レンブラント 神話画・歴史画ベスト5!
‘イサクとリベカ’(1663~65年 アムステルダム国立美)
‘ペルシャザルの酒宴’(1635年頃 ナショナルギャラリー)
レンブラントの人物表現はキリスト教や神話の場面を描いた物語画や歴史上
の人物や話をとりあげた作品でも肖像画と変わりがない。登場する人物に対
し近づき安さを感じ、絵画をみているというより人に会ったような印象があ
る。NYにメトロポリタンにある‘アリストテレス’は今まさに古代の世界に足
を踏み入れた気分になる。大詩人ホメロスの胸像に手を載せて瞑想にふける
アリストテレスの心の深層がじわーっと伝わってくる。
アムステルダム国立美が開館したのは1885年のこと。その年ゴッホは
‘イサクとリベカ’と出会い、‘一切れのパンとともにこの絵の前で2週間座っ
ていられるなら、僕の人生の10年を棒に振ってもいい’と言ったという。
圧倒的な表現に32歳のゴッホは震え衝撃を受けた。目が点になるのがイサ
クの黄金の袖の部分の絵の具の厚みが尋常ではないこと。まるで彫刻の浮彫
り。そこに強い光があたり発光体のように輝いている。最晩年にこんな傑作
を描くのだから、レンブラントは本当にスゴイ画家である。
有名な絵画が盗まれたり傷つけられたりすることがある。1985年6月15
日、エルミタージュ美で大事件が起きた。レンブラントの‘ダナエ’が48歳の
リトアニア人に切りつけられ無残にも硫酸まで浴びせられ絵の30%が破壊さ
れた。この話を知っているので念願のエルミタージュではこの絵を必見リスト
の最上位に記していた。描かれているの変身の術を得意とするゼウスが光にな
ってダナエと合体する場面。ティツィアーノもダナエを描いているが、レンブ
ラントのほうに軍配が上がる。
レンブラントは人があらわにする感情をストレートに表現するのが天才的に上
手い。ロンドンのナショナルギャラリーにある‘ペルシャザルの酒宴’にお目に
かかったとき、視線が集中したのが左でびっくり眼をしている女性。‘神様は
怒っておられるのだ、これは大変なことになった!’、一方、‘ルクレツィアの
自決’は専制的なローマ王の息子のセクストゥスに凌辱をうけ、自害する直前の
決意の瞬間をとらえている。
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