2019.09.21

印象派オールスターの風景画!

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   ゴッホの‘花咲く桃の木々’(1885年)

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    モネの‘アンティーブ’(1888年)

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   セザンヌの‘大きな松のあるサント=ヴィクトワール山’(1887年)

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  ピサロの‘ロードシップ・レーン駅、ダリッジ’(1871年)

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   スーラの‘クールブヴォワの橋’(1887年)

来月11日から上野の森美で‘ゴッホ展’が開催されるが、その前に東京都美に
でかけるとコートールド・コレクションの大事なピースとなっている‘花咲く
桃の木々が楽しめる。ゴッホ(1853~1890)が描いた風景画のなか
でこれは広々とした農村の光景のせいでゆったりとした気分でみられる。強
く印象に残るのは横にのびる果樹園に咲き誇る桃の白い花と農村全体に覆い
かぶさる点描風に描かれた雲。この絵を上回るのが上野の森美に登場するだ
ろうか。

明るい太陽の光が眩しく感じられるモネ(1840~1926)の‘アンティ
ーブ’は2011年、パリのグランパレで行われた大モネ展にも出品された。
真ん中で画面を分断するように斜めに描かれた松の木は当時の人たちには違
和感があったかもしれないが、われわれは広重や北斎の浮世絵風景画を見慣
れているのでいい構図に仕上がったなと感心してみてしまう。

コートールド・コレクションにはセザンヌ(1839~1906)が11点あ
る。5点の風景画で人気が高いのが‘大きな松のあるサント=ヴィクトワール
山’。これまで日本にやって来た回数は最も多い。ワシントンのフィリップス
コレクションにもよく似た構図の作品がある。左の松の枝がサント=ヴィク
トワール山の稜線を指し示すように長くのびている。こういう構図は趣味で
描く日曜画家の好むスタイルだが、枝にこうした役割をさせることまでは考
えつかない。そこがセザンヌの偉大なところ。

印象派の仲間うちでは兄貴格の存在だったピサロ(1830~1903)の
‘ロードシップ・レーン駅、ダリッジ’はお気に入りの一枚。駅を出たばかりの
汽車を正面からとらえたのはターナーの有名な絵、‘雨、蒸気、スピードーグ
レート・ウェスタン鉄道’を意識したのだろう。よく目にする汽車の絵とは違
い、汽車がこちらに力強く向かってくる姿は産業近代化の象徴そのもののよ
うに映る。

ゴッホにも影響を与えたスーラ(1859~1891)の点描技法。コート
ールドには風景を点描で描いた‘クールブヴォワの橋’と人物画‘化粧する若い
女’の2点あるが、今回は‘若い女’のほうはロンドンで留守番。右手前の太い
幹の木やヨットの帆、川沿いに立っている人物、さらには遠くにみえる工場
の煙突、どれも計算された垂直線が斜めの方向につらなっていく。空間は歪
むことなくきちっと縦や横の直線で区画される感じ。

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2019.09.20

予想通りに凄い‘コートールド美展’!

Img_0001_20190920223901     ルノワールの‘桟敷席’(1874年)

 

Img_0003_20190920220501    ドガの‘舞台上の二人の踊り子’(1874年)

 

Img_20190920220501    マネの‘フォリー=ベルジェールのバー’(1882年)

 

Img_0002_20190920220501     ゴーギャンの‘ネヴァーモア’(1897年)

 

今年開かれる西洋美術の展覧会では期待値が断トツに高かったのがこの
‘コートールド美展 魅惑の印象派’(9/10~12/15)。印象派やポスト
印象派のコレクションの質の高さは世界中に知れ渡っているので印象派が好
きな人には心躍る特別展にちがいない。日本での公開は3度目。運よく
1984年と1997年(ともに日本橋高島屋で開催)のときめぐり会い、
また縁があったのは幸運というほかない。

今回ロンドンにある邸宅美術館からからやってきたのは60点。前の2回と
較べるとゴッホの‘耳に包帯をした自画像’とスーラの‘化粧する若い女’の2点
が欠けるだけでほかのいい絵は全部出品されている。これは圧巻のライン
ナップ。1点々の作品が放つ磁力が強いので数が60点に絞り込まれていて
も満足感は入館してからずっとプラトー状態のまま。やはり凄いコレクショ
ンである!

再会したルノワール(1841~1919)の‘桟敷席’を長くみていた。
3年前やって来た代表作‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’同様、この太い黒
の線が下に流れる衣装をまとった美しい女性にも魅了され続けている。目が
点になるのがネックレスが発する白の点々の輝きと手にしている黄金のオペ
ラグラスの質感描写。黒と装飾性の豪華さが見事に融合し色白の女性を引き
立ている。

ドガ(1834~1917)の‘舞台上の二人の踊り子’にはオルセーにある
‘エトワール’以上の魅力を感じている。ドガは人物に動きをつくるのが天才
的に上手い。中央で両手を横にあげる踊り子の姿をみると次にどんな動きへ
移行するのかなんとく想像できるから不思議。

最大の目玉の絵はマネ(1832~1883)の‘フォリー=ベルジェール
のバー’。真ん中に描かれているのがフランス人形のような可愛い顔をして
いるがどこか寂しげなバーメイド。その横にはこちらに背をむけた同僚の
女の子がお客に対応している。普通はこうみる。カウンターがぐるっと回っ
ていると思う。

ところがそうではなく、後ろの女は中央の女の鏡に映った姿。ありゃー、
それは違うでしょう!これがマネ流の描き方。騙されたと思わないで二人
は別人とみて楽しむほうがいい。そして、カウンターのガラスの皿に載っ
ているオレンジの質感に目をこらす。はじめてみたとき秋の柿をイメージ
した。つるつるした柿の皮にそっくり。

ゴーギャン(1848~1903)は並んで飾られている‘ネヴァーモア’と
‘テ・レリオア’が絶品。‘ネヴァーモア’で目に焼きつくのは横たわる裸婦の足
もとにみえる赤い布と枕の黄色の輝き。赤は大原にある傑作‘かぐわしき
大地’にでてくるトカゲの羽の赤の強さをすぐ連想した。こんないいゴーギ
ャンが2点もみれるのだからたまらない。ミューズに感謝!

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2019.05.03

ドガの‘リハーサル’!

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     ドガの‘リハーサル’(1874年)

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     ゴッホの‘画商リード’(1887年)

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     ブーダンの‘ドーヴィル、波止場’(1891年)

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     クールベの‘オルド嬢’(1865年)

渋谷のBunkamuraで開幕した‘印象派への旅 海運王の夢ーバレル・
コレクション’(4/27~6/30)を早速見た。展覧会の情報が入ってきた
ときは‘あのドガの絵が来るのか!’と心が弾んだ。その絵は‘リハーサル’、
ドガの画集には必ず載っている有名な絵。だから、この1枚をみるために出か
けた。

スコットランドのグラスゴー出身で海運業で財をなしたバレルがスコットラ
ンドの画家たちの作品と同様に熱をあげたのが印象派。そのなかで一際輝い
ているのがドガ(1834~1917)の‘リハーサル’、何枚も描かれたバレ
エの稽古の場面なのですっと画面に入っていける。ぶらっと稽古場に寄りこ
ういう一番いい場所で踊り子たちの姿がみれるとバレエがぐっと身近になる。

構図がとてもいい。奥の方には右にいる先生がみつめるなか右足立ちで体を
前に倒す動きを繰り返す少女たちがおり、手前には休憩中の子が椅子に腰掛
けている。ふたつのグループの間に大きなスペースをつくるところがドガ流
。さらにスゴイのは左に描かれたらせん階段をよくみると上のほうに足がみ
え下へ降りてきている。こういうトリミングの仕方は浮世絵を研究した成果。
大収穫だった!

この絵1点買いだったが、ゴッホ(1853~1890)の‘画商リード’が
オマケでついてきた。ほかは絵の完成度・魅力の点からいうと正直アベレー
ジクラス。あれれ、こんなもんという感じ。Bunkamuraが行う企画展として
は物足りないが、たまには1点だけで勘弁してくださいということもある
だろう。


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2018.07.27

気になる横浜美の‘モネ展’!

Img_0001    ‘睡蓮’(1906年 吉野石膏)

Img_0002  ‘睡蓮 水草の反映’(1914~17年 ナーマッド・コレクション)

Img     ‘バラの小道の家’(1925年)

Img_0003     ‘チャリング・クロス橋’(1899年 メナード美)

現在、横浜美で開催されている‘モネ それからの100年’(7/14~9/24)。出かけるかどうかで二転三転したが、日曜美術館と美の巨人たちがとりあげたのをみてやっぱり足を運んだ。入館してびっくりしたのは中高校生や若い人がたくさんいたこと。

人気のあるモネだから過去にあった回顧展同様ファンの出足はいいが、これほど若い世代の人たちにでくわしたのははじめて。その理由は作品の構成が関係しているかもしれない。今回でているモネは25点と多くはなく、ほかはモネに影響を受けた日本や海外の現代ア―ティストの作品で占められている。その数64点。

こうしたモネ以外の作品を展示するスタイルは2007年、国立新美であった回顧展でもみられたがこのときは26点と少なくオマケでどうぞという感じだった。ところが、今回は展示のスタートからモネとほかの画家が交互にでてくる。

これをみるとモネに対する別のイメージが生まれてくるかもしれない。ロスコやウォーホル、リキテンスタインといったビッグネーム、さらにアートシーンの最前線で活躍する日本の作家、モネの睡蓮や画風を意識しコラボしたア―ティストがこれほど多くいたとは。脳が200%刺激される展覧会であることはまちがいない。

日本にあるモネが総動員されている。モネ狂なのでどこの美術館にモネがあるかはおおよそ頭に入っているしこれまでお目にかかってきた。いいのが集まっている。思わず足がとまったのが吉野石膏(株)が所蔵する‘睡蓮’とメナード美にある‘チャリング・クロス橋’。

会場を進みながら目が犯人を捜す刑事のようになっていたのがチラシで気になった‘睡蓮 水草の反映’と最晩年の‘バラの小道の家’、ともに海外のコレクターがもっているもの。じつはこの回顧展をパスできなかったのはこの‘バラ’のせい。狙ってた通り画面が一番輝いていた。Myモネ図録にこの絵が加わることになったのは大きな喜び。

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2018.06.16

コペンハーゲンの美術館を想起させるフランス絵画!

Img     ゴーギャンの‘マタモエ 孔雀のいる風景’(1892年)

Img_0001     ドランの‘港に浮かぶヨット’(1905年)

Img_0003     クールベの‘山の小屋’(1874年)

Img_0002     ロランの‘エウロペの掠奪’(1655年)

ロシアのエルミタージュ美(サンクトペテルブルク)とプーシキン美(モスクワ)は美術の本によくでてくる超一級の美術館。19年前に運よくエルミタージュを訪問できたが、プーシキンはまだ足を踏み入れていない。

コペンハーゲンとオスロでお目当ての美術館をまわってきたばかりだが、次の計画がアバウトにできていて、順番は①プーシキンと二度目のエルミタージュ ②スイスの美術館 ③LAとサンフランシスコの美術館となっている。海外の美術館めぐりはまだまだ続く。

プライオリティの高いプーシキンだが、今回を含めるとそのすばらしいコレクションを3回楽しませてもらった。お陰で関心の高い印象派、ポスト印象派については画集に載っている作品がかなり目に入った。でも、いい絵はもっとあることはわかっている。それらが4回目、5回目に登場するかもしれないが、歳を考えるとそうのんびり待ってもおれない。

エルミタージュ同様、プーシキンで充実しているのがゴーギャン(1848~1903)、コペンハーゲンのニュー・カールスベア美でゴーギャンを満喫したので‘マタモエ 孔雀のいる風景’をみているとコペンハーゲンのデジャブがおこっていると錯覚する。本当にいい絵。2羽の孔雀がとてもやさしい感じで南国の楽園を思わせる安定感のある構図と調和のとれた色使いが心をとらえて離さない。

色彩の輝きに目を奪われるのがドラン(1880~1954)の‘港に浮かぶヨット’、コペンハーゲンの国立美でドランのいい女性の肖像に会ったばかりなのに日本ではフォーヴィスムを体で感じさせる風景画に遭遇した。マティスとドランに‘フォーヴィスム、いいだろう、参ったか’とドヤ顔で言われているよう。

小品だがクールベ(1819~1877)の‘山の小屋’に魅了された。クールベは北欧の美術館で念願の作品を2点リカバリーできたので今頭のなかにどーんといる画家、その感動のリレーが東京都美にも続いているのだからたまらない。これって‘セレンディピティ’(思わぬ幸運に偶然出会う能力)の証?!

ギリシャ神話や聖書を題材にして港や川の広大な風景を描き人気の画家になったクロード・ロラン(1604~1682)は2013年横浜美にも登場したが、‘エウロペの掠奪’はそれを上回る傑作、日本でこんないいロランは滅多にみれない。

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2018.06.15

待望の‘プーシキン美展’!

Img_0001    モネの‘草上の昼食’(1866年)

Img_0003     モネの‘白い睡蓮’(1899年)

Img_0002     セザンヌの‘サント=ヴィクトワール山’(1905年)

Img     アンリ・ルソーの‘馬を襲うジャガー’(1910年)

先週、上野へでかけ東京都美で開催されている‘プーシキン美展ー旅する風景画’(4/14~7/8)をみてきた。ここ数年、西洋絵画の鑑賞は国立新美と東京都美、そして西洋美の3館が中心になっている。今年は春のビュールレコレクション展(国立新美)とともに期待値が高かったのがこのプーシキン美展。待望の絵が登場するのでわくわくしながら入館した。

4点出品されたモネ(1840~1926)は26歳のときに描かれた‘草上の昼食’が展覧会の目玉、白樺の森のなかで12人の男女が昼食を楽しんでいる。こういうピクニックはいまでも楽しい。視線が集まるのはやはりワインや食べ物が置かれている真ん中。ほかとくらべ明るさが際立ち白が輝いている。モネの作品をみるときいつもこの白の使い方に注目。右下で長い足をのばしてくつろうでいる男性のシャツの白さにも目を見張らされる。

太鼓橋と水面の睡蓮を描いた‘白い睡蓮’をみるのは‘草上の昼食’同様2度目のこと。ところが、この睡蓮がこれほど光り輝いているという印象がまったく消えていた。前々回のプーシキン美展の図録をときどきみていたのに本物のすばらしさを忘れていた。名画は何度もみるものだとつくづく思う。

今回一番のお目当てはセザンヌ(1839~1906)の‘サント=ヴィクトワール山’とアンリ・ルソー(1844~1910)の‘馬を襲うジャガー’、モネ、セザンヌ、ルソーはほぼ同世代の画家だが、3人のめざした絵は大きく違う。同じ時代に生きても絵画表現には個性がでる。これがアートの奥深いところ。

セザンヌが晩年に描いた故郷のサント=ヴィクトワール山はフィラデルフィア美にある2点と同じく色彩が複雑に絡み合う密度の濃い絵、山や家々の形はまだ残るものの画面のイメージは抽象絵画の世界へと入りこんでいる。これでサント=ヴィクトワール山の連作は済みマークがつけられる。ミューズに感謝!

さて、チラシにどんと使われているルソーの‘馬を襲うジャガー’、ぱっとみるとジャガーは馬のどこを噛みついているのかわからない。逆に馬がジャガーの首あたりをくわえているようにみえる。ルソーが亡くなる年に仕上げられた一連のジャングル画で残りは3点。次のターゲットはスイスのバーゼル美にある‘豹に襲われる黒人’にしているが、運にめぐまれれば3年後くらいに遭遇するかもしれない。

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2018.02.23

名画を揃えるビュールレ・コレクション!

Img     カナレットの‘カナル・グランディ、ヴェネツィア’(1742年)

Img_0002     コローの‘読書する少女’(1845~50年)

Img_0001     ピサロの‘ルーヴシエンヌの雪道’(1870年)

Img_0003     モネの‘睡蓮の池、緑の反映’(1920年)

印象派の作品を扱った美術本でしばしば名前が登場するビュールレ・コレクション、はじめのころはスイスのチューリヒにあることはわかったが美術館として作品を公開しているのか定かでなかった。それがはっきりしたしたのはセザンヌの‘赤いチョッキの少年’の盗難事件。

大きな話題になったその事件が起こったのは2008年、それから4年後の2012年にセルビア国内で無事発見された。名画が盗まれることはよくあり、1990年にボストンのイザベラ・スチュアート・ガードナー美から姿を消したフェルメールの‘会食’は残念ながらいまだ見つかってない。だから、美術館に戻った‘赤いチョッキの少年’が日本でみれるのは二重の幸運が重なった結果でもある。

ビュールレ・コレクションは2020年にチューリヒ美に移管されることが決まっている。計画しているスイスの美術館巡りはだぶんその後だと思うが、今回の展覧会でその全貌の一部を知ることができた。目の前に現われる作品をみてこのコレクションの質の高さにほとほと感心させられた。

メインディッシュは自慢の印象派だが、ハルスの肖像画やカナレット(1697~1768)のあのヴェネツィアの景観図も飾ってあった。プライベートコレクションに欠かせないのがカナレット、ロンドンのウォレスコレクションにも数点あった。この‘大運河’は人々の影や建物の壁の質感、運河を行き交うゴンドラまでじつに細かくとらえた描写が見事で画面の隅から隅まで視線を滑らせる。

女性の絵をみることは生涯の楽しみ、ルノワールやマネだけでなくコロー(1796~1875)にも大きな関心を寄せている。ビュールレ・コレクションにもいいのがあった。赤いジャケットが印象的な‘読書をする少女’、小品とはいえ思わず足がとまった。これは収穫の一枚。

さて、お目当ての印象派・ポスト印象派、いい絵が続々でてくる。3点あるピサロ(1830~1903)は季節柄‘ルーヴシエンヌの雪道’に心が吸いこまれていく。構図がピサロとよく似ているシスレーの風景画は2点。マネは三菱一号館美で開催された回顧展(2010年)にも出品された‘燕’など4点。

そして、最後に登場するのが目玉のひとつになっているモネ(1840~1926)の大作‘睡蓮の池、緑の反映’。数ある睡蓮のなかでもこれほど大きなもの(高さ2m、横4m)はそうはお目にかかれない。オランジュリーにある至宝の‘睡蓮’はこれよりもっと大きいが、そのほかではMoMAとチューリヒ美のものしか思いつかない。

魅了される絵がまだまだある。見てのお楽しみ!

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2018.02.22

セザンヌの‘赤いチョッキの少年’と対面!

Img_0001     セザンヌの‘赤いチョッキの少年’(1888~90年)

Img     ルノワールの‘可愛いイレーヌ’(1880年)

Img_0004    ドガの‘ピアノの前のカミュ夫人’(1869年)

Img_0002     ゴッホの‘日没を背に種まく人’(1888年)

先週の2/14からはじまった国立新美の‘至上の印象派展 ビュールレ・コレクション’(5/7まで)をみてきた。この展覧会を首を長くして待っていたのはひとえにセザンヌ(1839~1906)の傑作‘赤いチョッキの少年’が登場するから。

2015年、2度目のフィラデルフィア美で念願の‘大水浴図’をみることができ、セザンヌのコンプリートへ一歩近づいた。残るはスイスのチューリヒにある‘赤いチョッキの少年’とモスクワ、プーシキン美が所蔵する‘マルディ・グラ’。この2点が目のなかに入れば夢が叶う。だが、そこにたどり着くにはまだまだ時間がかかる。

普通はこの流れはゆったり進むのだが、なんと‘赤いチョッキの少年’と日本でお目にかかることになった。アバウトに計画しているスイス美術館めぐりのとき二重丸をつけている最も重要なピースに会えるのだから嬉しい話。こんなことが起きると自分には‘セレンディピティ’(思わぬ幸運に偶然出会う能力)があるのかな、と勝手に思い込んでしまう。

6点飾られているセザンヌの部屋にありました、ありました!これが美術の本でみて心に強く刻まれた絵かという感じ。視線が向かうのが長い手を印象づけるシャツと小顔のハイライトに使われている白、タイトルの赤いチョッキよりこの明るい白のほうが色彩の強さは上回っている。

セザンヌの肖像画はこの少年でもカード遊びをする農夫でも場の雰囲気がとても静か。この静けさが人物の描写に100%のリアルさがなくてもモデルとの距離感をぐっと縮めることになる。これがセザンヌの肖像画の魅力。

チラシに大きくとりあげられているルノワール(1841~1919)の‘可愛いイレーヌ’は二度目の来日、2010年ルノワール展があったとき国立新美では展示されなかったので、大阪まで追っかけていった。驚くほど精緻に描かれた茶色の髪の毛にまたまた釘づけになった。イレーヌはこのとき8歳だが、顔立ちはもう大人の女性のよう。

画集ではなんどもみているゴッホ(1853~1890)の‘日没を背に種をまく人’はアムステルダムのゴッホ美でもお馴染みの絵だが、こちらのほうが先に描かれた。いずれも浮世絵風の構図と画面中央の紫がイメージのコアになっている。

収穫の一枚があった。ドガ(1834~1917)にこんないい肖像画があったの!と足をとまらせる‘ピアノの前のカミュ夫人’。ぱっとみて女優の沢尻エリカが目の前をよぎった。

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2018.01.10

今年はモネの当たり年!

Img_2     ‘草上の昼食’(1866年 プーシキン美)

Img_0001     ‘睡蓮の池、緑の反映’(1926年 ビュールレ・コレクション)

Img_0002_2     ‘白い睡蓮’(1899年 プーシキン美)

現在、西洋美で開催中の‘北斎とジャポニスム’(10/21~1/28)をすでにみられた方は北斎の西洋美術へ与えた影響の大きさをズシンと感じると同時に極上の印象派展を満喫されたのではなかろうか。

そのなかで作品が多く飾られているのがモネ(1840~1926)、全部で12点。これはミニ‘モネ展’のようなもの。しかも、感心するのが作品の質の高さ。流石、馬淵館長! 抜かりなくオルセー、シカゴ、マルモッタンからもいい絵を集めている。

モネ好きの楽しみ方はだいたい同じだろう。まず、この‘北斎とジャポニスム’をしっかり目に焼きつけ、次の‘至上の印象派展 ビュールレ・コレクション’(2/14~5/7、国立新美)にでてくる初来日の‘睡蓮の池’を熱く待つ。これは高さ2m、横4mという大作というから見ごたえがありそう。

そして、そのあともミューズの贈り物が待っている。今度は東京都美の‘プーシキン美展ー旅するフランス風景画’(4/14~7/8)。ここに登場するのはモネの初期の作品、‘草上の昼食’。チラシにはこれが大きく載っている。2010年、パリのグランパレで開かれた大モネ展にもオルセーにあるものと一緒に展示され話題になった。その絵が日本にやってくるのだからたまらない。さらに‘白い睡蓮’も再登場。

この3つの展覧会に足を運ぶとモネはなんと15点にもなる。プーシキン美展が終わるとすぐあと横浜美でモネ展がはじまる。会期は7/14~9/24。チラシを入手してないのでどんな作品で構成されるのかわからないが、横浜美は印象派展なら定評があるのできっといい絵が並ぶにちがいない。期待して待ちたい。

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2017.11.09

北斎パワー全開 ‘北斎とジャポニスム’!

Img_0002 セザンヌの‘サント=ヴィクトワール山’(1887年 フィリップスコレクション)

Img     モネの‘ベリールの嵐’(1886年 オルセー美)

Img_0001     スーラの‘尖ったオック岬、グランカン’(1885年 テート)

Img_0003     カサットの‘母と子ども’(1889年 シンシナティ美)

現在、西洋美で開催中の‘北斎とジャポニスム’(10/21~1/28)はゴッホ展同様、大賑わいだった。ここ数年は展覧会へ行くとき以前とちがい出品作の情報をHPでみないことが多い。今回手にしたのはドガの絵と北斎漫画を対比させたチラシのみ。サプライズの作品に会えるかどうかは運次第。

入館すると人が多すぎて思うように前に進めない。だから、たくさんでている北斎漫画や風景画、花鳥画を2列目からチラチラとみながら北斎の絵に現れた構図や色彩、モチーフの描写などに刺激され制作したヨーロッパの美術家たちの絵画や工芸品を駆け足気味でみてまわった。

驚くのは北斎の影響をうけた作品の数の多さ。印象派の絵だけでなく、やきもの、ガラス、宝飾品、家具調度品の絵柄など多くのジャンルにわたっている。北斎と横に並んでいる作品を見比べると北斎を意識したことが一目でわかる。この類似性の強さを目の当たりにすると、当時ヨーロッパの美術界で一世を風靡したジャポニスムの様式はいろんな分野に広がっていたことがよくわかる。そして、そのど真ん中に北斎がいたことも。

じつは西洋美は1988年に‘ジャポニスム展’を行っている。そのときも数々の浮世絵と西洋絵画や工芸の模様などが対比されて並んだ。だから、この展覧会はジャポニスムを北斎で代表させたパート2。期待の大きかった印象派の作品は予想通りいいのがでている。流石、西洋美!

浮世絵の影響を受けているのにそれを口にしないセザンヌ(1839~1906)、‘サント=ヴィクトワール山’はお気に入りの風景画、日本にやって来るのは確か3度目。北斎の‘グレートウエーブ’がモネ(1840~1926)の頭のなかにどれほどあったかわからないが、‘ベリールの嵐’を北斎の描いた海と関連付けたくなるのは自然な流れ。

嬉しい一枚と出会った。何年か前ロンドンのナショナルギャラリーでお目にかかったスーラ(1859~1891)の‘尖ったオック岬、グランカン’。思わず、これも来たのか、とうなった。これはスーラの静寂さのイメージとは真逆の荒々しく力強さを感じさせる作品。蟹のつめを連想させる岬の形が目に焼きつく。

大きな収穫だったのがカサット(1844~1926)の‘母と子ども’、この可愛い赤ちゃんに200%惹きつけられた。カサットに乾杯!

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