2022.03.29

ミロ展の楽しみ!

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 ‘カタツムリ、女、花、星’(1934年 国立ソフィア王妃センター)

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 ‘焼けた森の中の人物たち’(1931年 ジュアン・ミロ財団)

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  ‘女’(1958年 草月会)

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  ‘ゴシック聖堂の踊り子’(1957年 福岡市美)

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  ‘絵画’(1966年 ピラール&ジュアン・ミロ財団)

渋谷のBunkamuraで行われている‘ミロ展’(2/11~4/17)をみてきた。
もっと早く出かけたかったが、東京都における新型コロナウイルスの感染
者の数がなかなか減らないため出動が1カ月も遅れてしまった。ここは平日
の金曜日は予約は要らないことがきいてるのか館内には予想以上の人がい
た。驚いたのは子どもを多くみかけたこと。もう春休み?ミロ(1893
~1983)が1934年に描いた‘カタツムリ、女、花、星’を母親と一緒
に来ていた小学校高学年の男の子が熱心にみており、‘あそこは顔に見える
ね’と右上のフォルムをしっかりとらえていた。これには感心した。

ミロは一生つきあっていく画家だからこれまで回顧展が開かれたときは見
逃さずにでかけてきた。5回くらいみたと思うが、会場に小さい子がいたの
は今回がはじめて。ミロの絵はシュルレアリスム絵画のなかではダリと違っ
て一見子どものいたずら書きみたいな素朴さとユーモラスなところがある
から、子どもは大人以上に楽しく反応できるかもしれない。

ミロの大きな回顧展は世田谷美で行われた2002年以来だから20年ぶ
りの開催となる。このとき出品されたバルセロナのミロ美が所蔵する‘焼け
た森の中の人物たちによる構成’がまたやって来た。これは‘カタツムリ’と比
べ線がすっきりのび、中心の塊は安定感のある三角形と円によってうまく
ミックスされているため心に強く印象づけられる。抑え気味の色使いも落
ち着いてみられる。

今回の収穫は‘女(勅使河原宗蒼風のために)’だった。‘焼けた森’をさらに
洗練させた感じでフォルムに丸みをつけたり傾かせたりして画面に動きを
生み出している。すぐビビッときた。‘ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞い
ている踊り子’はミロ展には欠かせない定番の作品、日本にあるミロでは
これが一番の傑作。黒字の背景に描かれた大作でここにはよくみると4人
が描き込まれているのがイメージできる。上の方に横に倒された人物が
いて、庭石を連想させる灰色のところには黒で縁取られた目をもつ3人が
姿をみせている。さて、誰が踊り子なのだろうか?

最後の部屋に飾ってあるインパクトのある水墨画風の作品‘絵画’にお目に
かかれたのもミロの想い出になりそう。マジョルカ島にはどう考えても縁
がないのでこうした太い黒の線が目に飛び込む大きな絵が4点も登場した
のは本当に嬉しい。Bunkamuraに拍手!

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2021.11.14

来年2月 Bunkamuraでミロ展!

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    ‘アルルカンのカーニバル’(1924年 オルブライト・ノックス・アート・ギャラリー)

先日出かけた渋谷のBunkamuraで嬉しい展覧会情報にぶちあたった。
来年2月、ここでミロ展(2/11~4/17)が開催されるという。まさに、
犬も歩けば棒にあたる、である。日本でミロ(1893~1983)の回顧
展が開かれるのは20年ぶりのこと。じつはその2002年に世田谷美で
回顧展が行われたとき広島で仕事をしていたが、無理やり東京出張をつくり
休日の土曜を利用して世田谷に足を運び思いの丈をとげた。ミロ狂を何年も
やっているからこのチャンスを見逃すわけにはいかない。

この回顧展をふくめてこれまで3回くらいミロと縁があったが、世田谷美以
降はどこの美術館のミロ展を企画してくれないので、シャガール同様、ミロ
への関心が薄くなっているのかと心配になっていたところ。ようやくBunka
muraが動いてくれた。期待に応えてくれる美術館に対してはやはり好感度が
ぐんとアップするし、Bunkamuraとの相性の良さをあらためて感じる。

チラシに載っている絵はスペイン・マドリードの国立ソフィア王妃芸術セン
ターが所蔵している‘絵画、カタツムリ、女、花、星’(1934年)。ソフィ
アセンターはピカソの有名な‘ゲルニカ’を展示している美術館だが、ミロの絵
もダリ同様多くの作品が展示されており、4つくらいの部屋で全部で20点
くらいお目にかかった。そのなかでもっとも人気の高いのがこの絵で美術館
のカタログにもとりあげられている。再会が楽しみ!

アメリカのオルブライト・ノックス・アート・ギャラリーにある‘アルルカン
のカーニバル’は2002年のとき世田谷美のあと巡回した愛知県美での展示
だったため、みれなかった。ミロ本に必ず出てくる傑作なので残念でならな
いが、世の中思い通りにはいかない。来年、縁があることをかすかに期待し
ているが、まず無いだろう。

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2020.04.29

エスニックジョーク 日本人なら!

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  マグリットの‘ゴルコンダ'(1953年 メニル・コレクション)

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  マグリットの‘リスニングルーム'(1958年)

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  マグリットの‘幸福な手'(1958年)

行動経済学が専門の明治大学の友野典男教授がお書きになった‘感情と勘定の
経済学'(潮出版社 2016年)のなかにとてもおもしろい話がでてくる。
それはパーティなどでの笑い話、エスニックジョーク。豪華客船が事故に遭
い沈没しそうになったので乗客を海に飛び込ませなくてはならなくなった。
船には多くの国の人が乗っている。その人たちにどう言えば飛び込んでくれ
るか。

アメリカ人に対してはこう言う。‘今飛び込めばヒーローになりますよ'、うん、
よくわかる。イタリア人だと‘美女も一緒に飛び込みますよ'、イタリアの男
を動かすにはこのフレーズが一番かもしれない。では、同じヨーロッパの
ドイツ人にはどう言うか、‘飛び込めと規則に書かれています'。これも納得!
ルフトハンザ航空は時間通り飛び立つのは世界の常識だから。

では、日本人ならどう言われるか、‘ほかのみんなも飛び込んでいますよ' 
ううーん、外国の人は日本人の行動性向をよく知ってるわ!日本人は自分の
感情は横においてまわりのものがどう行動するかをみてそれにあわせる。そう
いう風にみられている。

最近はMy散歩コースでもウォーキングをする人とすれちがうことが多くなっ
た。また、お父さんやお母さんと一緒に走っている男の子や女の子にもよく出
会う。さらにかなり本格的に走る若年層も増えた。テレワークをし終わったの
で外で手足を動かして気分転換をはかっているのだろう。今はほかのみんな
と同じように人と会わないように自粛していなければいけない。それをこうや
って歩いたり走る人をみて確認しているともいえる。

厳しい外出規制がひかれているパリでは人々が家のベランダにでてまわりの
人たちと手をふったり声をかけあったりしている。その光景をTVでみてマグ
リットの‘ゴルコンダ'というシュール画を思い浮かべた。パリっ子はこうやっ
て空中でつながっている感じがする。

同じくマグリットが描いた‘リスニングルーム'や‘幸福な手'は部屋のなかでも
無邪気に物とむきあい想像をふくらませればあっと驚く光景が生まれてくるこ
とをみせてくれる。でも、マグリットを真似てみたが刺激が足りないのかやは
りいつもの見慣れた部屋のままだった。

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2019.08.21

マドリードで石田徹也展!

Img_0001_20190821215701     ‘囚人’(1999年)

 

Img_20190821215701     ‘燃料補給のような食事’(1996年)

 

昨日の朝日新聞に興味深い記事が載っていた。今年の4月からスペインの
マドリードにある国立ソフィア王妃芸術センターで31歳の若さで亡くな
った石田徹也(1973~2005)の個展が開かれているようだ。開幕
から7月の下旬までに31万3千人がみたというからすごい。関心を寄せ
ている石田徹也が海外で注目を集めていることを耳にすると嬉しくなる。

記事には出品された70点のなかから‘囚人’と‘回収’が紹介されていたが、
美術教師と一緒に‘囚人’をみた17歳の女子生徒は‘自分と同じ感情だ’と語
っている。2007年この絵を所蔵するCBコレクションがおこなったミニ
回顧展(16点)でみたとき、あっけにとられてみていた。男の生徒が
校舎に体をがんじがらめにされて横たわっている。極端でかなり過激な
表現だが、子どもたちを囚人に見立てるのはなるほどと思わせるところが
ある。スペインの女の子はわが意を得たりだったのかもしれない。

2010年に画家の没後5年に合わせて全作品集が出版された。喜び勇ん
で銀座の小さなギャラリーにでかけ購入した。石田は10年間で217点
の作品を生み出している。なかにはあまり長くみたくないものもあるが、
関心の強さはずっと維持されたまま。本物をみたのはこのときが最後だが、
こうして海外から石田徹也のホットなニュースが飛び込んでくると日本で
の回顧展を期待したくなる。

最初の出会いで石田徹也は‘日本のマグリット’だと思った。それを200%
実感させるのが‘燃料補給のような食事’。これは日本の現代美術に燦然と輝く
傑作。マドリードで出品されてるはずだが、みた人は同じ印象をもつにち
がいない。マグリットが生き返ってこれに遭遇したら裸足で逃げ
るだろう。

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2018.04.15

デルヴォーのヴィーナス!

Img     デルヴォーの‘眠れるヴィーナス’(1944年)

Img_0004     ドレイパーの‘イカロス哀悼’(1898年)

Img_0002     ルノワールの‘ソファに横たわる裸婦’(1915年)

Img_0001     マティスの‘布をまとう裸婦’1936年)

横浜美では現在、テートコレクションで構成された‘ヌード展’(3/24~6/24)が行われている。テーマを設け作品を集めてくる企画展は今ではひとりの作家をとりあげる回顧展、海外の美術館の名品を持ってくる美術館展と並んで定番の展示方式。

好みの順番でいうとテーマ展は回顧展、美術館展のあと。そのためこのヌード展はあるひとつの絵をどうしてもみたくて出かけた。その1点買いの絵はデルヴォー(1897~1994)の‘眠れるヴィーナス’、ロンドンにあるテートコレクションはテートギャラリーと呼ばれていたときに2度、そしてテートモダンになって1度足を運んだが、いずれもこの絵は姿を見せてくれなかった。

そんな縁の薄かったシュルレアリスム絵画と日本で遭遇することになるのだから美術館巡りはやめられない。横浜美に万歳!デルヴォーがこの絵を制作したの大戦のさなかでブリュッセルが爆撃されているころ。ヴィーナスの周りにいる女性たちが手をあげたりして悲しみの表情をみせているのはこの緊迫した状況を意識しているから。

左にはおなじみの骸骨を描き中央に眠れるヴィーナスを配置する構成はとても意味深。今街はひどいことが起こっていてもヴィーナスは裸婦の美を象徴し続ける存在であり、骸骨は博物館の部屋から出てきて‘死を忘れるな’と人々に警告する。長くみていた。

チラシに大きく扱われていたマティス(1869~1954)の‘布をまとう裸婦’は拍子抜けするほど小さめの絵。これよりは2度目の来日となるドレイパー(1863~1920)の‘イカロス哀悼’のほうが画面に吸い込まれる。ギリシャ神話に親しんでいるので、こういうリアルに表現された神話画は夢中にさせる。

ルノワール(1841~1919)の‘ソファに横たわる裸婦’はロンドンでみたという記憶がない。ふだんは倉庫にしまってあるのだろう。チラシをみてどうかなと思っていたが、本物はルノワールらしさがよくでていた。

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2017.09.08

ダリに子どもはいなかった!

Img     ダリの生地フィゲラス(美の巨人たちより)

Img_0001     フィゲラスにある‘ダリ劇場美術館’

Img_0003  ‘アパルトマンとして使えるメ―・ウエストの顔’(1934~35年)

2ヶ月前から気になっていたダリ(1904~1989)の娘騒動。7月に掘り起こされたダリの遺体の一部を使って行われたDNA関係の結果がでて、娘だと主張していた61歳の女性(霊媒師)の訴えが退けられた。やはりダリに子どもはいなかった。

この騒動が報じられたときダリはインポテンツだということがインプットされていたので、それはないだろうと思っていた。さらに娘を名乗る女性が霊媒師とくればどうしても胡散臭い話になってくる。莫大な遺産が絡むだけにダリ財団としてもやれやれ、と素直に喜んでいるだろう。

昨年12月TV東京の人気番組‘簿の巨人たち’でダリの生地フィゲラスにある‘ダリ劇場美’が紹介された。ダリ好きにとって、この美術館はダリの聖地みたいなところ。なんとしても訪問を実現しようと長年思い続けている。そのにため、交通情報がでてくると旅の実行計画が一歩進んだような気になる。

番組によるとバルセロナからフィゲラスまではAVE(スペイン高速鉄道)を利用すると1時間で行くらしい。新幹線なら横浜から名古屋へ行く感覚だから、フィゲラスは簡単に出かけられる街というイメージがわいてきた。

昨年のちょうど今頃国立新美で行われたダリ展のように、ダリ劇場美が所蔵する作品は過去に何度となくやって来た。それらを集めてみると、コレクションの半分くらいはすでにみているかもしれない。でも、一度もきていないいい絵もまだ沢山ある。例えば、‘セックス・アピールの亡霊’とか‘レダ・アトミカ’。

そもそも日本にもってこれないもので興味をそそられるのは‘メ―・ウエストの部屋’、この部屋を外からみるとダブルイメージがきいて‘アパルトマンとして使えるメ―・ウエストの顔’となる。この有名な作品をいつか目の中に入れたい。機が熟すのを待つばかり。

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2017.06.30

本当にダリの遺体を掘り起こすの!?

Img     ダリ(1904~1989)

Img_0001   ダリの遺体が埋葬されている‘ダリ劇場美’の地下祭室

スペインから興味をそそる話が飛び込んできた。26日、スペインの裁判所がダリの娘という人物の主張をDNA鑑定により確かめるため、ダリの遺体を掘り起こすことを命令したというのである。

報じられるところによると娘を名乗るこの女性は61歳の霊媒師、いかにも怪しいが、母親はダリの家政婦として働いていたとき関係ができて生まれたという。話としてはありそうなことだから、そういうことがあったのか!とまあ受け入れられる。

1989年、85歳で亡くなったたダリの遺骸が埋葬されているのはダリの生まれ故郷、スペインカタルーニャ州のフィゲラスにある‘ダリ劇場美術館’(1974年開館)、この美術館を運営しているガラダリ財団にとってはえらいことがふっかかってきた。当然NO,すぐ上訴した。

仮にDNA鑑定でダリの娘ということになれば、この霊媒師は今財団が管理している遺産の25%が相続できることになる。だから、彼女としては黙っているのはもったいないと思ったとしても誰も文句は言えない。61歳というと生まれたのは1956年。ダリ52歳の頃の子どもということになる。

この頃、ダリとガラの愛は冷めきっていて、ガラは若い燕たちと遊びまくっていた。それでもダリは何も言えなかった。可哀想なくらいガラにほったらかしにされていた。

二人はそんな関係だったから、ダリが愛人をつくったとしてもおかしくはない。でも、ダリは性不能者だったということも聞いているので、子どもがつくれたかどうかは甚だ疑問。さて、この話どう転んでいくのか。

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2016.09.16

期待が大きすぎた国立新美の‘ダリ展’!

Img_0003     ‘子ども、女への壮大な記念碑’(1929年 ソフィアセンター)

Img_0001    ‘見えない人物たちのいるシュルレアリスム的構成’(1936年)

Img_0004     ‘ポルト・リガトの聖母’(1950年 福岡市美)

Img     ‘ラファエロの聖母の最高速度’(1954年 ソフィアセンター)

東京都美のポンピドーセンター展は遅い出動だったのに、‘ダリ展’(9/14~12/12)は開幕日に足を運んだ。場所はこのところヒットを連発している国立新美。ダリ(1904~1989)に魅せられた人は世の中には大勢いることはわかっているが、観客の多さをみるとダリはやはりピカソとともに特別な存在であることを思い知る。

展示されている作品はフィゲラスのガラ=サルバドール・ダリ財団、マドリードのソフィア王妃芸術センター、アメリカのフロリダ州、セント・ピーターズバーグにあるサルバドール・ダリ美、そして国内のダリで評判をとっている美術館が所蔵しているもので構成されている。油彩、オブジェ、ジュエリーなど250点、チラシには日本では過去最大規模のダリ展をうたっている。

この文句に期待して初日に動いたのだが、どうも期待しすぎだった。主要3館の作品でほとんど占められていると思っていたが、これがハズレ大きな作品は皆日本の美術館がもっているものだった。これらは日本にあるダリのビッグ3と勝手によんでいるもの。まさに日本にあることが信じられないほどの傑作、だからこの揃い踏みをみるだけでも出かける価値はあると思うが、すでにみているので心のなかではフィゲラスの大作がみたかったのに、と泣いている。

そのビッグ3とは‘ポルト・リガトの聖母’(福岡市美)、‘幻想的風景’(横浜美)、‘テトゥアンの大会戦’(諸橋近美)、諸橋近美からはもう2点強く印象に残る作品がでている。みてのお楽しみ!

ソフィア王妃センターのダリコレクションでまず足が止まるのは‘子ども、女への壮大な記念碑’、このようにダリは作品を長いタイトルをつけてくれるから画面にすっと入っていけそうな気がするが、シュルレアリスムはそう簡単には近づけない。上のほうに鳥の頭やライオンがみえ、左に裸婦をみつけたが、子どもは一体どこにいるの?これをみるのは2度目だが、ダブルイメージの男の顔を数えるので精いっぱい。

収穫は‘ラファエロの聖母の最高速度’、最近はビッグバンや量子力学などにどっぷり嵌っているから、素粒子や核分裂に関心を寄せていたダリに以前にもまして親近感を覚えるようになった。そして、初期の‘見えない人物たちのいるシュルレアリスム的構成’(ガラ=サルバトーレ・ダリ財団)にハッとした。それは椅子とベッドにできた人型の窪み。これはタイトルの通り。でも、この表現はダリにしか思いつかないとわかってすぐ突き放される。

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2015.06.22

夢の絵画 ミロの‘星座シリーズ’!

Img_2    ミロの‘真夜中のナイチンゲールの歌と朝の雨’(1940年)

Img_0004    ミロの‘暁の目ざめ’(1941年)

Img_0002         マティスの‘イカロス’(1943年)

Img_0003    ポロックの‘彗星’(1947年 ヴィルヘルム=ハック美)

近代西洋絵画のなかで印象派とともに一生のつきあいと決めているのがシュルレアリスム、画面に描かれたものがわかろうがわかるまいがあまり気にしない。意表を突き発想でモチーフが組み合されたり不思議な世界がでてくるだけで心はハイになる。

若いころからずっと関心を寄せているミロ(1893~1983)、これまでバルセロナにあるミロ美へ足を運んだし、国内で行われた回顧展は見逃さず出かけてきた。だから、多くの作品が目に入ったはずだが、まだ縁のないものがある。それは23点描かれた‘星座シリーズ’、ミロ美でそのうちの1点をみたがほかは画集でながめているだけ。その多くはギャラリーや個人が所蔵している。

いつかこの目でと願っている‘真夜中のナイチンゲールの歌と朝の雨’と‘暁の目ざめ’はNYのギャラリー、個人のコレクション。ほかの作品もパリのギャラリーなどにある。対面できる可能性があるのはMoMAが所有する正面を向いたライオンの顔が印象深い‘恋人たちに未知の世界を明かす美しい鳥’。でも2年前MoMAへいったときこれは展示されていなかったから、次の訪問が幸運に恵まれるかどうかはまったく見当がつかない。この‘星座シリーズ’はタイトル通りはるかかなたの銀河のような存在であり続けそう。

マティス(1869~1954)が晩年に制作した切り紙絵で高い人気を誇るのが‘ジャズ’、その一枚‘イカロス’は忘れがたい作品。空から落下するイカロスのまわりを青に浮かびあがった星々がとりかこんでいる。黒で表現されたイカロスのシンプルな造形が目にやきつく。

アクションペインティングの旗手、ポロック(1912~1956)にも星の絵がある。抽象絵画全開の作品ではあるがなんとなくイメージできる‘彗星’、斜めに走る細長い白の線なら氷の塊の彗星とわかる。ポロックは星座や銀河をみるのが好きだったのかもしれない。

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2015.03.26

わかるマグリットと謎のマグリット!

Img_0001      ‘光の帝国Ⅱ’(1950年 NY MoMA)

Img_0003     ‘白紙委任状’(1965年 ワシントンナショナルギャラリー)

Img     ‘透視’(1936年) 

Img_0002     ‘恋人たち’(1928年 NY MoMA)

シュールな作品で西洋絵画の歴史にその名を刻んだ画家は何人もいるが、マグリット(1898~1967)は表現の深い意味はかっこにいれるならまあわかりやすい画家。そして、みる者にとってマグリットの絵にはそこに描かれたものから勝手にイメージを膨らませられる自由さがある。作品が開かれていることがマグリットの人気を支えている理由のひとつかもしれない。

‘光の帝国’をマグリットは何点も描いた。このMoMAが所蔵するのは2作目のもの、これまで4点みたが、どれもシュルレアリスム絵画をみているという感じがしない。描かれているのは夜の屋敷とその前に広がる池、不思議なことといえば空が昼であること。

でも、今の時間が夕暮れ時だとしたら、こんな光景はよく目にする。空の白と家の周りの黒のコントラストを少しゆるくすると、いい風景に遭遇したという気分になる。このようにマグリットは現実の光景が時間の移行のなかでみせるよじれやずれの断面を大胆に表現し意表を突く空間を出現させる。だから、シュールな絵だといって構えてみないで素直に対面するとすっと入っていけることもある。

‘白紙委任状’も同じタイプの作品。タイトルは白紙委任状となっているが、マグリットとつきあうとき題名はかえって邪魔になることがあるから、あの絵にはそんな名前がついていたな、くらいの調子でいたほうがいい。心にとどめるべきは絵の内容とイメージ。

マグリットが好きな方はこの絵を何度もみられているはず。Bunkamuraのだまし絵展には2回ともやって来た。だから、2年連続の登場。女性の乗った馬が森のなかを疾走するとき、木々が数多く並んでいたら馬の胴体や足は一部がこの絵のように分断されてみえるかもしれない。まさに木の間をすりぬけるように移動していく感じ。

‘透視’はじっとみているとなるほどね、と得心がいく。卵がかえって鳥になる、マグリットは時間という要素を画面のなかに描き入れている。モチーフの形をキャンバスに写し取るのが画家にとって絵を描くという行為だが、マグリットがみているのは鳥がその姿になる前の卵。本当におもしろい作品。

画集では何度もお目にかかっている‘恋人たち’、ようやく本物に会えた。今回2点でている。わかりにくいのが2人が顔に布をまきつけて素顔を隠していること。これはなぜ?デ・キリコの影響を受けたマグリット、ひょっとするとデ・キリコの描いたマネキンから霊感を得たのかも。

お気に入りのマグリットがこれほど沢山みれて腹の底から喜んでいる。ミューズに感謝!

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