2014.11.18

高倉健さん 亡くなる!

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今日はとても悲しいニュースが入ってきた。あの大スター高倉健さんが悪性リンパ腫のため亡くなった。享年83、昨年の今頃文化勲章を受章し元気な姿をみせていたので、この突然の死がちょっと信じられない。健さんは90歳になってもそのカッコよさは変わらないだろうと思っていたのでショックを受けている。心からご冥福をお祈りしたい。合掌!

健さんの映画で心に強く残っているのは、
★‘飢餓海峡’(1965年)
★‘幸福の黄色いハンカチ’(1977年)
★‘八甲田山’(1977年)
★‘駅ステーション’(1981年)

ここ十年くらいは映画を楽しむ時間がきわめて少なくなったが、その前はビデオレンタル屋へはよく通っていた。好きなのは刑事もの、健さんが若い刑事役で出演した‘飢餓海峡’は日本映画史に燦然と輝く傑作、ときどきビデオを再生しているが隣の方からは‘またみるの’とあきれられている。今年は三国連太郎が亡くなったときBSプレミアムで放送されたのでまたのめりこんだ。

1977年に製作された‘幸福の黄色いハンカチ’(山田洋次監督)は健さんの魅力が最大限にでた心にしみる映画。ぶら下げられた何十枚もの黄色いハンカチが風で勢いよくたなびく光景をじっとみつめる健さんの顔がじつに感動的。こういう終わり方をする映画は一生忘れない。

健さんが演じる網走刑務所帰りの男が夕張に住む昔の恋人に‘もし、まだ一人暮らしで俺を待っててくれるなら黄色いハンカチをぶら下げておいてくれ、それが目印だ’と言い伝える。おもしろい筋立てだが、山田洋次監督はこれをギリシャ神話から着想している。

英雄テセウスはクレタ島でミノタウロスを退治したあと、島々をまわりながらアテネに帰還する。最後の寄港地デロス島から出帆してさあアテネというときにテセウスは大失敗をやらかす。帰国の喜びのあまり、黒い帆を白い帆に張り替えるという父王との約束を忘れてしまった。

そのため岸辺でテセウスを待っていた父アイゲウス王は、水平線上に現れた黒い帆の船を見て、息子が死んだものと早合点して海に身を投げて自殺する。エーゲ海(アイガイオン海)という呼び名はアイゲウス王の名から始まったといわれる。

健さんのこの映画を思い出すたびにテセウスの話が頭をよぎる。

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2011.09.19

テレビ朝日‘砂の器’ ショート考!

3093     浪速東区役所で話を聞く今西、吉村刑事と女性新聞記者山下

3092_2     和賀英良を取り調べる吉村刑事

9/10、11に放送されたテレビ朝日の‘砂の器’(拙ブログ9/12)の余韻がつづいている。最近は映画やTVのドラマをみることがほとんどないので、このTV映画が新鮮なのかもしれない。元々事件物の映画が好きで、しかもその極め付きの名作‘砂の器’とくればどうしてものめりこんでしまう。

で、ビデオをみなおし、さらには映画版(1974年)までひっぱりだし二つの作品の比較に時間をかける始末。好きだからしょうがないのだが、これにはちょっとした事情がある。

事件の手がかりとなったのが東北なまりの‘かめだ’。この‘かめだ’は島根県仁多町亀嵩(かめだけ)のことだった。じつは広島で仕事をしていたとき会社の若い社員にこの町の出身者がいた。だから、お酒を飲んだりするとこの映画の話になる、ロケがどこで行われたとか、ずーずー弁は実際どうなのか、じつに楽しかった。また、島根へ出張した際はよくクルマで亀嵩駅の前を感慨深く通りすぎた。

そんな思い入れのある映画だから、テレビ朝日版にも心は動く。にわか映画評論家になり、映画版との比較からみえてきたTV版‘砂の器’の特長とおもしろさについて少し述べてみたい。

★今西刑事はオールマイティではない!推理のヒントは第三者から

映画では丹波哲郎が演じる警視庁捜査一課の刑事、今西栄太郎は鋭い勘で事件解決の糸口を次々と思いつく。‘かめだ’は人の名前ではなく、秋田県の羽後亀田に気づくのも今西だし、ずーずー弁が使われている地域を調べに国語研究所を訪ねて行くのも今西。そして、今西は伊勢の映画館で和賀英良が写った写真を発見し、大阪の浪速東区役所で戸籍再製手続きのことを知り、本浦秀夫が戸籍を詐称して和賀英良になりすましたことも暴いてみせる。とまあ、こんな具合に今西は最強の刑事。

ところが、TV版だと今西(小林薫)が貢献したのはずーずー弁が使われる出雲地方にある‘かめだ’、すなわち亀嵩をつきとめただけ。羽後亀田も戸籍詐称のことも女性新聞記者山下洋子(中谷美紀)に教えてもらう。また、伊勢の映画館に飾ってあった写真は若い吉村刑事(玉木宏)に映画館の支配人が情報を提供してくれたおかげでたどりつく。

★事件の捜査に関わる刑事たちの人間模様がおもしろい

野村芳太郎監督が脚本家の橋本忍と組んで映画をつくった1974年のころと、今とでは事件の捜査にあたる刑事たちの描き方がかなりちがう。アメリカの映画の事件物では捜査にあたってFBIとNY市警が反目するのがお決まりとなっているが、こうした警察組織絡みの反発心や功名心にはやる刑事の個性をストレートにだし、犯人検挙の体制は一枚岩ではないことを示すほうが見ている者にはおもしろい。だから、日本の映画でも刑事たちをこういう風に描くことが多くなっている。

ニヤニヤしながらみていたのは威張り屋の田島刑事(西村雅彦)がバーの聞き込みに後からやってきた今西と吉村に‘今西ー、ここは俺たちがやるからいい!’と大声を張り上げる場面。合同捜査会議でも組織独自の思惑がでてくる。西成城署の刑事たちはもう一つ起きた殺人事件を管轄内という縄張り意識から参考人の事情聴取を単独で行い、それをこの会議で報告しない。そのことを山下から教えてもらった田島は烈火のごとく怒り、西成城署の連中をなじり状況を問いただす。

★主役吉村刑事の成長物語

この映画の主役はベテランの今西とコンビを組む吉村刑事。玉木宏の演じるこの若手刑事は性格がよくて仕事熱心。尊敬している今西に口癖のように‘勉強になります’と言う。お手柄は今西のモットー‘しつこくやる’を実行して和賀英良の愛人が汽車の窓からばら撒いた‘紙吹雪’(じつは和賀が三木謙一を殺害したときにあびた血痕のついたシャツを切り刻んだもの)を中央線の線路沿いで発見したこと。

吉村は逮捕状の出た和賀英良(佐々木蔵之介)を取り調べる。和賀はしぶとく三木謙一(橋爪功)を殺害したことをなかなか自供しない。が、和賀英良こと本浦秀夫の心をぐさっとえぐるものを吉村は最後に見せる。それは父、本浦千代吉(山本学)が病院で死ぬ間際に描いた風景画、そのなかにお遍路姿の千代吉、秀夫が描かれていた。そして、絵の裏には千代吉の秀夫へ宛てた言葉が書かれていた。それをみて秀夫は泣き崩れる。吉村はいい刑事になった。

★音楽がすばらしい!

和賀英良が作曲したのは‘寂滅’と‘永遠’、‘永遠’は琴線にふれる名曲。また、捜査の節目々でバックに流れる音楽がとてもいい。‘永遠’の発表会で吉村がこれを聴き自分の空襲体験を思い出し涙を流すシーンは映画の最後、合同捜査会議の席上で涙をぬぐう今西刑事の姿とダブってきた。演出家はこの丹波哲郎の名演技を意識したのではなかろうか。

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2011.09.12

テレビ朝日 ‘砂の器’を2夜連続でみた!

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土日に放映されたテレビ朝日の‘砂の器’をみた。半年前この番組をみるのを楽しみにしていたのに前日東日本大震災が発生、このため急遽延期になった。その後記憶から消えかけていたが、復活してきた。この物語は04年TBSで日曜シリーズという形をとり放送されたが、こういう大傑作では物語のあらすじがよく頭に入り、テーマにも深く沈潜できる連続放送のほうがいい。

大方のひとは映画の‘砂の器’(1974年、拙ブログ4/13)で目に焼きついている名場面を思い出しながらこの番組をみていたのではなかろうか。どんな音楽が流れてくるのだろうか、犯人和賀英良が作曲した‘宿命’がまた使われるのだろうか、‘紙吹雪の女’は誰が演じるのか、本浦千代吉の罹ったハンセン病は別の設定になるのか。

配役がなかなかいい。今西刑事には小林薫、相棒の若手刑事吉村弘は玉木宏、そして和賀英良は佐々木蔵之介。今回オリジナルでつくられた女性新聞記者は中谷美紀。ふだんTVのドラマはほとんどみないので、玉木と佐々木の名前がこの番組で顔とむすびついた。

ふたりとも顔は知っていたが、この俳優が玉木宏、佐々木蔵之介か!という感じ。最後の吉村刑事が本浦秀夫に自供させる場面は迫真の演技だった。役者の個性が演じる人物にぴたっとはまっている。TBSのものより出来栄えはこちらのほうずっとよかった。

今西刑事役の小林薫はテレビ東京の人気番組‘美の巨人たち’で毎週その声を聞いているから、どう今西刑事を演じるか興味深々だったが、勘がするどく人間味のあるベテラン刑事役を好演していた。映画で印象深かったのが今西と吉村がお店でお酒を飲んだり食事をするシーン。どんな職業についていたってウマの合う人と飲んだり食べたりするときが一番楽しい。この番組でも2人はうちとけた雰囲気で食事をしていた。

玉木宏はイケメンだから人気の俳優だと思うが、最後の取調べ室では目に力がありその演技力はなかなかのもの。また、好きな俳優西村が演じる威張り屋刑事と一緒に伊勢の旅館へ出張する場面がとても笑えた。西村はこういう役をやらせると本当に上手い。

テレビ界でドラマをつくっている人たちも自分たちの想像力とアイデアで心に残る‘砂の器’を生み出した。名作の誕生に拍手!

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2011.04.13

大津波のため流出した戸籍で思い出した映画‘砂の器’!

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4月11日の報道によると、東日本大震災の大津波で流出した被災地4市町(陸前高田市、大槌町、南三陸町、女川町)の戸籍約3万8千件は法務局に残された副本などの記録から月内に再製できることになったという。

運転免許証の再発行やら戸籍のリカバリーやらとにかく被災者は元の生活にもどるまで一からやらなくてはいけないことが沢山ある。戸籍の再製のことを知ったとき、すぐ頭をよぎったのが映画‘砂の器’(1974年)にでてくる戸籍の偽造。今日はこの話を。

‘砂の器’はお気に入りの映画で、My‘日本映画ベスト5’に入れている。74年公開されたとき確か横浜の映画館でみた。見終わったあと一緒に鑑賞した友人と奥さん3人で‘いい映画だったね!’と興奮気味に語り合ったことを今でも鮮明に覚えている。

印象深い場面はいくつもあるのだが、そのひとつが今西刑事(丹波哲郎)が大阪の浪速区役所で元巡査の三木謙一(緒形拳)を殺害した新進気鋭の作曲家和賀英良(わがえいりょう、加藤剛)の戸籍を調べるところ。

今西:いままで仕事柄戸籍原簿を時々みせてもらったが、紙がちょっと新しいですね。

職員:前のは空襲で焼けましたから。

今西:それでは法務局の写しをとったのですか?

職員:法務局も確か、、やっぱりそうです。法務局のほうも燃えている。

今西:としますと、これは一体何に基づいて原簿を作るのですか?

職員:そりゃあ、本人の申し立てです。

今西:本人の申し立て?

職員:ええ、戦災で原簿が焼けてしまったときには、本人の申し立てで本籍再製という手続きがとられます。これは法律的に認められています。

場面が変わって、今西刑事は恵比須町で空襲のころを知る飲食店組合長(殿山泰司)から話を聞く。

組合長:和賀さんの家はあそこの角のたばこ屋のところですよ。空襲で焼ける前、あそこで自転車屋をやってました。わてらは早めに疎開したからよかったんですが、英蔵さんはええ人やったけど。

今西:しかし、ご夫婦亡くなられて、子供だけよく助かりましたね?

組合長:子供さんはいらはらしませんで。

今西:ええ?子供がない!

組合長:ほかには小ちゃな小僧さんが一人や。店員さんでな。可愛い子で夫婦も自分の子のようにかわいがっていた。

この店員が和賀英良で本当の名前は本浦秀夫(もとうらひでお)。秀夫は6歳のときハンセン病にかかった父親本浦千代吉(加藤嘉)と石川県の村から放浪の旅に出、やがて島根県の亀高にたどり着く。ここで善良な巡査三木謙一に保護されるが、療養所に隔離される父親とは引き離される。一人になった秀夫は三木巡査の思いをくみとることができず、亀高を離れまた放浪する。そしてたどりついたのが大阪。自転車屋の和賀家に身を寄せるのだが、空襲による戸籍の焼失に乗じて和賀夫婦の子供になりすます。

今、岩手・宮城県の町で本籍再製の手続きが行われようとしている。今度は戦争によってではなく天災のためである。

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2008.08.04

パンダフルライフ!

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8日からはじまる北京五輪のTV中継の情報を得ようと“月刊TV太郎8月号”を買ったら、なんとも愛らしいパンダの写真がいっぱい載っていた。画像が楽しいことは言うまでもないが、感心したのが“パンダフルライフ”というフレーズ。

“ワンダフル”から“パンダフル”を思いついたのだろうが、とても響きがよく、造語大賞をあげたくなるいい言葉。“パンダフルライフ”の日本語訳は“大熊猫的生活”となっているが、“パンダフルライフ”でそのまま通用する。

実はこれは映画のタイトル。毛利匡監督が撮ったドキュメンタリー映画で8/30から全国ロードショーされる。解説を読むとパンダに密着取材して、子育て、子供パンダの成長などをあますところなく映像におさめているようだ。ナレーション役は菅野美穂。面白そうな映画なので、招待券がもらえるクイズにさっそく応募した。当たればいいのだが。

ぬいぐるみそのもののパンダをみると、いつも口元が緩む。ふわふわモコモコした感じで、ゴロンとなったりするしぐさが本当に可愛い。隣の方が動物好きでNHKの日曜夜7時30分からの“ダーウィンが来た!”をおつきあいでよくみる。

この番組だったか、その前のシリーズだったか判然としないが、動物カメラマンの岩合さんが中国で野生のパンダを最接近して撮影した場面が今でも目に焼き付いている。このとき、パンダは人に気づいても驚きもせず、笹をむしゃむしゃ食べていた。現在、60頭いる四川省成都にあるパンダ繁育研究基地も紹介されたような気がするが、こちらは覚えていない。

映画“パンダフルライフ”では、海外クルーとしてははじめて繁育研究基地の産室にカメラが潜入したとのこと。つい最近もパンダの赤ちゃんが産み落とされるところがTVで放映されたが、生まれたときはあんなに小さいのに、みるみるうちにあのぬいぐるみのパンダになるのだから、パンダの成長いうのは真に神秘的。

4年に一度の大スポーツイベント、オリンピックがもうすぐ開幕する。金メダルが期待される柔道の谷、鈴木、水泳の北島、女子マラソンの野口、ハンマー投げの室伏らが出場するときは前のめり状態だろうが、外国選手の試合は、ごろんとした“パンダフルライフ”流で熱戦を楽しもうと思う。

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2007.11.27

TV映画「点と線」

853連休にテレビ朝日で放送された松本清張作、ビートたけし主演の“点と線”の余韻に浸っている。

土日、リアルタイムでは見ずビデオ収録したのを昨日一気にみた。5時間もTV画面と向き合うのはBS2でよくやる“○○美術100選”くらいなもの。

途中で退屈するところが全然なく、劇場で映画をみているのと変わりなかった。TV史上に残る超一級の作品といってまちがいない。好きな事件物映画はこれまで“天国と地獄”(1963)、“飢餓海峡”
(1965)、“砂の器”(1974)をベスト3にしていたが、劇場映画ではないがこの“点と線”を即加えた。

原作がとびぬけて面白いことがこのドラマに夢中にさせる一番の理由だが、出演している役者の高い演技力が心を揺すぶる。博多に住む普通の刑事鳥飼に扮したビートたけしの演技が秀逸。喜劇でもシリアスな役でもすばらしい演技をみせた役者としては、“飢餓海峡”に同じく刑事役で出演した伴淳三郎がいるが、たけしは伴淳同様、哀愁を漂わせながらベテラン刑事を演じている。

捜査が行き詰まり、活路が見出せないとき、犯人を絶対捕まえるという刑事魂と執念がよびこむのであろうか、鳥飼と警視庁のエリート若手刑事三原(高橋克典)は犯人がしかけたトリックを解き明かしたり、アリバイを崩すヒントをひょうんなことから偶然思いつく。この状況が急転回するところがサスペンスドラマの一番の見せ場。はじめのころ、東京から来た三原刑事のことを鳥飼刑事がへらへらしながら“三原さんは勘が悪いよね!”と三原がいないところで言う場面が笑わせる。

二人の犯人安田(柳場敏郎)へ立ち向かう心が強く響き合うにつれ、犯人が飛行機を使って福岡から札幌に移動し事件当日のアリバイをつくったことや汚職の鍵をにぎる官僚と料亭の仲居が情死したと見せかける偽装トリック、そしてあの“東京駅の4分間のトリック”を解き明かしていく。

ミステリー史に残る“空白の4分間”のアイデアを松本清張はどうやって思いついたのだろうか?病気のため外に出られない犯人安田の妻亮子(夏川結衣)は時刻表を見ながら想像をめぐらす。“私はふと時計を見る。午後1時36分である。私は時刻表をくり、駅名をさがす。全国のさまざまな土地で汽車が一斉に止まっている。たいそうな人たちがそれぞれの人生によって、降りたり乗ったりしている。目を閉じてその情景を想像する” 

空間的には離れているいくつもの駅(点)がその時間に結ばれ(線)、瞬間的に関係づけられる。だが、つぎの瞬間にはその線は消え、また別の駅と駅が結ばれ、それぞれの町、乗客、そしてその人たちの色々な生き様が現れる。My“点と線”は“洛中洛外図屏風”のイメージ。一生の思い出になる“点と線”だった。

テレビ朝日は名作のリメークに気合が入っている。“天国と地獄”、“点と線”と続けば、当然次は“飢餓海峡”だろう。来年是非つくってほしい。

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2007.05.04

映画「獄門島」の見立殺人

823BS2で5/1に放映された映画「獄門島」(市川昆監督)を久しぶりに楽しんだ。

映画は刑事ものや殺人ものが好きなので、金田一耕助シリーズをやっていたBS放送のラインナップに注目していた。

とくに「獄門島」をみようと思ってたのではなく、なんとなくこれをビデオしておいた。今から丁度30年前の77年に製作されたこの映画は映画館ではなく、レンタルビデオで鑑賞。でも、随分前だから、あらすじは全くといっていいくらい忘れている。

石坂浩二や渥美清が探偵の金田一耕助を演じる作品はすべてみたが、あらすじがはっきり記憶にとどまっているのは何回も観た「八墓村」くらいで、ほかの作品は「犬神家の一族」や「女王蜂」などのストーリーがごちゃまぜ。「獄門島」もみていくうちに“次は確かあの男が殺されるシーンではない!”ととんでもない勘違いをして隣の方をミスリードする始末。

記憶がとんでいる分、殺人事件の顛末がすごく新鮮でよく出来た映画だなと感心することしきり。しかも、この映画のなかに大きなサプライズがあった。昔なら心のなかで特別連鎖反応がおきることもないシーンだが、今はすごく興味深くハットするシーンがでてきたのである。その場面が好きな画家の絵と関連があるのでご紹介したい。

この話しをすると映画を懐かしく思い出される人がいるかもしれない。ストーリーの説明がメインではないのでごく簡略に。この映画のなかで決行される殺人は“見立殺人”といわれる。当時は“見立”という言葉に縁がなかった。が、今は浮世絵師、鈴木春信の“見立絵”を楽しんでいるからすぐ、“見立殺人”に前のめりになる。

浮世絵でいう“見立絵”とは昔の故事、物語、和歌などを原案として、これを絵師と同時代の風俗に見立てて(置き換えて)絵画化したもの。この映画では俳句に見立てて殺人が行われる。3人の殺しに使われるのが松尾芭蕉と宝井其角の俳句。

金田一耕助が宿を借りたお寺の一室にあった屏風にその句が張られていた。が、俳句の知識のない金田一はこの俳句に見立てて、島の大網元、本鬼頭の娘3人が殺されていくのに気づかない。ところが、ある光景をみて、俳句のなかに鍵が隠されていることにひらめくのである。それは電線にとまっている五羽の雀、七羽の雀、五羽の雀、“そうか、五、七、五、俳句だ!”。こちらも電線の雀をみて、すぐ連想する。“府中美の動物絵画の100年展にでていた芦雪の群雀図だ!”(拙ブログ4/7)。

ちなみに、“3人をこの句に見立てて殺してくれ!”と大網元、鬼頭嘉右衛門(新藤栄太郎)が死に際に、俳句仲間であった寺の和尚(佐分利信)に頼んだ俳句とは。

“うぐいすの 身をさかさまに 初音かな”(其角)ー三女の花子は逆さ吊りにされて死んでいた。犯人は和尚。 

“むざんやな 冑(かぶと)の下の きりぎりす”(芭蕉)ー二女の雪枝は崖の上に置かれた寺の吊り鐘のなかで死体となって発見された。犯人は嘉右衛門の妾、勝野(司葉子)。

“一家(ひとつや)に 遊女も寝たり 萩と月”(芭蕉)ー祈祷所のなかで絞殺された長女、月代の着物の上には、萩の花びらがふりまかれていた。犯人は勝野。

何気なしにみた映画「獄門島」がここ1年くらい熱心に見ている芦雪の絵や見立絵とつながっていたとは。My文化記号がこんな形でコラボレーションした。

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