東博の‘空海と真言の名宝’を見逃さずにすんだ!
国宝‘五大尊像 軍茶利明王’(12~13世紀 醍醐寺)
東博で開催中の‘空海と真言の名宝’(7/14~9/6)を滑り込みセーフでみ
てきた。空海にスポットをあてた特別展はこれまで欠かさず足を運んだので、
今回はパスのつもりだった。ところが、NHKが8/2の日曜美術館で‘秘仏の
ひみつ’というタイトルで紹介したのをみて、急遽会期末までに出かけること
を決めた。平日の28日だから、すぐ入館できると思ったが、予想が甘く
20分も館外の長い列に並ぶことになった。どうやら、日美放送が観客動員
の増加に効いているようだ。
背中を強く押したのは大阪・大門寺の秘仏‘如意輪観音菩薩坐像’。ふっくらし
た顔を右に大きく傾けるポーズに200%KOされた。これは美術本にはでて
ないので大収穫。ミューズに感謝々。これが後半のハイライトなら、前半に
多くの人が待ちの列をつくっていたのが高さが22cm~25cmの‘聖観音菩薩・
梵天・帝釈天立像’。精緻につくられた金属の光背ときめ細かい彫りをじっ
くりみた。番組によると明治以降はじめて開帳されたという。皆単眼鏡など
も使ってしっかりながめていた。
国宝がかなりでていたが、入ってすぐ醍醐寺にある‘五大尊像’が3点姿をあら
わした。1995年、奈良博の‘日本仏教美術名宝展’でお目にかかったときの
感動がまた再現された。怖い軍茶利明王と同じくらい緊張したのが快慶の
‘深沙大将立像’。胸のところにぐるっと飾りつけている髑髏が不気味、快慶
の回顧展(2017年 奈良博)でみたのをすっかり忘れており、快慶にこ
んな作品があったのか、と唸っていた。
最後のコーナーはスマホの写真撮影がOKの‘五智如来坐像’がどーんと並んでいた。これは国宝だが、わが家における日本美術のバイブル‘日本の国宝’(週刊朝日百科 1998年)でみたという実感がない。それとも忘れている?安定感のある‘大日如来’を中心に目に焼き付けた。国宝では嬉しい展示があった。それは‘信貴山縁起絵巻’が出品されており、‘延喜加持巻’に登場する剣護法童子に遭遇したこと。
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コメント
山科 安祥寺五智如来は2019年の国宝指定なので、それ以前に出た週刊朝日百科には収録されていません。なお、この像は京博1階の彫刻展示室に常設で出ていると思います。
私も今回の出品作では大門寺の如意輪観音と東寺の二間観音の2件が最も期待していた作品です。朝の開館と同時に二間観音の展示ケースへ直行し、観客が少ないうちに拡大鏡でじっくり眺めました。2時間ぐらいしてからまた行ったら、人が多くて近づけない状態だったので、閉館間際の時間を狙ってまた近くで見ました。同様の小さな像である国宝の仁和寺薬師如来(過去にも数回東博出品)と比較しながら見ていたら、薬師如来の方の截金がいかにも平安時代という感じのおっとりとした雰囲気に感じられ、150年ぐらいの差でも平安と鎌倉で随分違うものだと実感しました。大門寺の如意輪観音については、1987年重文指定の時の月刊文化財昭和62年6月号の解説しか資料がないようで、今回はこれを持参しました。顔の傾きに合わせて光背も曲がっているのがとても好ましく感じられました。また、観音の浄土である補陀落山を示す岩座まで共木で作っているのは珍しいそうです(同様の共木彫出岩座を持つ如意輪観音は、姫路の書写山円教寺に関係する像高20cmぐらいの小さな像2件―1つは平安時代、もう一つは鎌倉時代1239年銘の像―だけだそうです)。
快慶の深沙大将は東博の2012年新指定重要文化財展示と奈良博快慶展で見ていますが、今回の展示では下からのスポットライトが口の中の歯や胸の髑髏の眼の窪みの白さを強調していて、なかなか良い展示方法だと思いました。なお、あの髑髏は前世の三蔵法師が改心する前の深沙大将に食われたことを示していて、生まれ変わった三蔵法師が天竺へ行くことを助ける神となったそうです。調布の深大寺の起源も深沙大将です。(寺では深沙大王と呼ぶ。秘仏で私も写真でしか見たことがありません。ユーモラスな感じの鎌倉時代頃の作です。)
三重県島ケ原の観菩提寺へは大昔に手紙を出して十一面観音の拝観をお願いし、見に行ったことがあります(ここを見てから奈良へ向かいました)。その後15年ぐらい前に世田谷美術館で開催された白洲正子展でも見ましたが、お寺で見た時は厨子の中だったので気にならなかったのに、美術館で見たら下半身が小さくて驚いたことを覚えています。
投稿: むろさん | 2026.08.31 17:01
to むろさん
今回の空海展は日曜美術館に救われました。
こんなに秘仏がでているとは思ってもいません
でしたので。安堵してます。
‘五智如来坐像’は2019年の国宝指定でし
たか。ご案内の京博の展示について、ふと思い
出しました。昨年、京博であった‘宋元仏画’
でみたことを。図録でも確認しました。
‘二間観音’を見逃さずに済みました。こうい
う機会は滅多にないですね。本当に良かったで
す。そして、大門寺の‘如意輪観音’に会えた
のも奇跡的です。これまで美術本でみたことが
ありませんので、まったくのNO情報でした。
快慶の‘深沙大将’の詳しい解説ありがとうご
ざいます。いつものことですが、いっぱい教え
てもらいました。
2011年の白洲正子展、私も世田谷美でみま
した。観菩提寺の十一面観音は図録には全体像
が載ってないので、記憶が薄れてます。今回
その馬鹿でかい顔をはじめてみたという感じで
す。存在感抜群ですね。
投稿: いづつや | 2026.09.01 02:03