池水禽図”。これをじっとみていると2羽の水禽が池の中を動き回り、水の流れも微妙に変化する。また、右端扇の枝にとまっている数羽のスズメが一羽ずつ飛んでいき、隣の扇子に入り込んでいく。はっとするアイデアは絵だけではない。バックミュージックに使っているのが大好きな曲、バッヘルベルの“カノン”!東洋の絵と西洋の音楽をうまく組み合わせているのである。この美的センスはすごい。200%感動した。こういうのを見ると現代アートも面白いなと思う。

3Fにあったギャラーで足をとめてじっくり見たのが大島梢の“無辺りの指標Ⅲ”。海の波しぶき、鳥の羽、空の雲のボリューム感あふれる描写に釘付けになる。

彩鳳堂画廊には、このフェアで是非見たかった榎俊幸さんの作品、“秋鳳図”があった。榎さんはアーティストらしい上手いネーミングの“絵ノローグ”というブログをもっておられ、今回の作品のことを書かれているので、絵のほうはそちらで見ていただきたい。日本橋三越であった個展(9/25~10/1)にも白い鳳凰の絵が3点あったが、ここに展示されているのはこれらより大きい100Fの絵。

以前、狩野探幽の“桐鳳凰図屏風”(サントリー美、07/4/8)を取り上げたとき述べたように、鳳凰の絵はあまりお目にかからない。平等院や金閣寺の屋根の上に飾られたものは遠くにあるので、その姿は実感できない。で、鳳凰のイメージは探幽と若冲(06/7/8)の絵と8年前あった“宋磁展”(山口県立萩美・浦上記念館)で見た下の“白磁刻花牡丹唐草文鳳首瓶”(大英博物館)や東博の“白磁鳳首瓶”(現在、東洋館で展示中)で形成されている。

これらと較べると榎さんの鳳凰は嘴や目の鋭さが消え、とても品があって優雅な鳳凰である。気に入っている若冲の鳳凰は地の色と羽の茶色が重なったり、隣にもう一羽いることもあり、鳳凰のフォルムがぱっとつかめない嫌いがあった。これに対し、目に前にいる尾っぽを長くのばした白い鳳凰は圧倒的な存在感で描かれている。羽一枚々の描写が実に精緻。胸の後ろあたりはうすピンクでその下の左右の羽を大きくひろげたところには金色で彩色されている。そして、えもいわれぬ美しさなのが先っぽの目玉柄。うす黄色とうす青がなんとも目にやさしい。見事な鳳凰図というほかない。

榎さん、すばらしい絵をみせていただき有難うございました。

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2007.11.16

マリーナ・カポス展

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渋谷パルコの前にあるトーキョーワンダーサイト渋谷で女性画家、マリーナ・カポスの絵を楽しんだ。今、ここのスタジオ風の部屋に12点の作品が飾ってある(9/8~11/25、無料)。

昨年開催された“ポップアート1960’s~2000’s展”(ミスミコレクション、拙ブログ06/7/13)でこの画家の作品にすっかり魅了された。で、以後追っかけモードに入っているのだが、アメリカの作家のため、日本にいては作品をみる機会はあまりないから、ロングレンジの追っかけにならざるをえない。だが、優しいミューズが意外と早く次の作品を見せてくれた。

トーキョーワンダーサイトが昨年11月、日本に滞在する海外アーティストのためにつくった青山のレジデンス施設でカポスは“東京”を題材にした新作を制作していたのである。それらが目の前にある作品で、上はもっとも気に入った一枚。これも昨日紹介した石田徹也同様、マグリットの画風が頭をよぎる。正面向きの自分の顔を縦に半分に分け、ずらして描いている。これは見る者が顔の色も衣装の色も違う左右半分の顔を自由にスライドさせて遊べるのがいい。

カポスの作品には3つのモティーフがある。自画像、人物と生き物を一緒に描くもの、そして風景画&花鳥画。グラフィカルで平面的な描き方は日本画と似ているが、画面のなかに色々なイメージを組み合わせる構成は現代アートそのものでシュール感覚。でも、シュールさは不思議なシュールというよりは洒落たシュール。

すっきりした画面構成とともに心を魅了してやまないのがその明るい色使い。アクションペインティング風に黄色や緑、ピンクで彩られた花の絵や日本を意識したのかゴールド地に赤の蛸と花を浮かび上がらせた作品が目を楽しませてくれた。また、広重の魚絵を連想させるような下の2匹の魚を黒とうす青で横から描いた絵もなかなかいい。

本当にいい画家と出会った。作品は結構日本画の匂いがするから、もっともっと見たくなる。これからの創作活動をしっかり追っかけたい。

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2007.02.06

カンブリア宮殿に村上隆登場!

687昨日のTV番組“カンブリア宮殿”(テレビ東京)に現代アーティストの村上隆が登場した。

はじめて観る番組なので、最初勝手がつかめなかったが司会者の村上龍&小池栄子とゲストとして呼ばれた村上隆のトークショーである。

スタジオには美大生100人がおり、最後に彼らから質問を受け、これに村上隆が答えていた。番組のつくり方は昨年、NHKの教育でみた“トップランナー・束芋”と全く一緒。

村上龍とのトークの間に挿入される“芸術の革命児、村上隆物語”のVTR映像が新情報満載で大変刺激的。村上隆の絵や立体作品に魅せられてはいるものの、実際に見た作品はまだ2点しかない。だから、番組で紹介される作品に興味深々だった。

昨年出版された“芸術起業論”(拙ブログ06/7/9)を読んでいるので、ナレーションの解説や村上隆自身が語る“スーパーフラットは日本芸術の伝統を受け継いだもの”、“売れなければ芸術ではない”、“日本人は作品を説明するのが下手くそ!ピカソは表現力に長けていた”、“村上隆は株の銘柄みたいなもの”、“世界の最前線はフェイク(偽物)が通用するほどやわではない”などの意味はおおよそ理解できる。だが、これらは村上隆が嫌いな人には刺激的でイヤなフレーズかもしれない。

昨年10月、パリの画廊で開かれた個展にでていた大作が目を惹いた。96年に制作した右の“727”のリメーク版である。“ありゃー、信貴山縁起絵巻に登場する剣の護法童子(07/1/2)が口を大きく開けサメのギザギザ歯をみせるミッキーマウスみたいなキャラクターに変わってる!”と思わず叫んでしまった。10年前から日本美術を題材にした作品をつくっていたのである。これは知らなかった。馴染みのコレクターがこの絵を1億3千万円で買ったという。新作の村上ブランドをコレクターやセレブが高い値をつけ奪い合っており、画廊にきたルイヴィトンの総帥が購入できず不満を言い帰っていく様子をTVカメラは映していた。

村上隆は今や“世界で注目される100人の芸術家”のトップ10にはいるほどの人気アーティストだから、1億円以上の値がつくことはもう何も驚くことでもなく、当たり前のことかもしれない。もう1点、現在制作中の巨大な立体作品がでてきた。高さが7mもある河童の像。5年前から手がけ、制作費はすでに2億円かかっているとのこと。完成したら何億円で買われるのであろうか?5億円?是非観てみたい。

コレクターではないから、村上隆の作品を観る機会は普段はほとんどない。で、日本で開催される回顧展をひたすら待つしかない。そのとき、面白い作品が沢山でてくるのを願うばかりである。

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2006.09.24

奈良美智の A to Z 展

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青森県立美術館の目玉作品はシャガールの“アレコ”のほかにもうひとつある。弘前市出身の現代アーティスト、奈良美智がこの美術館のために制作した上の高さ8.5mの立体作品、“あおもり犬”。

これは地下2階の屋外トレンチに設置してある。奈良がつくった作品のなかでは最も大きいものらしい。ペットを飼う習慣がないので、犬の種類やしぐさに詳しくないが、真正面から向き合いことになるこの馬面の“あおもり犬”は従順そうでやさしい顔をしている。雪の時期、大人も子供も被る耳あてみたいに先が曲がっている耳のかたちが面白い。

常設展示小屋、“ニューソウルハウス”には美術館が所蔵する奈良の絵画やつくりものがある。奈良美智が生み出すあの目と目の間がすごくあいている女の子の絵に少ない観賞体験(拙ブログ05/12/13)ではあるが、大変愛着を覚えているので、いろんなシチュエーションの中で表現されたこのキャラクターを夢中になってみた。“あおもり犬”と“ニューソウルハウス”を常時みられる青森の人が羨ましい。

8/17付けの朝日新聞で奈良美智の大規模な展覧会、“A to Z”(10/22まで)を知った。もともとシャガール展に出かけることにしていたから、この情報は飛び上がるほど嬉しかった。で、青森市で一泊し、翌日、会場の弘前市吉井酒造煉瓦倉庫を目指した。会場につくまで岩木山の素晴らしい景色にため息をつきながら、クルマを走らせた。これが有名な岩木山かという感じである。

元酒造所の1、2階を使って、奈良の展覧会が開かれるのは3度目だそうだ。今回は倉庫のなかに44の小屋ができている。レイアウトのチラシを入り口でもらったが、それはみず、どんどん見てまわった。目をつりあげて怒っている女の子が登場する作品に出会うと思わず口元がゆるむ。この女の子が大好きなのである。また下のとじた目とつむんだ口がなんともかわいい女の子をみるとほっとする。髪のなかに星がきらきら輝くメルヘンチックなイメージが絵の魅力を増幅させている。

今回の収穫はいくつかあった白の人物オブジェ。どういう仕掛けになっているのかわからないが、右目から涙をながしている数体の子供の顔が三段重ねになっていた。これが心を揺すぶる。そして、2階にあったオブジェに感動した。柔らかい素材でできた黒い地面におかっぱ髪で目をつむった女の子の頭部が3つ置かれている。大きくて白一色なので存在感がある。念願だった奈良美智の作品を沢山みることができて、これほど嬉しいことはない。まだ出来てない図録が送られてくるのが待ち遠しい。

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2006.07.13

ポップアート展

432損保ジャパン美術館で“ポップアート展”(9/3まで)がはじまった。

現代アートについては、漠然と年1、2回くらいは名品をみたいと思っている。昨年は10月、府中市美術館へ出かけ、“ホイットニー美術館”で予想以上のいい作品にめぐり会えた(拙ブログ05/10/7)。

1960年代~2000年代と副題のついたこのポップアート展は開催の情報を得たときから期待していた。最近、タイミングよくウォーホルやリキテンスタインの作品のことがでてくる村上隆著“芸術起業論”を読み終えたばかりなので、府中美のときよりも鑑賞欲が強い。

出品されているのは現代アートでは定評のあるミスミコレクションの絵画、版画、写真80点あまり。作家は31人。知ってる作家は10人もいないから、逆に作品への感度はとても新鮮。しかし、誰でも感じることはできるのだから、問題は作家が提示した新しい表現方法や概念についていけるかどうか。これはかなりあやうい。セクション毎についているミニ解説が頭に入り、楽しめるのもあれば、理解が進まず、作品自体に魅力を感じないものもある。

現代アートでも人の心を揺さぶる傑作には印象に強く残るフォルムや色彩の美しさがある。ウォーホルやリキテンスタインがはじめたポップアートは、アメリカの黄金時代における一般大衆の日常生活や楽しみのイメージをそのまま作品にしているので、理解に困るようなことはなく、スッと作品に入れる。

お気に入りはリキテンスタイン。11点ある。色数が少なく、太い黒の輪郭線でつくる平面的な構成はシンプルそのもの。マンガのひとコマをとってきた“泣く少女”は本当に悲しそうな顔をしている。モネの作品を題材にした“積わら”ははじめてみるタイプの絵。黄色と黒、そして、ドットだけで表現されているがいい感じ。部屋の中に円や三角であらわされた形が浮遊する大作、“ふたつのかたち”にも魅せられた。

6点あったウォーホルの作品で好きなのは色彩の対比が鮮やかな“$9”。面白い形に惹きつけられるのが、エイズのため31歳の若さで亡くなったキース・ヘリングの“グローイングⅡ”。これは子供の落書きみたいな絵。手足がふえ、全体がふらふらする様子がよくでている。こういうのは誰でも簡単に描けそうだが、作家本人にしか生み出せない個性的な作品。

現在、30代、40代の作家が描いた最新作にググッとくるのがあった。道についたガソリン、ジュース、ペンキ、血などのシミを集めて、画面のなかで組み合わせたイングリット・カラムの“VVWpt?”(01年)。赤やうす青、うす茶などのペンキを乱暴にキャンバスにぶっつけたようにみえるが、よくみると実に丁寧にシミを描いている。色の組み合わせがうまいので、その色彩の美しさに吸い込まれそうになる。

今回、一番感動したのがマリーナ・カポスの右の“077、白鳥、2004”(04年)。このLA在住の女性アーティストはカリフォルニア州生まれで、現在34歳。左をむいた横顔の半分は白で、耳の部分はうすい青。こみかみのあたりには濃い緑の木が上に伸び、髪と肩は二羽の白鳥?とシルエットになった森とダブルイメージになっている。不思議な香りのする今を映したポップアートである。非常に惹きつけられた。まだ1点しか観てないからわからないが、この画家にのめり込むような予感がする。My好きな女性画家に即登録した。

okiさんから教えていただいたスー・ウイリアムズの“スーパーフラットの試み”(01年)は事前のイメージとはだいぶちがった。村上隆の目指すところとは相当開きがある。才能豊かな新世代のポップアーティストの作品をみれたのは大収穫だった。この人たちは近い将来、NY、LAの画廊めぐりをするころにはビッグネーム入りをしているかもしれない。いや、もうそうなっている?

■■■■■06年後半展覧会情報(拙ブログ7/1)の更新■■■■■
 ・下記の展覧会を追加。
 ★西洋美術
 7/8~8/31    岡本太郎・明日の神話の公開   汐留日本テレビ
 10/14~1/14  アールデコ・ジュエリー展      東京都庭園美術館
 ★日本美術
 7/4~9/24    民藝運動の巨匠展          日本民藝館
 9/29~12/10  現代日本画名作展          八王子夢美術館       

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2006.06.04

大岡信コレクションのサム・フランシス

396詩人大岡信の詩を楽しんだことはないが、この人は日曜美術館によく登場するので、顔だけは前から知っている。

息子の大岡玲(芥川賞作家)も過去、この番組の司会をしており、親子揃って美術のことに詳しいなといつも不思議に思っていた。が、その謎が“大岡信コレクション展”(三鷹市美術ギャラリー、4/15~5/28)に足を運んだことで解けた。大岡信は現代美術の大コレクターだったのである。

現代アートが好きな人からは今頃知ったの?と言われそうだが、日本の前衛芸術とか現代絵画への関心が薄く、東近美に展示されてる作家の作品くらいしか見ないので、周回遅れランナーみたいなことがよくある。

でも、最近はここの平常展を定期的に鑑賞し、目が慣れてるせいか、今回出品されていた日本の作家の作品にはだいぶついていけるようになった。大岡信は若い頃から内外の現代美術の最前線にいた作家と親交があり、作家から贈られたり、購入した作品が400点近くもあるという。会場には大岡の高い鑑識眼を窺がわせる一級の絵画、陶器、オブジェ、彫刻などがいくつもあった。

日本の作家では東近美で馴染んでいる菅井汲、加納光於、宇佐美圭司の作品があった。大岡は菅井汲と詩と絵画の実験コレボレーションをしたり、加納や宇佐美らと新しい美術を共に切り開くなど積極的に美術家と関わってきた。昨日は東近美で菅井汲の代表作“朝のオートルート”、宇佐美の“ドーム・内なる外”、加納光於の“波動説”を観たのだが、3人が大岡と親しかったという話を聞いたばかりだったので、注意深く見た。なかでも宇佐美の作品に惹きつけられた。大岡コレクションにあるのは小さい絵で画風がまだ定まっていない感じだったが、この大作“ドーム・内なる外”は未来派を思わせる人体の連続運動を球体の中で立体的に表現する見事な作品に変っていた。

この展覧会で一番見たかったのがサム・フランシスの絵。色鮮やかな作品が4点ある。どれも魅せられるが、お気に入りは右の“大岡の月”。米国人の現代抽象作家のなかでもサム・フランシスの作品にはとくに惹きつけられる。それは抽象画なのに、日本人の心を打つ技法で描かれているから。サムは日本で水墨画や琳派を学んだためか、余白を意識した構成をしたり、ドロッピングの手法を使った彩色で装飾的な絵画空間をつくっている。

この“大岡の月”にみられる真ん中の余白はどうみても東洋美術の影響。ドロッピングによる細かい点の連続は実に繊細で装飾的。そして、左端にあるフォルムは全部を見せず、一部がトリミングされ、上の青い円と右斜め下にある赤い円が対角線で呼応しあう構成がえもいわれぬ抽象美を生み出している。

はじめてみる作品では鴨田しづの“エスパース・コスモの階段”などに足が止まった。現代美術を見る眼を指南してもらったような展覧会で、大きな満足が得られた。

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2005.12.13

横浜トリエンナーレの奈良美智

242横浜トリエンナーレ(12/18まで)はチラシに出ている紅白ストライプの三角旗が上手いインスタレーションだなと感心はするものの、作品を出品しているアーティストを全然知らないので、なかなか山下埠頭へ足が向かわなかった。

が、唯一作品をイメージできる奈良美智の絵が見れればと期待して入場した。3号上屋に入ってすぐ、面白い作品に出会った。粉ミルクの缶でつくられた一頭の牛がいる。その後ろにおかれている
5,6体の赤ちゃん人形は首しかない。ふつうなら、首だけの人形にギョッとするのだが、不思議なことに不気味な感じがしない。

真ん中あたりに展示してあった中国人アーティストの作品、つくりものの獅子の
毛は黄色ではなく、軍人が着る迷彩服の色。そして、獅子の背景に設置してある
板の壁一面は黒、濃い緑で描かれた模様でびっちり埋まっている。現代絵画の
場合、一つの色鮮やかな文様とかフォルムを作り、それを縦とか横に直線的あるい
は曲線的に繰り返し、画面を構成し、作家の思い描くテーマを表現することが
多い。具象作品ではなく、抽象絵画なので、フォルムの繰り返しがリズミカルで
あるとか、その数に圧倒されるとか、色彩のバランスがいいとかでないと美しさは
感じない。その点、この迷彩色を使った作品は何か心に響くものがあった。

お目当ての奈良美智のコーナーは3号上屋の一番先にあった。奈良美智のミニ
アトリエが再現されている。ここであの目の釣りあがった頭の大きな女の子が生ま
れた。可愛いが大人並みのふてぶてしさを持った女の子をはじめてみたとき、
すごく惹くつけられ、すぐさま奈良美智のファンになった。でも、作品をみた経験は
TVの番組と横浜美術館の平常展しかない。森美術館の開館記念展でも奈良の
作品はでていたが、アフガンの子供を撮った写真だった。

今回は油彩3点と使用済みの封筒やノートに描かれたドローイング20点あまりが
展示してある。その中で、はっとしたのが右の絵。小高い山の斜面が女の子の顔
になっている。いつもの釣りあがった目でなく、丸く可愛い目で前に浮かぶ白い雲を
眺めている。頭のてっぺんには小さな山小屋がみえる。奈良美智の描く女の子
はみんな目を釣り上げ、怒っているかと思っていたが、こんなあどけない顔をした子が
いた。もうひとつ驚いたのは、この絵がダリやマグリッドらシュルレアリストがよく使う
ダブルイメージになっていること。山と女の子の顔が重なっている。

ここで予想だにしなかったシュールな絵に会えたのは大収穫。奈良美智の作品を
もっと観たくなった。

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2005.11.23

ゲルハルト・リヒター展

223佐倉にある川村記念美術館で行われている“ゲルハルト・リヒター展”をみてきた。

昔、日曜美術館でこの美術館が紹介された時、ステラやロスコーなど現代アートのいい作品が出てきたので、いつか訪れてみたいと思っていた。ちょうどタイミングよく、興味のあったリヒターの回顧展がここで開かれたのを機に、横浜からクルマを走らせた。

リヒターの本格的な展覧会が日本で開かれるのはじめてらしい。これは意外だった。
現在73歳のリヒターの最新作を含め50点が出ている。この作家の作品をちゃん
と記憶しているのは過去2回しかない。最初の出会いは1997年、東現美で
あったポンピドーコレクション展にあった作品。色彩が鮮やかな抽象絵画だった。
2度目は昨年のMoMA展(森美術館)。ここにあったのは毛沢東とイギリスの
エリザベス女王のフォト・ペインティング。ピントの暈けた写真のような絵であった。

2点だけではこの作家の画業をとらえるのは難しく、毛沢東のイメージが
強く残ってるため、もとは写真家だったのかと考えてみたりした。だが、今回の
作品を観て、リヒターが現在、世界最高峰のアーティストと評されてることがよく
わかった。ドイツ人作家の作品のイメージは、思想的で退廃的な絵が多い(例え
ばグロス)、原色で直球勝負してくる(キルヒナー)、剃刀のような鋭利さがある
(キーファー)。リヒターはこれらとはちょっと違う。

かなり柔らかい頭をしている。色彩感覚の素晴らしい、右の“森”(1990)や色見
本を沢山並べたような“カラーチャート”(1974)を観ると、この作家は天性のカラリ
ストではないかと思ってしまう。形態より色彩のほうが好きなため、色彩感覚に
才のある画家の作品を見ると嬉しくなる。大作の“森”は、横方向に引掻くような青
や黄色、ピンク、緑の線が伸び、同じ調子のタッチが上まで描かれている。これ
によってつくられる縦に並ぶ同じ色は森に林立する木々をイメージさせる。この絵は
抽象画であるが、美しい森をみるようで感動した。“カラーチャート”はモンドリアン
の代表作“ブロードウエイ・ブギウギ”やステラの作品の色使いを連想させる。

ガラスの作品が4点ある。02~03年の作で、そのひとつは大きなガラス板を11枚、
木の台に立てているだけ。これを観て、デュシャンの問題作、“大ガラス”を思い出
した。ゲルハルト・リヒターの作品は多面的で、抽象と具象との間を行ったり来たりし
ている感じである。最近では、ガラスにも映像を映している。色彩的にも、写真の
ような白黒、グレイの世界から、ザオ・ウーキーに似た深い青や緑、ピンクを見せた
かと思うと、ステラのような明るい色彩を使うなど多彩を極めている。

凄い才能を持った作家に出会った。長い付き合いになりそう。なお、会期は来年
の1/22まで。

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2005.10.07

リキテンスタインの笑う少女

181絵画の鑑賞記を書くときは先入先出を原則にしているので、閉幕した展覧会ではあるが、府中市美術館であった“ホイットニー美術館コレクション展”(8/27~10/2)を取り上げたい。

この展覧会のことを知ったのは“芸術新潮10月号、光琳特集”を購入した9/25.この雑誌の美術館情報コーナーに、ジョージア・オキーフの白い絵をピックアップして紹介されていた。昔からこの女流画家の作品が好きで、見逃しては
ならじとばかりに、9/30、府中市まで出かけた。

市立美術館を訪れるのははじめて。案内の通り、最初はバスに乗るつもりだったが、
出発したばかりで次は30分後だったので、さっさと歩くことにした。が、okiさんが
アクセスしずらい美術館にここを上げられてたように、美術館までは15分くらいかかる。
途中緑の多い公園をぬけていくため、少しは気は紛れるが、歩くのはしんどい。

NYにあるホイットニー美術館はアメリカ現代絵画の殿堂ともいうべきところ。12年
くらい前、一度行ったのだが、企画展かなにかをやっていたためか、回り方が間
違ったのか、なぜかジャスパー・ジョーンズの“3つの旗”などの目玉の作品に会
えなかった。残念な思いが今も残っている。今回やってきた作品が本場にある必見作
をどのくらいカバーしてるのかわからないが、グッとくる絵がかなりあった。

現代絵画を沢山見てるわけではないので、はじめて知る画家もいる。一応目が慣れ
てる画家で○がついたのは、ロスコ、アルバース、ポッパー、ジョーンズ、ステラ、
リキテンスタイン、オキーフ。一番関心の高かったのがオキーフの“白いキャラコの花”
だったが、直にお目にかかってみると、それほど感動しなかった。理由はもっと大きな
絵と勝手に想像してたのと、カンバス一杯に塗られた白があまり鮮やかでなかった
ため。でも、オキーフへの興味がそがれたというほどではない。たまたま、こちらの
期待値と合わなかっただけ。

最も気に入ったのがリキテンスタインの描いた右の“窓辺の少女”。漫画のひと
コマを拡大しアートにしたリキテンスタインの絵はこれまでいくつか見たが、この少女
のこぼれる笑いに魅せられた。昔、MoMAでみたのはこれとは対照的に、目から大きな
涙がこぼれてる女性だった。窓辺で両肘をつき、手を胸の前で交差させ、口元をほ
ころばせてる少女(?)の姿が実にいい。色は髪が赤で衣装は黄色。ポップアート
の真骨頂である原色の対比がいっそう目を惹く。黒の輪郭線で囲み、平面的に彩色
されたグラフィカルな表現で大衆消費社会に生きる女性のイメージを実体化している。

はじめてみる作品で目を楽しませてくれたのはダイン、カッツ、ハリー、ホフマン。
また、バスキアの面白いのが2点あった。満足度150% この展覧会は今後、次の
美術館を巡回する。10/8~11/6:金沢21世紀美術館、11/20~06/1/9:北九
州市立美術館、1/28~3/12:郡山市立美術館


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2005.09.26

李禹煥展

174昨年、東近美であった琳派展に毛色の変わった現代絵画がでていた。それは李禹煥(リ・ウファン)が描いた“線より”。

白地の背景から頭の先が左右に曲がった幼虫をイメージする青い線が垂直に浮かび上がっていた。生理的にはあまり好きになれない形であったが、強く印象に残っている。

これと同じ名前の絵をその後、ここの平常展でみた。先がとんがった縦の青い
線が下の方に何本も描かれていたが、このほうが美的にはすっきりしている。
り・ウファンという韓国人アーティストの作品を見たのはこの二つしかなく、
作家の経歴を書き物で読んだこともないのに、現在、横浜美術館で開催中の
李禹煥展には出かけてみようと思った。動機はサブタイトルの“余白の芸術展”に
惹かれたのと、この作家は大物の匂いがしたから。

事前に想定した絵画のイメージは“線より”の色の違ったヴァリエーションとか別の
タイプのものだが、全然違っていた。作品は21点しかない。平成3年から今年にかけ
て制作されたものだから、リ・ウファンの最新作といってよい。“線より”は1977、
1980年に描かれているので四半世紀前のもの。右の“照応”は03年の作品。
3つに区切られた白地に、筆跡が残る灰色の植木鉢のような形をしたものが3つ
描かれているだけである。筆の方向は真ん中が垂直、左右の2つは水平
になっている。

21ある作品のうち、平成3、4年の作品はフォルムが鋲とか「」になっているが、他の
は鉢の数と筆の運び方に違いがあるだけで基本的には同じ絵。余白はたっぷりある。
“線より”では筆に岩絵具を含ませて線を引いているので、これらの灰色も岩絵具
で彩色したのかもしれない。リ・ウファンは現在69歳。こんな年寄りだったの?
50代後半のアーティストと思っていた。

歳を重ねるにつれ、画風が枯れてきて、対象の造形はよりシンプルになり、余白を
一杯とるようになったのだろうか。作者という主体と対象の対立をなくすという難しい
テーマに取り組み、余白の絵画を創造してきたリ・ウファンという画家は70歳近くに
なり、さらに独自の画風を突き進んでいる。大きな芸術家であることは間違い無い。

絵の他に自然石と鉄板を組み合わせた彫刻が美術館の前の広場と中の展示スペース
にある。自然(石)と産業(鉄板)の関係を表現している。各作品における石と鉄板の
位置関係から何を読みとるかは見る人の感性の問題。現代アートの場合、数ではなく、
一つ々の作品の意味を根源的にとらえることが大事だが、素人にはこれがなかな
か難しい。なお、展示は12/23まで。

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2005.08.18

村上隆のとんがり君と四天王

147六本木ヒルズの中に毛利庭園というのがある。Takさんのブログで、ここの池に村上隆が制作した、高さ7mの巨大彫刻、“とんがり君と四天王”があることを知り、訪問の日程を調整していた。

村上隆の作品に大変興味があるものの、これまでこのアーティストの作品に縁がなかったので、今回は興味深々でとんがり君と対面した。

とんがり君の目はちょっとパンダの目に似ている。蓮の台座の上に蛙がおり、その
上にとんがり君がいる。胴体からは18本の腕がでている。東京芸大に学び、日本画
の博士号をとっている村上隆だけあって、この多数の手は仏像の千手観音像を
意識している。頭のとんがりは交信のためのアンテナ。とんがり君の周りにいるのが
四天王。ここでも日本の仏教彫刻をとりいれ、多聞天にたもん君、増長天にぞうちょう
君、広目天にこうもっ君、持国天にじこっ君と夫々名前がついている。

とんがり君誕生の話しがチラシにあり、村上隆のやさしい人柄が窺がえる。このと
んがり君は、アメリカにある末期がんの子供たちが暮らす病院のエントランスに置かれ
る作品として考えられたものらしい。彼らに“君たちは生まれて来て祝福されたん
だよ”というメッセージをなんとか伝えたかったと村上隆は語っている。今回のとんがり
君は4作目で、他の3つはスイスやフランスのコレクターが所蔵してるとのこと。
とんがり君はアニメのキャラクターのような作品だが、愛嬌があって、やさしい。日本
美術を知り尽くした村上は、日本文化の素朴でやわらかいところをエキスとして取り
出してきたのかもしれない。

村上隆は現代アートの分野で評価が高い。有名なIT長者がパトロンになるなど、村上
作品は近い将来、1億円の値がつくと言われている。村上隆の絵をまとめて見たい
という願望が最近、つとに膨らんでいるのだが、不思議なことに銀座でふと立ち寄った
ギャラリー OGATAに村上隆と奈良美智があった。こんなところに村上の作品
がァー!!。聖書の言葉、“求めよ、さらば与えられん”である。これから、村上隆の
作品に縁があることを期待しよう。

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2005.06.22

草間彌生

101朝日新聞の文化欄に、草間禰生の絵がNYで開かれたクリスティーズのオークションで1億2千万円で落札されたという記事が載っていた。

米国画商に落札されたのは1962年に描いた“№B,3”で、日本人が制作した現代美術では過去最高額だという。現代絵画における市場相場についての知識がないので、草間の絵が世界的に見てどうなのかわからないが、億単位の絵なら上位に位置づけられる
のではなかろうか。以前、若手の村上隆の絵に6000万円の値がついてびっく
りしたことがある。今回の金額はこれの2倍。

草間禰生の絵は詳しくない。昨年10月、東近美であった回顧展でこの画家
の絵、美術品の特徴を掴んだ程度。一緒にまわった現代美術に強いTakさん
やじゅんさんに色々教えてもらって、すこし草間の作品に目が慣れた。
この女流画家のイメージが岡本太郎に似ているので、作品もとびはねたもの
かなと思っていたが、さほどでも無く、絵のなかにすっと入っていけた。

右の絵は最後に飾ってあった“宇宙物語”(1993年)。縦278cm、横248cm
の大きな絵。赤の小さな点が沢山描いてあるだけなのだが、背景の橙色で
浮かび上がった赤の点がゆっくりと天空を移動してるように見え、遠い宇宙の
かなたへ吸い込まれそうな気がした。

3年前、BS2で放送された“国宝100選”に草間禰生が出演していた。
意外だったのは現代絵画をやってる彼女が、京都の三十三間堂にある1001体
の千手観音像と、自分が1991年に制作した“ミラールーム(かぼちゃ)”には
無限の反復という共通性があると強調していたこと。何体もある仏像
を造形としてみて凄く感動したという。

たしかに、草間の絵には網目や水玉模様が繰り返しでてくる。この反復が
くどくなく、造形的に美しく、調和がとれてるのがいい。草間ブランドは
上昇傾向にあり、クサマ信者が沢山いるらしい。この天才画家の展覧会を
見る機会がまたあるかもしれない。期待して待つことにしよう。

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2005.02.14

村上隆

14現代アーティスト、村上隆の作品に今、非常に興味をもっている。きっかけは3週間くらい前のBS2“迷宮美術館”で、村上隆の絵には現在6千万円の値段がついていることを知り、この作家が現代アートのトップ集団にいるのがわかったからである。

Myビデオコレクションにも数本入っているので、名前は知っているが、それはミュシャや速水御舟の解説者であったりで、作品そのものは03年10月に
開催された森美術館の開館記念展覧会“ハピネス”に出品された右の“COSMOS”
しか見たことが無い。コスモスの花と漫画のキャラクターが一緒になった
面白い形を、黄色や赤、緑、青で彩色し、数かぎりなく繰り返しているこの作品は
見てて楽しかった。これがあの村上隆のアートか。子供が喜びそうな絵だなと
いう印象であった。この絵以外は残念ながら知らない。

TVにでてきた6千万円の絵は一度みたくなるような絵であった。また、NYの中央駅
にも彼の作品が飾ってあるらしい。日本では村上隆の絵はどこにあるの
だろうか?もしあまりなければNYに行ったとき、彼の作品を見せてくれる画廊や
中央駅を訪ねてみたい。

村上隆の絵が評価されるようになったのはIT長者のピーター・ノートンというコレクター
が彼の作品にいち早く目をつけ買ったかららしい。こうしたリーディング・コレクター
の購入などが強い影響力をもち、作品の値段が上がっていくようだ。村上隆の
才能が眼力のあるコレクターや画廊経営者に評価され、高額な村上ブランドが
市場で確立している。

この人は東京芸大の日本画の博士号をとっているし、凄い才能をもってると思う。
期待して、作品を追っかけたい。

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