2018.02.23

名画を揃えるビュールレ・コレクション!

Img     カナレットの‘カナル・グランディ、ヴェネツィア’(1742年)

Img_0002     コローの‘読書する少女’(1845~50年)

Img_0001     ピサロの‘ルーヴシエンヌの雪道’(1870年)

Img_0003     モネの‘睡蓮の池、緑の反映’(1920年)

印象派の作品を扱った美術本でしばしば名前が登場するビュールレ・コレクション、はじめのころはスイスのチューリヒにあることはわかったが美術館として作品を公開しているのか定かでなかった。それがはっきりしたしたのはセザンヌの‘赤いチョッキの少年’の盗難事件。

大きな話題になったその事件が起こったのは2008年、それから4年後の2012年にセルビア国内で無事発見された。名画が盗まれることはよくあり、1990年にボストンのイザベラ・スチュアート・ガードナー美から姿を消したフェルメールの‘会食’は残念ながらいまだ見つかってない。だから、美術館に戻った‘赤いチョッキの少年’が日本でみれるのは二重の幸運が重なった結果でもある。

ビュールレ・コレクションは2020年にチューリヒ美に移管されることが決まっている。計画しているスイスの美術館巡りはだぶんその後だと思うが、今回の展覧会でその全貌の一部を知ることができた。目の前に現われる作品をみてこのコレクションの質の高さにほとほと感心させられた。

メインディッシュは自慢の印象派だが、ハルスの肖像画やカナレット(1697~1768)のあのヴェネツィアの景観図も飾ってあった。プライベートコレクションに欠かせないのがカナレット、ロンドンのウォレスコレクションにも数点あった。この‘大運河’は人々の影や建物の壁の質感、運河を行き交うゴンドラまでじつに細かくとらえた描写が見事で画面の隅から隅まで視線を滑らせる。

女性の絵をみることは生涯の楽しみ、ルノワールやマネだけでなくコロー(1796~1875)にも大きな関心を寄せている。ビュールレ・コレクションにもいいのがあった。赤いジャケットが印象的な‘読書をする少女’、小品とはいえ思わず足がとまった。これは収穫の一枚。

さて、お目当ての印象派・ポスト印象派、いい絵が続々でてくる。3点あるピサロ(1830~1903)は季節柄‘ルーヴシエンヌの雪道’に心が吸いこまれていく。構図がピサロとよく似ているシスレーの風景画は2点。マネは三菱一号館美で開催された回顧展(2010年)にも出品された‘燕’など4点。

そして、最後に登場するのが目玉のひとつになっているモネ(1840~1926)の大作‘睡蓮の池、緑の反映’。数ある睡蓮のなかでもこれほど大きなもの(高さ2m、横4m)はそうはお目にかかれない。オランジュリーにある至宝の‘睡蓮’はこれよりもっと大きいが、そのほかではMoMAとチューリヒ美のものしか思いつかない。

魅了される絵がまだまだある。見てのお楽しみ!

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2018.02.22

セザンヌの‘赤いチョッキの少年’と対面!

Img_0001     セザンヌの‘赤いチョッキの少年’(1888~90年)

Img     ルノワールの‘可愛いイレーヌ’(1880年)

Img_0004    ドガの‘ピアノの前のカミュ夫人’(1869年)

Img_0002     ゴッホの‘日没を背に種まく人’(1888年)

先週の2/14からはじまった国立新美の‘至上の印象派展 ビュールレ・コレクション’(5/7まで)をみてきた。この展覧会を首を長くして待っていたのはひとえにセザンヌ(1839~1906)の傑作‘赤いチョッキの少年’が登場するから。

2015年、2度目のフィラデルフィア美で念願の‘大水浴図’をみることができ、セザンヌのコンプリートへ一歩近づいた。残るはスイスのチューリヒにある‘赤いチョッキの少年’とモスクワ、プーシキン美が所蔵する‘マルディ・グラ’。この2点が目のなかに入れば夢が叶う。だが、そこにたどり着くにはまだまだ時間がかかる。

普通はこの流れはゆったり進むのだが、なんと‘赤いチョッキの少年’と日本でお目にかかることになった。アバウトに計画しているスイス美術館めぐりのとき二重丸をつけている最も重要なピースに会えるのだから嬉しい話。こんなことが起きると自分には‘セレンディピティ’(思わぬ幸運に偶然出会う能力)があるのかな、と勝手に思い込んでしまう。

6点飾られているセザンヌの部屋にありました、ありました!これが美術の本でみて心に強く刻まれた絵かという感じ。視線が向かうのが長い手を印象づけるシャツと小顔のハイライトに使われている白、タイトルの赤いチョッキよりこの明るい白のほうが色彩の強さは上回っている。

セザンヌの肖像画はこの少年でもカード遊びをする農夫でも場の雰囲気がとても静か。この静けさが人物の描写に100%のリアルさがなくてもモデルとの距離感をぐっと縮めることになる。これがセザンヌの肖像画の魅力。

チラシに大きくとりあげられているルノワール(1841~1919)の‘可愛いイレーヌ’は二度目の来日、2010年ルノワール展があったとき国立新美では展示されなかったので、大阪まで追っかけていった。驚くほど精緻に描かれた茶色の髪の毛にまたまた釘づけになった。イレーヌはこのとき8歳だが、顔立ちはもう大人の女性のよう。

画集ではなんどもみているゴッホ(1853~1890)の‘日没を背に種をまく人’はアムステルダムのゴッホ美でもお馴染みの絵だが、こちらのほうが先に描かれた。いずれも浮世絵風の構図と画面中央の紫がイメージのコアになっている。

収穫の一枚があった。ドガ(1834~1917)にこんないい肖像画があったの!と足をとまらせる‘ピアノの前のカミュ夫人’。ぱっとみて女優の沢尻エリカが目の前をよぎった。

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2018.01.10

今年はモネの当たり年!

Img_2     ‘草上の昼食’(1866年 プーシキン美)

Img_0001     ‘睡蓮の池、緑の反映’(1926年 ビュールレ・コレクション)

Img_0002_2     ‘白い睡蓮’(1899年 プーシキン美)

現在、西洋美で開催中の‘北斎とジャポニスム’(10/21~1/28)をすでにみられた方は北斎の西洋美術へ与えた影響の大きさをズシンと感じると同時に極上の印象派展を満喫されたのではなかろうか。

そのなかで作品が多く飾られているのがモネ(1840~1926)、全部で12点。これはミニ‘モネ展’のようなもの。しかも、感心するのが作品の質の高さ。流石、馬淵館長! 抜かりなくオルセー、シカゴ、マルモッタンからもいい絵を集めている。

モネ好きの楽しみ方はだいたい同じだろう。まず、この‘北斎とジャポニスム’をしっかり目に焼きつけ、次の‘至上の印象派展 ビュールレ・コレクション’(2/14~5/7、国立新美)にでてくる初来日の‘睡蓮の池’を熱く待つ。これは高さ2m、横4mという大作というから見ごたえがありそう。

そして、そのあともミューズの贈り物が待っている。今度は東京都美の‘プーシキン美展ー旅するフランス風景画’(4/14~7/8)。ここに登場するのはモネの初期の作品、‘草上の昼食’。チラシにはこれが大きく載っている。2010年、パリのグランパレで開かれた大モネ展にもオルセーにあるものと一緒に展示され話題になった。その絵が日本にやってくるのだからたまらない。さらに‘白い睡蓮’も再登場。

この3つの展覧会に足を運ぶとモネはなんと15点にもなる。プーシキン美展が終わるとすぐあと横浜美でモネ展がはじまる。会期は7/14~9/24。チラシを入手してないのでどんな作品で構成されるのかわからないが、横浜美は印象派展なら定評があるのできっといい絵が並ぶにちがいない。期待して待ちたい。

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2017.11.09

北斎パワー全開 ‘北斎とジャポニスム’!

Img_0002 セザンヌの‘サント=ヴィクトワール山’(1887年 フィリップスコレクション)

Img     モネの‘ベリールの嵐’(1886年 オルセー美)

Img_0001     スーラの‘尖ったオック岬、グランカン’(1885年 テート)

Img_0003     カサットの‘母と子ども’(1889年 シンシナティ美)

現在、西洋美で開催中の‘北斎とジャポニスム’(10/21~1/28)はゴッホ展同様、大賑わいだった。ここ数年は展覧会へ行くとき以前とちがい出品作の情報をHPでみないことが多い。今回手にしたのはドガの絵と北斎漫画を対比させたチラシのみ。サプライズの作品に会えるかどうかは運次第。

入館すると人が多すぎて思うように前に進めない。だから、たくさんでている北斎漫画や風景画、花鳥画を2列目からチラチラとみながら北斎の絵に現れた構図や色彩、モチーフの描写などに刺激され制作したヨーロッパの美術家たちの絵画や工芸品を駆け足気味でみてまわった。

驚くのは北斎の影響をうけた作品の数の多さ。印象派の絵だけでなく、やきもの、ガラス、宝飾品、家具調度品の絵柄など多くのジャンルにわたっている。北斎と横に並んでいる作品を見比べると北斎を意識したことが一目でわかる。この類似性の強さを目の当たりにすると、当時ヨーロッパの美術界で一世を風靡したジャポニスムの様式はいろんな分野に広がっていたことがよくわかる。そして、そのど真ん中に北斎がいたことも。

じつは西洋美は1988年に‘ジャポニスム展’を行っている。そのときも数々の浮世絵と西洋絵画や工芸の模様などが対比されて並んだ。だから、この展覧会はジャポニスムを北斎で代表させたパート2。期待の大きかった印象派の作品は予想通りいいのがでている。流石、西洋美!

浮世絵の影響を受けているのにそれを口にしないセザンヌ(1839~1906)、‘サント=ヴィクトワール山’はお気に入りの風景画、日本にやって来るのは確か3度目。北斎の‘グレートウエーブ’がモネ(1840~1926)の頭のなかにどれほどあったかわからないが、‘ベリールの嵐’を北斎の描いた海と関連付けたくなるのは自然な流れ。

嬉しい一枚と出会った。何年か前ロンドンのナショナルギャラリーでお目にかかったスーラ(1859~1891)の‘尖ったオック岬、グランカン’。思わず、これも来たのか、とうなった。これはスーラの静寂さのイメージとは真逆の荒々しく力強さを感じさせる作品。蟹のつめを連想させる岬の形が目に焼きつく。

大きな収穫だったのがカサット(1844~1926)の‘母と子ども’、この可愛い赤ちゃんに200%惹きつけられた。カサットに乾杯!

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2017.11.08

いつも盛況の‘ゴッホ展’!

Img     ‘タラスコンの乗合馬車’(1888年 プリンストン大美)

Img_0002     ‘サント=マリーの海’(1888年 プーシキン美)

Img_0001     ‘ポプラ林の中の二人’(1890年 シンシナティ美)

Img_0003     ‘夾竹桃と本のある静物’(1888年 メトロポリタン美)

上野へでかけ東京都美で開催中の‘ゴッホ展 巡りゆく日本の夢’(10/24~1/8)をみてきた。ゴッホ狂なので期待で胸が膨らむが、チラシをみて狙い目の作品は決めてある。出品作が多いのはアムステルダムのゴッホ美とオッテルローのクレラー・ミュラー美。ここからやって来るものが回顧展の軸になれば、満足度の高い一級のゴッホ展。館内は予想通り大勢の人がいた。

手元に‘ゴッホ全油彩画’(2冊 TASCHEN 2010年)があり、載ってる作品を一点々つぶしていくのは大きな楽しみになっている。今回済みマークがついたのは6点、だから機嫌がいい。もっとも期待していたのはプリンストン大美からやって来た‘タラスコンの乗合馬車’、一見べたっとした絵だが、馬車の車輪と後ろの家の壁の白がとても印象深い。そして赤と緑の補色効果にもぐっと惹きつけられる。

画面の上部にヨットが沢山浮かんでいる‘サント=マリーの海’に遭遇したのも大きな収穫。チラシになかったので宝物を拾ったような気分、これでプーシキンで残っているのは‘赤い葡萄畑’と‘馬車と鉄道のある風景’。これはモスクワに行かないと見れないかもしれない。

ゴッホに魅せられたアメリカ人コレクターは多く、作品は全米の美術館に分散している。シンシナティ美蔵の‘ポプラ林の中の二人’も長くみていた。林立するポプラの配置の仕方がゴッホには珍しく遠近法に従っており、奥行きのある空間描写が目を釘づけにさせる。

メトロポリタンには‘糸杉’などいい絵が揃っているが、静物画の‘アイリス’と今回はじめて登場した‘夾竹桃と本のある静物’も心を奪われる名画。この2点とポールゲッティがもっている‘アイリス’を勝手にゴッホ静物画のビッグ3にしている。

今年はこのゴッホ展をいろんな人にPRしてきた。来年の1/8までやっているので忘年会で会う友人には熱く語りたい。

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2017.10.31

セザンヌの‘赤いチョッキの少年’がやって来る!

Img

昨日、狩野元信展の後期を見るため出かけたサントリー美で大変嬉しいニュースに接した。4階の展示室から3階へ降りていくときなんの気なしに手にとったチラシに驚きの絵画が載っていた。

その絵はセザンヌの‘赤いチョッキの少年’、出品される展覧会は来年2/14~5/7に国立新美で行われる‘至上の印象派展 ビュールレ・コレクション’。すでにチラシは入手していたが、そこに目玉として使われていたのは一度みたことのあるルノワールの‘可愛いイレーヌ’。

スイスのビュールレ・コレクションの印象派作品が日本でみれるのは嬉しい話だが、このルノワールはお目にかかっている。そして、折角ビュールレ・コレクションをもってくるのに、セザンヌの画集に必ず載っている‘赤いチョッキの少年’は含まれてない。だから、楽しみは楽しみだが期待値は高くならない。

ところが、100%諦めていた‘赤いチョッキの少年’が出品されるという。これは大変なことになった。2年前、再訪したフィラデルフィア美で前回みれなかった‘大水浴図’との対面を果たし、残る追っかけ画は2点になった。‘赤いチョッキの少年’とプーシキン美にある‘マルディ・グラ’。

セザンヌをコンプリートするのに欠かせない2ピースのひとつにあと3カ月もすると会える。そして、最新の情報によるとモネの大きな睡蓮(縦2m、横4m)も初登場し、ゴッホの‘日没を背に種まく人’もでてくるらしい。これなら期待値は大きくジャンプする。

印象派展は来年の夏にも大きなのがある。横浜美の‘モネ それからの100年’(7/14~9/24)。この美術館は印象派展が得意、ゴッホ展、プーシキン美のゴッホやゴーギャン、昨年のカサット展。このモネ展も期待できそう。

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2017.07.25

豪華なラインナップを揃えた‘ボストン美の至宝展’!

Img     ゴッホの‘郵便配達夫ルーラン’(1888年)

Img_0003     モネの‘睡蓮’(1905年)

Img_0002     ルノワールの‘花の静物画’(1869年)

Img_0001 サージェントの‘フィスク・ウォレン夫人と娘レイチェル’(1903年)

待望の‘ボストン美の至宝展’(7/20~10/9)が東京都美ではじまった。以前とちがって開幕日に出かけることにこだわってなくオープン後頃合いをみて足を運ぶことが多いが、今回はタイミングがあい初日の午前中に入館した。

ボストン美のコレクションはこれまで何度もやってきている。そのため、自慢のミレーや印象派には再会する作品も多いがお馴染みの名画だからクラシックの名曲を聴くのと同じように高揚感がどんどん高まっていく。

気分が最高に盛り上がるのがゴッホ(1853~1890)の‘郵便配達夫ルーラン’と‘ルーラン夫人’が並んで展示されているところへきたとき。2015年12月に訪問したボストン美では2点はこういう風に飾られてはいない。だから、日本で特別の演出がされているのである。とってもいい感じ。

昨年はデトロイト美展(上野の森美)でゴッホの自画像など2点をみたが、このルーラン夫妻はその2倍も感激する。腹の底からゴッホに乾杯! 展覧会がはじまる前、‘ルーラン’はまだ日本に来たことがないと繰り返し言ってきたが、これは間違いで上野東京ラインさんによると2005年名古屋ボストンにお出まし頂いていた。だから、東京に登場するのははじめてというのが正確な言い方。

5点ある‘ルーラン夫人’のなかでボストンにあるものはすばらしい出来栄えなので、これから10月のはじめまでに上野へ出かけると極上のゴッホと対面できる。夏休みに入った子どもたちのなかにはこの絵をみてゴッホにとりつかれる子がでてくるかもしれない。

モネ(1840~1926)の‘睡蓮’は何度みても心を奪われる傑作だが、今回だけは、ゴッホがあるので分が悪い。でもこの絵も忘れないで欲しい。そして、ルノワール(1841~1919)の花の静物画、これはルノワールが描いた静物画では最上位に位置づけられるもの。

ボストン美が所蔵するサージェント(1856~1925)がやっと姿を現した。拍手々!‘フィスク・ウォレン夫人と娘レイチェル’は美術館の英語版図録にも載っている魅力いっぱいの肖像画。

次は‘エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち’を期待したとろこだが、じつは2007年にこの絵も名古屋ボストンで披露されていた。迂闊にもまったく情報が抜けていた。となると、再来日は無理かな。

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2017.05.25

新宿で‘ランス美展’!

Img_0001    ゴーギャンの‘バラと彫像’(1889年)

Img_0002     シスレーの‘カーディフの停泊地’(1897年)

Img_0003     ドニの‘魅せられた人々’(1907年)

Img     フジタの‘マドンナ’(1963年)

久しぶりに新宿の損保ジャパン日本興亜美へ出かけ開催中の‘ランス美展 フランス絵画の宝庫’(4/22~6/25)をみてきた。とくに期待値の高かった展覧会ではないが、チラシに載ったゴーギャン(1848~1903)の静物画が気になっていたので予定通り出動した。

この美術館で前回何をみたのかすぐ思い出せない。それだけ足が遠のいているということ。今回のお目当てはほどゴーギャン1点買いだったが、肝心の‘バラと彫像’は思ったほどぐっとこなかった。ここ数年、国内でゴーギャンのいい絵に恵まれたのでその延長で関心が強かったが、これはアベレージという感じ。こういうこともある。

でも、想定外の作品に遭遇したので楽しみのバランスはとれた。シスレー(1839~1899)の最晩年の作品、‘カーディフの停泊地’は真ん中に大きく描かれた樹が広重の浮世絵を思い起こさせる。また、印象派の兄貴格的な存在であるピサロの‘オペラ通り’がみれたのも収穫だった。

ドニ(1870~1943)の‘魅せられた人々’は人体に塗られた薄褐色やピンクがかった肌色に目がクラクラした。光の表現がこれほどストレートだと絵の印象は強烈で長く記憶にとどまる。4年くらい前、横浜美であったプーシキン美展でも同じように色彩が輝く作品をみた。

予想より作品の数が倍くらい多かったのがフジタ(藤田嗣治、1886~1968)、フジタはランスと縁が深くこの街にある‘平和の聖母礼拝堂’はフジタが建てたもの。過去にあった藤田嗣治展に内部に飾れらたフレスコ画やステンドグラスの一部がやって来た。

ざーっとみたフジタの作品で思わず足がとまったのが‘マドンナ’、モデルは映画‘黒いオルフェ’に出演した女優という。道理で魅力的な顔立ちをしている。手元にあったチラシは別の絵を使っていたので、大きなオマケをもらった気分。

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2017.03.31

セザンヌの‘カード遊びをする男たち’!

Img_0002  バーンズコレクション蔵 1890~92年 134×181.5cm 

Img_0001     メトロポリタン美蔵 1890~92年 65.4×81.9cm

Img_0004     オルセー美蔵 1890~92年 47×56cm

Img_2     中東コレクター蔵 1890~92年 97×130cm

コートールドコレクションが誇る自慢の絵画のひとつであるセザンヌ(1839~1906)の‘カード遊びをする男たち’を紹介したので、残り4つのヴァージョンも並べてみたい。

セザンヌは1890年から1892年にかけて‘カード遊びをする男たち’のシリーズに取り組み5点仕上げた。作品の順番ははっきりしているわけではないが、有力な説としては最初に描かれたのがバーンズコレクションにある3人のプレーヤーと傍で2人がみているもので、次がこの小さめヴァージョンのメトロポリタン美が所蔵するもの。

3番目に描かれたのが農夫2人しかいないオルセー美にあるもの、そしてその後が同じく2人のヴァージョンでコートールド美と中東のコレクターがもっているもの。

キャンバスのサイズを記したが、バーンズコレクションのものが最も大きい。その次に大きいのが中東にある2人プレーヤー、一番小さいのはオルセー蔵でバーンズコレクションの1/3くらい。また、コートールドのものは60×73cmと小さめサイズ。

1994年上野の西洋美にバーンズコレクションがやって来たとき、大きな感動をもたらしてくれた作品のひとつがセザンヌのこの‘カード遊びをする男たち’。画面にはカードに興じている3人の農夫のほかにそれをみているパイプをくわえた男と少女が描き込まれている。セザンヌの人物画がぐっとくるようになったのはこの絵をみたからかもしれない。

5点のうち縁がないのが現在中東のコレクターが所有しているもの。2013年、あるTV番組をみていたら‘高額絵画ベスト3’を話題にしていた。1位がこの‘カード遊びをする男たち’で金額はなんと246億円!、ちなみに2位はピカソの‘夢’ 153億円、3位はポロックの‘No.5 1948’ 138億円。

中東にあるヴァージョンを一度みてみたいが、その可能性はほとんどないだろう。だから、図版で楽しむことが続きそう。

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2016.12.15

2016年 感動の西洋絵画 ベスト10!

Img_0001   カサットの‘果実をとろうとする子ども’(1893年 ヴァージニア美)

Img  ダリの‘ラファエロの聖母の最高速度’(1954年 ソフィアセンター)

Img_0002   ゴーギャンンの‘タヒチの3人’(1899年 スコットランド国立美)

Img_0003    クラーナハの‘正義の寓意’(1537年)

今年心に響いた西洋絵画、残りは4点。ヨーロッパの美術館ばかり回っていると、古典画でも印象派などの近代絵画でも関心の対象がダ・ヴィンチとかモネ、ゴッホといった日本でよく知られた画家ばかりにむかうことになる。

こうした鑑賞態度はある時期まで続いた。それが2008年からアメリカの美術館を本格的にめぐるようになって、画家に対する見方がすこし変化した。例えば、馴染みの画家でいうとロートレックの油彩の傑作がシカゴやワシントンナショナルギャラリーなどのブランド美術館にたくさんあることに気づいたこと。

そして、名前は知っていてもお目にかかった作品が少なかったアメリカ人画家におおいに開眼したことも大きな収穫だった。印象派の女流画家カサット(1844~1926)のその一人、どこへ行ってもだいたい飾ってあったが、とくにいい絵がいくつもあったというイメージが強いのはフィラデルフィア美、横浜美の回顧展(6/25~9/11)に出品された‘母の愛撫’は3年前にはじめてここを訪れたとき思わず足がとまった作品。

今回母子像がたくさん登場したが、もっとも惹かれたのが‘果実をとろうとする子ども’、構図でおもしろいのがお母さんの片方の目が幼児の頭に隠れてみえないこと。目をあえて一つにしてみる者の視線を主役の赤子と果物にむかわせようとしているのだろう。

久しぶりに数多くの作品が結集したダリ(1904~1989)、展覧会(9/14~12/12 国立新美)自体の満足度はすでにみているものが多かったので高くはないが、どうしてもベスト10に入れたかったものがある。それは原子の構造や素粒子に高い関心を抱いていたダリがラファエロの聖母子像と組み合わせて描いた作品。絵のタイトルに‘最高速度’というサイエンスの匂いがぷんぷんする言葉をつけるのだからダリは相当新しい物理学にのめりこんでいる。

東京都美で開催された‘ゴッホとゴーギャン展’(10/8~12/18)、ゴッホは追っかけのステージが400メートル走でいうと最後の50mのところにきたので今の鑑賞スタイルはいたってリラックスモード、体が向かうのはゴーギャン(1848~1903)のほう。大きな収穫はスコットランド国立美からやって来てくれた‘タヒチの3人’。東京都美への好感度がまたアップした。

締めくくりの西洋絵画はドイツの巨匠クラーナハ(1472~1553)の回顧展(10/15~1/15)、カラヴァッジョ展に比べると衝撃度は弱いが、数点ぐっとくるものがあった。そのなかで息を呑んでみていたのが‘正義の寓意’。これは忘れられない一枚。また、愛嬌があり元気のいい女性がでてくる‘ロトとその娘たち’もニヤニヤしながらみていた。

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