2017.11.09

北斎パワー全開 ‘北斎とジャポニスム’!

Img_0002 セザンヌの‘サント=ヴィクトワール山’(1887年 フィリップスコレクション)

Img     モネの‘ベリールの嵐’(1886年 オルセー美)

Img_0001     スーラの‘尖ったオック岬、グランカン’(1885年 テート)

Img_0003     カサットの‘母と子ども’(1889年 シンシナティ美)

現在、西洋美で開催中の‘北斎とジャポニスム’(10/21~1/28)はゴッホ展同様、大賑わいだった。ここ数年は展覧会へ行くとき以前とちがい出品作の情報をHPでみないことが多い。今回手にしたのはドガの絵と北斎漫画を対比させたチラシのみ。サプライズの作品に会えるかどうかは運次第。

入館すると人が多すぎて思うように前に進めない。だから、たくさんでている北斎漫画や風景画、花鳥画を2列目からチラチラとみながら北斎の絵に現れた構図や色彩、モチーフの描写などに刺激され制作したヨーロッパの美術家たちの絵画や工芸品を駆け足気味でみてまわった。

驚くのは北斎の影響をうけた作品の数の多さ。印象派の絵だけでなく、やきもの、ガラス、宝飾品、家具調度品の絵柄など多くのジャンルにわたっている。北斎と横に並んでいる作品を見比べると北斎を意識したことが一目でわかる。この類似性の強さを目の当たりにすると、当時ヨーロッパの美術界で一世を風靡したジャポニスムの様式はいろんな分野に広がっていたことがよくわかる。そして、そのど真ん中に北斎がいたことも。

じつは西洋美は1988年に‘ジャポニスム展’を行っている。そのときも数々の浮世絵と西洋絵画や工芸の模様などが対比されて並んだ。だから、この展覧会はジャポニスムを北斎で代表させたパート2。期待の大きかった印象派の作品は予想通りいいのがでている。流石、西洋美!

浮世絵の影響を受けているのにそれを口にしないセザンヌ(1839~1906)、‘サント=ヴィクトワール山’はお気に入りの風景画、日本にやって来るのは確か3度目。北斎の‘グレートウエーブ’がモネ(1840~1926)の頭のなかにどれほどあったかわからないが、‘ベリールの嵐’を北斎の描いた海と関連付けたくなるのは自然な流れ。

嬉しい一枚と出会った。何年か前ロンドンのナショナルギャラリーでお目にかかったスーラ(1859~1891)の‘尖ったオック岬、グランカン’。思わず、これも来たのか、とうなった。これはスーラの静寂さのイメージとは真逆の荒々しく力強さを感じさせる作品。蟹のつめを連想させる岬の形が目に焼きつく。

大きな収穫だったのがカサット(1844~1926)の‘母と子ども’、この可愛い赤ちゃんに200%惹きつけられた。カサットに乾杯!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.11.08

いつも盛況の‘ゴッホ展’!

Img     ‘タラスコンの乗合馬車’(1888年 プリンストン大美)

Img_0002     ‘サント=マリーの海’(1888年 プーシキン美)

Img_0001     ‘ポプラ林の中の二人’(1890年 シンシナティ美)

Img_0003     ‘夾竹桃と本のある静物’(1888年 メトロポリタン美)

上野へでかけ東京都美で開催中の‘ゴッホ展 巡りゆく日本の夢’(10/24~1/8)をみてきた。ゴッホ狂なので期待で胸が膨らむが、チラシをみて狙い目の作品は決めてある。出品作が多いのはアムステルダムのゴッホ美とオッテルローのクレラー・ミュラー美。ここからやって来るものが回顧展の軸になれば、満足度の高い一級のゴッホ展。館内は予想通り大勢の人がいた。

手元に‘ゴッホ全油彩画’(2冊 TASCHEN 2010年)があり、載ってる作品を一点々つぶしていくのは大きな楽しみになっている。今回済みマークがついたのは6点、だから機嫌がいい。もっとも期待していたのはプリンストン大美からやって来た‘タラスコンの乗合馬車’、一見べたっとした絵だが、馬車の車輪と後ろの家の壁の白がとても印象深い。そして赤と緑の補色効果にもぐっと惹きつけられる。

画面の上部にヨットが沢山浮かんでいる‘サント=マリーの海’に遭遇したのも大きな収穫。チラシになかったので宝物を拾ったような気分、これでプーシキンで残っているのは‘赤い葡萄畑’と‘馬車と鉄道のある風景’。これはモスクワに行かないと見れないかもしれない。

ゴッホに魅せられたアメリカ人コレクターは多く、作品は全米の美術館に分散している。シンシナティ美蔵の‘ポプラ林の中の二人’も長くみていた。林立するポプラの配置の仕方がゴッホには珍しく遠近法に従っており、奥行きのある空間描写が目を釘づけにさせる。

メトロポリタンには‘糸杉’などいい絵が揃っているが、静物画の‘アイリス’と今回はじめて登場した‘夾竹桃と本のある静物’も心を奪われる名画。この2点とポールゲッティがもっている‘アイリス’を勝手にゴッホ静物画のビッグ3にしている。

今年はこのゴッホ展をいろんな人にPRしてきた。来年の1/8までやっているので忘年会で会う友人には熱く語りたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.10.31

セザンヌの‘赤いチョッキの少年’がやって来る!

Img

昨日、狩野元信展の後期を見るため出かけたサントリー美で大変嬉しいニュースに接した。4階の展示室から3階へ降りていくときなんの気なしに手にとったチラシに驚きの絵画が載っていた。

その絵はセザンヌの‘赤いチョッキの少年’、出品される展覧会は来年2/14~5/7に国立新美で行われる‘至上の印象派展 ビュールレ・コレクション’。すでにチラシは入手していたが、そこに目玉として使われていたのは一度みたことのあるルノワールの‘可愛いイレーヌ’。

スイスのビュールレ・コレクションの印象派作品が日本でみれるのは嬉しい話だが、このルノワールはお目にかかっている。そして、折角ビュールレ・コレクションをもってくるのに、セザンヌの画集に必ず載っている‘赤いチョッキの少年’は含まれてない。だから、楽しみは楽しみだが期待値は高くならない。

ところが、100%諦めていた‘赤いチョッキの少年’が出品されるという。これは大変なことになった。2年前、再訪したフィラデルフィア美で前回みれなかった‘大水浴図’との対面を果たし、残る追っかけ画は2点になった。‘赤いチョッキの少年’とプーシキン美にある‘マルディ・グラ’。

セザンヌをコンプリートするのに欠かせない2ピースのひとつにあと3カ月もすると会える。そして、最新の情報によるとモネの大きな睡蓮(縦2m、横4m)も初登場し、ゴッホの‘日没を背に種まく人’もでてくるらしい。これなら期待値は大きくジャンプする。

印象派展は来年の夏にも大きなのがある。横浜美の‘モネ それからの100年’(7/14~9/24)。この美術館は印象派展が得意、ゴッホ展、プーシキン美のゴッホやゴーギャン、昨年のカサット展。このモネ展も期待できそう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.07.25

豪華なラインナップを揃えた‘ボストン美の至宝展’!

Img     ゴッホの‘郵便配達夫ルーラン’(1888年)

Img_0003     モネの‘睡蓮’(1905年)

Img_0002     ルノワールの‘花の静物画’(1869年)

Img_0001 サージェントの‘フィスク・ウォレン夫人と娘レイチェル’(1903年)

待望の‘ボストン美の至宝展’(7/20~10/9)が東京都美ではじまった。以前とちがって開幕日に出かけることにこだわってなくオープン後頃合いをみて足を運ぶことが多いが、今回はタイミングがあい初日の午前中に入館した。

ボストン美のコレクションはこれまで何度もやってきている。そのため、自慢のミレーや印象派には再会する作品も多いがお馴染みの名画だからクラシックの名曲を聴くのと同じように高揚感がどんどん高まっていく。

気分が最高に盛り上がるのがゴッホ(1853~1890)の‘郵便配達夫ルーラン’と‘ルーラン夫人’が並んで展示されているところへきたとき。2015年12月に訪問したボストン美では2点はこういう風に飾られてはいない。だから、日本で特別の演出がされているのである。とってもいい感じ。

昨年はデトロイト美展(上野の森美)でゴッホの自画像など2点をみたが、このルーラン夫妻はその2倍も感激する。腹の底からゴッホに乾杯! 展覧会がはじまる前、‘ルーラン’はまだ日本に来たことがないと繰り返し言ってきたが、これは間違いで上野東京ラインさんによると2005年名古屋ボストンにお出まし頂いていた。だから、東京に登場するのははじめてというのが正確な言い方。

5点ある‘ルーラン夫人’のなかでボストンにあるものはすばらしい出来栄えなので、これから10月のはじめまでに上野へ出かけると極上のゴッホと対面できる。夏休みに入った子どもたちのなかにはこの絵をみてゴッホにとりつかれる子がでてくるかもしれない。

モネ(1840~1926)の‘睡蓮’は何度みても心を奪われる傑作だが、今回だけは、ゴッホがあるので分が悪い。でもこの絵も忘れないで欲しい。そして、ルノワール(1841~1919)の花の静物画、これはルノワールが描いた静物画では最上位に位置づけられるもの。

ボストン美が所蔵するサージェント(1856~1925)がやっと姿を現した。拍手々!‘フィスク・ウォレン夫人と娘レイチェル’は美術館の英語版図録にも載っている魅力いっぱいの肖像画。

次は‘エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち’を期待したとろこだが、じつは2007年にこの絵も名古屋ボストンで披露されていた。迂闊にもまったく情報が抜けていた。となると、再来日は無理かな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.05.25

新宿で‘ランス美展’!

Img_0001    ゴーギャンの‘バラと彫像’(1889年)

Img_0002     シスレーの‘カーディフの停泊地’(1897年)

Img_0003     ドニの‘魅せられた人々’(1907年)

Img     フジタの‘マドンナ’(1963年)

久しぶりに新宿の損保ジャパン日本興亜美へ出かけ開催中の‘ランス美展 フランス絵画の宝庫’(4/22~6/25)をみてきた。とくに期待値の高かった展覧会ではないが、チラシに載ったゴーギャン(1848~1903)の静物画が気になっていたので予定通り出動した。

この美術館で前回何をみたのかすぐ思い出せない。それだけ足が遠のいているということ。今回のお目当てはほどゴーギャン1点買いだったが、肝心の‘バラと彫像’は思ったほどぐっとこなかった。ここ数年、国内でゴーギャンのいい絵に恵まれたのでその延長で関心が強かったが、これはアベレージという感じ。こういうこともある。

でも、想定外の作品に遭遇したので楽しみのバランスはとれた。シスレー(1839~1899)の最晩年の作品、‘カーディフの停泊地’は真ん中に大きく描かれた樹が広重の浮世絵を思い起こさせる。また、印象派の兄貴格的な存在であるピサロの‘オペラ通り’がみれたのも収穫だった。

ドニ(1870~1943)の‘魅せられた人々’は人体に塗られた薄褐色やピンクがかった肌色に目がクラクラした。光の表現がこれほどストレートだと絵の印象は強烈で長く記憶にとどまる。4年くらい前、横浜美であったプーシキン美展でも同じように色彩が輝く作品をみた。

予想より作品の数が倍くらい多かったのがフジタ(藤田嗣治、1886~1968)、フジタはランスと縁が深くこの街にある‘平和の聖母礼拝堂’はフジタが建てたもの。過去にあった藤田嗣治展に内部に飾れらたフレスコ画やステンドグラスの一部がやって来た。

ざーっとみたフジタの作品で思わず足がとまったのが‘マドンナ’、モデルは映画‘黒いオルフェ’に出演した女優という。道理で魅力的な顔立ちをしている。手元にあったチラシは別の絵を使っていたので、大きなオマケをもらった気分。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.03.31

セザンヌの‘カード遊びをする男たち’!

Img_0002  バーンズコレクション蔵 1890~92年 134×181.5cm 

Img_0001     メトロポリタン美蔵 1890~92年 65.4×81.9cm

Img_0004     オルセー美蔵 1890~92年 47×56cm

Img_2     中東コレクター蔵 1890~92年 97×130cm

コートールドコレクションが誇る自慢の絵画のひとつであるセザンヌ(1839~1906)の‘カード遊びをする男たち’を紹介したので、残り4つのヴァージョンも並べてみたい。

セザンヌは1890年から1892年にかけて‘カード遊びをする男たち’のシリーズに取り組み5点仕上げた。作品の順番ははっきりしているわけではないが、有力な説としては最初に描かれたのがバーンズコレクションにある3人のプレーヤーと傍で2人がみているもので、次がこの小さめヴァージョンのメトロポリタン美が所蔵するもの。

3番目に描かれたのが農夫2人しかいないオルセー美にあるもの、そしてその後が同じく2人のヴァージョンでコートールド美と中東のコレクターがもっているもの。

キャンバスのサイズを記したが、バーンズコレクションのものが最も大きい。その次に大きいのが中東にある2人プレーヤー、一番小さいのはオルセー蔵でバーンズコレクションの1/3くらい。また、コートールドのものは60×73cmと小さめサイズ。

1994年上野の西洋美にバーンズコレクションがやって来たとき、大きな感動をもたらしてくれた作品のひとつがセザンヌのこの‘カード遊びをする男たち’。画面にはカードに興じている3人の農夫のほかにそれをみているパイプをくわえた男と少女が描き込まれている。セザンヌの人物画がぐっとくるようになったのはこの絵をみたからかもしれない。

5点のうち縁がないのが現在中東のコレクターが所有しているもの。2013年、あるTV番組をみていたら‘高額絵画ベスト3’を話題にしていた。1位がこの‘カード遊びをする男たち’で金額はなんと246億円!、ちなみに2位はピカソの‘夢’ 153億円、3位はポロックの‘No.5 1948’ 138億円。

中東にあるヴァージョンを一度みてみたいが、その可能性はほとんどないだろう。だから、図版で楽しむことが続きそう。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.12.15

2016年 感動の西洋絵画 ベスト10!

Img_0001   カサットの‘果実をとろうとする子ども’(1893年 ヴァージニア美)

Img  ダリの‘ラファエロの聖母の最高速度’(1954年 ソフィアセンター)

Img_0002   ゴーギャンンの‘タヒチの3人’(1899年 スコットランド国立美)

Img_0003    クラーナハの‘正義の寓意’(1537年)

今年心に響いた西洋絵画、残りは4点。ヨーロッパの美術館ばかり回っていると、古典画でも印象派などの近代絵画でも関心の対象がダ・ヴィンチとかモネ、ゴッホといった日本でよく知られた画家ばかりにむかうことになる。

こうした鑑賞態度はある時期まで続いた。それが2008年からアメリカの美術館を本格的にめぐるようになって、画家に対する見方がすこし変化した。例えば、馴染みの画家でいうとロートレックの油彩の傑作がシカゴやワシントンナショナルギャラリーなどのブランド美術館にたくさんあることに気づいたこと。

そして、名前は知っていてもお目にかかった作品が少なかったアメリカ人画家におおいに開眼したことも大きな収穫だった。印象派の女流画家カサット(1844~1926)のその一人、どこへ行ってもだいたい飾ってあったが、とくにいい絵がいくつもあったというイメージが強いのはフィラデルフィア美、横浜美の回顧展(6/25~9/11)に出品された‘母の愛撫’は3年前にはじめてここを訪れたとき思わず足がとまった作品。

今回母子像がたくさん登場したが、もっとも惹かれたのが‘果実をとろうとする子ども’、構図でおもしろいのがお母さんの片方の目が幼児の頭に隠れてみえないこと。目をあえて一つにしてみる者の視線を主役の赤子と果物にむかわせようとしているのだろう。

久しぶりに数多くの作品が結集したダリ(1904~1989)、展覧会(9/14~12/12 国立新美)自体の満足度はすでにみているものが多かったので高くはないが、どうしてもベスト10に入れたかったものがある。それは原子の構造や素粒子に高い関心を抱いていたダリがラファエロの聖母子像と組み合わせて描いた作品。絵のタイトルに‘最高速度’というサイエンスの匂いがぷんぷんする言葉をつけるのだからダリは相当新しい物理学にのめりこんでいる。

東京都美で開催された‘ゴッホとゴーギャン展’(10/8~12/18)、ゴッホは追っかけのステージが400メートル走でいうと最後の50mのところにきたので今の鑑賞スタイルはいたってリラックスモード、体が向かうのはゴーギャン(1848~1903)のほう。大きな収穫はスコットランド国立美からやって来てくれた‘タヒチの3人’。東京都美への好感度がまたアップした。

締めくくりの西洋絵画はドイツの巨匠クラーナハ(1472~1553)の回顧展(10/15~1/15)、カラヴァッジョ展に比べると衝撃度は弱いが、数点ぐっとくるものがあった。そのなかで息を呑んでみていたのが‘正義の寓意’。これは忘れられない一枚。また、愛嬌があり元気のいい女性がでてくる‘ロトとその娘たち’もニヤニヤしながらみていた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.10.17

ご機嫌な‘デトロイト美展’! ゴーギャン、セザンヌ

Img     ゴーギャンの‘自画像’(1893年)

Img_0001     セザンヌの‘画家の夫人’(1886年)

Img_0002     スーティンの‘赤いグラジオラス’(1919年)

Img_0004     ルドンの‘心に浮かぶ蝶’(1912年)

美術館が展覧会のために用意するチラシはどの絵がよさそうかを事前に知る大事なツールだから、ここに載っているものに鑑賞のエネルギーの多くが注がれる。ゴッホ、ルノワールとともに気になっていたのがゴーギャン(1848~1903)の自画像。

ゴーギャンの目力も相当強い。コペンハーゲンに住んでいたころに描かれた自画像とくらべるとえらい変わりよう。この相手を見下すような顔つきは自作に対する自信の表れか。同じ時期にゴーギャンはこれと同じポーズでもう一点絵描いており、現在アメリカのコレクターのところにおさまっている。運よく2010年の回顧展(テートモダン)でお目にかかった。

セザンヌ(1893~1906)は4点、美術本によく載っているのは‘画家の夫人’、セザンヌの肖像画とかトランプ遊びの絵には惹かれるものが多い、この夫人にも思わず足が止まった。ほかの3点はセザンヌの作品としてはアベレージ、あまりぐっとこない。

まったく想定外だったのがスーティン(1893~1943)の‘赤いグラジオラス’、スーティンというと血を連想するような赤がすぐ思い浮かぶが、この花の絵も血で塗られたような感じ、パリのオランジュリー美でもグラジオラスをみたが、まるで花の内面が外に発散しているよう。

ルドン(1840~1916)の‘心に浮かぶ蝶’は以前からデトロイト美蔵としてわずかに知っている作品のひとつ。だから、出品されることを密かに期待していた。画集とイメージが違っていたのは色彩の強さ、蝶の羽は鮮やかな色彩ではなく背景はくすんだような赤茶色。でも、そのぶん幻のなかを蝶たちが飛びかっているようにみえた。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.10.16

ご機嫌な‘デトロイト美展’! ゴッホとルノワール

Img_0003     ゴッホの‘自画像’(1887年)

Img_0001   ゴッホの‘オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて’(1890年)

Img     ルノワールの‘白い服の道化師’(1902年)

Img_0002     ルノワールの‘座る浴女’(1904年)

今月の7日からはじまった‘デトロイト美展’(上野の森美 1/21まで)もこの秋関心の高かった展覧会。だから、今、上野は印象派やホスト印象派を楽しみたい人にとってはホットな場所になっている。

デトロイト美術館の名前は古典絵画や印象派などの美術本にもでてくるから、そのコレクションの質の高さはアバウト知っていた。古典絵画でいつかこの目で思っているのが2点ある。ブリューゲルとカラヴァッジェスキの女流画家ジェンティレスキ、残念だが今回はお目にかかれない。

多くの美術ファンの目を釘付けにするのは印象派とゴッホ、ゴーギャン、普段はみることの少ないドイツ絵画、そしてピカソやマティなど。全部で52点。入ってすぐに‘おおー’と思わず声がでる絵が出迎えてくれる。ルノワール(1941~1919)の‘白い服の道化師’と‘座る浴女’。

白の服の輝きが目をとらえて離さない道化師、モデルをつとめるのはルノワールの子どもジャン。図録でみるより本物は数倍いい。このつかみは最高だった。そして、その横にある浴女も心をときめかせる。同じようなポーズで描かれた別ヴァージョンをフィラデルフィア美でみたが、デトロイト美にもあったとは。美術本にはもう2点載っている。今年は4月に国立新美でルノワール展があり、またいい絵をみることができた。まさにルノワールイヤー。

東京都美で‘ゴッホとゴーギャン展’をみてこちらにはしごしたから、チラシに大きく載っているゴッホ(1853~1890)の‘自画像’にも吸い寄せられていく。意外にも縦36cm、横27cmの小さな肖像画、でも麦わら帽の黄色の明るさとゴッホのその強い目力によって大きな作品にみえる。TASCHENのゴッホ本の表紙にこの絵が使われている訳が即わかった。

ゴッホはもう1点いいのがでている。絵の具の厚塗りの跡がよくみえる‘オワーズ川の岸辺、オーヴェールにて’、手元にある分厚いゴッホの画集に載っているでデトロイト美のコレクションにお目にかかれて幸せな気持ちになった。ミューズに感謝!

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2016.10.15

期待値を上回る‘ゴッホとゴーギャン展’! ゴッホ

Img     ‘収穫’(1888年 ゴッホ美)

Img_0002  ‘ジョぜフ・ルーランの肖像’(1889年 クレラー=ミュラー美)

Img_0003     ‘アルジェリア兵士’(1888年 ゴッホ美)

Img_0001     ‘タマネギの皿のある静物’(1889年 クレラー=ミュラー美)

ゴッホ(1853~1890)は一生付き合っていく画家ときめているので、日本で開催された展覧会は欠かさず足を運んでいる。ここ10年くらいのスパンでみると回顧展は3回あった。2005年(東近美)、2010年(国立新美)、そして2013年(京都市美)、出品作の大部分はいずれもアムステルダムにあるゴッホ美とオッテルローのクレラー=ミュラー美が所蔵するもの。

3年ぶりとなる今回のゴッホ展もふたつの美術館からやって来たものを中心に構成されている。はじめて公開されるものも多く、ゴッホが好きな人にはご機嫌なラインナップであることはまちがいない。ゴッホ人気の高さを裏付けるように大勢の人が熱いまなざしを注いでいた。

アルル時代に描かれた‘収穫’はお気に入りの作品、農民画というとゴッホが敬愛したミレーの作品が思い浮かぶが、それとともにブリューゲルや晩年のルーベンスが描いた心温まる農村の風景も頭をよぎる。この絵が日本で公開されたのは大ヒット。

人物画では‘ジョゼフ・ルーランの肖像’、‘アルジェリア兵’、‘ミリエの肖像’の前に長くいた。このなかで初お目見えは‘アルジェリア兵’、こういう絵をみるとゴッホは肖像画が本当に上手いなと思う。画面の明るさが際立っているのが‘タマネギの皿のある静物’、まさにイエローパワーが炸裂している。

みおわってふと思ったのはゴッホ美、クレラー=ミュラー美にあるいい絵はほとんど日本に来たのではないかと、残っているのはクレラー=ミュラーのお宝No.1の‘アルルのはね橋’くらいのもの。日本にはゴッホが好きな人が大勢いるからゴッホ展が定期的に開催され画集に載っている傑作が姿を現してくれる。こんな国はほかにない。

だから、仕事が忙しくて休みがとれずゴッホの聖地となっているオランダの美術館に出かけられないゴッホファンでも、日本にいて回顧展に足しげく通うと名画の数々が目のなかに入る。絵画鑑賞は長期戦といいきかせ、粘り強く待っているとミューズが必ず幸運を運んできてくれる。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

やまと絵 | アメリカ絵画 | アートに乾杯! | アール・デコ | アール・ヌーヴォー | イギリス絵画 | ウィーン世紀末 | エコール・ド・パリ | オペラ | オリンピック | キュビスム | ギリシャ・ローマ史 | クラシック音楽 | サイエンスの森! | サッカー | シュルレアリスム | ジャズ | スペイン絵画 | スポーツ | ズームアップ 名画の響き合い! | ダダ | テニス | ナビ派 | バルビゾン派 | バロック | ファッション | フォーヴィスム | マニエリスム | マラソン | ミュージカル | ミューズに願いを! | ラファエロ前派 | ルネサンス | ロココ絵画 | ロマン派 | 中国絵画 | 仏画 | 個人コレクション 夢の傑作選! | 円山四条派 | 写実派 | 北方絵画 | 印象派 | 古代遺跡 | 夢の‘日本美術里帰り展’! | 夢の展覧会 | 奇想派 | 学問・資格 | 工芸 | 建築 | 抽象絵画 | 文人画 | 文化・芸術 | 新古典派 | 旅行・地域 | 日本の歌 | 日本の洋画 | 日本の美術館 | 日本の美! | 日本映画 | 日記・コラム・つぶやき | 映画・テレビ | | 書籍・雑誌 | 未来派 | 東洋・日本彫刻 | 民画 | 水墨画 | 洋風画 | 浮世絵 | 海外の美術館 | 海外の音楽 | 海外映画 | 満足のキメ手はリファレンス作品! | 狩野派 | 現代アート | 琳派 | 癒しのアートにつつまれて! | 相撲 | 素朴派 | 絵巻 | 美術に魅せられて! | 美術館に乾杯! | | 芸能・アイドル | 行動経済学 | 街角ウォッチング | 表現主義 | 西洋彫刻 | 西洋画・日本画比較シリーズ | 象徴派 | 近代日本画(古典・歴史画) | 近代日本画(女性画) | 近代日本画(花鳥画) | 近代日本画(風景画) | 近代日本美術の煌き! | 近代西洋絵画 | 野球 | 陶磁器 | 音楽が誘う絵画の世界! | 風俗画 | 食べ物