2024.05.06

ロサンゼルス サンフランシスコの美術館!

Img_20240506225601

Img_0001_20240506225601

Img_0002_20240506225601   ザ・ロード (4/23放送のNHK BS‘フロンティア’より)

Img_0003_20240506225601  

サンフランシスコ・アジア美の村上隆の個展(‘フロンティア’より)

現在、京都市京セラ美で開催中の‘村上隆 もののけ 京都’(2/3~9/1)が
大盛況らしい。4/21に放送された日曜美術館や4/23のNHK BS‘フロンティ
ア’では村上隆の工房にカメラが入り、作品が完成にいたる制作現場での奮闘
ぶりを密着取材していた。おかげで8年ぶりの国内で開かれる回顧展にどん
な作品がでてくるのかおおよそ頭に入った。

会期は9/1までなのでわが家は7月に出かけ、大阪のあべのハルカス美で行
われる‘広重ー摺の極みー’(7/6~9/1)も一緒に楽しむことに決めた。
番組のなかで初日に若い人たちを中心に長い行列ができていたのにびっくり
仰天!これほど混雑していると美術館で入館料を払っていたら大変な時間が
かかりそうなので事前にチケットを購入し、観客情報をしっかりチェックす
るつもり。

‘フロンティア’に興味深い情報がいろいろでてきた。それはロサンゼルスと
サンフランシスコにある美術館の話。まだこの西海岸にある2つの大都市に
足を踏み入れていないので、こうしたこれまで知らなかった美術館情報に接
すると敏感に反応する。LAで紹介されたのはザ・ロードという現代アートの
美術館。ロサンゼルス近代美術館は手元のロスコの本にでてくるから、LA
での美術館巡りはここからと思っていたが、このザ・ロードも楽しそう。
村上隆、ウォーホル、リキテンスタイン、バルーンアートのジェフ・クーン
ズ(知らない)らの作品を展示している。

サンフランシスコ・アジア美では村上隆の個展が数年前開かれたそうだ。
浮世絵などをコラージュした25mの新作品を中年の夫婦が熱く語っ
ていた。ここにはほかにも現代アートが飾ってあるのだろうか?そして、
有名なサンフランシスコ近代美術館にはマティスの‘帽子の女’がある。
村上隆の個展をきっかけに西海岸の美術館に心が急速に向かっている。

| | コメント (0)

2024.02.06

ウィーン 極上の美術館巡り!

Img_0001_20240206225401     ウィーン美術史美術館

Img_20240206225401    チェッリーニの‘フランソワ1世の塩入れ’

Img_0002_20240206225401   

クリムトの‘生命の樹(右) 期待(左)’(1905~09年 オーストリア応用美術博 )

Img_0003_20240206225401   リヒテンシュタイン侯爵家の‘夏の離宮’(ウィーン郊外のロッサウ)

Img_0004_20240206225401   ルーベンスの‘二人の息子たち’(1626~27年)

2003年、観光旅行で訪れたウィーンは2度目だったので、途中ツアーか
ら離れお目あてのフンデルトヴァッサーの美術館、‘クンストハウスウィーン’
や有名な建築家オットー・ワグナーの‘カールス・プラッツ駅舎’と‘マヨリカ・
ハウス’などを楽しんだ。タクシーで近くまで行きあとは歩いたのだが、すぐ
見つからなくて結構歩いたような記憶がある。

文化都市ウィーンに大変魅了されている。だから、もう一回は行きたいと思
う。出かけたいところは決まっており、まずは仕上げのウィーン美術
史美。入館したら突進したい作品がある。それは‘彫刻のモナ・リザ’と言われ
ているチェッリーニ(1500~1571)の‘フランソワ1世の塩入れ’
(時価約70億円以上)。この金細工の傑作は2003年の5月に美術館か
ら盗まれたが、3年後の2006年に発見され無事美術館に戻った。でかけ
たのは盗難のあった年の8月だったので、残念ながらみれなかった。このリカバリーをなんとしても実現したい。

ウィーンに行くならクリムトとシーレの絵が展示してある美術館をいろいろ
まわりたい。ベルベデーレ宮だけでなくレオポルト美と‘ストクレー・フリー
ズの下絵’(‘生命の樹’や‘期待など7点’)がみれるオーストリア応用美術博物
館へ是非寄ってみたい。‘ストクレー・フリーズ‘の本物がある‘ストクレー邸’
(ブリュッセル)には入れないから、応用美博では楽しい鑑賞機会になりそう。

過去のウィーンでは頭になかったのがリヒテンシュタイン侯爵家の美術コレクション。2012年国立新美で開催された‘リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝’により、ルーベンス(1577~1640)の傑作‘デキウス・ムス’の連作にお目にかかることができた。その絵画などのすばらしいコレクションの全貌はウィーン郊外のロッサウにある‘夏の離宮’へでかけると楽しめることがわかった。昔から知っているルーベンスの‘二人の息子たち’に会えるとは以前なら思ってもみなかった。‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’は運よく日本でみれたので、この絵にも遭遇したい。

| | コメント (0)

2024.02.05

お気に入り雪の絵!

Img_0001_20240205230201
   ブリューゲルの‘雪中の狩人’(1565年 ウィーン美術史美)

Img_20240205230201
   モネの‘かささぎ’(1869年 オルセー美)

Img_0003_20240205230201
   ムンクの‘冬の夜’(1900年 チューリヒ美)

Img_0004_20240205230201
   セガンティ―ニの‘悪しき母たち’(1894年 オーストリア美)

Img_0002_20240205230201
   ワイエスの‘三日月’(1987年)

2年ぶりの大雪。明日は外に出るのは止めにしたい。雪だるまをつくるのが
楽しかった小さい頃とちがって、雪が降った後の雪かきや凍って滑りやすく
なった歩道にひそむ危険のことを思うと気が重くなる。以前、海外旅行で
一緒になった北海道出身のご夫婦から雪の積もり具合や温度のことを教えて
もらったが、想像以上の厳しさだった。

雪の光景を描いた絵ですぐ思いつく絵が2点ある。ブリューゲルの‘雪中の
狩人’とモネの‘かささぎ’。ウィーン美術史美にでかけるとブリューゲルがた
くさんみれるが、残念ながら日本にはこれまで1点も披露されたことがない。
もし‘雪中の狩人’が出品されたら‘大事件’として話題になるだろう。でも、
国内の美術館は貸し出しをはなから諦めアプロ―チしない?ブリュージュの
美術館では1点みたのだが、ヨーロッパならOK?

モネの‘かささぎ’で驚くのは画面全体が発光体のように白く輝いていること。
雪の積もった光景がこれほど美しく感じられる絵はそうはない。2018年
に念願の北欧旅行をしノルウエーでは氷河をみた。この体験は一生の思い出
だからムンクの‘冬の夜’には前とは異なる感情移入がおこる。

ウィーンのベルベデーレ宮オーストリア美でクリムトやシーレ以外でとても
惹きこまれる絵に遭遇した。それはセガンティ―ニの‘悪しき母たち’。あの
‘アルプスの真昼’を描いた画家がこんな神秘的な作品をてがけていたとは。
そして、ワイエスの‘三日月’では軒先のつららが目に焼き付いている。

| | コメント (0)

2023.12.28

マリー・ローランサン ベスト5!

Img_0004_20231228223801
  ‘グールゴー男爵夫人の肖像’(1923年頃 ポンピドゥー)

Img_0003_20231228223801
  ‘マドモアゼル・シャネルの肖像’(1923年 オランジュリー美)

Img_0005_20231228223801
  ‘帽子をかぶった自画像’(1927年頃 マリー・ローランサン美)

Img_20231228223801
  ‘少女と小鳥’(1937年 大谷コレクション)

Img_0002_20231228223801
  ‘花束をもつ婦人’(1942年 ひろしま美)

画家との距離が一気に縮まるのが作品が数多くみられる回顧展との出会い。
今年はマリー・ローランサン(1883~1956)の当たり年で、
Bunkamuraとアーティゾン美で2回も体験した。おかげでMyマリー・
ローランサンベスト5!がほぼ固まった。作品の好みは相対的なものだが、
鑑賞した作品の数が増えてくるといろいろ比較できるのでいい絵は自然と
浮かび上がってくる。

特筆すべきはベスト1の絵が変わったこと。これまではローランサンとい
うとすぐ思い浮かんだのはパリのオランジュリーでお目にかかった‘マドモ
アゼル・シャネルの肖像’だった。でも、ポンピドゥーにある‘黒いマンテラ
をかぶったグールゴー男爵夫人の肖像’をみてしまうと、もうこちらに夢中
になってしまう。徽宗の‘猫図’とともに忘れられない肖像画になった。

ココ・シャネルの肖像画にはおもしろい話がある。シャネルは出来栄えが
気に入らなかったので描き直しを要求したが、パリっ子のローランサンも
譲歩しなかった。そのためシャネルは絵を受け取らなかった。ローランサ
ンは後にこのように語っている。‘シャネルはいい娘だが、オーヴェルニュ
の田舎娘よ。あんな田舎娘に折れてやろうとは思わなかった。’

日本のマリー・ローランサン美が所蔵する‘帽子をかぶった自画像’は
2010年川村記念美で一度みたのだが、そのときはそれほど惹かれなか
った。ところが、アーティゾン美で再会した瞬間、見惚れてしまった。
春Bunkamuraでローランサンの世界に酔っていたから、感じ方が変わった
のかもしれない。日本の美術館には魅了される絵が多くある。たとえば、
大谷コレクション(今もある?)、アーティゾン美、山形美、松岡美、
ひろしま美、中之島美。そのなかでお気に入りは‘少女と小鳥’と
‘花束をもつ婦人’。

| | コメント (0)

2023.12.09

西洋の馬図ベスト10! その二

Img_20231209230001   スタッブスの‘ウィッスルジャケット’(1762年頃 ナショナルギャラリー)

Img_0002_20231209230001   クレインの‘ネプチューンの馬’(1892年 ノイエ・ピナコテーク)

Img_0001_20231209230001   セガンティー二の‘ギャロップで走る馬’(1886~87年 ミラノ市近美)

Img_0003_20231209230001   ゴーギャンの‘白い馬’(1898年 オルセー美)

Img_0004_20231209230101   マルクの‘青い馬Ⅰ’(1911年 レンバッハハウス)

イギリスの画家の絵はロンドンのナショナルギャラリーとテートブリテンへ
足を運ぶとその画風のイメージができてくる。テートのほうはターナー、
コンスタブル、ブレイク、ラファエロ前派らをたっぷり楽しめるが、ナシ
ョナルギャラリーではゲインズバラ、レノルズ、スタッブスたちの絵に目が
慣れてくる。なかでも強く印象に残るのがスタッブス(1724~1806)
が描いた18世紀有名な競走馬ウィッスルジャケットの肖像画。無地の背景
によく知る騎馬像の彫刻のイメージが重なり、馬の気高さが立体的に伝わって
くる。

リヴァプール出身のクレイン(1845~1915)の‘ネプチューンの馬’は
神話画のなかでも衝撃度の大きい作品。海神ネプチューンは専用の凱旋車を
引く海馬ヒッポカンポスを巧みに操り疾走している。目が点になるのが逆ま
く波頭が白馬に変容するところ。シュルレアリスム絵画を連想させるダブル
イメージのアイデアがおもしろい。ダリがこれをみたら裸足で逃げるにちが
いない。

セガンティーニ(1858~1899)の‘ギャロップで走る馬’も目に強烈
の焼きつく。ボリューム感のある馬が今にも額縁から飛び出し駆けて行きそ
う。この空中を力強く走る躍動感、動物画としてはトップランクに位置する
作品である。すばらしい!ドガやマネの競馬の絵に惹かれるが、迫力ではこ
の絵にかなわない。

タヒチで現地の人たちを色彩豊かに描いたゴーギャン(1848~1903)にもいい馬の絵がある。‘白い馬’はどこか神話的な世界を感じさせる作品で画面の中央に白馬が前足を開け首を大きく曲げて水を飲んでいる。ぱっとみると平板的な表現だが、手前に大きな花を描き視線がだんだん奥にむかうように空間構成している。色彩の力がとても強く、馬が自然の生命力を象徴するものとして描かれたマルク(1880~1916)の‘青の馬Ⅰ’に大変惹かれている。

| | コメント (0)

2023.12.08

西洋の馬図ベスト10! その一

Img_20231208223001   ティツィアーノの‘カール5世騎馬像’(1548年 プラド美)

Img_0001 ベラスケスの‘皇太子バルタサール・カルロス騎馬像’(1634~35年 プラド美)

Img_0004_20231208223001 カラヴァッジョの‘聖パウロの改宗’(1601年 サンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂)

Img_0003  ダヴィッドの‘サン・ベルナール峠のナポレオン’(1801年 マルメゾン宮殿)

Img_0002    ジェリコーの‘競馬’(1821年 ルーヴル美)

西洋の騎馬像というとすぐイメージするのは彫刻作品。強く胸に刻まれ
ているのはローマのカンピドリオにある‘マルクス・アウレリウスの騎馬像’。
この形が絵画でも意識されティツィアーノ(1485~1576)はこの
彫刻をベースにしてカール5世の見事な騎馬像を描いた。皇帝は実際の戦闘
用の甲冑を身に着け愛馬にまたがり堂々とした雄姿をみせている。

ベラスケス(1599~1660)がのちの国王となるバルタサール・カル
ロス皇太子のために描いた騎馬像に魅了され続けている。視線はなかなか
可愛い皇太子にむかうが、同時に前脚を曲げて跳び上がる姿勢をとっている
馬にも長くとどまる。何年か前、日本にやって来たときベラスケスの皇太子
の未来を祝福するかのようなこの憎い演出を感心しながらみていた。

カラヴァッジョ狂にとって、ローマの聖堂めぐりはMUSTのイベント。運よく
サンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂を訪問し‘聖パウロの改宗’と‘聖ペテロの
磔刑’にお目にかかった。どちらも見慣れているこの画題の宗教画とはだいぶ
異なる。とくに仰天したのは馬が画面全体を占めている‘聖パウロの改宗’。光
のあたる馬の尻がリアルに迫ってきて、地面に横たわり手を大きくひろげて
いる聖パウロの存在感が薄れてしまうほどだった。

ナポレオンと強く結びついているダヴィッド(1748~1825)の‘サン
・ベルナール峠のナポレオン’は忘れられない絵。この絵はフィクションで
ナポレオンがイタリアに向かう途中のアルプス越えで実際に乗ったのはラバ
だったが、ラバではナポレオンの偉大さを示せない。それをダヴィッドは
完璧に承知し、荒馬にまたがったナポレオンとして描いた。
ジェリコー(1791~1824)も馬の名手で、幼少のころから馬に魅せ
られてきた。イギリスのエプソンで開催されるダービーを見に行き、ギャロ
ップする馬の姿を見事にとらえている。

| | コメント (0)

2023.11.20

農民画ベスト5!

Img_0003_20231120225901    ブリューゲルの‘干し草の収穫’(1565年頃 プラハ国立美)

Img_0001_20231120225901    ルーベンスの‘虹のある風景’(1636年 ウォレスコレクションン)

Img_0004_20231120225901    プッサンの‘夏’(1660~64年 ルーヴル美)

Img_0002_20231120225901    ミレーの‘晩鐘’(1857~59年 オルセー美)

Img_20231120225901    ゴッホの‘収穫’(1888年 ゴッホ美)

美術館で開かれる展覧会に足を運ぶ回数が多くなると、そのなかには後から
振り返ってみて日本で目にかかれたことがとてつもなく有難い展示だったな
と思うものがある。たとえば、1990年、はじめて日本で公開された
ブリューゲル(1525~1569)の油彩画‘干し草の収穫’。中央に描かれた仕事を終えて家に帰る3人の農婦たちの姿に大変魅了された。この絵をみて以降、ブリューゲルの農民画をウイーンの美術史美術館などでみる機会があったが、風景の描き方や人物描写の点でいい気分にさせてくれる絵ならこれが一番のポジションを長くキープしている。

ブリューゲルを敬愛していたルーベンス(1577~1640)の‘虹のある
風景’は‘干し草の収穫’に刺激されて描いたことは間違いない。ルーベンスの
スゴイところはこちらに向かってくる女たちや牛の背景に見事な虹を描いた
こと。虹がかかることで一層美しさをました広々とした自然が農村の生き
生きした光景をつつみこむ情景が心をとらえて離さない。ルーベンスのやさ
しい画風にほとほと感服させられる。

プッサン(1594~1665)の‘夏 別称「ルツとボアズ」’は題材から
すると宗教画になるが、農村で汗をかく人々の光景をこれほど実感させてく
れると宗教くささが消え画面のなかにすっと入っていける農民画になる。
2008年、メトロポリタン美で偶然遭遇した大プッサン展は一生の思い出
である。時間をつくって手に入れた英語版の図録をじっくり読むことにして
いる。

西洋絵画の名画セレクションに必ず入る絵としてすぐ思い浮ぶのがミレー(1814~1875)の‘晩鐘’。農民画として最初に記憶されるのがこの絵かもしれない。日本には山梨県美に‘種をまく人’があるから、ミレーとの相性がとてもいい。なかでも真摯に生きる農民の姿が胸に深く刻まれる‘晩鐘’は特別な農民画というイメージを持ちづつけている。ミレーに憧れたゴッホ(1853~1890)の‘収穫’をアムステルダムのゴッホ美で遭遇したときは立ち尽くしてみていた。この絵はまだ日本にやって来てない。次回ゴッホ美蔵の名画展があったら期待したい。

| | コメント (2)

2023.10.29

圧倒的な存在感をみせる老女ベスト5!

Img_0001_20231029222601
   ジョルジョーネの‘老女’(1508~10年 アカデミア美)

Img_0002_20231029222601
 カラヴァッジョの‘ユデイトとホロフェルネス’(1599年頃 バルベリーニ国立古代美)

Img_20231029222601
   ラ・トゥールの‘女占い師’(1630年代 メトロポリタン美)

Img_0003_20231029222601
   ラ・トゥールの‘楽士たちのいさかい’(1625~30年 ポール・ゲッテイ美)

Img_0004_20231029222601
  マースの‘レースを編む老女’(1655年頃 マウリッツハイス美)

海外の美術館を本格的にまわりだしたとき、いつも必見作品のリストを事
前につくっていた。時間が限られているのでお目当ての名画を絞り館内を
走るようにみてまわった。ヴェネツィアにあるアカデミア美ではジョルジ
ョーネ(1476~1510)の‘嵐’との出会いが一番の楽しみだった。
長年の思いの丈を叶えるとすこし緊張がほぐれる。でも、横に飾ってあっ
た鋭いリアリズムで描かれた‘老女’に目が点になり、テンションがまた上が
った。モデルは画家の母といわれているが、16世紀の初頭に老女と今
対面しているような感じになる絵があったとは!

この絵をカラヴァッジョ(1571~1610)はヴェネツィアへ行った
とき、みたのかもしれない。それを思わせる絵がローマのバルベリーニ
宮殿にある。暴力性がMAXにでた‘ユディトとホロフェルネス’の右に描かれ
ている従者の老女との関連性をつい想像してしまうのである。ホロフェル
ネスの首をユディトがありったけの勇気を振りしぼり、のこぎりで引きよ
う切っているのを表情を変えず凝視している。スゴイ絵をみてしまった。

昨年、メトロポリタンから名画がどどっとやって来たが、圧巻だったのは
ラ・トゥール(1593~1652)の‘女占い師’とカラヴァッジョの‘音
楽家たち’が並んで展示されたこと。METで二つの絵を一緒にみたのは5回
でかけて1回しか経験してないので、エポック的な鑑賞になった。長くみ
ていたのは‘女占い師’のほう。一番右端のしわくちゃだらけの顔をした老婆
が占い師。がらがら声でぽんぽんしゃべり女性のような顔をした若い男の
注意を自分のほうに引こうとしている。そのため可哀そうにこの金持ちの
青年は女スリの手がポケットに入るのが気が付かない。ラ・トゥールには
もう一点忘れられない絵がある。2016年、プラドで開催された大回顧
展で運よくお目にかかった‘楽士たちのいさかい’。左端で夫のヴィエル弾き
がやっつけられているのを心配そうにみている老女の表情がじつにリアル。

オランダのニコラース・マース(1634~1693)の‘レースを編む
老女’にも魅了される。レース編みに精を出す老女が左からの明るい
光によって浮かび上がっている。マースの風俗画は気になるものが多いの
でマウリッツハイス美でこれをみれたのは大きな収穫だった。

| | コメント (0)

2023.10.27

コロー クールベ 風景画の傑作!

Img_0002_20231027224601
  コローの‘フォンテーヌブローの森’(1864年 ボストン美)

Img_20231027224601
  ‘モルトフォンテーヌの想い出’(1864年 ルーヴル美)

Img_0001_20231027224601
 ‘アルルーの風景、道沿いの小川’(1871~74年 ナショナルギャラリー)

Img_0004_20231027224601
  クールベの‘村の娘たち’(1851~52年 メトロポリタン美)

Img_0003_20231027224601
   ‘エトルタの断崖、嵐の後’(1870年 オルセー美)

Img_0005_20231027224601
   ‘シオン城’(1874年 ギュスターヴ・クールベ美)

絵画の一つのジャンルが真に楽しめるようになるには作品の数を多く積み重
ねる必要がある。たとえば、西洋で描かれた風景画についてオランダ、イギ
リス、フランス、イタリアの景色などいろいろ目に入ってくるとそのなかか
ら傑作が浮かび上がってくる。フランスでは印象派のモネ以前の風景画なら
コロー(1796~1875)とクールベ(1819~1877)に心を打
つ絵が多くある。

幸運なめぐりあわせにより、コローは2008年日本の西洋美、クールベは
2007年パリのクラン・パレでともに大規模な回顧展に遭遇した。二人と
もこの特別展をみるまでは画業のほんの一部をみただけなので、一気に
作風に開眼した。コローの作品がたくさん結集したなかでチラシに使われて
いたのが‘モルトフォンテーヌの想い出’。風景をいきいきとしているのはCM
制作の‘ABC理論’でいうとBのBeauty(美人)が描かれているから。そして、
AのAnimal(動物)の牛の姿が添えられているがボストン美蔵の‘フォンテー
ヌブローの森’。CのChild(子ども)は‘モルトフォンテーヌ’には女の子が、
‘アルルーの風景、道沿いの小川’では元気のいい男の子が登場する。

クールベの回顧展で気になっていた‘エトルタの断崖、嵐の後’に出会ったのは
生涯の喜びである。このノルマンディーの奇観をちょうどいい角度でとらえ
る表現力が本当にスゴイ。クールベの風景画家としての才能はまさに一級品。
メトロポリタンにある‘村の娘たち’でもABC理論のA、B、C全部がでてくる。
だから、窪地とごつごつした岩の塊はさらっとみて視線は娘たちと女の子、
犬、牛に向かう。

スイスに住んでいたから‘シオン城’には限りない愛着を覚える。2年前、パナ
ソニック汐留美で開催されたクールベ展にこのシオン城の別ヴァージョン2点
をみたが、やはり故郷にあるクールベ美蔵のものが一番いい。

| | コメント (0)

2023.10.26

オランダの‘笑い絵’ベスト5!

Img_20231026222301
   フェルメールの‘士官と笑う女’(1658~59年 フリックコレクション)

Img_0003_20231026222301
   ハルスの‘ジプシー女’(1628~30年 ルーヴル美)

Img_0001_20231026222301
   ホントホルストの‘ヴァイオリン弾き’(1626年 マウリッツハイス美)

Img_0004_20231026222301
   レンブラントの‘笑う自画像’(1662~64年 ヴァルラフ=リヒャルツ美)

Img_0002_20231026222301
   ヤン・ステーンの‘陽気な家族’(1668年 アムステルダム国立美)

風俗画というとまずブリューゲルとミレーの農民画を思い浮かべ、次にでて
くるのがオランダの画家によって描かれたもの。オランダの作品に目が慣れ
るとどの画家も何点か庶民の笑顔を描いていることに気づく。この‘笑い絵’
はハルス(1582/83~1666)や騒々しい家族図を得意とするヤン・
ステーン(1626~1679)の専売特許かと思いきや、そうでもなく
あの人気の画家、フェルメール(1632~1675)にも数点ある。NY
のフリックコレクションでみた‘士官と笑う女’に魅了され続けている。椅子
に座って士官と向き合っている美形の女性がみせるやさしい笑顔にメロメロ。

笑った瞬間の顔を生き生きと描いたハルスにルーヴルでガツーンとやられた
のが‘ジプシー女’。乱れた長い黒髪や大胆に広く開けられた襟元などからみ
てこの女は娼婦であることは間違いない。明るい表情で愛嬌のある笑いは
性格の良さが現れている感じ。いつも奔放に逞しく生きているのだろう。

カラヴァッジェスキの一人、ホントホルスト(1592~1656)の‘ヴァ
イオリン弾き’にお目にかかったのは2012年に開催された‘マウリッツハ
イス美展’(東京都美)。ハーグではみていないので思わず足がとまった。
こんな若さがはじける笑顔をみせる女性ヴァイオリン弾きをモデルにしてい
たとは。これで知っている有名なオランダ人画家は皆オランダ流’笑い絵’を
制作していたことを確認した。

レンブラント(1606~1669)の‘笑う自画像’をみたのは2002年
に京博で行われた‘大レンブラント展’。日本でこれほど充実したレンブラン
トの回顧展が実現したことは信じられなかった。ケルンの美術館から出品さ
れた晩年の自画像は老人の笑う姿だった。レンブラントがすごく人のいい
老人にみえた。今、この絵をみるとレンブラントに強く感情移入してしまう。
ステーンの‘陽気な家族’はタイトルそのままで老いも若きも笑い、飲み、歌い、
楽しくやっている。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

Anytime アート・パラダイス! やまと絵 アメリカ絵画 アートに乾杯! アール・デコ アール・ヌーヴォー イギリス絵画 ウィーン世紀末 エコール・ド・パリ オペラ オリンピック キュビスム ギリシャ・ローマ史 クラシック音楽 サッカー シュルレアリスム ジャズ スペイン絵画 スポーツ ズームアップ 名画の響き合い! ダダ テニス ナビ派 ニュース バルビゾン派 バロック ファッション フォーヴィスム マニエリスム マラソン ミュージカル ミューズにとどけ追っかけ絵画! ミューズに願いを! ラファエロ前派 ルネサンス ロココ絵画 ロマン派 中国絵画 仏画 個人コレクション 夢の傑作選! 円山四条派 写実派 北方絵画 印象派 古代遺跡 夢の‘日本美術里帰り展’! 夢の展覧会 奇想派 学問・資格 工芸 建築 抽象絵画 文人画 文化・芸術 新古典派 旅行・地域 日本の歌 日本の歴史 日本の洋画 日本の美術館 日本の美! 日本映画 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 未来派 東洋・日本彫刻 民画 水墨画 洋風画 浮世絵 海外の美術館 海外の音楽 海外映画 満足のキメ手はリファレンス作品! 狩野派 現代アート 琳派 癒しのアートにつつまれて! 相撲 素朴派 絵巻 美術で‘最高の瞬間’! 美術に魅せられて! 美術館に乾杯! 芸能・アイドル 行動経済学 街角ウォッチング 表現主義 西洋彫刻 西洋画・日本画比較シリーズ 象徴派 近代日本画(古典・歴史画) 近代日本画(女性画) 近代日本画(花鳥画) 近代日本画(風景画) 近代日本美術の煌き! 近代西洋絵画 野球 陶磁器 音楽が誘う絵画の世界! 風俗画 食べ物