2024.02.18

2度目の‘ウスター美蔵 印象派’展!

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    モネの‘睡蓮’(1908年)

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   シニャックの‘ゴルフ・ジュアン’(1896年)

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   ピサロの‘ルーアンのラクロワ島’(1883年)

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   コローの‘ヴィル=ダヴレーの牧歌的な場所’(1865~70年)

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   クールベの‘女と猫’(1864年)

東京都美で開催中の‘ウスター美蔵 印象派 モネからアメリカへ’(1/27
~4/7)をまたみてきた。お目当ては今度もモネ(1840~1926)
の‘睡蓮’。太鼓橋と睡蓮が描かれたものやオランジュリー美術館にある大作
の睡蓮シリーズを横において、正方形のキャンバスに同じような構図で描か
れた睡蓮の絵でこれまで心を大きくゆすぶられたのは2点あった。国内の
美術館が所蔵するものではアサヒビール大山崎山荘美にある‘睡蓮’
(1914~17年)、そして、海外ではマルモッタン美でお目にかかった
黄色で彩られた‘睡蓮の池’(1917~19年)。今回、アメリカからやっ
て来たウスター美蔵の‘睡蓮’はそれ以上に魅了されている。嬉しくてたまら
ない!

この美しい睡蓮の絵にばかり関心が向きがちだけれども、ほかにも思わず足
がとまる作品が多く出品されている。前回選んだアメリカの画家に加えお馴
染みのフランスの画家もずらっと並び‘印象派‘モードを盛りあげている。
色彩の強さに思わずのけぞりそうになるのがシニャック(1863~
1935)の点描法で描かれた‘ゴルフ・ジュアン’。似たようなシニャックは
いろいろ遭遇したが、これが一番光を感じる。

印象派の兄貴格的な存在であるピサロ(1830~1903)の‘ルーアンの
ラクロワ島’は構図はすごくいいのでつい長くみてしまう。アメリカの美術館
でみたピサロではメトロポリタン蔵の‘ポントワーズのジャレの丘’に次いで惹
かれた。コロー(1796~1875)はアメリカのブランド美術館をまわ
るといい絵にでくわす。メトロポリタン、フリック・コレクション、ワシン
トン国立美、ボストン。そして、日本で公開されたクラークコレクションに
いい絵があった。ウスター美もその例に漏れず‘ヴィル=ダヴレーの牧歌的な
場所ー湖畔の釣り人’を披露してくれた。

クールベ(1819~1877)の‘女と猫’で視線が釘付けになったのは猫の
毛の白さ、これほど白が輝いている猫はお目にかかったことがない。オルセ
ーに横向きに座った裸婦が白の毛の犬としゃべっている絵があるが、クール
ベはこれを意識して白のインパクトを目いっぱい強めたのかもしれない。

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2023.11.03

期待を大きく上回る‘モネ 連作の情景’!

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  ‘睡蓮の池’(1918年頃 ハッソ・プラットナー・コレクション)

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   ‘積みわら、雪の効果’(1891年 スコットランド国立美)

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  ‘ラ・マンヌポルト(エトルタ)’(1883年 メトロポリタン美)

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   ‘3艘の漁船’(1886年 ブダベスト国立美)

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  ‘チャリングクロス橋、テムズ川’(1903年 リヨン美)

現在、上野の森美で開催されている‘モネ 連作の情景’(10/20~1/28)
をみてきた。手に入れたチラシには作品があまり載っておらず、プラスαが
1点でも2点でもあれば十分という気分だった。日時指定の予約制をとってい
るが当日券もあるから、10分くらい並んで入館できた。平日なのに予想以上
に多くの人が集まってきており、モネの高い人気に今さまながら驚いた。

出品作のなかには、ええー、これが来ているの!と思わず嬉しくなるものが
次々でてくる。だから、目に気合がぐっと入ってきた。最後に登場した‘睡蓮
の池’はもっとも見ごたえのある傑作。これを最初につくられたチラシでみてい
れば、もっと早く出動したのに思った。じつはこれまでみたものに入っている
か、家に帰ってチェックすると熱海のMOAに大変よく似たものがあった。
ドイツのコレクターの所蔵になっているが、MOAが手放した? それとも
別ヴァージョンだろうか。

モネの連作は‘積みわら’からはじまった。1990年、ロンドンのロイヤルア
カデミーでモネの連作に焦点をあてた大規模な回顧展があり、幸運にも海外出
張がたまたま重なり日曜、喜び勇んで出かけた。2時間も並んだが、世界中の
名の知れた美術館から集結した80点に高揚感がMAXになり天にも昇る気持
ちでみていた。‘積みわら’のコーナーにでていた一枚が今回出品されている
スコットランド国立美蔵の‘積みわら 雪の効果’。再会するとは思ってもいな
かった。図録に収録されている埼玉県近美蔵の‘ジヴェルニーの積み藁、夕日’
も日本からやって来ていたが、これは東京では出番がなくこのあと巡回する
大阪中之島美(来年2/10~5/6)に登場する。

嬉しい出会いはまだある。メトロポリタン美の‘ラ・マンヌポルト(エトルタ)
’がなんと目の前に現れた。すごいモネ展になって来たぞ、という感じ。この
奇岩をぐんと接近して描くモネの卓越した表現力によって迫力満点の風景画が
生まれた。すばらしい!海景画でいうと驚きの一枚があった。それは‘3艘の
漁船’、この絵を2003年中欧旅行のとき訪問したハンガリーのブダペスト
国立美でみたのである。モネ好きだから、船の鮮やかな緑と青が目に焼きつい
ている。これだから美術館巡りはやめられない。そして、‘チャリングクロス
橋、テムズ川’にもまた出会った。ロンドン名物の霧を貫く陽光の複雑な効果
によって浮き上がる橋と国会議事堂のシルエットを息を呑んでみていた。

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2021.11.12

‘イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜’展!

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  ゴッホの‘プロヴァンスの収穫期’(1888年)

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  ゴーギャンの‘ウパウパ(炎の踊り)’(1891年)

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   モネの‘睡蓮の池’(1907年)

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   ルノワールの‘花瓶にいけられた薔薇’(1880年頃)

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  コローの‘川沿いの町、ヴィル=ダヴレ―’(1856年頃)

印象派やゴッホの絵が好きな方は東京で開かれている3つの展覧会をはしご
すると気分は最高になるかもしれない。昨日紹介したBukamuraの
ポーラコレクションのあと東京駅に移動し、すぐ近くの三菱一号館美に行き
‘イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜’をみる。そして、最後は上野の
東京都美の‘ゴッホ展’。どの画家を軸にして楽しむかは夫々のお好み次第。

イスラエル博物館のコレクションが公開されるのは10月15日から来年の
1月16日まで。3ヶ月のロングラン興行である。ここの作品で過去お目に
かかったのは1点だけ。それは2010年ロンドンのテートモダンで行われ
た大ゴーギャン展で遭遇した‘ウパウパ(炎の踊り)’。原始的なイメージを
うみだす炎をかたまりを分断するように太い木の幹が斜めに傾いている光景
が今でも目に焼きついている。その絵が突然目の前に現れた。日本で再会
するとは。ゴーギャン(1848~1903)はこれを含めて4点でており、
質の高いラインナップになっている。みてのお楽しみ!

この展覧会の情報を得てからもっとも期待が高かったのがゴッホ(1853
~1890)の‘プロヴァンスの収穫期’と‘麦畑とポピー’。手元にゴッホの
油彩画を全部集めたゴッホ画集(TASCHEN)があり、以前からこの
2点がイスラエル博物館にあることは知っていた。いずれも2頁を使い見開
きで掲載されているので、いい絵であることはまちがいないと思っていた。
果たして、本物はその通りの傑作だった。‘収穫期’はゴッホの最大の売りであ
るイエローパワーが全開し、その横でたくさんのポピーが赤色を輝かせてい
る。いつものことだが、ゴッホをみると元気になる。

チラシにどんと載っているモネ(1840~1926)の‘睡蓮の池’も収穫の
一枚。今回、日本の美術館にある似た構図の睡蓮の別ヴァージョンが特別展
示として3点集結している。お見逃しなく。モネは国内にもいい絵がいくつ
もあるのでこうやって睡蓮のコラボを演出できるのだろうが、実現させるの
は三菱一号館美の企画力の高さの証でもある。ルノワールについては静物画
の‘花瓶にいけられた薔薇’に魅了された。ミュージアムショップで若い2人の
女性はこれがよかったと嬉しそうに絵葉書を買っていた。

予想外に数が多かったのがコロー(1796~1875)。全部で6点。
どれもいい感じで2008年のコロー展(西洋美)で味わった感動がよみが
えってきた。とくに惹かれたのが‘川沿いの町、ヴィル=ダヴレ―’。こんない
いコローがイスラエルにあったとは。一級のコレクションである。

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2020.01.10

大賑わいの‘ゴッホ展’!

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    ‘糸杉’(1889年 メトロポリタン美)

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    ‘麦畑’(1888年 P&Nデ・ブール財団)

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  ‘サン=レミの療養院の庭’(1889年 クレラー=ミュラー美)

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 ‘サント・マリー・ド・ラ・メールの風景’(1888年 クレラー=ミュラー美)

上野の森で行われている‘ゴッホ展’が会期の終わり(13日)に近づいている
ので、遅い出動となったが出かけてきた。お目当ての絵は初見の数点だけな
ので、長居せずにでてくるつもりだったが、入館するのに想定外の時間がか
かった。案内は20分待ちだったが、実際はその倍の40分ちかく並んだ。
12・13日は終日1~1時間半待ちは覚悟した方がいいかもしれない。
ゴッホ(1853~1890)の高い人気はわかっているのにぼやっとして
いた。

チラシをみて狙いをつけていたのは‘麦畑’。ゴッホの油絵が全部載った全集を
もっているので気にはなっていたが、本物はゴッホの真骨頂である‘イエロー
パワー’が炸裂していた。ゴッホはこうでなくちゃ本気になれない。また、
2年前コペンハーゲンのニュー・カールスベア美で遭遇した‘タンギー爺さん
の肖像’とも再会した。ゴッホを励ましたこの好々爺にとても親しみを覚える。

今回のゴッホで群を抜いた完成度で魅了されるのは目玉となっている‘糸杉’。
背景のピンクがかった雲と明るい空に荒ぶる糸杉が浮き上がっている。
糸杉が出てくる絵はほかに3,4点あるが糸杉をこんなにどーんと大きき描
いているのはこの絵だけ。その強い磁力のため画面に吸い込まれそう。

オランダのクレラー=ミュラー美からやって来た7点はすべて再登場のもの。
お気に入りは木々の花ばなが黄色、緑、赤、ピンクで鮮やかに彩られている
‘サン=レミの療養院の庭’とゴッホが地中海沿いの漁村サント=マリー=ド=
ラ=メールで描いた風景画。遠近法をつかって奥行きを出して畑と町の様子
をとらえるオーソドックスな描き方が目に心地いい。この絵を日本でみるの
3度目。

今年はもう一回ゴッホを楽しめる。3月3日から開幕する‘ロンドン・ナショ
ナル・ギャラリー展’に出品される‘ひまわり’。待ち遠しい!

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2019.09.21

印象派オールスターの風景画!

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   ゴッホの‘花咲く桃の木々’(1885年)

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    モネの‘アンティーブ’(1888年)

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   セザンヌの‘大きな松のあるサント=ヴィクトワール山’(1887年)

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  ピサロの‘ロードシップ・レーン駅、ダリッジ’(1871年)

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   スーラの‘クールブヴォワの橋’(1887年)

来月11日から上野の森美で‘ゴッホ展’が開催されるが、その前に東京都美に
でかけるとコートールド・コレクションの大事なピースとなっている‘花咲く
桃の木々が楽しめる。ゴッホ(1853~1890)が描いた風景画のなか
でこれは広々とした農村の光景のせいでゆったりとした気分でみられる。強
く印象に残るのは横にのびる果樹園に咲き誇る桃の白い花と農村全体に覆い
かぶさる点描風に描かれた雲。この絵を上回るのが上野の森美に登場するだ
ろうか。

明るい太陽の光が眩しく感じられるモネ(1840~1926)の‘アンティ
ーブ’は2011年、パリのグランパレで行われた大モネ展にも出品された。
真ん中で画面を分断するように斜めに描かれた松の木は当時の人たちには違
和感があったかもしれないが、われわれは広重や北斎の浮世絵風景画を見慣
れているのでいい構図に仕上がったなと感心してみてしまう。

コートールド・コレクションにはセザンヌ(1839~1906)が11点あ
る。5点の風景画で人気が高いのが‘大きな松のあるサント=ヴィクトワール
山’。これまで日本にやって来た回数は最も多い。ワシントンのフィリップス
コレクションにもよく似た構図の作品がある。左の松の枝がサント=ヴィク
トワール山の稜線を指し示すように長くのびている。こういう構図は趣味で
描く日曜画家の好むスタイルだが、枝にこうした役割をさせることまでは考
えつかない。そこがセザンヌの偉大なところ。

印象派の仲間うちでは兄貴格の存在だったピサロ(1830~1903)の
‘ロードシップ・レーン駅、ダリッジ’はお気に入りの一枚。駅を出たばかりの
汽車を正面からとらえたのはターナーの有名な絵、‘雨、蒸気、スピードーグ
レート・ウェスタン鉄道’を意識したのだろう。よく目にする汽車の絵とは違
い、汽車がこちらに力強く向かってくる姿は産業近代化の象徴そのもののよ
うに映る。

ゴッホにも影響を与えたスーラ(1859~1891)の点描技法。コート
ールドには風景を点描で描いた‘クールブヴォワの橋’と人物画‘化粧する若い
女’の2点あるが、今回は‘若い女’のほうはロンドンで留守番。右手前の太い
幹の木やヨットの帆、川沿いに立っている人物、さらには遠くにみえる工場
の煙突、どれも計算された垂直線が斜めの方向につらなっていく。空間は歪
むことなくきちっと縦や横の直線で区画される感じ。

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2019.09.20

予想通りに凄い‘コートールド美展’!

Img_0001_20190920223901     ルノワールの‘桟敷席’(1874年)

 

Img_0003_20190920220501    ドガの‘舞台上の二人の踊り子’(1874年)

 

Img_20190920220501    マネの‘フォリー=ベルジェールのバー’(1882年)

 

Img_0002_20190920220501     ゴーギャンの‘ネヴァーモア’(1897年)

 

今年開かれる西洋美術の展覧会では期待値が断トツに高かったのがこの
‘コートールド美展 魅惑の印象派’(9/10~12/15)。印象派やポスト
印象派のコレクションの質の高さは世界中に知れ渡っているので印象派が好
きな人には心躍る特別展にちがいない。日本での公開は3度目。運よく
1984年と1997年(ともに日本橋高島屋で開催)のときめぐり会い、
また縁があったのは幸運というほかない。

今回ロンドンにある邸宅美術館からからやってきたのは60点。前の2回と
較べるとゴッホの‘耳に包帯をした自画像’とスーラの‘化粧する若い女’の2点
が欠けるだけでほかのいい絵は全部出品されている。これは圧巻のライン
ナップ。1点々の作品が放つ磁力が強いので数が60点に絞り込まれていて
も満足感は入館してからずっとプラトー状態のまま。やはり凄いコレクショ
ンである!

再会したルノワール(1841~1919)の‘桟敷席’を長くみていた。
3年前やって来た代表作‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’同様、この太い黒
の線が下に流れる衣装をまとった美しい女性にも魅了され続けている。目が
点になるのがネックレスが発する白の点々の輝きと手にしている黄金のオペ
ラグラスの質感描写。黒と装飾性の豪華さが見事に融合し色白の女性を引き
立ている。

ドガ(1834~1917)の‘舞台上の二人の踊り子’にはオルセーにある
‘エトワール’以上の魅力を感じている。ドガは人物に動きをつくるのが天才
的に上手い。中央で両手を横にあげる踊り子の姿をみると次にどんな動きへ
移行するのかなんとく想像できるから不思議。

最大の目玉の絵はマネ(1832~1883)の‘フォリー=ベルジェール
のバー’。真ん中に描かれているのがフランス人形のような可愛い顔をして
いるがどこか寂しげなバーメイド。その横にはこちらに背をむけた同僚の
女の子がお客に対応している。普通はこうみる。カウンターがぐるっと回っ
ていると思う。

ところがそうではなく、後ろの女は中央の女の鏡に映った姿。ありゃー、
それは違うでしょう!これがマネ流の描き方。騙されたと思わないで二人
は別人とみて楽しむほうがいい。そして、カウンターのガラスの皿に載っ
ているオレンジの質感に目をこらす。はじめてみたとき秋の柿をイメージ
した。つるつるした柿の皮にそっくり。

ゴーギャン(1848~1903)は並んで飾られている‘ネヴァーモア’と
‘テ・レリオア’が絶品。‘ネヴァーモア’で目に焼きつくのは横たわる裸婦の足
もとにみえる赤い布と枕の黄色の輝き。赤は大原にある傑作‘かぐわしき
大地’にでてくるトカゲの羽の赤の強さをすぐ連想した。こんないいゴーギ
ャンが2点もみれるのだからたまらない。ミューズに感謝!

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2019.05.03

ドガの‘リハーサル’!

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     ドガの‘リハーサル’(1874年)

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     ゴッホの‘画商リード’(1887年)

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     ブーダンの‘ドーヴィル、波止場’(1891年)

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     クールベの‘オルド嬢’(1865年)

渋谷のBunkamuraで開幕した‘印象派への旅 海運王の夢ーバレル・
コレクション’(4/27~6/30)を早速見た。展覧会の情報が入ってきた
ときは‘あのドガの絵が来るのか!’と心が弾んだ。その絵は‘リハーサル’、
ドガの画集には必ず載っている有名な絵。だから、この1枚をみるために出か
けた。

スコットランドのグラスゴー出身で海運業で財をなしたバレルがスコットラ
ンドの画家たちの作品と同様に熱をあげたのが印象派。そのなかで一際輝い
ているのがドガ(1834~1917)の‘リハーサル’、何枚も描かれたバレ
エの稽古の場面なのですっと画面に入っていける。ぶらっと稽古場に寄りこ
ういう一番いい場所で踊り子たちの姿がみれるとバレエがぐっと身近になる。

構図がとてもいい。奥の方には右にいる先生がみつめるなか右足立ちで体を
前に倒す動きを繰り返す少女たちがおり、手前には休憩中の子が椅子に腰掛
けている。ふたつのグループの間に大きなスペースをつくるところがドガ流
。さらにスゴイのは左に描かれたらせん階段をよくみると上のほうに足がみ
え下へ降りてきている。こういうトリミングの仕方は浮世絵を研究した成果。
大収穫だった!

この絵1点買いだったが、ゴッホ(1853~1890)の‘画商リード’が
オマケでついてきた。ほかは絵の完成度・魅力の点からいうと正直アベレー
ジクラス。あれれ、こんなもんという感じ。Bunkamuraが行う企画展として
は物足りないが、たまには1点だけで勘弁してくださいということもある
だろう。


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2018.07.27

気になる横浜美の‘モネ展’!

Img_0001    ‘睡蓮’(1906年 吉野石膏)

Img_0002  ‘睡蓮 水草の反映’(1914~17年 ナーマッド・コレクション)

Img     ‘バラの小道の家’(1925年)

Img_0003     ‘チャリング・クロス橋’(1899年 メナード美)

現在、横浜美で開催されている‘モネ それからの100年’(7/14~9/24)。出かけるかどうかで二転三転したが、日曜美術館と美の巨人たちがとりあげたのをみてやっぱり足を運んだ。入館してびっくりしたのは中高校生や若い人がたくさんいたこと。

人気のあるモネだから過去にあった回顧展同様ファンの出足はいいが、これほど若い世代の人たちにでくわしたのははじめて。その理由は作品の構成が関係しているかもしれない。今回でているモネは25点と多くはなく、ほかはモネに影響を受けた日本や海外の現代ア―ティストの作品で占められている。その数64点。

こうしたモネ以外の作品を展示するスタイルは2007年、国立新美であった回顧展でもみられたがこのときは26点と少なくオマケでどうぞという感じだった。ところが、今回は展示のスタートからモネとほかの画家が交互にでてくる。

これをみるとモネに対する別のイメージが生まれてくるかもしれない。ロスコやウォーホル、リキテンスタインといったビッグネーム、さらにアートシーンの最前線で活躍する日本の作家、モネの睡蓮や画風を意識しコラボしたア―ティストがこれほど多くいたとは。脳が200%刺激される展覧会であることはまちがいない。

日本にあるモネが総動員されている。モネ狂なのでどこの美術館にモネがあるかはおおよそ頭に入っているしこれまでお目にかかってきた。いいのが集まっている。思わず足がとまったのが吉野石膏(株)が所蔵する‘睡蓮’とメナード美にある‘チャリング・クロス橋’。

会場を進みながら目が犯人を捜す刑事のようになっていたのがチラシで気になった‘睡蓮 水草の反映’と最晩年の‘バラの小道の家’、ともに海外のコレクターがもっているもの。じつはこの回顧展をパスできなかったのはこの‘バラ’のせい。狙ってた通り画面が一番輝いていた。Myモネ図録にこの絵が加わることになったのは大きな喜び。

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2018.06.16

コペンハーゲンの美術館を想起させるフランス絵画!

Img     ゴーギャンの‘マタモエ 孔雀のいる風景’(1892年)

Img_0001     ドランの‘港に浮かぶヨット’(1905年)

Img_0003     クールベの‘山の小屋’(1874年)

Img_0002     ロランの‘エウロペの掠奪’(1655年)

ロシアのエルミタージュ美(サンクトペテルブルク)とプーシキン美(モスクワ)は美術の本によくでてくる超一級の美術館。19年前に運よくエルミタージュを訪問できたが、プーシキンはまだ足を踏み入れていない。

コペンハーゲンとオスロでお目当ての美術館をまわってきたばかりだが、次の計画がアバウトにできていて、順番は①プーシキンと二度目のエルミタージュ ②スイスの美術館 ③LAとサンフランシスコの美術館となっている。海外の美術館めぐりはまだまだ続く。

プライオリティの高いプーシキンだが、今回を含めるとそのすばらしいコレクションを3回楽しませてもらった。お陰で関心の高い印象派、ポスト印象派については画集に載っている作品がかなり目に入った。でも、いい絵はもっとあることはわかっている。それらが4回目、5回目に登場するかもしれないが、歳を考えるとそうのんびり待ってもおれない。

エルミタージュ同様、プーシキンで充実しているのがゴーギャン(1848~1903)、コペンハーゲンのニュー・カールスベア美でゴーギャンを満喫したので‘マタモエ 孔雀のいる風景’をみているとコペンハーゲンのデジャブがおこっていると錯覚する。本当にいい絵。2羽の孔雀がとてもやさしい感じで南国の楽園を思わせる安定感のある構図と調和のとれた色使いが心をとらえて離さない。

色彩の輝きに目を奪われるのがドラン(1880~1954)の‘港に浮かぶヨット’、コペンハーゲンの国立美でドランのいい女性の肖像に会ったばかりなのに日本ではフォーヴィスムを体で感じさせる風景画に遭遇した。マティスとドランに‘フォーヴィスム、いいだろう、参ったか’とドヤ顔で言われているよう。

小品だがクールベ(1819~1877)の‘山の小屋’に魅了された。クールベは北欧の美術館で念願の作品を2点リカバリーできたので今頭のなかにどーんといる画家、その感動のリレーが東京都美にも続いているのだからたまらない。これって‘セレンディピティ’(思わぬ幸運に偶然出会う能力)の証?!

ギリシャ神話や聖書を題材にして港や川の広大な風景を描き人気の画家になったクロード・ロラン(1604~1682)は2013年横浜美にも登場したが、‘エウロペの掠奪’はそれを上回る傑作、日本でこんないいロランは滅多にみれない。

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2018.06.15

待望の‘プーシキン美展’!

Img_0001    モネの‘草上の昼食’(1866年)

Img_0003     モネの‘白い睡蓮’(1899年)

Img_0002     セザンヌの‘サント=ヴィクトワール山’(1905年)

Img     アンリ・ルソーの‘馬を襲うジャガー’(1910年)

先週、上野へでかけ東京都美で開催されている‘プーシキン美展ー旅する風景画’(4/14~7/8)をみてきた。ここ数年、西洋絵画の鑑賞は国立新美と東京都美、そして西洋美の3館が中心になっている。今年は春のビュールレコレクション展(国立新美)とともに期待値が高かったのがこのプーシキン美展。待望の絵が登場するのでわくわくしながら入館した。

4点出品されたモネ(1840~1926)は26歳のときに描かれた‘草上の昼食’が展覧会の目玉、白樺の森のなかで12人の男女が昼食を楽しんでいる。こういうピクニックはいまでも楽しい。視線が集まるのはやはりワインや食べ物が置かれている真ん中。ほかとくらべ明るさが際立ち白が輝いている。モネの作品をみるときいつもこの白の使い方に注目。右下で長い足をのばしてくつろうでいる男性のシャツの白さにも目を見張らされる。

太鼓橋と水面の睡蓮を描いた‘白い睡蓮’をみるのは‘草上の昼食’同様2度目のこと。ところが、この睡蓮がこれほど光り輝いているという印象がまったく消えていた。前々回のプーシキン美展の図録をときどきみていたのに本物のすばらしさを忘れていた。名画は何度もみるものだとつくづく思う。

今回一番のお目当てはセザンヌ(1839~1906)の‘サント=ヴィクトワール山’とアンリ・ルソー(1844~1910)の‘馬を襲うジャガー’、モネ、セザンヌ、ルソーはほぼ同世代の画家だが、3人のめざした絵は大きく違う。同じ時代に生きても絵画表現には個性がでる。これがアートの奥深いところ。

セザンヌが晩年に描いた故郷のサント=ヴィクトワール山はフィラデルフィア美にある2点と同じく色彩が複雑に絡み合う密度の濃い絵、山や家々の形はまだ残るものの画面のイメージは抽象絵画の世界へと入りこんでいる。これでサント=ヴィクトワール山の連作は済みマークがつけられる。ミューズに感謝!

さて、チラシにどんと使われているルソーの‘馬を襲うジャガー’、ぱっとみるとジャガーは馬のどこを噛みついているのかわからない。逆に馬がジャガーの首あたりをくわえているようにみえる。ルソーが亡くなる年に仕上げられた一連のジャングル画で残りは3点。次のターゲットはスイスのバーゼル美にある‘豹に襲われる黒人’にしているが、運にめぐまれれば3年後くらいに遭遇するかもしれない。

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