2019.02.25

‘奇想の系譜展’!

Img_0002     伊藤若冲の‘旭日鳳凰図’(1755年 三の丸尚蔵館)

Img_0001     狩野山雪の‘梅花遊禽図襖’(重文 1631年 京都・天球院)

Img_0003     長澤芦雪の‘花鳥図’(18世紀)

Img  鈴木其一の‘百鳥百獣図’(1843年 エドソン・コレクションン)

現在、東京都美で開かれている‘奇想の系譜展’(2/9~4/7)をみてきた。この日はまず上野へ行きそのあと六本木という段取りだったが、森アーツセンターの‘新・北斎展’の大盛況ぶりに較べると奇想展の熱気はだいぶ下回る。

伊藤若冲(1716~1800)を軸にして‘奇想の画家’が集結してるよ、と連呼したって、若冲にしろ長澤芦雪(1754~1799)にしろ贔屓の絵師の回顧展が開催されれば足を運んでいるのだから、それほど新鮮味はない。いまさら奇想派でもないだろういうのが率直な感想。奇想ボケした主催者には北斎展、暁斎展に足を運ぶ日本美術ファンの気持ちがわからないだろう。

何度見ても心を奪われるのが若冲の‘旭日鳳凰図’、‘動植綵絵’の画面のサイズよりひとまわり大きいため大女優のような風格をそなえた鳳凰が目に眩しく映る。おもしろいことに鳳凰は雄と雌のペアで描かれているのに視線がむかうのは尻尾を高くあげ体を大きくみせている雌ばかり。左にいる雄に気づかず隣へ移動しそう。

狩野山雪(1590~1651)の‘梅花遊禽図襖’は天球院でみたことがあるので思い入れが強い。こういう風に枝をやけっぱちに曲げる梅の木が実際にあるのか知らないが、山雪は強風などで折れた枝のイメージがありこの形を創作したのだろうか。京博であった山楽・山雪展に出品された‘龍虎図屏風’や‘四季耕作図屏風’とも再会できたのでいうことなし。ダイナミックにうねる波の描写は山雪と曾我蕭白(1730~1781)の強いつながりを伺わせる。

今回初見の作品で収穫だったのは芦雪の‘花鳥図’とアメリカから里帰りした鈴木其一(1796~1858)‘百鳥百獣図’。‘花鳥図’の上の鳥の描き方は師匠である応挙の‘薔薇文鳥図’を意識しており、下半分の錦鶏とお得意の雀と組み合わせてすばらしい花鳥図を仕上げた。芦雪には六曲一双の‘百鳥図’という傑作があるが、‘花鳥図’はこれと同じくらい魅了される。

東京都美にでかけたのはじつは其一の絵をみるためだった。チラシでみて気になってしょうがなかった。縦長の2枚の画面は鏡あわせになっていて、上の滝を落ちてきた水の流れのまわりに鳥と獣が所狭しと描かれている。注目は左下の白象。其一はどの象の絵をみたのだろうか。ひょっとしてほぼ同時代を生きた国芳の象?

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2019.02.24

‘河鍋暁斎 その手に描けぬものなし’!

Img  ‘地獄太夫と一休’(1871年以降 ゴールドマン・コレクション)

Img_0003     ‘司馬温公甕割図’(1881~89年 大英博)

Img_0002     ‘蛙の蛇退治’(1879年 大英博)

Img_0001 ‘鷹に追われる風神図’(1886年 ゴールドマン・コレクション)

浮世絵師で展覧会が開催される回数が群を抜いて多いのは北斎と国芳、その国芳に小さい頃弟子入りした河鍋暁斎(1831~1889年)にもスポットがあたっており、回顧展によくでくわす。サントリー美では今‘河鍋暁斎 その手に描けぬものなし’(2/6~3/31)が行われている。

2年前、Bunkamuraにイスラエルのゴールドマン・コレクションンがやって来て前のめりでみた。だから、サントリーはパスでもいいかなと思ったりするが、北斎と一緒でどうしても美術館に足が向かう。すでにみた作品が並ぶことはある程度想定できるので期待は暁斎のプラスαの出現。

暁斎の描く美人図には立ち姿が多いが、モデルとの組み合わせがギョッとする‘地獄太夫と一休’に最も魅せられている。地獄太夫は室町時代の遊女で一休に師事した。一休はさばけた人物で遊郭に遊びに行く。芸妓たちと楽しむ座を太夫がはずしこそっと様子をみると彼女たちは皆骸骨だった。ありゃら!

三味線を弾く骸骨の頭に乗りハイになって踊る一休の調子のよさ、この姿からは頓智の一休さんのイメージとは結びつかない。色鮮やかな打掛けを着てS字に体をまげる太夫とでれっとした一休と不気味な骸骨たちがはやし立てる様子がびっくりするほど前衛的。暁斎恐るべし!

初見の作品で収穫は子どもの描き方がとても上手い‘司馬温公甕割図’、これは甕に落ちた幼子を機転をきかせ胴を石で割り助けた司馬光の逸話。まわりの子は何もできずあたふたして動くまわるばかり。でも司馬光は冷静に対応する。たしかに賢そうな顔をしている。

こういうアイデアをよく思いつくなというのが‘蛙の蛇退治’、‘鳥獣戯画’を手本にしているが描かれている場面はドキッとする。蛙と天敵の蛇の関係を逆転させ、18匹の蛙が仕留めた蛇を2本の柱にくくりつけ綱がわりに使って曲芸をしている。

もう一点、興味深くみたのは‘鷹に追われる風神図’、不思議なのはなぜ風神が鷹に追われるのか?これをみてギリシャ神話にでてくる鷲に化けたゼウスにさらわれるガニュメデスの話を思い出した。

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2019.01.13

ビッグニュース! 来年‘ロンドン・ナショナル・ギャラリー展’

Img_0001     ロンドンのナショナル・ギャラリー

Img_0002     ゴッホの‘ひまわり’(1888年)

新春早々、ビッグな展覧会のニュースが飛び込んできた。来年、世界初となる‘ロンドン・ナショナル・ギャラリー展’が2つの美術館で開催される。
★3/3~6/14 西洋美
★7/7~10/8 国立国際美

ルーヴルでもプラドでも日本で何度も名品展が開かれているのに、ナショナル・ギャラリーだけは残念なことに一度もそのすばらしい絵画コレクションが公開されたことがない。これは日本に限ってということではなく、どこの国に対しても所蔵作品を貸し出さなかった。

その方針が変わったのは明らかだが、来年美術館の改築がありそれを機に新しい美術館運営に踏み出すことになったのだろうか。そして、はじめてのナショナル・ギャラリー展が日本で行われるというのだから嬉しい話。出品作は古典絵画を中心に60点くらいというが、特別枠扱いでゴッホの‘ひまわり’が含まれている。ほかの作品についても興味津々。目玉の作品は一体どの絵?

あのナショナル・ギャラリーの名画が日本にやって来る?にわかに信じられないが、本当なのである。ゴッホの‘ひまわり’は損保ジャパンにも飾ってあるが、これはご承知のようにナショナル・ギャラリーにある原画(1888年9月)をもとに1889年1月頃描かれたレプリカ。ひょっとして展覧会には2点が並ぶ?!折角の機会なのだからそのくらいの演出はあったほうがいい。

どの古典絵画がやって来るのか、大イベントに相応しいのはやはりダ・ヴィンチの‘岩窟の聖母’!期待したい。

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2019.01.04

謹賀新年 2019年前半展覧会プレビュー!

Img

今年も拙ブログをよろしくお願いします。正月の天気は寒波の影響で寒くなりそうという報道がされていたので身をすくめていたが、その心配のない穏やかな正月だった。今年開かれる展覧会についての情報集めはすでに昨年の後半からはじまっている。6月までの前半に焦点を当て注目の展覧会をピックアップしてみた。

★西洋美術
トルコ至宝展      3/20~5/20      国立新美
ラファエロ前派展    3/14~6/9       三菱一号館美
モロー展        4/16~6/23      汐留ミュージアム
ドービニー展      4/20~6/30      損保ジャパン美

クリムト展       4/23~7/10      東京都美
ウィーンモダン     4/24~8/25      国立新美
バレルコレクション   4/27~6/30      Bunkamura
松方コレクション展   6/11~9/23      西洋美

★日本美術       
新・北斎展       1/17~3/24      森アーツセンター
奇想の系譜展      2/9~4/7        東京都美
エインズワース浮世絵展    4/13~5/26      千葉市美

(注目の展覧会)
西洋美術ではラファエロ前派とくれば力がぐっとはいる三菱一号館美への期待が大きい。そして、このあとの流れがとてもいい。4月に同じタイミングで東京都美と国立新美にクリムトとシーレが登場する。久しぶりのクリムト展なので未見の作品と何点会えるか、とても楽しみ!

このところ足が遠のいているBunkamura、4/27からはじまる‘バレルコレクション’には注目している。お目当てはドガのバレエの稽古を描いた絵。これがみられるのだから日本は美術大国。待てば海路の日和あり!

昨年ルオー展で好感度をあげた汐留ミュージアムは今度はパリのモロー美の看板作品をごそっとみせてくれる。あの代表作‘出現’がやって来るのだから大拍手。

一方、日本美術は今のところで出かける予定は3つだけ。千葉市美で行われる‘メアリー・エインズワース浮世絵コレクションン’は期待したい里帰り展。どんなプラスαに遭遇するだろうか。


         


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2018.12.25

黒澤明 VS 伊丹十三!

Img_0002    黒澤明監督 ‘天国と地獄’(1963年)


Img     伊丹十三監督 ‘タンポポ’(NHKの‘8人の伊丹十三’より)

幅広いジャンルのある映画のなかでとくに熱をあげてみているのが‘刑事もの’、日本で作られた映画でお気に入りは‘砂の器’(1974年)、‘天国と地獄’(1963年)、‘飢餓海峡’(1965年)、TVで放送されたとき収録したビデオがあるのでこれまで数え切れないほどみてきた。

このうち黒澤明監督の‘天国と地獄’は嬉しいことに10月にBSプレミアムで放送された。で、TV本体にビデオどりしたので画質の向上したニュー‘天国と地獄’をこの2ヶ月繰り返しみている。2週間前の忘年会で会った映画好きの友人もこの映画を見たというので話が盛り上がった。

未見の作品も含めて久しぶりに何本もみた伊丹映画、そして‘世界のクロサワ’と‘世界のミフネ’がタッグを組んでつくった刑事ものの傑作‘天国と地獄’。ふたつをクロスさせてみているうちにいくつか共通することに気づいた。

世の中に数多くいる映画狂、監督や俳優をはじめとする映画の製作に携わる人たち、映画評論家からするとまったくの素人話なのだが、直感的‘黒澤明 VS 伊丹十三’を少しばかり。

黒澤明(1910~1998)より一年前に死んだ伊丹十三(1933~1997)は黒澤監督を敬愛していたのではないかと思う。作品の中にオマージュともいえることがでてくる。例えば、‘マルサの女’で山崎努が演じた脱税王の事業家の名前が‘権藤’、そして‘天国と地獄’でお抱え運転手の子どもを間違って誘拐した犯人に3000万円の大金を支払うことになる靴メーカーの重役(三船敏郎)の名前が‘権藤’。

もうひとつ、黒澤映画の‘生きる’では誰もがジーンとするシーンがでてくる。名優志村喬が雨のなか公園のブランコに乗って♪♪‘命短し、恋せよ乙女、、、’を涙顔で唄う。この公園のブランコが伊丹十三の‘ミンボーの女’の最後のほうにも出てくる。ブランコに隣り合わせで乗っているのはホテルの暴力団対策の若手担当者とミンボー専門の弁護士(宮本信子)。

女弁護士は東京の下町で医者をしていた父親が傷ついたヤクザの親分をかばったおかげ対立しているヤクザに殺されたことを話している。と、そのときにちょっと前ヤクザの威しに屈せず強い態度にでた担当者にめがけてチンピラが突進してきた。寸前でそれを体を張って阻止する弁護士、そのため鋭いナイフが腹に突き刺さった。一命はとりとめたものの大けがをしてしまった。

黒澤も伊丹も音楽の使い方が天才的に上手い。しかも、使う音楽はアメリカ映画やヨーロッパ映画並み。その一例が画像のシーンに流れる音楽。‘天国と地獄’は誘拐犯(山崎努)がはじめて姿をみせる場面。川の側の道を左の方に♪♪モーツアルトの軽快なメロディにのって歩いていく。

一方、伊丹の‘タンポポ’(1985年)、この場面はラーメンづくりの指南役を務める大型トラックの運ちゃん(山崎努)が女店主(宮本信子)にラーメンのできあがった時間をストップウォッチで計っているところ。ここで使われているのがなんとあのマーラーの大強音が響く♪♪‘交響曲一番(巨人)’。

モーツァルト、マーラーが流れてくれば外国人だって日本人がつくった日本映画でもすっとスクリーンのなかに入っていける。NHKの‘8人の伊丹十三’で知ったのだが、2016年に‘タンポポ’は全米60館以上で上映されたとのこと。今世界的にラーメンブームだからこの映画はおおいにうけたにちがいない。

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2018.12.22

2018年 感動の日本美術 ベスト10!(3)

Img_0002     歌川広重の‘鯛 鯉 鰹’(1830~44年 太田記念美)

Img_0001         長澤芦雪の‘降雪狗児図’(18世紀 逸翁美)

Img     ‘耳付水指’(17世紀)

日本美術関連の展覧会で楽しみのひとつが浮世絵展。今年は太田記念美の‘歌川広重展’(9/1~10/28)と横浜高島屋で開催されたアメリカ人コレクターの浮世絵名品展(10月)にでかけた。浮世絵の魅力は不動だが、後半にはわが身にとてもいいことがおこったためさらにのめりこむようになった。

太田記念美に限らず東博の浮世絵展示室でも、作品保護のため照明を落としているのが常。そのため、これまではちょっとみにくいところがあった。でも、7月に白内障の手術をし視力が1.5まで上がったお陰で作品がよくみえるようになった。だから、今は浮世絵でも西洋絵画でも作品をみるのが楽しくてたまらない。

歌川広重(1799~1858)の没後160年を記念して太田記念美は広重コレクションをどどっとだしてくれた。ここには数え切れないほど通っているが、まだお目にかかってない作品がぞくぞく登場する。そのなかで思わず足がとまったのが‘鯛 鯉 鰹’、見事な魚の絵。鯉を口にすることはほとんどないが、飲み会となると鯛と鰹はよく食べる。ここ3週続いた忘年会でもまずは刺身の盛り合わせを注文し、鯛や鰹のたたきを美味しくいただいた。

五島美の‘東西数寄者の審美眼’(10/20~12/9)で長澤芦雪(1754~1799)の‘降雪狗児図’に遭遇できたのは幸運なめぐりあわせというほかない。この可愛い仔犬の絵をはじめとして今年は動物の絵が当たり年、府中市美は‘リアル 最大の奇抜’(3/10~5/6)で日本画に描かれた虎や鯉、鴛鴦などをみせてくれ、ホテルオークラが主催する恒例のアートコレクション展‘動物たちの息吹’にも黒猫、虎、猿、仔犬、孔雀などが集結。

浮世絵同様、これはと思った展覧会には必ず出かけているやきもの展。根津美の‘新・桃山に茶陶’(10/20~12/16)では大きな収穫があった。どっしりとした丸みのある形に圧倒的な存在感を感じさせる伊賀焼の‘耳付水指’、200%参った!

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2018.12.21

2018年 感動の日本美術 ベスト10!(2)

Img_0002     ‘佐竹本三十六歌仙絵 山邊赤人’(鎌倉時代 13世紀)

Img_0001    国宝‘紅色地龍宝珠瑞雲模様衣裳’(18~19世紀 那覇市歴博)

Img     河井寛次郎の‘流し薬瓶子’(1927~28年 兵庫陶芸美)

もうすぐ新年を迎えるが、小さいころ正月は百人一首のかるたとりをよくやった。そのおかげで今でも歌人が詠った和歌をいくつか覚えている。こういう和歌はその深い意味まで理解できなくても‘五七五七七’の31文字のリズミカルな音の響きに惹かれて気持ちよく口ずさむようになる。だから、十八番の札を両親や姉、兄にとられると悔しくてたまらなかった。

出光美で行われた‘歌仙と古筆’(6/16~7/22)にあの‘佐竹本三十六歌仙絵’のまだみてなかった‘山邊赤人’(個人蔵)が出品されていることをみどりがめさんに教えてもらい、喜び勇んででかけた。初見のものに遭遇するとたとえ一枚でもすごく充実した気分になる。来年は秋に京博でまさかの‘佐竹本三十六歌仙絵展’(10/2~11/24)が開かれる。京都行きの前に一通り和歌をみておこうと思う。

展覧会のベスト10にサントリー美の‘琉球展’(7/18~9/2)を入れたのは紅型の国宝‘紅色地龍宝珠瑞雲模様衣装’が登場したから。どんな美術品でも長年待ち続けたものに会えると最高に感動する瞬間を体験する。日本美術で‘ピーク・エクスぺリエンス’だったのがこの紅型。鮮やかな紅色と生き生きした龍の姿を目に焼きつけた。

今年はパナソニック汐留ミュージアムに2度でかけた。河井寛次郎(1890~1966)の回顧展(7/7~9/16)とそのすぐ後行われた‘ルオー展’(9/29~12/9)。

河井寛次郎のやきもの展はこれまで何度も足を運んだのでパスしてもよかったが、‘三色打薬双頭扁壺’の緑の赤の誘惑に勝てず訪問した。大好きな三色打薬に新たなヴァージョンが加わっただけでなく、もう1点大きな収穫があった。モダンな模様にハッとさせられた‘流し薬瓶子’。こんないいものが兵庫陶芸美にあったとは!

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2018.12.19

2018年 感動の日本美術 ベスト10!(1)

Img_0002           横山大観の‘彗星’(1912年)

Img_0003     池大雅の‘嵐峡泛査図屏風’(右隻 18世紀)

Img     渡辺崋山の‘市河米庵像’(重文 1837年 京博)

Img_0001     尾形乾山の‘八橋図’(重文 18世紀 文化庁)

明治以降に活躍した日本画家で今年回顧展が開かれたのは横山大観(1868~1958)と東山魁夷(1908~1999)の二人。ともに人気の高い画家なのでいつも大勢の人が押し寄せる。

春の大観展(4/13~5/27 東近美)は充実した作品がずらっと並んでいたが、はじめてお目にかかる作品でおもしろいのがあった。大観は1910年に地球に近づいたハレー彗星を描いていた!西洋絵画をよく研究していた大観のことだから画面のなかに彗星を描き入れたジョット(1267~1337)の‘東方三博士の礼拝’を知っていたのかもしれない。

展覧会のベスト10に選んだ‘池大雅展’(4/7~5/20 京博)はぐっとくる絵が多すぎてどれを選ぶかで悩むが、新鮮さの点から‘嵐峡泛査図屏風’に決めた。大雅にこんな琳派風の絵があったとは!才能豊かな絵描きというのはいつの時代でも先人の絵を貪欲に吸収している。嵐山の川下りを洒落た流水文で表現する軽やかさ、真に池大雅はスゴイ画家である。

出動が遅れた‘リアル 最大の奇抜’(3/10~5/6、府中市美)は運よく後期に出品された渡辺崋山(1793~1841)の‘市河米庵像’をみることができた。ずっとこの顔にこぶのある書家の肖像画を追っかけてきたがこれまでまったく縁がなく、まさか府中美に出品されるとは思ってもみなかった。運よく情報が入ってきてのは市河米庵が呼んでくれたのだろう。‘何してんだ、早くみにこい!’と。

根津美の‘光琳と乾山’(4/14~5/13)も1点買いで出かけた。その絵とは長いこと待たされた尾形乾山(1663~1743)の‘八橋図’、この絵は以前は個人がもっていたが現在は文化庁が所蔵している。この絵に加え根津美蔵の‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 九月’も飾ってあったので言うことなし。

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2018.12.18

2018年 感動の西洋美術 ベスト10!(3)

Img  藤田嗣治の‘フルール河岸 ノートルダム大聖堂’(1950年 ポンピドー)

Img_0001 ルーベンスの‘エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち’(1616年)

Img_0002     ルオーの‘秋またはナザレット’(1948年 ヴァチカン美)

画家の回顧展は2回遭遇するのが理想。これがまだ果たせてない画家も多いが、逆に3度以上もみた画家もいる。東京都美で開催された‘藤田嗣治展’(7/31~10/8)は5度目を数える。そのため、プラスαがどのくらい楽しめるか不安な面もあったが、いざふたを開けてみると初見の作品がいっぱいでてきた。これは嬉しい誤算。

そのなかにはトリッキーな人魚の絵(香港に住む個人の所蔵)もあったが、最も惹かれたのが藤田が再びパリに戻ったあと描いた‘フルール河岸 ノートルダム大聖堂’。このパリの風景はユトリロを彷彿とさせる。パリに一週間くらい滞在してこういう静かな通りをぶらぶら歩いてみたいのだが、、、夢は叶うだろうか。

年があけて20日まで行われる‘ルーベンス展’(西洋美)、日本ではなかなか実現しないルーベンスのバロック絵画を質、数とも予想を上回るラインナップでみせるのだから西洋美の企画力は流石というほかない。出品作の軸となるリヒテンシュタイン侯爵家のコレクションは2度目の公開となるが、またまた傑作を貸し出してくれた。とくに目を奪われるのが最後の部屋に飾ってある‘エリクトニオスを発見するケクロプスの娘たち’。こんないいルーベンスがみられるのはこの先ないかもしれない。

パナソニック汐留ミュージアムの‘ルオー展’(9/29~12/9)も印象に強く残る展覧会だった。目玉の‘聖顔’や‘ヴェロニカ’(ともにポンピドーセンター)はすでにお目にかかっているのでここではとりあげないが、ヴァチカン美からやって来た‘秋またはナザレット’に心を揺すぶられた。中央に描かれた太陽の赤の輝きがなんとも神々しかった。これまでみたルオーの宗教風景画では一番感動した。

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2018.12.17

2018年 感動の西洋美術 ベスト10!(2)

Img_0001 ゴーギャンの‘花をもつ女’(1891年 ニュー・カールスベア美)

Img_0003 マティスの‘緑のすじのある肖像’(1905年 コペンハーゲン国立美)

Img     ムンクの‘叫び’(1893年 オスロ国立美)

Img_0002ヴィーゲランの‘おこりんぼう’(1926~33年 ヴィーゲラン彫刻公園)

5月に出かけた北欧は2つの目的があった。ノルウェー観光の目玉であるフィヨルドとムンク(1863~1944)の有名な絵‘叫び’をみること。イタリアやフランス、スペインと較べると訪問の順番がなかなか上がらなかったが、ようやく実現した。

メインデイッシュは氷河がつくったフィヨルドだったが、コペンハーゲンでの自由時間のとき駈けずりまわった美術館で遭遇した名画の数々も忘れられない。オスロでの美術鑑賞を含めて‘ベスト10’のなかに特別枠として4つ選んだ。

デンマークのビール会社カールスベアの創業者が蒐集したフランス絵画コレクションを展示しているニューカールスベア美は予想以上にすばらしい美術館だった。ここの一番の自慢はゴーギャン(1848~1903)、彫刻をいれて26点展示してあった。そのなかでゴーギャン本にどんと載っているのが‘花をもつ女’、大原美の‘かぐわしき大地’同様、タヒチ時代に描かれた傑作のひとつである。ゴーギャン作品の主要ピースがまたひとつ増えた。

コペンハーゲン国立美でのお目当てはマティス(1869~1954)の‘緑のすじのある肖像’、この絵の存在を画集で知ったときは実際にみれるという気がしなかった。コペンハーゲンはそれほど遠かった。マティスの妻の顔に塗られた緑のすじ、当初この色使いは強烈すぎてはかなり違和感を覚えた。だが、その後マティスの肖像画に慣れフォーヴィスムの真髄がわかるようになるとこの絵に熱が入りだした。対面できたことを腹の底から喜んでいる。

さて、オスロ国立美に飾られている待望のムンクの‘叫び’、絵の前では絶えず人垣ができ絵をバックに思い々に写真を撮っている。NYのMoMAでピカソの‘アヴィニョンの娘たち’をみたときと同じ心の高揚感があり、教科書に載っていた絵を今まさにみているのだ!という感じ。この‘叫び’をみないと西洋絵画には‘済みマーク’をつけられないという思いがあるから大きな仕事をしたような気になる。

ノルウェーの彫刻家ヴィーゲラン(1869~1943)の野外彫刻をたくさんみれたのは大きな収穫だった。これまでヴィーゲランの作品はまったく縁がないので、その力強い作品群はとても新鮮だった。とくに目に焼きついたのが人気者の‘おこりんぼう’、現地でしかみれないヴィーゲランの彫刻に遭遇したのは生涯の思い出である。

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