2013.03.23

MoMA(1) 20年ぶりのニューヨーク近代美術館!

Img_0001_2     MoMAの入口

Img_0002_2     バルテュスの‘街路’(1933年)     

Img_0004_2     ワイエスの‘クリスティーナの世界’(1948年)

Img_2     クリムトの‘希望Ⅱ’(1907~08年)

ニューヨークの近代美術館(MoMA)を訪問するのは20年ぶり、04年に新しい美術館になってからははじめての機会だから気が張っている。入り口は54Stと53St側2つあり、写真は54Stのほう。

NYの観光を案内してくれるのは現地の日本人ガイド、METではこの男性が館内で作品の解説をしていたが、ここは別の専門のガイドさん(アメリカ人女性)がするらしい。で、この方が現れるのをロビーでしばらく待った。そしてようやくチケットが配られたので、意気込んで5階の展示室へ向かった。

お目当ての絵画は5階、4階、2階にあり、2階は現代美術を展示している。5階ではいきなり追っかけ◎の絵が展示してあった。バルテュス(1908~2001)の‘街路’、前回この作品をみたという実感はまったく、作品の存在はそのとき購入した図録(英文)で知った。このころはまだバルテュスに関心がいってないから、それで終わり。

この画家の作品が気になりだしたのはそれからだいぶ経った2001年ころ。NHKがこの年ヴェネツィアで開かれた大回顧展を特集してくれたおかげでバルテュスを1点でも多くみたいと思うようになった。この‘街路’はピエロ・デッラ・フランチェスカの作品を彷彿とさせる。遠近法による画面構成は綿密に計算されてできあがっており、通りを行き交う人たちのリアルな動きやリズム感がそのまま伝わってくる。期待通りのいい絵だった。

再会した作品で長くみていたのがアメリカンリアリズムのワイエス(1862~1918)の代表作‘クリスティーナの世界’、この絵にまた会えて幸せだなと思ってみていたら、小児マヒで足が不自由なクリスティーナがみつめる丘の中央に建つ小屋のまわりに鳥が小さく々描かれていることに気づいた。前は草の精密な写実描写にばかり目がいき、遠くのほうまでしっかりみてない。みるたびに新たな発見があるのは名画の証。

クリムト(1862~1918)がどこの美術館でも作品の前には大勢の人がいる。その人気は不動、METに続いてここでも‘希望Ⅱ’がみれたことをミューズに感謝しなくてはならない。一度みているとはいえずいぶん前のことだから、はじめて会うようなもの。金地の背景に浮かび上がる横向きの女性、赤い衣装に映える円い模様が強く印象に残った。

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2013.03.18

メトロポリタン美(7) ホッパー、オキーフに出会う喜び!

Img_0001_2     ホッパーの‘小さな町のオフィス’(1953年)

Img_0002     ホッパーの‘夫人のためのテーブル’(1930年)

Img_0006_2     オキーフの‘遠くて近いところから’(1937年)

Img_0007_2     オキーフの‘ブラックアイリスⅢ’(1926年)

メトロポリタン美で近現代美術が展示されているところは1階と2階の左奥、順番としては印象派をみたあとの流れで2階をみて1階へ降りていくことになる。今回の重点鑑賞、ホッパーとオキーフがあるのは1階。

1階ではちょうどマティス展が開催中、すごく誘惑に駆られたが時間がないので当初の鑑賞計画を貫徹することにした。ホッパー(1882~1967)は追っかけ画の‘小さな町のオフィス’とシカゴであった回顧展でみた‘夫人のためのテーブル’の2点。今回ホッパーはワシントンナショナルギャラリーで期待していた作品が姿を現してくれなかったので、結局この2点にとどまった。

アメリカの小さな町を体験したことはないが、ここにも大都市同様アメリカ現代社会に潜む影の部分が厳然と存在している。大きな窓のあるオフィスで強い孤独感を感じさせるこの男性、この角度からでは顔の表情はよみとれないが、視線の焦点は定まってないだろう。

‘夫人のためのテーブル’をみているとはドガやマネの描いたパリのレストランやビアホールで働く女の姿が重なってくる。受付係と奥のテーブルで話している男女、そして手前でテーブルを準備しているウエイトレスが三角形構図をつくり画面に奥行きができている。この絵は風俗画の系譜のなかでは傑作に数えられる一枚ではなかろうか。

08年の訪問の際20点の作品があったオキーフ(1887~1986)は今回7点でていた。半分以下に減ったのはマティス展のため展示の部屋が制限されたからかもしれない。とくに惹かれたのは天空に巨大な動物の頭骸骨が描かれた‘遠くて近いところから’。古い映画で恐縮だがザ・ピーナッツが出演した‘モスラ’が目の前をよぎった。

抽象画はどうやって生まれるかを理解する上でいい例がオキーフの絵。花のモチーフを極限にまで拡大すると画面は具象が消えたフォルムとその空間を彩った色彩の面でおおいつくされる。‘ブラックアイリスⅢ’はまだ具象の姿を残しているが、部分々をみると抽象表現そのもの。この度の美術館めぐりでオキーフは15点みることができた。この偉大な女流作家にだいぶ近づいてきた。

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2013.03.08

メトロポリタン美(2) 心を奪われるサージェントの肖像画!

Img_0002_2     サージェントの‘マダムXの肖像’(1884年)

Img_0003_2     サージェントの‘バラをもつ婦人’(1882年)

Img_0001_2     ホイッスラーの‘テオドール・デュレの肖像’(1883~84年)

Img_2     ホーマーの‘北東風’(1895年)

今回の美術館めぐりで重点鑑賞画家にしていたのはアメリカの画家とアンリ・ルソー、そのうち出会った作品が10点をこえた画家はサージェント(15点)、オキーフ(15点)、コール(12点)、ロスコ(12点)、ホーマー(10点)、そしてルソーは8点。

一番多くみることができたサージェント(1856~1925)、METには5点あった。08年のとき印象派の部屋に飾ってあったのは‘マダムX’と‘三姉妹’の2点、大変魅せられた肖像画なのに絵のサイズの記憶が消えていた。再会してまず驚いたのは絵の大きさ。女性たちは大きな縦長のキャンバスに描かれている。このインパクトは実際絵の前に立たないと感じられない。

肖像画を依頼する女性はいずれもパリやニューヨーク、ボストンなどの大都会における社交界の常連、だから、住んでいる家は大きな肖像画を飾るのにふさわしい大邸宅。で、サージェントは見ごたえのする肖像画を次から次へと制作していったのであろう。

‘マダムX’の驚くばかりの白い肌にあまり見とれていると追っかけ画がみれなくなるので、頃合いをみて神経を◎の‘バラをもつ婦人’に集中させた。とてもチャーミングな女性、着ている黒の衣服をみるとマネとかベラスケスの絵がダブってくる。サージェントはベラスケスを敬服していたから、その影響とみていいだろう。フラゴナールの‘読書する少女’と同様この絵との対面を楽しみにしていたので、しばらくぼーっとしてみていた。

隣の部屋に展示してあったホイッスラー(1834~1903)の‘テオドール・デュレの肖像’にも思わず足がとまる。一見するとフリーア美にある男性の肖像の別ヴァージョンかと思ってしまうが、二人は別人物。あごひげたくわえているところや立ち姿のポーズがよく似ているので、今回も同じイメージでインプットされた。

ホーマー(1836~1910)の海景画‘北東風’は2度目、でも嵐を予感させる波の大きなうねりがあまりに真に迫っているのでつい移動するスピードを緩めざるをえなくなった。海の色はまさにこんな緑がかった色をしているし岩にくだける波しぶきも荒れた浜辺でみる白さ。ホーマーの描く海の絵に200%魅せられている。

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2013.03.07

メトロポリタン美(1) ハドソンリバー派の揃い踏み!

Img_0003_2       メトロポリタン美の正面

Img_0001_2     コールの‘雷雨のあとのホウリオウク山からの眺め’(1836年)

Img_0002_2     チャーチの‘アンデスの山奥’(1859年)

Img_2       ビーアスタットの‘ロッキー山脈 ランダーズ・ピーク’(1863年)

ニューヨークのメトロポリタン美を訪問するのは5年ぶり、前回は館内に3時間いたのでお目当ての古典絵画や印象派は高いヒット率でみることができた。だから、今回はそうした絵はパスして見逃したものを中心にした鑑賞。滞在時間は2時間、のんびりみてると目的の半分にも達しないのでスタートするとギアはすぐ‘みるぞ!’モードに切り替わる。

真っ先に向かったのは2階の右手奥にあるアメリカ絵画が展示してある部屋。前回ここは工事のため封鎖されており、サージェントの‘マダムX’など数点を別のところでみたにすぎない。そのため、アメリカ絵画はほとんど初対面。期待の作品はハドソンリバー派。

前回縁のなかったコール(1801~1848)の‘雷雨のあとのホウリオウク山からの眺め’とビアースタット(1830~1902)が予定通り姿を現してくれた。ハドソンリバー派のことを知ったのは03年、NHK教育の番組‘人間講座 美は時を超える’、講師を務めた日本画家の千住博がこの画家たちの作品に導いてくれた。それから10年経ちようやくその絵に出会った。

前回買った美術館の図録を何度もみていたので絵の中にすっと入っていけた。‘雷雨’は右にみえる中洲があって大きく蛇行して流れる川に視線がむかう。その形がとても気になる。そして次に心をとらえるのが左の幹や枝の折れ曲がった大きな木。ここに雷が落ちたのだろう。そこから下の川のほうへ目を移動させると、一人の男性がいることに気づく。ここまでは事前のシミュレーション通り。どうも絵を描いている様子。こういう大きな作品は時間があればずっとみていたくなる。

‘ロッキー山脈’も待望の作品、見事な大風景画といったところ。遠くをみると雪の帽子を被った雄大なロッキー山脈が横に連なり、中景では滝が流れ落ちている。この雪や滝の白が心に強く刻み込まれる。幸運にもワシントンのコーコランギャラリーとここで2回も目を奪われる傑作に遭遇、今年はハドソンリバー派に開眼したモニュメンタルな年になった。

チャーチ(1826~1901)の‘アンデスの山奥’は前回作品を収蔵している倉庫の一角でみた。どうしてこんなところでみるのか不思議に思ったが、1点とはいえハドソンリバー派とはじめて対面したので溜飲を下げた。その絵が今回はコール、ビーアスタットと揃い踏み、3人にもっと近づきたいという気持ちがだんだん大きくなってきている。

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2013.03.02

フィラデルフィア美(2) ホーマーの‘ライフライン’にフリーズ!

Img_0001_2     ホーマーの‘ライフライン’(1884年)

Img_2     ターナーの‘国会議事堂の火災’(1835年)

Img_0004_2     モネの‘鉄橋 アルジャントゥイユ’(1874年)

Img_0002_2     モネの‘ポプラ並木’(1891年)

今回重点鑑賞画家のひとりとして注目していたのが海洋画を得意とするホーマー(1836~1910)、フィラデルフィア美には最もみたい絵があるので1階のアメリカ絵画が展示されている部屋へ急いだ。

災害映画の一シーンをみているような‘ライフライン’を美術本ではじめてみたのは27年前のこと、それ以来いつかこの目でと思ってきたが、ようやくみることができた。本物は本に載っている画像と色がかなり違っているので、画質はすこし落ちるが写真で撮ったものを使うことにした。

難破船から救いだされ救難隊員にしっかり抱かれている女性はすでに気を失っている様子、二人の体は大きくうねる海面すれすれ、緊迫感にみちハラハラドキドキの場面をホーマーは見事に描きあげている。ルノワールやセザンヌだけでなく、こういうアメリカ絵画の傑作が目を楽しませてくれる。やはりここはビッグな美術館。

ターナー(1775~1851)の‘国会議事堂の火災’も◎の追っかけ画、いくつかある画集をめくってみるとどの本にもこの絵は載っている。アメリカにあるターナー作品では最もいいかもしれない。ターナーは難破船とかこの絵のように火災とか時々おこる大事件とか自然災害の情景を激しいタッチで描いた。炎に包まれる国会議事堂は大半が燃え落ちており、火事の激しさを物語っている。

今回びっくりしたのはモネ(1840~1926)。なんと18点も展示してあった。必見リストに載せていた2点が姿をみせてくれたので大安堵だったのに、初見のオマケがここにもあそこにもという感じ。だから、写真をばかばか撮った。また、これまでみたことのある傑作にも多数出会った。

23年ぶりにみたのが‘ポプラ並木’。ロンドンの王立アカデミーで開かれた‘モネの連作展’でみたときのように気持ちが一気にハイになった。じつはここにはもう1点この連作があり、こちらは日本に3度もやってきた。ところが、画像の絵は一度も登場しない。美術館は出張させる絵とがっちりガードする絵をちゃんと決めているのである。

‘鉄橋 アルジャントゥイユ’.も立ち尽くしてみていた。よく似た絵がオルセー、ワシントンナショナルギャラリーにもあるが、ここにあるこの絵に一番魅せられる。10年の大モネ展(パリ グランパレ)のとき体を震わせた列車の噴き出す白い煙の輝きを再度目に焼きつけた。

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2013.02.14

ナショナルギャラリー(5) 心に響くコール、ホーマーの傑作!

Img_2     トマス・コールの‘クロウフォード・ノッチ’(1839年)

Img_0002_3     トマス・コールの‘生命の旅、老年’(1842年)

Img_0001_3     ホーマーの‘右に左に’(1909年)

Img_0006_2     ホーマーの夕食の‘角笛’(1870年)

5年前アメリカの美術館をまわったとき、ワシントンナショナルギャラリー、ボストン、メトロポリタンの3館はどこもアメリカ絵画を展示する部屋が改築のため閉鎖中だった。そして、シカゴ美ではホッパー展をみたのでパスせざるをえなかった。だから、今回はアメリカ人画家の制作した作品がとても新鮮に感じられる。

だが、どの画家も同じように目に力を入れているわけではなく鑑賞のエネルギーの80%はハドソンリバー派とホーマー、そしてホッパーに費やしている。ナショナルギャラリーの図録をみて今回は是非ともと意気込んでみたのがトマス・コール(1801~1848)の‘クロウフォード・ノッチ’と4枚連作の‘生命の旅’。

コールは前の日コーコランギャラリーで‘帰還’、‘出発’をみたので感激の2連チャン、壮大なスケールでしかも細部まで精緻に描写されたアメリカの自然に目がだんだん慣れていくのが素直に嬉しい。まさにこれがハドソンリバー派の絵なんだ、という感じ。

連作の‘生命の旅’は西館東側にある庭園に接する部屋に飾られている。最初の絵では天使に守られた赤ん坊が小舟に乗って川を進む場面が描かれ、最後の一枚は老人がまさに天国に導かれようとしている。ロマン主義と自然主義を融合したこの架空の風景画はイギリスのジョン・マーチンの作風を連想させる。

チェックリストに◎をつけていたのがホーマー(1836~1910)の‘右に左に’。これは前回も期待の作品、ようやく絵の前に立つことができた。じつはこの絵は日本にやってきたことがある。今から25年前、1988年西洋美で開かれた‘ジャポニスム展’に出品された。が、当時は目玉作品のマネの‘笛を吹く少年’や‘エミール・ゾラの肖像’に心が100%向かっていたので、アメリカの画家ホーマーのこの絵をみたという実感がまったくない。

この画家に開眼したのは08年シカゴ美でホッパー展と同時開催されていた水彩画を集めた回顧展、このあとワシントンへ移動したので‘右に左に’との再会?をたのしみにしていた。ところが、ナショナルギャラリーのアメリカ絵画がクローズ中、がっくり、、それから5年、ようやく対面が叶った。

この絵は浮世絵が好きな方ならすぐぴんとくるのではなかろうか、そう、ホーマーは北斎の描いた鳥の動きやポーズを参考にしている。海洋画を得意とするホーマーにも浮世絵は影響を与えていた。この絵をみて北斎の偉大さを再確認した。

ホーマーはほかに図録に載っている‘夕食の角笛’や‘秋’など5点でていた。そのなかで長くみていたのが‘夕食の角笛’、腰に左手をあて夕食を知らせる角笛を吹く若い女性。白のドレスが風になびく姿に心が和む。本当にいい絵に出会った。

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2013.02.08

コーコラン・ギャラリーにハドソンリバー派の傑作があった!

Img_3      ワシントン コーコラン・ギャラリー

Img_0002_2      ビーアスタットの‘コーコラン山’(1875~77年)

Img_0001_2     チャーチの‘ナイアガラ’(1857年)

Img_0003_2         サージェントの‘ヘンリーホワイト夫人の肖像’(1883年)

Img_0004_2     ホイッスラーの‘テムズ川 バタシー河畔’(1863~64年)

昨年‘夢の美術館’でとりあげたコーコラン・ギャラリー(拙ブログ12/6/11)はホワイトハウスのすぐ近くにある。作品情報はきわめて少なかったのに、ドガの‘カフェ・コンセールにて’に惹かれて足を運んだ。

作品は1階に展示してあるのが印象派やアメリカ絵画、2階はコンテンポラリーアートや写真が中心。1階の展示室は5つだけなので30分もあれば全部をざざっとみることができる。まずはお目当てのドガをさがした。が、ドガの作品は3点ほどあったのに肝心の‘カフェ・コンセール’はどこにも見当たらない。油彩の情報はドガとホッパーしかないのに、その絵がないなんて、まったく泣けてくる。

でも、ミューズはこのショックを掻き消してくれるすばらしい絵を用意してくれていた。それはハドソンリバー派の心を奪われる作品、コール、チャーチ、ビーアスタット、夫々2点、6点が専用の部屋にどんと飾ってあった。ハドソンリバー派の特徴である雄大な大自然を精緻に描いた風景画をこれだけまとまった形でみたのははじめてのこと。

08年シカゴやワシントン・ギャラリー、ボストン、メトロポリタンを訪問した時、必見リストにMETの画集に載っている3人の作品を書き込んでいたのに会えたのはチャーチの絵1点のみ。シカゴはホッパー展に遭遇したので時間がとれず、ワシントン、ボストン、METは展示室がクローズ中。だから、今回はそのリカバリーとプラスαを期待してハドソンリバー派は特◎鑑賞画家にしていた。

部屋に入った瞬間、おおー!という感じになったのがビーアスタット(1830~1902)の雪をかぶった雄大な山の絵。中央には滝がみえ、右の河畔には熊がいる。構図がばっちりきまったこういう大きな絵を見ていると気分がぐわーと高揚してくる。

チャーチ(1826~1900)はコール(1801~1848)の弟子でハドソンリバー派の第二世代の画家。METでこの派の風景画で最初に出会った画家だから思い入れが強いのだが、ここにも大迫力のナイアガラの光景を描いた作品があった。じっとみていると滝になかに吸いこまれていくようで足がすくむ。コーコランにこんなすばらしい作品が揃っていたとは!これは一生の思い出になる。

アメリカの美術館をまわっていてたびたび出会うのがアメリカ人のサージェント(1856~1925)とホイッスラー(1834~1903)、ここにも二人のいい絵があった。サージェントの描く女性の肖像画は大きな縦長の画面なのでみごたえがある。甲乙つけがたいとてもいい絵が2点あったが、画像はその1点。気品のある表情と光沢のある絹地の衣装の質感を息をのんでみていた。

ホイッスラーの絵はチェックリストに載せていた作品。ルノワールやモネ、そしてコロー、クールベもあったが、5点あったサージェントやホイッスラーのこの風景画の前では影が薄くなる。

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2012.10.12

‘メトロポリタン美展’にハドソン・リヴァー派がやって来た!

4337     トマス・コールの‘キャッツキル山地の眺め’(1836~37年)

4338     ビアスタットの‘マーセド川、ヨセミテ渓谷’(1866年)

4339     ホッパーの‘夜明けの灯台’(1929年)

4340          オキーフの‘骨盤Ⅱ’(1944年)

10日は‘リヒテンシュタイン美展’(国立新美 10/3~12/23)と‘メトロポリタン美展’(東京都美 10/6~1/4)を一緒にみたので、芸術心が特別刺激された感じがして一日中満ち足りた気分だった。

新築の東京都美へ行くのは2度目。以前は階段を上がるのはしんどかったが、今は3階までエスカレーターでいけるので移動に体力を消耗することがなくなり、作品から得られた感動の余韻にひたりながら次のシーンに誘われる感じになった。

展覧会のテーマは‘自然’ 、副題は大地、海、空ー4000年の美への旅、とある。メトロポリタンはルーヴル同様、博物館&絵画館だから、絵画から彫刻、工芸、写真なんでもある。その数は300万点以上、気が遠くなるような‘美の殿堂’。

その中から今回やって来たのは絵画54点、彫刻・工芸66点、写真13点の133点。リヒテンシュタイン美展でもそうなのだが、関心の8割は絵画に向かっている。Metの絵画作品は美術の本や画集に古典絵画から現代アートまで傑作が数えきれないほど載っている。

だから、‘自然’というテーマでどれを日本にもっていくかを決めるのはキュレーターにとっては悩ましくそして同時に楽しい仕事かもしれない。選択された作品にまったく期待してなかったものがあった。ハドソン・リヴァー派の壮大な風景画。次回Metへ出かけたときは重点鑑賞画家にしているトマス・コール(1801~1848)とビアスタット(1830~1902)が目の前に現れたのである。

アメリカ旅行の回数が少ないので、描かれた場所がイメージできない。ヨセミテはまだ未訪問、こういう絵をみるとアメリカの自然をもっともっと体験したくなる。

ホッパー(1882~1967)の光輝いている絵‘夜明けの灯台’は‘大地と空’の部屋に飾ってあった。08年シカゴ美で開催された回顧展でみたときは時間があまりなくあわただしい鑑賞だったので、この度は明るい空を灯台の下からじっくりみた。こんなホッパーの傑作が日本で見られるのだから、ミューズに感謝しなくてはいけない。

この横にあったオキーフ(1887~1986)の‘骨盤Ⅱ’にも目が吸い寄せられる。これは現地でみたような気がするがはっきり覚えてない。確かポロックの‘秋のリズム’があった隣の部屋にオキーフの作品が結構な数展示されていた。その一枚がやってきたのである。いつかオキーフの回顧展に遭遇することを願っている。頭に浮かぶ美術館はいつもBunkamura。

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2011.10.12

‘モダンアート、アメリカン’展でモーゼスおばあさんの絵をみた!

3159_2     グランマ・モーゼスの‘フージック・フィールズの冬’(1944年)

3160_2     ホーマーの‘救助に向かう’(1886年)

3161_2     ホッパーの‘日曜日’(1926年)

3162_2     ブルースの‘パワー’(1933年)

国立新美で開催中のフィリップス・コレクション‘モダン・アート、アメリカン’(9/28~
12/12)のお目当てはオキーフでもホッパーでもなく、モーゼスおばあさん(1860~
1961)。美術館へ足を運んだのはこの農婦が84歳のときに描いた‘フージック・フィールズの冬’をみるため。はじめからこの展覧会は1点買いと決めている。

絵は章立てでいうと7章‘記憶とアイデンティティ’のコーナーに展示してある。冬一色の景色がとてもあたたかく感じられるが、絵のサイズは想像していたものより一回り小さかった。視線が集中するのが海坊主のように大きく蛇行する川と中央の鉄橋を渡る列車。人物も家々も平べったく子どもが描いたような絵だが、なぜか惹きつけられる。この絵を知ったのは今から25年前。次回のワシントン旅行で対面のはずだったが、日本でみれることになった。素直に嬉しい。

もうひとつの収穫はホーマー(1836~1910)の‘救助に向かう’。とびっきりの絵というのではないが、この画家の特徴である動きのある描写に思わず足がとまった。ホーマーの油彩の回顧展と遭遇することを願っているから、1点でもヴァリエーションが増えると心がはずむ。

ホッパー(1882~1967)は2点ある。3年前シカゴ美の回顧展でみた‘日曜日’と‘都会に近づく’。‘日曜日’をみていて、家の前で座っているつるっぱげの男の位置について思いをめぐらした。もし右端、あるいは左端に座っていたらどんないイメージになるか?都会に生きる人間が体験する孤独さはやはりこの絵のように真ん中でないと強く伝わってこない。

NYはまだ3回しか行ったことがないので、この街の風景をあれもこれも知らない。ブルースの‘パワー’ではNYが豊かな近代社会における理想都市として崇高な雰囲気で描かれている。しばらく息を呑んでみていた。

好きな画家オキーフ、ポロック、ロスコはどれも小さくてグッとこない。あまり期待しないほうがいい。これよりローレンスの‘大移動’シリーズの5点のほうが心を打った。展覧会の満足度は◎とはいかないが、モーゼスおばあさんの代表作があったから○とした。

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2011.07.06

もっと見たいオキーフの名画!

2822_2     ‘赤い丘’(1927年 フィリップス・コレクション)

2819_2     ‘ジャック・イン・ザ・ブルビットⅢ’(1930年 ワシントンナショナル・ギャラリー)

2821_2     ‘オニゲシ’(1928年 ミネソタ大ワイズマン美)

2820_2     ‘それは青と緑だった’(1960年 ホイットニー美)

アメリカの女流画家、ジョージア・オキーフ(1887~1986)に大変魅せられており、回顧展に遭遇することを夢見ている。08年に美術館めぐりをしたとき、どこにもオキーフの絵はあり、この画家がアメリカでは特別の存在であることを実感した。

国立新美では今秋ワシントンにあるフィリップス・コレクションが所蔵するアメリカ絵画を公開する‘モダン・アート、アメリカ’展(9/28~12/12)が開催される。チラシにはオキーフの作品が2点載っている。日本に居ながらにしてアメリカの画家の絵を楽しむのだから、あまり贅沢はいえず無理とはわかっているがこの2点と‘赤い丘’をとっかえて欲しかった。

‘赤い丘’は18年前、週間美術本‘ラ・ミューズ 世界の美術館 フィリップスコレクション’で知って以来、丘の強烈な赤と沈みゆく太陽をいつかこの目でと思いをつのらせている。このすばらしい風景画とともに、ワシントンではみたい絵がもう数点ある。それはナショナル・ギャラリーが所蔵する連作‘ジャック・イン・ザ・ブルビット’。

ここに6点全部あるかわからないが、TASCHEN本には4点載っている。前回みたのはⅣ1点のみ(拙ブログ08/4/17)。花の絵をみているのか抽象画をみているのか不思議な体験だった。この絵以上に心に響くのがⅢ。

オキーフの絵というと画面いっぱい描かれた大きな花とか牛の頭蓋骨がイメージされる。モチーフとしての花をクローズアップして描くという発想は花鳥風月の国、日本では生まれてこない。これが広大な自然をもつアメリカに住む画家の手にかかると画面が大きくなり、花も巨大化しついには一部がキャンバスからはみだす。こうなると具象の感覚は半分溶け抽象化された形と色彩に心はむかう。

ホイットニー美でまずみたいオキーフの絵は‘夏の日々’(10/9/22)だが、高層圏を飛ぶ飛行機の窓から見た光景を白をバックにやわらかい曲線のフォルムで自由に表現したような‘それは青と緑だった’にも惹きつけられる。この美術館はまだ足を踏み入れてないので、次回のNYではいの一番にでかけるつもり。

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