ボッティチェリ 豊かな構想力から生まれた傑作!
‘ヴィーナスとマルス’(1480~90年頃 ナショナルギャラリー)
‘コンヴェルティーナ祭壇画(三位一体)’(1491~94年 コート―ルド美)
‘サンマルコの祭壇画(聖母戴冠)’(1490年頃 ウフィツィ美)
ロンドンのナショナルギャラリーで遭遇したボッティチェリ(1445~
1510)の絵をみて、この画家がどんなテーマを描くかという構想力とそれ
をどう色彩と構図でもって表現するかという構成力に群を抜いて優れているこ
とに感服させられたことを、今でも鮮明に覚えている。
‘ヴィーナスとマルス’はベッドの頭板を飾るための描かれたもの。左のヴィーナ
スは‘ヴィーナスの誕生’のイメージでみれるため、すごくいい気持になるが、
視線を右に移動させるとちょっと心がザワザワしてくる。寝息をたてているマ
ルスの左手のところに頭が大きくてグロテスクな笑いをみせているサテュロス
がいる。この取り合わせがなんとも奇妙。こういう人物描写はピエロ・デ・コ
ジモだけかと思っていたが、ボッティチェリにも強烈なインパクトをもった姿
で登場してきた。
ロンドンのコート―ルド美にある‘コンヴェルティーナ祭壇画’は宗教画ではお馴染みの三位一体が描かれている。でも、こんな目が点になる描き方はほかにみたことがない。左に立つマグダラのマリアはフィレンツェにあるドナテッロの彫刻をコピーしたかのようにその長い髪が体全体を覆っている。もうひとつのサプライズは画面下の描かれたトビアスと大天使ラファエロ、どうして小さい姿で描かれているの?2つの異なるスケールで描かれた人物が同じ画面に同居している。まったく不思議な絵。
ウフィツィ美にある‘サンマルコの祭壇画(聖母戴冠)’とナショナルギャラリー蔵の‘神秘の降誕’で視線が向うのは、画面の上部にみられる天使たちが飛びながら輪になって踊っている姿。この見事な動感描写により、ここだけは3次元の空間になっている。じっとフォーカスしていると、京琳派の神坂雪佳が金地の屏風に華麗な衣装を身にまとった男女が列をなして踊るところを描いた‘輪舞図’が重なってきた。

































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