2008.04.01

その八 ダビッド  ジェリコー  ドラクロア

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ルーヴルの絵画を見ていて気分が一番高揚するのはドノン翼2階のフランス絵画の大作がずらっと飾られているところ。とにかく一点々がデカイ。ここへいると絵はやはり本物の前に立ってみるものだなと実感する。大きな絵の場合、画集に載っている画像のイメージ以上に“絵の力”を感じることが多い。

新古典主義のダビッド(1748~1825)の絵はこれまでドラクロア、アングルにくらべて執着度がうすく、よく覚えているのは“ナポレオン1世の戴冠式”と“レカミエ夫人”の2点のみ。で、今回は必見リストに載せた作品を中心にじっくりみた。プッサン同様、古代ギリシャ・ローマの英雄たちを題材にとったダビッドの絵は鮮明な線、なめらかな表面の仕上げ、大理石の浮き彫りのようなフォルムが特徴。とくに惹きつけられるのが人物の演劇的な身振りと激しい感情表現。

お目当ては“サビニの女たちの略奪”、上の“ホラティウス兄弟の誓い”,“息子の遺骸を迎えるブルータス”。“ホラティウス兄弟の誓い”は見ごたえのある絵。父親が手にもつ剣にむけて息子たちが右手をまっすぐ伸ばすポーズがすごくカッコいい。右のほうに母親や姉妹が迫り来る永遠の別れを嘆き悲しんでいる様子が描かれているだけに、愛国心にもえる兄弟は気高くみえる。“ナポレオン1世の戴冠式”にも描かれているピウス7世の肖像画があったが、以外にも小さな作品だった。

久しぶりにみたジェリコー(1791~1824)の“メジュース号の筏”にまたまた感動した。何度みても心が揺さぶられ、見れば見るほどすごい絵だなと思う。はるか遠くの水平線に見える船影はほとんど見えないくらいに小さいのに、樽の上に乗って赤い布をふる男を中心にまわりにいる者たちがかすかな希望を見出し、手をあげ体を前に乗り出す姿が実にリアルで胸を打つ。

歴史上の事件や聖書、神話の物語の劇的な瞬間を描いた絵は沢山あるが、緊迫度、衝撃度からいうとこの絵がNO.1かもしれない。しかも、実際に起こった事件の悲惨さを生存者に聞いて描いたので、この絵は当時の社会にとって衝撃的だったにちがいない。

死体の描写や筏のまわりの波のしぶきを見るとジェリコーは相当高い技量をもっていたことがわかるが、ドラクロア(1789~1863)はジェリコーの画風の影響をかなり受けている。下は前回見逃した“ダンテの小舟”。舟端をかんでいる亡者、暗い海などは“メジュース号の筏”と絵の感じが似通っている。

この絵で目に焼きつくのが左のダンテがかぶっている赤い頭巾。ドラクロアはこれを描いたのは24歳のときだが、天性の色彩感覚がすでに発揮されている。待望の絵をみたので、あとはわがドラクロアの大胆な筆致と輝く色彩で描かれた代表作“民衆を導く自由の女神”、“サルダナパロスの死”、“キオス島の虐殺”などを肩の力をぬいて楽しんだ。

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2005.06.06

ルーヴル美術館展

87ルーヴル美術館にはこれまで2回縁があり、2回目に訪れたのが1990年なので、それからもう15年たつ。この間、リシュリュー館が新たに加わり、展示の配置変えがあったと聞く。

また、ここに行きたいが、まだ見てない名所のほうが優先順位が高く、パリは2、3年先になりそう。横浜美術館で開催中のルーヴル美術館展で本場の気分を味わうことにした。ルーブルという名前がきいてるのか、入場者は多い。
3ヶ月の展示期間があるのでかなりの人を集めそう。会期は7/18まで

チラシにはアングルの傑作2点、“トルコ風呂”、“泉”が載っている。アングル
が80歳をこえて描いたトルコ風呂は日本、初お目見え。裸婦像の研究に
多くの時間を費やしたアングルが晩年、その集大成としてこの絵を制作した。
円形の画面に様々なポーズをとる女性が何人も描かれている。手前の6人は
大きく、向こうのほうにいる女は小さく、沢山描き込んでいる。奥行き感があり、
オリエンタルムードが漂っている。もう少し、明るい絵と想像してたが、全体
はグレーぽい。裸婦像が数え切れないほど出てくるので、色調はこのくらいの
ほうがいいかもしれない。アングルの絵では“スフィンクスの謎を解くオイディ
プス”もいい。

この展覧会で期待してたのがドラクロアの作品。全部で6点あった。ルーヴル
にはドラクロアの代表作が大半あり、それらはもってこれないだろうが、今回
出品されたのも質は低くない。ローズ嬢という裸婦像があった。ドラクロアにも
こんな作品があったとは知らなかった。右の絵は特に気に入った“レベッカ
の略奪”(部分)。ドラクロア得意の文学作品を題材にした絵である。ウォルタ
ー・スコットの歴史小説“アイヴァンホー”のなかにでてくる、美しいユダヤ娘
レベッカがテンプル騎士団の騎士に奪われていく場面から着想を得ている。

ルーベンスを思わせるような劇的で動きのある構図で暴力的な、レベッカに
とっては悲しい情景を描いている。色の使い方も巧みで、レベッカの衣装や
馬の白が際立ち、馬をひいてる男のターバン、騎士の上着の青も鮮やか。
ドラクロアはアングルに比べるとデッサンは下手かもしれないが、勢いのある
筆致と色調、動きのある構図、的確な人物描写により、劇的な瞬間や登場
する人物の悲しみや怒り、空しさなどの内面を表現している。

アングルやドラクロアだけでなく、ダヴィッド、ジェリコー、グロ、ジェラ-ル、
そして、コローのいい風景画など名画が沢山でている。ルーヴル美術館の
カタログに出ている作品ばかりが傑作というのではない。ここは所蔵品が多
すぎて割愛しているだけ。こういう展覧会をみるとそのことがよくわかる。

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