2015.02.16

光る鉱物とアートの響き合い!

Img珪亜鉛鉱 方解石(通常光)産地:米国ニュージャージー州フランクリン鉱山

Img_0001  緑色や赤色の蛍光を発する珪亜鉛鉱と方解石(紫外線照射)

Img_0003ポロックの‘収斂’(1952年 バッファロー オルブライト=ノックス美)

Img_0002     河井寛次郎の‘三色釉扁壺’(1963年 大原美)

国立科学博物館で行われている‘ヒカリ展’(2/22まで)を滑り込みでみてきた。昨年の10月末からはじまったこの展覧会、天文学に特別関心が高いわけではないが、絵画に求めているものが光と色彩なので、漠然とした動機ではあるがなかに入ってみることにした。

所々に設置してある4,5分のビデオ解説を見ながら進んでいくと光の正体(波か粒か)や宇宙から地球に降り注ぐ光のことをがわかるようになっている。そのなかで時間をかけてみたのが蛍光鉱物が並べられているコーナー、紫外線を照射すると蛍光を発する鉱物が全部で34もある。

10秒の通常光のあと紫外線照射が20秒、鉱物は赤、紫、緑、黄色などに美しく変化する。蛍石、オパール、方解石、珪亜鉛鉱、ルビー、、、このように光る鉱物をこれほど多くみたことがない。そのなかに一際鮮やかな色彩を放つ鉱物があった。

アメリカのニュージャージー州にあるスターリング鉱山から産出した珪亜鉛鉱と方解石、短波長の紫外線をあてると茶色の珪亜鉛鉱は強い緑色になり、白い方解石の部分が強烈な赤色に変わる。これは楽しい世界。じっとみていたらポロックの絵が浮かんできた。光る鉱物と抽象絵画が響き合っている。

そして、目に飛び込んでくる赤が河井寛次郎のやきもののなかでとくに魅了されている三色釉扁壺を思い出させてくれた。普通の光のなかではとりたてて関心をいだく石ではないのに、紫外線があたると鮮やかな色がでてくる不思議さ、ヒカリ展は忘れられない展覧会になった。

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2014.12.14

ウィレム・デ・クーニングの‘女’シリーズ!

Img_0003     ‘サッグ・ハーバー’(1965年)

Img_0001     ‘ふたりの女’(1965年)

Img_0002             ‘歌う女’(1965年)

Img_0004     ‘青い眼の女’(1965年)

アメリカで花が開いた抽象表現主義、ポロックとともにその中心的人物として活躍したのがウィレム・デ・クーニング(1904~1997)、抽象絵画といっても幅があり色彩オンリーで形が具体的な対象と結びつかないものが大多数をしめるなか、具象的な形がみえ作品との距離がぐっと近くなるものもある。

デ・クーニングのイメージは作品の全部がそうではないが半具象的な‘女’シリーズでできあがっている。MoMAにある2点が強烈なインパクトをもっていた。どちらも1952年に描かれ、大きな黒の瞳は半端ではない目力を感じさせる。‘女Ⅱ’が笑っているのに対し、‘女Ⅰ’は怒りの形相。これがド迫力、まるで不動明王の憤怒の姿をみているよう。その荒々しい筆致から生み出された感情丸出しの女はデ・クーニングの名を聞くたびに思い出される。

ブリジストン美で現在開催されているデ・クーニングの回顧展(10/8~1/12)に展示されている‘女’シリーズは初期の作品から10年以上のちに描かれたもの。ちがいは目が黒々と描かれてないことと赤や黄色などの色が明るいこと、だが勢いのあるブラッシュワークはまったく同じ。

35点あったなかで女の輪郭がつかみやすい作品の前にどうしても長くいることになる。昨年1月ワシントンでハーシュホーン美を訪問したとき運のいいことにデ・クーニングの女性画4点と遭遇した。そのデジャブが起きているような感じ。似たような作品がずらっと並んでいる。日本でこれだけの数の‘女’シリーズがみれるのはもう二度とないかもしれない。

‘サッグ・ハーバー’は鼻が大きくたれ目の女のイメージ、‘ふたりの女’は右の横向きの女が口をあけて何か叫んでいるところがおもしろい。今回とても興味深くみたのが‘歌う女’と‘青い眼の女’、2点をじっとみているとある絵が浮かんできた。

それは出光美が沢山所蔵している仙厓の人物画、顔を上にむけ口を大きく開けている万才師や布袋の姿が‘歌う女’と重なる。そして‘青い眼の女’は仙厓の蛙の絵を彷彿とさせる。デ・クーニングと仙厓が時空を超えてコラボしているとは思ってもみなかった。

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2013.03.19

メトロポリタン美(8) 美術館のお宝ポロックと再会!

Img_2     ポロックの‘パーシパエー’(1943年)

Img_0001_2     デ・クーニングの‘屋根裏部屋’(1949年)

Img_0002_2          ロスコの作品

Img_0003_2          ニューマンの作品

好きな美術館のひとつであるロンドンのナショナルギャラリーへ行くとルネサンス絵画からバロック、印象派の傑作に沢山お目にかかることができる。でも、近現代絵画はないので、もしこれらを見たい場合はテートモダンへ足を運ばなくてはいけない。

これに対してメトロポリタンはどうかというと、古典絵画、人気のカラヴァッジョ、フェルメールがあり、印象派も傑作を多数揃えている。ここまではナショナルギャラリーと一緒だが、METにはまだ楽しみが残っている。それは2階の左奥に移動すると出迎えてくれるポロック、ロスコ、ウォーホルといったアメリカの現代アートで絶大な人気をほこる作家の作品。

この部屋の主役はずばり、ポロック(1912~1956)、3点あった。あの有名な‘秋の律動’(1950、拙ブログ08/5/19)と‘パーシパエー’は前回もみたからおそらく常時展示しているのだろう。‘パーシパエー’は同じ頃描かれた‘雄と雌’(フィラデルフィア美 3/5)と人物の配置の仕方がよく似ている。

こういう絵は抽象絵画をみているという思いがあるから、描かれたフォルムひとつ々に馴染むのに時間がかかるし、頭のなかが大いに混乱してくる。でも、気持ちを落ち着かせてみると両端に立っている人物をとらえることができる。二人の間では胴体と手足のようなものがなにやら激しく動いている様子。タイトルの‘パーシパエー’はポロックではなく支持者の一人がつけたもの。ポロックはクレタ王ミノスの妻パーシパエーの話は知らなかったという。

デ・クーニング(1904~1997)の‘女シリーズ’の前に描いた‘屋根裏部屋’はポロックの絵の色彩を消し黒と白に変換するとこんな感じになる?人間の顔をぐにゃっとつぶしたり引き延ばしたり、あるいは逆さにしたり回転させたりして即興的に形をつくっていったのだろうか。じっとみていると確かに複雑に絡み合う感情表現が感じとれる。

ロスコ(1903~1970)の3点とニューマン(1905~1970)の作品が並んで展示してあった。08年のときこの二人はみた記憶がないので収穫だった。ロスコはこの赤の色面が目を惹く作品がお気に入り。今回ロスコはMoMAでも1点みたので全部で12点、予想を大きく上回る成果となった。一方、ニューマンは7点、こちらも上出来。

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2013.02.16

ナショナルギャラリー(7) 期待を上回るロスココレクション!

Img_2          ロスコの作品

Img_0001_2     アルバースの‘正方形へのオマージュ’

Img_0004_2     ブランクーシの‘空間の中の鳥’(1925年)

Img_0002_2     デュシャンの‘なりたての未亡人(フレッシュ・ウィドウ)’(1920年)

忙しくみてまわった東館だが出会った作品の充実度は前回の3倍くらいあった。美術館めぐりで一番ショックなことは展示室が工事関係などで封鎖されいるとき。5年前の東館は追っかけ作品はことごとく期待を裏切られ満足度はまことに小さかった

ところが今回はとても調子がいい。前日出かけたフィリップスコレクションのロスコルームの余韻に浸っているのにロスコ(1903~1970)がまたも4点姿を現わしてくれた。目が釘づけになったのがピンクと黒と橙色の色面の組み合わせ。黒との対比でピンクが浮き上がっている。長方形の色面がニ、三重なる構成にはいろいろなヴァリエーションがあるが、こういう明るい色に惹かれていたので興奮状態でみていた。これでロスコは2日で8点、このあとNYのメトロポリタンで3点、MoMAで1点遭遇したので全部で12点、ロスコに対する熱い思いがミューズに伝わったのかもしれない。

薄塗りで輪郭のぼやけているロスコの作品に対して、アルバース(1888~1976)の色彩対比は整然としている。1950年から制作をはじめた‘正方形へのオマージュ’は千点以上にのぼる。この作品は一番外側が青、その次はグレイ、そして中央は黄色。じっと見ていると目の錯覚で色がこちらに向かってきたり奥に後退しているようにみえる。陰影をつけなくてもまた遠近法を使わなくても色調に変化をつけたり、色の間の相互作用によって絵画空間が立体的になり様々なイメージが喚起される。色彩の探求はじつに奥が深い。

ルーマニア出身の彫刻家、ブランクーシ(1876~1957)の生み出す抽象彫刻に限りない魅力を感じている。大理石でつくられた‘空間の中の鳥’は単純化を極めたそのフォルムがなんとも美しい、みるたびに思うのだがこれは鳥の姿ではなく三ケ月がしゃんと背筋を伸ばし夜空を照らしている光景をイメージしてしまう。

デュシャン(1887~1968)の‘なりたての未亡人(フレッシュ・ウィドウ)’は言葉遊びから生まれた作品。‘フランス窓(フレンチ・ウィンドウ)’と読み間違えることを狙っている。デュシャンは物とイメージと言葉の関係をいとも簡単組み替えてしまう、そして物体からすっと意味をはぎとることで次の作品レディメイドが誕生した。 

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2012.02.25

あなたは共感覚者?

3561_3

3562_2     カンディンスキーの‘印象Ⅲ(コンサート)’(1911年、レンバッハハウス美)

3563_2     カンディンスキーの‘インプロヴィゼーション35’(1914年 バーゼル美)

NHKの‘爆問学問’が終了するそうだ。毎週みているわけではないが、隣の方のお気に入りで時々つきあってみていた。今日は昨年の11月に放送された興味深い話のことを少し。

テーマは‘共感覚’、これは音楽や文字に色を感じるといった特殊な知覚現象のことをいう。共感覚をもっている人は200人に1人いるそうだ。番組で爆笑問題の二人に説明していた女性の先生も共感覚者で‘ハ長調の曲を聴くと白がでてくる、へ長調はマットなピンク、、、、’といっていた。音楽は演歌からジャズ、クラシックまで楽しんでいるが、この先生のような感覚はないから非共感覚者。

共感覚の正体は?能科学の発達によりいろんなことがわかってきたという。普通の人は音の刺激によって聴覚野という領域が活動する。一方、共感覚者は色を知覚する領域も同時に活動する。音楽を聴くという行為が色を実際にみるメカニズムに直結していることが明らかになったというのである。

この共感覚は文字や数字に対してもある。イギリス人のダニエル・タメットは数字に感じる色や手触りなどを手がかりに2万桁の円周率を暗記しているという。そして、外国語は単語に感じる色と意味がむすびつくため容易く覚えられ、一週間でマスターできるという。世の中にはスゴイ特殊能力をもったひとがいる。

共感覚をもっている芸術家は多く、その割合は一般人の7倍だそうだ。画家ではカンディンスキー、ムンク、作曲家のリスト、詩人の宮沢賢治も共感覚者といわれている。

カンディンスキー(1866~1944)の抽象絵画をあらためてみると、なるほどネ!という感じ。‘印象Ⅲ(コンサート)’はまさに流れてくる音楽に黄色を200%感じて描かれたものだった。また、‘インプロヴィゼーション35’は交響曲の大音響がこうした色の響き合いや様々なフォルムのシンフォニーとして表現されている。

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2012.02.16

待望の‘ポロック展’は満足度200%!

3533_2     ‘ポーリングのある構成Ⅱ’(1943年 ハーシュホーン美)

3531_2     ‘インディアンレッドの地の壁画’(1950年 テヘラン現代美)

3532_2     ‘ナンバー7、1950’(1950年 NY MoMA)

3534_2     ‘ブルー白鯨’(1943年 大原美)

開幕を心待ちにしていた‘ポロック展’(2/10~5/6)をみてきた。いつもの東近美とちがってアメリカ人を多くみかけるのはポロック(1912~1956)はアメリカアートの輝ける星であることの証。土日になるとさらに多くの外国人が押し寄せるにちがいない。

作品の数は全部で64点。そのなかで最もみたかったのが‘ポーリングのある構成Ⅱ’とテヘランの美術館からやってきた‘インディアンレッドの地の壁画’。‘ポーリング’はポロックがこの手法をはじめた1年後の作品。とても惹かれるのがやわらかく流動的にぶつかり合ううす青緑や緑や茶の色面、そしてその上のなにかおたまじゃくしかミトコンドリアが跡をつけたかのような黒や橙色や白の流れる線と点、心が荒ぶられるのは確かだがどこか静寂な空気も流れている。

今回の最大の収穫はテヘランにある絵とこの絵の前年に描かれた‘ナンバー11、1949’(インディアナ大美)。このふたつは色の使い方、サイズのちがいはあるが、描き方はほとんど同じ。これぞ究極のポーリングの美という感じ。‘インディアンレッド’の地の色は茶褐色、流れる線は一番多いのは白、その次が黒、ほかにうす黄色や青緑、灰色、橙色もあるが目につ強く印象づけられるのは白と黒の絡み合い。

この絵がとても気持ちよくみられるのはこの白の線が信じられないくらい細いから。画面には中心がなく白の複雑な線がじつに丁寧にポーリングされている。これは相当しんどい作業だから、無意識の状態と集中力を持続させるタフな精神状態が上手く折り合わないと描けない。

1950年には傑作がいくつも生まれた。NYのMoMAにある‘ワン・ナンバー31、1950’、メトロポリタンの‘秋のリズム・ナンバー30’。アメリカのアーティストは大きな国土に住んでいるせいか皆大きな画面が好き。ポロックはこういう大きなキャンバスを縦に立てるのではなく床に敷き、絵の具や塗料を垂らしたりなめらかに流していくから、海とか宇宙のような広大な画面のなかにいる気分かもしれない。

横長の‘ナンバー7’は新体操のリボンの演技を連想させる。ここでも白と黒の流れる線がリズミカルに絡まって横に疾走している。これと同じタイプの赤の線が目に焼きつく‘ナンバー25、1950’(ハーシュホーン美)は‘ナンバー7’よりもっと賑やかでアフリカの激しい音楽を聴いているよう。

ミロの影響を受けた‘ブルー白鯨’は懐かしい絵。広島にいるとき何度もでかけた大原美ではこの絵をみるのが楽しみだった。変てこな鯨だが、ほかにも右上には牛やエイ、右の端には小さな魚をイメージさせるものもいる。

満足度200%のすばらしい回顧展だった。東近美に感謝!

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2012.01.06

心をとらえて離さないモンドリアン、レジェの抽象美!

3402_2     モンドリアンの‘赤と黄色と青のコンポジション’(1927年)

3401_2     モンドリアンの‘黒と白のコンポジション’(1917年)

3403_2     レジェの‘森の中の裸婦’(部分 1909~10年)

3400_2    デ・キリコの‘2頭の馬’(1926~27年)

クレラー=ミュラー美のモダンアートコレクションはゴッホ同様一級品が揃っている。とくに目を見張らされるのがヘレーネ・クレラー=ミュラーがパトロンになっていたモンドリアン(1872~1944)、7点あった。そして、レジョ(1881~1955)も画集に載っている名画が3点姿をみせてくれた。

モンドリアンというとすぐこの‘赤と黄色と青のコンポジション’シリーズが頭に浮かぶ。水平線と垂直線が交わることでできる区画に赤、青、黄色、白の均一な色が整然と配されている。非常にすっきりした色模様なので服飾デザイナーとかグラフィックアーティストなど様々なクリアエーターに大きな影響を与えた。モンドリアンはオランダが生んだ近代絵画以降の画家ではゴッホに次ぐビッグネーム。

モンドリアンは初期のころ、印象派風の砂丘とか木を描いている。それが‘黒と白のポジション’のような線と十字で表された絵に変化していく。この多数の十字は海や空、星を表現している。その次は土色やうす青で彩色された小さな長方形や半円などがモザイク画のように組み合わさったもの。

この後は線は水平と垂直のみ、色は純粋色の三原色と補足の黒と白、灰色という目に心地いい抽象美の世界へ突き進んでいく。クレラー=ミュラーではモダンアート全開のモンドリアンがたっぷり楽しめるので、テンションはぐっとあがる。次のオランダではモンドリアンが沢山あるハーグ市美を訪問してみたい。

レジェの‘森の中に裸婦’はすぐには裸婦がどこにいるのかわからない。が、目が画面に慣れてくると左のほうにそれらしき彫刻っぽい形をした女がとらえられるようになる。女が樵になって木を切り出しているようだ。まわりの輝く白や青緑の円筒や円錐は伐採された木。隣に展示してあった‘トランプ遊びをする人々’も傑作。パリのポンピドーにいるような気がしてきた。

‘週間 ラ・ミューズ 世界の美術館’を手に入れたときから魅せられていたのがデ・キリコ(1888~1978)の‘2頭の馬’。躍動感にあふれる馬の姿をみているだけでも惹きつけられるが、左上のギリシャ神殿が目に入ったとたんデ・キリコはどんな形而上のイメージを仕組んでいるのかとつい思ってしまう。

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2011.07.10

もっと見たいステラの名画!

2835_2     ‘ハランⅡ’(1967年 グッゲンハイム美)

2837_3     ‘グラン カイロ’(1962年 ホイットニー美)

2838_2     ‘ベックホーフェンⅡ’(1972年 フォッグ美)

2836_2     ‘ジャラマⅡ’(1982年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

日本でモダンアートの殿堂といえば川村記念美。関東圏に住んでいると京都・奈良は遠いので寺社や仏教彫刻めぐりはそう度々とはいかないが、そのかわり川村で超一級の現代アートを楽しむことができる。なにしろここはロスコとフランク・ステラ(1936~)のすばらしい作品を所蔵している。

お気に入りのステラの作品を07年の特別展示(拙ブログ07/1/24)で堪能した。そのあと展示会場が改装され今では、絵画や半立体のレリーフが常時10点くらいみれる。ここには‘ブラック・ペインティング’や‘分度器’のシリーズ、‘シェイプト・カンヴァス’、‘レリーフ・ペインティング’が揃っているから、ステラの創作活動の流れはおおよそつかめる。

作品はどれも2~3m級の大作なので、一点々強いインパクトでもって体のなかに入ってくる。だから、こういう作家の場合、作品を数多く体験しなくてもいいのかもしれない。でも、ファン心理は微妙で一方で作品タイプごとにいろいろなヴァリエーションを体験したいという思いもある。

追っかけ画は出かける可能性の高い美術館にあるものが中心。グッゲンハイムでみたいのは幼稚園にあるおもちゃに使われているような明るい色彩と半円のフォルムが目を楽しませてくれる分度器シリーズ。ステラに魅せられているのはこの豊かな色彩感覚。だから、このシリーズは1点でも多くみたい。

同心正方形の‘グラン カイロ’は府中市美であった展覧会でお目にかかった。図版だと作品のサイズが消えるから幾何学的なデザインとしてスッとみてしまうが、本物は
2.17mの大きな正方形。この絵のおもしろいところは赤や青や黄色で彩られた枠が前後に動くこと。画面になかに吸い込まれる感覚を生み出すのはアメリカの作家の得意技。作品がデカイことが重要な要素になっている。

巨大なコラージュのイメージがする‘ベックホーフェンⅡ’や川村に何点もある多色レリーフの別ヴァージョン‘ジャラマⅡ’の前にもいつか立ちたい。だが、モダンアートは新旧の交代が激しいから、でかけたとき展示してあるかは確証がない。前回のワシントンで縁がなかったステラはこの絵を含めて3点が図録に載っている。一発でリカバリーなるか?

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2011.07.09

もっと見たいロスコの名画!

2831_2     ‘無題’(1949年 グッゲンハイム美)

2832_2      ‘No.61 赤褐色と青’(1953年 ロサンゼルス現代美)

2833_2      ‘オレンジと黄色’(1956年 オールブライト=ノックス美)

2834_2     ‘ハーヴァード大壁画・パネル1’(1962年 フォッグ美)

2年前、川村記念美でマーク・ロスコ(1903~1970)の‘シーグラム壁画展’(拙ブログ09/3/8)に遭遇して以来、この画家の作品を1点でも多くみたくなった。

‘志(こころざし)あるところに道あり!’はビジネスの世界だけではない。新しい芸術を追い求める人にも、またそれを愛好したり、美術品をコレクションする場合にもあてはまる。ロスコの作品に執着していると、おもしろいものでポンポンといい絵が目の前に現れてくれる。昨年でかけたポンピドーでは‘赤の上の黒’(10/12/11)を、また1月訪問したマドリードのティッセン・ボルネミッサ美では‘紫の上の緑’(2/4)をみることができた。

美術の追っかけをしているとある時期作品が向こうから近づいてきてくれるような気がするときがある。ロスコの作品は今はその時期かもしれない、この気持ちを持続していると次回NYへでかけたとき、収穫が多いかもしれない。

グッゲンハイムが所蔵する作品のうち1点は日本でみたが、これより魅せられる2点が図録に載っている。‘無題(白と赤の上にバイオレット、黒、オレンジ、黄色)’は明るい色面の帯で構成されているから、雰囲気は楽しみ気分。はしゃぎまわるほどではないが、じわじわ嬉しさがこみ上げてくる感じ。また、‘オレンジと黄色’の色面による感情表現もとても穏やか。

これに対して深い青の色面に惹きこまれる‘赤褐色と青’はじっとみていると不安な感情のなかに沈潜していくような気にさせられる。LAはまだ行ったことないが、現代美術館はロスコのこの絵をみるだけでも訪問する価値があるように思える。

フォッグ美へ18年前訪問したときはロスコは縁遠かったから、シーグラム壁画と同じ色調の‘パネル1’は知る由もない。ボストンはこの美術館のほかにもガードナー美にまた寄りたいし、ボストン美の新アメリカ館も必見だから、忙しくまわることになりそう。

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2011.07.08

もっと見たいポロックの名画!

2827_2     ‘速記の人物’(1942年 MoMA)

2828_2     ‘収穫’(1952年 オールブライト=ノックス美)

2829_2     ‘ナンバー27’(1950年 ホイットニー美)

2830_2   ‘ラヴェンダー・ミスト ナンバー1’(1950年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

モダンアートの作品がみられる美術館で一般的な団体ツアーに参加して楽しめるのはNYのMoMA、グッゲンハイム、ホイットニー、パリのポンピドー、ロンドンのテートモダン。そして、総合美術館のメトロポリタン、シカゴ、ボストン、ワシントンナショナルギャラリー、フィラデルフィアでも有名な絵と沢山お目にかかれる。

抽象表現主義の第一人者ジャクソン・ポロック(1912~1956)の作品はMoMAやグッゲンハイムはご無沙汰が続いているが、METで‘秋の律動’(拙ブログ08/5/19)と3年前再会したし、昨年はヴェネツィアのグッゲンハイムで‘月の女’(10/2/12)を久しぶりにみた。また、テートモダンやポンピドーにも出かけたのでポロックとはそこそこ縁がある。

でも、画集をみると鑑賞済みは全作品の3割くらい。ポロックに最接近しているとはとてもいえないので、今は5割くらいみることを目標にしている。で、もしMoMAかMETでポロックの回顧展が開催されるのであれば、それに合わせたアメリカ美術館めぐりがひとつのオプションとして頭の中にある。

ところが、嬉しいことに日本でポロックの回顧展が体験できることになった。今秋まず愛知県美で開催され(11/11~1/20)、そのあと東近美に巡回する(来年2/10~
5/6)。作品情報はまだ‘ナンバー7、1950’(MoMA)しかない。世界中から70点(そのうち絵画40点)集めてくるようなので、期待で胸がふくらむ。

さて、そのなかにここでとりあげた4点が入っているか?難しいとは思うが1点でもあればいうことなしだが。MoMAにある‘速記の人物’はミロのユーモラスな絵を彷彿とさせる。ポロックの作品で惹かれているのは密度の濃い高級織物のように画面いっぱいに繊細な線と強い線が複雑に織り合わされ、神秘的な抽象空間を生み出しているもの。

ループをつくる鮮やかな赤や黄色が目を楽しませてくれる‘収穫’にとても魅せられるが、バッファローにあるこの美術館へ行く機会があるだろうか?前回のワシントンでは
METの‘秋の律動’に似た作品‘ナンバー1’は残念なことに展示されてなかった。抽象絵画の美を堪能させてくれそうなのがホイットニー蔵の‘ナンバー27’。一歩ずつポロックに近づきたい。

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