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2026.09.30

ボッティチェリ 豊かな構想力から生まれた傑作!

Img_0002_20260930225901   ‘ヴィーナスとマルス’(1480~90年頃 ナショナルギャラリー)

Img_0001_20260930225901   ‘コンヴェルティーナ祭壇画(三位一体)’(1491~94年 コート―ルド美)

Img_0003_20260930225901   ‘サンマルコの祭壇画(聖母戴冠)’(1490年頃 ウフィツィ美)

Img_20260930230001   ‘神秘の降誕’(1500年 ナショナルギャラリー)

ロンドンのナショナルギャラリーで遭遇したボッティチェリ(1445~
1510)の絵をみて、この画家がどんなテーマを描くかという構想力とそれ
をどう色彩と構図でもって表現するかという構成力に群を抜いて優れているこ
とに感服させられたことを、今でも鮮明に覚えている。

‘ヴィーナスとマルス’はベッドの頭板を飾るための描かれたもの。左のヴィーナ
スは‘ヴィーナスの誕生’のイメージでみれるため、すごくいい気持になるが、
視線を右に移動させるとちょっと心がザワザワしてくる。寝息をたてているマ
ルスの左手のところに頭が大きくてグロテスクな笑いをみせているサテュロス
がいる。この取り合わせがなんとも奇妙。こういう人物描写はピエロ・デ・コ
ジモだけかと思っていたが、ボッティチェリにも強烈なインパクトをもった姿
で登場してきた。

ロンドンのコート―ルド美にある‘コンヴェルティーナ祭壇画’は宗教画ではお馴染みの三位一体が描かれている。でも、こんな目が点になる描き方はほかにみたことがない。左に立つマグダラのマリアはフィレンツェにあるドナテッロの彫刻をコピーしたかのようにその長い髪が体全体を覆っている。もうひとつのサプライズは画面下の描かれたトビアスと大天使ラファエロ、どうして小さい姿で描かれているの?2つの異なるスケールで描かれた人物が同じ画面に同居している。まったく不思議な絵。

ウフィツィ美にある‘サンマルコの祭壇画(聖母戴冠)’とナショナルギャラリー蔵の‘神秘の降誕’で視線が向うのは、画面の上部にみられる天使たちが飛びながら輪になって踊っている姿。この見事な動感描写により、ここだけは3次元の空間になっている。じっとフォーカスしていると、京琳派の神坂雪佳が金地の屏風に華麗な衣装を身にまとった男女が列をなして踊るところを描いた‘輪舞図’が重なってきた。

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2026.09.29

どきりとさせるボッティチェリ!

Img_20260929230001   ‘ユディットの帰還’(1469~1470年頃 ウフィツィ美)

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‘剛毅’(1470年 ウフィツィ美)

Img_0003_20260929230001   ‘ナスタジオ・デリ・オネスティの物語’(1483年 プラド美)

Img_0001_20260929230001   ‘キリストの哀悼’(1495年頃 ポルティ・ペッツォーリ美)

Img_0002_20260929230001   ‘アペレスの誹謗’(1495年頃)

ボッティチェリ(1445~1510)に200%魅了されているのは、
‘ヴィーナスの誕生’でイメージされる透明な光につつまれ感情が強く出てこな
いとても綺麗な女性に出会えるという感覚があるから。そのうえ、その表情
が古い時代から抜け出て現代に生きる女性のように思え、ミラノで行われる
ファッションショーに登場しても違和感がない。

こういう風にみているので、ウフィツィ美にあるどきりとする絵に出会い、
衝撃を受けた。たとえば、‘ユディットの帰還’。ボッティチェリもこんな怖い
テーマを描いていたのか、敵将のホロフェルネスを誘惑して寝首をかいた
ユディットは従者にその首をもたせて意気揚々とひきあげている。擬人化さ
れた‘剛毅’に描かれた女性は気が強そうで堂々としており、近づきがたい
存在感を放っている。

プラド美でお目にかかった‘ナスタジオ・デリ・オネスティの物語’は緊張感を強いられたまま、じっとみつめていた。これは4枚の最初の1枚で、裸の女が騎士に切り殺され、犬に食われる場面。あの世での出来事がここで起こっており、騎士をふって自殺に追いやった女はその罰として騎士に殺されまた蘇るという罰を無限に受けているところ。これは‘デカメロン物語’(1348~1375)の話のひとつを絵画化したもの。

晩年にサヴォナローラの説教に深く影響されたボッティチェリは、激しい宗教感情がみなぎる‘キリストの哀悼’や10人の擬人像がエキセントリックなアクションで演じる‘アペレスの誹謗’を描いた。あのボッティチェリがこんなとげとげしく感情の高ぶりをみせる人物群像画を手掛けている。

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2026.09.28

ウフィツィ美の楽しみ ボッティチェリ!

Img_20260928224601   ‘ヴィーナスの誕生’(1485年頃)

Img_0001_20260928224601   ‘春(プリマヴェーラ)’(1482年頃)

Img_0002_20260928224601   ‘マニフィカトの聖母’(1480~81年)

Img_0003_20260928224701   ‘柘榴の聖母’(1485年頃)

Img_0004_20260928224701   

‘ミネルヴァとケンタウロス’(1482年頃)

海外で美術館めぐりをして楽しい思い出が強く記憶されるのは、美術館や博
物館があまり広くない空間にいくつも集中している街での体験。ヨーロッパ
ではルーヴルやオルセーなどがあるパリとウフィツィ美や絵画や彫刻がみ
れる教会がたくさんあり街全体が大きな美術館になっているフィレンツェ。アメリカはメトロポリタン、MoMA、グッゲンハイムで古典絵画から近現代アートまで楽しめるニューヨークと国立美術館やスミソニアン博物館が集結しているワシントン。

美術に興味がある人がイタリアを旅行するならもっとも楽しいのはフィレン
ツェかもしれない。わが家でもルネサンス美術がギュッと詰まったこの街へ
行くことを一番の目標にした。その夢が叶ったのは1983年、フィレンツ
ェでまず目指したのはやはりウフィツィ美。ここのお宝中のお宝であるボッ
ティチェリ(1445~1510)の‘ヴィーナスの誕生’、‘春(プリマヴェー
ラ)’に鑑賞エネルギーを全部注ぎ込むぞ、と200%前のめり状態だった。

このときの訪問が幸運だったのは、ちょうど1年前に‘ヴィーナスの誕生’の修復が終了していたため、大きな画面(175.5×278.5cm)全体が明るくなっており、ヴィーナスが目がクラクラするほど輝いていたこと。嬉しくて天にも昇る気分だった。横に並んでいる‘春’(203×314cm)は日本では花鳥画に目が馴染んでいることもあり、ヴィーナスやフローラ、三美神が立っているところに美しく咲いているヒヤシンス、バラ、アイリス、カーネーションなどの花々を心晴れやかにながめていた。

そのあとウフィツィとは運がいいことに3回(1999年、2006年、2010年)縁があり、最初のときはたぶん‘見れど見ず’状態だった円形画の傑作‘マニフィカトの聖母’と‘柘榴の聖母’に高価な絵の具であった黄金が多量に用いられていることを目をかっと開いてみた。ここに登場する天使の顔をみると、今CMにでてくる若手の男性歌手やタレント(女性化した男性)が重なってくる。‘ミネルヴァとケンタウロス’は色白で美形のミネルヴァと情けない顔をしたケンタウロスの組み合わせが印象的で、まさに‘美女と野獣’だなと思った。

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2026.09.27

丸紅ギャラリーの‘美しきシモネッタ’展!

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ボッティチェリの‘美しきシモネッタ’(1480~85年頃 丸紅)

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ボッティチェリの‘若い女の肖像’(1480年 シュテーデル美術研究所)

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コジモの‘シモネッタ・ヴェスプッチの肖像’(15世紀 コンデ美)

Img_20260927225901   ボッティチェリの‘ジュリアーノ・デ・メデイチの肖像’(1476~78年 アカデミア・カラーラ)

国立新美で‘ルーヴル美展 ルネサンス’をみたあと、地下鉄で竹橋に移動し丸
紅ギャラリー(丸紅ビル3階)で行われている‘イタリアと日本の文芸作品に
描かれた美しきシモネッタ’(8/6~9/30)を楽しんだ。わずか2時間の
うちにボッティチェリが2つの美術館で2点みられるのだから充実したルネ
サンス三昧だった。このギャラリーで日本にある有名なボッティチェリの絵
をみるのははじてのこと。シモネッタとの対面は2016年東京都美で開か
れた‘ボッティチェリ展’で運よくすませていたが、名画はみるたびに新しい
発見があるというのでじっくり鑑賞した。

シモネッタと聞くとすぐジュリアーノ・デ・メディチとの恋の物語が頭に浮
かんでくる。このカップルが美男美女とくれば話はぐっとおもしろくなる。
どんなことだったか少しまとめてみた。

☆1475年1月29日ーフィレンツェで盛大な馬上槍試合が開催され、
ロレンツォ豪華王(1449~1492)の弟のジュリア―ノ(1453~
1478)が優勝した。この日のために選ばれた‘美の女王’の前にでると見物
人たちは歓声をあげた。その女性が女神のような容姿から‘美しきシモネッタ’
と呼びもてはやされた21歳のシモネッタ・ヴェスプッチ。
☆1476年-シモネッタ病死。
☆1478年4月26日ーフィレンツェの大聖堂でミサの最中にパッツイ家による反メディチの決起が勃発した。兄のロレンツォはかろうじて聖具室に逃げ込んで助かったが、ジュリアーノは殺された。

シモネッタの肖像は丸紅蔵のほかにもう1点ボッボッティチェリは描いている。それがドイツ・フランクフルトのシュテーデル美術研究所が所蔵している‘若い女の肖像’(未見)。鑑賞欲を強く刺激する。そして、ピエロ・デ・コジモ(1462~1521)はちょっと魔女的な表現で美貌で知られたシモネッタを描いている。この絵もまだ縁がない。

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2026.09.26

‘ルーヴル美術展 ルネサンス’であのダ・ヴィンチがみれた!

Img_20260926223101   ダ・ヴィンチの‘美しきフェロ二エール’(1490~97年頃)

Img_0001_20260926223101   ボッティチェリの‘5人の天使に囲まれる聖母子’(1470年頃)

Img_0003_20260926223101   ロッビアの‘幼子イエスを礼拝する聖母’(1480~1490年頃)

Img_0002_20260926223101   ティツィアーノの‘フランソワ1世の肖像’(1538年頃)

Img_0004_20260926223101  エル・グレコの‘アントニオ・デ・コバルビアス・イ・レイバの肖像’(1597~1600年頃)

現在、国立新美で開催されている‘ルーヴル美展 ルネサンス’(9/9~
12/13)をみてきた。台風のため観客の出足が鈍ったと思われるシルバ
ーウイークのあとなので、入館にてまどらないと予想して出かけたが、果
たして長い列もなくすっと中に入れた。でも、館内は超目玉のダ・ヴィンチ
(1452~1519)の‘美しきフェロ二エール’と対面できることを楽し
みにして集まってきた人々が大勢いた。流石、ダ・ヴィンチである。

最初の3つくらいの展示室ではひとつ々の作品をみるのにあまり時間がか
からなかったので、この調子だとお目あてのダ・ヴィンチとの再会もス
ムーズにいくかなと楽観視していた。それが大間違い、‘美しきフェロ二エ
ール’が展示してある最後の部屋のひとつ前の導線から雰囲気ががらっと変
わり長い行列ができており、動きが鈍い。気を紛らわしてくれる大スクリ
ーンに映し出される解説パネルをみながらここを通過して絵の前にたどり
着くまで30分くらいかかった。この混雑ぶりからすると、土日だと1時間
くらいになる感じ。週末に足を運ばれる方はこれを覚悟しておいたほうが
よさそう。

さて、‘美しきフェロ二エール’。ライトアップの効果もあるが、画面全体が
明るく暗い背景に四分の三正面を向いた白い肌の女性が描かれている。じっ
とこちらをみつめるその目力の強さがとても印象に残る。ダ・ヴィンチの
作品を運がいいことにコンプリートできたが、これほど内面が深くうかがえ
そうな目をした女性はほかにお目にかかったことがない。どうでもいいこと
だが、昨年の大河ドラマ‘べらぼう’に蔦重の妻として出演した女優の橋本愛
(黒い眼鏡をかけた)が目の前をよぎった。

ほかに長くみていたのは期待していたボッティチェリ(1445~1510)
の‘5人の天使に囲まれる聖母子’とティツィアーノ(1485~1576)
の‘フランソア1世の肖像’。そして、予想してなかったオマケは好きな画家、
エル・グレコ(1541~1614)の男性の肖像画となめらかで色鮮やか
な彫刻にとても惹かれるロッビア(1435~1525)の‘幼子イエスを
礼拝する聖母’。久しぶりにルネサンス美術に接して大満足だった。

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2026.09.24

メトロポリタン美はクールベの宝庫!

Img_0004_20260924224201   ‘村の娘たち’(1851年)

Img_0003_20260924224301  ‘悪魔ロベールに扮するルイ・ゲイマールの肖像’(1857年)

Img_0002_20260924224301   ‘波’(1869年)

Img_20260924224301   ‘波の中の女’(1868年)

Img_0001_20260924224301   ‘女とオウム’(1866年)

海外旅行をはじめた頃は一番の楽しみは目の前に広がる大自然の絶景
(モニュメントバレー)と古代文明の大きな建築物(ピラミッド)を
みることだったが、美術鑑賞が本格的になると、出かけた美術館でま
ったく予期しなかった画家の回顧展に遭遇したことが生涯忘れられな
い思い出になった。2008年にパリのグラン・パレで偶然巡りあっ
たクールベ(1819~1877)の大回顧展もそのひとつ。

作品の数が多いのはクールベがフランス人なので、オルセー、プティ
・パレ、ファーブル美などフランスにある美術館。そして、驚いたの
がこれと同じくらい多かったのがメトロポリタン。全部で11点出品
された。そのうち7点が大富豪のハヴェマイヤー氏が蒐集したもの。
このためこの大回顧展はクラン・パレのあと、メトロポリタンでも開
催された。1月パリに行き、3月にアメリカをまわったので、運がい
いことに図録に載っているMET蔵のものはすべてみることができた。
だから、この美術館のクールベには特別の思い入れがある。

お気に入りの作品を5点に絞って選んでみた。‘村の娘たち’は風俗風景
画であり、クールベの姉妹たちが故郷のオルナンの近くの渓谷、コミ
ュナルを散歩しているところが描かれている。若い女性や少女、牛、
犬がいなかったら、ごつごつした崖が目に飛び込んでくるこの渓谷の
風景は緊張感が強いられるものになりそう。でも、クールベは流石、
見せ方が上手い。こういう風に人物をいれるとガラッとイメージが柔
らかくなる。

これと大作の‘悪魔ロベールに扮するルイ・ゲイマールの肖像’はほかの
コレクターがもっていたもの。残りの3点はすべてハヴェマイヤーの
コレクション。海景画のなかで異色的に明るい‘波’はブーダンの絵をみ
ているよう。1860年代に制作された一連の裸体画のなかで最もよく
知られているのが‘女とオウム’と‘波の中の女’。クールベの魅力はほかの
画家の描いたものにくらべると生感覚があること。こういう絵は言葉は
いらない。ただ々みるだけ。

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2026.09.23

9月~11月に開催される注目の特別展!

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リニューアルが完了し11月から本格的に動き出す皇居三の丸尚蔵館の特別
展‘皇室の至宝―美いづるところ’の内容が明らかになった。作品は前期、中期
、後期でごろっと変わり11/3~1/24まで行われる。
☆前期:11/3~11/23
正倉院宝物の‘八角鏡平螺鈿背’(唐・8世紀)、‘螺鈿紫檀琵琶’(奈良・8世紀)
がはじめて皇居内で披露される。そして、伊藤若冲の‘旭日鳳凰図’も登場する。
☆中期:11/26~12/20
聖徳太子ゆかりの宝物と大正美術の共演と銘打ち、明治時代に皇室へ献上され、
現在は東博が所蔵する法隆寺献納宝物から竜首水瓶(国宝、飛鳥・7世紀)な
どが多数展示される。
☆後期:12/23~1/24
美術の教科書に載っている‘蒙古襲来絵詞’(国宝、鎌倉13世紀)、狩野永徳の
‘唐獅子図屏風’(国宝、安土桃山16世紀)といった有名な絵がどどっとでてくる。

そして、グランドオープン記念の第2弾は若冲の‘国宝 動植綵絵 いろどりの
世界’(2027/2/4~3/14)、これも楽しみ!

東近美では今月末から‘秋びより’(9/29~11/15)が開催され、重文に指定されている鏑木清方の‘築地明石町’、‘新富町’、‘浜町河岸’の3点がお揃いで並ぶ。所蔵作品展では7年ぶりの展示なので見逃せない。洋画では藤島武二の‘匂い’が登場する。

葉山にある山口蓬春記念館では開館35周年を記念して‘蓬春から次世代へ’(9/19~11/15)が行われる。以前はよくクルマを走らせ訪問したが、このところご無沙汰している。今回は松岡美が所蔵する傑作‘山湖’をはじめとして、奥田元宋、東山魁夷、高山辰雄らも出品されるので、出かけるつもり。

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2026.09.22

サプライズMAXの‘工藤甲人展‘!

Img_0002_20260922230001   ‘夢と覚醒’(1971年 青森県美)

Img_0001_20260922230001   ‘春のいざない’(1968年 フジ・メディア・ホールディングス)

Img_0003_20260922230001   ‘蝶の階段’(1967年 平塚市美)

Img_20260922230001   ‘愉しき仲間(一)’(1951年 平塚市美)

Img_0004_20260922230001   ‘地の手と目’(1964年 横浜美)

平塚市美ではじまった‘工藤甲人展 北の大地といのちの詩’(9/19~
11/23)を早速みてきた。青森県弘前市に生まれた工藤甲人(くどう
こうじん 1915~2011)はかなり前衛的な日本画家で、長く関心を
寄せている画家だが、回顧展にめぐあったことがなく、お目にかかった作品
はわずか両手しかない。だから、回顧展の情報をゲットしてからは開幕を心
待ちにしていた。

もっともみたかったのは2006年、青森県美で運よく平常展示に遭遇し、
長年の夢が叶った‘夢と覚醒’。美術館のHPに載っている画像にこれがでてい
なかったので心配していたが、再会できてほっとしている。1989年に
朝日新聞の企画で‘昭和の日本画100選’があり、その特別展が日本橋三越で
開催された。その図録がわが家の近代日本画のバイブルになっており、
以来ここに載っている作品で三越でみられなかったもの(100点全部が
出品されてないので)を追っかけてきた。

工藤甲人の絵で選ばれたのがこの‘夢と覚醒’。太い枯木のほこらに半身の女性
が描かれ、こちらをじっとみている。そして、その上には虹の下に眠る女性
がいて、二羽の蝶が舞っている。シュールで幻想的な世界に惹きこまれてい
く。こんな衝撃的な日本画を描く画家がいたのか!いっぺんに魅了された。
20年ぶりにまたお目にかかれて、これほど嬉しいことはない!

今回出品されている56点で過去に縁があったのは、この絵とシュルレアリスム風の表現で樹木や切り株のお化けのような世界がエルンストの森の絵を連想させる‘地の手と目’の2点のみ。だから、テンションが上がりっぱなしだった。ダブルイメージで描かれた男女の顔と蝶の組み合わせがとても美しく感じられる‘春のいざない’に思わず足がとまった。蝶がたくさん登場し、白い紙がひらひら階段になっている‘蝶の階段’も意表を突くアイデアがおもしろい。初期の傑作‘愉しき仲間(一)’はグロテスクで奇怪な生き物が数多く登場するボスの絵をみているような錯覚を覚える。

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2026.09.21

オルセー、プティ・パレのクールベに乾杯!

Img_0004_20260921224501   ‘オルナンの埋葬’(1849~50年 オルセー美)

Img_0005_20260921224501   ‘画家のアトリエ’(1855年 オルセー美)

Img_0002_20260921224501   ‘火事に駆けつける消防士’(1951年 プティ・パレ美)

Img_0001_20260921224501   ‘ジュリエット・クールベの肖像’(1844年 プティ・パレ美)

Img_20260921224501   ‘セーヌ河畔の娘たち’(1856年 プティ・パレ美)

4月に情報を得た2025年の世界の美術館来館者数によると、パリ観光名
所になっているルーヴル美は905万人(1位)、オルセー美は375万人
(12位)となっている。東博や東近美にでかける感覚で毎年この2館へ
入館するのが夢だが、そう思い通りにはいかない。国立新美の‘ルーヴル美展
 ルネサンス’(9/9~12/13)をみたら、パリ行きに気がはやりそう。

ヨーロッパでもアメリカでも大きな美術館にいくと、目を奪われる超巨大な
絵画にでくわすことがある。ルーヴルではヴェロネーゼの‘カナの婚礼’
(666×990cm)、ダヴィッドの‘皇帝ナポレオン1世と皇后ジョゼフ
ィーヌの戴冠’(621×979cm)。そして、オルセーへ足を運ぶと、
ここでも同じように気分が200%高揚する絵が飾られている。クールベの
‘オルナンの埋葬’(315×668cm)と‘画家のアトリエ’(361×598
cm)。こういう大きな絵を描ける画家というのはやはり特別な存在として
深く胸に刻まれる。

オルセーからそう遠くないところに位置するプティ・パレ美にもクールベの
大画面の絵がある。それはアムステルダム国立美にあるレンブラントの‘夜警’
(1642年 359×438cm)を意識して描かれた‘火事に駆けつける
消防士’(388×580cm)。2010年、この美術館を再訪したときは、
2年前グラン・パレで開催された大回顧展を体験したこともあり、感慨深く
ながめていた。

プティ・パレにはほかに3点惹きつけられるものがある(いずれも大回顧展に出品された)。画面いっぱいに妹を描いた‘ジュリエット・クールベの肖像’は椅子に座りこちらをじっと見つめる姿が存在感を放っている。これに対し、‘セーヌ河畔の娘たち’は精緻に描写された衣装の細部に目が吸い込まれるのに気だるそうで挑発的な表情が心をザワザワさせる。

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2026.09.20

欧州旅行でめぐりあったクールベ!

Img_0004_20260920225901   ‘傷つきし者’(1854年頃 ベルヴェデーレ美)

Img_0001_20260920225901   ‘闘技者たち’(1852~53年 ブダペスト国立美)

Img_0005_20260920225901   ‘雪の中の密猟者たち’(1867年 ローマ国立近美)

Img_20260920225901  ‘窓辺にいる3人のイギリスの少女’(1865年 ニューカールスベア美)

Img_0002_20260920225901   ‘恐怖におののく男’(1843~45年頃 オスロ国立美)

2003年中欧を旅行したとき、行程に入っているものと自由時間にでかけ
た美術館は6館。オーストリアのウィーンではお楽しみの観光名所はクリム
トの‘接吻’がみれるベルヴェデーレ宮殿。2度目の訪問だったが、最初のこ
ろはまだ美術鑑賞は普通の観光客レベルだったので有名な‘接吻’で大満足。
時が流れて、西洋絵画との出会いが極上の楽しみとなり、前にみたという実
感がまったくないクールベ(1819~1877)の‘傷つきし者’に敏感に
反応した。

最後の訪問地のハンガリーのブダペストでは、自由時間にでかけた国立美に
強く印象に残る絵が飾ってあった。縦2.5m、横1.9mの大きな画面に
描かれたクールベの‘闘技者’。すぐ、オリンピックのグレコローマンスタイ
ルのレスリングを思い浮かべた。この力強い動きのリアルな描写に圧倒され
る。クールベがすごい画家であることがだんだんわかってきた。

クールベは狩りの絵をたくさん制作しているが、美術本によく載っており
2008年の大回顧展(パリ グランパレ)にも出品された‘雪の中の密猟
者たち’と2010年、ローマ国立近美で再会した。ワイエスに酒の違法販
売する男たちの絵があるが、クールベの絵を意識したのだろうか。

2018年の北欧の旅では最初に訪問したデンマークの首都コペンハーゲン
で、皆さんと離れてニューカールスベア美にでかけ大回顧展でもみた‘窓辺に
いる3人のイギリスの少女’を再度楽しんだ。真ん中にいる少女の金髪を目に
焼きつけた。この絵に魅了され続けている。ノルウェーのオスロ国立美
ではクールベとの嬉しい遭遇があった。それは大回顧展で展示替えでみれな
かった‘恐怖におののく男’。このリカバリーを実現したいとずっと思っていた
ので、なんだか大仕事をしたような気分だった。クールベの感情表現はレン
ブラントと同様に天才的に上手い。  

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2026.09.19

お気に入りのクールベ ベスト&ベスト!

Img_20260919223401   ‘出会い(こんにちは、クールベさん)’(1854年 ファーブル美)

Img_0001_20260919223401   ‘絶望した男’(1844~45年)

Img_0002_20260919223401   ‘エトルタの断崖、嵐の後’(1870年 オルセー美)

Img_0003_20260919223501   ‘シオン城’(1874年 ギュスターヴ・クールベ美)

Img_0004_20260919223501   ‘追い詰められた雄鹿’(1867年 オルセー美)

海外旅行は2018年に実現した‘北欧4ヶ国の旅’以降まったく途絶えている
ため、今は西洋絵画を楽しむ機会は海外の美術館が所蔵する自慢のコレクシ
ョンを披露する名品展だけとなっている。美術館の企画はどうしても人気の
ある画家に集中しがちでモネやゴッホがたびたび登場する。もちろん、これ
はこれで大歓迎でありワクワクしながら出かけている。

こうした鑑賞体験が続くとどういうことがおこるか、それは美術本に載って
いる誰もが知るビッグネームの画家たちのことが少しずつ薄れてくる。これ
は画集や図版広げて作品をみる回数が減るので、たとえば、ルネサンスやバ
ロックの画家が意識の外に置かれるようになるのである。だから、国立新美
ではじまった‘ルーヴル美術館展 ルネサンス’(9/9~12/13)への関心
がすごく高まる。

3日前、遠出をした茨城県近美でクールベの風景画に遭遇し、すごく新鮮な
気分になった。そして、今2021年にパナソニック汐留美で行われた‘クー
ルベと海’展、2008年の大回顧展(パリ グランパレ)の図録をひっぱり
だしてながめている。クールベ(1819~1877)の回顧展に縁があっ
たのはこの2回だけだが、どこかの美術館の企画展に‘出会い(こんにちは、
クールベさん)’が出品された。この絵との出会いにより、クールベは自分の
才能に自信満々の画家であったことを知った。パトロンのブリュイヤスが
自分の町に招いたときの様子が描かれているが、クールベは頭をのけぞらす
しぐさをして、‘やあー、来てあげたよ。あなたの気にいる絵を描くからよろしく頼むよ’、と上目線の態度。これには参った!

態度はデカいがクールベの才能はとびぬけている。グランパレでは世界中か
ら集まったクールベファンで大混雑、そのなかを興奮状態でみてまわり、
図録の表紙に使われている‘絶望した男’(個人蔵)、風景画の傑作‘エトルタの
断崖、嵐の後’、‘シオン城’、動物画の大作‘追い詰められた雄鹿’を息を呑んで
みていた。生涯の思い出である。

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2026.09.18

日本にあるクールベ!

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  ‘ジョーの肖像 美しいアイルランド女性’(1872年 山形美)

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  ‘波’(1870年頃 西洋美)

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  ‘秋の海’(1867年 大原美)

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  ‘雪の中を駆ける鹿’(1856~57年頃 アーティゾン美)

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  ‘ボート遊び’(1865年 村内コレクション)

気になる画家との距離がぐんと縮まる絶好の機会が画業全体がわかる回顧展。
この回顧展に遭遇するかしないかで画家に対するのめり込み度が決まる。
たとえば、クールベ(1819~1877)は運がいいことに2008年
フランスを旅行しているとき、パリのグランパレで開催されていたクールベ
の大回顧展に遭遇した。事前の情報はまったくなかったから、とびあがるほ
ど喜んだ。

その鑑賞体験により、日本の美術館にあるクールベの絵をみる眼も養われた。
何点も描かれた海景画のひとつを西洋美でみたのがクールベとのつきあいの
はじまりだったような気がする。‘波’で表現された大きな白い波頭の形が大変
印象的で、回顧展に出品された同じタイプの5点と比べて、絵に惹きこまれ
る強さは一番かもしれない。また、大原美蔵の‘秋の海’も見ごたえの点でかな
り高いレベルにある。

クールベは男性でも女性でも画面いっぱいにどーんと描くということが多い。
そのため、美形の女性だと強烈に惹きこまれる。その最たる絵が‘ジョーの
肖像 美しいアイルランド女性’。この絵はほとんど同じ3つのヴァージョン
がある。スコットランド国立美とメトロポリタン美が所蔵するものが回顧展
に出品されたが、山形美でお目にかかったものはなんら遜色のない出来栄え
だから、コレクションの価値は高まる。

クールベは後半生に多くの動物画を残したが、数が多いのが鹿。発情期の鹿、
狩りで仕留められた鹿、、アーティゾン美にある‘雪の中を駆ける鹿’は見事な
動感描写に思わず足がとまる。アーティゾン美へはよく出かけるが、平常展
示でなかなか再会しない。それとも見落としている?
以前は八王子の村内美で展示してあった‘ボート遊び’はまだ縁がない。美術館
をクローズしたあと、コレクションが披露されることがあるのだろうか。
ずっと気になっている。

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2026.09.17

茨城県近美の質の高い西洋画コレクション!

Img_0002_20260917230301   クールベの‘フランシュ=コンテの谷、オルナン付近’(1865年頃)

Img_0003_20260917230301   モネの‘ポール=ドモアの洞窟’(1890年)

Img_20260917230301   中村つねの‘静物’(1919年)

Img_0001_20260917230401   岡鹿之助の‘観測所(信号台)’(1926年)

日本の美術館でお目にかかれるクールベ(1819~1977)は多くない
ので、すぐ頭に浮かぶ。茨城県近美にあるのは風景画の‘フランシュ=コンテ
の谷、オルナン付近’。久しぶりに遭遇したのでじっくりみた。クールベ
の生まれ故郷オルナンは川沿いの岩の多い峡谷にあり、その壮観な断崖や
家々、それを浮かび上がらせている鮮やかな空や川の青を力強く描いている。
これはほかに描かれたメトロポリタン美やスコットランド国立美などのもの
と比べても遜色のないとてもいい絵。

横に並んで飾られているモネ(1840~1926)の‘ポール=ドモアの洞
窟’にも思わず足がとまった。日本でモネの回顧展が開催されるときはよく主
催者からお呼びのかかる作品で、今年は多くの観客を集めたアーティゾン美
の超一級モネ展(2/7~5/24)に出品された。

日本の画家は館自慢の中村つね(水戸市出身 1887~1924)のコレ
クションから7点が展示された。とくにいいのがセザンヌの影響がうかがえ
る‘静物’。目が点になるのは林檎のリアルな質感描写。My好きな日本の静物
画に岸田劉生や高野野十郎と一緒に登録している。大きさはこれの2倍くらいで4年後に描かれた‘花’にも魅せられる。

岡鹿之助(1898~1978)は5,6年前、東京ステーションギャラリーで横須賀市美蔵の‘魚’をみたが、作品に出会う機会はとても少ない。だから、今回ここの平常展に‘観測所(信号台)’が現れたのでびっくりした。すごく惹かれたので、2008年にブリジストン美(現アーチゾン美)で行われた回顧展に出品されていたか、記憶のクイック巻き戻しをはかったが、どうもみてない感じ。家でチェックしたが、この特別展ではみてないが、別の美術館では一緒に描いた‘ブルターニュ’ともにお目にかかったことになっていた。

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2026.09.16

菱田春草の‘砧’との対面がやっと実現した!

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菱田春草の‘砧’(1905年頃)

Img_0001_20260916224601   横山大観の‘水國之夜’(1911年頃)

Img_0003_20260916224601   小川芋銭の‘海島秋來’(1932年)

Img_0004_20260916224601   前田青邨の‘江島詣’(1935~37年)

Img_0002_20260916224601   堅山南風の‘熱国の夕べ’(1917年)

8/4のコメントで石川武治さんから出品情報をいただいた菱川春草
(1874~1911)の‘砧’をみるため、水戸にある茨城県近美へ行ってき
た。今は企画展はなく平常展‘日本の近代美術と茨城の作家たち 夏から秋へ’
(7/30~9/23)のみだが、日本画や洋画のいい作品がずらっとでてい
た。今回は‘砧(きぬた)’、一点買いでOKという気分で事前にHPをチェッ
クしてなかったので、良質の平常展に遭遇したことを心から喜んでいる。
石川武治さん、有難うございました。おかげ様でお目当ての‘砧’に加えビッグ
なオマケを楽しむことができました。

菱田春草の決定版の回顧展が2014年に東近美で行われたとき、さあ‘砧’に
会えるぞ、と期待していたら、茨城県近美蔵の作品は‘落葉’などほかの4点だ
った。それから12年が経ち、ようやく思いの丈を叶えることができた。
薄の生い茂る秋の月夜に女が一人砧を打っている。これは能‘砧’に取材してお
り、都へ行ったまま帰らぬ夫の帰りを待ちわびる妻の悲しさが砧を打つ姿か
らしみじみ伝わってくる。

春草の盟友の横山大観(1868~1958)の‘水國之夜’は大変魅了されている水墨風俗画で、人々が店で宴会を楽しむところが明るい灯で描かれているこの舞台は水路の町蘇州。大観は前年仲間の画家たちと中国で遊んいて、その体験をもとに描かれた。大観と同じ年に牛久で生まれた小川芋銭(1868~1938)は昨年ここで行われた‘中村つね展’のあとみた平常展にも2点並んでいた。今年は‘海島秋來’など4点。どれも存分に楽しんだ。芋銭の絵は漫画チックで肩の力がすっとぬけるので心が安まる。

縦長の画面で上下に彩られた深い青が目にとびこんでくる前田青邨(1885~1977)の‘江島詣’はこの美術館自慢の青邨。2006年、岐阜県美まで遠征してみた回顧展にも出品された。久しぶりのこの青をまた目に焼き付けた。大きな収穫だったのが堅山南風(1887~1980の)の八曲一隻の屏風‘熱国の夕べ’。この日本画家はあまり縁がないが、こんないい絵を茨城県近美が所蔵していたとは。即、Myお気に入り南風の1位に登録した。

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2026.09.15

この秋 日本美術の名品が続々登場!

Img_0001_20260915222401   ‘三十三間堂通し矢図屏風’(重文 17世紀 逸翁美)

Img_0002_20260915222401   呉春の‘白梅図屏風’(重文 18世紀 逸翁美)

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狩野松栄の‘仏涅槃図’(重文 1563年 大徳寺)

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 国宝‘宗峰妙超像’(1334年 大徳寺)

Img_0005_20260915222601   

国宝‘曜変天目’(南宋・12~13世紀 龍光院)

Img_20260915222601   国宝 閻次平の‘秋野牧牛図’(南宋・13世紀 泉屋博古館)

この秋、東博などに追っかけリストに入れているものや再会が楽しみな日本
美術関連の名品が続々と登場する。その特別展と注目の作品をピックアップ
してみた。
☆‘逸翁美術館コレクション’ 9/16~11/8  サントリー美
☆‘大徳寺 本朝無双之禅苑’ 10/14~12/6 東博
☆‘唐物誕生’        11/3~12/13 泉屋博古館東京

サントリーの‘逸翁美コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品’に待ちに待っ
た作品が出品される。
☆‘三十三間堂通し矢図屏風’ 展示:10/14~10/26、10/28~11/8
☆呉春の‘白梅図’ 展示:9/16~9/28、9/30~10/12、10/14~26、10/28~11/8

大徳寺展はチラシのキャッチコピー‘孤高の禅寺・大徳寺ー禅と美の頂点ー非
公開の至宝が、ついに揃う’の通り、大徳寺のお宝全部みせますという感じな
ので頭がくらくらしそう。長く対面を待っていたのは、
☆狩野松栄の‘仏涅槃図’ 展示:前期10/14~11/8
☆国宝‘宗峰妙超像’   展示:前期10/14~11/8
そして、大変嬉しいのが、
☆国宝‘曜変天目’    展示:前期10/14~11/8
今、静嘉堂文庫美で‘稲葉天目’(11/8まで)が展示されているが、龍光院に
あるものはなかなか展覧会にでてこない。2017年京博で開催された‘国宝展’
でやっと長年の夢を実現させた。曜変天目に魅せられている方はお見逃しなく!

11/3からはじまる泉屋博古館東京の‘唐物誕生’に世界的に知られている青銅器コレクションとともにお宝の中国絵画が披露される。これは東京でははじめての展示。再会が楽しみ!
☆国宝‘秋野牧牛図’   展示:11/3~12/13

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2026.09.14

高値で落札されたピカソの女性画!

Img_20260914230801   ‘ドラ・マールと猫’(1941年)2006年 108億円

Img_0002_20260914230901   ‘裸体:緑葉と胸’(1932年)  2010年 101億円

Img_0003_20260914230901   

‘窓辺に座る女’(1932年)  2021年 113億円

Img_0001_20260914230901   ‘時計を持つ女’(1932年)  2023年 209億円

新聞やTVで大きく報じられるサザビーズやクリスティーズのオークション
で、絵画や彫刻などの美術品が超高値で落札されることが多いのはやはり
ピカソ(1881~1973)。その情報はしっかりファイルしているが、
そのたびに‘手元にある図録や美術本にはその作品は載ってないよ、こんな
いい絵がまだあったの!これは富豪個人コレクターだけが楽しめる特別な
絵画物語の世界なんだ’と無理やり納得させている。

2006年に‘泣く女’で有名なドラ・マールをモデルにした‘ドラマールと
猫’が108億円で落札された。手に入れたのは2012年版フォーブス
世界長者番付で153位のグルジアの富豪。マリー・テレーズがモデルを
つとめた‘裸体:緑葉と胸’は2010年にNYのクリスティーズで売りださ
れ、1億648万ドル(101億円)の値が付いた。

超高値で落札されたマリー・テレーズの絵がもう2点ある。赤、青、紫の色がとても綺麗に映る‘窓辺に座る女性’。画面の大半が横向きの女性で占められているので、本物の前に立ったら圧倒されそう。クリスティーズのオークションではカリフォルニア州のオンライン参加者が113億円で落札した。

鑑賞欲を強く刺激するのは2023年サザビーズがNYで開催したオークションで209億円の値が付いた(この年落札された美術品の中で世界最高額)‘時計を持つ女’。これは151億円で売買された‘夢’と同じく、対面が叶うことをミューズに祈り続けている絵。毎日楽しめるコレクターが羨ましい。

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2026.09.13

丸紅ギャラリーと大倉集古館の特別展!

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Img_0001_20260913221201   ボッティチェリの‘美しきシモネッタ’(15世紀 丸紅)

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丸紅ギャラリーは丸紅ビルの3階

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Img_20260913221201   横山大観の‘夜桜’(1929年 大倉集古館)

国立新美で待望の‘ルーヴル美展 ルネッサンス’(9/9~12/13)がスタ
ートした。この特別展に関心がむかうのはあのダ・ヴィンチの絵が展される
という‘大事件’のため。その絵は‘美しきフェロ二エール’。パリへ行かなくて
も日本でこんな名画がみられるのだから、真に日本は美術大国。インバウン
ドの数が増加しているので、いまでは出かけた美術館に外国人観光客がいる
ことに慣れてきた。ビッグネームのダ・ヴィンチが披露される国立新美でも
同じ光景がみられるだろうか。

ルーヴルは太っ腹で超目玉のダ・ヴィンチのほかにボッティチェリの‘聖母子
と5人の天使たち’も出品されるのだから、ヨーロッパの美術館でルネサンス
絵画を楽しんでいるような気分。そして、国立新美のあと竹橋の丸紅ギャラ
リーに足運ぶと、それがボッティチェリの名画で‘さらに大きく膨らむ。ここ
で今、開催されているのが‘イタリアと日本の文芸作品に描かれた 美しき
シモネッタ’(8/6~9/30)。日本でも名の知られたルネサンスの名画が
鑑賞できるのだからすばらしい。2016年に縁があったが、再会が楽しみ。

大倉集古館では10月から‘美しい瞬間-美人画を中心に’(10/3~12/20)
が行われる。2024年に‘浮世絵の別嬪さん’で質の高い肉筆の美人画を並べ
てくれたが、今回は館が所蔵する江戸時代から昭和初期にかけて描かれた美人
画や風景画が登場する。まだみてない上村松園と伊東深水(前期:10/3~
11/8)がとても気になる。

もう一つ、嬉しい展示が実現する。それは横山大観の最高傑作‘夜桜’。
近代日本画の花鳥画ではこれに一番惹かれている。後期:11/10~12/20にでてくるので、2回出動することになりそう。

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2026.09.12

静嘉堂文庫美の‘河井寛次郎展’!

Img_20260912225901    ‘魚文茶さん’(1921年頃)

Img_0001_20260912230001   ‘流し薬壺’(1927年頃)

Img_0002_20260912230001   ‘紫紅瓜’(1927年頃)

Img_0003_20260912230001   ‘流し描鉢’(1931年頃)

Img_0004_20260912230001   ‘呉洲扁壺’(1934年頃)

Img_0005_20260912230001   国宝‘曜変天目(稲葉天目)’(南宋・12~13世紀)

9/5から静嘉堂文庫美ではじまった‘民藝SHOCK!! 没後60年 静嘉堂
の河井寛次郎’(~11/8)をみてきた。静嘉堂文庫に河井寛次郎(1890
~1966)のやきものがあることはこれまでインプットされてないので、
特別展を記したチラシを手に入れたときから、開催を楽しみに待っていた。
寛次郎が昭和初期につくった作品が会期中に51点でてくる。そのうち19
点は前期(9/5~10/12)か後期(10/14~11/8)に展示。
2度足を運ぶと全部みられることになっている。

これまで回顧展にせっせと出かけたので、寛次郎がどんなタイプのやきものを
つくってきたかはかはだいぶ慣れている。ここ5年のスパンでは2022
年の6月大阪の中之島香雪美で開催された回顧展と昨年1月永青文庫で披露さ
れたコレクションを存分に楽しませてもらった。これに静嘉堂文庫にあるもの
が加わるのだから、河井寛次郎のファンとしてはご機嫌MAX状態。

プラスαの多い中から、とく惹かれるのをあげてみた。2匹の金魚が文様にな
った‘魚文茶さん’に思わず足がとまった。魚文はすぐ思いつかないからいい
ものにお目にかかれた嬉しさを噛みしめている。明るい黄色が強いインパクト
をもっている‘流し薬壺’がすばらしい。地の茶色の上に黄色で手のイメージを
つくる‘流し描鉢’がおもしろい。これは以前お目にかかったことがある。その
ときは静嘉堂にこんなにたくさん寛次郎があることは知らなかった。

‘紫紅瓜壺’は高貴な壺という感じで、北京や台北の故宮博物院におさまっているのを眺めているよう。良く知っている扁壺の厚みからすると、丸の壺に変奏している‘呉洲扁壺’も大きな収穫だった。この美術館は西洋でいうと邸宅美術館のようなもので、こじんまりした展示室に並んだ質の高い美術品をあまり疲れず楽しむことができる。最後の部屋にここのお宝中のお宝、国宝の‘曜変天目(稲葉天目)’が飾ってある。丸の内に移転してからは2度目の対面。心を鎮めて青色に輝く光彩をみていた。

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2026.09.10

日本でみれるピカソ!

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  ‘腕を組んですわるサルタンバンク’(1923年 アーティゾン美)

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  ‘女の顔’(1923年 アーティゾン美)

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  ‘海辺の母子像’(1902年 ポーラ美)

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  ‘鳥籠’(1925年 大原美)

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  ‘縞のシャツを着た男’(1956年 彫刻の森美ピカソ館)

美術館で開催される特別展に気持ちを高ぶらせて足を運び、期待通りかそれ
以上の満足が得れれるとその余韻はしばらく続き、お目にかかった作品だけ
でなく過去にみたものにも関心が広がり、自分の鑑賞眼がちょっと上がった
かなと思ったりもする。

多作で描き方もいろいろ変えた天才ピカソ(1881~1973)は‘最高の
瞬間!’を体験した作品が多いうえに、‘ピカソ物語’に関する情報も多々くっ
ついているから、そうしたレビューを繰り返しているうちに創作活動にまつ
わる話がびしびし心に突き刺さってくる。

ピカソの絵の数が増えることにともない、日本の美術館で楽しめる作品に関
して、新たな話が追加されることもある。たとえば、‘新古典主義の時代’に
描かれた‘腕を組んですわるサルタンバンク’。これをかつてブリジストン美
(現在のアーティゾン美)ではじめてみたとき、思わず足がとまった。サル
タンバンク(曲芸などをする軽業師のこと)は腕と足に身につけている衣装
の赤が目に強く印象づけられた。椅子の紫がこれに上手くあっている。
この美形の若い男に気をとられ、画面左上にある女性の姿が塗りつぶされた
痕跡に気づかなかった。‘ピカソが愛した女性物語’によると、この人物は
1923年の夏、南フランスでピカソと短い恋に落ちた既婚の女性、サラ・
マーフィー。ありゃら、、ピカソはまたふらふらっとしたの、という感じ。

アーティゾンにはもう一点、小品だが彫刻をみるような‘女の顔’も気に入って
いる。一方、ポーラ美にある‘海辺の母子像’は名作。作家の五木寛之がこんな
風に評している。‘「青の時代」の青も、悲しみだけでなく、なにか人間に対
する信頼のようなものを、背後に持っているような気がします。描く本人が
打ちひしがれていては、挫折した人々や悲しい人々は描けない。それを描く
ピカソには、逆に人間の強さと言うか、生命力の強さを感じます’。

大原美が所蔵する‘鳥籠’は‘新古典主義の時代’から‘シュルレアリスムの時代’に
突入した直後の1925年の作品。顔の表現にみられるデフォルメはまだ緩
いので絵の難解さはなく落ち着いてみられる。‘縞のシャツを着た男’は箱根の
彫刻の森美の館内に、世界で初めて建設された‘私立’のピカソ館に展示してあ
る。平板的で角々した人物像だが、75歳のピカソの創作力がまったく衰え
ていないことに感心させられる。

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2026.09.09

ワシントン国立美にあるピカソ!

Img_20260909224801   ‘サルタンバンクの一家’(1905年)

Img_0001_20260909224801   ‘海辺の貧しい家族’(1903年)

Img_0002_20260909224801   ‘扇子を持つ女’(1905年)

 

Img_0003_20260909224801   

‘グルメ’(1901年)

ピカソはルネッサンスのダ・ヴィンチのように美術史における王様のような
存在だから、描かれた作品を手に入れようと世界各地にある美術館が目の色
を変えて蒐集している。そのため、美術本に載るような名画はヨーロッパ、
アメリカに分散されて美術館におさまっている。では、長い時間をかけて
どういう順番でその絵を追っかければいいのか。

個人旅行ではなく団体ツアーに参加して海外を旅行する場合、スタートは
どの旅行会社にもある‘アメリカ東海岸〇〇日!’を選ぶのがいいかもしれない。
そうするとNYのMoMAでキュビスムの代名詞のような作品‘アヴィニョンの娘
たち’、そしてメトロポリタン美では‘アルルカン’や‘ガートルード・スタインの
肖像’をみることができる。また、グッゲンハイム美では運がいいと‘ムーラン
・ド・ラ・ギャレット’にお目にかかれる。

絵画とのつきあいがまだ普通ころはNYにあるピカソで大満足なのだが、美術
鑑賞が本格的な趣味になるとワシントン国立美で遭遇したピカソも忘れられ
なくなる。ええー、こんなにぐっとくる絵がワシントンにあったの!全然知
らなかった、という感じ。これはピカソの作品だけでなく古典絵画や印象派、
現代アートの分野をみているとこの美術館のコレクションのすごいことがわ
かってくる。ここは超ブランド美術館なのである。

ピカソはこれまで4点縁があった。とくに惹かれるのは‘バラ色の時代’の‘サルタンバンクの一家’。サーカス団の一家がだれも互いに視線を交わすことなく思い々に立っている。左端の若いアルルカンはピカソの自画像といわれている。赤い衣装を着た太った道化はアポリネールがモデル。‘青の時代’に描かれた‘海辺の貧しい家族’もじーんとくる傑作。おもしろいことに少年のあげた手の形が‘扇子を持つ女’でも繰り返されている。さらに、横からの姿が同じ‘グルメ’はすぐ女の子の手に視線が向う。

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2026.09.08

ピカソ流で描かれた美術史上の名作!

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‘ラス・メニーナス、ベラスケスによる’(1957年 バルセロナ・ピカソ美)

Img_20260908230101   ベラスケスの‘ラス・メニーナス’(1656年 プラド美)

Img_0002_20260908230101  ‘サビニの女たちの掠奪、プッサンによる’(1963年 ボストン美)

Img_0003_20260908230101   プッサンの‘サビニの女たちの掠奪’(1637~38年 メトロポリタン美)

Img_0004_20260908230101   ‘小さな「草上の昼食」、マネによる’(1962年 パリ国立ピカソ美)

Img_0005_20260908230101   マネの‘草上の昼食’(1863年 オルセー美)

91歳まで生きたピカソは74歳ころから尊敬する過去の巨匠たちの名作を
自らの作品として現代に蘇らせようという試みをはじめる。1955年に
ピカソ流に変奏した‘アルジェの女たち、ドラクロアによる’(バージョンO)
は2015年のオークションで競売史上最高の215億円で落札された。
本物にいつかお目にかかりたいのだが、、果たして。

1957年にはベラスケスのあの代表作‘ラス・メニーナス(女官たち)’に取
り組んだ。4ヶ月の間に描いたピカソ版‘ラス・メニーナス’は58点。2日
に1作というペースという76歳の年齢にして驚異的な創造力を発揮してみ
せた。ここにあげたのはバルセロナにあるピカソ美でお目にかかったもの。
印象派たちが賞賛した色彩表現などは姿を消し、大胆に変えられたピカソの
世界が出現している。

ボストン美に遭遇したのがプッサンやダビッドの‘サビニの女たちの掠奪’を
基に描かれたもの。この絵は可哀そうな女たちを強い緊張感を感じて対面す
るすことを強いられる絵だが、ピカソにもその暴力性は受け継がれ、女の悲
鳴が聞こえてくるよう。ドラ・マールがモデルになった‘泣く女’以上にあま
り長くみていられない作品である。

現在、国立新美で開催されている‘ピカソ展’(6/10~9/21)にはマネの‘草上の昼食’をピカソ流に表現した作品が最後の部屋に展示されている。1960年に描かれたものは紹介したが、別バージョンが3点、そして、小型版で画面の大半を茶色で占められた‘小さな「草上の昼食」’が並んでいる。いずれもパリでみたという実感がなかったので大きな収穫だった。

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2026.09.07

ピカソ ‘青の時代’の傑作!

Img_20260907230301   ‘アルルカンと女友達’(1901年 プーシキン美)

Img_0003_20260907230301   ‘アブサント好きの女’(1901年 エルミタージュ美)

Img_0001_20260907230401   ‘シニヨン髷の女’(1901年 フォッグ美)

Img_0002_20260907230401   ‘母と子’(1901年 フォッグ美)

Img_0004_20260907230401   ‘アルルカン’(1901年 メトロポリタン美)

Img_0005_20260907230401   ‘盲人の食事’(1903年 メトロポリタン美)

絵画の鑑賞で回顧展が何度も開催される画家はお目にかかる作品の数はそれ
に比例して増えていく。日本画では琳派の宗達・光琳、伊藤若冲、円山応挙、
浮世絵の北斎・広重・国芳、上村松園、横山大観、東山魁夷の図録が本棚を
どーんと占領しており、主要作品はおおかたみることができた。西洋絵画で
はモネ、ゴッホ、ピカソの回顧展が群を抜いて多く、これまで出会った作品
はかなりの数になった。

ピカソ(1881~1973)の図録は最新の国立新美のものを含めて全部
で7冊ある。そのなかで手にとることが多いのは2003年上野の森美で行
われた‘ピカソ・クラシック1914-1925’。それはここに海外の美術館
で手に入れたガイドブックや日本で開催された特別展の図録などに載ってい
た‘青の時代’(1900~1903年)に描かれたいい絵を切り貼りして合体
させているため。

ピカソが19~22歳のころ描いた作品に惹かれている人はたくさんいる。その一番人気の絵がパリ国立ピカソ美にある‘自画像’(1901年)。ほかにもぐっとくる絵がいくつもある。かなり前プーシキン美の名品展があったとき、とても魅了される絵が出品された。それはイワン・モロゾフが所蔵していた‘アルルカンと女友達’。顎に手をあてているポーズが強く印象付けられるが、似たような手のポーズで描かれた作品に2点遭遇した。同じロシアのエルミタージュ美でお目にかかった‘アブサント好きの女’とハーバード大の校内にあるフォッグ美に飾られていた‘シニヨン髷の女’。フォッグで横に並んでいた‘母と子’にも思わず足がとまった。

NYのメトロポリタン美にあるピカソでは1989年のオークションで59億円で落札された‘バラ色の時代’(1904~1906年)に描かれた‘ラパン・アジルにて’と2013年のアメリカ旅行で運よく出会った。‘青の時代’の作品は日本で開催されたメトロポリタン美名品展に‘アルルカン’と‘盲人の食事’が出品された。流石、アメリカのブランド美術館。MoMA、グッゲンハイム美、ワシントン国立美、フィラデルフィア美同様、ピカソの若い頃の傑作をしっかりコレクションしている。

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2026.09.06

残り20ゲームとなった大リーグの戦況!

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 日本人ルーキーのホームランで史上初の30号に到達したホワイトソックスの村上

大リーグのレギュラーシーズンは残り20ゲームになり、PS(ポストシーズン)
にむけて最終モードに入った。どのチームが地区で優勝し、ワイルドカード
(3チーム)の切符を手にするだろうか。まず、嬉しいニュースがとどいた
ア・リーグから。本日のツインズ戦でホワイトソックスの村上が17試合ぶり
にホームランを放った。これで日本人ルーキーとしては史上初の30号に到達
した。これは大谷でもできなかった偉業である。拍手々!

気分を良くして、あと5本くらい打ってほしいが、そう上手くはいかないだろ
う。今のバッティングの調子は悪く、三振率が4割近くになっている。対戦す
るチームは村上の打撃データをしっかり分析し、投手は弱点をついてくる。
とくにPS進出を狙っている強いチームはより厳しいから簡単には打てない。

中地区の首位を走っているホワイトソックスは今日は試合に敗け、2位ガーデ
ィアンズとの差は2.5ゲームに縮まった。最近は敗けのゲームが多く、この
ままではガーディアンズに逆転されるのではないかと思う。ガーディアンズは
ここ数年PSに進出することが多く、戦い方を知っている。これに対し、昨年ま
で最下位が続いたホワイトソックスは若い選手が多く、これからもっとプレッ
シャーがかかるのでガーディアンズを下回るチーム防御率が悪いほうに効いて
くる。

そうなると、ワイルドカードとなるが、これも厳しいことが予想される。理由
は東地区の岡本がいるブルージェイズがどんどん調子をあげてきて、3番目の
カードでガーディアンズに並んだから。ア・リーグのワイルドカードは東地区
のヤンキース、レッドソックス、ブルージェイズで占めるかもしれない。

ナ・リーグは地区優勝はブレーブス(東)、ブリュワーズ(中)、ドジャース
(西)で決まり。ワイルドカードの上位2チームはカブス、フィリーズがほぼ
確定し、残りの1枠を西地区のダイアモンドバックスとパドレスが争う。
だから、終盤の大リーグの見所はア・リーグの中地区の優勝争いと3枠目のワ
イルドカードがどこになるか、そしてナ・リーグはDバックスがPS進出なるか
、に絞られてきた。

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2026.09.05

東博で今月末から‘歌川広重 江戸のベストアングル’展!

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  ‘東海道五捨三次之内 庄野 白雨’(1833~35年 大英博)

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  ‘木曽海道六捨九次之内 長久保’(1836~37年 大英博)

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  ‘名所江戸百景 亀戸梅屋敷’(1857年 大英博)

先月26日、東京都美で‘大英博物館日本美術コレクション 百花繚乱~海を
越えた江戸絵画‘を200%楽しんだあと、ミュジアムショップを出たところ
のに置いてあった美術館の展覧会のチラシにはっとするものが目に入った。
それは東博で9/29からはじまる‘歌川広重 江戸のベストアングル’。これ
はうかつにもまったく知らなかった。東博はコレクターの内山晋氏から浮世
絵1025点を受贈したので、これを披露することになったとのこと。

今年は鑑賞欲を強く刺激する浮世絵展が多く開催される。出かけたものを含
めてざっとあげてみると、
☆‘ロックフェラーコレクション花鳥版画展’  (1/17~3/1 千葉市美)
☆‘北斎富嶽三十六景 井内コレクションより’ (3/28∼6/14 西洋美)
☆‘原安三郎コレクション 北斎×広重’    (4/18∼6/14 京都文化博)
☆‘元禄!師宣劇場 十二ヶ月風俗図巻大公開’ (6/27∼8/23 静嘉堂文庫美)
☆‘大英博日本美術コレクション 百花繚乱’  (7/25∼10/18 東京都美)
☆‘歌川広重 江戸のベストアングル’     (9/29∼12/20 東博)

東博の特別展は3期にわけて‘東海道五捨三次’(1期:9/29~10/25)
‘木曽海道六捨九次’(2期:10/27~11/23)‘名所江戸百景’(3期:11/25~12/20)
を全部展示するという。こういう機会は滅多にないので浮世絵ファンには
絶対見逃せない企画展である。

東京都美の大英博コレクションには広重は15点でてきた。東博のチラシに
使われているのもののほかに‘東海道’は‘庄野 白雨’、‘木曽海道’は‘長久保’、
‘名所江戸百景’は‘亀戸梅屋敷’が一緒に並んだ。浮世絵にまだ目が慣れてない人
は大英博コレクションをみて東博にも足を運ぶと一気に‘浮世絵通’になれること
請け合い。

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2026.09.04

エピソード記憶として忘れられないピカソの絵!

Img_20260904233201   ‘ゲルニカ’(1937年 国立ソフィア王妃芸術センター)

Img_0001_20260904233201   プラド美別館に飾られていた‘ゲルニカ’

Img_0002_20260904233301   ‘バレエ「パラード」の幕’(1917年 ポンピドー)

Img_0004_20260904233301   

‘黄色い髪の女’(1931年 グッゲンハイム美)

Img_0003_20260904233301   ‘水差しと果物鉢’(1931年 グッゲンハイム美)

Img_0005_20260904233401   ‘3人の踊り子’(1925年 テートモダン)

過去におこった出来事や旅行などの思い出がエピソード記憶として長く残っ
ていることはいろいろある。たとえば、絵画や彫刻の傑作に出会ったこと、そのときの大きな感動は長い年月を経てもすぐよみがえってくる。ピカソの絵にはそれがいくつもある。

ピカソの代表作である大作‘ゲルニカ’は現在、マドリードの国立ソフィア王妃芸術センターで展示されている。この絵とは運よく3回縁があった。はじめてみたのは1990年仕事でスペインに出張したとき。プラド美の別館で長年の思いの丈を叶えたが、なんと防弾ガラスのなかに閉じ込められていた!これほど警備が厳しいとは思ってもみなかった。1981年NYのMoMAからスペインに帰って来てここに展示され、1991年にソフィア王妃センターに移った。だから、ピリピリしながらこの絵をみる最後の年だった。

1997年、東京都現美で開催された‘ポンピドー・コレクション展’でお目にかかった‘バレエ「パラード」の幕’(縦10.5m、横16.4m)も忘れられない‘ピカソ事件’。ロシア・バレエ団の演目「パラード」にピカソは舞台装置と衣装のデザインの担当で参画した。パリのポンピドーへ出かけても、普段はみれないから貴重な鑑賞体験である。

ピカソの静物画で一番のお気に入りはNYのグッゲンハイム美が所蔵する‘水差しと果物鉢’。これは1991年池袋にあったセゾン美(現在はなし)で行われたすばらしい‘グッゲンハイム美展’でめぐりあった。強いインパクトをもった傑作で緑、黄色、紫と好きな色が全部でてくるので心が晴れ晴れする。おもしろいことに、お世話になっている歯科医院の待合室にコピーが飾ってあったので治療の痛みが緩和された。

優しいピカソの絵の代表といっていい‘黄色い髪の女’はNYと渋谷のBunkamuraで遭遇した。この絵はいつもマチスの‘夢’(1940年)と一緒に楽しんでいる。ピカソの主要作品で最初に衝撃を受けたのはロンドンのテート・ギャラリー(現在のテートブリテン)でみた‘3人の踊り子’。キュビスムで描かれた人物像なのに、踊りに夢中になる男女の生き生きした姿を目の当たりにしている気分。そのキュビスム流動感描写に感心した。

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2026.09.03

ピカソが愛した女性たち!

Img_0001_20260903222701   ‘ドラ・マールの肖像’(1937年 パリ国立ピカソ美)

Img_0002_20260903222701   ‘鏡の前の少女’(1932年 MoMA)

Img_20260903222701   ‘肱掛け椅子に座るオルガ’(1917年 パリ国立ピカソ美)

Img_0004_20260903222701   

‘花の女’(1946年 パリ国立ピカソ美)

Img_0003_20260903222701   ‘ジャクリーヌ・ロックの肖像’(1954年 パリ国立ピカソ美)

画家の物語がまとまって頭に入ってくるのは回顧展が開催されたときつくら
れる図録の最期の載っている年譜。これを読んでおもしろいのがピカソ
(1881~1973)。91歳まで長生きし、画業の幅が絵画、彫刻・陶
器、素描・版画と広いのでいろいろな作品が楽しめる。それに加え、交友関
係が広く愛した女性も多いことも興味を掻き立てる。

ピカソがキュビスムの描き方で女性を表現した作品でもっとも好きなのは
‘ドラ・マールの肖像’。ロンドンのテートモダンにある‘泣く女’のモデルも
ドラ・マールだが、泣いてないときの彼女はじつに綺麗。彼女はユダヤ系の
血を引くユーゴスラビア人の写真家。そして、2022年、西洋美で開催さ
れた‘ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリュ―ン美展’でも大変惹か
れる‘緑色のマニキュアをつけたドラ・マール’に出会った。

17歳のときピカソにみそめられモデルになったマリー・テレーズは
1932年に描かれた‘鏡の前の少女’に登場した。‘夢’とはちがい目がぱっち
りした少女が曲線のつくる柔らかさにより女神にような神々しさをもつ姿
で描かれている。マリーの絵は‘読書’なども入れて5点くらい魅了され続けて
いる。一方、‘肘掛け椅子に座るオルガ’は‘新古典主義の時代’の作品なので、
普通の肖像画と対面している感覚で安心してみられる。このロシア・バレエ
団のダンサーは‘私を描くときは、私とわかるように描いてちょうだいよ’と
ピカソに注文をつけた。ピカソも惚れた弱みで美人のいうことは聞かざるを
えないだろう。彼女は最初の妻。

二番目の妻にして最後のモデルとなったジャクリーヌ・ロックはキュビスム
調で手を組み合わせるポーズで描かれている。目力の強さが深く心に刻まれ
る。戦後、21歳の画学生だったときピカソに愛されたフランソワーズ・ジ
ローは‘人間は誰でも動物に似ているものだが、君は違う。植物だ’と言われ、
‘花の女’として描かれている。こんな肖像画は誰も思いつかない。

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2026.09.02

ピカソとすぐむすびつく美術館!

Img_0002_20260902224101   ‘アヴィニョンの娘たち’(1907年 MoMA)

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‘ガートルード・スタインの肖像’(1906年 メトロポリタン美)

Img_0003_20260902224201   ‘ムーラン・ド・ラ・ギャレット’(1900年 グッゲンハイム美)

Img_0004_20260902224201   ‘自画像’(1901年 パリ国立ピカソ美)

Img_20260902224201   ‘泣く女’(1937年 テートモダン)

Img_0005_20260902224201   ‘ゲルニカ’(1937年 国立ソフィア王妃芸術センター)

美術の教科書に載っているような有名な絵に出会ったときのことは長い年月
を経ても鮮明に胸に刻まれている。ピカソ(1881~1973)だと、
NYの近代美術館(MoMA)でキュビスム絵画の代名詞ともなっている‘アヴィ
ニョンの娘たち’をみたとき、‘これがあのピカソの絵か’と感慨深かった。気持
ちが過剰に昂ぶりマントヒヒを思わせる顔ばかりみていたような気がする。

メトロポリタン美にある‘ガートルード・スタインの肖像’はある時期まで男性
の肖像画をみたと思っていた。実際はこの人物はアメリカの女流作家だった。
このとき32歳でピカソは25歳。スタインに少しも似てないという批判に
対して、ピカソは‘今に彼女の方が似てくるよ’と答えたという。
2015年アメリカを旅行したとき、NYのグッゲンハイム美で運よく‘ムーラ
ン・ド・ラ・ギャレット’にお目にかかれた(ここの平常展示は膨大なコレク
ションをローテーションしてみせている)。印象派に影響をうけたピカソが
描いたロートレック風の賑やかな盛り場の光景を目に焼き付けた。

‘青の時代’の作品で魅了され続けているのはパリ国立ピカソ美で対面した‘自画
像’。嬉しいことに2008年サントリー美で行われた‘巨匠ピカソ 魂のポートレート’で再会することができた。先週出かけた国立新美ではこれは出品されず、代役の‘男の肖像’でもって瞑すべしだった。‘バラ色の時代’ではワシントン国立美にある‘サルタンバンクの一家(1905年)が忘れられない。

ロンドンのテートモダンにお気に入りの絵がある。それは‘泣く女’。ピカソの
とても激しい絵でモデルのドラ・マールがヒステリックに泣いている様子が
びしびし伝わってくる。でも、彼女は30分もたけば、けろっとしてまたパリ
の街にとびだしていきそう。スペインのマドリードにでかけると、王立ソフィ
ア王妃芸術センターであの‘ゲルニカ’をみることができる。ここでは言葉はい
らない。天才ピカソに乾杯し、心を鎮めて長くみた。

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2026.09.01

追っかけラストピース! ピカソ

Img_20260901230501   ‘夢’(1932年 ガンツコレクション)

Img_0004_20260901230501   

‘アンブロワーズ・ヴォラールの肖像’(1910年 プーシキン美)

Img_0003_20260901230501   

‘肘掛椅子のシュミーズの女’(1913年)

Img_0001_20260901230501   ‘恋人たち’(1923年 ワシントン国立美)

Img_0002_20260901230501   

‘アルジェの女たち’(1955年)

国立新美で現在、回顧展が行われているピカソ(1881~1973)のよ
うにビッグネームの画家だと、過去に何度も回顧展に出かけているのに、ど
うしても足が美術館のほうに向かっていく。これはモネやゴッホでも
同じ。‘名画は何度みてもまた新しい発見がある’といわれるが、今回のピカ
ソの絵でも違った刺激がいろいろあった。

好きな絵に再会して違った楽しみをみつけると、やっぱりピカソはいい!と
なり、まだお目にかかってない作品への期待に火がつく。追っかけ作品の
リストを引っ張り出し、この絵は〇〇の美術館にある、あの絵は個人のコレ
クションと再確認する。さらに、対面が実現する可能性を勝手に妄想する。

ピカソの追っかけラストピースの一番はなんといっても、‘夢’。2013年、
あるTVの美術番組で‘高額絵画ベスト3’がでてきて、‘夢’は2位で153億円
だった。美術品のオークション情報は新聞に載ったりするので、それをファ
イルしているが、ドラクロアに元づいて描いた‘アルジェの女たち’は2015
年クリスティ―ズのオークションで215億円で落札された。さて、この2
点をみる機会が訪れるか、‘ミューズ様、夢を叶えて下さい!’

‘キュビスムの時代’でとくに惹かれているのがプーシキン美にある‘アンブロワーズ・ヴォラールの肖像’。ロシア、ウクライナの戦争がはじまる前はエルミタージュ美やプーシキン美が所蔵する名品展がよく開催されていたから、美術本にでてくる印象派などの名画を楽しむことができた。2度目のエルミタージュやプーシキン美への旅を考えていたが、それは当分実現しない。世の中、思い通りにいかない。ピカソ本にはよく載っている‘肱掛椅子のシュミーズの女’も鑑賞欲を強く刺激する。ワシントン国立美はこれまで縁が何回もあったが、どういうわけか‘新古典主義の時代’の‘恋人たち’が姿をみせてくれない。この絵はなんとか目の中に入れたいのだが、果たして。

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