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2026.08.31

ピカソは子ども絵の名手!

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  ‘アルルカンに扮したパウロ’(1924年 パリ国立ピカソ美)

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  ‘ピエロ姿のパウロ’(1925年 パリ国立ピカソ美)

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  ‘大きな帽子を被った少女’(1901年 フォッグ美)

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  ‘鳩をもつ子ども’(1901年 コート―ルド美)

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  ‘ラス・メニーナス’(1957年 バルセロナ ピカソ美)

国立新美で行われているピカソ(1881~1973)の回顧展は作品の見
せ方、演出の仕方がこれまでとはひと味もふた味も違っていた。だから、お
馴染みの絵なのに新鮮な感覚で楽しめた。たとえば、キュビスムの画家、
ピカソのイメージがまったく消えてしまう‘アルルカンに扮したパウロ’はとて
も可愛いくて、心が洗われた。その翌年に描かれた‘ピエロ姿のパウロ’は元気
いっぱいの坊やという感じ。

ピカソは絵描きとしての腕が群をぬいているから、子どもの絵だって上手に
描く。ハーバード大の構内のあるフォッグ美で‘大きな帽子を被った少女’に出
会ったときは大きな衝撃をうけた。まるで印象派のルノワールの絵をみてい
るよう。明るいピンクの色が目に心地よく、塗りは厚く点描風に描かれてい
る。天才ピカソは何でも描けるのだなと感心した。

ロンドンのコート―ルド美が所蔵する‘鳩をもつ子ども’は‘青の時代’の初期に
属する作品。力強く引かれた輪郭線の使い方や平板的な表現はゴーギャンや
象徴派の画家たちの影響がみてとれる。そして、鳩を両手でもつ子どものちょ
っと感傷的な内面描写がなかなかいい。強く記憶に残る子どもの絵である。

スペインのバルセロナを旅行したとき、まだ美術鑑賞は普通のレベルだったが、
観光名所のひとつとしてピカソ美を訪問した。ありゃら、、という感じだった
のが、‘ラス・メニーナス’。ええー?あのキュビスムのピカソがベラスケスの
有名な‘ラス・メニーナス’を自分流に描いちゃったの!顔はマチスのように緑
や青が塗られている。これはマルガリータだけを描いているが、全体の作品も
あった。何年か後に、ピカソはこれを題材として58点もの連作を描いたこと
を知った。

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2026.08.30

東博の‘空海と真言の名宝’を見逃さずにすんだ!

Img_0001_20260830225801   ‘如意輪観音菩薩坐像’(重文 11世紀 大門寺)

Img_0004_20260830225801   ‘聖観音菩薩・梵天・帝釈天立像’(重文 東寺)

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国宝‘五大尊像 軍茶利明王’(12~13世紀 醍醐寺)

Img_0003_20260830225801   快慶の‘深沙大将立像’(重文 1197年 金剛峯寺)

Img_0005_20260830225801   国宝‘五智如来坐像 大日如来’(9世紀 安祥寺)

東博で開催中の‘空海と真言の名宝’(7/14~9/6)を滑り込みセーフでみ
てきた。空海にスポットをあてた特別展はこれまで欠かさず足を運んだので、
今回はパスのつもりだった。ところが、NHKが8/2の日曜美術館で‘秘仏の
ひみつ’というタイトルで紹介したのをみて、急遽会期末までに出かけること
を決めた。平日の28日だから、すぐ入館できると思ったが、予想が甘く
20分も館外の長い列に並ぶことになった。どうやら、日美放送が観客動員
の増加に効いているようだ。

背中を強く押したのは大阪・大門寺の秘仏‘如意輪観音菩薩坐像’。ふっくらし
た顔を右に大きく傾けるポーズに200%KOされた。これは美術本にはでて
ないので大収穫。ミューズに感謝々。これが後半のハイライトなら、前半に
多くの人が待ちの列をつくっていたのが高さが22cm~25cmの‘聖観音菩薩・
梵天・帝釈天立像’。精緻につくられた金属の光背ときめ細かい彫りをじっ
くりみた。番組によると明治以降はじめて開帳されたという。皆単眼鏡など
も使ってしっかりながめていた。

国宝がかなりでていたが、入ってすぐ醍醐寺にある‘五大尊像’が3点姿をあら
わした。1995年、奈良博の‘日本仏教美術名宝展’でお目にかかったときの
感動がまた再現された。怖い軍茶利明王と同じくらい緊張したのが快慶の
‘深沙大将立像’。胸のところにぐるっと飾りつけている髑髏が不気味、快慶
の回顧展(2017年 奈良博)でみたのをすっかり忘れており、快慶にこ
んな作品があったのか、と唸っていた。

最後のコーナーはスマホの写真撮影がOKの‘五智如来坐像’がどーんと並んでいた。これは国宝だが、わが家における日本美術のバイブル‘日本の国宝’(週刊朝日百科 1998年)でみたという実感がない。それとも忘れている?安定感のある‘大日如来’を中心に目に焼き付けた。国宝では嬉しい展示があった。それは‘信貴山縁起絵巻’が出品されており、‘延喜加持巻’に登場する剣護法童子に遭遇したこと。

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2026.08.29

デザイナーがコラボした‘ピカソ展’!

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  ‘読書’(1932年)

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  ‘腕を重ねて座る女’(1937年)

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  ‘人形を抱くマヤ’(1938年)

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  ‘コリーダ:闘牛士の死’(1933年)

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  ‘草上の昼食(マネに基づく)’(1960年)

現在、国立新美ではデザイナーのポール・スミスがディレクションした
‘ピカソ展’(6/10~9/21)がおこなわれている。作品はすべてパリ国立
ピカソ美が所蔵するもので、過去にやって来たものと数多く再会した。

入場すると若い人たちが大勢いた。そして、外国人も目立つ。今年は近現代
アートの企画展では‘テート美ーYBA&BEYOND’(2~5月)でも現在森美で
開催中の‘ロン・ミュエク’(~9/23)でも同じ光景をみた。日本の展覧会
シーンはインバウンドの数が増加しているのでこれが当たり前のようになっ
てきた。しかも、天才ピカソ(1881~1973)とくれば当然と言えば
当然の流れ。

見慣れた作品がセンスのいい明快な色彩と綺麗な装飾で整えられた舞台で輝
きを増している感じである。その最たるものがチラシに使われている‘読書’。
モチーフが直線的でねじれた形態が強い刺激となって迫ってくるピカソのキ
ュビスム全開の作品に較べると、連続する丸みが若い女性(モデルはマリー
=テレーズ)をリズミカルに浮き上がらせ美しい女神のように仕立ている。

‘腕を重ねて座る女’と‘人形を抱くマヤ’も角々したところが少なく、リラック
スして絵の前に長くいられる。これに対し、‘コリーダ:闘牛士の死’は馬の
悲鳴が聞こえてくるようでその激しい暴力性から緊張感を強いられる。この
絵の前だけは別空間だった。最後に登場するマネの絵に基づく‘草上の昼食’は
日本でみるのはこれがはじめて。バルセロナ・ピカソ美にある‘ラス・メニー
ナス’と比べると、こちらのほうが丸っこい人物描写と多用された緑により安
心して楽しめる。

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2026.08.28

大英博蔵浮世絵の里帰り展がスゴイ!

Img_0001_20260828231301    喜多川歌麿の‘百千鳥狂歌合’(1790年頃)

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喜多川歌麿の‘文読む遊女’(1804~06年)

Img_0004_20260828231301    喜多川歌麿の‘鮑取り’(1788~1790年)

Img_0002_20260828231401    鈴木春信の‘雪中相合傘’(1767年頃)

Img_0003_20260828231401    菱川師宣の‘職人尽図巻’(1684~94年頃)

大英博が所蔵する江戸絵画のコレクションがどういうラインナップで披露さ
れるのか。東京都美のHPにでている出品作を事前にみてないので、イメー
ジができなかったが、浮世絵のコーナーに足を踏みいれると一気にテンション
があがった。この特別展にもうひとつ‘タイトル’をつけるとすれば、‘二度と
みれない大英博所蔵の大浮世絵展!’。浮世絵ファンには大げさに言うと涙
がでるほど嬉しい里帰り展。これは絶対に見逃せない。

のっけから喜多川歌麿(1753~1806)の‘百千鳥図巻’が姿をあらわし
た。こんないい木兎(みみずく)はなかなかみれない。流石、大英博、スゴ
イのをもっている、といった感じ。チラシで期待が膨らんでいた肉筆画の‘文
読む遊女’、2011年イギリスで発見されたという。綺麗に表装されて里帰
りしてくれた。歌麿狂にはたまらない美人画である。さらに、お気に入りの‘鮑取り’がまたやって来てくれた。2014年、江戸東博で開催された‘大浮世絵展’に出品されたときは、いい気持でながめていた。今回全部で16点でている。まるでミニ歌麿展のよう。すばらしい。

鈴木春信(1725~70)も大英博の浮世絵コレクションでは世界的に知られている。2002年、山口県萩美・浦上記念館であった‘青春の浮世絵師 鈴木春信ー江戸のカラリスト登場’になんと23点出品された。今回はそこにでていたもっとも有名な‘雪中相合傘’と‘萩と男女’などを含む10点が目を楽しませてくれた。‘雪中相合傘’では細かい空摺で表現された白い着物の地模様を再度目に焼きつけた。

先月、丸の内の静嘉堂文庫美で菱川師宣(?~1694)の‘十二ヶ月風俗図巻’にはじめてお目にかかった。その余韻がまだ強く残っているなか、また師宣の‘職人尽図巻’と‘芝居茶屋遊樂図巻’に遭遇した。とてもいい流れ。お陰で師宣に‘済みマーク’をつけられそう。大英博に感謝!ほかには鳥居清長、写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳、歌川豊国、歌川国貞、鳥文斎栄之、、、浮世絵オールスターのお馴染みの浮世絵が極上の摺りで目の前にあらわれ、‘最高の瞬間!’を連続的に体験するという幸わせにつつまれる。みてのお楽しみ!

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2026.08.27

大英博の日本美術コレクションは見応え十分!

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  尾形光琳の‘松島図屏風’(18世紀)

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  鈴木其一の‘三十六歌仙図’(1820~1858年)

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  円山応挙の‘花鳥図’(1764~1772年)

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  円山応挙の‘虎の子渡し図屏風’(1781~1782年)

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  谷文晁の‘雲龍図’(19世紀)

上野の東京都美で行われている‘大英博物館 日本美術コレクション 百花繚
乱~海を越えた江戸絵画’(7/25~10/18)をみてきた。今年の日本美
術関連の特別展でわが家の大注目は京博の‘北野天神‘(4~6月)と大英博
日本美術コレクションの里帰り展。予想通り平日にもかかわらず大勢の観客
がいた。出品作のチェックはチラシと雑誌‘絶対見逃せない 2026年美術
展’のみ(美術館のHPはみてない)で、そこにでている応挙と歌麿を目当てに
足を運んだ。

でも、展示室を進むたびに目の前に現れた作品にびっくり仰天の連続、流石、
大英博! 一番のサプライズは尾形光琳(1658~1716)の‘松島図屏
風’。展示されていると嬉しいのだが、と淡い期待をしていたものがいきなり
でてきた。光琳はワシントンD.Cにあるフリーア美が所蔵する俵屋宗達の‘松島
図屏風’(日本にあったら国宝間違いなし)を元に六曲一双の同名の屏風を描
いているが(ボストン美蔵)、これはそれを変奏した小型ヴァージョン。
海中からそそり立つ岩は強い存在感をみせている。銀色にした白い波濤が酸
化して黒ずんでいるを本物で確認できた。

江戸琳派の鈴木其一(1796~1858)の異色の‘三十六歌仙図’をみれた
のも幸運だった。見慣れたこのモチーフで歌仙の着る衣裳の多くが琳派の技
法である‘たらし込み’で表現されているのはとてもユニーク。其一にまた一歩
近づけたような気分で大きな収穫だった。

円山応挙(1733~1795)を大英博がいろいろ所蔵していることがわか
ったのは、大阪市美であった大応挙展(2003年)に今回出品されているす
ばらしい花鳥画と縦長の‘虎図’が登場したから。2度目の里帰りでは‘虎の子渡
し図屏風’と‘香山九老図屏風’も手をつないでやって来た。長くみていたのが
主要作品にすぐ仲間入りする‘虎の子渡し図’。こんないい虎図が流失していた
とは。また、谷文晁(1763~1840)の‘雲龍図’もガツンとやられた。

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2026.08.25

開幕が近づく‘ルーヴル美展 ルネサンス’!

Img_20260825222101   ダ・ヴィンチの‘美しきフェロ二エール’(1490~97年頃)

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ボッティチェリの‘5人の天使に囲まれる聖母子’(1470年頃)

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テイツィアーノの‘フランソワ1世の肖像’(1538年頃)

9月から年末までにでかける予定の特別展について具体的な日程を検討して
いる。一番近いもので期待値の高いのは9/9から国立新美ではじまる‘ルー
ヴル美展 ルネサンス’(~12/13)。出品作の情報はダ・ヴィンチの‘美
しきフェロ二エール’のみだったので、美術館のHPにいき、ほかにどんな絵
が披露されるのかみてみた。

すぐ反応したのはボッティチェリの‘5人の天使に囲まれる聖母子’。これは
2000年に製作された‘ルーヴルー700年の絵画の系譜(日本語版)に
は同じくボッティチェリの‘聖母子と少年聖ヨハネ’と一緒に掲載されている。
もう何年もボッティチェリの絵にご無沙汰しているので、久しぶりの対面が
待ち遠しい。

もう一点、この600点以上の作品がでてくるガイド本に使われている絵が
やって來る。それはティツィアーノの‘フランソワ1世の肖像’。これは画家
の主要作品のひとつでTASCHENのティツィアーノ本にも大きな図版で載って
いる。

さて、目玉の作品として人々の鑑賞欲を掻き立てるダ・ヴィンチの‘美しきフ
ェロ二エール’。細い金の鎖の頭飾り(フェロ二エール)からこの名がついて
いる。女性の目力の強さはダ・ヴィンチの女性画のなかでは一番かもしれな
い。どうでもいいことだが、昨年熱心に見た大河ドラマ‘べらぼう’に蔦重の妻
で出演した女優の橋本愛がちらっと頭をかすめる。再会するのは16年ぶり。
とても楽しみ。

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2026.08.24

大阪にやってきたフェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’!

Img_20260824224301   フェルメールの‘真珠の耳飾りの少女’(1665年頃 マウリッツハイス美)

Img_0001_20260824224401  フェルメールの‘ディアナとニンフたち’(1953~54年頃 マウリッツハイス美)

Img_0003_20260824225401   ゴヤの‘サバ―サ・ガルシア’(1806~11年 ワシントン国立美)

Img_0002_20260824225401   ルグランの‘自画像’(1800年 エルミタージュ美)

Img_0004_20260824225401   レンピッカの‘パンジーを持つ女性’(1945年頃)

先週の金曜日、21日から大阪中之島美で‘フェルメール 真珠の耳飾りの
少女展’がはじまった。会期は9月27日までの1ヶ月とちょっと。これは
西洋美術の展覧会としては異例の短さで、日本美術で普段見れないお宝を
どっと集めたときに行われるスーパー特別展と同じスタイルである。
だから、ぼやっとしていると‘もう終わったの!’となる。

世の中にたくさんいるフェルメール(1632~1675)の大ファンは
そこのところは抜かりなく、しっかり日時指定してチケットを手に入れ出
動の時をワクワクしながら待っているにちがいない。人気の‘真珠の耳飾り
の少女’が日本にやって來るのは4回目。はじめてお目にかかったのは
2000年大阪市美で開催された‘フェルメールとその時代展’で‘真珠の耳飾
り’を含めて4点が展示された。そして、2012年に東京都美の‘マウリ
ッツハイス美展’で披露された。このときのフェルメールは今回同様、‘ディ
アナとニンフたち’とのペア展示だった。2000年以前はどこの美術館だ
ったかは知らない。

これから1ヶ月間、大阪はフェルメール展が大きな話題となるだろう。
マウリッツハイス美は今後は‘真珠の耳飾りの少女’の館外展示はしない方針
らしいので、これはオランダへ行かずに日本でお目にかかれる最後のチャ
ンス。大阪は地図的には日本の真ん中にあるので近畿圏だけでなく四国、
中国、北陸、また九州からだってフェルメールにぞっこんの人は前のめり
で出かける。そして、東海、関東からも大阪をめざす人は多いはず。大変
なイベントが繰り広げられることになりそう。

‘真珠の耳飾りの少女’は運がいいことにマウリッツハイス美で2回、日本で2回、4回みることができた。回を重ねたびにこの少女にのめり込んでいくとともに、この絵と類比的な親しさを感じる作品を何点かグルーピングしている。3点ある。ぱっとみると若い頃の薬師丸ひろ子を連想させる‘サバ―サ・ガルシア’。描いたのはあのゴヤ(1746~1828)。この絵でゴヤが真に好きになった。もう一点、マリー=アントワネットの女流画家、ルブラン(1755~1842)の‘自画像’にも魅了され続けている。そして、ここに意外な女流画家が加わる。ワルシャワの良家に生まれ自由奔放に生きたレンピッカ(1898~1980)の描いた‘パンジーを持つ女性’。‘真珠の耳飾り’を意識して描いたのでは、という気がしてならない。

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2026.08.23

ドジャース 5連勝、大谷投球再開!

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  投球を再開した大谷

ドジャースは本拠地でパイレーツとの第2戦にのぞみ、逆転で勝利し、5連
勝とした。先発はタイガースから移籍してきた最強左腕のスクーバㇽなので、
今日も勝てそうだなと思ってみていたら、1回表あっという間に3連打を食
らいまさかの3失点。‘おいおい、話が違うよ’でガックリ。そして、2回もま
たヒットが2本続き、ワンアウト2,3塁の大ピンチ。ここでタイムリーが
でて5点になると、今日はもう終わりだった。

だが、流石スクーバㇽ。2者連続三振にきってとり、追加点は許さなかった。
3回以降は得意のチェンジアップ、スライダーが冴え三振の山をきづいてい
く。結局7回まで投げ11の三振を奪った。この好投に打撃陣が奮起し、ま
ず2点をとり1点差と迫ったあと、次の回にこのところ不振が続くタッカー
が1,2塁間に見事な2点タイムリーヒットを放ち、試合を4対3とひっく
り返した。これをブルペン陣が8回、9回ゼロ点に抑え、勝利した。ドジャ
ースにきてから勝ち星がなかったスクーバㇽにようやく勝ちがつき、皆が心
配していたタッカーが勝利に貢献した。

残りゲームは32。ナ・リーグの各地区で首位を入っているチームは勝率1,
2位を目指して気合を入れて戦う。現在の勝率の順位はブリュワーズ(中地
区)が1位で、これをドジュース(西地区)が2ゲーム差で追う。地区で優
勝してもワイルドカードシリーズからでなくてはいけない3位(昨年のドジ
ャース)はブレーブス(東地区)でドジャースとは2ゲームの差がついてい
る。ドジャースはこの5連勝で勢いがでてきたので、勝率1位の可能性は十
分みこめる。

グッドニュースはチームの勝利に加え、もうひとつあった。それは二刀流の
大谷が左膝の痛みで中止していた投球を再開したこと。試合の前にライブBP
(実戦形式の打撃練習)に登板し、30球投げた。これからこれを何回かや
り9月の上旬くらいに、マウンドに戻る予定だという。最初は先発で短いイ
ニングで登板して、徐々にイニングを増やしていく。とても楽しみ。

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2026.08.22

オールスター日本画家の傑作女性画!

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  小林古径の‘河風’(1915年 山種美)

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  安田靫彦の‘花の酔’(1912~13年頃 宮城県美)

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  菊池契月の‘少女’(1932年 京都市美)

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  中村貞以の‘爽涼’(1956年 東近美)

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  中村岳陵の‘都会女性職譜 女給’(1933年 三重県美)

上村松園や鏑木清方の美人画に魅了されたことにより、美人画家以外の画家
が描くすばらしい出来栄えの女性画に遭遇すると敏感に反応する。そして、
これが積み重なり作品の数が増えていくと、夜空に輝く星々のような存在と
なって長く記憶にとどまる。そんな絵を選んでみた。

小林古径(1883~1957)にはびっくりするようないい絵が2点ある。
白い顔の美形の女性が目に焼きつく‘河風’。源氏物語絵巻に登場するような
女性を近代感覚に合わせて再登場させたような感じ。そして、この絵の4年
後に江戸時代の花見をする一人の女性を古典絵画風に優雅に表現している。
顔はイメージは‘河風’と同じ。

歴史画を得意とする安田靫彦(1884~1978)は秀吉や頼朝・義経な
ど男性にスポットをあてたものが多いが、女性を取り上げた作品では‘飛鳥の
春の額田王’や‘王昭君’が傑作として人気がある。そのなかで、‘綺麗な女性だ
な’、とつい見惚れてしまうのが宮城県美が所蔵する‘花の酔’。親しみの湧く
絵なので、靫彦の女性画というとすぐこの絵を選ぶことになる。

菊池契月(1879~1955)の‘少女’と中村貞以(1900~1982)
の‘爽涼’は今の時代にモデルと自然に対面できる作品。洋画家の肖像画的な
絵とちがって日本画だと女性の内面まで立ち入らず静かにみていようという
感じ。中村岳陵(1890~1969)の‘都会女性職譜 女給’はモダンな
印象をうけ、‘あるある’感覚で笑みがこぼれる。

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2026.08.20

‘昭和の日本画100選’に選ばれた傑作女性画!

Img_0003_20260820230801   土田麦僊の‘大原女’(1929年 京近美)

Img_0001_20260820230801   菊池契月の‘南波照間’(1928年 京都市美)

Img_0002_20260820230801   小林古径の‘髪’(重文 1931年 永青文庫)

Img_20260820230801   小倉遊亀の‘浴女 その一’(1938年 東近美)

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竹久夢二の‘五月の朝’(1932年 竹久夢二伊香保記念館)

アートとのつきあいがより楽しくなるためには、美術館で開催される特別展
のスケジュールや単発で流れてくる作品の情報(新たに見つかった作品、オ
ークションでついた金額、、)をしっかりつかんでおくことが必要。たとえ
ば、朝日新聞には定期的に現在、美術館で行われている展覧会の情報が一覧
となって紙面に載る。このときは手元の情報に見逃しがないか時間をかけて
ながめている。

わが家には近代日本画の名画を知る貴重な図録がある。それは1989年に
朝日新聞から出版された‘昭和の日本画100選’。日本橋の三越本店で行われ
た特別展に足を運び、日本画の魅力を目に焼きつけたが、大阪の三越だけの
出品だったり、出品されなかったものがあったので100点すべてをみることは叶わなかった。そのため、この図録に載っている作品で見逃したものを追っかける長い旅がはじまった。現在、まだ5点残っている。

100点の中から女性をモチーフにした絵にスポットをあて、そして松園の
‘序の舞’と清方の‘築地明石町’を除いた上でお気に入りの作品を5点選んでみ
た。一見ルネサンスのボッティチェリの絵をみているようなのが土田麦僊(1887~1936)の‘大原女’。ルノワールがみたら裸足で逃げるかもしれない。長野県出身の菊池契月(1879~1955)の‘南波照間’(はいはてろま)もすばらしい作品。二人の女性の背景に広がる景色は琉球。

歴史画や静物画が得意な小林古径(1883~1957)はいい女性画をいくつも描いている。その筆頭が重文に指定されている‘髪’。永青文庫ではじめてお目にかかったときは思わず背筋をしゃんとさせた。東近美にある小倉遊亀(1895~2000)の‘浴女 その一’には大きなサプライズがあった。それは浴槽のなかで揺れ動く水の巧みな描写。すごい日本画じゃないか!と思った。10月、東近美ではじまる竹久夢二(1884~1934)には季節が違うので愛らしい若い女性が描かれた‘五月の朝’は出品されないだろう。再会を期待してたが、残念!

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2026.08.19

女優・相撲取りを描いた画家たち!

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  小倉遊亀の‘コーちゃんの休日’(1960年 東京都現美)

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  橋本明治の‘女優’(1967年 東近美)

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  奥村土牛の‘踊り子’(1956年 山種美)

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  橋本明治の‘関取’(1973年 島根県美)

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  奥村土牛の‘稽古’(1966年 山種美)

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  ビュフェの‘睨み合い’(1987年 ビュフェ美)

日本画家の小倉遊亀(1895~2000)の決定版回顧展が2002
年東近美で行われたが、とても惹かれる女性画があった。モデルがすぐ
イメージできるタイトルがついている。‘コーちゃんの休日’。浴衣姿で
長椅子に横たわってこちらをみているのは‘愛の賛歌’や‘サントワマミー’
で知られるシャンソン歌手で女優の越路吹雪(知ってる人は知っている)。
院展の会場でこの絵をみたとき、コーちゃんは‘へえー、一寸、わたしの
癖でてると思わない。悪い癖みんな。手にも足つきにも、どこにもさ’と
夫に言ったという。

島根県の浜田市に生まれた橋本明治(1904~1991)は著名人を
何人も描いている。‘経営の神様’と呼ばれた松下幸之助。松竹の創業者、
大谷竹次郎。‘髭の殿下’、三笠宮寛仁親王殿下。歌舞伎の名女形である
中村歌右衛門。女性では画家と同じ山陰出身(鳥取)の女優司葉子。
この女優は森繫久彌主演の喜劇映画‘社長シリーズ’に出演しているので
お馴染みさん。いつも‘日本のオードリー・ヘップバーン’だなと思いなが
らみている。

奥村土牛(1889~1990)が1956年に描いた‘踊り子’のモデル
はバレリーナの谷桃子。ついみとれてしまう傑作。土牛はこんなことを
語っている。‘谷桃子さんのお宅へ数えきれないくらい写生に通って、
純粋従順な人柄が分った。絵描きは感情が強くモデルとの間でも気持ち
がぴったりしないと、その人は描けない。すっかり頭に入ったので、写
生に捕らわれずに描いてみた’。

相撲取りをモデルにした絵は運よく3点縁があった。もっとも本人に似
ているの橋本明治が‘関取’のタイトルで描いた大関貴ノ花。画家は横綱に
なって欲しいという願いを込めて、実際より10キロ太らせて描いてい
る。土牛の‘稽古’の登場する相撲取りは横綱栃錦がモデル。でも、まった
く似ていない。フランスの画家、ビュフェ(1928~1999)は相
撲が好きだったのか、堂々とした横綱大乃国(現芝田山親方)を描
いている。大乃国だけは眉毛も目もたれ下がっているのに、行司,勝負
審判、観客は皆つりあがっているのがおもしろい。

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2026.08.18

伊東深水 美人画のモデルとなった女優たち!

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  ‘婦人像’(1957年 山種美)

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  ‘黒いドレス’(1956年)

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  ‘巷は春雨’(部分 1955年 福富太郎コレクション)

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  ‘菊を活ける勅使河原霞女史’(1966年 草月会)

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  ‘愚痴’(1969年)

画家との距離があることがきっかけとなり、ぐんと縮まることがある。美人
画で一世を風靡して伊東深水は意外な人の父親だった。その人物は歌手で女
優の朝丘雪路。日本テレビに大橋巨泉がMCをつとめる人気の深夜番組があ
り、巨泉のアシスタントで出演していたのが朝丘雪路。天真爛漫でとてもチ
ャーミングな女性だったが、番組を楽しんでいた頃は俳優の津川雅彦の妻と
いうのはしっかりインプットされていた。

朝丘雪路が深水の娘であることを知ったのは絵画鑑賞が本格的になり、ビッ
グネームの日本画家に目が慣れたころ。ええー!? そうだったの。これに
より絵の好みだけでなく、画家に親しみを覚えるようになった。深水は
1955年に日劇ミュージックホールの楽屋裏を題材にして‘巷の春雨’とい
う風俗群像画を描いているが、下の左端にいるのが朝丘雪路。上で腕組みし
て瞑想しているのがコメディアンのトニー谷(知ってる人は知っている)。

女優の木暮実千代がモデルになった‘婦人像’も印象深い作品。いかにも華や
かな女優という印象が強く、映画のワンシーンをみているよう。一ヶ月前、
中村錦之助が主演した仁侠映画‘瞼の母’(東映 1962年)を観たが、
番場の忠太郎が探し求めた母親に扮しているのが木暮実千代。絵に描かれ
た婦人は一目で木暮とわかる。

‘黒のドレス’に登場する女性は青山学院大学在学中からファッション・モデ
ルとして活躍していた大内順子。ファッション・ジャーナリストとしてTV
に出演していた姿が記憶に少し残っている。生け花の草月流の二代目家元
勅使河原霞はTVでみたような気がするが、、映画監督の勅使河原宏は霞の
兄。回顧展でお目にかかった瞬間、びっくりしたのが‘愚痴’。モデルは徳島
生まれの日本舞踊家、竹原はんだが、平成期の紅白歌合戦の名物となった
豪華な衣装を着て唄った小林幸子が目の前にいると思った。本当によく似
ている。

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2026.08.17

伊東深水 圧を感じる美人画の魅力!

Img_0001   ‘雪の夕’(1961年)

Img_0005_20260817225301   ‘通り雨’(1949年)

Img_0002   ‘姿見’(1958年)

Img_20260817225301   ‘舞’(1956年頃 名都美)

Img_0004_20260817225301   ‘赤と白’(1956年)

伊東深水(1898~1972)は師匠の鏑木清方(1878~1972)
同様、多くのファンがいる人気の美人画家。でも、回顧展はまだ2回しか遭
遇してない。最初が京都旅行のとき偶然出会った2006年美術館「えき」
KYOTOで行われたもの。その5年後の2011年にまた平塚市美で縁があっ
た。それから15年経過したが、美術館で深水の美人画は残念なことに一度
もみてない。学芸員は深水には関心がないのだろうか。

そのため、作品の数は2つの特別展で達したMAXに上乗せがないまま。美人
画とのつきあいは生涯の楽しみだから、美人画家の図録をローテーションし
ながら定期的に楽しんでいる。そのなかで深水はクリーンナップの5番をま
かせられており、松園・清方とはちがった魅力をもつ作品がたくさんある。

深水の美人画の特徴は画面いっぱいに着物や洋服を着た美しい女性が大きく
描かれていること。しかも、色彩に力があって着物の柄まで丁寧に描写され
ているから、とても圧を感じさせる女性の絵になっている。これはラファエ
ロ前派のロセッティの女性像に前の立ったときに受ける圧の強さと似ている。

ここにあげた5点はお気に入りのベスト&ベスト。最近、登場する着物姿の女性をみる見方がちょっと変わってきた。それは200%楽しんでいる喜劇映画の‘社長シリーズ’(東宝 森繫久彌主演)の影響。このシリーズはどの作品も森繁社長らの楽しむ宴会に人気の芸者が登場し、踊りや歌を披露するシーンがでてくる。それに深水の描く美人画がかぶってくるのである。草笛光子(知ってる人は知っている)が扮する芸者はたとえば‘姿見’の女性みたいだな、とか。こんな風にみているから、モデルの女性と距離がすごく近くなる。その最たる絵が‘赤と白’に描かれた明るくて若々しい女性。この絵は1956年頃に製作された青春映画のポスターをみているよう。

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2026.08.16

鏑木清方 絶品美人画をみる楽しみ!

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‘築地明石町’(重文 1927年 東近美)

Img_0003_20260816225001   ‘いでゆの春雨’(1943年)

Img_0001_20260816225001   

‘道成寺’(1929年 大谷コレクション)

Img_20260816225001   ‘祭さじき’(1928年 福富太郎コレクション)

Img_0004_20260816225001   ‘秋の夜’(1919年 秋田県近美)

絵画をみて心が晴れやかになるのは近代日本画の美人画と西洋画で描かれた
女性たち。西洋画でも日本画でも特定の画家に限定せず、幅広くみてきたが、
図録や画集をつい手に取りたくなる画家はほぼ固まっている。上村松園と
鏑木清方、そして西洋の画家ではラファエロとルノワール。

松園、清方の絵は作品情報をもとに一枚でも多く本物をみようと、美術館巡
りをし話題となった特別展を見逃すことなく足を運んできた。清方について
は、2019年に長くゝ待った‘築地明石町’は東近美に展示されるという奇跡
のような‘大事件’があった。一番大事なピースがやっと姿を現してくれたとい
う感じ。しかも、東近美におさまったので、回顧展が開催される間隔があい
たとしても、定期的にお目にかれることになったのだから、理想的な鑑賞環境
が整えられたといってもいい。上野の東芸大美では松園の‘序の舞’、‘草紙洗小
町’に会え、竹橋へ行けば清方の代表作‘築地明石町’が楽しめる。これほど嬉し
いことはない。

清方の絶品美人画をみていると、本当に幸せな気分になる。絵のなかだけど
こんな綺麗な女性に会えることは滅多にない。この感情の盛り上がりはルノワ
ールの描く明るくふるまう女性や笑っている顔と対面したときと似ている。
‘いでゆの春雨’と‘祭さじき’に遭遇したときは天にも昇る気持ちだった。

以前鎌倉にあった大谷コレクションをみせてくれる美術館に飾られてた‘道成寺’の衝撃は半端でなかった。横に並ぶ‘鷺娘’はもうどこかへ吹っ飛んで、この赤の豪華な衣装を着た白拍子花子の華麗な姿を唖然としてみていた。そして、ぱっとみるとフィギュアスケートの浅田真央ちゃんを連想させる‘秋の夜’にも魅了され続けている。

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2026.08.15

上村松園 もっとも惹かれる美人画 ベスト&ベスト!

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  ‘序の舞’(重文 1936年 東芸大)

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  ‘草紙洗小町’(1937年 東芸大)

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  ‘鼓の音’(1940年 松伯美)

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  ‘牡丹雪’(1944年 足立美)

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  ‘楚蓮香’(1914年頃)

上村松園の美人画に魅了され続けているのはラファエロの母子像をみている
ときと同じ感情が沸き起こってくるから。ラファエロの描く聖母マリアは
宗教画なのにその優しくて品のある表情のため、理想化された女性の美では
あっても堅苦しくなくすっと絵の中に入り込める。松園の美人画にもそんな
ところがある。

松園は京都生まれの画家なのにMyベスト&ベストに登録している‘序の舞’と
‘草紙洗小町’はなぜか東芸大の所蔵となっている。お陰で大きな回顧展に遭遇
しなくても何年か待っていると東芸大美の所蔵名品展でタイミングがあうと
お目にかかれる幸運が訪れる。これは松園ファンにとっては有難い。

松園に魅せられると一度は足を運んでおきたいのが奈良にある松伯美。ここ
は上村松篁、上村淳の花鳥画も鑑賞できるので大きな満足が得られる。松園の
絵では回顧展には欠かせないピースである‘楊貴妃’、‘花がたみ’のほかにもう
ひとつ人気のある‘鼓の音’にも出会える。鼓の稽古をしている女性は安定した
三角形構図におさまっており、つい見入ってしまう。ポンと冴えわたった鼓の
音が聞こえてくるよう。

構図の良さに同じように惹かれるのが‘牡丹雪’。島根県の安来市にある足立美
で遭遇したときは思わず足がとまった。以来、この巧みな動感描写を感心し
ながら楽しんでいる。そして、一瞬これは鏑木清方の絵ではないかと錯覚さ
せる‘楚蓮香’にも200%KOされ続けている。別ヴァージョンがいろいろ描か
れているがこの絵が群をぬいて強い磁力を放っている。ゼウスのように蝶に
変身して楚蓮香のまわりを舞って美女の香りに酔いしれたらどんなに楽しい
ことか。

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2026.08.14

松園・清方 ハッとする美人画!

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  上村松園の‘楊貴妃’(1922年 松伯美)

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   ‘花がたみ’(1915年 松伯美)

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   ‘焔’(1918年 東博)

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  鏑木清方の‘遊女’(1918年 横浜美)

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   ‘妖魚’(1920年 福富太郎コレクション)

絵画作品をみていると‘この絵をあの画家が描いたの?’と戸惑うようことがあ
る。たとえば、上村松園(1875~1949)の描く美人画は品があって
清澄な感じのする女性というイメージができあがっている。そのため、中国
美人の代名詞みたいな楊貴妃が湯浴み後の姿で登場すると、あらら、、胸ま
でだして描いちゃったの!?となる。ここには妖しい空気は流れていないの
で、心臓がバクバクすることはないが、珍しい楊貴妃をみたなという思いは
長く記憶される。

この絵を所蔵する奈良の松伯美にはもうひとつ有名な絵がある。それは恋し
い人への思いが過剰に膨らみ錯乱した女性を描いた‘花がたみ’。松園は心が
病んだ患者を病院で繰り返し写生し、女性が舞う姿として表現しているが、
その近づきがたい世界の緊張感がすごく感じられる。そして、女性の感情の
激しさが凄絶な美人画になったのが‘焔’。六条御息所は燃えさかる嫉妬の思い
で体が震えんばかりだというのがこの姿をみればよくわかる。

鏑木清方(1878~1972)は極めつきの妖しい美人画を2点描いて
いる。横浜美にある‘遊女’をはじめてみたとき、いつになく心がザワザワし
た。浮世絵で遊女の絵は菊川英山や渓斎英泉で馴染んでいるが、デカタンス
遊女のイメージ。それに比べると、このモデルは肌は白く美形なのでつい長く
ながめてしまう。

この絵の2年後に描かれたのが‘妖魚’。20年くらい前、東近美であった‘アー
ル・ヌーボー展’でお目にかかったときはびっくり仰天した。これが清方の
作品!? 豊満な体に長い黒髪がまきつくように垂れ下がる官能表現にまっ
たく声が出なかった。

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2026.08.13

松園・清方 母子像 子ども絵!

Img_0001_20260813230601   上村松園の‘しゃぼん玉’(1903年頃)

Img_20260813230601    ‘母子’(重文 1934年 東近美)

Img_0004_20260813230601   鏑木清方の‘鰯’(1937年頃 東近美)

Img_0003_20260813230601    ‘汐路のゆきかい’(1959年 茨城県近美)

Img_0002_20260813230601    ‘菖蒲打’(1945年)

物書きには‘文は人なり’というように文章は書き手の人柄を表すということが
あるが、画家についても‘絵は人なり’がいえるのだろうか。どの絵にもそれが
あるとは思わないが、母子像や子どもの絵をみてると、優しい心根がでてい
るような気がすることがある。

上村松園の美人画に赤ん坊が登場するものはこれまで3点お目にかかった。
心がとても和むのが初期の作品‘しゃぼん玉’。この絵をみる度に松園は日本の
ラファエロだなと思う。59歳のとき描いた‘母子’は代表作の序の舞’とともに
重文に指定されている。赤子は顔をみせないが可愛い子と自然にイメージが
ふくらむ。

鏑木清方は母親と幼児をクローズアップでは描いてないが、庶民の暮らしのひとコマをとらえた‘鰯’にとても惹かれる。母親は小僧さんから鰯を買っており、その横に軒先を駆ける童子を描きこんでいる。清方はこういうほろっとさせる風俗画が何点もある。まわりの人を屈託なく愛する人物だったのだろう。

子どもの絵では細い竹をもった男の子と手をつないで歩く女の子が橋の手前ですれ違う光景を描いた‘汐路のゆきかひ’と、鉢巻をして菖蒲打に興じる子どもたちの絵が強く印象に残っている。3点とも2022年東近美で開催された大回顧展に出品された。

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2026.08.12

松園・清方 蛍で共演!

Img_0002_20260812230301   上村松園の‘新蛍’(1944年 東近美)

Img_0003_20260812230301    ‘初夏の夕’(1949年)

Img_0004_20260812230301    ‘新蛍’(1929年 山種美)

Img_20260812230301   鏑木清方の‘蛍’(1940年 名都美)

Img_0001_20260812230401    ‘朧駕籠’(1907年 練馬区美寄託)

近代日本画の画家で回顧展をみた回数が群を抜いて多いのが、横山大観
(1868~1958)と美人画の上村松園(1875~1949)。その
ため、二人の図録が本棚の一角のどーんと並んでいる。そうなると、手にと
ってながめることが多くなり、魅了されたその画風が心に沁み込んでいく。

そして、お目にかかった作品が増えるにつれ画家がよくとりあげるテーマや
モチーフにはたと気づく。松園は清純な感じのする女性を数多く描いている
が、そこに古来から夏の風物詩である蛍狩りが描きこまれるものが結構ある。
そのなかで一番のお気に入りは東近美が所蔵する‘新蛍’。画面の中央にいる
蛍とそれをじっと眺める美しい女性を右に配置する構図がぴたっときまって
いる。

‘初夏の夕’が松園の美人画では異色の妖艶さが感じられる作品。蛍と戯れて
いる女性が体をちょっと傾けているのがとてもいい。山種美にある20年前
に描かれた‘新蛍’とみくらべると無性に惹かれる。2010年東近美で開催された大回顧展では、最後に登場したこの絵をみて大きな衝撃をうけたことを今でも鮮明に覚えている。

鏑木清方(1878~1972)の蛍の絵はまだ2点しか遭遇してない。‘蛍’は女性を三角形の構図にして右に蛍がにぎやか飛び交っているので、蛍狩りの楽しさがストレートに伝わってくる。袖に入り込んだ蛍というアイデアが視線を惹きつける。‘朧駕籠’は心中した夫婦の物語が題材になっている。死んだ妻が生き残った夫のところへ幽霊となったやって來て、二人は楽しい時を過ごすが妻はすっと姿消してしまう。駕籠から降りた幽霊のまわりに蛍が飛んでいる場面が描かれている。

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2026.08.11

追っかけラストピース! 藤島武二

Img_0001_20260811234101   ‘芳蕙’(1926年)

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鏑木清方の‘築地明石町’(1927年 東近美)

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‘旭日照六合’(1937年 三の丸尚蔵館)

Img_0002_20260811234101   ‘東海旭日’(1932年 アーティゾン美)

東京ステーションギャラリーで関心を寄せていた前田寛治の回顧展をみることができたので、洋画家についてはひと段落ついた。これから先プラスαで幸運があるならば、古賀春江、福沢一郎の回顧展に遭遇したいのだが、実現するだろうか。

日本画に較べると洋画の特別展が開催される回数はかなり少ない。そのため、画家とつきあいが密になるのに長い時間がかかる。たとえば、ビッグネームの安井曾太郎や梅原龍三郎でさえ、まだ東近美でおこなわれる回顧展には縁がない。長年待っているのに、東近美は開催してくれない。どうして?

藤島武二(1867~1943)も東近美で期待したい画家。かりに実現したなら、作品の構成には抜かりがないはずだから、みたくてしょうがない‘芳蕙’にひょうとして会えるかもしれない。この絵は鏑木清方の‘築地明石町’同様、絵の存在を知ってから、ずーっと対面を願っているもの。‘築地明石町’のほうはなんと2019年に再発見され、奇跡の出会いが叶った。同じことが‘芳蕙’でおこることを強く願っている。

武二の風景画では旭日画のいいのが2点残っている。三の丸尚蔵館にある‘旭日照六合’となぜかアーティゾン美の平常展示で巡り合わない‘東海旭日’。‘室戸遠望’(泉屋博古館東京)などをみているが、この2点を目のなかにいれないと、‘済みマーク’がつけられない。

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2026.08.10

セミの絵!

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  鈴木其一の‘夏秋渓流図屏風’(重文 19世紀 根津美)

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  伊藤若冲の国宝‘動植綵絵 池辺群虫図’(1761~1765年 三の丸尚蔵館)

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  伊藤若冲の‘菜蟲譜’(重文 1790年 佐野市立吉澤記念美)

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  英一蝶の‘檜に蝉図’(18世紀 荻野美)

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  谷文晁の‘檜蔭鳴蝉図’(19世紀 逸翁美)

小さい頃、夏休みの楽しみのひとつにセミとりがあった。だから、うだるよ
うな暑さになってもセミの鳴き声を聞くとちょっと元気が出る。今耳に入っ
てくるのはもっとも馴染みのあるアブラゼミの‘ジージリジリジリ’。このアブ
ラゼミ、動きが鈍いので簡単につかまえられる。一方、ツクツクボウシやク
マゼミは逃げるのが速いから簡単には獲れない。抜き足差し足で最接近して
素早く網を操作してやっと手に入る。だから、うまくとらえられたときはと
ても嬉しかった。

絵に描かれたセミはほどんどアブラゼミ。これまで縁があった作品は4点だ
け。すぐ思い浮かぶのは根津美が所蔵する鈴木其一(1796~1858)
の‘夏秋渓流図屏風’。右隻が夏で向かって右から三扇目の檜にアブラゼミがと
まっている。はじめてこの屏風をみたとき、セミが描きこまれているのにす
ぐには気づかなかった。このセミのお陰で其一の虜になった。

伊藤若冲(1716~1800)の絵ではアブラゼミは2回でてくる。
‘動植綵絵 池辺群虫図’は虫がたくさん描かれているので、夫々の存在感は
とくに差がない。そして檜はここではでてこない。‘菜蟲譜’も図鑑に描かれ
たような虫のひとつとしての扱いは同じ。これは福田美でみた若冲展でタイ
ミングが合わず再会できなかった。残念!

其一と同じく檜にとまったセミを英一蝶(1652~1724)が‘檜に蝉図’
で、谷文晁(1763~1840)が‘檜蔭鳴蝉図’で描いている。
サントリー美の‘逸翁美名品展’(9/16~11/8)に出品されると嬉しいの
だが、果たして。

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2026.08.09

関西から巡回してくる期待の特別展!

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  フォンタネージの‘朝’(1855~58年 トリノ市近現代美)

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お目当ての特別展をみるためでかけた美術館では館をあとにする前に欠かせ
ないルーチンがある。それは首都圏だけでなく日本各地にある美術館・博物
館で現在あるいはこれから開催される展覧会の情報を集めること。‘前田寛治
展’を行っている東京ステーションギャラリーでは関心を寄せている特別展の
ことがわかるチラシをいろいろ手に入れた。

そのひとつが今行われている大阪市美から東京ステーションギャラリーに巡
回してくる‘水滸伝’(9/19~11/8)。浮世絵ファンでとくに歌川国芳に
ぞっこん惚れている方はこれはお楽しみの特別展かもしれない。過去にあっ
た国芳展ではこの出世作の水滸伝に登場する豪傑たちが度々披露されるので、
国芳=水滸伝というイメージが自然とできてきた。まだみてないものを含め
て何人のパワフルな姿に出会えるか、いまからワクワクしている。

大坂のほかに京都の美術館から東京にやってくるのが2つある。
京近美の‘アントニオ・フォンタネージ展’は三菱一号館美で10/17~
2027/1/24に行われる。いくつかわかっている出品作のなかでとても
気になっているのがトリノ市近現代美が所蔵する‘朝’。日本の洋画の恩人で
あるフォンタネージなので、これは見逃せない。

あとひとつ注目しているのは京博で秋に行われる‘源氏物語王朝のかがやき’
(10/6~11/29)。これは東博で来年の1/19から楽しめる。チラシ
には‘千年以上われわれを魅了し、いまや世界に広がる「源氏物語」。京都・
東京の両国立博物館が総力を挙げてその華やかな美と魅力をお届けする、か
つてない大展覧会です’とある。期待して待ちたい。

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2026.08.08

前田寛治の仲間たち!

Img_20260808222401   里見勝蔵の‘マリーヌの記念’(1924年 鳥取県美)

Img_0001_20260808222401   長谷川利行の‘汽罐車庫’(1928年 鉄道博)

Img_0004_20260808222401   前田寛治の‘二人の労働者’(1923年 大原美)

Img_0003_20260808222401   佐伯裕三の‘靴屋’(1927年 大阪中之島美)

Img_0002_20260808222401   

福沢一郎の‘メトロ工事’(1929年 東近美)

はじめての前田寛治(1896~1930)の回顧展(東京ステーションギ
ャラリー 7/4~8/30)では寛治の主要作品が多くみれただけでなく、
仲間たちのいい絵がいくつもでてきた。このなかには作品にお目にかかった
画家もいるが、知らない画家がその倍以上いる。参考資料として前田寛治
とその仲間たちと一緒に撮った写真が並んでいるので、時間をかけてどんな
顔をしているのか興味深くみていた。

顔をみてわかるのは佐伯祐三(1898~1928)だけで、ほかの画家は
これらの写真によりやっと名前と顔をくっつけることができた。風貌がつか
めた里見勝蔵(1895~1981)は以前から関心を寄せていたが、今回
はブラマンク風の画風が印象的な‘マリーヌの記念’に惹きこまれた。
前田寛治展が行われたから、次は里見勝蔵という思いはある。期待したい。

佐伯祐三の‘靴屋’の前ではかつてみた記憶がすぐよみがえった。パリに住ん
でいる靴職人の仕事ぶりがとてもうまくとらえられている。日本の画家が描
いた感じがせず、ヨーロッパの画家たちと同じ土俵で自分流の表現を生み出
しているのがスゴイ。同じことは前田寛治の‘二人の労働者’にもいえる。

労働の強いエネルギーが画面いっぱいにでているのが福沢一郎(1898~
1992)の‘メトロ工事’。これは東近美の通常展でみた実感がない。今回
ビッグなオマケだったのは長谷川利行(1891~1940)の‘汽罐車庫’。
思わず足がとまった。これまで数点しか縁のなかった長谷川利行にこんないい
絵があったとは。すばらしい!

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2026.08.07

なぜか気になるロン・ミュエクの彫刻!

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  ‘イン・ベッド’(2005年)

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  ‘エンジェル’(1997年)

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  ‘買い物の中の女’(2013年)

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  ‘マスクⅡ’(2001~02年)

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  ‘マス’(2016~17年)

4月29日から六本木ヒルズの森美で開催されている‘ロン・ミュエク’
(9/23まで)をみてきた。森美と森アーツセンターギャラリーで特別展
をみるのは久しぶりなので、美術館にたどり着くのは地下鉄のどこの駅で
下車するのか、あらためて地図で確認した。日比谷線の六本木駅で降りて
美術館に向かっているとだんだん過去の記憶がよみがえってきた。

今年の展覧会情報を手に入れたとき、大きな彫刻を制作しているオースト
ラリア生まれのロン・ミュエク(1958~ 英国在住)の回顧展がすご
く気になった。それはつくられた彫刻が異様に大きいことが刺激になって
いる。大げさにいうとガリバーのような巨人の彫刻なら一度みてみたい。
そのイメージをもって会場を進むと、ありました、ありました!‘イン・
ベッド’のタイトルがついた大きな顔をした女性がベッドに横たわっている。
普通の人間の4倍くらいありそう。そのため、目をあわせて‘はじめまして’
くらいのことは言えそう女性なのに体がフリーズしてダメだった。

そのあと、‘エンジェル’をみて面食らった。ええー、大きい作品ばっかりじ
ゃなかったの?逆に男性はどうしてこんなに縮こまってしまったの?それ
にエンジェルにはとても似合わない悩める男性と対面している。じっとみ
ていて作家は、ドレスデンの国立絵画館にあるラファエロの傑作‘システィ
ーナの聖母(サンシストの聖母)’に描かれた可愛らしい仕草をする二人の
天使を意識したのではないかと思った。

街を歩く赤ん坊を抱いた女性に出くわしたようで、すっと作品に近づける
のが‘買い物の中の女’。これなら一緒に歩いて行ける。最後のほうの部屋で
また男性の大きな顔が横になっている‘マスクⅡ’が現れた。作家自身の顔と
いうが、興味がわいたのが綺麗に剃った髭をどうやってつくったのか?
少し長い髪を一本々植え込み、それを剃刀でカットしていったのだろうか。
今回全部で11点が出品されているが、ラストはデカい頭蓋骨が100点
どどっと迫ってくる‘マス’。意外にも頭蓋骨の怖さをあまり感じなかった。
それは白の頭蓋骨だからかもしれない。人気のミュージカル‘オペラ座の怪
人’の白いマスクをみている感覚だった。

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2026.08.06

予想を大きく上回る‘前田寛治展’!

Img_0001_20260806223801   ‘黒衣婦人像’(1925年 東近美)

Img_20260806223801   ‘J・C嬢の像’(1925年 倉吉博)

Img_0003_20260806223801   

‘立っている労働者’(1924年頃)

Img_0002_20260806223801   ‘福本和夫氏像’(1927年 鳥取県美)

Img_0004_20260806224201   ‘メーデー’(1924年頃)

昨年12月、府中市美でみた‘小出楢重展’をきっかけに洋画家の質の高い回顧
展に遭遇する幸運に恵まれており、今年は3月に泉屋博古館東京の‘鹿子木孟
郎展’に最接近し、それから5ヶ月が経ち、期待値の高かった‘前田寛治 ポエ
ジイとレアリスム’(7/4~8/30)を東京ステーションギャラリーでみて
きた。

前田寛治(1896~1930)は鳥取県出身の洋画家であることは知って
はいるが、肝心の作品をみたのはわずか5点しかない。でも、いつか回顧展
に出会うことを夢見ていたのは‘赤い帽子の少女’(1926年 兵庫県美 
今回は出品されてない)の魅了され続けていたから。その願いがようやく叶っ
た。しかも、主要作品がどどっと集結した大回顧展。長く待った甲斐があった。
東京での展示が終わると次の2ヶ所を巡回する。
☆鳥取県美    10/10~12/3
☆和歌山県近美  2027/2/20~3/28

全部で104点でているなかで長く見ていたのは女性像2点と男性像2点。
東近美でお馴染みの‘黒衣婦人像’は今回もっとも惹かれた作品。回顧展がいい
ところはたくさんの作品が並ぶので、いい絵が揃うなかでこれが完成度では
一番かなというのがわかること(あくまで自分の好みではあるが)。この絵
の横に飾ってあった‘J・C嬢の像’もすばらしい出来栄え。はじめてお目にかか
るが倉吉博物館が所蔵している。大収穫である。

男性像にも思わず見入ってしまう傑作があった。大きめの縦長の画面に描かれ
た‘立っている労働者’。こんないい絵が毎日眺められる個人コレクターが羨ま
しい。そして、緑のネクタイと黒い眼鏡が強く印象に残る‘福本和夫氏像’に大
変惹かれた。これは鳥取県美にある。労働者の群像表現‘メーデー’は赤のパワ
ーがすさまじかった。瞬間的に未来派のボッチョーニの絵が頭をよぎった。

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2026.08.04

佐藤康宏著 ‘日本美術史’!

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普段歩いている散歩のコースを離れて、少しばかり電車に乗って目的の街に
まで足をのばし、そこでぶらぶら歩きをすることがある。今日はデパートで
買い物をしたあと、そこに店を出している馴染みの大手本屋に寄ってみた。
久しぶりなのでいつもの‘ブルーバックス’と文庫のコーナーで何か新しい本
があるか物色していた。

すると、‘犬も歩けば棒に当たる’がおこった。ひょいと現れたのは角川ソフ
ィア文庫の佐藤康宏著 ‘日本美術史’(1800円税別)。発行日をみると先
月の25日。できたてほやほやの新刊だった。表紙に使われている絵は江戸
琳派の鈴木其一が描いた‘朝顔図屏風’。すぐレジへもっていった。

佐藤氏は伊藤若冲の研究でいい仕事されている方で、2020年まで東京大
学の教授をされていた。2019年河出書房新社からでた‘若冲伝’で楽しませ
てもらったから、この本も敏感に反応した。だから、帰りの電車のなかで
早速読みはじめ、帰宅してからもざざっと頁をめくった。

日本美術史の本でよく読んでいるのは加藤周一セレクション3 ‘日本美術の
心とかたち’(2000年 平凡社)。そして、中国絵画については、
内藤湖南の‘支那絵画史’(2002年 ちくま学芸文庫)が愛読書。佐藤氏の
‘日本美術史’はまったく知らなかったが、運よく手に入った。
‘セレンディピティ’(思わぬ幸運に偶然出会う能力)が高くなっていたのだろ
う。いい本であることはすぐわかるから、これも長く座右の書になりそう。

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2026.08.03

ドジャース 最強左腕のスクーバルを獲得!

Img_20260803224401  トレードでドジャースに移籍したタイガースのスクーバル

今日はスゴイ話が入ってきた。ドジャースがトレードにより大リーグ最強左
腕のスクーバル(ア・リーグ タイガース)を獲得した。サイ・ヤング賞2
度のいい投手がドジャースの先発陣に加わったのだから、ドジャーズファン
としては最高に嬉しい!

ドジャースの地区優勝は間違いないので、関心はワールドチャンピオン3連
覇にむけてのポストシーズンの戦い方のほうにむかっている。短期決戦の
ディビジョンシリーズ(5戦)、リーグチャンピオンシップシリーズ(7戦)
、ワールドシリーズ(7戦)を勝ち上がって、目標の3年連続ワールドチャン
ピオンが実現する。過去にア・リーグではヤンキースとアスレチックスが成
し遂げているが、ナ・リーグはまだない。

勝利の鍵を握るのはやはり投手力。レギュラーシーズンではドジャースは
6人で先発ローテーションをまわしているが、PSでは強力な4人がいれば
いい。その4人が誰なのか?いろんなことが考えられる。今は大谷は左膝が
完全に治らないと投げないので山本、ロブレスキー、新加入のスクーバル、
佐々木、シーハン、復帰が近いスネルとちょっと遅れるグラスノーの7人
(途中加入でいい投球を続けていたラウアーはブルペンに配置転換される。
そして、グラスノーが戻ってくるとシーハンが外れる)。

大谷は9月中旬くらいまでは打者専任で出場するのではないか。復帰する
グラスノーが春先の良かったピッチングができるのか心配。先発陣は後半
戦いい投球が続いている佐々木、山本、スクーバル、スネルが軸になるだろう。オールスターに出場したロブレスキーは前半戦のように勝ち星を増やすのは難しいような気がする。

そこでPSに投げる先発4人、これは大谷、山本、スクーバル、スネルの
黄金カルテットで決まり。わくわくする布陣である。

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2026.08.02

浮世絵師 花火で競演!

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  歌川広重の‘名所江戸百景 両国花火’(1858年)

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  葛飾北斎の‘江都両国橋夕涼花火之図’(19世紀)

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  歌川国芳の‘東都名所 両国の涼’(1830~43年)

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  歌川豊国の‘両国花火之図’(1804~17年)

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  豊原国周・井上安治の‘両国花火夕涼之景’(1887年)

全国各地で行われる花火の賑わいがメディアで報じられると、手がすっと伸
びていくのが浮世絵の図録。2010年、江戸東博で隅田川に焦点をあてた
特別展‘隅田川 江戸が愛した風景’が行われた。これはわが家のお宝図録の
ひとつ。

四季を通じて最大のエベントである両国花火を描いた浮世絵がどどっと掲載
されている。一番のお気に入りは歌川広重(1797~1858)の‘名所江
戸百景 両国花火’。縦長の画面に打ちあがる花火の見慣れた光景がじつに印
象的に表現されている。今は技術のレベルが当時に比べると格段とあがり、
こんな細部もいっぱいみせます、感動MAXはまだ続きます、、と言う感じの
エンタテイメント性の強い花火へと進化しているが、原点はこの絵のような
光景だった。

葛飾北斎(1760~1849)の花火は両国橋の向こうに花火を輝かせ、
手前は花火を楽しむ多くの人々と立ち並ぶ屋台の様子がびっしり描きこまれ
ている。人物の描写がさらに生き生きしているのが歌川国芳(1797~
1861)の絵。異色の花火の絵で遠くの空の雲などにみられるように洋風
画の影響がでている。物売り舟が酒宴をしている納涼舟の横につけて水菓子
(果物)を差し入れているのがとてもおもしろい。美味しいものを食べて
花火見学なら‘人生最高の瞬間!’だろう。

大勢の群衆が両国橋の上を歩きながら、花火に浮き浮きしている様子が伝わ
ってくるのが歌川豊国(1769~1825)の‘両国花火之図’。人々の表情
ではつい女性に視線が集まるが、花火を背景にした美人画をみていると思っ
た方が楽しい。それをもっと感じさせるのは女性を豊原国周(1835~
1900)が、井上安治(1864~1889)の絵。これは明治20年
(1887)に描かれた。

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2026.08.01

増えてきた本タイプの展覧会図録!

Img_0002_20260801232101   ‘小出楢重 新しき油絵’(2025年12月 府中市美)

Img_0003_20260801232101   ‘絵巻と絵本のたからばこ’(2026年4月 東博)

Img_20260801232201   ‘日本画の革命児 今村紫紅’(2026年4月 横浜美)

Img_0001_20260801232201   ‘山口華楊展’(2026年7月 SOMPO美)

Img_0004_20260801232201   ‘ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち’(2026年4月 宇都宮美)

Img_0005_20260801232201   ‘モネー連作の情景’(2023年10月 上野の森美)

美術館で展覧会をみたあとはその図録をミュージアムショップで購入するの
がお決まりのルーチン。そのため、どんどん増えていく図録を置いておく
場所を確保するのに頭を使っている。居場所が決まる(わが家では均衡した!
と言っている)と気持ちがぐっと落ち着く。

最近目立ってきたのが本タイプの図録。以前につくられた図録にくらべるとコンパクトなものが多くなった。先月初日にでかけた‘山口華楊展’を楽しんだあと手にした図録は本の頁をめくるようにして感動を再生した。横浜美で開催された‘没後110年 日本画の革命児 今村紫紅’(6月で終了)の図録は予想に反して大きくない図録だった。これも手によく馴染み愛着の湧くものになっている。

名の知れた出版会社でつくられる図録が増えてきたのも最近の傾向。府中市美であった‘小出楢重 新しき油絵’(昨年末出動)はあの青幻舎の発行。そして、今年の春、東博で行われた‘アイルランド チェスター・ビーティー・コレクション 絵巻と絵本のたからばこ’は東京美術から売り出されている。

西洋絵画の特別展でつくられた図録では宇都宮美でみた‘ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美所蔵’が手元にあるゴッホ展の図録にくらべるとぐんと小さい。これも本を読んでいるような感じ。2023年の秋、上野の森美で開催された‘モネー連作の情景’もゴッホ同様、何冊も並んでいる過去のモネの図録のなかでは異色の小型版。

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