2026.07.19

本阿弥光悦 やきものベスト&ベスト!

Img_20260719230801   国宝‘白楽茶碗 銘 不二山’(17世紀 サンリツ服部美)

Img_0002_20260719230801   ‘黒楽茶碗 銘 雨雲’(重文 17世紀 三井記念美)

Img_0003_20260719230801   ‘赤楽茶碗 銘 加賀’(重文 17世紀 相国寺)

Img_0001_20260719230901   ‘赤楽茶碗 銘 雪峯’(重文 17世紀 畠山記念館)

Img_0004_20260719230901   ‘赤楽茶碗 銘 乙御前’(重文 17世紀)

国宝に指定されている茶碗は8点ある。そのうち和物は2点。三井記念美が所蔵する‘志野茶碗 銘 卯花墻(うのはながき)’と諏訪湖のところにあるサンリツ服部美自慢のお宝中のお宝 ‘白楽茶碗 銘 不二山’。‘卯花墻’は光琳の‘紅白梅図屏風’(国宝 MOA美)のように毎年展示されるので、お馴染みの名碗になっている。

これに対し、本阿弥光悦(1558~1637)がつくった‘不二山’のほうは
他館への貸し出しがなく、サンリツ服部美で披露されるのは特別な企画展を
主催するときだけ。そのため、これまでお目にかかったのは2回しかない。
2005年、ここで‘琳派展’が行われたとき運よく再会が叶った。白釉のつく
る景色が天に聳える富士の姿に例えられているが、すこしずつこの茶碗の見
事さがわかってきた。もう一度みたいが、果たしてそのときが巡ってくるか。

光悦にのめりこみ一点でも多くすばらしい茶碗をみようと願ってきたが、お目当てのものに遭遇するのに長い時間がかかった。2006年に夢が実現したのが畠山記念館にある‘赤楽茶碗 銘 雪峯’、口辺から胴部にかけて掛る白釉と窯割れの金繕いが強いインパクトを放っている。同じ赤楽茶碗の‘銘 加賀’は4年くらい追っかけたが、2008年ようやく対面が実現した。噂に違わず景色に富んだ茶碗で鋭い縦のへら目や炎のような赤色を釘付けになってみた。

やきもの展をよく開催する五島美や三井記念美などでみる機会が比較的多くあったなかで惹かれているのは、赤楽茶碗の‘銘乙御前(おとごぜ)’と腰の丸いタイプの半筒茶碗で切れ味鋭い造形に魅了される‘黒楽茶碗 銘 雨雲’。2年前、東博で大規模な‘本阿弥光悦の大宇宙’が行われたばかりだから、これから先はちょっと間隔が空くが、どこかの美術館でやきものに絞った特別展を企画してくれることを願っている。

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2025.09.17

2度目の藤本能道の色絵磁器展!

Img_20250917231001   ‘草白釉釉描色絵金彩翡翠図六角筥’(1989年)

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‘雪白釉釉描色絵金銀彩翡翠図扁壷’(1989年)

Img_0002_20250917231001   ‘草白釉釉描色絵金彩睡蓮と笹五位乃図十二角皿’(1990年)

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‘草白釉色絵金銀彩木乃葉ずく文八角筥’(1983年)

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‘色絵桜とうそ図大皿’(1978年)

Img_0006_20250917231001   ‘霜白釉釉描色絵金銀彩炎と蛾図扁壷’(1991年)

やきものの特別展は根津美とか五島美などで毎年、一度や二度みる機会があ
るが、今年は大倉集古館の目と鼻の先にある菊池寛実記念 智美術館で運よ
く遭遇した。飾られているのは菊池やきものコレクションのお宝中のお宝の
藤本能道(ふじもと よしみち 1919~1992)の色絵磁器。
‘鳥々 藤本能道の色絵磁器’は6/7に開幕しており、9/28まで行われる。

コレクションをみるのは2度目。2009年に新装なった展示室で56点お
目にかかったお陰で、藤本能道の花鳥画をみるような色絵磁器に開眼した。
今回は57点でている。館内はスマホ撮影がOKなので、足がとまったも
のはばんばん撮った。いろいろな鳥が登場するが、お気に入りは翡翠(かわせみ)。前回も目に焼きつけた金彩の六角筥に描かれたものと勢いよ
く飛翔する翡翠が羽根をひろげと鮮やかな青をどんとみせる扁壷に魅了される。

十二角皿に描かれた五位鷺の姿にも思わず足がとまる。やきものの出来栄えを味わうというより、絵画のモチーフとして美しい睡蓮に囲まれる五位鷺を鑑賞するという感じ。最初に展示されてる扁壷に大きく描かれている五位鷺(初見)の存在感が印象深い。これは大きな収穫。

そして、八角筥に描かれた夜行性の木の葉ずくも惹きこまれる。ふくろうや木の葉ずくは小さい頃よく出かけた動物園でした縁がないので、こういうやきもので対面できるというのも美術の魅力かもしれない。大皿の桜の枝にとまるうそも同じ思い。この構図がじつにいい。1991年につくられた扁壷では作風ががらっと変わり、吹きあがる赤い炎のなかで蛾が幻想的に舞っている。ふと速水御舟の絵が頭をよぎった。

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2024.06.04

名碗の美!

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   国宝‘曜変天目 稲葉天目’(南宋12~13世紀 静嘉堂文庫美)

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   ‘玳皮戔盞 鸞天目’(重文 南宋12~13世紀 三井記念美)

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   国宝‘志野茶碗 銘卯花墻’(桃山16~17世紀 三井記念美)

今月の9日(日)まで丸の内の静嘉堂文庫美で開催されている‘画鬼 河鍋暁斎
×鬼才 松浦武四郎’に中国で焼かれた絶品の茶碗が一緒に展示されている。
ご存知、国宝の‘曜変天目’!この天下の名碗を美術館が丸の内に移って来てか
らみたのははじめて。特別展の導線では最後の部屋に飾られていたが、ここ
が定番の部屋なのだろう。世田谷のときとちがって照明を落とし部屋を暗く
してみせているので、曜変の特徴である光彩がきれいに輝いていた。アクセ
スがよくなり定期的にみれるのだから真にたまらない。

昨年4月に放送されたNHKの美術番組‘美の壺’に曜変天目の再現に長年挑戦し
ている九代長江惣吉氏が登場し、この光彩がどうしてできたのかをつきとめ
たと語っていた。何度も出かけた中国の建窯の窯跡で蛍石を砕いたものが層
になって落ちているのを発見したのである。そこで、蛍石はやきものの原料
には使わないのでこれを使って光彩を出したのではないかと推察し、実際に
細かく砕いた蛍石を窯の温度を1350℃から900℃に下げたときに投入
してみた。すると、光彩がそれまでとは格段にクリアになった曜変天目がで
きた。長江氏はこれだと確信したにちがいない。近い将来、納得のいく再現
曜変天目が生まれてくるような気がしてきた。これはスゴイ!

静嘉堂文庫美からそう遠くないところにある三井記念美では現在‘茶の湯の美
学’(4/18~6/16)が行われており、中国の吉州窯で焼かれた天目がで
ている。重文に指定されている‘玳皮盞 鸞天目’。玳皮盞(たいひさん)は
玳瑁(たいまい、ウミガメ)の甲、鼈甲(べっこう)のような釉色をみせる
ことからこの名がついている。茶碗の見込みには尾長鳥文様が描かれており、
それを瑞鳥の鸞(らん)とみて鸞天目とも呼んでいる。2017年の‘茶の湯’
(東博)以来の対面だったので、息を呑んでみていた。

三井記念美にはもう一点、名碗中の名碗が展示されている。お馴染みの国宝
‘志野茶碗 銘卯花墻’!志野茶碗をみてると本当に心が和らぐ。数多くある
志野茶碗の名品のなかで富士山みたいな存在なのが‘卯花墻’(うのはながき)
。白と鉄絵の絶妙なコラボにとても惹かれる。東京駅の周辺で二つの国宝の
名碗が同時に鑑賞できるいう幸せを噛みしめている。

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2023.11.14

五島美の‘古伊賀 破格のやきもの’!

Img_0003_20231114224601    ‘伊賀耳付水指 銘 破袋’(重文 桃山~江戸・17世紀 五島美)

Img_20231114224601    ‘伊賀耳付水指’(17世紀)

Img_0001_20231114224601    ‘伊賀耳付花生 銘 聖’(17世紀)

Img_0004_20231114224601    ‘伊賀花生 銘 羅生門’(17世紀)

Img_0002_20231114224601    ‘伊賀擂座瓢形水指’(17世紀 畠山記念館)

やきもの展ならここへ出かければ間違いなしという美術館は根津美と五島美。
その五島美で現在‘古伊賀 破格のやきもの’(10/21~12/3)が行われ
ている。やきもの好きなら五島美にある‘伊賀耳付水指 銘 破袋’が古伊賀の
名品として目に焼き付いているかもしれない。これを所蔵しているからこそ、
きっといい花生や水指がどっと集結しているだろうと期待する。果たして、
予想通り個性的な形や魅力のビードロ釉が心を揺すぶる作品が揃っていた。

展示室に入ってすぐ足がとまる花生があった。‘銘 聖’。この花生は腰に手を当
てた人物のようにみえる。それは耳が手で上の四角がデフォルメした顔をイ
メージするから。愛嬌があるからゆるキャラのプロダクションに登録すれば
人気者になれることは請け合い。やきもので人間を思わせるものはこのほかに
みたことがない。

奥の展示スペースに圧倒的な存在感で迫ってくる‘銘 破袋’とどっしりとした胴
をもつ大振りの水指が並んで飾られていた。まさに破格の水指の共演という感
じ。胴がぷくっと膨れた水指のほうは鮮やかな緑色の幅広ビードロ釉に目が惹
きつけられる。2014年、松屋銀座であった‘古田織部展’で遭遇し度肝を抜
かれたが、再会できるとは思ってもみなかった。すばらしい!

‘花生 銘 羅生門’も強いインパクトをもっている。口部が朝顔のように広がり、胴を歪めた筒形がじつに力強い。そして、厚く掛かったビードロ釉と褐色の火色の深みのある融合が心をとらえて離さない。久しぶりにお目にかかった畠山記念館蔵の‘擂座瓢形水指’の前にも長くいた。この瓢形をみていると正月に飾る鏡餅を連想する。

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2022.06.25

期待を大きく上回る‘河井寛次郎展’ (中之島香雪美)!

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 景徳鎮窯 ‘辰砂釉如意耳瓶’(清・乾隆年間・1736∼95 香雪美)

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  ‘花扁壺’(1947~48年 香雪美)

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  ‘三色打薬扁壺’(1961年 河井寛次郎記念館)

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  ‘海鼠鉢’(1928年 逸翁美)

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  ‘丸紋壺’(1929年)

中之島美のあと、ここから歩いて10分くらいのところにある中之島フェス
ティバルタワー・ウエストをめざした。とても暑かったが、はじめての大阪
ビジネスタウンのため気が張っており、堂島川をはさんで左右に現れる建物、
たとえばABS放送、サントリー、中之島ダイビルなどから新鮮な刺激をも
らうので体はしっかり動いている。2018年に開館した中之島香雪美は
フェスティバルタワーの4階にあった。ここで6/18から陶芸家河井寛次郎
(1890~1966)の回顧展がはじまった(8/21まで)。

明治以降に活躍した陶芸家のなかでは板谷波山、富本憲吉、民藝派の河井寛
次郎、濱田庄司、バーナード・リーチが回顧展へ足を運ぶ回数が群を抜いて
多い。そのため、図録が積み重なっていく。寛次郎は今回のものをふくめる
と全部で5冊。この特別展を知ったのは新幹線の予約をした1ヶ月前、運よく
願ったりの寛次郎展に遭遇した。果たして、出品作ははじめてお目にかかっ
たものが多く、河井寛次郎の人気をあらためてみせつけられた。

100点近くある出品作のなかでのっけから、清朝乾隆年間につくられた
‘辰砂釉如意耳瓶’に思わず、おおーと唸ってしまった。若い寛次郎もこうした
中国の磁器の色彩の鮮やかさに心を打たれたことだろう。神戸にある香雪美
を訪問したとき、このつやつやした赤のパワーに目がくらんだ記憶がないの
で、初対面だったかもしれない。ここにやって来た甲斐があった。同じく
香雪美蔵の寛次郎の‘花扁壺’の優しい花模様に大変惹かれた。

京都の河井寛次郎記念館で夢中になってみた‘三色打薬扁壺’がなんと姿を現し
てくれた。柔らかい薄茶色の生地に赤、緑、黒の釉薬が華麗にハーモニーを
奏でている。これをつくったとき寛次郎は71歳。晩年期にこんな近代感覚に
あふれ抽象陶芸をも感じさせるものを生み出すのだから、作家の美の感性は
本当にスゴイ。青の強い磁力に惹きこまれる‘海鼠鉢’もいい気持でみていた。
そして、大きなサプライズだったのがこれまで回顧展に出品されたことのな
い‘丸紋壺’、こんな見事なフォルムとインパクトのある紋様の丸壺があった
とは!

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2020.02.16

久しぶりの‘北大路魯山人’!

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     ‘つばき鉢’(1938年)

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     ‘雲錦鉢’(1938年)

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     ‘織部蟹絵平鉢’(1959年)

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     ‘備前旅枕花入’(1958年)

日本橋三越で明日(17日)まで行われている‘北大路魯山人展’を滑り込みで
みてきた。今回ででているのは京都の何必館が所蔵しているコレクション。
魯山人のやきものはこれまで世田谷美、鎌倉の吉兆庵美、島根県の安来市に
ある足立美で目を楽しませてもらっったが、何必館(かひつかん)のものは
縁がなかった。

北大路魯山人(1883~1959)というと見栄えのする絵柄が気を引く
大鉢がまず思い浮かぶ。これまで別ヴァージョンでお目にかかったことのあ
る‘つばき鉢’と‘雲錦鉢’がどんと展示してあった。‘雲錦鉢’の装飾的に描かれた
桜満開の模様は尾形乾山とのコラボが連想されるが、椿のほうは魯山人のほ
かにはすぐでてこない。どんどんと大きく咲く赤、白、黄色の花びらを緑の
葉が引き立てている。この椿は大収穫。

何必館は魯山人の大鉢、織部や書など300点くらい所蔵しているが、演出
された空間に展示されているのは70点ほど。だから、予想とは作品の数が
ちがっていたが、いずれもじっとみてしまうほどいい作品が揃っているので
満足度は高い。これまで体験した作品がずらっと並ぶやきもの展とはひと味
ちがう展示の仕方が新鮮だった。

最晩年の作品‘織部蟹絵平鉢’(絶作)と‘備前旅枕花入’の前に長くいた。日本
絵画でもやきものなどの工芸でも蟹をモチーフにしたものは珍しい。おも
しろいのはこの蟹はじっとみていると横に動いているのかと錯覚すること。
動きの描写はとても難しい。魯山人の創作の感性は流石でしゃきっとしてい
る。備前焼は数点でておりどれも魅了されるが、この‘旅枕花入’は心を強く
揺すぶる。

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2020.01.11

銀座松屋の‘利休のかたち’!

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   長次郎の‘赤楽茶碗 銘白鷺’(16世紀 裏千家今日庵)

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    ‘本手 利休斗々屋茶碗’(朝鮮時代 16世紀 藤田美)

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     ‘瀬戸雁口花入’(16世紀)

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      ‘湯の釜’(16世紀 武者小路千家官休庵)

昨年秋、三井記念美で‘高麗茶碗展’があり茶の湯の名碗が目を楽しませてくれ
たが、時をあけずまたいいやきもの展に遭遇した。今月の20日まで銀座
松屋で開かれている‘利休のかたち’。利休の好みを反映した茶道具が並んでい
る。松屋が企画するやきもの展はいつも期待を裏切らない。だから、好感度
は二重丸が続いている。

日本文化のなかで脈々とその伝統を伝えている茶道。そのど真ん中にいる
のが千利休(1522~1591)。大規模な茶の湯展が2017年に東博
であり、名品がたくさんでてきた出。今回の‘利休のかたち’はそのときのデジ
ャブがおこっている感じ。長次郎(?~1589)の初期の作品‘赤楽茶碗 
銘白鷺’とまたお目にかかった。光悦のシャキッとした赤楽とちがい素朴な
景色が心を打つ。

高麗茶碗の‘本手 利休斗々屋茶碗’は収穫の一品。これは三井記念美では展示
がなかったもの。想定外のリカバリーとなった。斗々屋茶碗のなかでは丸みの
ある形は珍しく柔らかいイメージがわくため思わず手にとってみたくなる。

究極の丸みを感じさせる‘湯の釜’もハッとさせる釉薬の流れが印象深い‘瀬戸
雁口花入’も茶の湯展にかざられていたもの。こういうのはみるたびに足がと
まる。釜はほかにも阿弥陀堂釜や尻張釜があり目を釘づけにさせる。

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2019.11.05

三井記念美の‘高麗茶碗展’!

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     ‘大井戸茶碗 有楽井戸’(16世紀 東博)

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     ‘御所丸茶碗 古田高麗’(16~17世紀)

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     ‘粉引茶碗 三好粉引’(重文 16世紀 三井記念美)

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     ‘斗々屋茶碗 銘かすみ’(16世紀 三井記念美)

ここ数年いいやきもの展が続いている。2年前、東博で名品がずらっと揃っ
た‘茶の湯展’があり、昨年は秋に根津美で‘新・桃山の茶陶’。そして、今年は
サントリー美の‘美濃の茶陶’(9/4~11/10)と三井記念美の‘高麗茶碗
展’(9/14~12/1)。この二つに出かけると日本の茶碗と朝鮮の高麗
茶碗がぐぐっと目を楽しませてくれるので茶の湯の名碗の通になれることは
請け合い。

三井記念美にはなんといっても国宝の‘志野茶碗 銘卯花墻’があるので‘茶陶
展だったらおまかせください’、という調子だろうというのは容易に察しが
つく。そうするとこの度の高麗茶碗についての期待値は当然ながら高くなる。
会期中にでてくるのは全部で123点。予想以上にすごい数。しかも、ぐっ
とくる茶碗が多い。やはり、三井記念美はブランド美術館。

大井戸茶碗で目にする回数が最も多いのは東博の‘有楽井戸’かもしれない。
平常展を頻繁にみていた時期が長くあったので枇杷色と高台の梅花皮
(かいらぎ)とよばれるちじれが印象的なこの井戸茶碗を何度もみる機会が
あった。視覚体験が多いとだんだん愛着も増していく。

嬉しいことに‘御所丸茶碗 古田高麗’とまた出会った。2014年にはじめて
お目にかかったときはヘラをあてて溝をつくり立体感をだしているところや
角々した面取りに大変魅了された。これで3度目。またまた食い入るように
みていた。

三井記念美の所蔵する名碗をずらっと披露しているが、お気に入りは釉薬が
かからず残った地の部分がクリップの小片が刺さったようにみえる‘粉引茶碗
 三好粉引’。これは2,3年前重文に指定された。そして、うすい枇杷色
と鼠色がかった釉の響き合いがなんとも目に心地いい‘斗々屋茶碗 銘かすみ’
も長くみていた。

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2019.09.13

期待値以上の‘美濃の茶陶’展!

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     ‘志野山水文鉢’(16~17世紀 愛知県陶磁美)

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     ‘鼠志野茶碗 銘横雲’(16~17世紀 野村美)

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   ‘黄瀬戸大根文輪花鉢’(重文 16~17世紀 相国寺)

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    ‘織部扇面形蓋物’(17世紀)

昨年秋に根津美で開催された‘新・桃山の茶陶’をリレーするように現在、サン
トリー美では‘美濃の茶陶’(9/4~11/10)が行われている。やきもの展
を開催して愛好家の注目を集めるのは根津、五島、出光、サントリー。自分
のところに名品を数多く持っているのでよそからもいいものが集まってくる。

今回サントリーが焦点をあてているのは桃山時代の16~17世紀、岐阜の
美濃で焼かれた‘黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部’。根津のときと同様に定番の
名品がずらっと並んでいる。これは圧巻!まず出迎えてくれるのが国宝の
‘志野茶碗 銘卯花墻’(三井記念美)。そして、ともに重文の‘鼠志野茶碗 
銘峯紅葉’(五島美)と‘鼠志野茶碗 銘山の端’(根津美)もある。

はじめてみるものもたくさんでてくる。やきものは奥が深いから展覧会に顔
を出すたびにあらたな名品と遭遇する。思わず足がとまったのが‘志野山水文
鉢’、こういう絵柄は染付によく登場するが志野との相性も悪くない。鼠志野
の魅力は抗しがたいものがある。そのため、再会した‘銘横雲’に吸いこまれる。

一番の収穫は相国寺が所蔵する‘黄瀬戸大根文花鉢’、大根がこれほどインパ
クトのある文様になるとは。これからは大根を軽くみれなくなった。
織部の緑に魅せられ続けている。扇面形蓋物、四方鉢、手鉢、耳付花入、沓
茶碗、向付、軽やかで新感覚の文様と緑の釉薬が目を楽しませてくれる。
造形的にカッコよく映る扇面型蓋物を長くみていた。

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2019.04.14

期待の‘備前展’!

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     ‘三角花入’(桃山時代16~17世紀)

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     金重陶陽の‘緋襷茶盌’(1957年)

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     隠崎隆一の‘混淆花器’(2016年)

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     伊勢崎晃一朗の‘畝壺’(2017年)

東近美工芸館で開催されている‘備前―土と炎から生まれる造形美’(2/22
~5/6)をみてきた。以前広島にいたときクルマで備前焼の窯がある備前市
伊部へ出かけた。以来、釉薬を使わない備前焼の魅力にとりつかれている。
広島のデパートで金重陶陽以降の作家の作品をずらっと揃えた備前焼展をみ
たが、東京ではトータルで備前焼を楽しめる展覧会にでくわす機会がなかっ
た。ようやく実現したのは東近美、となると期待値はどうしても高くなる。

なかに入って展示室を進んでいくこれ以上望めないほど充実した作品
が並んでいた。流石、東近美!古備前の茶道具にいいのがたくさんあったが、
思わず足がとまったのが‘三角花入’、三角の形がユニークなので桃山陶器とか
織部展では定番のように出品される。備前焼の中興の祖である金重陶陽
(1896~1967)の緋襷(ひだすき)をぐっと感じさせる‘緋襷茶盌’
も名品。

今回人間国宝になっている作家をはじめ備前焼といえばこの人という面々は
全部登場している。まさに備前のオールスターが勢揃い。そのなかで伊部の
外からやってきた隠崎隆一(1950~)は現代アート風の備前を生み出し
た先駆者のひとり。金重陶陽の息子、金重晃介(1943~)の‘聖衣’
(1994年)が備前の貴公子がつくった備前アヴァン・ギャルドなら、
鬼才隠崎隆一の‘混淆花器’は自然と大地から生まれてきた原始の美という感
じ。魂を強く揺すぶられる。

これまで縁がなかった作家で大変魅了されたのは今年45歳の伊勢崎晃一朗
(1974~)。父親の伊勢崎淳(1936~)も大胆な造形で新しい備前
の形をつくってきたが、そのチャレンジ精神は晃一朗にもしっかり受け継が
れており圧倒的な存在感のある‘畝壺’に驚愕した。そして、矢部俊一
(1968~)のステルス戦闘機を連想させる切れ味鋭いフォルムが目を惹
く‘光風’にもぐさっとやられた。

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