2009.10.28

フェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’が来年7月にやってくる!

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今日の朝、ビッグニュースがとびこんできた。朝日新聞の記事によると、フェルメールの傑作‘真珠の耳飾りの少女’が来年7月に再度日本にやってくる。これを所蔵するオランダのマウリッツハイス美(ハーグ)の名品展として東京と神戸で7月から12月まで公開されるという。これはすごいことになった。

美術館名と具体的な日程については発表されてないが、東京は西洋美か国立新美のどちらかで、神戸は兵庫県美ではなかろうか。それにしても、フェルメールの代表作が頻繁にやってくる。フェルメール愛好家にとって、わが国における西洋画の展覧会シーンはまったくすばらしく、そして有難い。日本は本当に美術大国!

で、これまで国内で体験したフェルメール作品をレヴューしてみた。

‘フェルメールとその時代展’(00年4月、大阪市立美)
★聖プラクセディス : バーバラ・ピアセッカ・ジョンソン・コレクション
★リュートを調弦する女 : メトロポリタン
★天秤を持つ女 : ワシントン・ナショナル・ギャラリー(拙ブログ08/4/13
★真珠の耳飾りの少女 : マウリッツハイス(上の画像)
★地理学者 : シュテーデル美

‘栄光のオランダ・フランドル絵画展’(04年4月、東京都美)
★絵画芸術の寓意 : ウィーン美術史美(真ん中)

‘ドレスデン国立美展’(05年7月、西洋美)
★窓辺で手紙を読む女(下)

‘オランダ風俗画展’(07年9月、国立新美)
★牛乳を注ぐ女 : アムステルダム国立美(07/10/6

‘フェルメール展’(08年8月、東京都美)
★マリアとマリアの家のキリスト : スコットランド・ナショナル・ギャラリー(08/8/6
★ディアナとニンフたち : マウリッツハイス
★小路 : アムステルダム国立美
★ワイングラスを持つ娘 : アントン・ウルリッヒ美(08/8/6)
★リュートを調弦する女 : メトロポリタン
★ヴァージナルの前に座る若い女 : 個人蔵
★手紙を書く婦人と召使い : アイルランド・ナショナル・ギャラリー(08/8/6)

‘ルーヴル美展’(09年2月、西洋美)
★レースを編む女(3/12

日本で鑑賞したフェルメールの絵は以上の16点。確か、もう一点、アムステルダム国立美蔵の‘恋文’もやってきたように記憶しているが、これは見ていない。

この調子だと、大好きな‘デルフトの眺望’(マウリッツハイス、05/4/17)とか追っかけ作品の‘真珠の首飾りの女’(ベルリン国立美、1/8)もひょっとして日本で対面できるかもしれない? 期待したいが‘デルフトの眺望’はやはり無理か。

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2009.06.02

もう一度見たいエルミタージュ美術館のバロック絵画!

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エルミタージュ美訪問(拙ブログ05/9/6)の感動が予想以上に大きかったので、帰国してから美術が好きな人に‘エルミタージュはすばらしいよ!’を連発していた。

ルーヴルにはダ・ヴィンチはあってもゴーギャンやマティスの絵はないが、ここにはダ・ヴィンチ(2点)、ラファエロ(2点)、ミケランジェロの彫刻‘うずくまる少年’と盛期ルネサンスの巨匠の作品が揃っているほか、質の高いレンブラント、カラヴァッジョらのバロック絵画、昨日取り上げた近代の印象派、有名なマティスコレクション、さらに抽象画のカンディンスキーまである。

そうした名画の数々を4時間かけて存分に楽しんだ。ツアーの行程ではここにいるのは1時間半くらいだったのだが、ほかの名所観光をパスしてずっと館内にいたのである。

エルミタージュ美にあこがれるようになったのはその2年くらい前、NHKで放送された‘エルミタージュ美’(10回シリーズ)を見たため。これは作家の五木寛之と美術史家の千足伸行氏がゲストを交えて所蔵作品を案内してくれる極上の美術番組で、毎回ビデオ収録していた。で、出発前このビデオを見て、必見作品を入念にシミュレーションしておいた。

この事前準備の効果はすぐあらわれ、展示してある作品にスムーズに入っていけた。あれほどの数の作品だから、ほわーっとした感じで回っていたら、感動の名画の多くは鑑賞しきれなかったのではないかと思う。

目に焼き付いているバロック絵画でお気に入りは次の3点。
★カラヴァッジョの‘リュート弾き’(上の画像)
★ホントホルストの‘キリストの幼児期’(真ん中)
★レンブラントの‘フローラに扮したサスキア’(下)

‘リュート弾き’(1595)はカラヴァッジョ(1571~1610)が好きになるきっかけとなった絵。カラヴァッジョが若いころに描いた風俗画のなかでは、この絵と‘いかさま師’(1/7)にぞっこん参っている。メトロポリタンにも同名のものがあるが、エルミタージュのほうがかなりいい。

茶褐色の背景に浮かびあがるリュート弾きの若い男の女性っぽい顔つきが忘れられない。この男はカストラート(去勢した男性歌手)。この明暗のコントラストにしばらく惹きこまれ、左の花瓶の花や果物に目をやるとまた吸い込まれる。並の技量ではこれほどリアルな質感はだせない。いつか再会したい。

ホントホルスト(1592~1656)の絵をみる機会はきわめて少ないが、この‘キリストの幼児期’(1620)と遭遇したのは幸せというほかない。真ん中の蝋燭の光がキリストと老人の顔を照らすところはロンドンナショナルギャラリーにある‘大司祭の前のキリスト’(1617、08/2/6)と同じ構成。何時間でも見ていたくなる絵である。

ここのレンブラントコレクションは名作揃い。新妻サスキアをフローラに見立てて結婚直後に描いたこの絵(1634)はレンブラント(1606~1669)が28歳のころの作。ほかにも‘ダナエ’(05/5/26)や‘放蕩息子の帰還’などがある。

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2009.05.29

もっと見たい驚愕のバロック天井画!

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楽しみにしているローマ美術めぐりは来春なので、イタリアモードに入るにはまだ早い。が、映画‘天使と悪魔’のなかでローマ市内をぐるぐるまわったから、テンションが30%くらいまで上がってきた。

次回の鑑賞の目玉はカラヴァッジョの絵と古代ギリシア・ローマの彫刻なのだが、もう一つ目指しているのがある。それはバロックの天井画。代表的なものは次の3つ。

★コルトーナの‘神の摂理’:バルベリーニ宮殿(上の画像)
★ポッツォの‘イエズス会の伝道の寓意’:サンティニャーツィオ聖堂(真ん中)
★バチッチアの‘イエスの御名の勝利’:ジェズ聖堂(下)

壮大なイリュージョンにより無限の空間がつくられている‘神の摂理’(1639、拙ブログ06/5/25)とベルニー二の彫刻を見て、バロックのイメージが大きく変わった。それまではバロックというとルーベンスの絵を思い浮かべるだけだったが、今ではベルニーニ(1598~1680)の彫刻やコルトーナ(1596~1669)の天井画にみられる演劇性やイリュージョニズムに強く惹かれるようになった。

この盛期バロックの幻覚的な雰囲気に体が包みこまれるのは間違いないと思われるのが‘イエズス会の伝道の寓意’(1694)。手元の美術本をみるだけでも、クーポラ(丸屋根)に描かれているように錯覚する。だが、これはクーポラではなく、そのかわりに描かれた絵。天空のなかに浮いているようにみえる聖母や聖人がどんなだまし絵になっているのか?、とくと見てみたい。これを描いたのはイエズス会士アンドレア・ポッツォ
(1642~1709)。

ポッツォの天井画より前に描かれたのがジェズ聖堂の‘イエスの御名の勝利’
(1679)。ここでもバチッチア(1639~1709)は幻視と法悦が入り混じった宗教画を演劇的に描き、見る者を仰天させる。隣り合わせに立っているジェズ聖堂とサンティニャーツィオ聖堂はカラヴァッジョの絵があるドーリア・パンフィーリ美術館のすぐ近くだから、効率よく鑑賞できそう。

そして、あまり欲張りすぎてもいけないのだが、まだ腰を据えて見てないバロック建築にも足をのばしたい。是非見たいのがベルニーニのライバルだったボロミーニ(1599~1667)が建てたサン・カルロ・アッレ・クワトロ・ファンターネ聖堂。あれやこれやでまた忙しい美術めぐりになりそう。

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2009.03.27

もう一度見たいアムステルダム国立美のレンブラント!

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先週土曜の‘美の巨人たち’(TV東京)でレンブラントの‘夜警’を取り上げていたので、4年前に訪問したアムステルダム国立美術館のことを思い浮かべている。

そのときは館が修復中で、期待していたクリヴェッリの‘マグダラのマリア’にお目にかかれず楽しみも中くらいだったが、工事はもう終了したのだろうか?次回のオランダ旅行のプライオリティはほかと比べて今のところ高くない。でも、大好きなレンブラント
(1606~1669)の作品は何度みてもいいから、またアムスヘ行こうという気は勿論ある。で、もう一度見たいレンブラントの絵をリマインドしてみた。

★夜警(上の画像)
★綿物業者組合の理事たち(真ん中)
★ユダヤの花嫁(下)

オランダ旅行帰りに感想を聞くと‘夜警’(1642)がすごくよかったという人が多い。26年前、この絵の前に立ったとき大感激したことは今でもよく覚えているし、05年に再会したときもやはり熱くなった(拙ブログ05/4/10)。これまで西洋画を沢山見てきたが、美術の本に出てくる‘名画中の名画’がそのままうなずけるのはこの‘夜警’とベラスケスの‘ラス・メニーナス’(1656、プラド美、07/3/19)。

そう思わせるのは二つの絵が大きいこともある。‘夜警’は縦3.63m、横4.37mの大作。カラヴァッジョやレンブラントの絵に夢中なのはある事件や出来事の瞬間や人物が光と影の巧みなコントラストにより描かれているから。画面全体が緊張感につつまれ、人物の内面や精神性がみられる絵というのは深く胸を打つ。市民隊が勇ましく出動する瞬間を描いた‘夜警’はオランダの宝というより人類にとっての大事な遺産。本当に見事な絵である。

男の肖像画に対する好みは女性の肖像の半分くらいだが、レンブラントだけは例外。何点もある自画像をはじめ魅了される作品がいくつもあり、1662年に制作された真ん中の集団肖像画は大変気に入っている。‘ユダヤの花嫁’(1667)は安定感のある三角形構図と絵の具が厚く塗られた男の袖に目が釘付けになる。

05年のときは‘使途パウロとしての自画像’が展示してなかった。最初の訪問では‘夜警’だけに関心がいっていたから、この絵の記憶がうすい。で、もう一度仕切り直しのつもりで楽しみにしていたが、叶わなかった。ゴッホ狂としては一度は見ておかなければいけないクレラー=ミューラー美も残っているので、やはりもう一回オランダへ行くことになりそう。

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2009.03.26

ブレラ美術館のカラヴァッジョ展

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つい最近、ミラノにあるブレラ美術館(上の画像)でカラヴァッジョ特別展が開かれていることを知った。HPをみると1/18に開幕しており、3/29に終了する。作品はもっと多くあるのかと思ったが、次の4点のみだった。

★エマオの晩餐:ロンドン、ナショナルギャラリー(拙ブログ08/2/6
★エマオの晩餐 : ブレラ美(真ん中の画像)
★果物かごを持つ少年 : ローマ、ボルゲーゼ美(下)
★合奏 : NY,メトロポリタン美(08/5/7

06年に訪問したブレラ美が開館したのは1809年。今年がちょうど200周年にあたるので、これを記念して、1年間に7つの展覧会が企画されている。その第一弾がカラヴァッジョ展。秋には‘クリヴェッリ展’(10/15~10/2/5)が行われる。これは見たい展覧会だが、残念ながら今年はイタリア旅行は無し。

カラヴァッジョ(1571~1610)の‘エマオの晩餐’はマンテーニャの‘死せるキリスト’(06/5/2)やラファエロの‘マリアの結婚’などとともに美術館自慢の名画。ナショナルギャラリーにある同名の絵(1601~02年)から4、5年あとに描かれている。

より暗い画面と左からさしこむ光と影の強いコントラストからはキリストの深い精神性とまわりにいる男たちの緊張した表情がよく伝わってくる。いつかまた、この絵の前に立ちたい。

‘果物かごを持つ少年’は01年12月から02年の2月にかけて岡崎市美術博物館で開かれた‘カラヴァッジョ展’で展示された。また、‘合奏’は昨年、METで再会したから記憶に新しい。

カラヴァッジョが描く果物のリアルな質感にはまったく驚かされる。この絵同様、視線が釘付けになるのが‘病めるバッカス’(ボルゲーゼ美)やミラノのアンブロジアーナ絵画館にある‘果物かご’(06/5/3)。

どうしてこんなに上手にブドウが描けるのか?!本当に目の前にブドウがあるみたい。真にカラヴァッジョの画力はとびぬけている。アンブロジーナ美にいる時間はそれほどとれなかったが、何はさておいても‘果物かご’だけはしっかりみた。一生の思い出である。

来年の春、ローマで2回目のカラヴァッジョの追っかけを計画している。目指す作品は
★悔悛のマグダラのマリア : ドーリア・パンフィーリ美
★エジプト逃避途上の休息 : ドーリア・パンフィーリ美
★女占い師 : カピトリーノ美
★洗礼者ヨハネ : カピトリーノ美
★ゴリアテの首を持つダヴィデ : ボルゲーゼ美
★ユディトとホロフェルネス : バルベリーニ宮国立古代美
★ユピテル、ネプトゥルヌス、プルート : カジノ・ボンコンパーニ・ルドヴィージ

そのあと見たいのはナポリやシチリア島やマルタ島にある絵だが、これは時間がかかりそう。

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2009.03.13

ルーヴル美術館展  ウテワール ルーベンス ベラスケス

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昨年のルーヴル美めぐりでは、事前につくった必見リストに載っている作品を一点々チェックしながら広い館内を精一杯まわった。だから、リスト以外の絵についてはよほどインパクトがある絵でないかぎり、見たとしてもあまり記憶に残ってない。そのなかに日本に帰ってからその存在を知り、惜しいことをしたなと強く思う絵がある。2回目はその絵とプラス2点。

★ウテワールの‘アンドロメダを救うペルセウス’(上の画像)
★ルーベンスの‘ユノに欺かれるイクシオン’(真ん中)
★ベラスケスの‘王女マルガリータの肖像’(下)

ウテワール(1556~1638)の絵を知ったのは、‘ヴィーナス100選’を特集した昨年4月の‘芸術新潮’。ここに驚愕の絵、‘アンドロメダを救うペルセウス’が載っていた。ウテワールはユトレヒト生まれのマニエリストだから、これはオランダ絵画のコーナーに展示れていたはずだが、残念ながらまったく覚えてない。

レンブラントやフェルメールの絵ばかりに神経が集中し、ほかはどんどんパスしていったから、記憶にとどまらなかったのだろう。次回は赤丸つきでリカバリーしようと思っていたら、嬉しいことに作品のほうからわざわざ日本まで追っかけてきてくれた。

まず、びっくりしたのが絵の大きさ。縦1.8m、横1.5mの大作。そして、構成がおもしろい。裸婦図と風景画と静物画の3つを一つの画面におさめたような感じ。視線が釘付けになるのが画面左で右手を上にあげ体を少し捻るポーズをしたアンドロメダ。白い肌に浮かびあがる乳房のまわりの青い血管が心をざわざわさせる。本の図版では青い血管までは確認できないから、200%KOされた。

大きく描かれたアンドロメダの足下には貝殻が沢山おかれており、そのなかにまじってニ体の骸骨がみえる。色で印象深いのは貝殻の内側や海の怪物の皮膚、ペルセウスのまたがる天馬の朱色。アングルなども同じ題材の絵を描いているが、このウテワールの絵に最も惹きつけられる。

ルーヴルには‘マリー・ド・メディシスの生涯’などルーベンス(1577~1640)の有名な絵が沢山ある。それらは過去よく見たので昨年はそれほど熱くならずに見て回ったが、真ん中の絵は飾ってなかった。おそらく普段は展示してないのだろう。はじめてお目にかかる絵だが、ルーベンスらしい量感のある人物描写、裸婦の肌の色に見惚れていた。

左にいる男がイクシオン。ケンタウロスのお父っちゃんで女好きの乱暴者。義父を殺したがユピテルによって罪を清められたというのに、この男はユピテルの妻ユノにまでちょっかいをだす。そこで、ユピテルは雲をユノの姿に変えて、イクシオンのもとへ送り込む。その偽のユノの隣に立っているのが本物のユノで聖獣の孔雀を従えている。二人の顔、姿態はまったく一緒。偽のユノのお腹から生まれてくるのがケンタウロス。

下はベラスケス(1599~1660)のお馴染みの王女マルガリータちゃん。本当に可愛らしい女の子の絵である。これはマルガリータが3歳のころで、ウィーンの美術史美にある‘バラ色のドレスの王女マルガリータ’(拙ブログ08/8/5)によく似ている。白の生地と黒模様のコントラストがすごく印象的。マネはこの色合いに魅せられたにちがいない。

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2009.03.12

ルーヴル美術館展  フェルメール ラ・トゥール ル・ナン兄弟

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上野の国立西洋美で2/28からはじまった‘ルーヴル美術館展ー17世紀ヨーロッパ絵画ー’は6/14まで続くロングラン興行。会期の長さにも驚くが、展示される作品(71点)はそれ以上のサプライズ。よくぞこれだけの名画を揃えてくれたものだと感心する。西洋美に拍手々。一回では書き足りないので、三回アップすることにした。

この展覧会を企画した学芸員には申し訳ないが、3つの切り口、‘黄金の世紀とその影’、‘大航海と科学革命’、‘聖人の世紀における古代文明の遺産’にはあまり関心が無い。だから、取り上げる作品と順番は昨年ルーヴル美術館をまわったときと同じように感動の大きさをもとにしている。まずはお目当ての3点から。

★フェルメールの‘レースを編む女’(上の画像)
★ラ・トゥールの‘大工ヨセフ’(真ん中)
★ル・ナン兄弟の‘農民の家族’(下)

‘レースを編む女’は美術本に載っているイメージで本物と対面すると面食らう。おそらく皆‘ええー、こんなに小さい絵なの!?’という感想をもつのではなかろうか。縦24㎝、横21㎝しかない。でも、小さき絵なのに絵のなかにぐぐっと惹きこまれる。女がレース編みにものすごく集中している感じがよくでているからかもしれない。

右から入ってくる光で女の顔や後ろの壁がやわらかく表現されているのに対し、手前の机におかれたクッションからでている白と赤の糸は異様に粘っこい色をしている。‘信仰の寓意’(メトロポリタン美、拙ブログ08/5/8)では、石の下敷きになり頭や口から血を流している蛇が描かれているが、この鮮烈な赤の糸は蛇の血を連想させる。

‘大工ヨセフ’(08/3/30)と再会できたのが嬉しくてたまらない。蝋燭の炎がキリストの顔とヨセフの額を明るく照らすところを再度夢中になってみた。‘ダイヤのエースを持ついかさま師’(05/3/14)も日本にやってきたから、これでルーヴルが所蔵するラ・トゥール作品7点のなかで人気の高い3点のうち2点が公開されたことになる。すばらしい!残るは‘灯火の前のマグダラのマリア’。気前のいいルーヴルのことだから、いつか展示してくれるだろう。

下のル・ナン兄弟作、‘農民の家族’もぐっとくる絵。昨年の感想記では紹介できなかったが、左に座っている婦人の心を打つまなざしが目に焼き付いている。左奥に目をやると、暗闇のなか暖炉の光がまわりにいる二人の男の子と一人の少女を照らしている。このあたりはラ・トゥールの描き方と似ている。

画面全体の暗い色調は決して楽ではない農民の日常生活をリアルに伝えているが、床に犬や猫がいたり、男の子が立って笛を吹いているのをみるとどこかほっとする。農民風俗画の傑作ではなかろうか。

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2009.02.11

美術に魅せられて! ナルキッソス

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手元にあるギリシア神話関連の美術本で愛読しているものをいくつか紹介したい。

■私のギリシャ神話:阿刀田高(集英社文庫 02年12月)
■西洋絵画の主題物語Ⅱ神話編:監修、諸川春樹(美術出版社 97年5月)
■ふくろうの本ギリシア神話・神々の世界篇:松島道也(河出書房新社、01年5月)
■      〃      ・英雄たちの世界篇:松島&岡部紘三(〃02年3月)
■すぐわかるギリシア・ローマ神話の絵画:監修、千足伸行(東京美術 06年3月)

‘西洋絵画の主題物語の聖書編と神話編’、および‘アートバイブルⅠ・Ⅱ’(日本聖書協会)は宗教画のバイブルみたいなもので、大変重宝している。おそらくキリスト教、ギリシア神話を題材にして描かれた絵で有名なものはほとんど載っていると思われる。昨年、海外の美術館めぐりをしたときは図版をコピーしまくって必見作品リストをつくった。

絵入りの本のほかによく読んでいるのは、
■知のカタログ ギリシア・ローマ神話:マイケル・マクローン(創元社 00年9月)
■ギリシア・ローマ神話ものがたり:エスタン&ラポルト(創元社 92年7月)
■図解雑学 ギリシア神話:監修、豊田和ニ(ナツメ社 02年8月)

拙ブログはスタートして4年を超えているから、ギリシア神話画も結構紹介してきたが、心がけているのは話があまり長くならないようにしていい絵をなるべく沢山共有すること。キューピッドのお次はナルキッソス。とっておきの2点は、

★カラヴァッジョの‘ナルキッソス’ : ローマ、バルベリーニ宮国立古代美(真ん中)
★プッサンの‘エコーとナルキッソス’ : ルーヴル美(下)

カラヴァッジョの回顧展が01年12月、岡崎市美で開催されたとき万難を排して、見に行った。感激の連続だったが、このナルキッソスの絵にも痺れた。これ以上にナルシズムを感じさせる絵はない。だから、ナルシストというとすぐこの絵に描かれている美少年を連想する。

プッサンの絵は昨年、ルーブルでお目にかかった。自分自身にこがれて息絶え、水辺に横たわるナルキッソスの姿がとても悼わしい。頭のそばには水仙がみえ、うしろの岩には木霊となったエコーがじっとナルキッソスを眺めている。

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2009.01.08

もっと見たい珠玉の女性画!

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拙ブログをみられている方はすでにお気づきのように、取り上げる西洋絵画の多くは女性を描いたもの。最近は男性のいい肖像画も紹介するようにしているが、やはり女性画の傑作が頭から離れない。本日の作品は追っかけ女性画のなかで、いつも熱い視線を送っている珠玉の3点。

★フェルメールの‘真珠の首飾りの女’: ベルリン国立美(上の画像)
★エル・グレコの‘毛皮の襟巻をまとう婦人’: グラスゴー、ポロック・ハウス(真ん中)
★ゲインズバラの‘デボンシャー公爵夫人ジョルジアーナ’: デボンシャー公爵家(下)

これまで見たフェルメール作品31点(全37点のうち)のなかで、ぞっこん惚れているのは‘青いターバンの少女’(マウリッツハイス美、07/10/6)、‘士官と笑う女’(フリックコレクション、08/5/22)、そしてまだ見てない‘真珠の首飾りの女’(ベルリン国立美)の3人。

ちなみにほかの未見作品は‘取り持ち女’(ドレスデン国立絵画館)、‘ぶどう酒のグラス’(国立ベルリン美)、‘音楽の稽古’(イギリス王室コレクション)、‘ギターを弾く女’(ケンウッドハウス)、‘合奏’(ボストン、ガードナー美)。盗難されて現在行方不明の‘合奏’ははずして、5点のなかのファーストプライオリティはなんといっても‘真珠の首飾りの女’。

全点をコンプリートに鑑賞されたTakさんにならいたい気持ちもあるが、これはまだまだ先のことになりそう。とりあえずの鑑賞プランは、ベルリン美の2点、次にイギリスにある2点、最後にドレスデンの1点。‘取り持ち女’は一番縁がなさそう。というのも、何年か前に訪問したドレスデン美を再訪することは200%ないから、日本にやって来てくれなければ無理。

ベルリンは一度行ったことがあるが、そのときはペルガモン博物館だけで、絵画を見る時間がなかった。予定としては、ここ数年のうちに再度ベルリンに行き、ルネサンス、バロック、印象派、近・現代絵画の名品を見ることを夢見ている。そのど真ん中に‘真珠の首飾りの女’があることは言うまでもない。

グレコの婦人の絵をはじめて見たとき、とても驚いた。幻想的な宗教画をすぐイメージさせるグレコがこんなすばらしい女性の肖像画を描いていたの?しかもすごい美形!これを所蔵しているのはグラスゴーのポロックハウス。見たい度の強い絵ではあるが、ドレスデン同様グラスゴーへ旅行することはないだろうから、この絵も図版をながめ続けることになりそう。もちろん望みをすててはいないが。

下の女性はまさに絶世の美女!ゲインズバラの描く肖像画はナショナルギャラリーやフリックコレクションで沢山みたが、それほど惹かれてない。でも、この絵だけは別。なんとしても対面したい。アダム・ワースという名うての強盗が25年もそばに置いていたというが、その気持ちはわかりすぎるくらいわかる。

いい女性画を見ていると、心がゆるゆるになる。そして、ミューズに‘いつか会わせてく下さい!’と祈っている。

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2009.01.07

美術に魅せられて! お気に入り西洋風俗画

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来月28日から上野の西洋美ではじまる‘ルーヴル美展ー17世紀ヨーロッパ絵画’を心待ちにしている。過去、西洋美で開かれたビッグな展覧会は‘エル・グレコ展’(86年)、‘ジャポニスム展’(88年)、‘バーンズ・コレクション展’(94年)、‘ウィンスロップ・コレクション展’(02年)、‘マティス展’(04年)、‘ラ・トゥール展’(05年)、‘コロー展’(08年)。

今年の‘ルーヴル展’は作品の質の高さからいえばこれらと遜色ないエポック的な展覧会。昨年現地で感動した名画がいくつも含まれており、その感動が一年も経たないのにリフレインされるのである。これほど嬉しいことはない。

とりわけ今から胸が高鳴るのがラ・トゥールの‘大工ヨセフ’(拙ブログ08/3/30)。チラシで大きく扱われているのはフェルメールの‘レースを編む女’とレンブラントの‘縁なし帽をかぶり、金の鎖をつけた自画像’。だが、今回の2枚看板は‘レースを編む女’と‘大工ヨセフ’。多くの人が夢中になってみるのではなかろうか。

昨年の海外美術館めぐりで思いの丈が果たせたラ・トゥールに200%のめり込んでいる。感想記で取り上げたのは‘夜の情景’(08/5/7)だったが、これと同じくらい魅せられているのが‘昼の情景’の風俗画。で、お気に入りの風俗画をカラヴァッジョ作品とあわせて紹介したい。

★ラ・トゥールの‘ダイヤのエースを持ついかさま師’: ルーヴル(上の画像)
★ラ・トゥールの‘女占い師’: メトロポリタン(真ん中)
★カラヴァッジョの‘いかさま師’: フォートワース(アメリカ)、キンベル美(下)

西洋美の回顧展(05/3/14)にも出品された‘いかさま師’は本当に魅力いっぱいの絵。釘付けになるのが目ん玉を端によせてやぶにらみに左のいかさま師を見る中央の女。こういう目つきをする女性は映画とか芝居でみるだけでなく、日常生活でもでくわすことがあるから、絵の中に入っていきやすい。ちょっと離れてこの緊張感の漂う場面を見ている感じ。

真ん中の‘女占い師’とは残念ながら再会できなかったので割愛したが、この絵も大変気に入っている。視線は女のような顔をした若い男に集まるが、すぐ横のしわくちゃ顔の老女に移り、しばらくこの存在感抜群の占い婆さんばかり眺めることになる。だから、はじめてみたときは、占いをしてもらっている男をとりかこむ女(女占い師の共犯)がポケットに手を突っ込んで盗みを働こうとしていることに気づかなかった。

下はいかさま師を最初に描いたカラヴァッジョの作品。カラヴァッジョの絵を全点目の中におさめるのが夢だが、これはほかの追っかけ西洋画をふくめて見たい度では一番の絵。図版をみているだけでも、すごく惹きつけられる。カラヴァッジョ通の花耀亭さんは現地でみられたそうだが、羨ましいかぎり。

キンベル美はルーヴルにあるラ・トゥールの‘いかさま師’と構図が同じで、これより少し前に描かれた‘クラブのエースを持ついかさま師’も所蔵している。この2点が日本にやってくることはまずないから、テキサスのフォートワースまで足を運ばないと見れない。

フィラデルフィア美の次はこことか、LAのポール・ゲッテイ美、ロサンゼルス群立美をまわりたいのだが。そろそろラフな訪問計画でもつくってみようかと思っている。

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