2018.12.31

2018年 My‘好きな女性画’に加わったニューフェイス!

Img     ムンクの‘画家の妹、インゲン’(1892年 オスロ国立美)

Img_0005     ドランの‘シミーズの女性’(1906年 コペンハーゲン国立美)

Img_0001     藤田嗣治の‘座る女’(1921年)

3日くらい前、新聞に現在東京都美で開催中の‘ムンク展’(1/20まで)が来館者数40万人を達成したという記事が載っていた。‘叫び’は美術ファンの心を予想を以上にとらえているようだ。わが家は今年‘ムンクイヤー’だったので素直に嬉しい。

昨年からはじめたMy‘好きな女性画’に加わったニューフェイス!今年はみな西洋絵画になった。5月に出かけた北欧ではお目当てのフィヨルド観光とともに気分がぐっと盛り上がったのが美術館めぐり。運よくいい絵にたくさん出会えたが、ムンク(1863~1944)とドランの(1880~1954)がMy‘好きな女性画’に加わった。

‘画家の妹、インゲン’は画集で知っていたが、本物は等身大くらいの大きな絵。男性でも女性でもムンクの描く肖像画は大きいのでも本人と対面しているような感じになる。この妹、どうでもいいことだがタレントの橋本マナミを連想する。

コペンハーゲン国立美に飾ってあったドランの‘シミーズの女性’には200%やられた。ドランの後期の作品ではパリのオランジュリー美に‘大きな帽子を被ったポール・ギョーム夫人の肖像’という魅力的な作品があるが、初期のフォーヴィスム真っ只中にこんなインパクトのある絵を描いていたとは! ドランは風景画だけではないことがわかったのは収穫。

東京都美であった‘藤田嗣治展’でもっとも惹かれたのが‘座る女’。これは初期の肖像画で所蔵しているのは日本のコレクター。乳白色の肌と黒い目と黒髪、そして黒の衣装のコントラストが強烈。思わず引きずり込まれた。

今年も拙ブログにおつきあいいただきありがとうございます。
皆様良いお年をお迎え下さい。

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2016.03.20

モランディの静物画の変奏!

Img       ‘静物’(1956年 ボローニャ モランディ美)

Img_0001     ‘静物’(1955年 モランディ美)

Img_0002     ‘静物’(1960年 モランディ美)

Img_0003     ‘静物’(1951年 モランディ美)

イタリアは大好きな国であるが、旅行会社の主催する団体ツアーに参加すると訪問するのはローマ、フィレンツェ、ヴェネツィといった定番の人気都市に限られる。そのため、フィレンツェから北へ100㎞のところに位置するボローニャへはまだ足を踏み入れていない。

今、このボローニャにある美術館からモランデイ(1890~1964)のあの静物画がたくさんやって来ている。展覧会が開かれているのは東京ステーションギャラリー(2/20~4/10)。ここへ出かけるのは改装されてからは二度目。チケットを自販機で購入してエレベーターで展示会場まであがった。

モランデイ展の副題は‘終わりなき変奏’、そしてチラシの冒頭には‘すこし、ちがう。すごく、ちがう。’とある。たしかにそのとおり、花瓶や容器の静物画にはいろんなヴァリエーションがある。モチーフの大きさはあまり変わらないが視点を少し変えたり、光の当たる向きを変化させて描かれている。色調は強くなくちょっとくすんだ白やうすいピンクや黄色が多い。

モランデの静物画をこれまでみたのはせいぜい両手くらい。すぐ思い出すのはミラノのブレラ美とローマの国立近代美に飾ってあったもの。数は少ないが胸に深く刻まれているのは静かですっきりした静物画だから。こういう絵が一枚でも部屋にあったら心はぐっと落ち着く。

では描かれた瓶や壺の数は多いほうがいいか少ないほうがいいか、これは迷う。仮にここにとりあげた4点のうち好きなものをさしあげるといわれたらどうする?そのときは最初と三番目をサイコロを振って選ぶことにしたい。

一度は体験したかったモランディの回顧展、幸運なことに東京で実現したのはよかった。

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2014.05.21

もっと見たいバルテュスの名画!

Img_0001    ‘ブランシャール家の子どもたち’(1937年 ピカソ美)

Img     ‘長椅子のテレーズ’(1939年)

Img_0002         ‘窓辺の少女’(1955年)

Img_0005     ‘読書するカティア’(1968~76年)

現在、頭の中はかなりの部分が東京都美で回顧展が開かれているバルテュス(1908~2001)で占められている。だから、先週の17日(土)にBSプレミアムで放送された‘バルテュスと彼女たちの関係’への食いつきがとてもいい。

バルテュスに心が向かいはじめたのは10年とちょっと前からだが、今思うと悔やまれてならないのが東京駅前の丸善とか横浜美のミュージアムショップで目に入ったTASCHENの‘バルテュス’(日本語版)を買いそびれたこと。こうした画家本はどうしても好きな画家とか関心の高い順に買い揃えていくので、さあ、バルテュスを買うぞと思った時にはもう本棚には残ってない。

このようにバルテュス物語を聞いておらず、まだ回顧展で手に入れた図録にも目を通していないので、豊川悦二が案内役をつとめたこの番組から流れてくるバルテュスと女性たちの話は実に興味深く感じられ体のなかにどんどん吸収されていく。そして、手元の美術本や図録に載っていない作品の情報にも脳は敏感に反応する。

番組のお蔭でこれから追っかけたい作品や海外で美術館巡りをしたときみられる可能性があるかもしれない絵というのがおおよそイメージできた。魅せられる作品は‘ブランシャール家の子どもたち’、‘長椅子のテレーズ’、そしてシャシー時代に描かれた‘窓辺の少女’と‘赤いセーターを着たフレデリック’

バルテュスがローマでヴィラ・メディチの館長をしていたときに描いた‘読書するカティア’は回顧展でその光の描写に200%KOされた一枚、この時期、バルテュスは館の壁画などの修復に多くのエネルギーを注いだため手がけた作品は少ない。

この番組にでてきたり図録に載っている作品で今後美術館を訪れたとき対面できるかもしれないものをあげてみると、
★シカゴ美:‘猫と少女’(1937年) ‘トランプ占い’(1943年)
★メトロポリタン美:‘窓辺の少女’(1957年)
★ポンピドー:‘蛾’(1959年) ‘画家とモデル’(1980~81年)

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2014.04.29

バルテュスと節子夫人!

Img_0004      晩年のバルテュスと節子夫人

Img_0002   ‘朱色の机の日本の女’(1967~76年 ハリス・コレクション)

Img_0003     ‘トルコ風の部屋’(1963~66年 パリ ポンピドー)

今から17年前の1997年に東京都現美で大規模な‘ポンピドー・コレクション展’があり、美術の本に載っているマティやレジェらの有名な絵が沢山やってきた。そのとき2点目のバルテュス(1908~2001)と遭遇した。日本の女性をモデルにして描いた‘トルコ風の部屋’。

最初に出会ったバルテュスの絵は‘コメルス・サンタンドレ小路’、1987年の頃だが、それ以来本の図版でながめているが本物にはとんと縁がない。本物の作品と対面したのはそれから3年後、足を運んだメトロポリタン美にあった‘山’、その次に目の前に現れたのが大きな絵の‘トルコ風の部屋’。このときバルテュスが日本の女性と結婚したことを知った。

その節子夫人の美貌に仰天したのが2000年に放送されたNHKのバルテュスを特集した番組。二人の出会いはバルテュスが54歳で夫人が20歳のとき、年の差34歳!結婚はその5年後。着物がよく似合う節子夫人はフィギュアの真央ちゃんのように卵形の顔、番組に登場したころが58歳で画像でも十分に伝わってくる美しさ、若い頃は誰もが振り返る天使のような存在だったに違いない。

バルテュスの妻になった節子夫人をみてすぐ連想するのが女優の岸恵子、大変美しい彼女も25歳のときフランス人映画監督イヴ・シャンピと結婚している。若い岸恵子は世代がだいぶ違うから知らないが、‘金田一シリーズ’に出演したり日曜美術館にゲストでよく登場していたので関心の高い女優だった、今81歳だがお元気だろうか?

今回‘朱色の机の日本の女’をみることができた。平板な描き方も体を横向きにし丸い顔は正面性をだしているところも‘トルコ風の部屋’と同じ。節子夫人をモデルにした作品はもう一枚‘黒い鏡を見る日本の女’があるが、好みは今回出品されているほう。

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2014.04.28

バルテュス VS カラヴァッジョ プッサン

Img_0001     バルテュスの‘夏’(1935年 NY メトロポリタン美)

Img_0006 プッサンの‘エコーとナルキッソス’(1630年 パリ ルーヴル美)

Img_0004     バルテュスの‘目ざめ(Ⅰ)’(1955年 スコットランド近美)

Img_0005  カラヴァッジョの‘勝ちを誇るアモール’(1601年 ベルリン美)

展覧会を開催するとき製作される図録は見終わったあとしばらくは手元において感動した作品を中心によくながめている。だが、そこに書かれている論考はほとんど読まない。そして、作品毎に記述されている解説文についても気に入っているものにさらっと目を通すだけ。

今回のバルテュス(1908~2001)の回顧展についてもこのスタイルは変わらない。東京都美を退館したあと隣の方と感想を言い合いながら歩いていたら、絵の前についているプレートを読んだのか‘バルテュスはカラヴァッジョの影響を受けているのね’という、ええー、カラヴァッジョにも影響されていたの?そのあと別行動になったので電車のなかで図録をみてみた。

その絵は‘目ざめ(Ⅰ)’、その解説を読むとカラヴァッジョの‘勝ち誇るアモール’に想を得たとある。絵をみたときは変な顔だなというイメージが強く、惹かれないのであまりみず次の作品に移動した。この図録にはカラヴァッジョの絵がもう一点でてくる。‘おやつの時間’で参考にされている静物画の傑作‘果物籠’。

バルテュスが影響を受けた画家の話で知っているのはこの展覧会にもその作品の模写が出品されているピエロ・デッラ・フランチェスカだけ。だから、バルテュスとカラヴァッジョ(1571~1610)やプッサン(1594~1665)とのつながりはまったく気がつかなかった。とくにカラヴァッジョとの関連はとても興味深い。

今回の回顧展で心を強く打たれたのはバルテュスの光と影の表現、そのためカラヴァッジョのことがでてくるとすぐ合点がいく。バルテュスはカラヴァッジョが好きだったのだと。もう一人、プッサンの影響もあったのか!という感じ。‘夏’の手前に描かれている女性の姿、この大地に横たわるポーズはプッサンの‘エコーとナルキッソス’に登場するナルキッソスによく似ている。これも図録をみて目が覚めた。

図録のお蔭でバルテュスがフランチェスカだけでなくカラヴァッジョ、プッサン、そしてクールベともつながっていたことがわかった。才能のある画家は過去の偉大な画家から多くを学びそれをしっかり消化して自分流の表現を生み出す。バルテュスもその例にもれない。そして、バルテュスはカラヴァッジェスキでもあった!

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2014.04.27

バルテュスのユニークな風景画!

Img_2     ‘崖’(1938年)

Img_0001_2      ‘樹のある大きな風景’(1960年 パリ ポンピドー)

Img_0003_2     ‘コメルス・サンタンドレ小路’(1952~54年)

Img_0004_2‘モンテカルヴェッセの風景(Ⅱ)’(1994~95年 バルテュス財団)

バルテュス(1908~2001)の描いた風景画でこれまで体験したのは‘夏’(今回出品作)と‘山’(ともにメトロポリタン美)の2点のみなので、回顧展で新たに遭遇した8点がいずれも新鮮にうつる。

‘崖’の前に立ったときすぐ頭をよぎったのはクールベの絵。大きな岩の塊をどーんと描いた作品をクールべは何点も描いており、この崖の感じとよく似ている。造形的な点からはそういえるが、光の描写はバルテュスのほうが明らかに強い。

9点のなかで最も長くみていたのが‘樹のある大きな風景’、この絵で連想したのはセザンヌ、ピカソ美にある‘レスタックの海’では手前の左右に大きな木が描かれているから、ひょっとするとバルテュスはこの絵を構図の参考にしたのかもしれない。

セザンヌ的なのは家々がコの字のように配置されたところだけ、地面にあたる光の輝きや画面の多くを占める影の部分の描写は光の画家バルテュスならではのもの。また、家の向こうの山は平面的な表現なので山の高さはあまり感じられない。

この絵ではっとすることがあった。それは左に描かれている後ろ向きの男性の姿。じつはこの人物は長いこと見慣れている。図録にも参考の絵として載っている‘コメルス・サンタンドレ小路’にこの人物がおなじ姿で登場する。

この絵の存在を知ったのは27年前、わが家における西洋絵画のバイブル‘世界 名画の旅(朝日新聞日曜版)’(全5冊 1987年 朝日新聞社)にバルテュスのこの絵が載っている。回顧展に‘部屋’同様、展示されることを密かに祈っていたが、儚い夢だった。でも、バルテュスの自画像といわれる後ろ姿の人物が‘樹のある大きな風景’に登場してくれたのでもって瞑すべしといったところ。

晩年の作‘モンテカルヴェッセの風景(Ⅱ)’にも足がとまった。目が釘付けになるのが右に描かれている細い川、図版では十分に色がでてないのだが、白と薄青がほかの色と比べて異様と思えるほど輝いている。バルテュスは自然の美しさや力強さを水の流れに強く感じたのだろうか。

回顧展に連動してバルテュスに関する美術番組が2つ制作されている。これも楽しみ!
・5/17 BSプレミアム ‘バルテュスと彼女たちの関係’(PM9時)
・5/25 日曜美術館 ‘バルテュス 4つのアトリエ’(AM9時)

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2014.04.26

バルテュスの描く怖い顔の人物!

Img ‘トランプ遊びをする人々’(1966~73年 ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美)

Img_0001_3 ‘トランプの勝者’(1948~50年 ティッセン=ボルネミッサ美)

Img_0002_2     ‘部屋’(1952~54年)

1993年に東京ステーションギャラリーでバルテュス(1908~2001)の回顧展が行われたことを以前Baroqueさんに教えてもらった。当時名古屋にいたが、仮にその情報が入ったとしても新幹線に乗って見に行くことはなかったと思う。それほどバルテュスは遠い存在だった。

その画家に関心をいだくきっかけになったのが2000年にNHKで放送された‘バルテュスの光の世界へ’、ビデオの一部が東京都美の展示室の一角に再現されたバルテュスのアトリエ(スイス・ロシニエール グラン‣シャレ)で流されている。番組で紹介された作品のうち今回‘16歳の自画像’、‘猫たちの王’、‘夢見るテレーズ’、‘窓、クール・ド・ロアン’を運よくみることができた。

この番組のあとバルテュスの情報を集め画業の一部を把握し、それらの作品をみたいという気持ちがだんだん強くなってきた。でも、実際にお目にかかったのは7点ほど、‘キャシーの化粧’、‘鏡の中のアリス(ポンピドー)、‘夏’、‘山’、‘目を覚ましたテレーズ’(MET)、‘トランプの勝者’(マドリード ティッセン=ボルネミッサ美)、‘街路’(MoMA)、バルテュスの作品はその多くを個人が所蔵しているので、7点もみれたのは上々かもしれない。

‘部屋’(個人蔵)が購入した美術本に現れたときは衝撃が走った。カーテンを開けている少女の顔の怖いこと!この絵が東京都美の回顧展にやって来ることを密かに願っていたが、やはりダメだった。この少女のように不気味な印象を与える目と鼻をもつ人物は‘トランプの勝者’にも描かれている。カードを持った手をうしろにまわしている右の男性。

今回同じような怖い顔をした人物が登場する作品が1点でていた。ロッテルダムにある美術館が所蔵する‘トランプ遊びをする人々’、描かれている2人の男女、彫刻のような目と鼻はまったく同じだから性差を感じない。この顔で睨まれたら体がちじみあがってしまう。図録の解説によるとこの絵はバルテュスが日本でみた歌舞伎に想を得たとある。そして、学芸員は‘人物は歌舞伎でいう見得をしているかのようである’と続ける。

これをさっと読むバルテュスは見得に刺激を受けて人物の目をこういう風にしたのかと思ってしまう。これは誤解を与える。バルテュスは1954年に‘部屋’を完成させており、日本にはじめて来たのは1962年のことだから、歌舞伎の見得は関係ない。ただ、見得のことをバルテュスが知っており‘部屋’にでてくる少女に見得をきらせたという話なら、間違ってないのだが。

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2014.04.25

光の画家 バルテュス!

Img_0003     ‘キャシーの化粧’(1933年 パリ ポンピドー)

Img_0002     ‘夢見るテレーズ’(1938年 NY メトロポリタン美)

Img_0006  ‘美しい日々’(1944~46年 ワシントン ハーシュホーン美)

Img_0001     ‘地中海の猫’(1949年)

昨年NYのMoMAでバルテュス(1908~2001)の‘街路’をみることができた。この絵をみるのに長い時間がかかったが、それから1年経ち今度は上野の東京都美で願ってもない大回顧展(4/19~6/22)。こんな風にこれまで作品に縁がなかった画家が短期間で近い存在になることがときどきある。

関心の高い油彩は全部で48点でている。よく描かれたモチーフは猫と少女、そして風景画も9点ある。今回大きな発見があった。それは画集の図版ではわからない光や影の描写、バルテュスは類まれな光の画家だった!
展示室では照明を通常より落としているのは自然の光のもとで絵肌を輝かせるように描いたバルテュスの思いをくんでいるから。

光の輝きに驚愕する作品が4点あった。‘キャシーの化粧’、‘夢見るテレーズ’、‘美しい日々’、‘読書するカティア’。一度ポンピドーでみたことのあるキャシー、白い肌が発光体のように輝いている。画面から少し離れてみるとその様子が実感できる。その横にいるのがバルテュス、大変なイケメン。

バルテュスのアトリエの近くに住んでいたテレーズ、思春期を迎えたこの少女に左から強い日差しがあたっている。曲げた片足のすねと傾けた顔の頬にあたる強い光と腿の部分の影のコントラストがとてもリアル。この絵がMETにあることは展覧会のチラシをみて知った。昨年この美術館を訪れた際はお目にかかれなかったから、嬉しい出会いになった。

‘美しい日々’はMET同様足を運んだワシントンのハーシュホーン美のコレクション、バルテュスのこんないい絵を所蔵していたとは。驚くことに今回ここから3点出品されている。アメリカの美術館はこれだからスゴイ。目を奪われるのは右の暖炉の火の輝き!火の勢いを調整している男に動きのあるポーズをとらせ、中央の静かに手鏡をみる少女に大人の魅力をまとわせた画面構成、思わず息を吞んでみていた。これが図録の表紙に使われているのは即納得。

今回最も魅せられたのは‘地中海の猫’、そのシュールな表現に200%KOされた。7色の虹からなんと魚が飛び出してくる!そして、最後にテーブルの上の皿に体を横たえる。これを目をつりあげた猫男が食べるのか、こんなおもしろいアイデアをバルテュスはどこから思いついたのだろうか?この絵をみたらダリでもマグリットでも裸足で逃げるにちがいない。

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2013.06.29

ユトリロの愛した‘ラパン・アジル’!

Img_0003_2     ‘モンマルトルのキャバレー ラパン・アジル’(1916~18年)

Img_0002_2     ‘小さな聖体拝受者’(1912年 八木コレクション)

Img_0004_2     ‘レストラン 雪のノルヴァン通り’(1934~36年)

Img_0001 ‘イル・デ・サンジュの酒場にて パリのコブラン地区’(1928~30年)

日本橋の高島屋で行われた‘ユトリロ展’は6/24に終了した展覧会ではあるが、足を運ばれた方がおられるかもしれないのでこの偉大な画家が残した街の風景画をいくつか紹介することにした。

今回の作品はほとんどが個人が所有しているもの。その数76。こういう個人蔵のユトリロ(1883~1955)をみる機会が3年前新宿の損保ジャパン美でもあった。このとき90点くらいみたので、じつは高島屋のユトリロ展は行くかどうか迷っていた。でも、やはり出かけることにしたのはチラシに載っていた‘モンマルトルのキャバレー ラパン・アジル’が気になったから。

ユトリロの絵で特に思い入れがあるのはポンピドーにある‘コタン小路’と‘ラパン・アジル’、ユトリロが生涯に描いた絵は約6000点といわれており、よく通ったラパン・アジルは400点ほど制作している。今回、このうちの6点が展示され画像はそのひとつ。ほかのラパン・アジルは画面の右に通りとその向こうの家の壁が描かれているのに、このヴァージョンはそこは省き、ラパン・アジルを中央に配置し視線がそこに集中する構成になっている。そして、画面全体がすこし明るくて建物の描き方も非常に丁寧。印象に強く残る一枚だった。

日本の八木というコレクターがユトリロのいい絵をいくつももっているという話は以前から耳に入っていた。ホテルオークラで毎年開催されるチャリティー展で1,2点みたような気もするが、、今回は白の時代の‘小さな聖体拝受者’など13点(これが全部?)がでていた。しかも1点々とてもいい絵、噂以上にすごいコレクションだった!

パリのモンマルトルは2度体験したが、サクレ・クール寺院とムーラン・ド・ラ・ギャレットの位置関係とか、コタン小路やラパン・アジルがある場所の実感がまったくない。だから、次回でかけることがあったら、こうしたユトリロの絵に描かれた関心の深いところやノルヴァル通りのレストランなどもしっかりチェックしておきたい。

コブラン地区の街角を確かな遠近法で描いた作品は日曜画家が好みそうなアングル。消失点から道が右に曲がるところがとてもいい。なんだか、自分が今そこを歩いているような気になる。パリにはぶらぶら歩いてみたい場所な沢山ありそう。

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2012.11.06

傑作が揃った‘ルオー展’!

4422_2            ‘踊り子’(1931~32年 ルオー財団)

4423_2            ‘貴族的なピエロ’(1941~42年 アサヒビール)

4424_2              ‘小さな家族’(1932年 出光美)

4425_2           ‘道化師’(1909年 パナソニック汐留ミュージアム)

現在、パナソニック汐留ミュージアムで開かれている‘ルオー展’(10/6~12/16)をみてきた。先月の美術館めぐり(10/10)のとき最後に寄った。ところが4階はとても静か、ここは水曜が休館だった!時々こういう間が抜けたことをしている。で、今日は仕切り直し。

数週間前、日曜美術館で取り上げられた作品のなかで最も気になったのが‘貴族的なピエロ’。これはアサヒビールの所蔵で京都の大山崎山荘美の図録にちゃんと載っている。でも、ここを訪問した時に飾ってなかったので図録ではこれほど魅力的な絵とはイメージできなかった。実際絵の前に立つといい気持ちになる。

だが、これよりもっと心を奪われたものがあった。ルオー(1871~1958)が1931年ころに制作した‘踊り子’。これまでみたルオーでベストワンはポンピドーにある‘傷ついた道化師’とこれと人物の構成がよく似ている‘小さな家族’(出光美 拙ブログ08/6/20)だったが、今回この‘踊り子’がトップの位置に躍り出た。

絵の存在は以前TVの美術番組でみて知っていたが、こんなに大きくて色の鮮やかな絵だったとは。横に飾ってある‘小さな家族’も大きな絵だがこれはこれより一回り大きい。そして色使いで目に焼きつくのが上のカーテンの赤。踊り子の横にいるのは二匹の犬? パリのルオー財団が所蔵するこの絵に日本で遭遇したのは一生の思い出になる。

出光とともにルオーのいい絵をもっているパナソニック汐留ミュージアム、ここで何度かルオー展を体験したからお気に入りの絵が定着してきた。今回展示の中心になっている道化師や踊り子を描いた作品のなかでどうしても足がとまるのが深い精神性を感じる‘道化師’と‘女曲芸師’。

小さ頃から道化師に心を寄せてきたルオー、道化師の絵にこめられたルオーのやさしい心が伝わってくるとてもいい回顧展だった。

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