2019.01.11

話題の‘フェルメール展’!

Img_0001     ‘ワイングラス’(1661~62年 ベルリン国立美)

Img_0004     ‘取り持ち女’(1656年 ドレスデン国立古典絵画館)

Img     ‘牛乳を注ぐ女’(1658~60年 アムステルダム国立美)

Img_0002     ‘真珠の首飾りの女’(1662~65年 ベルリン国立美)

日本の美術館でははじめての日時指定入場制を採用して開催されている‘フェルメール展’(2/3まで)をみてきた。10日11時で予約したので11時になるとすぐ入れると思っていたが、10分前に上野の森美に着くと長い行列ができていた。みな11~12:30に予約した人たち、ええー、こんなに並んでいるの!?すぐみれないじゃない、とちょっと焦った。

ところが、その心配は先頭の人が入館をはじめるとすぐ和らいだ。どんどん中に吸い込まれていくので待っているという感じはしない。クレイジーに高いチケット代をとっているので音声ガイドを無料で配っているが、こんな子どもだましのようなサービスをしても好感度は上がらない。

オランダ絵画全体には関心が薄いので係員にいってフェルメール(1632~1675)の絵が飾ってある最後の部屋を案内してもらった。今展示してあるのは7点。お目当ては初対面の‘ワイングラス’と前日から登場した‘取り持ち女’。

定番のTV美術番組、‘日曜美術館’と‘美の巨人たち’でスポットを当てていたのは初の来日となる‘ワイングラス’のグラスや白い壺の精緻な質感描写。たしかに目が点になるほど材質のリアルさを徹底的に表現している。また、床のタイルが右の奥の方からこちらのほうに落ち込んでいるようにみえる。

これに対して以前ドレスデン美へ行ったとき見逃した‘取り持ち女’は初期の風俗画、画面は宗教画の‘マルタとマリアの家のキリスト’同様、画面は後に描かれた作品にくらべるとひとまわり大きいが、人物の顔や手の描き方が緻密な描写とはいえずぼやっとしている。だから、絵の出来としては中途半端な感じ。

この2点をみたのでフェルメールのコンプリートにリーチがかかった。だが、残る一枚‘音楽のレッスン’(バッキンガム、宮殿王室コレクション)にめぐり会えるかはまったく目途が立たない。ロンドンにまた出かけることがあれば事前にクイーンズ・ギャラリーのHPのチェックは欠かさないつもりだが、ここに展示されるかどうかよくわからない。

もっともありがたいのはどこかの美術館が5年後?くらいにフェルメール展を開催してこの絵をもってきてくれること。待ちのスタンスではコンプリートにはならないと思うが、あまりこだわってない。

今回、アムステルダム国立美から最も有名な‘牛乳を注ぐ女’がやって来た。絵の完成度でいうとやはりこの絵画がNO.1。家政婦が牛乳を注ぐところを正面から描くという斬新さに加えラピスラズリの青の輝きが本当に美しい。そして、柔らかい光が差し込む部屋の静けさが心をやさしくつつんでくれる。

描かれた女性がもっている愛らしさに魅了されるのが‘真珠の首飾りの女’、またみれるとは思ってもいなかった。マウリッツハイス美の‘真珠の首飾りの少女’とこの絵は毎年でもみたくなる。

さて、次のフェルメール展に期待したい作品は何か、ズバリ、マウリッツハイスにある‘デルフトの眺望’!この絵は美術館の内規で貸し出さないことになっている気がするが、日本とオランダの良好な関係からすると無理を聞いてもらえる可能性がゼロではない。チャレンジしてくれる美術館がでてくるだろうか。

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2019.01.07

‘初夢’展覧会! その三

Img_0002 カラヴァッジョの‘聖トーマスの不信’(1601年 サン・スーシ宮殿)

Img_0001_2カラヴァッジョの‘洗礼者ヨハネの斬首’(1608年 サン・ジョヴァンニ大聖堂)

Img レンブラントの‘ヤン・シックス’(1654年 シックス・コレクション)

今週の木曜日、10日に上野の森美で行われている‘フェルメール展’(10/5~2/3)へ出かけることになっている。予約した時間は11時。お目当ては今回出品されたフェルメール(1632~1675)で最後に登場する‘取り持ち女’と会期中出ずっぱりの‘紳士とワインを飲む女’。ほかの画家にはあまり関心がないので鑑賞時間は40分くらいの予定。

西洋絵画史のなかで17世紀はルネサンスのあと新しい絵画を切り開いた画家がたくさんでた時代である。バロック絵画の扉を開いたカラヴァッジョ(1571~1610)、バロックの王となったルーベンス(1577~1640)、そしてカラヴァッジョの影響をうけたレンブラント(1606~1669)、ラ・トゥール(1593~1652)、ベラスケス(1599~1660)、そして最後がフェルメール。

この6人については画集に載っている主要作品を全部目に入れようとこれまで海外の美術館をまわってきた。そして、運がいいことにそうした名画に遭遇してきたので、わが身にセレンディピティ(思わぬ幸運に偶然出会う能力)があるのかなと気をよくしている。

例えば、フェルメールは上述の2点が日本にやって来てくれたおかげでコンプリートにリーチがかけられる。残る1点は‘音楽の稽古’(バッキンガム、宮殿王室コレクション)。でも、この絵の展示情報がよくわからないため、どういう風な形でゴールするかまったくイメージができない。だから、日本で公開される機会をじっと待っていようというスタンス。

これに対して200%惚れこんでいるカラヴァッジョはまだ縁のないのが5点くらい残っているのでさらに追っかけエネルギーの注入が必要。2010年の大カラヴァッジョ展(ローマ)をみたことでカラヴァッジョにぐぐーんと接近したとはいえ現状に満足してはいられない。

残っている作品で見たい度の強いのはポツダムのサンス―シ宮殿にある‘聖トーマスの不信’とマルタの大聖堂に飾ってある‘洗礼者ヨハネの斬首’。ポツダムは2度目にベルリン旅行で足をのばすことにしているが、マルタへの段取りはまだ手つかず。この2点と対面できれば肩の荷がおりるのだが、果たして。

今年はまた日本でカラヴァッジョ展が開催される。だが、東京では開かれない。巡回展は次のようになっている。
★北海道近美:8/10~10/14
★名古屋市美:10/26~12/15
★あべのハルカス美:12/26~2/16

出品される数は10点くらいで初登場は3点、ローマのボルゲーゼ美にある‘病めるバッカス’(札幌のみ)、‘ゴリアテの首を持つダヴィデ’(名古屋のみ)、そしてバルベリーニ美蔵の‘ユディトとホロフェルネス’(大阪のみ)。いずれもすでに鑑賞済みだが、大阪で気合を入れたユディトと再会することにしている。

レンブラントはアムステルダム国立美やエルミタージュ美、メトロポリタン美などを訪問したので見たい絵は少なくなっている。残っているものでなんとかしたいのはアムステルダムのシックス・コレクションがもっている‘ヤン・シックス’。この絵は展覧会にでてくることがあるのだろうか。今のところまったく情報がない。

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2018.12.08

リヒテンシュタイン侯爵家自慢のルーベンスコレクション!

Img_0001 ‘エリクトニオスを発見するケプクロスの娘たち’(1615~16年 リヒテンシュタイン侯爵家) 

Img ‘マルスとレア・シルウィア’(1616~17年 リヒテンシュタイン侯爵家)

Img_0004 ‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’(1615~16年 リヒテンシュタイン侯爵家)

Img_0002 ‘ヴィーナス、マルスとキューピッド’(1630年代 ダリッジ絵画館)

上野の西洋美では現在‘ルーベンス展’(10/16~1/20)が開催されている。日本でルーベンス(1577~1640)の回顧展をみるのははじめてのこと。ルーベンスの作品は元来大きなものが多くこれらをもってくるのは大変なことだとわかっているので、これまでは日本の美術館でルーベンスをみることははなから期待していない。

ところが、6年前国立新美にリヒテンシュタイン侯爵家が所蔵するルーベンスの傑作が8点もやって来たあたりから流れが変わってきた。今回西洋美がチャレンジしてくれたルーベンス展には2度目の公開となるリヒテンシュタイン侯爵家のルーベンスコレクションを軸にして海外の美術館などから40点が集結している。

ここはヨーロッパの美術館かと錯覚させるほどすばらしい作品が並んでいるのが最後の部屋。最も魅了されるのがリヒテンシュタイン侯爵家の‘エリクトニオスを発見するケプクロスの娘たち’と再登場した‘マルスとレア・シルウィア’。まさに一級のルーベンス。いろんな事情で日本ではルーベンスの傑作はほとんどお目にかかれないが、ようやくルーベンスの真髄をみてとれる絵が披露された。本当にすばらしい!

そして、ロンドンのダリッジ絵画館から出品された‘ヴィーナス、マルスとキューピッド’の完成度の高さにも惚れ惚れする。ヴィーナスの肌の輝きをみて2010年にプラド美で遭遇したルーベンス展で味わった感動が蘇った。この絵は以前からマークしていたが、ロンドンに行かずにみれるのだから言うことなし。流石、西洋美!

入館してすぐ出迎えてくれるのが‘クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像’、この愛らしい少女の絵も再度お目みえ。じつはリヒテンシュタインのコレクションにはもう一枚みたい肖像画がある。‘ルーベンスの息子アルベルトと二コラ―ス’(1626年)、クララよりこちらを望んでいたが叶わなかった。どうやらウィーンにある館へ足を運ぶしかなさそう。

ほかにもエルミタージュ美やローマのボルゲーゼ美の画集に載っている作品やマドリードからやって来た大作‘聖アンデレの殉教’などが飾られている。もういちど出かけるかもしれない。

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2018.03.07

見逃せないプラド美のベラスケス!

Img_0002     ‘王太子バルタサール・カルロス騎馬像’(1635年)

Img_0001     ‘東方三博士の礼拝’(1619年)

Img          ‘軍神マルス’(1638年)

Img_0003     ‘彫刻家モンタ二ェースの肖像’(1635年)

スペインのマドリードにあるプラド美はルーヴルやエルミタージュ同様日本との相性がとてもよく、過去に何度も名品展が開催された。西洋美では2011年にゴヤ展があり、あの‘着衣のマハ’がやって来た。今回、西洋美がスポットをあてたのはベラスケス(1599~1660)。なんと7点出品された。だから、この‘プラド美展 ベラスケスと絵画の栄光’(2/24~5/27)は見逃すわけにはいかない。

マドリード観光の目玉になっているのがプラドでの絵画鑑賞、ここで誰もが必見名画としてチェックしているのがベラスケスの‘ラス・メニーナス’、絵画にあまり縁がない人でも話の種にこの絵にはしっかり食いつく。ルーヴルのダ・ヴィンチの‘モナリザ’と同じようにこの絵は美術館の至宝中の至宝。

jでは、ベラスケスで2番目にいいのはどれか、ほかの人の好みは横に置くとして即座に答えたくなるのは初来日した‘王太子バルタサール・カルロス騎馬像’。ベラスケスはフェリペ4世やイサベル、オリバーレス公伯爵の騎馬像も描いているが、いずれも横向きの構図。これより正面をむいたカルロスのほうについ見惚れてしまう。可愛くてカッコいい騎馬像に乾杯!

ツアーでプラドに入館するときは時間が限られているので忙しい鑑賞になってしまうが、ホームグランドに来てくれると一点々をじっくり楽しめる。しかも、今回は7点も揃った。だから、ベラスケスの豊かな才能に深くふれられる絶好の機会となった。

‘東方三博士の礼拝’は光の描写がカラヴァッジョの絵を連想させるが、ベラスケスがこれを描いたのは20歳のとき。やはりベラスケスはものがちがう。息を呑む写実表現が心をとらえて離さない絵でまだみていないのが1点ある。この絵と同じころに描かれた‘セビーリャの水売り’(ロンドン ウエリントン美)。会えるだろうか。

ベラスケスの肖像画の魅力は人物の生身の感覚が伝わってくること。‘軍神マルス’に荒々しさやいかめしさは無くちょっと疲れた表情の一人の兵士が寂しげに座っている。一方、‘彫刻家フアン・マルティネス・モンタニェースの肖像’は腕のいい彫刻家の気合の入った姿が目に焼きつく。

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2016.12.24

メリークリスマス!

Imgボスの‘東方三博士の礼拝’(1495~1516年 フィラデルフィア美)

Img_0002     ラ・トゥールの‘生誕(新生児)’(17世紀 レンヌ市美)

Img_0003    ラ・トゥールの‘羊飼いの礼拝’(1640年以降 ルーヴル美)

今日はクリスマスイブ、今年も残りわずかとなった。23日が天皇誕生日のため3連休になる人もいるだろうが、その流れで28日までは会社に行かなてはならないご主人を残して、子どもを連れてさっさと実家に帰ってしまう奥さんたちもいるにちがいない。そのとき‘あなた、家を出るとき電気ちゃんと消しておいてよ!’なんていっているかも。

クリスマスイブといっても夕食に特別豪華な食事がテーブルにならぶわけではないが、例年ステーキを食べることになっている。いつもは赤ワインだが、もらいものの缶ビールが相当残っているので今年はワインにかわってビールで乾杯した。

そのあとのスイーツは定番のショートケーキ、今年は宴会やパーティーに参加することが少なかったのでこういうショートケーキを食べる回数は年にほんの数回。4,5年前はミッドタウンのサントリー美へ出かけたとき有名なパティシエがいる‘よろいづか’で創作ケーキを買って帰っていたが、今はケーキへのこだわりが消えかかっている。

じつは一年前から週3回昼と夜にもうけていた食後のスイーツを無しにしている。だから、クリスマスとか正月、そしてGWのときを除いてカステラ、菓子パン、シュークリームとかは口にしてない。この習慣と土日の水泳の効果により体重が7キロ減少した。2か月前に目標の体重に到達したのでもうスイーツ断ちはしなくてもいいのだが、全面解禁には少し躊躇している。

キリスト誕生を描いた作品は数多くあるが、今年はマドリードのプラドでみた‘ボス展’(5/31~9/25)と‘ラ・トゥール展’(2/23~6/12)でも遭遇した。フィラデルフィア美が所蔵しているボスの‘東方三博士の礼拝’は現地に2回足を運んだのになぜか姿をみせてくれなかったもの、そして、ラ・トゥールの描くキリストの誕生はまさに生まれたばかりの赤ちゃん。これは宗教画というよりはすばらしい風俗画、このリアリティのある描写を立ち尽くしてみていた。

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2016.12.14

2016年 感動の西洋絵画 ベスト10!

Img_0001  ラ・トウールの‘楽士たちのいさかい’(1630年 ポール・ゲッテイ美)

Imgブリューゲルの‘聖マルティンのワイン祭り’(部分 1567年 プラド美)

Img_0002     ワイエスの‘遥か彼方に’(1952年)

カラヴァッジョ(1571~1610)とラ・トウール(1593~1652)に強く惹かれているのは二人がとびっきりいい風俗画を描いてくれたから。プラド美で行われたラ・トウール展(2/23~6/12)にはその風俗画の傑作がずらっと揃った。まったく夢の絵画館に迷いこんだみたいで期待した作品がここにもあそこにも飾ってある。

‘楽士たちのいさかい’はLAのポール・ゲッティ美の自慢のコレクション、まだ縁のないLAで美術館めぐりをするときは追っかけリストの一番上にくるはずだったのがこの絵。よもやマドリードで対面するとは思ってもいなかった。人生何がおこるかわからない。

風俗画は描かれた世界が身近に感られるほど画面に引き込まれる。右の男は‘しょうがないなー、また喧嘩しちゃって。やめとけ、やめとけ’といっているようだし、左の老女は‘うちの父ちゃん大変なことになっちまったよ、痛めつけられないように、どうか神様助けて下さい!’と体をふるわせて祈っている。

プラドの常設展示室で真っ先に目指したのが1階の56A室、ここに2010年9月に発見されたブリューゲル(1525~1569)の‘聖マルティンのワイン祭り’が飾ってある。幅2.7mの大作。画像は新酒のワインを大勢の男たちがわれ先にと争って飲んでいる場面、ギリシャ神話のバッカスの話と同じようにお酒のピッチがあがると陽気な空気はだんだん乱暴になっていきはては喧嘩がはじまる。今、街では忘年会のまっさかり、この絵と似たような光景がときどきおこっていそう。

プラドのすぐ近くにあるティッセンボルネミッサ美は2度目の入館、前回見逃した作品をリカバリーできればいいなと軽い気持ちだったが、地下の展示室でサプライズの特別展が開かれていた。なんとあのワイエス(1917~2009)の回顧展。これですぐ‘見るぞ’モードのスイッチが入った。

最も心をゆすぶったのがワイエスが35歳のときに描いた‘遥か彼方に’、NYのMoMAにある‘クリスチーナの世界’にみられる描写と同じように大地の草の一本々が丹念に描かれている。小児マヒで足が動かなかったクリスチーナは後向きの座った姿、そしてこの少女は膝頭を抱えて真正面をみすえている。こんないい絵をみれたのは幸運だった。ミューズに感謝!

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2016.05.09

カラヴァッジョの‘バッカス’へのこだわり!

Img_0002  カラヴァッジョの‘バッカス’(1597~98年 ウフィッツイ美)

Img_0001     フラスコに描かれた自画像

Img  シモン・ヴ―エの‘女占い師’(1620年 フィレンツェ ピッティ宮)

Img_0003     ジャコモ・マッサの‘聖ヒエロニムス’(ローマ バルベニーニ宮)

西洋美で開催されている‘カラヴァッジョ展’(3/1~6/12)をまた見に行った。これで3度目。足が何度も向かうのはカラヴァッジョに腹の底から参っているからだが、もうひとつは20代の作品‘バッカス’に描かれた自画像をどうしてもつきとめたいから。

4月に放送された日曜美術館でその自画像の場所がはっきり示された。2回目のときなんとか確認したはずだった人の顔とはまったくちがっていた。大カラヴァッジョ展(2010年 ローマ)の図録をみていてふと気がついたところはフラスコの右下の白くなっている部分。確かに顔が左斜め前から描かれた男が映っているのだが、、

番組をみたあと、件の図録で拡大された図版をみてみたが解説されたところには何もうつってない。だから、この絵をまたみたときちゃんと確認できるか心配だった。でも、絵の前に立ったらその心配はすぐ消えた。これでスッキリしたが、あの右下の男の顔は何だったのか? 忘れることにした。

この展覧会が終わると、カラヴァッジョをまとまった形でみるのはだいぶ先になる。そう思うと今回でているカラヴァッジョへの思い入れは一段と強くなる。そこで入口のところへもどって‘女占い師’から一点ずつ時間をかけてみた。

また、カラヴァッジェスキの作品にも気持ちがぐっと入っていく。そのなかでシモン・ヴ―エ(1590~1649)の活気のある風俗画‘女占い師’とラ・トウールの光の表現がダブってみえるジャコモ・マッサの‘聖ヒエロニムス’を長くみていた。

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2016.04.14

ビッグニュース!フランスにカラヴァッジョの絵があった

Img

Img_0001   トゥールーズの住居の屋根裏から見つかったカラヴァッジョの絵

Img_0002  ‘ホロフェルネスの首を斬るユディット’(1599年 バルベリーニ国立古典美)

フランスからカラヴァッジョ(1571~1610)の絵が住居の屋根裏からでてきたというビッグニュースが飛び込んできた。場所はフランス南西部のトゥールーズ(拡大地図で)、ここに150年くらい眠っていたとのこと。そのため保存状態がとてもいい、2014年に見つかって専門家たちがいろいろ鑑定して真作という確信を得たことで発表された。

描かれているのは‘ホロフェルネスの首を斬るユディット’、画像が鮮明ではないが本物のようにみえる。ローマのバルベリーニ国立古典美に同じ場面を描いたものがあるので、カラヴァッジョは2点仕上げていたことになる。俄然みたくなった。

イタリアのことを教えてもらっているローマ在住のcucciolaさんの記事によるとフランス政府はすぐに国宝に指定したようでそのため国外への持ち出しは禁止されている。こういうビッグネームの作品がでてくるとその価値が気になるところ。美術史家のテュルカン氏は最高で1億2000万ユーロ、150億円くらいの値がつくと予想している。

現在、フランスの美術館あるいは個人が所蔵するカラヴァッジョはルーヴルにある‘聖母の死’と‘女占い師’、‘アロフ・ド・ヴィニャクールの肖像’の3点、さてこの絵をどこの美術館が手にいれるのだろうか。旅行のしやすさからいうとやはりパリでみたいからルーヴルにおさまってくれるのがベスト、さてどうなるか。

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2016.04.01

カラヴァッジョ、ベラスケスとつながるマネ!

Img_0002     カラヴァッジョの‘いかさま師’(1595年 フォートワース キンベル美)

Img     マネの‘ラテュイユ親父の店’(1879年 トゥルネ美)

Img_0001  ベラスケスの‘鏡をみるヴィーナス’(1651年 ロンドン ナシュナルギャラリー) 

Img_0003    マネの‘フォリー=ベルジェールのバー’(1882年 ナショナルギャラリー)

好きな絵を何度も何度もみていると、よく似た絵がでてくるとつい2つの絵を結びつけたくなる。カラヴァッジョ(1571~1610)の初期の作品、‘いかさま師’に大変魅せられている。2010年ローマで大回顧展があったとき、意を決して出かけようと思ったのは普段はアメリカのキンベル美(テキサス州 フォートワース)に飾られているこの絵が出品されていたから。

それほど思い入れのあるこの絵にちょうど同じころ日本でみたある絵が最接近してきた。その絵は三菱一号館美の開館記念として行われたマネ(1832~1883)の回顧展にベルギーのトゥルネ美からやって来た‘ラテュイユ親父の店’。

2つの絵をしばらくみているうちにマネは‘いかさま師’を下敷きにして描いたんだと直感した。素直にみたらカラヴァッジョとマネは結びつく。‘いかさま師’に描かれたトランプを後ろに持っている右の男の横顔がマネの絵の椅子に座りテーブルの上に手を置いている女性の顔と非常に似ている。そして、その女性を恋心丸出しでみているいる男のぎょろっとした目がこれまた‘いかさま師’の純真な若い男の持ち札を教えている武骨な男と重なってくる。マネに‘カラヴァッジョを意識したのでは?’と聞いたら、‘そうだよ、気がついた’と応えるにちがいない。

マネの作品にはもうひとつ先達の作品がインスピレーションを与えたのではないかと思わせる絵がある。ロンドンのコートールド美にある晩年の傑作‘フォリー=ベルジェールのバー’、この絵はちょっと複雑な構図になっている。中央の寂しげな表情をした給仕娘と右奥にいる男の客に対応している後ろ向きの女は一見すると別人のようにみえる。

ところが、じつは同じ人物。正面を向いている女の後ろに鏡がありそこにこの女の後ろ姿が映っているのである。説明書きなしでこの絵をみると10人いたら10人が2人の給仕女が描かれていると思うだろう。鏡に映る後ろ姿をトリックのように描くアイデアはどこからきたのか?

それはマネが敬愛していたベラスケス(1599~1660)の作品ではないかと勝手に想像している。その絵はロンドンのナショナルギャラリーにある‘鏡をみるヴィーナス’。ベラスケスは2度目のイタリア滞在のときスペインでは御法度の裸婦図を描いた。モデルはこちらをむかせずその顔をキューピッドが持つ鏡でちらっとみせている。ローマにいるからといって裸婦をティツイアーノのように大胆には描けない。で、ベラスケスはこういう構図にした。その気持ちはよくわかる。

マネはベラスケスが小道具に使った鏡を自分の絵にどんと持ち込んだが、ぱっとみると鏡に映った女が主役の女とはみえないような描き方はした。鏡により人物をトリック的に変容させる表現がとてもおもしろい。

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2016.03.29

マドリードにあるカラヴァッジョ!

Img_0003    マドリード 王宮

Img_0001     ‘サロメ’(1610年 王宮)

Img ‘アレクサンドリアの聖カタリナ’(1597年 テイッセン・ボルネミッサ美)

Img_0002     ‘ゴリアテを負かしたダヴィデ’(1600年 プラド美)

現在、西洋美で行なわれているカラヴァッジョ展(3/1~6/12)に連動したTVの美術番組がわかった。
★4/8(金) PM10時 NHK総合 ‘カラヴァッジョ・光と闇のエクスタシー’
★4/17(日) AM9時 日曜美術館 ‘カラヴァッジョ世界初公開の傑作’

NHKは展覧会の主催者に名を連ねているのでカラバッジョの特集を必ず組むと思っていたが2本立て。総合のものは番組ガイドによるとタイトルのあとに‘ヤマザキマリと北村一輝?のイタリア’が続く。ローマには詳しい漫画家のヤマザキマリがどんな切り口でカラヴァッジョに迫るのか興味津々。

テレビ東京の人気美術番組‘美の巨人たち’は4月カラヴァッジョは登場しない。今制作中なのかもしれない。この番組では2012年に‘エマオの晩餐’(ロンドン ナショナルギャラリー)、そして2014年に‘いかさま師’(フォートワース キンベル美)がとりあげられた。2回ともすごくよくできていたので、次に選ばれる作品も期待できそう、さてどの絵か?

昨年12月、NYのメトロポリタン美でカラヴァッジョを3点みたが、今年もまた海外でみられるかもしれない。6月のはじめプラド美を訪問しボスとラ・トゥールの回顧展をみることになっている。パスポートの更新も済ませたのであとは出発の日を待つだけ。

マドリードで一日自由行動する予定だが、二つの回顧展が最優先のためまだお目にかかってない‘サロメ’(王宮)や2011年のスペイン旅行のときティッセン・ボルネミッサ美で心を奪われた‘アレクサンドリアの聖カタリナ’と対面できるかどうかわからない。というのも、ボス展は大盛況となる可能性が高いので入館に長い待ち時間ができることは十分予想される。朝一番に並ぶつもりだが、どういう状況になるのか読めない。

ボスとラ・トゥールがうまくまわれば、そのあとの時間をプラドの通常展示の鑑賞や王宮、ティッセン・ボルネミッサ美の訪問に使える。なんとかして‘サロメ’の前に立ちたいが、そもそもこの絵がいつも公開されているのかまだつかめてない。そのチェックを出発前にしておくつもり。

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