2019.08.24

ギャルリーためながの‘ベルナール・ビュッフェ展’!

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    ‘青いバックの静物’

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     ‘暫’

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   ‘サンジェルマン・ロクセロワ教会’

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     ‘サクレクール’

今月のはじめころ新聞の広告欄に載った銀座のギャルリーためながで行なわ
れている‘ベルナール・ビュッフェ展’(7/10~8/31)が目にとまった。
これまでビュッフェ(1928~1999)の個展は何度か足を運んだ。
その最後が2010年目黒区美であったもの。久しぶりなので銀座に寄り道
することにした。

とはいえ、ギャルリーためなががどこにあるのか知らない。案内には地下鉄
銀座線の銀座駅のB9出口から数分で着くとあるが、これでは右に行けばい
いのか左にいけばいいのかわからないので日動画廊の人に教えてもらった。
旧ソニービルの前の歩道を新橋に向かって進み二つ目の交差点を左に曲がる
とすぐみつかった。

このギャラリーの名前を覚えたのは目黒区美に出品された2点の大きな絵に
遭遇したから。日本でみられるビュッフェはてっきり静岡県の長泉町にある
ビュッフェ美に集中していると思っていた。ところが、ほかのコレクターも
こんないいビュッフェの作品を所蔵していることがわかった。コレクターの
世界は広い。最近では5月東京都庭園美でみたキスリング展にためながから
6点出品されていた。これまたビックリ。一体このコレクターは西洋絵画
をどれくらいもっているのだろうか。

今回のビュッフェ展はギャルリーためながの開廊50周年を記念するもの
(無料)。全部で40点くらいでている。以前見た‘サーカス’と‘赤い鳥’と
再会するかなと期待したが、それはなくはじめてお目にかかるものばかりだ
った。ビュッフェというとすぐイメージするのが‘青いバックの静物’のよう
な手前に滑り落ちてきそうなテーブルや不安定に傾いた部屋の板の床。

人物画は愛する妻アナベルの肖像がとてもいい。また、ルオーと同様、サー
カスの芸人やピエロにもつい感情移入してしまう。サプライズの絵は浮世絵
風の隈取した歌舞伎役者。上手い!日本には7回も来ているから日本の伝統
文化に愛着があるのかもしれない。

ビュッフェの絵のなかでもっとも魅了されているのは風景画。描かれたフラ
ンスの名所やヨーロッパ各地の人気のスポットなどをながめていると過去の
楽しい思い出がわきあがってくる。安心してみられる風景画は一服の清涼剤
みたいなもの。‘サンジェルマン・ロクセロワ教会’とお馴染みの‘サクレクー
ル’は大きな収穫。これからこの画廊とは縁がありそう。

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2019.07.21

仏像の楽しみ‘奈良大和四寺のみほとけ’!

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Img_0002_20190721215601   国宝‘十一面観音菩薩立像’(平安時代・9~10世紀 室生寺)

 

Img_0001_20190721215601   国宝‘釈迦如来坐像’(平安時代・9世紀 室生寺)

 

Img_0003_20190721215601   国宝‘義淵僧正坐像’(奈良時代・8世紀 岡寺)

 

Img_0004_20190721215701   ‘赤精童子立像’(重文 室町時代・1537年 長谷寺)

 

国宝の追っかけは2年前なかなか縁がなかった大徳寺の‘曜変天目茶碗’がみ
れたので今は‘済みマーク’モードに入っている。だが、これは絵画とかやき
もの、工芸に限った話。仏像彫刻についてはなんとかお目にかかりたいもの
が5,6点残っている。それを1点ずつみていく段取りをそろそろ具体的に
しなくてはいけないころ。

その計画を後押しするような展覧会が今、東博で開催されている。‘奈良
大和四寺のみほとけ’(6/18~9/23)。これは通常の観覧料620円を
払えばみることができるので最近例をみないお得な特別展。本館入ってすぐ
右の部屋に奈良の四寺から集結したすばらしい仏像が並んでいる。国宝の
‘十一面観音菩薩立像’、‘釈迦如来坐像’(ともに室生寺)、そして‘義淵僧正
坐像’(岡寺)はすでにみているが、再会して国宝クラスの仏像をみる楽しみ
がまたふつふつと沸いてきた。

とくに室生寺の‘十一面観音菩薩立像’のふっくらとした頬に大変魅了された。
現地へ出かけたときは一緒に並んでいる2mをこえる高さの‘薬師如来立像’
の磁力が強すぎてひとまわり小さい‘十一面観音’のほうはさらっとみた記憶
がある。だから、こうしてこの観音様をじっくりみれたのは幸運なめぐり
合わせ。

リアルな顔の表現をじっとみてしまう‘義淵僧正坐像’は過去2,3回岡寺で
はなく展覧会で対面したことがある。本人と向き合っているような感じにな
るので、どこの寺にある像かはどうでもよくなる。あらためて岡寺だという
ことに気がついた。

室生寺同様、長谷寺にも行ったが、このきりっとした大きな目が印象的な
‘赤精童子立像’はまったく覚えていない。これは大きな収穫だった。本尊の
‘十一面観音菩薩立像’があまりに巨大なため(10m以上)、そのイメージ
が長谷寺になっている。ここはもう一度出かけたい。

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2019.07.20

三国志はおもしろい!

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   ‘関羽像’(明時代・15~16世紀)

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   ‘銅鼓’(三国~南北朝時代・3~6世紀)

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  ‘罐’(後漢~三国時代・3世紀)

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   ‘虎形棺座’(三国時代・3世紀)

中国美術で関心を寄せている一番のものは青磁とか青銅製の大きなもの。
今東博で行われている‘三国志展’(7/9~9/16)にそれらがどのくらい
期待できるか見当がつかなかったが、入館してみると結構楽しめた。
そして、驚いたのはまわりに中国人観光客が大勢いたこと。彼らにとっ
ても三国志の話はおもしろいのかもしれない。

青銅でつくられた‘関羽像’はすばらしい出来映え。三国志物語に登場する蜀
の豪傑のなかで関羽は頼れる兄貴という存在。高校生のとき夢中になって読
んだ吉川英治の‘三国志’で関羽の武勇伝のくだりがでてくるたびにその強さ
に感嘆。関羽のイメージとぴったり合う像だった。

大きな青銅の鼓に思わず足がとまった。鼓の縁のまわりに蛙、騎馬人物像、
鳥がいるが、もっともインパクトがあるのが大きな蛙。全部で4匹。蛙は
特別の意味があるのだろうか。これは大きな収穫、やはり細工のいい青銅製
のものは魅了される。

今回のお目当てはじつは曹操の高陵から出土した白磁の‘罐’。これをみるた
めに出動したといっていい。見飽きさせない丸みのある形が心を揺すぶる。
こんないい白磁が曹操の墓にあったというのはサプライズ。大好きな三国志
と白磁がセットでお目にかかれるのだからいうことなし。

最後の展示室にとても興味を惹くものがあった。呉の墓におかれた‘虎形棺座’、
直方体の石材の両端に虎の顔と足が彫られている。顔の正面に立つと大きく
あけた口のなかには舌までしっかり表現されている。はじめてみる刺激的な
造形に遭遇するのは楽しい。長くみていた。  

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2019.07.19

大盛況の‘松方コレクション展’!

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  モネの‘睡蓮、柳の反映’(1916年) 6月NHKスペシャルより

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   ミレーの‘春(ダフニスとクロエ)’(1865年)

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    ミレイの‘あひるの子’(1889年)

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   ムンクの‘雪の中の労働者たち’(1910年)

上野の西洋美で行われている‘松方コレクション展’(6/11~9/23)を
みてきた。期待の絵は先月のNHKスペシャルでとりあげていたモネ
(1840~1926)の‘睡蓮、柳の反映’。チラシに2016年ルーヴ
ルで発見された幻の睡蓮が1年かけて修復され公開されるとあったので
関心をよせていたが、NHKはその修復をずっと追っかけていた。大変な
修復だったことが番組でわかったので目に力が入る。

上半分が欠けているが全体の大きさはオランジュリー美にある連作‘睡蓮’
(縦2m、横4m)と同じなので、連作のなかぶ入っていてもおかしくな
かった作品という話はすぐ納得する。展示室に入る前のコーナーで上半
分をデジタル推定復元した画像が大きく映しだされていた。AIにディー
プラーニングさせて描いたこの睡蓮をみているとたしかにオランジュリー
にいるような気になってくる。西洋美開館60周年を記念する展覧会に
相応しい大PJをみごとにやりとげた。拍手!

今回はこの絵1点買いなのでほかはさらっとみてひきあげた。これまで
西洋美に何度も通ったのでどの絵の前で足がとまるかはだいたい決まって
いる。大作で目を惹くのがミレー(1814~1875)の‘春(ダフニス
とクロエ)’とムンク(1829~1890)の‘雪の中の労働者たち’。
そして、ラファエロ前派のミレイ(1829~1896)の‘あひるの子
ども’はお気に入りの一枚。その横のロセッティの‘愛の杯’も見逃せない。

また、セガンティー二の‘羊の毛刈り’もいい感じ。初見で魅了されたドー
ビニーの‘ヴィレールヴィルの海岸、日没’は三井住友銀行の所蔵、ここに
も松方コレクションのひとつがおさまっていた。ドキッとしたのがスーチ
ンの赤い服を着たボーイが目に焼きつく‘ページボーイ’、現在ポンピドー
にあるこの絵もコレクションだったとは。

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2019.07.03

2019年後半展覧会プレビュー!

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今年後半に開催される展覧会のなかで出かける予定のものをピックアップ
した。
★西洋美術
松方コレクション展 6/11~9/23  西洋美
ポルタンスキー展  6/12~9/2   国立新美
コートールド美展  9/10~12/15 東京都美
バスキア展     9/21~11/17 森アーツセンター
ゴッホ展     10/11~1/13  上野の森美
カラヴァッジョ展 12/26~2/16  あべのハルカス美
★日本美術
唐三彩展      6/22~8/25  出光美
三国志展      7/9~9/16   東博
岸田劉生展     8/31~10/20 東京駅美
美濃の茶陶     9/4~11/10  サントリー美
高麗茶碗      9/14~12/1  三井記念美
佐竹本歌仙絵   10/12~11/24 京博
正倉院展     10/14~11/24 東博
大浮世絵展    11/19~1/19  江戸東博

(注目の展覧会)
大宴会でも少人数の飲み会でも美術好きがいると必ず話題にしているのが秋
に東京都美で開かれる‘コートールド美展’。ロンドンのコートールド美は超
一級の印象派作品を所蔵していることで有名。日本でコレクションが公開さ
れるのは22年ぶり。マネの最晩年に傑作‘フォリー=ベルジェールのバー’
をはじめ傑作がずらずらと揃っている。本当に楽しみ!

日本美術では京博に大結集する‘佐竹本三十六歌仙絵’が最大の関心事。これ
までみたものにどれだけ上積みでき三十六に近づけるか。京博のことだから
期待できそう。また、新天皇即位を祝って開催される‘正倉院’ではお宝中の
お宝が出品される。


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2019.05.12

東博の‘美を紡ぐ 日本美術の名品’!

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Img_0001_53      長澤芦雪の‘花鳥遊魚図巻’(18世紀 文化庁)

 

Img_0003_46      円山応挙の‘牡丹孔雀図’(1776年 三の丸尚蔵館)

 

Img_0002_49      与謝蕪村の‘新緑杜鵑図’(重文 18世紀 文化庁)

 

Img_0004_23      宮川香山の‘黄釉銹絵梅樹図大瓶’(重文 1892年 東博)

昨日は午前中、東博へ出かけた。お目当ての展覧会は平成館でやっている
‘東寺展’ではなくて本館の1階と2階を使って行われている‘美を紡ぐ 日本
美術の名品’(5/3~6/2)。じつは当初これは鑑賞の予定に入ってなか
ったが、チラシに載っているある絵が行動を変えさせた。それは長澤芦雪
(1754~1799)の‘花鳥遊魚図巻’。

これまで芦雪の回顧展は2度体験したがこの文化庁が所蔵する図巻は出品さ
れなかったし、手元の芦雪本にも載っていない。だから、気になってしょ
うがなかった。こういうときは1点買いでも足を運ぶというのはMy鑑賞ス
タイル。過去、芦雪の描いた図巻で心を奪われた千葉市美蔵の‘花鳥蟲獣
図巻’は長さ3.7m、これに対し‘花鳥遊魚図巻’は3倍の11.1m。その
ため、夢中になってみてしまう。お得意の雀からはじまり仔犬、啄木鳥、
そして馬鹿デカい鯉、そのあとはたくさんの小さな魚がつづき、最後はナマ
ズ。本当にいいものをみた。

こんほかは多くがすでにみたものなので、スイスイと4つの部屋を回った。
どれも名品だが、つい足がとまったのが円山応挙(1733~1795)の
‘牡丹孔雀図’や与謝蕪村(1716~1783)の‘新緑杜鵑図’。久しぶりに
みたが、昨年白内障を手術して視力がぐんとアップしたので薄みどりや濃い
青がすごく鮮やかにみえる。手術のお陰で展覧会鑑賞が以前にも増して楽し
くなった。

今回嬉しい展示があった。それは宮川香山(1842~1916)の‘黄釉
銹絵梅樹図大瓶’。これは香山の後期の代表作で重文に指定されている。
これまで何度もお目にかかっているのに、この美しい形をした大瓶の絵葉
書がミュージアムショップにない。そのため、鑑賞の余韻を形で味わえなかっ
た。だが、これからは図録があるため作品の印象をリフレインできる。

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2019.05.02

池大雅の‘富士十二景図’!

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   池大雅の‘富士十二景図 九月緑陰雑紅’(18世紀)

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      ‘富士十二景図 五月田植え’(18世紀)

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     黒田清輝の‘婦人像(厨房)’(1892年)

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     中村岳陵の‘仏誕’(1912年)

長らくご無沙汰していた‘藝大コレクション展’(第1期4/6~5/6)
を滑り込みセーフでみてきた。どうしても連休中に行く必要があったのは、
これもみどりがめさんからの情報で池大雅(1723~1776)の‘富士
十二景図’が12幅全部展示(1期のみ)されているため。

じつはこの絵は昨年春、京博で開催された池大雅展でみたが、‘九月’が欠け
飾られていたのは11幅。その行方不明だった‘九月’がその後偶然発見され
て藝大コレクションに加わった。芸大はこれで12幅のうち8幅所蔵。で、
滴翠美蔵の4点にもきてもらい嬉しい全点展示となった。

‘九月 緑陰雑紅’は修復されたためほかの月にみられる雨だれを思わせるに
じみが消えている。そのため、下の鮮やかな紅葉の印象を強く残しながら
だんだんと視線を上にあげていき雄大な富士山にいたるという構図にうっ
とりしてしまう。大雅らしいすばらしい風景画。ちなみに‘五月’は田植えの
光景、ここでも北斎の蛤同様、田植えをする農夫たちの衣服が白の胡粉を
使って描かれている。

このコレクション展は1期(4/6~5/6)と2期(5/14~6/16)で
作品が全部入れ替わる。その出品作の概要が記された小冊子(無料)をみ
ると、2期には松岡映丘の‘伊香保の沼’や山口蓬春の‘市場’などが登場するよ
うだ。そして1期にでている洋画などは通期展示なので2期でもみられる。

池大雅に心を奪われたあとほかの絵もぐるっとみたが、ぐっときたのは
最初に飾ってある黒田清輝(1866~1924)の‘婦人像(厨房)’、い
つも感心させられるのは本場フランスの画家にも決して負けてない筆使い。
名前を隠してヨーロッパ人にみせたら皆フランス人の作品だというにちがい
ない。東博にある‘読書’とともに一級の油絵である。

中村岳陵(1890~1924)の‘仏誕’をみるのは2度目。これまでコレ
クション展でこの大作には遭遇しなかった。岳陵は若い頃、こうした仏教画
や源氏絵巻図風の絵を描いていた。その後、スッキリしたモダンな作品に
作風を変えていくが、才能がありすぎるのでなんでも描けてしまう。

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2019.02.25

‘奇想の系譜展’!

Img_0002     伊藤若冲の‘旭日鳳凰図’(1755年 三の丸尚蔵館)

Img_0001     狩野山雪の‘梅花遊禽図襖’(重文 1631年 京都・天球院)

Img_0003     長澤芦雪の‘花鳥図’(18世紀)

Img  鈴木其一の‘百鳥百獣図’(1843年 エドソン・コレクションン)

現在、東京都美で開かれている‘奇想の系譜展’(2/9~4/7)をみてきた。この日はまず上野へ行きそのあと六本木という段取りだったが、森アーツセンターの‘新・北斎展’の大盛況ぶりに較べると奇想展の熱気はだいぶ下回る。

伊藤若冲(1716~1800)を軸にして‘奇想の画家’が集結してるよ、と連呼したって、若冲にしろ長澤芦雪(1754~1799)にしろ贔屓の絵師の回顧展が開催されれば足を運んでいるのだから、それほど新鮮味はない。いまさら奇想派でもないだろういうのが率直な感想。奇想ボケした主催者には北斎展、暁斎展に足を運ぶ日本美術ファンの気持ちがわからないだろう。

何度見ても心を奪われるのが若冲の‘旭日鳳凰図’、‘動植綵絵’の画面のサイズよりひとまわり大きいため大女優のような風格をそなえた鳳凰が目に眩しく映る。おもしろいことに鳳凰は雄と雌のペアで描かれているのに視線がむかうのは尻尾を高くあげ体を大きくみせている雌ばかり。左にいる雄に気づかず隣へ移動しそう。

狩野山雪(1590~1651)の‘梅花遊禽図襖’は天球院でみたことがあるので思い入れが強い。こういう風に枝をやけっぱちに曲げる梅の木が実際にあるのか知らないが、山雪は強風などで折れた枝のイメージがありこの形を創作したのだろうか。京博であった山楽・山雪展に出品された‘龍虎図屏風’や‘四季耕作図屏風’とも再会できたのでいうことなし。ダイナミックにうねる波の描写は山雪と曾我蕭白(1730~1781)の強いつながりを伺わせる。

今回初見の作品で収穫だったのは芦雪の‘花鳥図’とアメリカから里帰りした鈴木其一(1796~1858)‘百鳥百獣図’。‘花鳥図’の上の鳥の描き方は師匠である応挙の‘薔薇文鳥図’を意識しており、下半分の錦鶏とお得意の雀と組み合わせてすばらしい花鳥図を仕上げた。芦雪には六曲一双の‘百鳥図’という傑作があるが、‘花鳥図’はこれと同じくらい魅了される。

東京都美にでかけたのはじつは其一の絵をみるためだった。チラシでみて気になってしょうがなかった。縦長の2枚の画面は鏡あわせになっていて、上の滝を落ちてきた水の流れのまわりに鳥と獣が所狭しと描かれている。注目は左下の白象。其一はどの象の絵をみたのだろうか。ひょっとしてほぼ同時代を生きた国芳の象?

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2019.02.24

‘河鍋暁斎 その手に描けぬものなし’!

Img  ‘地獄太夫と一休’(1871年以降 ゴールドマン・コレクション)

Img_0003     ‘司馬温公甕割図’(1881~89年 大英博)

Img_0002     ‘蛙の蛇退治’(1879年 大英博)

Img_0001 ‘鷹に追われる風神図’(1886年 ゴールドマン・コレクション)

浮世絵師で展覧会が開催される回数が群を抜いて多いのは北斎と国芳、その国芳に小さい頃弟子入りした河鍋暁斎(1831~1889年)にもスポットがあたっており、回顧展によくでくわす。サントリー美では今‘河鍋暁斎 その手に描けぬものなし’(2/6~3/31)が行われている。

2年前、Bunkamuraにイスラエルのゴールドマン・コレクションンがやって来て前のめりでみた。だから、サントリーはパスでもいいかなと思ったりするが、北斎と一緒でどうしても美術館に足が向かう。すでにみた作品が並ぶことはある程度想定できるので期待は暁斎のプラスαの出現。

暁斎の描く美人図には立ち姿が多いが、モデルとの組み合わせがギョッとする‘地獄太夫と一休’に最も魅せられている。地獄太夫は室町時代の遊女で一休に師事した。一休はさばけた人物で遊郭に遊びに行く。芸妓たちと楽しむ座を太夫がはずしこそっと様子をみると彼女たちは皆骸骨だった。ありゃら!

三味線を弾く骸骨の頭に乗りハイになって踊る一休の調子のよさ、この姿からは頓智の一休さんのイメージとは結びつかない。色鮮やかな打掛けを着てS字に体をまげる太夫とでれっとした一休と不気味な骸骨たちがはやし立てる様子がびっくりするほど前衛的。暁斎恐るべし!

初見の作品で収穫は子どもの描き方がとても上手い‘司馬温公甕割図’、これは甕に落ちた幼子を機転をきかせ胴を石で割り助けた司馬光の逸話。まわりの子は何もできずあたふたして動くまわるばかり。でも司馬光は冷静に対応する。たしかに賢そうな顔をしている。

こういうアイデアをよく思いつくなというのが‘蛙の蛇退治’、‘鳥獣戯画’を手本にしているが描かれている場面はドキッとする。蛙と天敵の蛇の関係を逆転させ、18匹の蛙が仕留めた蛇を2本の柱にくくりつけ綱がわりに使って曲芸をしている。

もう一点、興味深くみたのは‘鷹に追われる風神図’、不思議なのはなぜ風神が鷹に追われるのか?これをみてギリシャ神話にでてくる鷲に化けたゼウスにさらわれるガニュメデスの話を思い出した。

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2019.01.13

ビッグニュース! 来年‘ロンドン・ナショナル・ギャラリー展’

Img_0001     ロンドンのナショナル・ギャラリー

Img_0002     ゴッホの‘ひまわり’(1888年)

新春早々、ビッグな展覧会のニュースが飛び込んできた。来年、世界初となる‘ロンドン・ナショナル・ギャラリー展’が2つの美術館で開催される。
★3/3~6/14 西洋美
★7/7~10/8 国立国際美

ルーヴルでもプラドでも日本で何度も名品展が開かれているのに、ナショナル・ギャラリーだけは残念なことに一度もそのすばらしい絵画コレクションが公開されたことがない。これは日本に限ってということではなく、どこの国に対しても所蔵作品を貸し出さなかった。

その方針が変わったのは明らかだが、来年美術館の改築がありそれを機に新しい美術館運営に踏み出すことになったのだろうか。そして、はじめてのナショナル・ギャラリー展が日本で行われるというのだから嬉しい話。出品作は古典絵画を中心に60点くらいというが、特別枠扱いでゴッホの‘ひまわり’が含まれている。ほかの作品についても興味津々。目玉の作品は一体どの絵?

あのナショナル・ギャラリーの名画が日本にやって来る?にわかに信じられないが、本当なのである。ゴッホの‘ひまわり’は損保ジャパンにも飾ってあるが、これはご承知のようにナショナル・ギャラリーにある原画(1888年9月)をもとに1889年1月頃描かれたレプリカ。ひょっとして展覧会には2点が並ぶ?!折角の機会なのだからそのくらいの演出はあったほうがいい。

どの古典絵画がやって来るのか、大イベントに相応しいのはやはりダ・ヴィンチの‘岩窟の聖母’!期待したい。

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