2023.10.12

レンブラント 神話画・歴史画ベスト5!

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   ‘アリストテレス’(1653年 メトロポリタン美)

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   ‘イサクとリベカ’(1663~65年 アムステルダム国立美)

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   ‘ダナエ’(1636年頃 エルミタージュ美)

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   ‘ペルシャザルの酒宴’(1635年頃 ナショナルギャラリー)

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   ‘ルクレツィアの自決’(1664年 ワシントン国立美)

レンブラントの人物表現はキリスト教や神話の場面を描いた物語画や歴史上
の人物や話をとりあげた作品でも肖像画と変わりがない。登場する人物に対
し近づき安さを感じ、絵画をみているというより人に会ったような印象があ
る。NYにメトロポリタンにある‘アリストテレス’は今まさに古代の世界に足
を踏み入れた気分になる。大詩人ホメロスの胸像に手を載せて瞑想にふける
アリストテレスの心の深層がじわーっと伝わってくる。

アムステルダム国立美が開館したのは1885年のこと。その年ゴッホは
‘イサクとリベカ’と出会い、‘一切れのパンとともにこの絵の前で2週間座っ
ていられるなら、僕の人生の10年を棒に振ってもいい’と言ったという。
圧倒的な表現に32歳のゴッホは震え衝撃を受けた。目が点になるのがイサ
クの黄金の袖の部分の絵の具の厚みが尋常ではないこと。まるで彫刻の浮彫
り。そこに強い光があたり発光体のように輝いている。最晩年にこんな傑作
を描くのだから、レンブラントは本当にスゴイ画家である。

有名な絵画が盗まれたり傷つけられたりすることがある。1985年6月15
日、エルミタージュ美で大事件が起きた。レンブラントの‘ダナエ’が48歳の
リトアニア人に切りつけられ無残にも硫酸まで浴びせられ絵の30%が破壊さ
れた。この話を知っているので念願のエルミタージュではこの絵を必見リスト
の最上位に記していた。描かれているの変身の術を得意とするゼウスが光にな
ってダナエと合体する場面。ティツィアーノもダナエを描いているが、レンブ
ラントのほうに軍配が上がる。

レンブラントは人があらわにする感情をストレートに表現するのが天才的に上
手い。ロンドンのナショナルギャラリーにある‘ペルシャザルの酒宴’にお目に
かかったとき、視線が集中したのが左でびっくり眼をしている女性。‘神様は
怒っておられるのだ、これは大変なことになった!’、一方、‘ルクレツィアの
自決’は専制的なローマ王の息子のセクストゥスに凌辱をうけ、自害する直前の
決意の瞬間をとらえている。

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2023.10.11

レンブラント 肖像画ベスト5!

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    ‘ニコラース・ルッツの肖像’(1631年 フリックコレクション)

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    ‘布地組合の見本鑑査官たち’(1662年 アムステルダム国立美)

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    ‘修道士に扮するティトゥス’(1662年 アムステルダム国立美)

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    ‘マリア・トリップの肖像’(1639年 アムステルダム国立美)

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   ‘マルハレーテ・デ・ヘールの肖像’(1661年 ナショナルギャラリー)

NYにあるフリックコレクションは人気の画家、フェルメールを3点所蔵し
ているから、フェルメールファンにとっては是非とも足を運びたい邸宅美
術館かもしれない。ここがすごいのはレンブラントもいいのを3点所蔵し
ていること。堂々とした自画像と‘ポーランドの騎手’、そしてアムステルダ
ムで活躍した商人ニコラース・ルッツの肖像。まるで人物の息吹を感じさ
せる見事な肖像画である。この商人につい‘儲かってますか?’と声をかけた
くなる。

アムステルダム国立美をこれまで運よく3度縁があった。2011年に
訪問したときはレンブラントは全部で12点飾ってあった。お目当ての
‘夜警’で感動の袋は大きく膨らむが、ほかにも傑作が次々でてくるからさら
に感動の量が増え、もう袋が破れそうになる。その一枚が集団肖像画の
‘布地組合の見本鑑査官たち’。人物の配置が絶妙でもっとも気になるのが
左からふたり目の鑑査官で、立ち上がろうとして腰を浮かせている。誰か
が来たのだろうか。映画のワンシーンをみているよう。こういうさりげな
い瞬間をドラマのようにみせるのがレンブラント流。

レンブラントが描いた息子の絵は3点お目にかかったが、‘修道士に扮する
ティトゥス’は映画監督レンブラントが息子を俳優にして修道士物語を撮っ
ているようなもの。ティトゥスはなかなかのイケメンだから、いい作品に
仕上がっている。これとみるといつもションコネリーが主演した映画‘薔薇
の名前’を思い出す。

女性の肖像画ではひときわ目を引くレースの細密描写が印象深い‘マリア・
トリップの肖像’が忘れられない。こんなに感動する女性の肖像画はそうは
ない。そして、ロンドンのナショナルギャラリーにある年老いた‘マルハレ
ーテ・デ・ヘールの肖像’にも惹きこまれる。なかなか会えなかったが、
2016年日本であった特別展で遭遇した。

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2023.10.10

レンブラント 自画像ベスト5!

Img_0004_20231010224601     

‘大きな自画像’(1652年 ウィーン美術史美)

Img_20231010224601     ‘52歳の自画像’(1658年 フリックコレクション)

Img_0002_20231010224601     ‘使徒パウロに扮した自画像’(1661年 アムステルダム国立美)

Img_0001_20231010224701     ‘パレットを持つ自画像’(1665年頃 ケンウッドハウス)

Img_0003_20231010224701     ‘自画像’(1669年 マウリッツハイス美)

拙ブログでとりあげる肖像画は大半が女性を描いたもので、男性の肖像画は
多くない。女性画をみるのが絵画鑑賞の一番の楽しみだから、これからもこ
のパターンが続く。でも、レンブラント(1606~1669)は例外扱い
となっており、女性、男性どちらも同じくらい魅了されている。

レンブラントの絵ですぐ思い浮かぶのは代表作の‘夜警’と自画像。生涯に
100点以上の自画像を描いたといわれるが、これほど一貫して自分を描く
ことに執着した画家はほかにいない。これまでお目にかかった作品の中か
らとくに惹かれているものを5点選んでみた。絞りこんだので順位はつけよ
うがないため、描かれた順番に並んでいる。

ウィーン美術史美でみた‘大きな自画像’はレンブラントが46歳のときのもの。
経済的困難がはじまった時期に描かれているが、画家としては働き盛り
の頃で両手を腰にあて質素なアトリエ用の上着を着た自画像を描いている。
これと同様に厳しい表情をしているのがロンドンのケンウッドハウスにあ
る‘パレットを持つ自画像’。このときレンブラントは59歳。2010年
ロンドンを旅行したとき、隣の方は皆さんと名所観光にでかけたが、この絵
がどうしてもみたくて自由行動を選択し喜び勇んで邸宅美術館をめざした。
若い頃ロンドンに3ヶ月住んでいたので地下鉄ノーザンラインには慣れてい
る。圧倒的な存在感のある自画像に遭遇したのは生涯の思い出である。

ニューヨークのフリックコレクションが所蔵する‘52歳の自画像’ではレン
ブラントは豪華な衣裳を身に着けた王様のような姿に変身している。立ち
尽くしてみていた。そして、とても親しみの湧く‘使徒パウロに扮した自画
像’も傑作。レンブラントライトにより額のあたりは光が強く描かれている。
そして、亡くなった年に描かれた63歳の自画像もぐっとくる。2012年
の‘マウリッツハイス美展’(東京都美)に出品されたので目に焼き付いている。
内面が深く表現されており、本当にすばらしい自画像である!

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2023.10.09

レンブラントと三人の女性たち!

Img_20231009224801    ‘フローラに扮したサスキア’(1634年 エルミタージュ美)

Img_0001_20231009224801    ‘サスキアを膝に載せた自画像’(1635年頃 ドレスデン国立絵画館)

Img_0003_20231009224801    ‘水浴する女’(1654年 ナショナルギャラリー)

Img_0005_20231009224801    ‘ヘンドリッケ・ストッフェルス’(1652年頃 ルーヴル美)

Img_0002_20231009224801    

‘ベッドに横たわる女’(1645年頃 スコットランド国立美)

レンブラント(1606~1669)に関わる大きなイベントは4回あった。
その最大なものはアムステルダム国立美でみた代表作‘夜警’、京博で運よく巡
り合った‘目をつぶされるサムソン’。そして、エルミタージュにある有名な
レンブラントコレクションがみれたこと。そのなかで目を奪われたのが‘フロ
ーラに扮するサスキア’。最愛の妻、サスキアを描いたものではドレスデン
国立絵画館で遭遇した‘サスキアを膝に載せた自画像’も一生の思い出である。

映画‘レンブラント 描かれた人生’には‘夜警’が完成する前に30歳で亡くなっ
たサスキアはレンブラントが‘彼女は元気だよ’と皆に言うだけで顔を見せない。
登場するのは‘夜警’を描き上げたあと暗転するレンブラントの人生にあって
息子のティトゥスを献身的に養育してくれたヘールチェと新たに入って来た
若い家政婦ヘンドリッケ。

昨年、国立新美で開催された‘スコットランド国立美名品展‘に出品された‘ベッ
ドに横たわる女’のモデルがヘールチェ。映画での演技をみながらこの女性が嫉妬にくるいレンブラントを婚約不履行で訴え破産に追い込んだ一因をつくったといわれるヘールチェかと、思った。

ヘンドリッケが絵のモデルとなった作品で有名なのがロンドンのナショナルギャラリーが所蔵する‘水浴する女’とルーヴルにある‘バテシバ’。ルーヴルにはヘンドリッケの肖像画もある。この絵はパリでみた覚えがないが、2011年西洋美で行われた‘レンブラント 光の探求/闇の誘惑’でお目にかかった。健康的な明るい女性である。1654年、ヘンドリッケがレンブラントと暮らしはじめて5年になったとき、教会会議に召喚され、未婚での同居生活のために譴責され教会の儀式の一部から追放された。大変な苦労を強いられたが、ヘンドリッケはレンブラントの創作活動を気丈に支えた。映画をみたのでレンブラントの描いた女性につい感情移入してしまう。

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2023.10.08

映画‘サムソンとデリラ’!

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Img_20231008222901    レンブラントの‘目をつぶされるサムソン’(1636年 シュテーデル美)

Img_0002_20231008222901  カラヴァッジョの‘聖マタイの殉教’(1600年 サン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂)

Img_0001_20231008222901    レンブラントの‘サムソンの婚宴’(1638年 ドレスデン国立絵画館)

わが家の映画DVDコレクションは終局に近づいており、今後は好きな映画
を繰り返し観て楽しむステージへと入っていく。現在、集まった映画は
全部で320本、西部劇、戦争映画、神話・歴史劇、伝記映画、サスペン
ス、ミュージカル、コメディ、ラヴ・ロマンス、、いろいろ揃った。昨日、
‘レンブラント 描かれた人生’を紹介したが、レンブラント関連の映画を
つい最近もう1本観た。

それは1949年アメリカで製作された‘サムソンとデリラ’(126分 
カラー)。一度観た覚えがあるが、どんなストーリーだったか全く覚えて
いないので、とてもおもしろかった。この映画をどうしても手に入れたい
と思ったのはレンブラント(1606~1669)の‘目をつぶされるサム
ソン’を2002年京博で開催された‘大レンブラント展’でみたから。

この絵に運よく遭遇したのは生涯の思い出である。だから、‘士師記’にでて
くる怪力のサムソンがデリラに裏切られてその力の象徴となっている髪の
毛を切られた上目をつぶされるという物語をもっと詳しく知りたい。それにはこの映画を観るのが一番いい。サムソンを演じたいかにも映画俳優という感じの美男ヴィクター・マチュアはヘンリー・フォンダ主演の‘荒野の決闘’にも医者くずれの役で出演していたから、前のめりになった楽しんだ。お陰でサムソンに怪力がどうやって備わったかがよくわかった。

10数年間、トランジットでオランダのスキポール空港に寄ったとき、
お店でレンブラント本(英語版)を買った。時間がたっぷりあえるのでぱ
らぱらみていたら、2枚の絵が比較されて載っていた。これに驚愕した。
‘目をつくぶされるサムソン’とカラヴァッジョの‘聖マタイの殉教’。
ありゃー!サムソンと聖マタイがそっくりのポーズで描かれている。そして、
切った髪を手にもって立ち去ろうとするデリラの姿がカラヴァッジョの絵に
描かれた‘ああー、大変だぁー、刺客に殺されちゃう’と手を大きく上げて叫
ぶ男の子(右)と重なる。レンブラントはカラバッジョの絵をみたにちがい
ない!

レンブラントはサムソンをほかにも数点描いている。ドレスデン国立絵画館
でお目にかかった‘サムソンの婚宴’と‘舅を脅かすサムソン’(ベルリン美)
など。婚宴で中央にいるのはサムソンが結婚したペリシテ人の娘セマダール
(デリラの姉)。モデルは最愛の妻サスキア。レンブラントはこのサムソン
の物語への関心が強かったのだろう。

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2023.10.07

映画‘レンブラント 描かれた人生’!

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   レンブラントの‘夜警’(1642年 アムステルダム国立美)

先月の日曜美術館に登場したレンブラント(1608~1669)の‘夜警’
がきっかけとなり、わが家は今、レンブラント物語で盛り上がっている。
TVの番組情報で日美が‘夜警’にスポットをあてることを知り、このタイミン
グでなぜレンブラント?と思った。その疑問は番組をみて解消された。
高性能8Kカメラをアムステルダムにある国立美に持ち込み、‘夜警’の大画
面を隅から隅までばっちり撮影し、NHKのスタジオでその映像を原寸サイ
ズ(363×438cm)でみせてくれた。

8Kの威力が予想以上にすばらしく、美術館の特別展示室の最前列に陣ど
り単眼鏡でみたものよりはるかに細かいところまで浮かび上がらせてくれ
る。たとえば、副隊長の黄金のジャケットの見事な質感描写。レンブラン
トは‘私の絵をそこまで細密に分析しなくてもいいよ、もっと気楽にみたら’
と言うかもしれない。

レンブラントの生まれたライデンはまだ訪問してない。番組のなかでライ
デンの街の一角につくられたレンブラントの彫刻がでてきたので、これを
みたくなった。マウリッツハイス美のあるハーグからは北へそう遠くない
ところにあるし根っからのレンブラント好きなのだから、次回のオランダ
旅行ではなんとか足を運ばなくてはという気持ちになっている。

‘夜警’の最新情報が別の情報を呼び込んでくれた。それはたまに行く映画
DVD中古店で以前から気になっていた‘レンブラント 描かれた人生’を購入
したこと。1936年に製作されたイギリス映画(モノクロ 81分)で
もっと早く見ておけばよかったと思わせる一級の伝記映画だった。レン
ブラントが愛した女性たちのことは一応頭に入っているが、映画で役者が
演じる最愛の妻サスキア、息子の乳母のヘールチェ、そして新しい家政婦
ヘンドリッキェを目の当たりにすると、よりレンブラントをとりまく人間
関係が明確になる。映画をみてますますレンブラントが好きになった。

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2022.12.25

メリークリスマス!

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  ラ・トゥールの‘新生児’(17世紀 レンヌ美)

年末は20日を過ぎてからが忙しい。まず年賀はがきづくり、1ヶ月前
CANONのプリンターを買い替えたので印刷する際はがきのセットの仕方
が変わった。だから、慎重に操作した。上手くいき、ホットした。そのあと
散髪をし、昨日がクリスマスイヴでミニパーティ。わが家は隣の方が鶏肉が
ダメなため、ステーキが定番のコース。ワインもいただく。今年は山梨産の
赤ワイン(ちょっと甘口)にした。今や日本のワインは世界の品評会で高く
評価されるようになってきたから、いつもいつも高価なフランスやイタリア
製を飲むこともないかなと頭が切り替わった。

食後にクリスマス用に販売されたショートケーキを美味しくいただいた。
小さい頃はクリスマスケーキをみんなで切り分けて食べるのが、一番楽しい
ひと時だった。でも、今は小さめのケーキでも甘いのが重く感じるように
なった。久しぶりのケーキなのでぐっと美味しいはずなのにそうでもなく、
以前とは舌の感覚が変わってきた感じ。ケーキを家で食べるのはクリスマス
のときだけ。これは以前からそうなのだが、新型コロナウイルスの感染が
広がる前は年間に何回か宴会に出席するのでケーキを食べる機会があった。
でも、今は宴会そのものが無い。また、昨年はホテルのランチビュッフェに
出かけ最後のスイーツに手をだしていた。それも今年は1回もなし。だん
だんケーキと縁がなくなるような気がしてきた。

今年のクリスマスは例年と違うことをして過ごした。昨日から往年の名ソプ
ラノ歌手、ミレルラ・フレー二(知っている人は知っている)のCD‘わが母
の教え給いし歌’を繰り返し聴いた。ヘンデルの‘オンブラ・マイ・フ
(なつかしい木蔭)’、シューベルトの‘アヴェ・マリア’、ブラームスの‘子守
歌’、グノーの‘アヴェ・マリア’、、、心は清められる思いでクリスマスに流
す音楽としてはもってこいかもしれない。来年以降、恒例の演出として定着
しそう。

今年はキリストの誕生を祝う絵はラ・トゥールの‘新生児’にした。これは
2016年マドリードのプラドで開催された大回顧展で巡りあった。宗教画
ぽくなく、普通の生まれたばかりの赤ちゃんが描かれているのがじつにいい。

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2019.01.11

話題の‘フェルメール展’!

Img_0001     ‘ワイングラス’(1661~62年 ベルリン国立美)

Img_0004     ‘取り持ち女’(1656年 ドレスデン国立古典絵画館)

Img     ‘牛乳を注ぐ女’(1658~60年 アムステルダム国立美)

Img_0002     ‘真珠の首飾りの女’(1662~65年 ベルリン国立美)

日本の美術館でははじめての日時指定入場制を採用して開催されている‘フェルメール展’(2/3まで)をみてきた。10日11時で予約したので11時になるとすぐ入れると思っていたが、10分前に上野の森美に着くと長い行列ができていた。みな11~12:30に予約した人たち、ええー、こんなに並んでいるの!?すぐみれないじゃない、とちょっと焦った。

ところが、その心配は先頭の人が入館をはじめるとすぐ和らいだ。どんどん中に吸い込まれていくので待っているという感じはしない。クレイジーに高いチケット代をとっているので音声ガイドを無料で配っているが、こんな子どもだましのようなサービスをしても好感度は上がらない。

オランダ絵画全体には関心が薄いので係員にいってフェルメール(1632~1675)の絵が飾ってある最後の部屋を案内してもらった。今展示してあるのは7点。お目当ては初対面の‘ワイングラス’と前日から登場した‘取り持ち女’。

定番のTV美術番組、‘日曜美術館’と‘美の巨人たち’でスポットを当てていたのは初の来日となる‘ワイングラス’のグラスや白い壺の精緻な質感描写。たしかに目が点になるほど材質のリアルさを徹底的に表現している。また、床のタイルが右の奥の方からこちらのほうに落ち込んでいるようにみえる。

これに対して以前ドレスデン美へ行ったとき見逃した‘取り持ち女’は初期の風俗画、画面は宗教画の‘マルタとマリアの家のキリスト’同様、画面は後に描かれた作品にくらべるとひとまわり大きいが、人物の顔や手の描き方が緻密な描写とはいえずぼやっとしている。だから、絵の出来としては中途半端な感じ。

この2点をみたのでフェルメールのコンプリートにリーチがかかった。だが、残る一枚‘音楽のレッスン’(バッキンガム、宮殿王室コレクション)にめぐり会えるかはまったく目途が立たない。ロンドンにまた出かけることがあれば事前にクイーンズ・ギャラリーのHPのチェックは欠かさないつもりだが、ここに展示されるかどうかよくわからない。

もっともありがたいのはどこかの美術館が5年後?くらいにフェルメール展を開催してこの絵をもってきてくれること。待ちのスタンスではコンプリートにはならないと思うが、あまりこだわってない。

今回、アムステルダム国立美から最も有名な‘牛乳を注ぐ女’がやって来た。絵の完成度でいうとやはりこの絵画がNO.1。家政婦が牛乳を注ぐところを正面から描くという斬新さに加えラピスラズリの青の輝きが本当に美しい。そして、柔らかい光が差し込む部屋の静けさが心をやさしくつつんでくれる。

描かれた女性がもっている愛らしさに魅了されるのが‘真珠の首飾りの女’、またみれるとは思ってもいなかった。マウリッツハイス美の‘真珠の首飾りの少女’とこの絵は毎年でもみたくなる。

さて、次のフェルメール展に期待したい作品は何か、ズバリ、マウリッツハイスにある‘デルフトの眺望’!この絵は美術館の内規で貸し出さないことになっている気がするが、日本とオランダの良好な関係からすると無理を聞いてもらえる可能性がゼロではない。チャレンジしてくれる美術館がでてくるだろうか。

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2019.01.07

‘初夢’展覧会! その三

Img_0002 カラヴァッジョの‘聖トーマスの不信’(1601年 サン・スーシ宮殿)

Img_0001_2カラヴァッジョの‘洗礼者ヨハネの斬首’(1608年 サン・ジョヴァンニ大聖堂)

Img レンブラントの‘ヤン・シックス’(1654年 シックス・コレクション)

今週の木曜日、10日に上野の森美で行われている‘フェルメール展’(10/5~2/3)へ出かけることになっている。予約した時間は11時。お目当ては今回出品されたフェルメール(1632~1675)で最後に登場する‘取り持ち女’と会期中出ずっぱりの‘紳士とワインを飲む女’。ほかの画家にはあまり関心がないので鑑賞時間は40分くらいの予定。

西洋絵画史のなかで17世紀はルネサンスのあと新しい絵画を切り開いた画家がたくさんでた時代である。バロック絵画の扉を開いたカラヴァッジョ(1571~1610)、バロックの王となったルーベンス(1577~1640)、そしてカラヴァッジョの影響をうけたレンブラント(1606~1669)、ラ・トゥール(1593~1652)、ベラスケス(1599~1660)、そして最後がフェルメール。

この6人については画集に載っている主要作品を全部目に入れようとこれまで海外の美術館をまわってきた。そして、運がいいことにそうした名画に遭遇してきたので、わが身にセレンディピティ(思わぬ幸運に偶然出会う能力)があるのかなと気をよくしている。

例えば、フェルメールは上述の2点が日本にやって来てくれたおかげでコンプリートにリーチがかけられる。残る1点は‘音楽の稽古’(バッキンガム、宮殿王室コレクション)。でも、この絵の展示情報がよくわからないため、どういう風な形でゴールするかまったくイメージができない。だから、日本で公開される機会をじっと待っていようというスタンス。

これに対して200%惚れこんでいるカラヴァッジョはまだ縁のないのが5点くらい残っているのでさらに追っかけエネルギーの注入が必要。2010年の大カラヴァッジョ展(ローマ)をみたことでカラヴァッジョにぐぐーんと接近したとはいえ現状に満足してはいられない。

残っている作品で見たい度の強いのはポツダムのサンス―シ宮殿にある‘聖トーマスの不信’とマルタの大聖堂に飾ってある‘洗礼者ヨハネの斬首’。ポツダムは2度目にベルリン旅行で足をのばすことにしているが、マルタへの段取りはまだ手つかず。この2点と対面できれば肩の荷がおりるのだが、果たして。

今年はまた日本でカラヴァッジョ展が開催される。だが、東京では開かれない。巡回展は次のようになっている。
★北海道近美:8/10~10/14
★名古屋市美:10/26~12/15
★あべのハルカス美:12/26~2/16

出品される数は10点くらいで初登場は3点、ローマのボルゲーゼ美にある‘病めるバッカス’(札幌のみ)、‘ゴリアテの首を持つダヴィデ’(名古屋のみ)、そしてバルベリーニ美蔵の‘ユディトとホロフェルネス’(大阪のみ)。いずれもすでに鑑賞済みだが、大阪で気合を入れたユディトと再会することにしている。

レンブラントはアムステルダム国立美やエルミタージュ美、メトロポリタン美などを訪問したので見たい絵は少なくなっている。残っているものでなんとかしたいのはアムステルダムのシックス・コレクションがもっている‘ヤン・シックス’。この絵は展覧会にでてくることがあるのだろうか。今のところまったく情報がない。

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2018.12.08

リヒテンシュタイン侯爵家自慢のルーベンスコレクション!

Img_0001 ‘エリクトニオスを発見するケプクロスの娘たち’(1615~16年 リヒテンシュタイン侯爵家) 

Img ‘マルスとレア・シルウィア’(1616~17年 リヒテンシュタイン侯爵家)

Img_0004 ‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’(1615~16年 リヒテンシュタイン侯爵家)

Img_0002 ‘ヴィーナス、マルスとキューピッド’(1630年代 ダリッジ絵画館)

上野の西洋美では現在‘ルーベンス展’(10/16~1/20)が開催されている。日本でルーベンス(1577~1640)の回顧展をみるのははじめてのこと。ルーベンスの作品は元来大きなものが多くこれらをもってくるのは大変なことだとわかっているので、これまでは日本の美術館でルーベンスをみることははなから期待していない。

ところが、6年前国立新美にリヒテンシュタイン侯爵家が所蔵するルーベンスの傑作が8点もやって来たあたりから流れが変わってきた。今回西洋美がチャレンジしてくれたルーベンス展には2度目の公開となるリヒテンシュタイン侯爵家のルーベンスコレクションを軸にして海外の美術館などから40点が集結している。

ここはヨーロッパの美術館かと錯覚させるほどすばらしい作品が並んでいるのが最後の部屋。最も魅了されるのがリヒテンシュタイン侯爵家の‘エリクトニオスを発見するケプクロスの娘たち’と再登場した‘マルスとレア・シルウィア’。まさに一級のルーベンス。いろんな事情で日本ではルーベンスの傑作はほとんどお目にかかれないが、ようやくルーベンスの真髄をみてとれる絵が披露された。本当にすばらしい!

そして、ロンドンのダリッジ絵画館から出品された‘ヴィーナス、マルスとキューピッド’の完成度の高さにも惚れ惚れする。ヴィーナスの肌の輝きをみて2010年にプラド美で遭遇したルーベンス展で味わった感動が蘇った。この絵は以前からマークしていたが、ロンドンに行かずにみれるのだから言うことなし。流石、西洋美!

入館してすぐ出迎えてくれるのが‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’、この愛らしい少女の絵も再度お目みえ。じつはリヒテンシュタインのコレクションにはもう一枚みたい肖像画がある。‘ルーベンスの息子アルベルトと二コラ―ス’(1626年)、クララよりこちらを望んでいたが叶わなかった。どうやらウィーンにある館へ足を運ぶしかなさそう。

ほかにもエルミタージュ美やローマのボルゲーゼ美の画集に載っている作品やマドリードからやって来た大作‘聖アンデレの殉教’などが飾られている。もういちど出かけるかもしれない。

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