2017.10.18

龍光院の国宝‘曜変天目茶碗’と対面!

Img_0002     国宝‘曜変天目茶碗’(南宋時代・12~13世紀 京都・龍光院)

Img_0001      斑文のまわりに現れる瑠璃色の虹彩

Img_0003     国宝‘大日如来坐像’(平安時代・12世紀 大阪・金剛寺)

Img     行快の国宝‘不動明王坐像’(鎌倉時代・1234年 金剛寺)

Img_0004     国宝‘釈迦如来立像’(北宋時代・985年 京都・清凉寺)

昨日、朝早い新幹線に乗り現在京博で開かれている‘国宝展’(11/26まで)をみてきた。9時半の開館のタイミングで京博に着いたが、すでに大勢の人が並んでおり展示室に入るのに40分かかった。これは想定外、平日でこの人気なら土日はこれの2倍くらいの列になっているのだろう。東京は‘運慶展’で賑わっているが、京都は今‘国宝展’が熱い!

待ち規制がなくなるとすぐ向かったのは1階の‘磁器’のコーナー、この日から龍光院が所蔵する‘曜変天目茶碗’が飾られているのである。展示はⅡ期(10/17~10/29)のみ。展覧会にでてくるのは1999年以来だから18年ぶり。一番奥の部屋にありました!ありました!もう天にも昇るような気持。時間をかけてじっくりみた。

この曜変の特徴は静嘉堂文庫と藤田美のものが斑文が2,3個くっついたり、天の川のように長くつながったりして大きな光量を生み出しているのとは違い、見込みの底から点々が円を幾重にもつくっている感じ。虹彩は底のところが一番輝いているが、光の広がりが弱いため夜空の星のようにひとつ々が美しく光っているようにみえる。均質的でリズミカルに光を放つ曜変天目だった。ミューズに感謝!

この茶碗をみるために京都までやって来たので、ほかの国宝はオマケのようなもの。同じ1階にサプライズの彫刻があった。それは今春でかけた海北友松展のときもみた大阪・金剛寺の‘大日如来坐像’と‘不動明王坐像’、またまた圧倒されたのはその大きさ、これは今年国宝に指定されたもの。そのため前は残念なことに絵はがきがなかったが、これからは図録でこの圧倒的な力強さを思い出せる。

もうひとつ、これがあの仏像か、というのがあった。いつもは大覚寺の近くの清凉寺に飾ってある‘釈迦如来立像’。中国でつくられたものなので、ほかの仏像とはイメージがだいぶ異なる。国宝仏像の追っかけリストの上位に入れていたものと遭遇できたのは大きな収穫。龍光院の曜変天目のお陰で忘れていた夢が叶った。

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2017.09.26

龍光院の曜変天目茶碗 ‘国宝展’に出品!

Img_0001     国宝‘曜変天目茶碗’(12~13世紀 京都・大徳寺龍光院)

Img     葛飾北斎の‘雪中虎図’(1849年)

Img_0003     葛飾北斎の‘女波図’(1845年 長野小布施・北斎館)

歌麿の‘吉原の花’をみた箱根の岡田美に10/6から大阪のあべのハルカス美ではじまる北斎展のチラシが置いてあったので家に持ち帰った。この展覧会はイギリスの大英博でも開催され大勢の人が押し寄せたという。

そんな話題の浮世絵展、大阪まで遠征するかパスするかおおいに迷った。そして出した結論が今回はパス。気になる作品がないわけではない。チラシに大きく使われている肉筆画の‘雪中虎図’は以前から気になっている絵で過去の回顧展にはいずれも姿をみせてくれなかった。このチャンスを見逃したらもう二度と会えないかもしれない。

その思いがある一方、目玉の小布施の北斎館に飾られている‘男波図’‘女波図’は現地でみており、晩年に描かれた肉筆画は日本にあるものはだいたいお目にかかっている。海外から里帰りしたものにあっと驚かされるかもしれないが、その情報がないので結局関心のある‘雪中虎図’1点買いの北斎展となる可能性もある。思案の末、この絵をみるために新幹線に乗るのはやめることにした。

ところが、思わぬ情報が入って来たのでやはり大阪に行くことにした。背中を押してくれたのは京博の‘国宝展’(10/3~11/26)。秋の京都はこの展覧会で盛り上がることはまちがいない。お宝の絵画や木彫などがどどっとでてくる。だから、日本美術への興味が沸きだしたころだったら万難を排して出かけたところ。

でも、国宝の追っかけは最終の直線コースを入ってもうすぐゴールというところまできているので前からパスときめていた。そしたら、ビッグな作品情報が飛び込んできた。なんと京都・大徳寺龍光院が所蔵する‘曜変天目茶碗’が展示されるという。期間はⅡ期(10/17~10/29)。これは200%見逃せない。

日本にある国宝の曜変天目茶碗は3つ、これまで成静嘉堂文庫と藤田美にあるものは幸運なことにみることができた。ところが、この龍光院のものはまったく縁がなかった。みたくてしょうがないのに展覧会にでてこないのである。

展覧会に出品されたのはおそらく1999年大阪市立東洋陶磁美で開催された‘宗磁展’が最後。この展覧会は広島にいるときくクルマを走らせて巡回した萩の浦上記念美でみたが、曜変天目茶碗は大阪のみの出品。それから18年経った今年、ようやく鑑賞の機会がめぐってきた。ワクワクしている。

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2017.05.24

個性豊かな花入!

Img     国宝‘青磁下蕪花入’(南宋時代13世紀 アルカンシェール美)

Img_0001‘黄瀬戸立鼓花入 銘 旅枕’(重文 安土桃山時代16世紀 久保惣記念美)

Img_0002     ‘瓢花入 銘 顔回’(安土桃山時代16世紀 永青文庫)

Img_0003     ‘伊賀花入 銘 生爪’(安土桃山・江戸時代16~17世紀)

茶碗や茶入とはちがい大きいため見栄えがする茶道具が花入。会場には中国絵画のあといきなり国宝の花入が目の前に現れた。アルカンシェール美が所蔵する自慢のお宝、国宝‘青磁下蕪花入’。このいかにも蕪(かぶら)という感じのする花入はお気に入りの青磁のひとつでこれまで両手ちかくお目にかかった。

以前、東博の常設展示を定期的にみていたころはこの蕪型の花入は2年くらいの間隔で出品されていた。今はどうなっているか知らないが、東博とこのユニークな形をした花入は強くむすびついており、これと出会ったときは楽しみが倍増した。丸く膨れた蕪は女性に例えると愛嬌のいい元気娘。

花入にはいろいろな形がある。鼓を立てたようなのが‘旅枕’という銘がつけられた‘黄瀬戸立鼓花入’、利休が所持していたものだが、はじめてみた。瓢箪からつくった花入は利休が自分でつくったもの。

瓢箪を花入に変えるのは茶の湯を身近なものにしようとする利休ならではの発想。利休が並みの茶人でないことの証でもある。目白の永青文庫で遭遇したときはぶったまげた!

伊賀のやきものの前に立つとMyカラーが緑&黄色ということもあり、すぐ‘見るぞ!’モードにスイッチが入る。こういう荒々しく力強いフォルムをした伊賀を古田織部はとくに好んだ。この花入も織部が所持していたもの。また、花入のかたちとしては伊賀と備前はよく似ているので、織部は備前のものもよく茶会に使っている。

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2017.05.23

魅了される茶入の名品!

Img_0002 ‘唐物肩衝茶入 北野肩衝’(重文 南宋・元時代13~14世紀 三井記念美)

Img_0001     ‘唐物肩衝茶入 松屋肩衝’(重文 13~14世紀 根津美)

Img     ‘唐物茄子茶入 銘 富士’(重文 13~14世紀 前田育徳会)

Img_0003     ‘唐物鶴首茶入 利休鶴首’(13~14世紀)

中国で南宋から元の時代にかけてつくられた茶入には不思議な魅力がある。久しぶりに行われた‘茶の湯’展はこの小さな茶入の名品にお目にかかれる絶好の機会。最も有名な‘唐物肩衝茶入 銘 初花’(徳川記念財団)はすでに展示は終了しているが、ほかの名品は会期の最後までみることができる。

今、肩衝茶入の‘北野肩衝’と‘松屋肩衝’、そして茄子茶入の‘銘 富士’が一緒に並んで飾られている。これは圧巻!茶入に嵌ったのはこの褐色の色。この色がサイズの小さいこのやきものに重厚な印象を与えている。また、色の魅力に加えバラエティに富む形が視線を釘づけにする。

安定感のある肩衝、下がぷくっと膨れた茄子、また鶴の首を思わせるものもある。そして形とともに茶入の魅力を決定づけるのが釉薬がたれてできる‘なだれ’の景色。‘なだれ’の好みは人それぞれだが、多くの茶人たちの心を虜にした名品のなだれがつくりだす景色は格別。今回ははじめてみた‘富士’と利休が所持していた‘利休鶴首’をじっくりみていた。

このほかにも茶入は‘古瀬戸’や‘瀬戸’などのぐっとくるものが多くでていた。2年前あった古田織部展についでこの茶の湯展でもこれほどの数の名茶入にお目にかかれて幸せいっぱい。ミューズに感謝!

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2017.05.21

大盛況の‘茶の湯’展!

Img     ‘御所丸茶碗 古田高麗’(朝鮮時代16~17世紀)     


Img_0001     ‘黒織部沓茶碗’(江戸時代17世紀)

Img_0002     ‘祥瑞蜜柑水指’(重文 明時代17世紀 湯木美)

Img_0003     尾形乾山の‘銹絵染付鎗梅文香合’(江戸時代18世紀 北村美)

現在、東博で開催中の‘茶の湯’展(4/11~6/4)をみてきた。会場には着物を着たひと目でお点前を楽しんでいることがわかる女性が大勢いた。展覧会のなかでこういう茶の湯の気分をまさに味わえるのは貴重な体験である。

やきものの鑑賞を長く続けているので今回登場している凄いラインナップの多くは一度や数度みている。そのため、こうしたものは軽く見てあるお目当ての茶碗をめざして進んだ。それは利休の後の展示コーナーに飾られている‘御所丸茶碗 古田高麗’。

展覧会がはじまって一か月も経っているのにのんびりかまえそろそろ出かけようかと思ってた矢先、日曜美術館でこの特別展が取り上げられた。そこにアッと驚く‘古田高麗’がでてきた。‘ええー、この名品がでているの!?’、展示期間を確認すると通期の展示。俄然、出かける楽しみが跳ね上がった。

これまで御所丸茶碗はいくつかみたことはあるが、この‘古田高麗’にはまったく縁がなかった。その存在を知ったのは2014年12月に放送された日美の‘古田織部特集’、これは個人が所有する‘知る人ぞ知る’すごい名碗。それが今回東博に登場したのだから、天にも昇るような嬉しさ。

古田織部(1544~1615)が朝鮮半島の金海で焼かせたというこの‘古田高麗’、胴に帯状のへこみがあり、その下に面取りが連続して入っている。この自由でおおらかなフォルムがじつにいい。一度でいいから手にもってみたいが、これは叶わぬ夢。

これがみれたのであとは楽な気分で初見のオマケを楽しんだ。展覧会にはじめて出品された‘黒織部沓茶碗’をじっくりみた。織部の名品がまだあったのか!という感じ。湯木美が所蔵する‘祥瑞蜜柑水指’の端正な形と青の輝きに出会ったのも大きな収穫。

京都の北村美にある尾形乾山の‘銹絵染付鎗梅文香合’も長く追っかけていたもの。小さな香合だが、梅の白い花びらの美しさが目に沁みる。

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2017.04.08

 ‘茶碗の中の宇宙 楽家一子相伝の芸術’の楽しみ!

Img 初代長次郎の‘赤樂茶碗 銘 太郎坊’(16世紀 重文 裏千家今日庵)

Img_0001     初代長次郎の‘黒樂茶碗 銘 本覚坊’(16世紀)

Img_0002  吉左衛門の‘焼貫黒樂茶碗 銘 とうもくしょうかんをみる’

Img_0003   吉左衛門の‘焼貫黒樂茶碗 銘 晹谷’(1989年)

東芸大美の次に向かったのは東近美、ここも美術館の前の歩道には千鳥ヶ淵へと進む大勢の花見客がいた。東近美では今‘茶碗の中の芸術 樂家一子相伝の芸術’(3/14~5/11)は開かれている。

お目当ては初代長次郎(?~1589)、本阿弥光悦(1558~1637)、そして十五代吉右衛門(1949~)。これまで出会った名碗にどれだけ新たなものが加わるか、期待に胸を膨らませて入館した。長次郎の茶碗が会期中13碗でてくる。はじめてみるのは8つ、そのなかでずっと追っかけていたのは千利休が所持していた‘赤樂茶碗 銘 太郎坊’。ようやくお目にかかれた。

黒より赤の茶碗のほうが見た目は華やかだが、この赤は落ち着いた素朴な赤という感じ。同じ赤樂茶碗の‘無一物’よりはこちらのほうがずんぐりし安定感がある。そして、黒樂茶碗の‘本覚坊’も存在感のある茶碗だった。これだけ長次郎がみれたので言うことなし。済みマークをつけることにした。

光悦の茶碗は‘黒樂茶碗 銘 雨雲’(重文)など6点、いずれもすでにみているのでさらっとみて吉右衛門へ急いだ。後半はまさに‘吉右衛門展’、全部で62点(会期中)。一部は展示があわずみれないが、ショーアップされた展示によって吉右衛門の茶碗の魅力が最大限に発揮されている。

どれも足が止まるが、長くみていたのは‘焼貫黒樂茶椀 銘 とうもくしょうかんをみる’(2005年 佐川美)、茶碗の形は吉右衛門が好きな光悦風の半筒形、だが、色は吉右衛門流の緑や茶色が響き合うシャープさと深みが絡まったもの。同じ造形の‘暘谷(ようこく)’では河井寛次郎の色彩美を連想させる赤と黒が見事なハーモニーで個性をぶつけ合っている。

これほどの名碗がずらっと揃うやきもの展は滅多にみられない。ミューズに
感謝!

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2016.11.20

今、東京で国宝の名碗が三つみれる!

Img      国宝‘玳玻天目’(南宋時代・12世紀 相国寺)

Img_0001   国宝‘油滴天目’(南宋時代・12~13世紀 大阪市立東洋陶磁美)

Img_0002    ‘色絵丸文台皿’(17世紀中期 静嘉堂文庫)

Img_0003     ‘色絵鶴亀甲松竹梅文菊花形大鉢’(18~19世紀)

国宝に指定されている名碗は八つある。やきもの好きな方はすぐ思い浮かぶだろうが、今東京でその三つが展示されている。東博で開催中の‘禅展’に出品されているのが唐物の‘玻玳天目’と‘油滴天目’、展示は残り一週間、11/27までだからみてない人は急いだほうがいい。

もう一碗は静嘉堂文庫の‘漆芸名品展’(12/11まで)に飾られているご存じ‘曜変天目’(南宋時代12~13時代)、こちらは会期終了まででている。で、この一週間に東博と静嘉堂文庫をはしごするとすばらしい茶碗と三つお目にかかれる。もっというと‘禅展’には結構な数のやきものがでており、静嘉堂でもいい茶入や天目が並んでいるので二つの美術館をまわると立派なやきもの展が体験できるといういいめぐり合わせになっている。

さらに、静嘉堂のやきものにはとっておきの情報がある。それは展示室の前のホールのところに飾ってある二つの色絵磁器、モダンすぎる色の組み合わせにハットなる‘色絵丸文台皿’と金襴手様式の鉢では最高の出来栄えの‘色絵鶴亀甲松竹梅文菊花形大鉢’。12/11まで展示されている。

幸運な鑑賞が実現したのはここで2008年に行われた‘岩崎家の古伊万里ー華麗なる色絵磁器の世界’、想像以上に一点々の質が高く、流石、岩崎家のコレクションという感じだった。そのなかで最も魅了されたのがこの二つ。立ち尽くしてみていた。8年ぶりに再会したことを腹の底から喜んでいる。

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2016.11.19

茶入の名品!

Img ‘唐物茄子茶入 付藻茄子’(南宋~元時代・13~14世紀 静嘉堂文庫)

Img_0001 ‘唐物茄子茶入 松本茄子’(南宋~元時代・13~14世紀 静嘉堂文庫)

Img_0002‘唐物肩衝茶入 銘・新田肩衝’(南宋時代・12~13世紀 徳川ミュージアム)

日本美術の展覧会が行われるとき作品が多い場合は会期をいくつかに分けて展示される。以前は出品作を全部目のなかに入れようという気持ちが強く何度も足を運んでいた。ところが、今は絵画にしろやきものなどの工芸にしろ鑑賞済みのものが多くなってきたこともあり、一回で終わらせることが普通になってきた。

一度みた作品が重なってくると図録も毎度々購入する習慣が変わってきた。お気に入りのものが絵葉書にラインナップされていればニンマリして買い込み分厚い図録はパスになる。今は高い愛着度が維持できそうな図録だけを購入することにしている。

静嘉堂文庫で開催中の‘漆芸名品展’では図録があれば買う予定だったが、今回は図録はなくパンフレットタイプのものを300円で販売していた。この美術館は以前からこのスタイルで作品情報を提供しているがこれで十分、手元に過去につくられた図録が5冊もあるので美術館自慢の作品はほぼカバーされている。

ここにある茶入の名品がこの漆芸展にも登場している。やきものの茶入が展示されているのはこの茶入が壊れた個所が漆で見事に修復されたものだから。後期(11/8~12/11)にでている‘唐物茄子茶入 付藻茄子’と前期に飾られた‘唐物茄子茶入 松本茄子’。

これまで数回縁がありその伝来の話がインプットされているので思わず長くみてしまう。なんとあの織田信長、豊臣秀吉、徳川家康が所有していた。‘付藻茄子’と‘松本茄子’が現在、東博の‘禅展’に出品されている‘唐物肩衝茶入 銘・新田肩衝’などとともに災難にあったのは大阪夏の陣(1615)、家康の命をうけて藤重藤元、藤厳父子は大阪城の焼け跡のなかから探し出し漆で繕った。

この卓越した技のおかげで今もこうして目にすることができる。この茶入をみるたびにやきものの名品にまつわる数奇な運命に思いをめぐらせる。

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2016.01.22

心を奪われる十三代今右衛門!

Img_0004     ‘色絵吹墨薔薇文花瓶’(1976年 佐賀県立九州陶磁文化館)

Img_0001     ‘色絵薄墨紫蘭文鉢’(1985年)

Img     ‘色絵薄墨珠樹文蓋付瓶’(1987年)

Img_0002     ‘色絵吹重ね珠樹草花文鉢’(2001年)

足を運んだ展覧会はいつもは会期中に感想をアップするのに、日本橋三越で1/11まで行われていた‘十三代今右衛門 × 十四代柿右衛門展’については展覧会が終了してから10日もあとになってしまった。

この展覧会で期待していたのは十三代今右衛門(1926~2001)のほうで十四代柿右衛門についてはオマケという思いがあるのでのめりこんでみていない。だから、とりあげるのは十三代今右衛門のみ。

若いころからやきものに興味をもちNHKで放送される陶磁器関係の美術番組は見逃さずみてビデオに収録していたが、十三代はよく登場し鍋島の魅力や自分が生み出した吹墨や薄墨の話をしてくれた。そこでみた作品にいっぺんに魅せられ十三代の回顧展に遭遇することを強く望むようになった。

ところが、その機会がなかなかやって来ない。やっとみれたのが5,6年前ホテルオークラの隣にある智美術館で行われた‘十三代&十四代今右衛門展’、だがこれは十三代の作品が想定外に少なく消化不良に終わった。

今年は1616年に有田の地に日本ではじめて磁器が誕生してから400年になる。昨年の琳派400年のように有田焼も大いに盛り上がりそう。その節目の年を祝う一弾が三越で開かれる展覧会。となると、当然期待値は高くなる。十三代の作品は全部で45点くらい、これだけみれれば言うことなし。大満足!

そのなかで長くみていたのが初期の吹墨‘薔薇文花瓶’、これまでお目にかかったことのある薄墨の2点、‘紫蘭文鉢’と‘珠樹文蓋付瓶’、そして亡くなる年につくられた‘吹重ね珠樹草花文鉢’。現代感覚に富む文様と鮮やかな色彩美が魅力の十三代今右衛門の世界、腹の底から楽しんだ。

なお、この展覧会はこのあと次の会場でも行われる。
・広島三越 7/5~7/18
・福岡三越 10/5~10/10

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2016.01.21

松濤美の‘石黒宗麿展’!

Img_0001     ‘彩瓷柿文壺’(1959~61年 東近美)

Img     ‘赤絵水指’(1966~67年 愛知県陶磁美)

Img_0002     ‘鉄絵荒蕪文平鉢’(1967年 愛知県陶磁美)

Img_0004     ‘黒釉褐斑鳥文壺’(1958年)

やきものが好きなので陶芸家の回顧展には目をひからせている。現在、渋谷の松濤美で20年ぶりという‘石黒宗麿展’が開かれている。会期は残り一週間で31日まで。

昭和30年(1955)に人間国宝の制度ができたとき、富本健吉、濱田庄司、荒川豊蔵とともに認定をうけた石黒宗麿(1893~1968)、いつか代表作を集めた回顧展に遭遇しないかと思ってきたが漸くその願いが叶えられた。松濤美は小さな美術館だが、質のいいやきもの展をときどき開催してくれるので好きな美術館のひとつとなっている。

作品は全部で120点ほど、お気に入りはすっきりした絵付けと形のいい壺の姿が心をひきつける‘彩瓷柿文壺’、赤茶色でぽんぽんと描かれているのは吊るし柿、黒の横線は柿をつっている縄、小さいころ田舎の家ではこんな風に柿がつるされていた。郷愁をそそる絵画を見ているよう。

一瞬、濱田庄司の作品が頭をよぎったのが‘赤絵水指’、胴部に幅のひろい竹を使って斜めに勢いよくつけた赤の斑文とリズミカルにたらされた緑の点々が爽快な印象をあたえている。とてもモダンな文様だから、居間におくとほかの置物との親和性もすこぶるいいだろう。

この二つの壺が気分を晴れやかにする作品であるのに対し、‘鉄絵荒蕪文平鉢’と‘黒釉褐斑鳥文壺’は荒々しくて重厚なイメージが強い。こういう作品をみると宗麿の陶芸にたいする深い思いがもてる高い技術によって自在に生み出されている感じ。

黒釉の壺に描かれているのは燕、その形は古代中国の殷の遺跡から発掘された亀の甲羅や牛の骨に刻まれた甲骨文字を連想させる。宗麿は中国の古陶磁の研究に没頭したから、甲骨文字から刺激を受けたのかもしれない。

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