2015.02.27

フランスの風俗画!

Img     ヴァトーの‘2人の従姉妹’(1716年)

Img_0001     ブーシェの‘オダリスク’(1745年)

Img_0002     シャルダンの‘買い物帰りの女中’(1739年)

Img_0004     シャセリオーの‘ハーレムの室内’(1854年)

ルーヴル美へはだいぶ足を運んだので絵画に限っていえば図録に載っているものはかなり目のなかに入った。だから、今回国立新美に展示されている作品はどのあたりに飾ってあったかはおおよそイメージできる。
 

ダヴィンチの‘モナリザ’などが楽しめるドゥノン翼2階はいつ行っても大勢の人であふれかえっている。ここが何といっても絵画のメインストリート、これに対しあまり混んでいないのが3階のリシュリュウ翼とロココ絵画などが展示されているシュリー翼。

ヴァトー(1684~1721)の‘2人の従姉妹’やブーシェ(1703~1770)の‘オダリスク’と会えるのはシュリー翼の一番奥まったところ。またシャルダン(1699~1779)の‘買い物帰りの女中’もここにある。ヴァトーの雅宴画に描かれる女性は必ず誰かが後ろ向きになっている。これが不思議な効果をもたらす。なぜか後ろ向きの女性に目がすわりそのあと画面全体をじっくりみてしまう。

‘オダリスク’をみて心臓が多少バクバクするだけでとどまっているのはこの絵があまり大きくないから、このポーズを1m以上のキャンバスに描くとみる者に過剰な興奮をおこさせることをブーシェは百も承知、だから、絵のサイズ(縦53㎝、横64㎝)で自主規制している。

3年前三菱一号館美でシャルダンの一級の回顧展があり、‘買い物帰りの女中’も出品された。‘今日はいろいろ買うものがあったから重たいワ。一服したいところだが、あれもやらないといけないから、そうもしてられない。あのねー、マリア、、、’

今回女性画の収穫はシャセリオー(1819~1856)の‘ハーレムの室内’、これは以前から画集で気になっている絵なのだが、所蔵しているのはストラスブール美だからみれる可能性はきわめて少ないと思っていた。ところが、目の前にひょいと現れた。ルーヴルに寄託されていた。オリエントの香りを漂わせる女の目力の強さがじつに印象的。

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2013.03.09

メトロポリタン美(3) お楽しみはフラゴナールの‘恋文’!

Img_0006_2     フラゴナールの‘恋文’(1770年代)

Img_2     クールベの‘女とオウム’(1865~66年)

Img_0005_2     ルノワールの‘海辺にて’(1883年)

Img_0001_2     ルノワールの‘少女’(1879年)

アメリカウイングの次に目指したのは同じ2階にあるロココ絵画の部屋。5年前ここをどういう風に歩いたかはすっかり忘れている。キョロキョロしているとロココの後のダヴィッドの作品が姿を現してくれた。となると、お目当てのフラゴナール(1732~1806)に近づいているはず。

すると、ありました、ありました、‘恋文’が、前回はブーシェの‘ヴィーナスの誕生’に心がとろけそうになったのにこの絵にはふられた。恋文というタイトルはまさにロココ的、フェルメールの絵だってつけようと思えば何点も恋文とつけられるが、オランダはプロテスタントの国だから私事をあからさまにすることはなく手紙の内容は曖昧にしている。

ところが、ロココ時代のフランスでは貴族たちは屈託がなく恋のやりとりはゲーム感覚で繰り広げられる。こちらをじっとみている女性の艶っぽい目線はゲームに夢中であることを物語っている。‘あら、みていたの?そうフィリップからの手紙を読んでいたのよ、彼が積極的なので私もちょっと心が揺れているのよ、、、’

前回METを訪問したときクールベ展をやっていたので、通常の展示スタイルは体験しなかった。ここはクールベ(1819~1877)の作品をいくつも持っているが、それらがずらっとでていた。世界中の美術館をみわたしてみてクールベをこれほど楽しめるのはオルセーとここだけ。極めつきの官能美が心をザワザワさせる‘女とオウム’の前にいる時間がどうしても長くなる。

クールベ同様作品の数が多いのがコロー(1796~1875)、今回はプッサンの影響が色濃くでている‘ハガル’やフェルメールの絵を彷彿とさせる‘手紙’などをかたっぱしから写真に撮っていった。

印象派ではルノワール(1841~1877)に◎をつけている。その絵は前回縁がなかった‘海辺にて’、対面が叶い嬉しいことは嬉しいが、色の力が思っていたほどなかった。これよりぐっと惹きつけられたのが1879年に描かれた‘少女’、これは画集に載ってなくはじめてお目にかかった。今回出会ったルノワールのなかでは別格扱いのフィラデルフィアの‘浴女たち’とフィリップスコレクションの‘舟遊びの昼食’を横に置くと、この少女がベストワンだった。

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2013.02.10

ナショナルギャラリー(1) 念願のフラゴナール、ゴヤと対面!

Img_0001_3     ワシントンナショナルギャラリーの東館 西館

Img_2      フラゴナールの‘読書する少女’(1776年)

Img_0004_3     フラゴナールの‘ぶらんこ’(1765年)

Img_0005_3     ブーシェの‘恋文’(1750年)

Img_0003_3     ゴヤの‘サバーサ・ガルシア’(1806~11年)

ワシントン観光の目玉のひとつはナショナルギャラリーへの入館、パリのルーヴル見学のようなもの。館内には大勢の人がいる。ここでの鑑賞時間は2時間。

国会議事堂を空から撮影した写真でいうと左側のブロックの議事堂寄りの建物がモダンアートが中心の東館で手前が古典絵画や印象派、アメリカ絵画などの西館。二つの建物は地下の通路で結ばれている。最初に向かったのは08年のとき改築中だった西館の18世紀と19世紀初期フランスの部屋。

ルーム56にありました、ありました!最もみたかったフラゴナール(1732~1806)の‘読書する少女’、横向きの少女が小さな本を静かに読んでいる。明るい黄色い衣服が目に心地いい、この絵にはロココ様式の香りがせず、マネやルノワールの描いた女性と同じ感覚でみてしまう。マネが傑作‘鉄道’を制作したのが1873年、フラゴナールはこの100年前に生活感をじわーっと感じさせる女性の絵を描いていた。

フラゴナールはほかに大作の‘ぶらんこ’や‘目隠し遊び’など7点あり、同じロココ派のヴァトーやブーシェもリストアップしていた作品が次ぎ々現れる。なんだかルーヴルとかロンドンのウォレスコレクションに来ているような気分。アメリカのコレクターがこういうロココ調の絵画が大好きだとういうことがよくわかる。

ブーシェ(1703~1770)の甘美さのむんむん漂う‘恋文’や‘愛の神を慰めるヴィーナス’なども時間があればいつまでもみていたいが、ゴヤ(1746~1828)の絵をみなくてはいけないから頃合いをみて移動した。

ルーム52にお目当ての‘サバーサ・ガルシア’があった。ようやく対面できた。この若い女性の表情はスペイン人らしくない。はじめてこの絵をみたとき瞬時に若いころの薬師丸ひろ子をイメージした。日本人向きの顔かもしれない。

ゴヤはこの女性の美しさに惚れ込み、是非描かせてほしいと願い出たそうだ。ピカソ同様、とびきりの女性美に遭遇すると絵心が強く掻き立てられるのだろう。‘読書する少女’と‘サバーサ・ガルシア’、前回見逃してから5年対面を待ち望んでいたが、思いの丈が叶ってこれほど幸せなことはない。

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2011.03.01

心をうきうきさせる‘ヴィジェ・ルブラン展’!

2426_2        ヴィジェ・ルブランの‘自画像’(1791年)

2428_2        ヴィジェ・ルブランの‘自画像’(1800年)

2427_2   フラゴナール&ジェラールの‘盗まれた接吻’(1780年代後半)

2429_2     ブノワの‘ジャン=ドミニク・ラレイ’

画家との出会いはときどき思わぬ展開をすることがある。フランスの女性画家、ヴィジェ・ルブラン(1755~1842)の絵を知ったのは昨年の損保ジャパン美であった‘ウフィツィ美蔵自画像展’(拙ブログ10/9/15)。画家の名前は知っていたが、これほどの美貌の持ち主だったとは!いっぺんにファンになった。

そのルブランの描いた肖像画を三菱一号館美が沢山みせてくれるというのでうきうき気分で出かけた。回顧展の会期は3/1~5/8。ほかの女性絵画の作品も展示されているのだが、心は‘ルブラン、ルブラン、、’だから、どんどん進んだ。ルブランの絵は3箇所に分けて展示してある。全部で23点。これまで体験したのはウフィツィ蔵の自画像と昨年11月ロンドンのナショナルギャラリーでみた‘麦わら帽子の自画像’(10/12/24)の2点しかないので、どの作品もとても新鮮。

お目当てはチラシに載っていた‘自画像’、絵の前に立つまではまたフィレンツェからやってくるのだろうと思っていた。一見すると同じにみえるが、損保ジャパンでみたときは全体の色がもうすこし薄かったイメージが残っている。説明書きを読むと、これはウフィツィ蔵のあとに描かれた別バージョンだった。こんなきれいな女性の絵を半年の間に2度もみれたのだから、天にも昇る気持ち。

心がふわふわする自画像がもう2点ある。ともにすばらしいのだが、1800年に描かれたもの(エルミタージョ美蔵)の前に長くいた。なんと美しい目だろう。ここでも赤のリボンをたすきがけしている。色の白い女性には赤が似合うがこれほど赤が映える肖像はそうない。自画像以外の肖像では‘クリュソル男爵夫人’が群をぬいていい。見てのお楽しみ!

手にしていたチラシに載ってなく会場でびっくりさせられる絵があった。それは12年前エルミタージュでみたフラゴナール(1732~1806)&ジェラール(1761~1837)作、‘盗まれた接吻’。この絵はエルミタージュ自慢の絵の一つで、館の図録(英語版)の表紙に使われている。こういう絵をさらっともってくるのだから、流石、三菱一号館美!

男性の肖像で足がとまったのは同じく女性画家ブノワが描いた‘ジャン=ドミニク・ラレイ’。どうでもいいことだが、しばらくみていて誰かに似ているなと思った。大リーグへ行きそこね今年再度挑戦することになった楽天のピッチャー岩隈。岩隈がんばってネ。

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2009.01.21

ワシントン・ナショナル・ギャラリーのリカバリーしたい名画!

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オバマ新大統領の就任式に全米からワシントンにやってきた200万の大群衆をみると、この新しいリーダーに米国民がすごく期待していることがわかる。かれらだけでなく日本だってヨーロッパだって中国だって皆期待している。

多くの人が望んでいるのは経済危機からの早期脱出。だが、これは相当難しい。これから雇用を創出するための具体的な政策が打ち出されるだろうが、実行のラグがあるから、まだまだ苦難の時期が続く。経済再生チームには豊富な経験と高い知識をもった有能なスタッフが集められているだろうから、効果的な政策をスピーディに実施してくれることを願うばかり。

連邦議事堂からナショナルモールの反対側にあるリンカーン記念堂までの光景は昨年3月にみたばかりだから、すぐイメージできる。新聞には縦長の航空写真が載っているが、50万人の聴衆が埋め尽くすとこういう感じになるのか!とにかくすごい数の人である。あの広くて静かなモールが一変し、人々の熱い期待と希望がうずまく野外劇場と化している。なんだか、その場にいたくなった。

そして、ナショナル・ギャラリーで見た名画が次々と目の前に現われてきた(拙ブログ08/4/10)。まったくすごいコレクションだった。ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ラ・トゥール、フェルメール、レンブラントなどの作品がずらっと揃い、マネ、モネやルノワールらの印象派、マティス、ミロといった近代絵画の傑作も所狭しと展示してある。

昨年暮れのレビューのときセザンヌ、マネ、ゴーギャンを追加で紹介したが、今日は胸をふくらませていたのに、無情にも対面できなかった女性の絵を3点、取り上げた。
★フラゴナールの‘読書する娘’(上の画像)
★ゴヤの‘サバーテ・ガルシア’(真ん中)
★モディリアーニの‘子供を抱いて座るジプシーの女’(下)

モデイの絵はどこかへ貸し出されていたのかもしれないが、フラゴナール(1732~
1806)とゴヤ(1746~1828)は館内の改修工事のため見れなかった。スペイン、フランス、イギリス絵画コーナーにある作品はごく一部が他の場所で展示してあるだけ。‘読書する娘’も‘サバーテ・ガルシア’も見たい度では一、二の絵だったので、残念無念といったところ。

フラゴナールというと、ロンドンのウォーレスコレクションにある‘ぶらんこ’とこの絵を見ないと到底済みにならない。なんとかリカバリーしたい。ゴヤがその美しさに一目惚れし自ら肖像画を描かせてほしいと申し出たと言われるのが‘サバーテ・ガルシア’。‘ポンテーホス女公爵’よりはこちらを先に見たかった。

アメリカの美術館で楽しみにしていたのが、ロートレックとモディ(1884~1920)の絵だったが、ロートレックは予定の作品をほぼ目のなかにおさめ大満足だったのに対し、モディはこれを見逃したから嬉しさも中くらい。一度に欲張りすぎてもいけないので、次回のワシントン訪問で思いの丈を叶えたい。

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2008.05.23

その四 ブーシェ  フラゴナール

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前回ここを訪れたときはロココ絵画に関心が薄かったから、“ブーシェの部屋”や上の“フラゴナールの部屋”にいた時間はごく短かったように記憶している。だから、飾られている絵ははじめてみるのと同じ。もともとロココの絵はこういう邸宅のなかに飾られていた。で、仮面をかぶり貴族になったつもりで絵に向き合った。

ブーシェ(1703~1770)は3点ある。“ブーシェ夫人の肖像”、8枚の絵からなる“芸術と科学”、そして真ん中の4枚の連作“四季”。“芸術と科学”はルイ15世の寵愛を得たばかりのポンパドール夫人の依頼で制作された絵で、愛らしい子供が一人前に大人の仕事をする場面が描かれている。

16ある仕事のなかでは、化学実験中に爆発した場面の“化学”や少年が望遠鏡を逆さに覗いている“天文学”が面白い。こういう子供の絵はこれまで見たことがなかったので、とても新鮮だった。

“四季”には仲むつまじい男女が描かれており、真ん中は若者が恋人に花の髪飾りを贈る場面。二人の人形のような丸ぽちゃ顔をみていると幼稚園の“お遊戯会”を思い出す。ルーヴル、ボストン、メトロポリタン(拙ブログ5/10)、フリックで予定通りブーシェ作品を沢山みることができた。

息を呑むほど官能的というよりは健康的なエロティシズムの漂う裸婦像、ラファエロ、ティツィアーニが描いたのではと錯覚するくらい可愛らしいクピドにこれほど惹かれるとは思ってもいなかった。My好きな画家の会員として丁重にお迎えした。

下はフラゴナール(1732~1806)の“恋のなりゆき”。これが飾られている“フラゴナールの部屋”は客間として使われていたが、フリックはこの絵を有名な収集家J・P・モルガンから買い求めたあと、多額の金を投じて家具や彫刻、陶磁器などの調度をしつらえ、内装も変えた。フラゴナールはワシントンナショナルギャラリーやメトロポリタンでお目当ての絵が見られず、消化不良の思いが強かったが、この絵がそれを一掃してくれた。

大作の4枚は誰しも経験する恋物語の“愛の四段階”を表す。すなわち、“求愛”、“逢引き”、“恋人の戴冠”、“恋文”。下は“逢引き”で、右には花園の壁をよじ登る若者がいる。両手を横にあげる恋人は“会いに来てくれたのね、嬉しいわ。でも誰かに見られてないでしょうね!”とそわそわしている様子。

フラゴナールは両手を挙げるポーズがお得意。この絵の10年くらいあとに描いた“かんぬき”(ルーヴル、4/7)では、女性の内面の揺れを切実にあらわすほど大胆になっている。

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2008.05.10

その八 ヴァトー  ブーシェ

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NYは京都のように道路が碁盤の目のようになっているから、目的の美術館やブランドショップを探すのに手間どらない。メトロポリタンは5番街82丁目にある。ほかの有名な美術館もこの5番街沿に並んでいるから、とても効率のいい美術館めぐりができる。

メトロポリタン(上の写真)の上のほうには、フランク・ロイド・ライト設計のあの渦巻き状の外観が目を引くグッゲンハイム美術館があり、ティファニーのほうへ下っていくとその途中にホイットニー美術館とフリックコレクションがある。そして、ティファニーとセント・パトリック大聖堂の中間あたりに20世紀美術の殿堂、近代美術館(MoMA)がある。

直線距離にすると3kmくらいのなかに美術館が集結し、ルネサンスなどの古典絵画から印象派、近代絵画、現代アートの名作が楽しめるのだから、これは美術が好きな人にとってはたまらないアートエンターテイメント空間。今回NYでの自由行動はMoMAの休館日にあたっていたのとメトロポリタンのなかにいるのが長くなったため、グッゲンハイムは訪問できなかったので、次の機会は近・現代アート中心の鑑賞を実現したいと思っている。来年、再度NY?!

必見リストにコピーしていたメトロポリタンのロココ絵画は3点。ヴァトー(1684~
1721)が描いた“メズタン”(真ん中の画像)、下のブーシェ(1703~1770)の“ヴィーナスの化粧”、フラゴナール(1732~1806)の“恋文”。ヴァトーとブーシェは展示してあったのに、最も見たかった“恋文”はなかった。ワシントンナショナルギャラリーでも“読書する娘”と対面できなかったから2連敗!フラゴナールとの相性が悪いのかな?

話が脇にそれるが、絵を鑑賞していて、時々“相性のいい画家と相性の悪い画家があるな”と思うことがある。ミューズが意地悪しているのか、それとも“お前には見てもらいたくない!”と画家が言っているのかわからないが、ミューズ様には常々心よりの感謝を申し上げ機嫌を損ねることはしていないから、やはり画家との相性の問題かもしれない。

“メズタン”はルーヴルにある“ピエロ”とともに、イタリア喜劇のキャラクターの一人。これは前回は見逃し、図録を見るたびに“あの時見とけばよかったな!”という気持ちが強かった絵。このメズタンの体をよじらせ首を左に曲げて、なにかやるせなさそうに楽器を弾いている姿が心を打つ。ここで演じているのは心は熱く燃えているのにその恋は報われない男。で、まだ見ぬ恋人のためにセレナーデを奏でている。切ないねェー、お兄さん!

下の“ヴィーナスの化粧”は“水浴のヴィーナス”(拙ブログ4/1)と同じように女神の品のいい顔立ちと眩いばかりの白い肌に200%参ってしまう。3人いるクピドがまた可愛い。とくに下で腹ばいになり真珠の飾りをさわっているクピドの姿に癒される。ヴァトー、ブーシェの絵にだんだん目が慣れ、雅なロココワールドの住人になるのも悪くないなという気になってきた。

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2008.04.21

その二 カナレット  ヴァトー  ブーシェ

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現在、ボストン美術館はルネサンスや近代絵画や現代アートの作品が飾ってある部屋は工事で封鎖されている。このため、前回はまったく関心の外にあったのに最近のめりこんでいるクリヴェリの細密画やファン・デル・ウェイデンの“聖母子を描く聖ルカ”とは対面できなかった。

ルーヴルの“大作の間”をすこしスケールダウンした部屋にあったティツィアーノ、ティントレット、そして昨日紹介したグレコ、ベラスケスなどをみたあと向かったのが17世紀、18世紀西欧絵画のコーナー。上はカナレット(1697~1768)の“ヴェネチア風景”。

水の都ヴェネチアを描いたカナレットの作品はこれまで日本で開かれた展覧会などでも何度かみたことがあるから、ロンドンのナショナル・ギャラリーでもはじめはそれほど目に力をいれてなかった。が、そこにあるのは絵のサイズが大きく、精細さのレベルがワンランク上の感じ。だから、“これはすごい!”と心の中でつぶやきながら、明るい光、なめらかな仕上がり、白の線で丁寧に表現された波の揺らぎを夢中になってみた。

この絵も一級品。ロンドンでみたときと同じくらい感動した。1730年代、40年代イギリスでは“グランド・ツアー”が流行し、ヴェネチアへ旅行したイギリス人は皆カナレットの絵をお土産に買って帰ったという。また、カナレットが1740~50年代イギリスに滞在したときには、多くの人が田舎の邸宅の眺めを描いてもらっている。それらがナショナルギャラリーに寄贈され一大コレクションになっているのである。この絵もヨークシャー地方の城にあったもの。

ロココ絵画で魅了されたのが真ん中のヴァトー(1684~1721)の“公園からの眺め”と下のブーシェ(1703~1770)の“市場からの帰り”。ヴァトーの絵は愛のファンタジー画。おとぎ話にでてくるような公園には何組かの男女のカップルがいる。女性が当世風のきらめく絹の衣装を着ているのに対し、男性のは17世紀の衣装。

目が釘付けになるのが手を横に広げた男としゃべっている女性。うなじから背中をとおる線がきりっとした美しい立ち姿にうっとり。フランス的な身振り、態度はヴァトーによって決定されたと言われ、ドガもヴァトーからシルエットの美しさを学んでいる。

ブーシェの大きな絵の前では全身が雅なロココモードに包まれる。真ん中と右下に白い肌がまぶしい若い女性、そして左には動感のある男を配して三角形の安定した構図をつくり、3人のまわりには牛や羊、愛らしい子供たちを描いている。優美で明るく軽妙な空気の漂う田園風景に心がふわふわしてくる。

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2008.04.01

その七 ヴァトー  ブーシェ  フラゴナール 

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西洋画を思い浮かべるとき、ルネサンス、バロック、ロマン派、写実派、印象派はすらすらと具体的な絵をイメージできるのに、18世紀のロココ絵画となるととたんに頼りなくなる。すぐ浮かぶのはヴァトーが描いた等身大の“ピエロ”くらいしかない。

ロココ絵画の宝庫であるルーヴルに2回もきたのだからほかの絵も覚えていえもよさそうなのに、体に染み込んでいるのがこの笑っている道化師だけというのは、当時ロココ絵画への関心が低かったため。館内は広く、展示品の数は膨大なので2時間くらいの鑑賞時間では優先順位をつけざるを得ない。

となると、ダヴィンチ、ラファエロ、ボッテイチェリなどのイタリアルネサンス、ドラクロアやルーベンスの大作、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、古代エジプトの書記坐像などをみるのに時間を多く割くので、ブーシェやフラゴナールの官能的な古典神話や女性画ははたしてみたのか通りすぎたのかわからなくなる。ルーヴルの最初の訪問では同じような経験をされた方は多いのではなかろうか。ここの絵画を見尽くすにはやはり3,4回は足を運ばないと無理である。

で、今回はラ・トゥールをみたあと、急いでロココ絵画のコーナー(シュリー翼)へ向かった。まず目指したのがヴァトー(1684~1721)の“シテール島の巡礼”(上の画像)。淡い色調で島の小高い丘のようなところに8組の恋人たちが描かれている。場面の設定は古代神話にでてくるヴィーナスが波間から生まれたあと上陸したシテール島。この島へ来るとよい伴侶が得られるという話を信じてやってた男女はきらめくような衣装を身にまとい、思い思いに愛を語っている。

恋人たちのしぐさはいたってやわらく優雅で繊細な感じ。また、人物のシルエットの美しさにも惹きつけられる。意気投合し右のヴィーナス像や左の船の上で舞う天使たちに祝福されるカップルもいれば、愛が相手に届かず島を離れることになった二人もいることだろう。念願だったこの軽やかで詩的な世界を感じさせる雅宴画を見れたのは一生の思い出になる。

官能の画家ブーシェ(1703~1770)が描いた真ん中の“水浴のディアナ”はドキドキ気分でみた。たしかにディアナは官能的だが、画面には優美な気品が漂よい健康的な女性の美しさが満ち溢れている。古典神話なのにそれをあまり感じさせず、夢見るようなまなざしをした魅力的な女性が目の前にいるよう。青い敷き布に浮かび上がる輝くばかりの白い肌にもうクラクラ。ほかでは同じくギリシャ神話を題材にした“リナルドとアルミーダ”や“エイロペの略奪”に足がとまった。

そして、奔放な官能性にあふれる裸体画“オダリスク”では脈拍数がちょっと上がった。昔ミュンヘンのアルテ・ピナコテークにある“マドモアゼル・オミュフィ”をみたときと同じ衝撃が体中をはしった。光にゆらめく青い布地にうつぶせになり、愛嬌のある視線をおくる女性はあまりながくみていると変な気分になりそう。

下の絵はフラゴナール(1732~1806)の“かんぬき”。これも是非みたかった絵。みてわかるとおり、これは密会の現場。若い男があらがう女を引き留めようとかんぬきに手をのばしている。人物にあたるスポットライトや大仰な身振りはまるで舞台の一場面みたい。ベッドのわきに“誘惑”と“人類の堕落”を象徴するリンゴが置かれているのも即納得。

フラゴナールはもう一点同じようなメロドラマ風の絵を描いている。それはエルミタージュ美術館でみた“内緒の接吻”。女の体の描き方が“かんぬき”とよく似ている。手元にあるフラゴナールの画集にはロンドンにあるウォレスコレクション蔵の“ぶらんこ”が載っている。いつかこの代表作をみてみたい。

なお、上の3つ画像はクリックするとさらに大きくなるのでこちらでもお楽しみ下さい。

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