2017.03.16

圧巻!ミュシャの‘スラブ叙事詩’

Img    ‘スラブ叙事詩 原故郷のスラブ民族’(1912年)

Img_0001  ‘東ローマ帝国として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドウシャン’(1923年)

Img_0003     ‘スラブ式典礼の導入’(1912年)

Img_0002   ‘スラブ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い’(1926年)

国立新美ではじまった‘ミュシャ展’(3/8~6/5)をみてきた。お目当てはミュシャ(1860~1939)がチェコに帰ってから17年もかけて完成させた連作‘スラブ叙事詩’、この大きな絵が20点全部日本にやって来るなんて夢のような話。そんな奇跡みたいなことがおこるのだから日本は美術大国。

古代から現代に至るまでのスラブ民族の苦難の歴史を描いた壮大なシリーズ20点は絵のサイズでいうと3つくらいに分かれ、最も大きいのは最初の‘原故郷のスラブ民族’やこの向かい側に飾ってある‘スラブ式典礼の導入’、最後のほうにでてくる‘スラブ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナの誓い’などの
縦6.1m、横8.1m、全部で7点ある。これだけ大きいと本当に見ごたえがある。

国立新美の広い展示スペースを3つに区切って展示されているが、最後のコーナー(5点)は撮影が可能になっている。これは粋なはからい。拍手々! 昨日は平日なのに大勢の人であふれかえっており、そのなかには中学生がたくさんいた。美術の鑑賞体験がミュシャの‘スラブ叙事詩’なんて幸せすぎる。

iフォンで撮影する人、大きな絵の前で描かれている場面の印象をノートに書き込む中学生たち、圧倒的な絵の力を見せつけられ、言葉を失い1点々画面の隅から隅までながめている光景をみてミケランジェロの天井画‘天地創造や大壁画‘最後の審判’が飾られているローマのシスティーナ礼拝堂のなかにいるような気がしてきた。

ひととおりみて作画の特徴みたいなものがひとつみえてきた。何人も登場する人物のうちで手前に描かれている男女に注目、じっとこちらをみる目力の強い人物(たいてい女性)が一人ないし二人いる。このとても気になる女性がどの絵にもでてくるかチェックしたら、15点でそう描かれていた。

印象に残った表現では‘原故郷のスラブ民族’にみられる夜空の星々、そしてミケランジェロの‘最後の審判’に描かれた人物を連想させる2人のスラブ人の祖先。‘スラブ式典礼の導入’で左にいる輪を右手にもっている人物が女性ではなくて若い男だったのも本物の威力。

明るい光に満ちた黄色の画面が心を打ったのが‘東ローマ帝国として戴冠するセルビア皇帝ステファン・ドゥシャン’と‘スラブ菩提樹の下でおこなわれるオムラジナ会の誓い’、そして最後の‘スラブ民族の賛歌’。17番目の‘聖アトス山’はベルギー象徴派のクノップフの神秘的な絵が頭をよぎった。

プラハ国立美で‘スラーヴィア’に遭遇し、今回あの‘スラブ叙事詩’をみることができた。ミュシャに乾杯!

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2017.01.06

夢のサージェント展!

Img_0001  ‘エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち’(1882年 ボストン美)

Img      ‘マダムX’(1884年 メトロポリタン美)

年のはじめは今年はどんなことをしようかといろいろと考える。展覧会だっらどこの美術館に最も期待するか、というのをだいたい決めておく。昨年はサントリー美へ何度も通う計画を立てた。今年は東京都美、国立新美、西洋美、そして東博へ出かけるのが多くなりそう。

美術に対する人々の好みはかなり幅があるので、美術館としてもどんな作品をみせるかというのはかなり頭を使うにちがいない。これをやれば成功間違いなしという、例えば印象派のようなキラーコンテンツで無難にいくか、まだ日本で認知度の低い画家で勝負し新鮮な風を吹き込むか、前者の場合は企画立案は楽しいが、チャレンジングなケースはその選択は重荷を背負った気分に支配されるだろう。

昨日とりあげたゴッホの‘郵便配達夫ルーラン’はやっと日本でみられる待望の作品、ボストン美のコレクションでは長いことこの絵とカサットの‘桟敷席’のことを思い続けてきた。昨年カサットがみれ今年は‘ルーラン’と遭遇するのなら、次はこの絵だろうと期待したくなる絵がある。

それはサージェント(1856~1925)の‘エドワード・ダーリー・ボイドの娘たち’、2015年12月ボストン美を訪問し、新装なった展示室でこの絵と再会しまたまた感激した。そして、強く思った。もしこの絵が日本にやって来たらどんなにか絵画ファンの心をなごましてくれるのにと。

この絵はボストン美の至宝のひとつだから、日本に貸し出してくれるかわからない。でも、日本との相性はルーヴルと並んで最もいいボストン美のことだから、美術館が公開にむけてはたらき続ければOKになる可能性だってある。国立新美でも東京都美でもいいから夢の展覧会を是非実現してもらいたい。

サージェントにはもう一枚日本にやって来たらで大きな話題となる作品がある。メトロポリタン美が所蔵する‘マダムX’、どこかの美術館でまたメトロポリタン美名品展を開催することがあれば、この絵にチャレンジしてくれると天に昇るくらい楽しくなるのだが、果たして。

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2016.09.15

久しぶりのシャガール!

Img_0002     シャガールの‘杯を掲げる二重肖像’(1917年)

Img     ブランクーシの‘眠る詩神’(1910年)

Img_0003     クプカの‘垂直の面Ⅰ’(1912~13年)

Img_0001     ヤーコブ・アガムの‘ダブル・メタモルフォーゼⅢ’(1969年)

20世紀の初頭から近代絵画の分野で新たな地平を切り開いた画家ですぐ思い浮かぶビッグネームというと、ピカソ、マチス、そしてシャガール。このなかで開催される回顧展の数が多いのはやはりピカソ、2年に一度くらいの頻度でどこかの美術館にピカソが並んでいるというイメージがある。

これに対して最近回顧展にお目にかかったという印象が薄れているのがシャガール(1887~1985)、これまでシャガールの展覧会は見逃すことなく足を運んできたが、最後にみたのは2007年に千葉市美で行われたもの。それから9年も経つ。

3年前、NYのMoMAを訪問したときとても残念なことがあった。シャガールの代表作‘私と村’が飾ってないのである。再会を楽しみにしていたのでがっくりきた。今はアンリ・ルソーの人気のほうが上なのかもしれない。日本でシャガールがみれなくなったのはこうしたことも影響しているのだろう。

今回のポンピドーセンター展に展示されたのは過去にもやって来た‘杯を掲げる二重肖像’、この絵がおもしろいのはベラとそのベラに肩車されたシャガールが下にみえるヴィテブスクの街にくらべて馬鹿でかいこと。まるで巨人ガリバーのよう。この巨人化のほかにシャガールは頭を胴体から切断して宙に浮かせたり顔を逆さにして首にくっつてたりもする。そんなファンタジックな世界にまたつつまれたい。

ブランクーシ(1876~1957)のブロンズ像‘眠る詩神’もクプカ(1871~1957)の‘垂直の面Ⅰ’もシャガールの絵同様、19年ぶりに再登場した。パリにいるような気分でとても楽しい。

ヤーコブ・アガム(1928~)のオプ・アート、‘ダブル・メタモルフォーゼⅢ’は現地でソトやヴァザルリと一緒の部屋の飾ってあったようなそうでないような、、錯視画のようにリズミカルに動く模様は表面にストロー状のものを色をつけて置きそれによってできた凹凸から生まれていた。明るい配色にも魅了され長くみていた。

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2016.09.14

東京都美の‘ポンピドゥー・センター傑作展’!

Img     ピカソの‘ミューズ’(1935年)

Img_0002         ドローネーの‘エッフェル塔’(1926年)

Img_0001     ビュフェの‘室内’(1950年)

Img_0003         ラムの‘物音’(1943年)

パリにある美術館はルーヴルでもオルセーでもポンピドゥーセンターでも気前よく作品を日本に貸し出してくれる。今回、東京都美で開催されている‘ポンピドゥーセンター展’(9/22まで)も館自慢の傑作が出し惜しみされることなくずらっと並んだという感じ。すばらしい!

作品の数は絵画、彫刻、オブジェ、写真など全部で71点、現地でみたこともない作家も続々とでてくる。東京都美へ出向くのが遅れたのはポンピドゥーセンターは済みマークをつけている美術館だから。もういいかなというのは図録に載っている作品は大方目のなかに入ったということで、膨大な作品群を鑑賞し尽くしているわけではない。だから、チラシにでているもので気になるものがあれば足を運ぶべし、となる。

展覧会の目玉のひとつであるピカソ(1881~1973)の‘ミューズ’は運よく現地でみた。でも4回訪問して一度しか展示されてなかった。やはり、インパクト度ではこれが一番かな、ミューズとは長くお付き合いさせてもらっているが、‘ミューズに感謝!’と心をこめていうときはこの絵をイメージしてなく別のもの。

ドローネー(1885~1941)の‘エッフェル塔’は最も気になっていた絵。大きなエッフェル塔を下から眺めるとこの絵のように塔の一部が画面からはみ出す感じになる。塔の高さを実感させる構図のとりかたにいっぺんに嵌った。

ドローネー同様、収穫だったのがビュフェ(1928~1999)の‘室内’、ぱっとみると平板な絵にみえるが空間の表現はマチスの室内画を思い起こさせる。こういう遠近法的でない描き方のほうが部屋に開放感があり、椅子やストーブなどのモチーフの存在をより強く認識する。

ラム(1902~1982)の‘物音’はピカソの‘アヴィニョンの娘たち’のイメージがかぶってくる。NYのMoMAにラムの漫画チックに描かれた土人が登場する作品があるが、ポンピドーにも同じような絵があるとは知らなかった。

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2016.07.12

ボイマンス美のダリ・コレクション!

Img_0004

Img       ‘眠り’(1937年)

Img_0001     ‘戦争の顔’(1940~41年)

Img_0002     ‘スペイン’(1938年)

趣味というのはそれに費やす時間やお金、そして情熱に違いはあるが、長く続けていくと生活のなかでそれが安全基地みたいなものになっていく。絵画鑑賞も気がつけばほかのことにチャレンジするとき調子を整えるルーチンプラクティスの役割を果たすようになっている。

わが家では毎日といっていいほど図録や画集をながめている。そのなかでページをめくると気持ちがよくなるのがお気に入りの画家、ダリ(1904~1989)もそのひとり。マドリッドに滞在したとき、国立ソフィア王妃芸術センターへ寄ろうと思っていたのはダリに再会しプラスαの作品を期待していたから。でも、これは時間がなくて実現しなかった。残念!

秋の楽しみにしているのがダリ展(9/14~12/12 国立新美)、チラシをみると最大規模の回顧展になるようだ。作品はフィゲラスのガラ・サルバドール・ダリ財団、ソフィアセンター、そしてフロリにあるサルバドール・ダリ美のものが中心、サプライズの作品がたくさんありそうな予感がする。

そして、来年4月にはオランダ・ロッテルダムにあるボイマンス美のコレクション展が開催される。目玉はブリューゲルの‘バベルの塔’だが、期待しているのがもう一つある。それはここが所蔵するダリ、画集に6点も載っている。以前から気になっている作品だが、ツアー旅行ではロッテルダムを訪問することはないのでこの美術館は遠い存在だった。

ところが、世の中なにがおこるかわからない。なんとボイマンス美のコレクションが日本にやって来るという奇跡が起こった。このなかにブリューゲル、ボスとともにダリの‘眠り’,‘戦争の顔’、‘スペイン’が入っていることを強く望んでいる。夢は叶うだろうか?

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2016.07.07

画集に載っていた男の肖像画に釘づけ!

Img_0002_2     ‘カール・カーナー’(1940年)

Img_2     ‘ドイツ人’(1975年)

Img_0001_2     ‘仔牛’(1960年)

Img_0004_3     ‘激流’(部分 2003年)

アメリカの国民的な画家といわれるワイエスに縁があったのは1回だけ。日本で亡くなる1年前に回顧展が開かれた。場所は渋谷のBunkamura.、いつも高い期待を寄せているBunkamuraでの開催だから夢中になってみた。そのとき購入した図録に作品だけでなくワイエス物語が概観されているが、いつものように論考は読まずそこに載っている作品の図版をみているだけ。

ワイエスの情報はもうひとつ得ていた。2013年の6月に放送された‘美の巨人たち’に福島県県美が所蔵する‘松ぼっくり男爵’がとりあげられ、ほかの作品もいろいろ登場した。そこでみた3点が嬉しいことにティッセン・ボルネミッサに展示されていた。‘カール・カーナー’は個人蔵のテンペラ、そして水彩の‘ドイツ人’と‘仔牛’、作品は頭のなかに入っているからここで運よく遭遇した喜びが腹の底からこみあげてくる。

ワイエスは農場でくらすカーナー夫妻をずっと描き続けた。いかにもドイツ人という顔つきのカール、本人と今対面しているような錯覚を覚える。カールの妻のアンナの絵もみたかったが、これは一枚もなかった。残念!‘ドイツ人’はカールが76歳のときのもの。この軍人姿をみるとあの屈強なドイツ兵のイメージがよみがえってくる。そして何度も通って描いた‘仔牛’、牛は農場にとっては欠かせない主役、ワイエスのやさしい心根がうかがえる。

風景画にもBunkamuraに出品されたものがあった。ワシントンナショナルギャラリーのコレクション、‘雪まじりの風’と日本の丸沼芸術の森にある‘霧の中にあるオルソンの家’、そして大きな収穫だったのが2003年に描かれた‘激流’、図録に収録されたサイズの関係で残念ながら画面全部でなく中心部分だけしかおみせできない。川の底にある大きな岩をすべるようにして水が流れ下っている。これはワイエスの静かなイメージからは対極にある動感いっぱいの作品。まるで生き物みたいな水の動きに200%圧倒された。

これでスペイン旅行の感想記は終わりです。お楽しみいただけたでしょうか。ボス、ラ・トゥール、そしてワイエスのいい絵を皆さんと共有できたことを心から喜んでいます。

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2016.07.06

サプライズ! ティッセン・ボルネミッサで‘ワイエス展’

Img_0001      ‘遥か彼方に’(1952年)   

Img_0002     ‘シリ’(1970年)

Img     ‘マガの娘’(1966年)

Img_0003     ‘恋人たち’(1981年)

プラドではボス展とラ・トウール展が重なるという幸運に恵まれたが、運の良さはティッセン・ボルネミッサまで続いていた。なんと、ここでアンドリュー・ワイエス(1917~2009)の回顧展(3/1~6/20)が開かれていた!これぞ喜び三段重ね、ミューズに感謝々。

ワイエス展はまったく情報がなく、美術館に近づくと縦書きのバナーに‘WYETH’とある、でもあのワイエスとはむすびつかず北方の画家かな?と思っていた。そして、入館してびっくり仰天、なんと長らく待ち望んでいたワイエスの回顧展だった。こんな幸運があっていいのだろうか、盆と正月に加えクリスマスまで一緒にやってきた。

これは別料金ではなく入館料を払えばみれる。さっそく地下の展示室へ向かった。展示されているのはワイエス作品だけでなく息子のジミーのものも展示されており父子展のかたちをとっている。作品の数は2人あわせて114点(素描も含む)で半分々という感じ。ジミーには関心がないので紹介するのはワイエスのみ。

図録の表紙に使われている‘遥か彼方に’というワイエスが35歳のときに描いた作品がとてもいい。ワイエスというとすぐNYのMoMAにある代表作‘クリスティーナの世界’を思い浮かべるが、この絵でも息を呑んで見てしまうのが膝をかかえて座っている少女が被っている帽子の動物の毛一本々やまわりに生い茂る草々の表現にみられる細やかな筆使い。

女性を描いたものはほかに6点あった。うち裸婦が‘恋人たち’を含めて4点。‘シリ’は背景を部屋の凹凸のある白い壁にして若い女性の上半身だけ描くという構成が決まっている。いかにも金髪の女の子という感じがよくでている。

これに対して‘マガの娘’は小さいころTVでみたアメリカ映画の西部劇に登場するしっかりものの女性を連想する。こういう存在感があり身近に感じられる肖像画はありそうでない。しばらくみていた。

‘恋人たち’はこれがあの世間を驚かせたワイエスの問題作かという感じ。てっきり画像で知っている作品と同じものと思ったが、日本に帰って確認したら脚立のような椅子に座り横をむく裸婦を眩しく照らす陽を部屋のなかに入れる窓の形が違っていた。ワイエスはこの恋人を一体何点描いたのだろうか、そのひとつにめぐりあえたのだから本当についている。

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2016.07.05

目を見張らせる近現代アート!

Img     リキテンスタインの‘浴室の女’(1963年)

Img_0001     デルヴォーの‘洞窟の裸婦’(1936年)

Img_0002     リンドナーの‘サンキュー’(1971年)

Img_0003     ファイニンガーの‘背の高い男’(1907年)

アメリカの美術館を何度もまわっていると近現代アートにも目がだんだん慣れてくる。でも、作品を見る機会が多くなったからといって抽象画やオブジェがどれも違和感なく体に入っくるというわけでない。半分くらいは軽くみている。

この鑑賞スタイツがティッセン・ボルネミッサの近現代アートを展示している1階でも大きく変わることはない。お気に入りのア―ティストの前では印象派の名画をみているときのようにアドレナリンがどっと出てくるが、どうもわからないな?というのも多い。

このフロアで最も期待していたのはリキテンスタイン(1923~1997)の‘浴室の女’、まさにアメリカ黄金時代の映画や漫画にでてくる女性をイメージさせる作品、ポップアートというのは若返りの妙薬と似た効果を持っている。ウォーホルやリキテンスタインは音楽におけるビートルズみたいなもの。今は感情の振幅は大きくないほうがいいので絵画とつきあい、あの頃をじわっと懐かしんでいる。

前回デルヴォー(1897~1994)の作品を2点みたが、その一枚が‘洞窟の裸婦’だったか記憶がない。デルヴォーはマグリット同様、お気に入りの画家だからこの絵ははじめてのものだろう。洞窟の中という場面設定がシュールな気分の表れか、鏡に映った女性の顔には冠をかぶせてゴージャスにしているのがおもしろい。

リチャード・リンドナー(1901~1978)はこれまでみたのかはっきりしないア―ティスト、‘サンキュー’の前では思わずひるんだ。こんなインパクトの強い作風なのにメトロポリタンでもMoMAでも遭遇したことがない。ドイツ表現主義をカチッとしてものに整えこれにポップ調を加味した感じ。ちょっと気になってきた。

人物の表現がドイツの画家らしいなと思ったのは別の階でファイニンガー(1871~1956)の‘背の高い男’をみたから。男の背が高いこと!後ろのビルの高さまである。ファイニンガーには漫画チックな人物表現があるが、これが一番ぐっときた。

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2016.07.04

ヨーロッパの美術館でハドソンリバー派に会えるとは!

Img     ホッパーの‘ヨットとカモメ’(1944年)

Img_0001     ビーアスタットの‘滝の景観’(1880~87年)

Img_0003     カンディンスキーの‘ムルナウの家’(1908年)

Img_0002     バッラの‘ダイナミズム’(1915年)

お気に入りの画家との距離感がぐっと縮まるのは回顧展に出会ったとき。そこでその画家の代表作が一通り頭のなかに入る。そして、作品の記憶と一緒にどこの美術館がその名画を手に入れているかという情報もインプットされる。

2008年シカゴ美を訪問したときにまさかの大回顧展に遭遇した。ここでのお目当てはあの‘夜ふかしをする人たち‘、これをみるだけで目的の50%を達成できるというのにホッパー(1882~1967)の作品をほかにもどどっと見れることになった。もう天にも昇る気持ちだった。

興奮状態のままみて回ったが、足が思わず止まる作品の前では美術館の名前もしっかり覚える。とても魅了された‘ホテルの部屋’はティッセン・ボルネミッサのコレクションだった。2011年のとき軽くご挨拶しておいたが、今回ホッパーはこれだけでなくもう一点いいのがでていた。心がスカッと晴れるような明るい海景画‘ヨットとカモメ’。

この絵をいつ手にいれたの?シカゴで同じようなヨットの絵を2点みていたので日本に帰ってチャックしたらほかの美術館の所蔵だった。新しいホッパーに会えるなんて最高!

はじめてこの美術館を訪れて感心したことがある。それはヨーロッパにあるほかの美術館ではほとんどみる機会がないアメリカ絵画が展示されていること。前回はコール、チャーチ、ビーアスタットらハドソンリバー派の作品が1点ずつ3点と遭遇した。今回はぐっと増えて全部で6点、そのなかで長くみていたのがビーアスタット(1830~1902)の‘滝の景観’、それほど大きな作品ではなかったが、壮大な構図で細部まで緻密の描かれた滝の景観に心を打たれた。

リカバリーを切に願っていた作品のひとつがカンディンスキー(1866~1944)の‘ムルナウの家’、画面を構成する角々した家がユニット的に表現主義派やフォーヴィスムを思わせる強くて深い色調で描かれている。カンディンスキーは華麗さのほとばしる抽象絵画へむかう前にこんな緑や紫が印象に残る作品を手がけていた。

未来派のバッラ(1891~1958)はボッチョーニ同様、昔から関心の高い画家。5年前にも立ち尽くしてみたみて‘ダイナミズム’にまたやられた。前ショップに絵はがきあった?図録には載ってないので2枚目になるかもしれないが買っておいた。

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2016.07.03

ゴッホ、ゴーギャンに乾杯!

Img     ゴッホの‘オーヴェルのレ・ヴェスノ’(1890年)

Img_0003     ゴーギャンの‘マタ・ムア(むかしむかし)’(1892年)

Img_0004     モネの‘チャリング・クロス橋’(1899年)

Img_0001_2     ドランの‘ウォータールーの橋’(1906年)

パリのオルセーでもNYのメトロポリタンでも大きな美術館は質の高い印象派の絵を数多く展示しているが、ティッセン・ボルネミッサもその例に漏れない。マネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、ロートレック、ゴッホ、ゴーギャンとビッグネームをずらっと揃えている。これは圧巻!

今回狙っていたのはゴッホ(1853~1890)の最晩年の作、‘オーヴェルのレ・ヴェスノ’、心を虜にしたのは地平線を高くとり家々の前の小麦畑を広々と見せる空間構成と画面をおおいつくす明るい緑と黄色。命を絶ったこの年に描かれた作品なのにここには悲壮的な空気はあまり流れていない。

ゴーギャン(1848~1903)の‘マタ・ムア’は2010年ロンドンのテート・モダンで開催された大回顧展に出品されたもの。翌年マドリッドへ出かけ再会するはずだったが、どういうわけか展示されてなかった。だから、本来の居場所でみるのははじめて。

いつものようにゴーギャンの絵は一見すると平板、でも真ん中に大きな木の幹がどんと描かれているのでしばらくみていると奥行きのある風景であることに気づく。木を挟んで前の座っている二人の女性をながめそして向こうの石の像のまわりにいる女性たちに目をやると、なんだかタヒチの楽園へ迷いこんだような気になる。

4点あったモネ(1840~1926)は霧にかすむ‘チャリング・クロス橋’や凍りついたセーヌ川の雪解けの様子を描いた‘ヴェトゥユの雪解け’に思わず足が止まった。モネは昨年10月マルモッタンの‘印象、日の出’と久しぶりにお目にかかり、それから一年もたってないのにまたスペインでいい絵と遭遇した。ミューズに感謝!

ティッセン・ボルネミッサには目を惹くピカソ、ダリがあるのになぜかマティスがない。そのかわり野獣派の盟友ドランのすばらしい絵がある。色彩の力を思いっきりみせつけ光の洪水かと思わせる‘ウォータールーの橋’、ドランの作品では上位グループの一枚に加えている。

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