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2026.05.31

福田美術館 ‘若冲にトリハダ!野菜もウリ!’

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  ‘蕪に双鶏図’(18世紀)

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  ‘群鶏図’(1791年以前)

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  ‘果蔬図巻’(部分 1790年以前)

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  ‘鳳凰図’(18世紀)

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  ‘鯉魚図’(18世紀)

京都で美術館まわりをするとき、ここ数年足を運ぶことが多くなった美術館
がある。それは嵐山、渡月橋のすぐ近くにある福田美。JR山陰本線の嵯峨
嵐山駅から徒歩15分くらいで到着する。その途中で目にする人々の光景は
8割が外国人観光客。渡月橋は外国人には人気の観光スポットのようで今回
も大賑わいだった。

福田美では現在、‘若冲にトリハダ! 野菜もウリ!’(4/25~7/5)が行
われている。作品の数は全部で43点。館内はスマホ撮影OKだから、皆
バシバシ撮っている。これほど多くの伊藤若冲(1716~1800)を楽
しむのは久しぶり。ここはいつも図録はつくらないから、スマホで一枚残ら
ず撮ったが、ミュージアムショップに寄ると今年の4月にできた図録2冊、
‘福田コレクション 伊藤若冲’と‘果物蔬図巻と菜蟲譜’がどっと積まれていた。
美術館にとって若冲のコレクションはたくさんの人を呼び込む‘キラーコンテ
ンツ’。若冲ファンにはこれはビッグなお宝図録、即購入した。

彩色画で特に惹きこまれたのが雄鶏の頭が異様な曲がり方をしている
‘蕪に双鶏図’、可愛い雛たちの姿に肩の力がぬける‘群鶏図’。若冲というとす
ぐ鶏がイメージされるので、この2点が鶏図グループに加わったのは大きな
喜び。そして、2023年ベルギーで見つかったという‘果蔬図巻’が今回の
訪問目的である意中の作品。若冲が76歳以前の作で50種類の果物や野菜
が明るい色彩で描かれている。この絵のあとに描かれたのが佐野市立吉澤記
念美が所蔵する‘菜蟲譜’(重文)。2点が並んで展示される期間が2回あり、
1回目は終わり、2回目は6/20~7/5となっている。

墨の絵で思わず足がとまったのがS字曲線が躍動感を生んでいる‘鳳凰図’と
ボリューム感のある二匹の鯉が描かれた‘鯉魚図’。これから、この自慢の若冲
コレクションは公開の回数が増えてくるような予感がする。京都での楽しみ
のひとつになった。

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2026.05.30

お宝美術品が続々登場する特別展‘北野天神’!

Img_0001_20260530214801   ‘束帯天神像(根本御影)’(14世紀 北野天満宮)

Img_0002_20260530214801   ‘松崎天神縁起絵巻’(重文 1311年 防府天満宮)

Img_0003_20260530214801   国宝‘十一面観音立像’(1224年 大報恩寺)

Img_20260530214801   長谷川等伯の‘弁慶・昌俊図絵馬’(重文 1608年 北野天満宮)

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Img_0005_20260530214901   海北友松の‘雲龍図屏風’(重文 17世紀 北野天満宮)

神(天神)となった菅原道真の神像はこれまでいくつかお目にかかったが、
最も古いと言われる北野天満宮蔵の‘束帯天神像’はまったく縁がなかった。
この絵が最初の展示室に飾られている。見逃せないのが眉や目が怒ってい
るように鋭く描かれていること。平安貴族の束帯姿で描かれたこの束帯天
神は会期中に全部で8点でてくる。

‘北野天神縁起絵巻’は最優品とされる‘承久本’のほかにもいろいろ作られた。
山口県の防府天満宮にある‘松崎天神縁起絵巻’は庭に咲き誇る梅の花に別れ
を告げる道真の切ない心情がひしひしと伝わってくるので、‘東風(こち)
吹かば匂ひおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春を忘るな’を思い出し
ながら、つい長くみてしまう。

今回大きなオマケだったのがはじめて遭遇した国宝の‘十一面観音立像’。
国宝の仏像彫刻ではなぜか強く印象付けられていなかったから、食い入る
ようにながめた。ふっくらした顔とその鋭い目がズキッときた。これは過去
にあった国宝展などに登場したことがあったのだろうか。即‘My好きな仏像’
に登録した。

もうひとつの幸運な巡りあわせだったのが長谷川等伯(1539~1610)
の圧倒される大きさの‘弁慶・昌俊図絵馬’。2010年、東博で開催された
‘長谷川等伯展’ではこれは図録に載っているが、展示されたのは京博だけ。
だから、16年ぶりのリカバリー。これは有難い。そして、再会した海北友松
(1533~1615)の‘雲龍図屏風’もテンションが一気に上がる。この龍
は爺さん龍。眉毛をみると笑いがこぼれる。龍図の名手、友松だからヴァリ
エーションをいろいろみせてくれる。

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2026.05.29

京博で国宝‘北野天神縁起絵巻’の全巻・全場面公開!

Img_0004_20260529222401   国宝‘北野天神縁起絵巻 巻第四 第四段’(1219年 北野天満宮)

Img_0001_20260529222401   ‘巻第五 第四段’

Img_20260529222501   ‘巻第六 第三段’

Img_0003_20260529222501   ‘巻第八 餓鬼道’

Img_0002_20260529222601   ‘巻第八 修羅道’

27日(水)、朝早く起きて京博で開催されている‘特別展 北野天神’
(4/18~6/14)をみてきた。この展覧会は今年わが家にとっては一
番みたかったものだが、出動が遅くなったのは史上初めて全巻・全場面公開
される国宝‘北野天神縁起絵巻(承久本)’のお目当ての2つの場面が5/26
~5/31にでてくるから。

この絵巻は過去にあった国宝展などでお目にかかる機会はあったのに、美術本で知りいつかこの場面をと願っていたものは展示そのものがなかったり、あるいは展示替えでみることができず、残念な思いを長くひきずっていた。それがようやく解消されるのだから嬉しくてたまらない。これまでみる可能性がなかったのが‘巻第五 第四段’。筑紫国で失意のうちに客死した菅原道真(845~903) はほどなくして雷神となって清涼殿に黒雲とともに現れる。でも、この雷神は恐怖心をかきたてられるというほどでもなく、どこかユーモラスで戯画チックに描かれている。そうはいっても公卿たちは大混乱、慌てすぎて廊下から下にダイブする格好で転げ落ちる者もいる。そのなかで左端で太刀を構え、‘俺が相手になるぞ’と意気軒高な姿をみせているのが道真の左遷を企てた左大臣藤原時平。

道真の死後30年を経て、再び清涼殿に落雷があり多くの貴族が死んだ。それを描いた‘巻第六 第三段’をようやくみることができた。天にも昇る気分だった。ボリューム感のある黒雲とともに天神となった菅公の使者の雷神がどーんと出現する。左右に描かれた逃げ惑う公卿たちは雷神のパワーで体が回転し、宙に舞っている。この表現がじつにおもしろい。これと似たような宇宙遊泳を連想させる人物描写を試みたヴェネツィア派のティントレットが思い浮かんだ。

‘巻第四 第四段’は大宰府のボロ屋同然の家に住んだ道真が重陽の9月9日の節会で1年前、帝から授かった御衣を前に涙を流す場面が描かれている。部屋の左奥にいる白い狩衣姿の人物が道真で、家来たちも涙に目頭を押さえている。‘巻第七’は後期(5/19~6/14)の展示がなく炎の赤が怖さを増幅させる‘地獄道’はみれなかったが、‘巻第八 餓鬼道 修羅道’で赤パワーに圧倒されたので、もって瞑すべしとなった。

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2026.05.28

‘NHK 日曜美術館 50年展’!

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  ムンクの‘マイスナー嬢の肖像’(1907年 ひろしま美)

Img_0001_20260528215701   石田徹也の‘飛べなくなった人’(1996年 静岡県美)

Img_0004_20260528215701   諏訪敦の‘大野一雄’(2006~08年 作家蔵)

Img_0002_20260528215701   安藤緑山の‘竹の子に梅 象牙置物’(大正∼昭和初期 京近美)

Img_0003_20260528215701   舟越桂の‘水に映る月蝕(2003年)

東芸大美で行われている‘NHK 日曜美術館 50年展’(3/28~6/21)
にみてきた。‘30年展’のときもここでみたので、どういう構成でどんな
展示スタイルかは頭に入っている。‘NHKの日曜美術館’は美術番組の王様の
ような存在だから、過去に取り上げられた美術品は誰もが鑑賞したいものと
か、まだ世に知られていない作家のものに光を当てその後ブレイクしたもの
など、一回々の番組が話題になり美術シーンに大きな影響を与えることが多
い。それが50年も続いているのだから、見逃すわけにはいかない。

過去にTVの前にいた番組でも全部が記憶にとどまっているわけではない。
さらに、なにかの拍子で見逃すこともある。そのため、出品作が新鮮に映る
ものには思わず足がとまった。なぜかこの絵を何度も通ったひろしま美でみ
たという実感がないのがムンク(1863~1944)の‘マイスナー嬢の肖
像’、その美形にとても惹かれた。ムンクの欠かせないピースのひとつになり
そう。

また、はじめてお目にかかった作品で興味深くみていたのはドキッとするほ
ど強いインパクトをもつスーパーリアリズム絵画の‘大野一雄’。描いたのは
諏訪敦(1967~)。昨年の10月,千葉のホキ美へ行ったとき諏訪敦の
作品に期待していたが、展示されていたのはそれに応えてくれるものではな
かった。だから、この老人になったダンサーの絵は胸に刺さった。府中美で
開催された回顧展(2022年)に出かけなかったことを後悔している。

彫刻では安藤緑山(1885~1959)の象牙の置物‘竹の子に梅’と‘蜜柑’
に目が点になった。緑山は知ってはいるが作品にお目にかかったのはほんの
数点、この2点との出会いはエポック的な鑑賞体験になった。これだから
美術館巡りはやめられない。これまで運よく回顧展に巡りあい大きな衝撃を
うけた石田徹也(1973~2005)の‘飛べなくなった人’と舟越桂
(1951~2024)の‘水に映る月蝕’と再会したのも大きな収穫。
今回つくられた図録は求龍堂から出版されており、すばらしい出来栄えに
なっている。わが家のバイブル的な美術本が一冊増えた。

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2026.05.25

ワイエス ベスト&ベスト!

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  ‘クリスティ―ナの世界’(1948年 MoMA)

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  ‘遥か彼方に’(1952年 ジェイミー・ワイエス夫妻)

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  ‘ドイツ人’(1975年 アンドリュー・ワイエス夫妻)

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  ‘ペンテコースト’(1989年 アンドリュー・ワイエス夫妻)

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  ‘激流’(部分 2003年)

ワイエス(1917~2009)の回顧展で縁のあったものは次の4回。
☆‘アンドリュー・ワイエス展’ 2007年 青山ユニマット美
☆‘アンドリュー・ワイエス―創造への道程’ 2008年 Bunkamura
☆‘アンドリュー&ジェイミー展’ 2016年 ティッセン=ボルネミッサ美
☆‘アンドリュー・ワイエス展’ 2026年 東京都美

そして、海外の美術館を訪問したときに運よく3点お目にかかった。
☆‘クリスティ―ナの世界’(1948年 MoMA)
☆‘酒類密輸入者’(1945年 メトロポリタン美)
☆‘アルバートの息子’(1959年 オスロ国立美)

美術家の作品を満足のいくレベルで楽しむために遭遇する回顧展の回数は理
想的には3回。これにワイエスは達することができた。全作品が載った美術
本が手元にないので、あとどのくらいいい絵が残っているかわからないが、
2016年にマドリードにあるティッセン=ボルネミッサ美で開催されてい
た‘アンドリュー&ジェイミー展’に偶然出会ったお陰で主要作品については
かなりの数が目のなかに入ったような気がする。さらに今回予想だにしなか
ったホイットニー美蔵の‘冬の野’が東京都美に現れてくれた。となれば、ワイ
エスは‘済みマーク’画家に仲間入りできそう。

さて、もしワイエスの絵を5点さしあげるといわれたらどれにするか。
代表作の‘クリスティーナの世界’、マドリードでみた次男のジェイミーをモ
デルにした‘遥か彼方に’、2003年に描かれたダイナミックな風景画‘激流’
はまず外せない。残りの2点は候補はほかにも数点あったが、最終的にはと
ても惹かれる人物画の‘ドイツ人’と漁の網の精緻な描写が強く印象づけられ
る‘ペンテコースト’に決めた。

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2026.05.24

待望の‘ワイエス展’!

Img_20260524224001   ‘クリスティ―ナ・オルソン’(1947年 マイロン・クニン・コレクション)

Img_0001_20260524224001   ‘冬の野’(1942年 ホイットニー美)

Img_0002_20260524224101   ‘クリスマスの朝’(1944年 マイロン・クニン・コレクション)

Img_0004_20260524224101   ‘マザー・アーチ―の教会’(1945年 アディソン・ギャラリー)

Img_0003_20260524224101   ‘粉挽き場’(1962年 フィラデルフィア美)

今、東京都美で開催されている待望の‘アンドリュー・ワイエス展’
(4/28~7/5)をみてきた。アメリカの国民的な画家であるワイエス
(1917~2009)の回顧展に遭遇する機会は滅多にないことなので、
大きな期待をもって1年前から待っていた。東京都美のあと、豊田市美
(7/18~9/23)、あべのハルカス美(10/3~12/6)にも巡回
する。

出品作の数はテンペラ、水彩を中心に全部で102点。そのなかでチラシ
にアイキャッチとしてどんと使われているのは‘クリスティ―ナ・オルソン’。
彼女は小児麻痺のため足が不自由なのだが、この絵ではそれはわからない。
この素のままのクリスティ―ナとくらべるとNYのMoMAにあるワイエスの
代表作‘クリスティ―ナの世界’では違う人物のように脚色されている。

今回絵の前で大喜びだったのが‘冬の野’。また、ホイットニー美を訪問する
機会があったら、なんとしても会いたかったワイエスの絵なのになぜかチ
ラシには載せていない。手前で横たわるカラスの死骸のイメージが強すぎ
るから、別の作品にしたのかもしれない。枯れた草花のリアルな質感描写
と一緒に長くみていた。

ワイエス流の細密描写がぐさっとくるのは神秘的なシュールさに強く惹き
つけられる‘クリスマスの朝’や部屋の中で白く輝く羽をばたばたさせいる鳥
に視線が集中する‘マザー・アーチ―の教会’でも同じ。だんだん、ワイエス
の世界に嵌っていく。そして、日本で再会したフィラデルフィア美蔵の
‘粉挽き場’の静謐極まりない風景画によりワイエスの魅力を確信した。

2016年、スペインで観光旅行をしたとき、運よくマドリードのティッセン・ボルネミッサ美で巡り合った‘ワイエス親子スタジオのアンドリューとジェイミー’展は‘遥か彼方に’や‘激流’などが天にも昇る気持ちにさせてくれた。ここに‘クリスティ―ナ・オルソン’が出品されており、ほかにも‘恋人たち’や肖像画の‘マガの娘’が目を楽しませてくれた。3度目の回顧展となる東京都美の特別展は数ではティッセン・ボルネミッサには叶わないがワールドクラスのワイエス展。NHKの日曜美術館は6月にとりあげるのだろうか。

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2026.05.22

追っかけラストピース! ロートレック

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  ‘ムーラン街のサロン’(1894年 トゥールーズ=ロートレック美)

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  ‘ソファ’(1894年 メトロポリタン美)

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  ‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットにて’(1889年 シカゴ美)

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 ‘ムーランルージュから出るジャンヌ・アヴリル’(1892年 ワーズワース美)

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  ‘酒場のイギリス娘’(1899年 トゥールーズ=ロートレック美)

画家の描く人物をみてとても惹かれることが多いのは、肖像画よりはスナッ
プ写真のように風俗画的にその姿をとらえたもの。印象派でその名手といわ
れるほど上手いのはマネ(1832~1883)、ドガ(1834~
1917)、ロートレック(1864~1901)。印象派の作品をみる機
会が増えるたびにその思いが強くなっている。

ロートレックはポスター画より油絵のほうに惹かれているのはアメリカの美
術館でロートレックをたくさんみることができたから。数が多いのが娼婦た
ちを描いたもの。その最もみたい絵が数点残っている。メトロポリタンで
なぜか姿をみせてくれない‘ソファ’はおしゃべりしている二人の娼婦の目つき
がじつにリアルで映画のワンシーンをみるような感じ。

客を待つ娼婦たちを絶妙な構図で表現した‘ムーラン街のサロン’でロートレッ
クはクセがあり気持ちがすわっている女性を威厳のある姿で描いている。
彼女たちと寝起きを共にしていたから、心情的に寄り添う姿勢がそのまま出
ている。シカゴ美で残念ながらお目にかかれなかった‘ムーラン・ド・ラ・
ギャレットにて’は手前で大きく描かれている三人の女性と一人の男性の間に
流れる空気感が娼婦の群像描写とどこか似ている。

ポスターによく登場するロートレックのお気に入りの踊り子ジャンヌ・アヴ
リルの素の表情がうかがえる‘ムーランルージュから出るジャンヌ・アヴリル’
に鑑賞欲を強く刺激される。舞台でみせる顔とはまるで違い、なにか思いに
ふける内面性がでている。これに対し、‘ル・アーブルの「スター」のイギリ
ス娘’は画面いっぱいに描かれた娘のはじける笑顔が印象深い。

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2026.05.20

追っかけラストピース! ドガ

Img_20260520230301   ‘カフェ・コンセール アンバサドゥ―ルにて’(1876~77年 リヨン美)

Img_0001_20260520230301   ‘カフェ・コンセール’(1876~77年 コーコラン美)

Img_0004_20260520230301   ‘カフェのテラスにて’(1877年 オルセー美)

Img_0002_20260520230301   ‘花束を持った踊り子’(1878年 ロード・アイランド・デザイン学校)

Img_0003_20260520230301   ‘浴槽’(1886年 ファーミントンヒル=ステッド美)

大リーグのオールスターのように印象派&ポスト印象派の画家を9人選ぶと
すると、そのメンバーはこうなる。マネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、
ドガ、ロートレック、スーラ、ゴッホ、ゴーギャン。このなかで回顧展を
体験してないのはスーラだけ。数が圧倒的に多いのがモネとゴッホ。一回
だけというのはマネ、セザンヌ、ドガ。

オルセーを訪問する前はドガ(1834~1917)への思い入れはあまり
なく、関心の向かう先はモネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーギャンだった。
それがドガの本物の絵をみて評価ががらっと変わった。その決定打となった
のが何にも感動を示さないようなうつろな表情をして強いお酒アブサントを飲んでいる女が描かれた‘アブサント’。もともと風俗画への関心が高いのでこういう繫栄するパリの影の部分を描いた絵には敏感に反応する。

ドガは踊り子の画家というイメージが強いが、日常生活のなかの女たち、たとえば洗濯女などの姿を描いた作品に強く惹かれている。また、カフェ・コンセールのような娯楽場で観客を楽しませる歌手やダンサーにも体が最接近していく。いつかこの目でと強く思っているのはリヨン美が所蔵する‘カフェ・コンセール アンバサドゥ―ルにて’と店内の活気がよく似ているワシントンのコーコラン美にある‘カフェ・コンセール’。はじめてのコーコランではこれが必見リストの一列に記されていたが、なぜか姿を現してくれなかった。なんとかリカバリーしたい。

ドガへの欲張りな気持ちはオルセーにある‘カフェのテラスにて’や浮世絵の描き方に影響受けた‘花束を持った踊り子’、顔はみせないがぐっと惹きこまれる‘浴槽’にも広がっていく。

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2026.05.19

追っかけラストピース! モネ

Img_20260519231601   ‘エプト川のボート遊び’(1890年 サン・パウロ美)

Img_0001_20260519231601   ‘シュザンヌとひまわり’(1890年)

Img_0002_20260519231601   ‘春の果樹園’(1886年)

Img_0003_20260519231601   ‘王女の庭園’(1867年 オハイオ オーバリン・カレッジ)

Img_0004_20260519231601   ‘国会議事堂、テムズ河への反映’(1905年 マルモッタン美)

美術館へ出かけて特別展を鑑賞したあとは出品作からもらった感動を長く心
にとどめておくため、図録を購入するのがお決まりのルーティン。その値段
は今は3000円をこえることが当たり前のようになっているが、出費の多
さには目をつむりせっせと買い込んでいる。

数年前からブックオフや神田の古本屋でも図録を購入しており、回顧展が
なかなか実現しない作家も手にとることが多くなった。また、まったく知ら
なかった特別展の図録が目の前にあらわれ、その幸運さに感激することもあ
る。そのひとつが大好きなモネ(1840~1926)の2001年に開催
された‘クロード・モネ展’。このころは広島で仕事をしていたので、情報が
すり抜けていた。

そこにいい絵が3点載っていた。手元のモネ本にでていない‘エプト川のボート遊び’。所蔵しているのはブラジルのサン・パウロ美。とても惹かれる絵が遠い国からやって来ていたとは。そして、2024年の‘モネ、睡蓮のとき’(西洋美)にあわせて発売された‘芸術新潮 モネ特集’(11月号)で知った‘シュザンヌとひまわり’も出品されていた。アメリカのコレクターが所蔵する‘春の果樹園’は紫の輝きが心をとらえて離さない。

モネの絵を数多くみてきたので、まだ縁がないものはだんだん少なくなっている。モネのバイブル的な本になっている‘岩波 世界の美術 モネ’(2003年 4200円)でとりあげられている作品で、いつかこの目でと願っているのは27歳のとき描いた‘王女の庭園’とマルモッタン美にある‘国会議事堂、テムズ河への反映’。

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2026.05.13

お知らせ

拙ブログはしばらくお休みします。

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2026.05.12

東博の平常展示!

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  鈴木長吉の‘鷲置物’(重文 1892年)

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  並河靖之の‘七宝花蝶文瓶’(1892年)

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  米原雲海の‘竹取翁’(1910年)

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   与謝蕪村の‘山野行楽図屏風’(重文 1765~78年)

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  渡辺崋山の‘十友双雀図’(1826年)

東博では特別展をみたあと本館に移動して、1階の近代日本画と2階の浮世
絵と江戸絵画を楽しみのがお決まりのルーティン。ここ数年顕著になってい
るのが外国人観光客の増加。どの部屋でも世界各国からやって来た人たち
が大勢いる。この変化を意識しているのか、1階の日本画、洋画、やきもの、
彫刻などが飾ってある部屋には以前よりも名品が並ぶ頻度が多くなったよう
な気がする。

その中で存在感が抜群なのが鈴木長吉(1848~1919)の‘鷲置物’。
これは青銅製の鷲の置物。これをぐっと小さくすると観光名所に出かけたと
き、つい買ってしまう置物になるが、これくらい大きくて本物の鷲が目に前
にいるようの思わせる作品は並みの腕前ではつくれない。はじめてみたとき
は目の鋭さにタジタジになり後ずさりする感じだった。

並河靖之(1845~1927)の七宝‘花蝶文瓶’(1対)に魅了され続けて
いる。柔らかい丸のフォルムが目に心地いい瓶でつるつるした表面の質感が
見事にでている。そして、彫刻作品では米原雲海(1869~1925)の
‘竹取翁’にすっと体が寄っていく。竹取物語のお爺さんとくれば多くの日本人
は親しみをおぼえるのではなかろうか。

2階にあがると、与謝蕪村(1716~1783)の定期的にでてくる‘山野
行楽図屏風’と初見の渡辺崋山(1793~1841)の花鳥画‘十友双雀図’
に運よく遭遇した。時間があるときはこういう名品がずらっと並ぶ平常展示
が存分に楽しめる。これが東博へ出かける楽しみのひとつである。

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2026.05.11

‘チェスター・ビーティー・コレクション展’!

Img_0004_20260511231001   狩野山雪の‘長恨歌図巻’(17世紀) 玄宗と対面する楊貴妃

Img_0005_20260511231001    処刑される楊貴妃

Img_20260511231001   ‘酒呑童子絵巻’(17世紀) 斬られた首が頼光の兜に噛みつく

Img_0002_20260511231001   ‘宇治拾遺物語絵巻’(17世紀) 巨大なムササビ

Img_0001_20260511231001   ‘百鬼夜行絵巻’(18∼19世紀)

Img_0003_20260511231001   ‘武蔵坊縁起絵巻’(16世紀) 弁慶と牛若丸の決闘

東博では‘百万石!加賀前田家’(平成館 4/14~6/7)の入館料を
払うと、本館2階D室・E室で行われている‘アイルランドチェスター・
ビーティー・コレクション 絵巻と絵本のたからばこ’(4/27~
7/20)もみることができる。こちらのほうにまず足を運んだのはコレクションの目玉になっている狩野山雪(1590~1651)の‘長恨歌図巻’と再会したかったから。

2013年京博で決定版の‘狩野山楽・山雪’は開催され、この‘長恨歌図
巻’はアイルランドから里帰りした。海外に流失した日本のいい絵が
展覧会に登場するのは摺りの状態がよく保たれている浮世絵と
いうイメージが出来上がっているが、ときどき、山雪のようなビッグ
ネームの作品が戻って来てくれる。滅多にない鑑賞機会だから、夢中
になってみた。それがまた実現するのだからたまらない。

上巻は6/7までの展示で、そのあと下巻(6/9~7/20)が披露される。‘玄宗と対面する楊貴妃’、‘安禄山は宮殿を焼き払う’、‘処刑される楊貴妃’の場面を長くみていた。宮殿が炎につつまれるシーンと同様に体がちょっと硬直するのが、お馴染みの酒呑童子の首が掻っ斬られる絵巻。首はしぶとく頼光に逆襲してくるが、兜に阻まれる。

収穫は‘宇治拾遺物語絵巻’。第2段は武士が夜に光るものを射止めたが、それは巨大なムササビだったというお話。不気味な光を放つ謎の物体の存在は怖くてしょうがないだろうから、その正体がムササビとわかると武士は緊張感から解放されたにちがいない。酒吞童子の首やムササビに比べれば、弁慶と牛若丸の五条大橋での戦いは気軽にみれる。そして、‘百鬼夜行絵巻’に描かれた器物、鬼、妖怪はユーモラスなお化け仮装大会を楽しむ感覚と同じ。

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2026.05.10

東博の‘百万石!加賀前田家’!

Img_20260510230001   ‘金小札白糸素懸威胴丸具足 前田利家所用’(重文 17世紀)

Img_0001_20260510230001   ‘扇流蒔絵手箱’(重文 16世紀)

Img_0002_20260510230001   ‘アエネアス物語図毛綴壁掛’(重文 16~17世紀)

Img_0003_20260510230101   コランの‘庭の隅’(1895年)

Img_0004_20260510230101   竹内栖鳳の‘鯖’(1925年)

‘下村観山展’を楽しんだあと、次に目指したのは現在、‘百万石!加賀前田家’
(4/14~6/7)が行われている東博。チラシには‘驚異の大コレクション
 60年ぶりに一挙公開’のキャッチコピーが踊っているから、否が応でも
期待は高まる。東博では過去に‘大徳川展’(2007年)、‘細川家の至宝 
珠玉の永青文庫コレクション’(2010年)を体験しているので、どんな
お宝がでてくるかはアバウトには想像できるが、果たして、コピーの通り
ここにもあそこにも名品が飾られていた。前田育徳会のコレクションがこん
なにスゴかったのかというのが率直な感想である。

入館するとすぐチラシのアイキャッチになっている黄金の鎧兜、‘金小札白糸
素懸威胴丸具足 前田利家用’が出迎えてくれる。これで前田家のお宝はスゴ
イ!となる。そして、国宝・重文の刀剣がどどっと展示されているコーナー
では刃文をしっかり目に焼き付けた。大きな関心を抱いているのはやきもの
と蒔絵。お目当ては一度見たことのある‘扇流蒔絵手箱’。ほかにも思わず足が
とまる綺麗な蒔絵がいくつもあった。

そして、チラシですごく惹きつけられた大きなタペストリー‘アエネアス物語図毛綴壁掛’をみていると、ヨーロッパの美術館にワープした気分だった。このところヨーロッパの旅行がご無沙汰しているので、有難い展示。こんな見栄えのする見事なタペストリーがほかの日本の美術館にもあるだろうか?

公爵前田家で蒐集された美術品が展示されている最後のパートで大きな収穫があった。それは外光派のラファエル・コラン(1850~1916)の‘庭の隅’に遭遇したこと。インプットされている裸婦図のほかにコランの絵がみられるとは思ってもみなかった。竹内栖鳳(1864~1942)の‘鯖’にあえたことも想定外。チラシで知ったポンポンの‘シロクマ’よりも二人の絵のほうに心が寄っていく。

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2026.05.09

東近美のコレクション展!

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  川端龍子の‘新樹の曲’(1932年)

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  原田直次郎の‘騎龍観音’(重文 1890年)

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  中沢弘光の‘おもいで’(1909年)

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  関根正二の‘三星’(1919年)

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  奈良美智の‘Harmless Kitty’(1994年)

東近美へ出かけるのは見逃せない日本画家の特別展が開催されるときで、テ
ーマを設定して作品を集めてくる企画展はパスすることが多い。そのため、
以前とちがい出動の回数は1年に一回のペース。そんな鑑賞スタイルがここ
5年くらい続いているが、2年くらい前から所蔵品の展示の仕方がすごく
上手くなり、満足度のレベルがぐんと上がっている。

その変化の理由はどうやら海外からの観光客の入館が増えていることが関係
しているのではないかと思われる。4階からはじまり下の階へ降りていくコ
レクション展の導線はどの階でも多くの外国人が日本画や洋画、西洋の近・
現代絵画やオブジェを熱心にみている。その数はどんどん増えており、この
光景は東博でみられるのと同じになってきた。

作品を展示するレイアウトがだいぶ変わり、違う美術館に来ているような錯
覚を覚える。たとえば、重文に指定されている原田直次郎の‘騎龍観音’は今は
前の指定席のところではない場所で対面することになった。作品のラインナ
ップでいうと、海外のアート好きを意識しているのか、奈良美智のお馴染
みのキャラクター‘Harmless Kitty’と村上隆の‘そして、そしてそしてそしてそし
て’(写真撮影はNG)が一緒に並んで展示されている。東近美に2人の絵が
登場するとは!

今回、思わず足がとまる日本画がでていた。それは川端龍子の‘新樹の曲’。
大田区立龍子記念館からここへ移って来ていた。現代の琳派を強くメージさ
せるこの傑作を息を呑んでみていた。そして、はじめてお目にかかる中沢弘
光の‘おもいで’に吸い込まれそうになった。洋画では関根正二の‘三星’と久し
ぶりに出会った。似たような顔をした3人の男女(真ん中が関根、左右は
女性)はいっせいにこちらをみている。一度みたら、もうこの絵は忘れられ
なくなる。

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2026.05.08

2度目の‘下村観山展’!

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  ‘毘沙門天 弁才天’(1911年 徳島県近美)

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   ‘修羅道絵巻’(1900年 東博)

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  ‘維摩黙然’(1924年 大倉集古館)
 
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  ‘荘子’(1918年 三渓園)

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  ‘雨中鷺’(1908年 茨城県近美)

5/10で終了する‘下村観山展’(後期)をみるため東近美に足を運んだ。
これが3度目となる下村観山(1873~1930)の回顧展だが、今回は
決定版といっていいほど名画が集結している。後期にも初見の作品がたくさ
ん登場したので満足度は200%を大きくこえてしまった。東近美の卓越し
た企画力にはほとほと感服させられる。

観山の絵の魅力を体全体で感じるのは色彩の力によって人物やモチーフが強
く印象づけられるとき。息を呑んでみていたのは再会した徳島県近美が所蔵
する‘毘沙門天 弁才天’。目鼻立ちのしっかりした毘沙門天と弁才天が金地
に浮かび上がっている。こういう見栄えする屏風絵は一年に一回は目にした
いとつくづく思う。

東博の平常展にときどきでてくる‘修羅道絵巻’はアドレナリンがドバっと出て
くる感じ。争いの絶えない阿修羅の世界がおどろおどろしく描かれている。
火焔の激しさに視線が固まるが、ぐるぐる回る車輪にインパクトがあり、
阿修羅の5つの目がある顔がとても怖い。観山はこれを27歳のとき描いた。
スゴイ才能である。

大倉集古館にある‘維摩猛然’は絵の完成度からいうと全作品中のトップクラス
の出来栄え。品のいい色彩美や模様が細部まで丁寧に描かれた衣装をながく
みていた。今回の収穫は蝶の夢をみている‘荘子’と墨の濃淡により画面に奥行
き感をつくっている‘雨中鷺’にお目にかかれたこと。三渓園であった回顧展
(2006年)に‘荘子’はなかったので有難い展示になった。

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2026.05.07

追っかけラストピース! ホーマー

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  ‘八点鐘’(1886年 アディソン・ギャラリー)

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 ‘ホワイト山を描く画家たち’(1868年 ポートランド美)

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  ‘マウント・ワシントン’(1869年 シカゴ美)

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  ‘新たな戦場に立つ退役軍人’(1865年 メトロポリタン美)

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  ‘警備中’(1864年 テラ財団)

どの国にも日本画家の東山魁夷のような絵画が趣味の人でなくても知ってい
る国民的な画家がいる。アメリカでいうと現代アートのポロックやウオーホ
ルは横におくと、ポッパー(1882~1967)、ワイエス(1917~
2009)がそうだろうと思っていた。実際にアメリカの美術館をまわって
みて、その通りなのだが、もう二人加えないといけないことに気づいた。
それは女性画家のメアリー・カサット(1844~1926)とウインスロ
ー・ホーマー(1836~1910)。

アメリカの美術館に本格的に足を運ぶ前は、ホーマーの絵はオルセーにある
‘夏の夜’しか知らなかった。それがアメリカで絵画をたくさんみる機会が増え
てくると、ホーマーはシカゴ美、メトロポリタン、ボストン美、ワシントン
国立美、フィラデルフィア美などの大美術館にどーんと飾ってあった。多い
のは海を題材にした絵で‘メキシコ湾流’(MET)、‘風が強まる’・‘右と左’
(ワシントン国立美)、‘ライフライン’(フィラデルフィア美)のリアルに描か
れた大きな波のうねりに圧倒され立ち尽くしてみていた。そして、2015年
に出かけたボストン美で最もみたかった‘見張り’と‘濃霧警報’に対面し、ようや
く長年の夢が叶えられた。

美術館の図録に載っている名作をだいぶみることができたので、さらに鑑賞
欲が広がっていく。‘見張り’の次のターゲットはマサチューセッツ州アンドー
バーのアディソン・ギャラリーが所蔵する‘八点鐘’。これが世界の海洋画の
傑作のひとつに数えられていることを知ったのは1985年8月に発行され
た‘世界名画の旅’にこの絵が登場したから。それから、長い時が流れた。一度
でいいからみてみたい。

ほかに惹かれているのは構図がぴたっと嵌っている‘ホワイト山を描く画家た
ち’、大きな岩がごろごろする‘マウント・ワシントン’。そして、どこかアメリカ
映画のワンカットを観ているような気分になる‘新たな戦場に立つ退役軍人’と
‘警備中’も印象深い。

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2026.05.06

ご機嫌のドビュッシーとヘンデルの映像DVDをゲット!

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定期的に出かけているブックオフのお馴染みの店で願ってもないクラシック
音楽の映像DVDをゲットした。それはたくさん並んでいる海外映画の550
円のコーナーに紛れ込んでいた‘名曲紀行シリーズ’のひとつ‘ドビュッシー&
ヘンデルの風景’(収録時間69分)。

ドビュッシーの選ばれた曲は‘3つの交響曲的素描「海」’。北斎の‘富嶽三十
六景「神奈川沖浪裏」’に霊感を受けて作曲されたことはつとに有名だから、
あの巨大な波のお化けを思い浮かべながら聴くのはとても楽しい。そして、
これとコラボするヘンデルは組曲‘王宮の花火の音楽’と組曲‘水上の音楽’。

印象派絵画を連想させる‘海’はお気に入りの曲だが、今回すぐ購入を決めさ
せたのはヘンデルの組曲のほう。ここ数年、映画のDVDと平行して買い込ん
できたのはクラシック音楽のCD。そのなかで頻繁に聴いているのがガーディ
ナー指揮でイギリス・バロック管弦楽団が演奏するヘンデルの‘水上の音楽’と
‘王宮の花火の音楽’。モーツァルトの軽快で楽しい音楽はヘンデルに強く影響
されていることが理解でき、同時にもっと早くそのことを知りヘンデルに最
接近すべきだったとも思った。

My図録をつくっていく軽作業のとき音のボリュームを落としてバックグラ
ウンド音楽として、ヘンデルのこの2つの組曲を流すと、どんどん手が動き
頭がよくはたらく。退屈感はどこかへいき、トランペットの軽快な演奏を聴
くと、頁の編集にアイデアが閃く。これで曲だけのCDとフランスのロワール
川沿いの古城やロンドンの街の光景などがでてくるDVDがセットで揃った。
新しい図録がいいペースで出来上がりそう。

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2026.05.05

追っかけラストピース! ハドソンリバー派

Img_20260505214601   コールの‘巨人の高杯’(1833年 メトロポリタン美)

Img_0003_20260505214601   コールの‘ナイアガラの遠景’(1830年 シカゴ美)

Img_0001_20260505214601   チャーチの‘コトパクシの景観’(1857年 シカゴ美)

Img_0004_20260505214601   ビーアスタットの‘ブルック山’(1863年 シカゴ美)

アメリカの美術館へ出かけてすごく充実した鑑賞体験を感じるのは、印象派
やポスト印象派の名画がたくさん楽しめるから。メトロポリタン、シカゴ美、
ボストン美、ワシントン国立美、フィラデルフィア美などのブランド美術館
はマネ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ドガ、ロートレック、ゴッホ、ゴー
ギャン、スーラのびっくりするほどいい絵をどどっと展示している。お陰で
美術本に載っている主要作品に‘済みマーク’がどんどんついていった。

もうひとつの収穫はヨーロッパの美術館ではほとんど縁のない作品に美術館
を訪問するたびに遭遇すること。それはハドソンリバー派とよばれる3人の
画家、トマス・コール(1801~1848)、フレデリック・エドウイン
・チャーチ(1826~1900)、アルバート・ビーアスタット
(1830~1902)が描いた壮大な風景画。2013年、メトロポリタ
ンではじめてみたとき、その神秘的とも思える大自然の美しさに心を奪われ、
200%虜になった。そして、ほかの美術館へ行っても彼らの絵が続々登場
した。

各美術館でみた作品の数を記すと、
MET:コール(2点)チャーチ(3)ビーアスタット(2)
ワシントン国立美:コール(6)チャーチ(1)ビーアスタット(1)
コーコランギャラリー:コール(3)チャーチ(2)ビーアスタット(2)
フィラデルフィア美:チャーチ(1)
2015年に訪問したボストン美:コール(2)ビーアスタット(2)
合計すると、コール(13)チャーチ(7)ビーアスタット(7)

2008年、アメリカの美術館めぐりを本格的にスタートさせたとき、シカ
ゴ美へも出かけたが、当時ハドソンリバー派のことを知らなかったので美術
館の図録に載っているコールの‘ナイアガラの遠景’、チャーチの‘コトパクシ
の景観’、ビーアスタットの‘ブルック山’はまったく視野の外だった。頁を開
く度に惜しいことをしたなと思っている。この3点とMETにある不思議な絵
‘巨人の高杯’にいつかお目にかかりたい。

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2026.05.03

追っかけラストピース! オキーフ

Img_20260503224501   ‘ラディエター・ビルデイング、夜、ニューヨーク’(1927年)

Img_0002_20260503224501   ‘ひとつのリリーと赤’(1927年 ホイットニー美)

Img_0001_20260503224501   ‘オニゲシ’(1928年 ワイズマン・アート・ミュージアム)

Img_0003_20260503224601   ‘夏の日々’(1936年 ホイットニー美)

Img_0005_20260503224601   ‘青、黒、グレー’(1960年)

現代アートの画家でいつか回顧展に遭遇することを夢見ているのは数人いる。
そのひとりが女性画家のビッグネーム、‘ジョージア・オキーフ(1887~
1986)。長いこと待っているが、開催の話はとんと入ってこない。どん
な絵を99年の生涯において描いたかはTASCHENのオキーフ本から情報を得
ている。

縁のあった作品は十分に満足のいく数に達してないが、その魅力がずしっと
胸に突き刺さるものはそこそこお目にかかることができた。でも、それは日本
ではなく、アメリカのブランド美術館を訪問したときのこと。大きな収穫が
あったのは2008年にでかけたメトロポリタン美。運よく‘ミニオキーフ展’
にぶちあたり20点みることができた。幸運は2013年に再訪したときも
続き、TASCHENに載っている‘遠くて近いところから’など7点に出会った。
そして、このあと訪問したワシントン国立美では有名な‘ジャック・イン・ザ
・プルピット‘’が3点展示してあった。

ほかの美術館ではボストン美(2点)、ワシントンのフィリップス・コレク
ション(2点)、シカゴ美(2点)、フィリップスでみた‘レッドヒル’に
‘最高の瞬間!’を体験したことが強く記憶されている。

今、鑑賞欲を200%刺激されているのはここにあげた作品。‘ラディエター・
ビルディング、夜、ニューヨーク’はモンドリアンの‘ブロードウエイ・ブギウ
ギ’が重なってくる。花を馬鹿デカく描いた‘ひとつのリリーと赤’と‘オニゲシ’に
視線がすーっと吸いこまれていく。オキーフの代表作‘夏の日々’は宙に浮いた
鹿の巨大な頭蓋骨をみずには死ねない、という思いが強い。73歳のお婆さん
になって描いた‘青、黒、グレー’、こんなスゴイ抽象画が生まれてくるとは!

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2026.05.02

追っかけラストピース! ホッパー

Img_0004_20260502222901   ‘路線わきの家’(1925年 MoMA)

Img_0002_20260502223001   ‘サマータイム’(1943年 デラウェア美)

Img_20260502223001   ‘四車線の道’(1956年)

Img_0001_20260502223001   ‘二階の日ざし’(1960年 ホイットニー美)

Img_0003_20260502223001   ‘チェア・カー’(1965年)

アメリカは東海岸の都市で名所観光をしたことはあるが、長い期間住んだこ
とはない。仕事で2週間滞在したことはあるが、観光旅行同様これくらいの
短い期間でアメリカのことがわかったとはとてもいえない。大リーグやハン
バーガーなどアメリカのことを細かくは知っているが、アメリカの全体像は
〇なのか▽なのかは漠然としてつかみきれないというのが正直なところ。

2008年シカゴ美でホッパー(1882~1967)の代表作‘夜ふかしを
する人たち’(1942年)をみたとき、アメリカの都市はこんなに静かで
孤独感につつまれていた?という感じをもった。それまで抱いていたアメリ
カのイメージはパワフルで圧倒的な富に満ち満ちているという国だから、
この絵が当時のアメリカ人たちに肯定的に反応されたのか、ネガティブな
感情をもたれたのか? 複雑な気持ちだった。

ほかの絵との関連でいうとフランスのドガの‘アプサント’のアメリカ版だなと
思った。どちらも店にいる男女二人には会話がなく心はまったく通っていな
い感じ。こういう絵はずっしり突き刺さり、長く記憶されるし、同じような
絵にも遭遇したくなる。

‘路線わきの家’は建物なのになんだか淋しい人間がそこにいるように映る。
NYのMoMAへは数回出かけたが、なぜか縁がない。‘サマータイム’や
‘四路線の道’は日ざしは強いのに、派手な女性や老人にはどこか寂しさ空虚感
が漂っている。ホイットニー美にある‘二階の日ざし’はベランダにいる二人に
話が弾む雰囲気を想像することはできない。また、‘チェア・カー(椅子が
一人掛けの特別車)’でも、4人の乗客は誰もが沈黙をまもっている。

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2026.05.01

追っかけラストピース! シーレ

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  ‘沈みゆく日’(1913年 レオポルト美)

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  ‘クルマウの風景’(1916年)

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  ‘エーリヒ・レーデラ―の肖像’(1912~13年 バーゼル美)

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  ‘座る画家の妻’(1918年 ベルヴェデーレ宮)

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  ‘聖家族’(1913年)

回顧展が何度も行われる画家はフェルメールや印象派のように描かれた作品
の数がどんどん増えていき、画業全般にわたって楽しみが広がっていく。
今年はモネとゴッホが当たり年だが、ウィーン世紀末のクリムト(1862
~1918)とシーレ(1890~1918)に対する鑑賞欲も強く、理想
とする回顧展の遭遇回数の3回が既に達成されている。

シーレについては2023年に東京都美で行われた回顧展が記憶に新しいと
ころ。過激な裸体描写に目が慣れる一方で、シーレにもっとも惹かれるのは
風景画と人物画にあることも再確認させてもらった。TVの美術番組などにシ
ーレ物語で取り上げられると、まだ日本にやって来てない傑作がでてきたり
する。狙っているのは2点ある。レオポルト美蔵の‘沈みゆく日’と2003年、
ロンドンのオークションで24.9億円で落札された‘クルマウの風景’。

シーレの風景画の虜になるきっかけとなったウィーンのベルヴェデーレ宮に
ある‘4本の樹’、NYのノイエギャラリーで2013年にお目にかかった‘緑樹
に囲まれる町’、東京都美に出品された‘モルダウ河畔のクルマウ’にこの2点が
加わると言うこと無しなのだが。果たして、夢が叶うだろうか。

人物画で魅了され続けているのがバーゼル美のお宝のひとつ‘エーリヒ・レー
デラーの肖像’と2度足を運んだベルヴェデーレ宮でなぜかみたという実感が
ない‘座る画家の妻’。そして、シーレが22歳のとき描いた‘聖家族’もこの目でと
いう思いが募る。

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