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2025.12.29

心をゆすぶった女性画ベスト&ベスト!

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  堂本印象の‘木華開耶媛’(1929年 京都府立堂本印象美)

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 喜多川歌麿の‘当世踊子揃 石橋’(1793~94年頃)
 
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 北澤映月の‘花の中’(1987年 ヤマタネ)

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 ソローリャの‘ラ・グランハのマリア’(1907年 サンディエゴ美)

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  藤田嗣治の‘猫と少女’(1952年頃)

年末になると好きな美術鑑賞を振り返り、作品の記憶をとどめるためのちょ
っとしたまとめの作業を行っている。My好きな女性画ベスト&ベストに新
たに登録する作品を選ぶのもそのひとつ。女性画は絵画をみる大きな楽しみ
だから、その数は毎年コンスタントに増えていく。今年輝く美の殿堂入りし
た作品に含まれている5点と遭遇した特別展は上から次の通り。

☆‘堂本印象 自在なる創造’   10/7~11/24  京近美
☆‘北斎をめぐる美人画の系譜’  9/16~11/24  すみだ北斎美
☆‘北澤映月展’         10/11~11/30 平塚市美
☆‘西洋絵画、どこから見るか’  3/11~6/8    西洋美
☆‘藤田嗣治 7つの情熱’     4/12~6/22   SOMPO美

堂本印象(1891~1975)の見栄えのする‘木華開耶媛(このはなさく
や)’は大作のため、以前から手元にある図録では見開き頁で掲載されていた。
今回の図録は気が利いていて、見開きに加え図版が綺麗にスキャンができる
サイズが用意されているので、やっといい美人画を紹介できた。

喜多川歌麿(1753~1806)の絵は長く追っかけていたもの。ひょい
と現れたので嬉しさが腹の底からじわじわ湧いてきた。北澤映月(1907
~1990)の‘花の中’の明るい笑顔、ソローリャ(1863~1923)
の品のある女性の姿に200%KOされた。そして、藤田嗣治(1886~
1968)の可愛い女の子が目に焼き付いている。

今年も拙ブログにおつきあいいただきありがとうございます。
皆様、良いお年をお迎え下さい。

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2025.12.28

アゲイン 友禅の美!

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  ‘小袖 濃萌黄縮緬地籠に萩笹模様’(江戸中期・18世紀初期 千總)

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 ‘薄紅縮緬地葵檜扇模様振袖’(江戸・18世紀後半 丸紅ギャラリー)

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 ‘濃縮緬地籬菊模様振袖’(江戸・18世紀後半 丸紅ギャラリー)

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 羽田登喜男の‘友禅訪問着「白夜」’(1976年 京近美)

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 森口邦彦の‘雪渓’(1999年 京近美)

今年は友禅とすごく相性が良かった。着物をみるのが好きで、今は金沢に移
っている東近美の工芸館へよく出かけ人間国宝の作品を熱心にみていた。
その楽しみが金沢移転により無くなくなっていた。着物にスポットをあてた
企画展は稀にしかないので、京近美で友禅展が開催されることを知り、関心
を深めていた。喜び勇んで友禅をめざしたのが3回あった。

☆‘きもののヒミツ 友禅のうまれるところ’(7/19~9/15 京近美)
☆‘ 〃  ’           (10/25~12/21 静岡市美)
☆‘華麗にして繊細 友禅染の真髄’ (8/5~9/25 丸紅ギャラリー)

京近美だけでなく、静岡にまで遠征したのはひとえに京都で展示替えのため
みられなかった森口華弘(1909~2008)の‘友禅訪問着「彩華」’を
なんとしても目に中に入れたかったから。お陰で見逃した江戸時代中期に
つくられた‘小袖濃萌黄色縮緬地籠に萩笹模様’や金沢生まれで森口華弘と同
時代を生きた‘’羽田登喜男(1911~2008)の傑作‘友禅訪問着「白夜」
’の前にも立つことができた。また、森口の息子の邦彦(1941~)のすば
らしいデザインセンスが発揮された‘友禅着物「雪渓」’を見逃さずにすんだ。
3人とも人間国宝、お宝のような友禅をつくる。流石である。いい気持ちで
ながめていた。

丸紅の友禅コレクションが公開されているのは偶然知った。ミューズに手を
あわせた。ギャラリーを訪問したのは後期の9月だったが、江戸・18世紀
後半につくられた華やかな模様が心を揺すぶる‘薄紅縮緬地葵檜扇模様振袖’
や着物全体に植物模様が展開される‘濃縮緬地籬菊模様振袖’を息を呑んでみて
いた。

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2025.12.27

シーナ・アイエンガー ‘THINK BIGGER’!

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Img_20251227231801   サージェントの‘マダムXの肖像’(1884年 メトロポリタン美)

今年何かの拍子に情報にぶちあたり手に入れた本がいくつ
かある。
☆ユヴァル・ノア・ハラリ ‘NEXUS 情報の人類史’(河出書房新社)
☆シーナ・アイエンガー ‘THINK BIGGER’(ニューズピックス)
☆ダニエル・C・デネット ‘自由は進化する’(ちくま学芸文庫)
☆ピーター・W・アトキンス ‘エントロピーと秩序’(ちくま学芸文庫)
☆チェンニーノ・チェンニーニ ‘絵画術の書’(岩波文庫)
☆栃木孝惟校注 ‘保元物語’(岩波文庫)
☆一坂太郎 編・訳 ‘遊清五録 高杉晋作’ (講談社学術文庫)

このなかでこんな本にこんな絵が登場するの?と興味を掻き立てられたのが、前著の‘選択の科学’でお世話になったシーナ・アイエンガーナさんの‘THINK BIGGER 「最高の発想」を生む方法’。コロンビア大学ビジネススクールの先生である彼女の新作をずっと待っていたが、なかなか出版されなかった。で、注意が薄くなっていたが、2023年に書かれたものがその年の11月に翻訳されてニューズピックスというところから発売されていた。13年ぶりに出版されたというのに、迂闊にもその情報にNOタッチだった。だから、今年でたほかの本のなかに滑り込んでくれたのを運が良かったと喜んでいる。

この本は新しい選択肢を生み出す手法を説明するもので、‘THINK BIGGER’はもっと大きく考える、大胆に発想するという意味。ビジネススクールの講義がもとになっているので、わかりやすく、具体例がたくさんでてくる。新しいアイデアでビジネスに成功するのにヒントとなる本だから、刺激的なフレーズがふんだんにでてくる。たとえば、‘ブレインストーミングからは最高なアイデアは生まれない、と誰もが気づいている’。

全盲のインド人なのに心の目で芸術を楽しんでおり、1章でピカソやマティス、セザンヌの絵についてその創造の源が語られる。そして、5章‘ステップ3 望みを比較する’ではさらにつっこんだ絵画分析が行われる。その絵がボストン生まれのサージェントの‘マダムXの肖像’。これはメトロポリタンが所蔵するお宝絵画で、サージェントははじめモデル夫人の肩紐を滑り落して描いていたが、それが非難されたので描き直している。この有名な話がベストセラーのビジネス本にとりあげられるとは。感心しながら読んでいた。

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2025.12.26

海外のヘビメタが中島みゆきを歌っていた!

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中島みゆきの♪♪‘地上の星’

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海外のヘビメタバンドの♪♪‘地上の星’

今月のはじめ頃、You Tubeの日本の歌の動画を聴いていてびっくりすること
があった。中島みゆきの♪♪‘地上の星’をイギリスのニキ?というヘビメタバ
ンドがなんと日本語で歌っていた。ええー!こんな動画があるの?、、、
しばらく聴いているとそれほどヘンな日本語の発音でもない。だから、パワー
全開で熱唱する中島みゆきの代名詞ともいえるこの名曲が違和感なく耳の中へ
入っていった。200%KOされた。

それから数日たって、今度は同じ声の調子でまた中島みゆきの♪♪‘空と君の
間に’(これもお気に入りの曲)を歌っていた。こんなに上手に中島みゆきの
歌が歌えるとは、サプライズMAX。で、動画の下のコメント欄を読んでい
ると、どうもこれはAIがつくったものということがわかった。ありゃらら、
本物のヘビメタバンドではないの!今はAIが日本語で歌う海外シンガーを
生み出せるということ?スゴイ話になった。

何日か経ってまたそのフェイクのニキを聴こうと思ったら、動画からは消え
ていた!そして、別のバンドが♪♪‘Earthly Stars’をパワフルに歌っていた。
説明書きには、‘もしも中島みゆきの「地上の星」を超絶ハイトーンメタルシ
ンガーが歌ったら Metal&JPOP Style Cover’とある。原曲が名曲なのでこう
いう動画をつくるとアクセスは期待できる。そこを狙って増殖させようと
いう作戦なのだろう。

こうした外人のシンガーが日本の歌を歌うのはヘビメタだけではなかった。黒人(男性)がソウルフルに英語で歌うイルカの♪♪‘なごり雪’、なかなかいい感じ。こちらもAIがつくったのだろうか?日本語の歌詞を英語で翻訳して生の声で歌っているようにも思えるのだが。ほかにも長渕剛の歌などもある。楽曲自体が人々の琴線にふれるいい曲だったら、これを歌唱力のある外国のシンガーが英語で歌っても聴き手はぐっとくる。これらもAIによるものだと、今はこのレベルまでAIが関与する時代になっていることだが。果たして生声、あるいはAIの仕業?

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2025.12.25

やっとみれた‘小出楢重展’!

Img_0004_20251225223501   ‘帽子を被った自画像’(1924年 アーティゾン美)

Img_0003_20251225223501   ‘ラッパを持てる少年’(1923年 東近美)

Img_0001_20251225223501   ‘Nの家族’(重文 1919年 大原美)

Img_0002_20251225223501   ‘少女お梅の像’(1920年 ウッドワン美)

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‘卓上静物’(1928年 京近美)

終日雨だったクリスマスイブに府中市美で待望の小出楢重(1887~1931)
の回顧展(12/20~3/1)をみてきた。まず大阪中之島美で開催され
(9/13~11/24)、東京にも巡回してきた。主要な絵がどどっと集
結した大回顧展なのだが、府中市美の展示室のキャパでは一度に全部並べら
れないので、大幅な展示替えをする前期(12/10~1/25)、後期
(1/27~3/1)に分けて展示するやり方をとっている。

小出の作品で惹かれているのは人物像。でも、お目にかかったのは4点ほど。
大阪の老舗の薬屋に生まれた画家の名前、楢重(ならしげ)を覚えるきっ
かけとなったのが東近美で遭遇した‘ラッパを持てる少年’。明治以降に活躍
した日本画家、洋画家が描いた子どもの絵ではベスト5にはいるのは間違い
ない傑作である。今回、チラシに大きく使われているのは即納得。

そして、少年同様、小出楢重の作風を強くイメージさせることになった作品
がアーティゾン美にある‘帽子を被った自画像’。3年前にみたのを含めて
3度目の対面。細身の画家の姿は品のいい画家という感じで、すばらしい
自画像になっている。そして、2023年、東近美であった‘重要文化財の秘
密’でようやくみることができた‘Nの家族’とも再会した。まさに決定版の回顧
展だから、満足度はMAXに跳ね上がる。

初見の作品で思わず足がとまったのが大きな目とぷくっとふくれた頬が愛ら
しい‘少女お梅の像’。じっとみていると、岸田劉生の描いた小さい男の子や
女の子の絵が重なってきた。楢重も劉生も心根が優しいのか本当に子どもを
上手に描く。二人に乾杯!静物画にいいのがあった。それは真ん中に魚が二
匹いる‘卓上静物’。人参やタマネギなどモチーフの生き生きとした描写や色彩
の輝きをみてすぐ思い浮かんだのがキスリングの絵。この絵は図録の裏表紙
に使われている。

ここに紹介した5点は全部通期で展示されるので3/1までに出かければ鑑賞
できる、ご安心を。

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2025.12.23

展示が楽しみな来年の里帰り日本美術!

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Img_0004_20251223224501   狩野山雪の‘長恨歌絵巻’(17世紀前半 チェスター・ビーテイー・コレクション)

Img_0002_20251223224501   ‘釈迦霊鷲山説法図’(奈良・8世紀 ボストン美)

Img_20251223224501   円山応挙の‘虎の子渡し図屏風’(1781~82年 大英博)

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喜多川歌麿の‘文読む遊女’(1805~06年 大英博)

先週発売された‘日経おとなのOFF 絶対見逃せない2026美術展’と先行した
‘芸術新潮 2026年美術展ベスト25’、‘美術の窓’により、来年全国で開催
される展覧会の全貌をおおよそつかむことができた。どんな美術品がどこで、
どのくらいの期間展示されるのか概観してみると、美術館の規模に差はあるも
のの、意欲的な切り口で構成された展示作品により期待が大きく膨らむ特別展
があの美術館でもこの美術館でもみれるという感じ。だから、年間を通して忙
しい美術館巡りをどう上手にアレンジするかに時間をとられそう。

‘日経おとなのOFF’で多くの頁が割かれていたのが印象派とゴッホの名品がど
どっと披露される企画展。印象派はオルセーにある有名な絵が西洋美(室内を
めぐる物語 2/15まで)、アーティゾン美(モネ展 2/7~5/24)、
東京都美(いまを生きる歓び 11/14~3/28)で数多く展示される。
これほどオルセーが身近に感じられることが過去にあっただろうか。パリにで
かけなくて珠玉の印象派が楽しめるのだから、ありがた山である。

そして、ゴッホは‘夜のカフェテラス’が上野の森美の‘大ゴッホ展’(5/29~
8/12)に登場し、オルセーにある‘ローヌ川の星月夜’が東京都美で飾られる。どの美術館でも相当な混雑を覚悟して出かけることになりそう。西洋美術はこれにスゴイのが秋に加わる。まだダ・ヴィンチの‘女性の肖像’しか出品作がわからない国立新美で開催される‘ルーヴル美展 ルネサンス’(9/9~12/13)。

一方、日本美術についても、楽しみな展示があるのはブランド美術館からの里帰り作品。一番早いのは2度目の里帰りとなる狩野山雪の‘長恨歌絵巻’が目玉の‘アイルランド チェスター・ビーティー・コレクション’(4/27~7/20 東博)。夏に東京都美ではじまる‘大英博物館 日本美術コレクション 百花繚乱 海を越えた江戸絵画’(7/25~10/18)に出品される円山応挙の虎の絵と歌麿の肉筆美人画。鑑賞欲をとても刺激する作品なので楽しみ。関西では奈良博の‘ボストン美共同企画 南都仏画-よみがえる奈良天平の美ー’(7/18~9/13)にこれも確か2度目の里帰りとなる国宝級の‘釈迦霊鷲山説法図(法華堂根本曼荼羅)’が飾られる。

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2025.12.22

2025年 お気に入り展覧会図録!

Img_20251222230001   ‘ミロ展’(3/1~7/6 東京都美)

Img_0001_20251222230001   ‘没後50年 高島野十郎展’(7/18~9/28 千葉県美)

Img_0002_20251222230001   ‘藤田嗣治 7つの情熱’(4/12~6/22 SOMPO美)

Img_0003_20251222230001   ‘異端の奇才 ビアズリー展’(2/15~5/11 三菱一号館美)

今年特別展をみるために美術館にでかけたのは二日後に楽しむものを含めて
全部で46回。10年くらい前と違って、45~50回くらいで安定してき
た。月の平均にすると4回だから、少なくはない。そして、気になる企画展
がインプットされると鑑賞の舞台を首都圏から京都市(2度)、水戸市、
静岡市(2度)、栃木市へと変えて楽しみの空間を大きく広げてきた。だか
ら、エピソードがいろいろ詰まったアートライフにはなっている。

美術館を訪問する頻度や場所は変わっても、展覧会を楽しんだ後のルーティ
ンとなっている図録の購入はいつもの通り。何度も行われるゴッホ展だと
今回はいいかとなるが、だいたいレジに持っていく。そのため、書庫のスペ
ースの算段がいつもついてまわる。そのなかで出来栄えがとくに優れたもの
はほかのものを隅に追いやり、目につく場所をどんと確保する。今年そんな
優れもの図録が4点あった。

ミロ展はすっきりデザインがとてもいい。これまで7回くらい回顧展に遭遇したが、この図録がベストワン。使われている作品‘涙の微笑’(1973年 ジョアン・ミロ財団)を選んだセンスがすばらしい。ワールドクラスのミロ展に相応しい‘good job!’である。千葉県美や福岡県美など6つの美術館で開催される高島野十郎展の図録も宝物のような輝きを放っている。‘からすうり’の息を呑むほどのリアルさをこの大きさでみせられると表紙だけでも感激する。

SOMPO美の藤田嗣治と三菱一号館美のビアズリーはここ数年増えてきた本タイプの図録。どちらも手触りが良く、作品をみるというより画家の物語を読んでいるという感覚で手にとっている。ビアズリーは昨年の池上秀畝展(練馬区美)の図録を制作した青幻舎が発行元になっている。

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2025.12.21

今年のベストブック!

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(2025年5月15日発行 1560円+税)

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Img_0003_20251221224801   (2025年7月25日発行 4500円+税)

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本を読むのは三度の食事をとるのと同じで毎日のことだから、最新刊の情報
には注意を払っている。その情報源は家にいるときは新聞に載った広告。
でも、毎週チェックするほどではない。なとなく情報が入っている感じ。
そして、美術館めぐりで外出したときは、時間に余裕があれば馴染みの本屋
に寄ることにしている。いつも決まっていて東京駅の前の丸善。

今年はブックオフや神田の古本屋で購入した本がなく、すべて書店で手に入
れたもの。全部で50冊くらい。そのなかで求めていたものが目の前に現れ
たという不思議な縁となったのが岩波書店から5月に発行された‘百人一首’。
今、和歌への関心が高まっているので、すぐレジに行った。例にとった頁は
とくに好きな持統天皇と安倍仲麿の有名な歌。こういう風に歌に訳、解釈が
ついているもの(コンパクトな形で)が欲しかったから、これからは座右の
書になりそう。

もう一冊いい本が手に入った。今年の7月に早川書房からでたリチャード・
ドーキンスの最新作 ‘遺伝子は不滅である’(2024年)。帯には‘タイムズ
紙、ガーディアン紙、エコノミスト誌、フィナンシャルタイムズ紙 年間
ベストブック4冠’のキャッチコピーがおどり、‘「利己的な遺伝子」から半世
紀、ドーキンスの到達点。’と記されている。

381頁の普通の大きさの本なのに値段が4500円+税と高いのは、使わ
れている生き物の写真が豪華なフルカラーで、まるで大きくて分厚い生き物
図鑑のように仕上がっているから。とてもおもしろい写真が載っている。
パッと見ると別の生き物の怖い顔を連想させるものとして、ハゲワシとタコ
が最初の図版の下の左と右に登場する。こんな写真はみたことがないから、
一気にテンションが上がった。関心のある方にお薦めしたい。ドーキンスは
文章が上手いから、隣の方も夢中になって読んでいる。

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2025.12.20

今年 耳にこびりついた言葉!

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映画‘南の島に雪が降る’より

美術館に出かけ大きな感動をもらった絵は長く心のなかにとどまっているの
と同様に、映画やTVのドラマで俳優の放った言葉が忘れられないことがあ
る。今年メモ帳に書きこんだ言葉は次の3つ。

☆‘忘八’ (大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」)

江戸時代の話はいろいろな江戸物小説や歴史本や浮世絵から情報を得ている
が、蔦重が吉原の妓楼主たちにむかって言った‘忘八’(ぼうはち)ははじめて
耳にした言葉。仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の八つの徳目を忘れ女郎た
ちをこき使い、遊客から金をむしり取る女郎屋の主たちのことを‘忘八’と呼ん
でいた。

☆‘逆転しない正義’ (朝の連続テレビ小説「あんぱん」)

今年の前半200%嵌ったのが連続テレビ小説‘あんぱん’。漫画あんぱんまんは知ってはいたが、どんな話かはNO情報。だから、主人公のやはせたかしがドラマのなかで語る‘逆転しない正義’にドキッとした。やなせたかしは哲学者か思想家かと思った。正義は状況に応じて変わる。こちらからみれが正義だが、向こう側からは悪になる。普遍的な正義、昨日も今日も変わらない正義はないのか、やなせたかしはすごい漫画家である。

☆‘生きている英霊’ (映画「南の島に雪が降る」)

加東大介の体験を映画化した‘南の島に雪が降る’がブックオフで偶然手に入ったのは今年の大きな収穫だった。しんみりさせられるのは‘生きている英霊’と呼ばれた兵士たちが、ほかの皆と一緒に芝居の演出の紙の雪に大感激し、涙を流して喜ぶ場面。彼らは東部ニューギニアで全滅した部隊の生き残りで、演芸分隊をつくっていた西部ニューギニアのマノクワリ支隊(4万人)からかなり離れたところに住んでいた。軍の上層部からは無情にも餓死することを待たれている一種の‘つめ腹部隊’存在だった。

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2025.12.19

2025年 西洋美術で‘最高の瞬間’ ベスト&ベスト!(2)

Img_0003_20251219224901   中村彝の‘少女裸像’(1914年 愛知県美)

Img_20251219225001   藤田嗣治の‘占いの老女’(1949年 堀美術館)

Img_0002_20251219225001   高島野十郎の‘からすうり’(1935年 福岡県美)

Img_0001_20251219225001   松山智一の‘We Met Thru Match.com’(2016年)

日本の画家が描いた作品で感激MAXだった4点が披露された特別展は、
☆‘中村彝展’        11/10~1/13  茨城県近美
☆‘藤田嗣治 絵画と写真’  7/5~8/31    東京ステーションギャラリー
☆‘高島野十郎展’      7/18~9/28   千葉県美
☆‘松山智一展’       3/8~5/11    麻布台ヒルズギャラリー

今年は日本画家にくらべると回顧展が開催されることが少ない洋画家や現代
ートの作家の作品をみる機会が多かった。スタートはうっかり見逃すところ
だった茨城県出身の中村彝(1887~1924)。名前の彝(つね)を覚
えるのに時間がかかった分、心に残る肖像画が何点も脳裏に焼き付いている。
はじめての回顧展は主要作品がずらっと並ぶ決定版だった。名古屋で仕事を
しているときお目にかかった‘少女裸像’を息を呑んでみていた。

洋画家というくくりではみていない世界の藤田嗣治(1886~1968)
の多彩な創作活動をとらえた特別展がSOMPO美(4/12~6/22)と東京
ステーションギャラリー(7/5~8/31)で行われた。いずれも、初見の
作品が数多く登場したので大きな満足が得られた。藤田が一流の写真家だっ
たことがわかった東京ステーションギャラリーは展示の切り口が秀逸で忘れられない作品に遭遇した。そのひとつが展示替えにより2回も出動することになった‘占いの老女’。日本の美術館の所蔵だから、もっと前にみたかった。

サプライズ続きだった高島野十郎(1890~1975)の回顧展もすばらしかった。千葉県美のあと福岡県美、豊田市美、大阪中之島美、松濤美、宇都宮美に巡回するので、最高傑作の‘からすうり’など心を打つ静物画や風景画の傑作の数々が多くの人を楽しませることだろう。そして、現代アートの世界で高く評価されている松山智一(1976~)が描いた日本の琳派や西洋画の‘受胎告知’などを明るい色調と豊かな装飾性により浮世絵の見立絵のように現代風に表現した作品をみれたことも大きな喜び。

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2025.12.18

2025年 西洋美術で‘最高の瞬間’ ベスト&ベスト!(1)

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クレーの‘赤、黄、青の長方形によるハーモニー’(1923年 パウル・クレー・センター)

Img_20251218225601   ミロの‘夜の人物たち’(1940年 フィラデルフィア美)

Img_0003_20251218225601  ヒルマ・アフ・クリントの‘神殿のための絵画 10の最大物’(1907年)

Img_0001_20251218225601  ゴッホの‘サント=マリ=ド=ラ=メールの浜辺の漁船’(1888年 ゴッホ美)

Img_0002_20251218225601   ユトリロの‘ラパン・アジル’(1910年 ポンピドー)

クリスマスが一週間後にやってくる12月の半ばにくると、なにかと忙しく
なるが、来年全国各地で開催される美術展の全貌がみえてきたことで、まだ
早いのにどの特別展に足を運ぼうかという算段にも心が向いていく。こうい
う状況で今年‘最高の瞬間!‘を体験した西洋絵画を振り返ってみると、日本
はつくづく‘美術大国’だなと思うし、そのおかげで来年どどっと公開される
印象派やゴッホを中心とした名画の数々を楽しめるのだからたまらない。
今、展覧会シーンは以前にも増して勢いがあり、エンターテイメントの度合
いが強くなっているのではなかろうか。

選んだ5点が展示された特別展は上から順に、
☆‘パウル・クレー展’      6/7~8/3     静岡市美
☆‘ミロ展’           3/1~7/6     東京都美
☆‘ヒルマ・アフ・クリント展’  3/4~6/15    東近美
☆ゴッホ展’          9/12~12/21  東京都美
☆‘モーリス・ユトリロ展’    9/20~12/14  SOMPO美

はじめての静岡市美に足を運んだのは出品の情報がインプットされたあと、気になってしょうがなかったクレー(1879~1940)の‘赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー’をなんとしてもみたかったから。この回顧展は首都圏にはやって来ず、愛知県美、兵庫県美、静岡市美で行われた。最近はいろんな美術館が連携した質のいい企画展が実施されており、残念な思いをすることがでてきたので、意を決して静岡まで遠征してきた。

今年はワールドクラスの回顧展が2つあった。東京都美の‘ミロ展’にはなかなかみれない‘星座’シリーズが3点披露された。再会した‘明けの明星’(バルセロナ、ジョアン・ミロ財団)と初見の‘カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物’、‘女と鳥’(ナーマド・コレクション)を長くみていた。スウェーデンの女性画家、ヒルマ・アフ・クリント(1862~1944)の大作‘神殿のための絵画’に200%KOされた。ぱっとみるとミロの画風と重なるので、とても楽しかった。

東京都美で開催されたゴッホ展の嬉しい展示は、アムステルダムのゴッホ美がつくっている図録に載っている‘サント=マリ=ド=ラ=メールの浜辺の漁船’。おそらく日本にはじめて披露された?のではなかろうか。お気に入りの海景画なのでいい気持でながめていた。久しぶりの回顧展だったのがユトリロ(1883~1955)。SOMPO美では2度目となるが、前と比べると倍くらいレベルが高かった。その一枚がポンピドーが所蔵する‘ラパン・アジル’。パリでこれは縁がなかったので、目を焼き付けた。

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2025.12.17

日本の歌 今年の収穫は井上陽水と中島みゆき!

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Img_0002_20251217224701  DVD ‘A New Day’(2007年)

ブックオフへ出かけるときは、蒐集のエネルギーは映画のDVDだけでなく
頭に刻まれているクラシック音楽や日本の歌のCDにも注がれる。今年は
想定もしてなかった巡り合わせで日本の歌手にビッグネーム3人が加わっ
た。井上陽水、中島みゆき、小田和正。コレクションをはじめた2001年
この3人のCDを集めようと意気込んで店に足を運び、訪問するたびにお気
に入りの曲が入ったCDを探したが、どういうわけか棚には並んでなかった。

そのため、手に入れるのは諦めて今年の中頃まではまったく関心はなくなっ
ていた。ところが、なにかの拍子で小田和正のラベルが目に入り、‘小田和正
/自己ベスト’(2002年)がでていた。ええー!?小田和正があるじゃな
い、どうして? だったら、井上陽水や中島みゆきはどうなの?足を横滑
りさせると、ここにも知っているヒット曲がラインナップされたものがずら
ずらと並んでいた。

まさに状況が一変した。それから注意をむけて探し、小田和正2枚、井上陽
水1枚、中島みゆき1枚をゲットした。その4枚のCDから流れてくる歌の中
で心に強く響びいたのが2曲ある。ともにはじめて聴く曲。
☆井上陽水の♪♪‘なぜか上海’
☆中島みゆきの♪♪‘地上の星 ヘッドライト・テールライト’

こんな名曲を知らなかったの?とツッコミが入りそうだが、30周?遅れで
この心に沁みる曲を聴いているのである。井上陽水はモーツァルトのようにい
い曲をたくさん生み出す。本当にスゴイ才能!♪♪‘なぜか上海’のサビのとこ
ろ‘海の向こうは上海ー’をいい気持で聴いている。中島みゆきの♪♪‘ヘッドラ
イト・テールライト’はNHKの‘新プロジェクトX’の最後に流れてくるのを聴い
て、だんだん惹かれていった。なんだか、アメリカ映画にでてくる夕暮れの
ハイウエーを走っているクルマのシーンを観ているよう。

海外のシンガーでは、カナダのスーパースター、セリーヌ・ディオンのラスヴェガス公演を収録したDVD‘A New Day’(2007年)に偶然遭遇し、ラインナップされた♪♪‘アイム・アライヴ’が楽しめるようになったことも大きな収穫だった。

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2025.12.16

日経おとなのOFF ‘2026美術展’!

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Img_0002_20251216224301   ゴッホの‘跳ね橋’(1888年 ヴァルラフ=リヒャルツ美)

Img_0003_20251216224301  ゴーギャンの‘ブルターニュの少年’(1889年 ヴァルラフ=リヒャルツ美)

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ミレーの‘春’(1868~73年 オルセー美)

本日、店頭に並んだ‘日経おとなのOFF 絶対見逃せない2026美術展’によ
り、来年の展覧会シーンのイメージがおおよそみえてきた。新たにわかった
嬉しい出品作と特別展がでてきたのでまとめてみた。宇都宮美で行われる
‘ゴッホの跳ね橋と印象派の画家たち ヴァルラフ=リヒャルツ美術館所蔵’
(4/19~6/21)は目玉の‘跳ね橋’のほかにもマネ、モネ、ゴーギャン、
セザンヌなどビッグネームの作品がごそっとあった。

とくに関心が高いのがゴーギャンの‘ブルターニュの少年’。この絵がゴッホ同
様、ドイツの古都ケルン市にあるヴァルラフ=リヒャルツ美にあることは知
っていたが、本物をみる機会が訪れるとは。宇都宮美のあと大阪のあべの
ハルカス美(7/4~9/9)、愛知県美?(9月から)にも巡回する。

もうひとつ有難い展示が見つかった。それは東京都美開館100周年記念の
第3弾‘オルセー美術館所蔵 いまを生きる喜び’(11/14~3/28)に
出品されるミレーの‘春’。有名な‘落穂拾い’はインプットされていたが、どう
いうわけかオルセーでみたという実感がない‘春’もみれるのだからたまらない。
 
新たにわかった期待の特別展は、
☆‘チュルリョーニス展 内なる星図’  (3/28~6/14 西洋美)
☆‘アイルランド チェスター・ビーテイー・コレクション’     (4/27~7/20 東博)
☆‘ボストン美共同企画 南都仏画’   (7/18~9/13 奈良博)

リトアニアの国民的芸術家チュルリョーニスはまったく知らないが、鑑賞欲を刺激する作品が9点載っている。楽しめそうな予感がする。アイルランドのダブリンにあるチェスター・ビーティー・コレクションでもっとも知れらている狩野山雪の‘長恨歌絵巻’は2013年に京博で開催された‘狩野山楽・山雪展’でお目にかかったが、ほかにも‘義経地獄破り’、‘源氏物語絵巻’が披露されるという。そして、ボストン美との共同企画、‘南都仏画-よみがえる奈良天平の美ー’でも日本にあれば国宝間違いなしの‘釈迦霊山説法図’がやって來る。見逃せない里帰り展になりそう。

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2025.12.15

今年の‘セレンディピティ’ 映画!

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映画とのつきあいは長いが、世の中に大勢いる‘映画のことなら俺に(私に)
聞いて!’と豪語する映画狂をかりに大相撲の横綱としてみると、今の序列の
ランクは十両くらいがいいところ。ブックオフで名作映画のDVDを手に入
れ、観賞したあと、ルーティンとして映画の達人たちの感想記も読んでいる。
そして、いつも感心するのがプロの評論家並みの視点でとらえたコメント。
映画はこういうふうに観るのか、俳優の演技の見所はあそこだったのか、
あのセリフの意味は深読みするとそうだったのか、、、いろいろ教えてもら
っている。

映画DVDの蒐集をはじめて5年くらいのなるので、過去観てメモにお気に入
りの◎をつけていたものや、‘アメリカ映画ベスト〇〇!’、‘映画監督が選ん
だベスト〇〇‘などから情報を得たものがほぼ満足の行くレベルに揃って
きた。現在、本数は409本。今年おきた‘セレンディピティ’は次の4本(日本映画が3本、台湾映画が1本)。アメリカ、ヨーロッパ映画で跳び上がるほど嬉しかったものはなかった。

☆‘60歳のラブレター’(2009年)
☆‘南の島に雪が降る’ (1961年)
☆‘駅前シリーズ’   (1961~69年)
☆‘非情城市’     (1989年)

中村雅俊&原田美枝子、イッセー尾形&綾戸智恵、井上順&戸田恵子が出演
した‘60歳のラブレター’は偶然NHKBSのプレミアムシネマで観ておもしろ
かったので手に入れたいと思っていたが、まず無理な作品。ところが、相性のいいブックオフの店にひょいと現れた。こんなこともあるのか、大好きな麻雀でいうと、‘リーチ一発ツモ!’だった。これは嬉しいエピソード記憶になる。

加東大介主演の‘南の島に雪が降る’と森繫久彌、伴淳三郎、フランキー堺の名喜劇役者トリオで人気映画になった‘駅前シリーズ’(12作一括購入)は2020年と2024年に最新技術を駆使してリメイクされ発売されたもの。このタイミングにめぐり合ったことが幸運だった。そして、極め付きの‘セレンディピティ’が台湾映画の名作‘非情城市’。10/31、秋葉原のブックオフで奇跡が起こった。8100円の値段がついていたが、すぐレジにもっていった。

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2025.12.14

今年の‘セレンディピティ’ クラシック音楽!

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二日前、とても嬉しいことがあった。今年亡くなったピアニストのポリーニ
のCDをまた手に入れたくなったので、秋葉原のブックオフに足を運んだ。
店内のいつもの流れでポリーニが並んでいる棚を目指したが、レイアウトが
ガラッと変わり一瞬パニックり状態。店の人の案内によりクラシックのCDの
あるコーナーにたどりついた。

だが、以前のように作曲家、ソリストで検索できるようになっておらず、
案内のラベルは作曲家のみ。この中からポリーニを見つけるのは大変、4つ
くらいあった棚をひとつ々上の段から下の段まで視線を移動させていくのは
かなりキツイ。求めるCDがじっさいあるのだろうかと、不安になりながら
辛抱強くチェックしていると、思いもかけなかったCDがひょいと現れた。

それはヴァイオリンの名手パールマンが演奏するブルッフの♪♪‘スコットラ
ンド幻想曲’。ヴァイオリン協奏曲でもっとも好きなのはこれとチャイコフス
キー。だから、パールマンが弾いてくれるのをなんとしても手に入れたかっ
た。チャイコフスキーはすでにゲットし存分に楽しんでいるが、ブルッフは
姿をみせてくれなかった。果たして、CDがあるのか?も不明だった。
偶然の幸運に出会う能力を‘セレンディピティ’というが、まさにそれが起き
たのである。天にも昇る気持ちだった。

その宝物を手にもち、目的のポリーニを探していると、また幸運を引き寄せ
る力が働き、ベートーヴェンの♪♪‘ピアノ・ソナタ〈悲愴〉,〈月光〉,
〈熱情〉’がでてきた。さらにショパンの♪♪‘ピアノソナタ’を演奏したもの
が2枚も見つかった。これでポリーニのピアノソナタのCDは全部で19枚に
なった。内訳はベートーヴェン(6)、ショパン(8)、シューベルト&
シューマン(3)、リスト(1)、ドビッシー(1)。ポリーニに開眼した
ので追っかけはまだ続く。

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2025.12.13

2026年美術展 嬉しい追加情報!

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  竹久夢二の‘黒船屋’(1919年 竹久夢二伊香保記念館)

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  ‘五月之朝’(1932年 竹久夢二伊香保記念館)

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  牧谿の国宝‘観音猿鶴図’(南宋13世紀 大徳寺)

‘美術の窓(12月号)’(生活の友社)により来年の美術展に嬉しい
特別展が新たに加わった。
☆‘木村武山展’    (2/11~4/19  茨城県天心記念五浦美)
☆‘NHK日美50年展’ (3/28~6/21  東芸大美)
☆‘ヴァルラフ=リヒャルツ美展’ (4/19~6/21  宇都宮美)
☆‘今村紫紅展’    (4/25~6/28  横浜美)
☆‘ルーシー・リー展’ (7/4~9/13   東京都庭園美)
☆‘工藤甲人展’    (9/19~11/23 平塚市美)
☆‘大徳寺’      (10/14~12/6 東博)
☆‘竹久夢二’     (10/23~1/11 東近美)

来年は横山大観の盟友たちの回顧展がどどっと開催される。下村観山
(3/17~5/10 東近美)のあと、木村武山が茨城県の天心記念五浦美、
今村紫紅が横浜美に登場する。久しぶりに五浦まで遠征することになりそう。
紫紅は三渓園であった回顧展(2013年)以来だが、会場が広いため決定
版になる予感がするので楽しみ。

東芸大で3月末から行われる‘NHK日曜美術館 50年展’は‘30年展’と
同じ企画。石田徹也の‘飛べなくなった人’(1996年 静岡県美)が出品
されるから、静岡県美の展覧会が遠い人は見逃せないかもしれない。
宇都宮美の‘ヴァルラフ=リヒャルツ美展’の目玉はゴッホの‘跳ね橋’。その
あと上野の森美の‘大ゴッホ展Ⅰ.夜のカフェテラス’(5/29~8/12)が
続くから、ゴッホ狂は楽しさ二段重ねである。

‘芸術新潮 2026年美術展’で大きな見落としがあった。東近美で開かれ
る‘竹久夢二展’は決定版になりそうと書いたが、竹久夢二伊香保記念館が所
蔵する最高傑作‘黒船屋’は40年ぶりに館外で展示されることがちゃんと記
述してあるのにしっかり読んでなかった。まったくどうかしている。
2005年、記念館で予約をしてみたため、この絵は伊香保でしか鑑賞でき
ないと頭がフリーズしていた。もうひとつの傑作‘五月之朝’と会期の後期と
かで再会できると申し分ないが、果たして。

そして、東博の‘大徳寺’もボヤっとしていた。京博の‘宋元仏画’で展示替えの
ためみれなかった牧谿の‘観音猿鶴図’と二度目の対面が叶いそう。

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2025.12.11

2025年 日本美術で‘最高の瞬間’ ベスト&ベスト!(2)

Img_0002_20251211230401   運慶の国宝‘弥勒如来坐像’(鎌倉1212年頃 興福寺北円堂)

Img_0001_20251211230401   絵金の‘浮世柄比翼稲妻 鈴ヶ森’(19世紀 赤岡町本町一区)

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勝川春章の‘散策美人図’(1783~87年)

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Img_0004_20251211230401   円山応挙の‘鯉亀図風炉先屏風’(18世紀 徳川美)

Img_0005_20251211230401   

川端龍子の‘天橋図’(1960年 国立劇場)

日本美術で‘最高の瞬間’に遭遇した作品の残り5点が展示された特別展は、
☆‘運慶 興福寺北円堂’    9/9~11/30   東博
☆‘絵金 幕末土佐の天才絵師’ 9/10~11/3   サントリー美
☆‘北斎をめぐる美人画の系譜’ 9/16~11/24  すみだ北斎美
☆‘円山応挙’         9/26~11/24  三井記念美
☆‘国立劇場の名品展’     10/11~2/15  平塚市美

東博は京都や奈良にある有名なお寺や神社が所蔵するお宝美術品を毎年のようにどどっと公開する。2年前は東福寺で昨年は‘法然と極楽浄土’に修復が完了した知恩院の至宝‘阿弥陀二十五菩薩来迎図’(国宝)が披露された。今年は1月から3月にかけて‘大覚寺 百花繚乱 御所ゆかりの絵画’があり、秋には興福寺北円堂の展示空間を再現し、運慶が彫った傑作‘弥勒如来坐像’が飾られた。これは奈良に出かけてもタイミングがあわないとみれないので、じつに有難い展示。長年の思いの丈が叶ったので嬉しくてたまらない。

サントリー美は企画力に優れており、みんなが観たいなと思っている絵師にスポットを当ててくれる。なんとあの絵金(1812~1876)の芝居絵屏風をドーンと並べてくれた。その数22点。前後期に出動し、アクの強い戯画チックな画風を目に焼き付けた。最高傑作は再会した‘浮世柄比翼稲妻 鈴ヶ森’。

勝川春章(1743~1792)の‘散策美人図’、円山応挙(1733~1795)の‘鯉亀図風炉先屏風’、川端龍子(1885~1966)の‘天橋図’は事前に情報をつかんでいた作品ではなかった。春章は85年ぶりの公開という新聞記事が偶然目に入り急遽出かけたもの。こんないい肉筆美人画にめぐりあえるなんて思ってもみなかった。ミューズに手を合わせた。応挙の鯉と亀の絵は徳川美の図録で知っていたので、大収穫。川端龍子も春章と同じで、平塚市美へ行って国立劇場蔵の名画が一時的に展示されていることがわかった。見逃さなくて本当に良かった。

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2025.12.10

2025年 日本美術で‘最高の瞬間’ ベスト&ベスト!(1)

Img_0002_20251210225701   司馬江漢の‘寒柳水禽図’(18世紀)

Img_20251210225701   国宝‘赤糸威鎧’(鎌倉14世紀 櫛引八幡宮)

Img_0001_20251210225801   森口華弘の‘友禅訪問着「彩華」’(1985年 京近美)

Img_0003_20251210225801   曽我蕭白の‘群仙図屏風’(重文 1764年 文化庁)

Img_0004_20251210225801   堂本印象の‘維摩’(1923年 京都府堂本印象美)

今年出かけた展覧会で大きな感動をもらった美術品を選んでみた。まず日本
美術から。作品との出会いは‘最高の瞬間!’が期待できそうだと予想して足
を運んだものがある一方、展示室で思わず息を呑んでながめていると、だん
だんその出来栄えの良さに感服させられたものもある。そんな忘れられない
エピソード記憶となった5点が展示された特別展は上から順に、

☆‘かっこいい油絵’   3/15~5/11   府中市美
☆‘究極の国宝 大鎧’  7/5~9/7     春日大社国宝殿
☆‘友禅展’       7/19~9/15   京近美
☆‘宋元仏画’      9/20~11/16  京博
☆‘堂本印象’      10/7~11/24  京近美

好感度の高い美術館としてランキングしている府中市美では、ほぼ同時代
を生きた司馬江漢(1747~1818)と亜欧堂田善(1748~
1822)の二人展が開かれた。田善のほうは一度単独の回顧展に縁があっ
たので目が慣れていたが、江漢はどれも見逃せないという気でしっかりみた。
サプライズは追っかけ画にリストアップしていた‘雨柳水禽図’が出品されてい
たこと。アメリカにあるはずだが、日本のコレクターの所有になっていた。
その情報の外にいたので、飛び上がるほど嬉しかった。

今年は京都へ二度出かけた。一回目は奈良の春日大社で行われる‘大鎧’がメ
インディッシュ。東の横綱と呼ばれる青森県の櫛引八幡宮にある国宝‘赤糸威
鎧(菊一文字の鎧兜)’を天にも昇る気分でながめていた。その横には一度み
たことがある国宝‘赤糸威大鎧(竹虎雀飾)’(春日大社)が並ぶという豪華な
演出。ミューズに感謝!

そのあと京都に戻り直行したのが京近美の‘きもののヒミツ 友禅のうまれるところ’。お目当ての森口華弘(1909~2008)の‘友禅訪問着「彩華」’が前期の展示でみれなかったが、このあと巡回した静岡市美へ11月末遠征し、運よくリカバリーできた。二回目の京都旅行は長いこと待った堂本印象(1891~1975)の回顧展をみるため。立命館大のすぐ近くにある堂本印象美でなぜか縁のなかった‘維摩’に200%KOされた。開催のタイミングがうまく重なった‘宋元仏画’は最後にどーんと登場した曽我蕭白(1730~1781)の‘群仙図屏風’は予想もしてなかった展示。久しぶりの蕭白なので興奮してみていた。

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2025.12.09

2025年 浮世絵展の当たり年!

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Img_0002_20251209224701   9月16日~11月24日 すみだ北斎美術館

Img_0003_20251209224701   10月10日~12月14日 栃木市美術館

今年開催された美術展のなかで予想以上に盛り上がっていたのは浮世絵の特
別展。年の初めに出かけることを計画していたのは東博の‘蔦屋重三郎 コン
テンツビジネスの風雲児’と千葉市美の‘江戸の名プロデューサー 蔦屋重三郎
と浮世絵のキセキ’(5/30~7/21)だったが、千葉市美は東博をみたか
らいいかという気分になり、パスした。

昨年春、東芸大美で行われた‘大吉原展’は東博の蔦重展のプレリュード的な役割
を担った大きな企画展だったので、大河ドラマ‘べらぼう’で話の舞台が吉原だ
った前半での呑み込みがスムーズにいった。ともによく練られた構成で、
歌麿など人気の浮世絵師の定番の美人画がずらずらっと並ぶ一級の展覧会。
いい流れで新規の情報も多く吸収できた。2年がかりで大仕事をしたような
感じがしていた。

ところが、秋になって‘べらぼう‘パワーは予想以上に大きく、番組とコラボし
た質の高い企画展の情報がいろいろでてきた。見逃さなくて良かったのが3
つもあった。図録をしっかり製作してくれた太田記念美の切り口は版元を
前面に出したもの。ドラマで版元のキャラクターはイメージできているので、
この絵は鶴屋喜右衛門からでていたものか!はじめて観るようについ夢中で
みてしまう。新鮮な浮世絵鑑賞体験となった。

そして、すみだ北斎美の‘北斎をめぐる美人画の系譜’では長年追っかけていた
歌麿の‘当世踊子揃 石橋’に遭遇するというサプライズも。さらに幸運な巡り
合わせは続く。栃木市美も‘喜多川歌麿と栃木の狂歌’を開催してくれた。
蔦重と組んで美人大首絵という新機軸で一世を風靡した歌麿。
天才の共演に乾杯!  

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2025.12.08

大河ドラマ‘べらぼう’をアシストしてくれた関連本!

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昨日放送されたNHK大河ドラマ‘べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~’47話は、
ありゃァー!そうくるか!?だった。阿波蜂須賀家お抱えの能役者、斎藤十
郎兵衛(今はこの人物が写楽だったという説が定着している)が数々の悪事
で最後は成敗された一橋治済(はるさだ)の影武者として生きる話にすると
は。参りました!脚本家の森下佳子さんは天才的なストーリーテラーである。

この番組を毎週欠かさずみて、大きな収穫だったのはこれまで書物で情報を
入れていた狂歌のことが映像を通して立体的になり、黄表紙作家の朋誠堂喜
三二や恋川春町のキャラクターがイメージできるようになったこと(いい役
者が演じたことが大きい)。そして、蔦重が活躍した時代の空気や江戸っ子
の生活、娯楽がどんな風だったかもいろいろわかってきた。

こうした情報をさらに増やしてくれた手ごろな値段で発売された蔦重関連雑
誌。ごっそり買い込んだ。
☆‘べらぼう 蔦重とその時代’    (2025年1月 宝島社 1210円)
☆‘蔦重と江戸の文化を彩った天才たち’(2024年12月 メディアソフト 1210円)
☆‘蔦重と江戸文化’       (2024年12月 コスミック出版 1210円)
☆‘江戸の暮らしと仕事’       (2025年2月 宝島社 1650円)

これらの本から入る情報は貴重である。江戸のことをさらに深く知るのに欠
かせない情報源になりそう。

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2025.12.07

和歌への関心が上昇!

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本を読む習慣は長く続いているが、家の中が本によって占領されていること
はない。購入した本でもそれほどのめり込まなかったものはどんどん処分し
ているので、書庫には時間があれば何度でもページをめくりたいものだけが
並んでいる。そのなかで今年は和歌関連の本がいくつか加わった。

以前ビデオ収録したものがようやく順番がくるのはいつものことだが、今年
は2023年11月にNHKEテレで放送された‘100分de名著 古今和歌集’
が状況を変えてくれた。指南役の先生、渡辺泰明氏(国文学研究資料館館長)
の話がとてもおもしろく、和歌を集中的にやってみるかという気になった。
4回の講義が終わったあと手に入れたのが‘和歌とは何か’(2009年 
岩波新書)

小さい頃、家族で百人一首カルタを楽しみ、父親が歌を読みだすとすぐ手で
払った得意の歌を今でもしっかり記憶しているので、和歌の良さを感じる
瞬間が蘇ってきた。でも、和歌がどうやって生まれたか、歌人が思いを込めた
歌の意味、そしてレトリックなどのテクニックについての知識はゼロに等しい。
だから、この本はすごく新鮮で、番組で学んだことと併せて和歌の情報がぐん
と増えた。

そして、大きなオマケもあった。ゲスト解説者として登場した作家の髙樹のぶ
子さんの書いた‘小説小野小町 百夜’(2023年 日本経済新聞出版)を知
り、あの伝説の美女小野小町に最接近することになった。芥川賞を受賞された
この人気作家には同じ番組で‘伊勢物語’(2020年)を詳しく教えてもらい、
‘小説伊勢物語 業平’(2020年 日経経済新聞出版)でもお世話になった
から、和歌への興味が一段とますことに。
来年中にお気に入りの和歌を100首そらんじることを目標にしており、
古事記、万葉集、古今和歌集、新古今和歌集などからセレクションしている。

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2025.12.06

琳派の大事なモチーフ 伊勢物語!

Img_0003_20251206234501   尾形光琳の国宝‘燕子花図屏風’(根津美)

Img_20251206234501   深江芦舟の‘蔦の細道図屏風’(東博)

Img_0001_20251206234501   尾形光琳の‘不二山図’(五島美)

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鈴木其一の‘業平東下り図’(遠山記念館)

Img_0002_20251206234501   俵屋宗達の‘伊勢物語図色紙 梓弓’(山口蓬春記念館)

日本画のなかでは人気の高い琳派にスポットをあてた特別展はこれまで数多くみてきたが、ここ数年は縁がない。来年の展覧会シーンについて、情報をいろいろ集めて鑑賞の段取りに役だてようと思っているが、どうも見当たらない。ひとつ期待できそうなのは根津美で終了する‘伊勢物語展’のあと、三井記念美で開催される‘生誕1200年 歌仙在原業平と伊勢物語(2/21~4/5)。

根津美で俵屋宗達の‘伊勢物語図色紙’(6点)と尾形光琳(1658~1716)、酒井抱一(1761~1828)、鈴木其一(1796~1858)の描いた伊勢物語(3点)が出品されたので、三井でもいくつか出てくるかもしれない。希望は宗達と工房が手掛け60図くらいある正方形の画面の‘色紙’。新規のものが1点でもあれば有難い。これは2008年出光美であった‘王朝の恋―描かれた伊勢物語’に29点がどどっと展示された。

そして、2015年、ワシントンDCのフリーア美で開催された大宗達展でもメトロポリタン美などアメリカの美術館が所蔵する6点と遭遇した。アメリカのコレクターがしっかり蒐集しているのには驚いた。ほかにも縁があったものを加えると40点くらいになる。残りの20点は一体誰がもっているのだろうか。葉山の山口蓬春記念館にある24段‘梓弓’は出光でもみたが、なんとフリーアにも出張していた!

琳派で伊勢物語とすぐ結びつくのは尾形光琳の‘燕子花図屏風’。この傑作は5年くらい根津美でお目にかかってないので、また会いたくなった。東博の平常展で定期的にローテーション展示されるのが深江芦舟(1699~1757)の9段‘宇津の山’の場面を表した‘蔦の細道図屏風’。そして、9段‘富士の山’は宗達の色紙にもでてくるし、光琳、其一も描いている。こういう作品をみると琳派の画家たちは真に伊勢物語に魅了され続けていることがよくわかる。

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2025.12.05

浮世絵 伊勢物語!

Img_20251205232701   鈴木春信の‘風流六歌仙 在原業平’(18世紀 和泉市久保惣記念美)

Img_0004_20251205232801   鈴木春信の‘見立芥川’(1767年頃 シカゴ美)

Img_0002   鈴木春信の‘見立かきつばた’(1767年頃 大英博)

Img_0001   葛飾北斎の‘三河の八つ橋の古図’(1834年頃 大英博)

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鈴木春信の‘武蔵野’(1764~1772年 メトロポリタン美)

根津美の‘伊勢物語’(12/7まで)に残念な絵があった。前期(11/1~11/16)
に展示された鈴木春信(1743~1792)の‘風流六歌仙 在原業平’は
My春信図録には残念ながら載ってない。和泉市久保惣記念美が所蔵する鎌倉
時代に描かれた‘伊勢物語絵巻’(重文 前期の展示)は以前お目にかかった
ことがあるが、春信の‘在原業平’をもっていたとは!また、勝川春章の‘風流
錦絵伊勢物語り(筒井筒)’を見逃したのも痛い。

これまで縁があった浮世絵にでてくる伊勢物語は春信の見立絵が群を抜いて多い。第6段‘芥川’は春信流が一番ロマンティクな表現になっている。昔、男がなかなか手に入れることができなかった女を、夜中かろうじて盗み出した。芥川まで来ると、女は草の露をみて‘あれは何?’と男に聞く、、、、雷雨となりあばら家に女を押し込み戸口で見張っていたが、鬼が女を食べてしまう。

その切ない嘆きを詠んだ歌が ‘白玉かなにぞと人の問いし時 露とこたえて消えなましものを’(あれは白玉ですか、何ですか、とあの御方が尋ねたとき、いえあれは露ですよと、真っ直ぐにお答えして、私もあの露のように、はかなく消えてしまえば良かったのに。ああ、このような辛さに逢おうとは。)

第9段‘八橋’では当世風の旅姿をした男女が描かれている。男が草鞋の紐を締めなおしているのをみると二人は歩き疲れた様子。水辺に咲く杜若が心をリフレッシュさせてくれるだろう。葛飾北斎(1760~1849)は‘諸国名橋奇覧’シリーズ(11図)で三河国の八つ橋を見事な構図で仕上げている。2017年、大阪のあべのハルカス美術館で開催された‘北斎ー富士を超えてー’では大英博からやって来たこの摺りの状態が特別にいい名橋を息を呑んでみていた。第12段‘武蔵野’は1995年の‘メトロポリタン美 浮世絵名品展’(名古屋市博)で運よく遭遇した。以後、ほかの美術館のものは一度も出会ってない。

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2025.12.04

‘根来ー赤と黒のうるし’!

Img_0002_20251204225801   ‘瓶子’(サントリー美)

Img_0003_20251204225801   ‘瓶子’(重文 南北朝1346年 惣社水分神社)

Img_20251204225801   国宝‘唐櫃’(南北朝1390年 熊野速玉大社)

Img_0001_20251204225901   ‘二月堂練行衆盤’(鎌倉1298年 北村美)

サントリー美では‘絵金’が終わったあと、11/22から‘根来-赤と黒
のうるし’がはじまった(1/12まで)。大阪市美(9/20~11/9)
から東京に巡回してきた。黒漆に朱漆を重ねる根来塗は中世、和歌山
県の根来寺ではじまったと伝えられる。普段はほとんどみる機会がな
いが、2009年、大倉集古館で‘根来展’に遭遇し,朱塗の‘瓶子‘が放
つ強い磁力に吸い込まれた。鮮やかな赤色は神社の鳥居の赤と同じく、
圧倒的なインパクトをもっている。

その魅了される形の瓶子はサントリー蔵のものなど5点並んでいた。
瓶子は酒を容れ注ぐための容器でハレの宴や神前に供える神酒徳利と
して使われた。初見の奈良・惣社水分神社から出品されたものはボリ
ューム感のある黒塗で注口が倍くらい大きい。これは収穫。熊野速玉
大社の古神宝類のひとつになっている‘唐櫃’(国宝)もうれしい展示。

大倉集古館でみたことのある京都の北村美が所蔵する‘二月堂練行衆盤’はパット見ると抽象絵画を鑑賞している気分にもなる。赤地の上に溶け合う黒の動きがアクションペインティング風にイメージされる。これは東大寺二月堂修二会に用いられる練行衆盤で、練行衆が食事をとったあと食器類をこの盤に載せる。ほかに東大寺蔵(3点)と白鶴美蔵(1点)が横に並んでいる。北村美のものは形状から‘日の丸盆’と称され、茶道では特に珍重され‘根来の中の根来’と最高の根来として知られている。

仏のための金剛盤、法会のときの布薩盥、僧の飲食に供するお椀、湯桶・輪花盆(黒澤明旧蔵)などの実用品にも思わず足がとまった。二度目の出動(後期12/17~1/12)があるかもしれない。

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2025.12.03

根津美の‘伊勢物語’が大盛況!

Img_20251203224101   ‘伊勢物語絵巻 第九段 隅田川’(17世紀 東博)

Img_0001_20251203224101   ‘第百六段 龍田川’

Img_0002_20251203224101   鈴木春信の‘見立伊勢物語 筒井筒’(18世紀 和泉市久保惣記念美)

Img_0003_20251203224101   俵屋宗達の‘伊勢物語図色紙 渚の院の桜’(17世紀)

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尾形光琳の‘伊勢物語八橋図’(18世紀 東博)

根津美で開催中の‘伊勢物語 美術が映す王朝の恋とうた’(11/1~12/7)をみてきた。会期が1ヶ月くらいしかない特別展はいい作品が出ていることはこれまでの鑑賞経験からわかっているので、在原業平(825~880)の生誕1200年記念と銘打ったこの有名な歌物語展も見逃すわけにはいかない。閉幕の日が近づいているので館内は大勢の人で混雑していた。とくに目につくのは女性客とインバウンドの外人。

有名な書きだし‘昔、男ありける’から通称‘昔男’と呼ばれる主人公のモデルは
平安朝のプレーボーイ、在原業平。伊勢物語でよく知られた歌や恋の場面の
情景が描かれた作品がたくさん出品されている。説明書きでは歌のあとにしっ
かりその意味が載せてあるから、男女の心情が十分くみとれる。

‘伊勢物語絵巻 第九段 隅田川’で歌われるのは
名にし負はばいざこととはむ都鳥
わが思ふ人はありやなしやと
(都という名を背負っているなら、さあ尋ねよう、都鳥よ
都に残してきた私の愛しい人は、この世に無事でいるのかどうかと)

‘第百六段 龍田川’
ちはやぶる神代もきかず竜田河
からくれなゐに水くゝるとは
(不思議なことが多かった神代にも聞いたことがありません、
龍田川の流れを深紅の絞り染めにするなんて)

鈴木春信(1725~1770)の‘見立伊勢物語 筒井筒’
筒井つの井筒にかけしまろがたけ
過ぎにけらしな妹見ざるまに
(井筒でせいくらべをしていた私の背丈は、井筒の高さを超えて
しまったようですよ。あなたとお会いしないうちに)

俵屋宗達の‘伊勢物語図色紙 渚の院の桜’
世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし
(もし世の中にまったく桜の花がなかったなら、いつ花が咲くか散
るかと気をもむこともなく、心穏やかに春をすごせるだろうになあ)

尾形光琳(1658~1716)の‘伊勢物語八橋図’
から衣きつつなれにしつましあれば
はるばるきぬる旅をしぞ思ふ
(唐衣を着つづけたら身になじむように、私には慣れ親しんだ妻が
都にいるので、ここまではるばるやってきた旅をつらく思うことだ)

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2025.12.02

ゴンブリッジの‘美術の物語’(ポケット版)!

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東博の‘運慶展’と三井記念美の‘円山応挙展’をみた先月19日はJR東京駅近く
の丸善へ寄って、探していた本を2冊手に入れた。時間に余裕があったので、
店内をぶらぶらしていると有名な美術史家のゴンブリッジ(1909~
2001)が書いた大ベストセラー‘美術の物語’(1950年)のポケット版
(税込5489円)がどどっと並べてあった。

美術に興味がある仲間に情報として提供しようと思い、すぐスマホで写真に
撮った。以前ならメモをとるところが今はスマホをみせれば話がはやくすむ。
便利な時代を生きている。この本は2007年、ファイドンから発行され
たものを7000円で購入した。索引までいれると688頁もあるので手に
とるとどっしり重い。以来、その重さを感じながら愛読し続けている。

2019年に出版元が河出書房新社になり大型改訂版が発売された。それか
ら6年経ち、ポケット版がでてきた。これなら、重さをあまり感じなくて済
みそう。本のチラシには‘待望の3刷出来! 前回の入荷即完売! 是非お早
めにお求め下さい。’と赤書き。関心のある方は書店に急いだほうがいいかも
しれない。

ゴンブリッジはウィーン生まれのオーストリア系ユダヤ人。ウィーン大学で
学んだあと1936年にイギリスに渡り、研究活動の大半をイギリスで行っ
た。本籍オーストリア、現住所イギリスの高名な美術史家である。25歳の
とき妹の少女イルゼにささげられた‘若い読者のための世界史’(1935年
 中央公論美術出版2004年)と同じく、‘美術の物語’は若い読者を想定し
て書かれている。

でも、‘はじめに’でゴンブリッジは‘若者向けの本だからといって、大人向け
のものと書き方を変える必要など全くない。若者こそもっとも厳しい批評家
であって、えらそうな言い回しをしたり、わざとらしく感心してみせたりす
れば、たちまちソッポを向かれてしまう’と述べている。
この本を何度も読みたくなるのは、ズバリ文章が上手いから。とてもわかり
易いので、すいすいと読み進んでしまう。頭脳明晰の大家が美術の物語を
古代文明の頃からジャクソン・ポロックの現代アートまでしてくれる。
すばらしい本である。

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2025.12.01

芸術新潮 ‘2026年美術展 ベスト25’!

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来年の展覧会の情報を満載した‘芸術新潮12月号’(1900円)が店頭に並ん
だので早速購入し、新たにわかった特別展をリストに加えた。
西洋美術で関心の高いのは
☆‘テート美展’         (2/11~5/11  国立新美)
☆‘ドナルド・ジャッド展’    (2/15~6/7   ワタリウム美)
☆‘ロン・ミュエク’       (4/29~9/23  森美)
☆‘大ゴッホ展’         (5/29~8/12  上野の森美)
☆‘ピカソmeetsポール・スミス’  (6/10~9/21  国立新美)

☆‘ルーヴル美展 ルネサンス’  (9/9~12/13  国立新美)
☆‘アルベール・マルケ展’    (9/22~12/13 SOMPO美)
☆‘シンシナティ美展’      (10/10~1/10 上野の森美)
☆‘ターナー展’         (10/24~2/21 西洋美)
☆‘オルセー美’         (11/4~3/28  東京都美)

日本美術は次の二つが楽しみ。
☆‘百万石! 加賀前田家’    (4/14~6/7   東博)
☆‘竹下夢二展’         (10/23~1/11 東近美)

テート美展はダミアン・ハーストなど‘YBA ヤング・ブリティッシュ・
アーティスト’の現代アートが国立新美の大きな展示室に揃う。森美の‘ロン・
ミュエク’は気になっている作家なので出かけるつもり。‘大ゴッホ展Ⅰ.夜のカフ
ェテラス’は芸術新潮の展覧会早見表には載っていないが、今、神戸市博で開催
中なのでそのあとの巡回展は割愛したのだろう。

国立新美の‘ルーヴル美’はダ・ヴィンチの‘女性の肖像’が登場する。情報はこれ
だけだが、ほかの作品も期待したい。東京都美の100周年記念の第3弾‘オル
セー展’にはゴッホの‘ローヌ川の星月夜’、ミレーの‘落穂拾い’、カイユボットの
‘床に鉋をかける人々’が出品される。これも楽しみ。
日本美術は東近美の‘竹久夢二展’が決定版の回顧展となるような気がする。

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