2026年1月6日発行 東洋経済新報社



本屋に出かけるのはつい先日購入した島田荘司著‘星籠の海’のように、映画を
観て関心がその原作にも向かうとき。昨年はNHKで放送された‘あんぱん’と
‘大河ドラマ・べらぼう’にのめり込んだため、平賀源内など関連の本を何冊も
手に入れた。それに比べるとビジネスや社会の動きをあつかった本はこれま
で縁があった学者が上梓した最新作に限られるので、年に数冊しかない。
その数冊のなかに入る興味深い本に偶然遭遇した。今年1月6日に発売にな
ったばかりの金間大介著 ‘無敵化する若者たち’。仕事をしている頃はよくお
世話になった東洋経済新報社の本を手にするのは久しぶりのこと。読んでい
るうちに統計データやグラフにも目が慣れてきた。
著者の金間大介氏はまったく知らないが、プロフィルには北海道生まれで
現在金沢大学融合研究域教授となっている。いつ生まれたかの情報がないか
ら今何歳かはわからない。これまで書かれた本はベストセラーになっている
ようで、この本も売れており、電話注文している有隣堂でも関内の本店にな
く横浜店でようやくゲットした。
興味をそそられたのはタイトルの‘無敵化する’という言葉。すぐには頭に入ってこないが、著者はこう説明している。‘ここでいう無敵とは、守るものがなく、社会から見捨てられたと感じ自暴自棄になって犯罪をしてしまうような「無敵の人」とはまったく異なる。ここでは、若いというだけで勝ち組と思えるような恵まれた環境が与えられ、自己評価が高く、かつその権利主張をしっかりするような存在を指す’
本書が浮き彫りにしているのは大学生を含む現代の若者たちの行動と彼らがかかえる複雑で微妙な心理。その特徴は、☆安定志向が強く、仕事に対する熱意や欲求がない ☆上の世代がためらうような権利主張を平気でする ☆自己評価が高い ☆アウトではないが微妙に失礼 ☆いつでも親が味方に ☆他世代に比べ恵まれた労働環境 ☆ストレスやハラスメントのない無菌化された職場が用意されている ☆先輩世代から守られ、大切にされる ☆仕事がうまくいかなくても上司や先輩の責任 ☆飲み会でも気づかってもらえる ☆平均値より下にこぼれ落ちない術を知っている ☆平均値より上に目立たない術を知っている ☆いい子を演じることで上世代と一定の距離を保つ ☆自分や近しい人がよければそれでいい ☆将来展望がない日本でも十分幸せ ☆日本の衰退を気にしない ☆嫌われることを気にしない
こういう無敵世代が生まれた社会と家庭環境が7章で読み解かれ、その対応が8章と最終章で語られる。そして、おわりにーあたらしい幸福点からの景色として、図表 ‘何かに挑戦する際の努力量と幸福度の関係’が示されている。これは若者へむけたメッセージ。一読の価値のあるとてもいい本。人口などのマクロデータの解析が的確で、アンケートにもとづく定性的な心理分析や各国比較も鋭い。関心のある方は是非!
コラム欄におもしろい話がでてくる。‘大学生に通じないネタ・トップ5’ 1位:テレビコマーシャル 2位:ドラマ 3位:サッカー 4位:相撲 5位:野球 意外だったのが3位のサッカー。
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