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2024.12.29

ポリーニの神業ピアノ演奏に乾杯!

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今年、わが家のクラシック音楽コンサートホールで大ブレイクしたのは3月
23日に亡くなった(享年82)イタリア人ピアニスト、ポリーニ。これま
で一枚もなかったポリーニのCDを4~6月にかけてブックオフに足繫く通い
蒐集した結果、現在は16枚を数えクラシック全体のなかでも大きなウエー
トを占めるようになった。内訳は、ベートーヴェン(5)、ショパン(7)、
シューベルト・シューマン(3)、リスト(1)

ショパンについては、有名なピアニストが演奏したものではなくクラシック
ファン向けに売り出された‘ピアノソロ名曲集’などに入っているものを聴いて
おり、耳に馴染んだ曲想を楽しんでいたが、ベートーヴェン、シューベルト、
シューマン、リストははじめて聴くものばかり。だから、ポリーニのお陰で
ピアノソロの世界がぐーんと広がった。

CDに挿入されている専門家の解説文を読みながら曲の評価を自分なりに感じ
ているが、ベートーヴェンでは‘17番 テンペスト’と後期の‘30番’、
‘31番’、‘32番’に200%嵌っている。これが高く評価されている‘ポリー
ニのベートーヴェン’か、とその凄さを噛みしめながら聴いている。遅まきな
がらポリーニ狂の後ろのほうにつけたことを喜んでいる。

大きな感動はベートーヴェンだけでなく、シューベルトとシューマンのピア
ノ・ソロでもあった。この2人の作曲家はもちろん知っているが、CDコレク
ションにないため、曲のメロディラインがでてこない。ところが、ポリーニ
の演奏でこれまでのイメージががらっと変わり、シューベルトの‘16番’、
‘さすらい人幻想曲’、シューマンの‘1番’、‘幻想曲’に大変魅了された。ベート
ーヴェン的なところもあるが、二人の独自性もしっかり聴ける。ポリーニに
感謝々である。

今年も拙ブログにおつきあいいただきありがとうございます。
皆様良いお年をお迎え下さい。  

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2024.12.28

とびっきりの美人画 ベスト5!

Img_20241228232401    鳥高斎栄昌の‘郭中美人競 大文字屋内本津枝’(1797年 ボストン美)

Img_0002_20241228232401    鳥文斎栄之の‘蛍狩美人図’(1805年頃)

Img_0004_20241228232401    歌川広重の‘江戸名所 雪’(1849~52年)

Img_0003_20241228232401    上村松園の‘初雪’(1940年頃 大川美)

Img_0001_20241228232401    

山本芳翠の‘婦人像’(1892年頃 ウッドワン美)

西洋画でも日本画でも女性を描いた作品をみているときが一番楽しいのは何
年経っても変わらない。だから、毎年My好きな女性画のファイルは増えて
いく。今年、心を大きくゆすぶったった美人画の中からとびっきりのものを
5点選んでみた。その絵が飾られた特別展は上から次の通り。

☆‘鳥文斎栄之展’    1/6~3/3   千葉市美 

☆‘浮世絵の別嬪さん’  4/9~6/9   大倉集古館

☆‘広重ー摺の極み―’  7/6~9/1   あべのハルカス美

☆‘上村松園 松篁 淳之’  4/17~5/6  日本橋高島屋

☆‘山本芳翠’      9/27~12/8 岐阜県美

千葉市美で開催された鳥文斎栄之の回顧展では、入館してからテンションが高い状態で続くほどいい絵がたくさん出品されていた。とくに圧巻だったのがボストン美から里帰りした鳥居清長が得意とした三枚続きのワイド画面に描かれた舟遊びの絵。そして、サプライズは弟子たちの絵にもあった。それは鳥高斎栄昌の‘郭中美人競 大文字屋内本津枝’、猫を抱いた女の明るい笑顔が可愛いこと。大収穫だった。鳥文斎栄之は大倉集古館に集結した肉筆美人画のなかにあった‘蛍狩美人図’でも楽しませてもらった。

歌川広重は風景画のほうに関心がむかうので美人画は印象が薄いが、あべのハルカス美に登場した‘江戸名所 雪’に思わず足がとまった。ジョルジュ・レスコヴィッチ氏の広重コレクションは摺りの状態が極上なので、雪景色の背景に描かれた女をいい気持でながめていた。浮世絵以外で大きな感動をもらったのが美術本に載ってない上村松園の‘初雪’。回顧展に数多く出かけている松園にこんなすばらしい美人画が残っていたのか、という感じ。洋画家の山本芳翠の大回顧展でもウッドワン美蔵の‘婦人像’と遭遇した。

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2024.12.27

2024年 お気に入りの展覧会図録!

Img_0003_20241227222501    ‘村上隆 もののけ 京都’(京都市京セラ美 平凡社 ¥7610)

Img_0002_20241227222501    ‘池上秀畝’(練馬区美 青幻舎 ¥2800)

Img_0001_20241227222501    ‘ミュシャ ふたつの世界’(府中市美 筑摩書房 ¥2800)

Img_20241227222501    ‘人間国宝・志村ふくみ’(大倉集古館 世界文化社 ¥2727)

先般、大手スーパーに入っている馴染みの書店で‘日経おとなのOFF 2025
年絶対見逃せない美術展’を購入したとき、近くの棚に驚くべき書籍が並んで
いた。それは京都市京セラ美で開催された村上隆の回顧展の図録。7月、
この特別展をみたあとミュージアムショップでは手に入らず自宅への配達の
手続きをとってゲットした図録をこんな所でみつけるとは。この図録をつく
ったのは平凡社(2015年の五百羅漢図展も手掛ける)だから、書店で売
られていてもおかしくはないのだが、図録はミュージアムショップでゲット
するのが普通なのでちょっと面食らった。

現代アーティストの図録は値段が張るというのが一般的だから¥7610は
目をつぶって買ったが、美術書籍としては最高レベルの出来栄えだから満足
度はとても高い。最後のところに美術館で作品が飾られている導線に沿って
写真が配置されているので、鑑賞体験がリアルに再現され感動が蘇ってくる。
このアイデアに感心した。

一方、‘池上秀畝展’、‘ミュシャ展’、‘志村ふくみ展’の図録は青幻舎、筑摩書房、世界文化社が夫々出版しているので、書店の美術コーナーに並んでいるのではなかろうか(確認してないが)。池上秀畝の知名度は高くないため、あまり売れないかもしれないが、ミュシャや志村ふくみさんは有名だから、展覧会に足を運ばなくてもレジに持っていく美術ファンは多いような気がする。

美術館で展覧会をみたときは図録はだいたい購入している。以前との違いは
最近のものは図版に作品のリアルな色がそのままでていることが多くなった
こと。色を再現する印刷技術が格段に向上している感じ。だから、会場で感
動した色彩の輝きが図録をみることでまた楽しめる。ここに選んだ4冊は頻繁に頁をめくっている。いい時代になった。

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2024.12.26

2024年 世界名作映画 ベスト10!(3)

Img_0002_20241226223001    ‘二都物語’(1980年 イギリス製作 カラー 172分)

Img_20241226223001    ‘どん底’(1936年 フランス製作 モノクロ 85分)

Img_0001_20241226223001    ‘ゾラの生涯’(1937年 アメリカ製作 モノクロ 116分)

世界的に知られた文豪の小説が映画になったものや小説家あるいは作曲家、
芸術家の物語をあつかったものがブックオフにでてくると、すぐレジに持っ
ていくことが多い。なかには映画としてはおもしろくないのがあるが、それ
はご愛嬌で手放さず資料のひとつとしてキープすることにしている。

今年運よくゲットできたもので永久保存版として何度も観そうなのが、ベス
ト10!の残りの3点。‘二都物語’はディケンズ(1812~1870)の
歴史小説(1859年)をBBCがドラマにしたもの。原作は読んでなかった
のでDVDの表紙の絵柄をみてロンドンとパリで繰り広げられるラブロマンス
の映画と思った。ところが、それは大間違いでトーマス・カーライルの‘フラ
ンス革命史’(1837年)に触発された重いテーマの作品だった。
悪党の貴族や復讐にもえる怖い酒場の女主人が登場し、ハラハラドキドキの
ミステリー映画を観ているような感じ。すぐ映画鑑賞ファイルではサスペン
スのところに分類した。BBCの製作する映画はいいものが多いが、これも傑作。
ネタバレは避けたいので、関心のある方は是非!思いつかない衝撃のエンディ
ング、なぜこんなことになるの?原作を読んだが、まだその理由がつかみきれ
てない。

ルノワールの息子、ジャンが監督した‘どん底’もずしんとくる映画。ロシアの
ゴーリキー(1868~1936)の有名な小説をフランスの映画人が製作
した。映画のDVDをコレクションするようになって若い頃のジャン・ギャバン
が出演する映画に遭遇した。脱獄三部作のひとつ‘大いなる幻影’(1937年)
とこの‘どん底’。どん底から抜け出したい男(ジャンギャバン)とここへ落
ちてきた男(男爵)の友情物語。その二人に絡むまわりにいる人たちによっ
て発展する人間模様の描写がすごくいい。

ドガ(1834~1917)の幼な友達だった文豪ゾラ(1840~1902)
の物語で大きな収穫だったのは上映時間の半分を占める‘ドレフュス事件’。この
冤罪スパイ事件がこの映画で詳細にわかるとは思ってもみなかった。歴史好き
なのでこの映画は忘れられない。

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2024.12.25

2024年 世界名作映画 ベスト10!(2)

Img_20241225223901    ‘会議は踊る’(1931年 ドイツ製作 モノクロ 95分)

Img_0002_20241225224001    ‘用心棒’(1961年 モノクロ 110分)

Img_0001_20241225224001    ‘隠し砦の三悪人’(1958年 モノクロ 139分)

同じ映画を何度も観るのは定番の落語や漫才を何回聞いてもいつも同じとこ
ろで笑ってしまうのと一緒で、映画のなかにでてくる迫力ある画面や心にぐ
さっとくるセリフや会話のシーンを観てまた感動を味わいたいから。
(2)で取り上げたのはその傑作映画に今年加わったもの。

ドイツで1931年に製作された‘会議は踊る’は200%KOされたので、
10/3と11/20、2度アップした。ドイツではじめてトーキーがつくら
れたのは1929年だが、その2年後にミュージカル映画のお手本になる作
品が登場したというのが凄いなと思う。この映画で特別楽しいのは馬車に乗
せられたクリステルが主題歌の‘ただ一度の’を歌ってアレクサンドル皇帝の
別荘へ向かうところ。1980年、NHKが特番のために映画音楽の人気アン
ケートを行うと直近の大ヒット作、‘ゴッドファーザー’や‘スターウォーズ’な
どをおさえてこの歌が1位に選ばれている。

NHKのBSにこのところ黒澤明監督の名作が放送されている。‘用心棒’のあと‘隠し砦の三悪人’が続き、12/26には‘椿三十郎’が登場する。10/4に‘用心棒’のことを書いたが、2週間前、‘隠し砦の三悪人’が流れていたので途中まで観ていた。2つとも30年くらい前、レンタルビデオで観たと当時記録していた映画鑑賞ブックに記されているが、どんなストーリーだったかまったく忘れていた。‘隠し砦’が後半どんな展開になるかを知りたくて、ブックオフを2店訪れ運よく手に入れることができた。

‘用心棒’は喜劇の味付けが三船敏郎のド迫力の殺陣のシーンをより際立たせている。一方‘隠し砦’では欲の皮の突っ張った百姓の太平(千秋実、知ってる人は知っている)と‘又七’(藤原釜)の掛け合いが笑える。ことあるごとに喧嘩するが、苦境に陥るとすぐ‘仲よくしような’とじゃれ合う。こういうシーンにほっこりさせられるなか、圧巻は三船敏郎演じる真壁六郎太(世継ぎの姫を補佐して秋月家の再興を図るため軍用金を薪に隠して同盟国の早川領へ逃げのびる一行のリーダー)が敵の山名軍の騎馬武者を追いかけて斬り捨てるシーン。フォード監督の‘駅馬車’にでてくる疾走する馬が頭をよぎる。黒澤監督の娯楽時代劇は‘七人の侍’、‘用心棒’、‘隠し砦の三悪人’で決まり!

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2024.12.24

2024年 世界名作映画 ベスト10!(1)

Img_0002_20241224225001    ‘M’(1931年 ドイツ製作 モノクロ 109分)

Img_20241224225001   ‘そして誰もいなくなった’(1945年 アメリカ製作 モノクロ 97分)

Img_0003_20241224225001    ‘恐怖の報酬’(1953年 フランス・イタリア製作 モノクロ 148分)

Img_0001_20241224225001    ‘第17捕虜収容所’(1953年 アメリカ製作 モノクロ 120分)

ここ数年、ホームシアターで上映する映画を観るのが美術館巡り同様、大き
な楽しみになっている。追っかけ映画DVDを求めてブックオフへ定期的に足
を運んでおり、現在その数は365本になった。書籍と同じで購入してすぐ
観るものもあるが、しばらく積んでおくのもあるため、先入先出の方法で観
ていくと総数としては380~390本あたりが名作映画コレクションの
最終形になりそう。

DVDを集め出した最初の頃は過去に観て大きな感動をもらい何度もみたくな
る映画(たとえば、お気に入りの‘砂の器’とか‘天国と地獄’のような)を中心
に蒐集していたが、それが完成に近づいてきたので、今は世界名作映画ベスト
100といった情報などを参考にしてまったくはじめての作品を辛抱強く探し
ている。今年はこんないい映画があったのか!ということが多くあったので
ベスト10として選んでみた。まず選んだのは刑事物、サスペンス、脱獄物
から4点。

いずれもはじめて観る映画だが、‘M’と‘恐怖の報酬’はつい2週間の間に姿を現してくれた作品。2作とも‘名作ベスト○○’の情報から漏れており、偶然棚に手がのびて映画の宝物にぶち当たった感じ。‘M’は次々と起こる少女殺人事件の話。タイトルのMという文字はドイツ語で殺人者を意味する単語の頭文字で、女の子を誘って次の犯行をしようとしている犯人を見つけた男が仲間に知らせようと手に白い粉でMを書きコートに印しをつけたもの。このアイデアがおもしろい。刑事物のお手本のような映画を1931年にドイツが製作していたとは。傑作である。黒澤監督もこれをみたな思うシーンがでてきた。それは刑事が犯人の住んでいる家の家宅捜査にやって来たとき、応対した家政婦が‘私は耳がよく聞こえないんですよ’と大声で話してくれるように言う。‘天国と地獄’で同じようなやり取りがある。捜査員がタバコ屋の御婆さんに聞き込みするが、‘あの婆さん、耳が遠くて困りました!’と笑って言うと、捜査会議に出ていた全員がどっと笑う。

‘恐怖の報酬’はネタバレになるので詳しくはふれないが、1953年カンヌ国際映画祭でクランプリを受章した名作。主演のイヴ・モンタンがシャンソン歌手なのは知ってたが、俳優もやっていた。油田で火災が起き、火の勢いが強く、ニトログリセリンの爆風で消しとめるしかない。そのニトロを現場まで運ぶトラック運転手に4人(2組)の男たちが選ばれ、うまくやれば報奨金2000ドルの大金が手に入る。しかし、トラックが大きく揺れたりするとドカーンに爆発してすべてが終わる。途中、障害がいろいろ待ち受けハラハラドキドキの連続。ひとりイヴ・モンタンだけが生き残り、二人分の4000ドルをもらうが、最後は予想外の結末が待っている。それ、ありかい?可哀そうに。関心のある方は‘M’同様、是非。

アガサ・クリスティの‘そして誰もいなくなった’は映画の名前が前から気になっていたが、ゲットしたのは今年の5月と遅れた。同じことは‘第17捕虜収容所’にもいえ、レジに持っていくのが延び々になっていた(その理由は12/12に書いた)。‘そして誰もいなくなった’はアガサ・クリスティーの最高傑作というのがよくわかった。小説も買って読んだが、殺人犯の心理描写が秀逸。一体、誰が犯人?

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2024.12.23

2024年 日本美術で‘最高の瞬間’ ベスト10!(3)

Img_20241223230401    国宝 ‘阿弥陀二十五菩薩来迎図’(鎌倉14世紀 知恩院)

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‘青磁水仙盆’(北宋12世紀 国立故宮博物院)

Img_0003_20241223230401    ‘肉形石’(清18∼19世紀 国立故宮博物院)

Img_0001_20241223230401    志村ふくみの‘野の果てⅡ’(2023年)

今年、日本美術および中国美術で遭遇した傑作の残り4点は仏画と中国の
やきもの、工芸品、そして染織。気持ちを高ぶらせて出かけた特別展は、
☆‘法然と極楽浄土’    4/16~6/9    東博
☆‘故宮の所蔵品展’    8/4         国立故宮博物院
☆‘人間国宝・志村ふくみ’ 11/21~1/19  大倉集古館

国宝に指定された美術品が登場する展覧会は年間の鑑賞計画の中では◎つ
きで強く記憶される。東博で開催された‘法然と極楽浄土’には4点の国宝が
出品された。その中で特に心をとらえたのが‘阿弥陀二十五菩薩来迎図
(早来迎)’、会期中出ずっぱりだったので2度足を運んだ。修復が完了し
てはじめての披露だというのも背中を押した。色がよくでており、左上か
らの対角線に沿ってすーっと降りてくる阿弥陀様と大勢の菩薩のスピード
感がじつにいい。

今年はこの‘早来迎’がドドーンと心を揺るがしたが、中国美術でも‘最高の瞬間!’が連続した。舞台は台北にある国立故宮博物院。ここを訪問するのは30数年ぶりで2度目。お目当てはなんといっても世界に誇る陶磁器の名品。お宝中のお宝が北宋時代の12世紀につくられた‘青磁水仙盆’。この汝窯で焼かれた絶品の青磁との対面を長い間夢見てきたがようやく実現した。天にも昇る気持ちだった。

もうひとつサプライズMAXの工芸品がある。それは2014に開催された特別展‘台北 国立故宮博物院 神品至宝’(東博&九博)で九博のみの展示のため見逃した‘肉形石’。玉髄という石を豚の角煮を連想させるつくりものに変える超絶技巧に大きな衝撃を受けた。専用の展示室では普段は横に飾られている有名な‘翠玉白菜’はどこかへ出張中で楽しめなかったが、求めていた‘角煮’がみれたので言うことなし。12月に入ってでかけた志村ふくみさんの染織の回顧展も幸運なめぐり合わせだった。最新作の‘野の果てⅡ’の品があって優しい色づかいに心が洗われる思いだった。

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2024.12.22

2024年 日本美術で‘最高の瞬間’ ベスト10!(2)

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 池上秀畝の‘四季花鳥 春(右) 夏(左)’(1918年 長野県美)

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  田中一村の‘不喰芋と蘇鉄’(1973年以前)

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   山本芳翠の‘浦島’(1893~95年 岐阜県美)

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   山本芳翠の‘灯を持つ乙女’(1892年 岐阜県美)

日本美術で‘最高の瞬間’の(2)は絵画を4点選んだ。感動の傑作に巡り合
った展覧会は次の通り。
☆‘池上秀畝’     3/16~4/21   練馬区美
☆‘田中一村展’    9/19~12/1   東京都美
☆‘山本芳翠’     9/27~12/8   岐阜県美

練馬区美は過去に日本画家の高山辰雄や若くして亡くなった現代アートの石
田徹也などの回顧展を行っており、好感度の高さから特別展のスケジュール
を定点観測している美術館。今年は回顧展が開催されることがまったく頭に
なかった池上秀畝が登場した。三の丸尚蔵館でみた代表作の‘国之華’に大変
魅了され、その存在を知ることになったが、今回の回顧展でこの日本画家の
真髄にふれることができた。2度でかけたが、もっとも惹かれたのが‘四季花
鳥’、色彩にとても力があり装飾性豊かな花鳥画をひきたてている。

2010年に千葉市美で開催された回顧展で大きな衝撃をうけた田中一村の
作品が東京都美で再度ラインナップを強化して披露された。東京都美で日本
画家の作品をみるなんて思ってもみなかったが、これからは西洋絵画だけで
なく日本画にも力を入れる方針に変えたのだろうか。14年前同様、奄美で
描かれた傑作‘アダンの海辺などの縦長作品のシリーズに視線が釘付けになっ
たが、今回は千葉市美のときとくらべて3倍くらい時間をかけてみたのが
‘不喰芋と蘇鉄’。アンリ・ルソーがこの絵の緑のグラデーションをみたら裸足
で逃げるにちがいない。真にすごい絵だなと思った。

今月の3日に訪問した岐阜県美にたくさん展示されていた山本芳翠の絵でう
けた感動の余韻がまだ残っている。久しぶりにお目にかかった‘浦島’の画面
の大きさ、細密描写のすごい技、綺麗な女性たちの姿を息を呑んでみていた。
大きな収穫は‘灯を持つ乙女’、みた瞬間、ラ・トゥールの‘大工の聖ヨセフ’や
‘聖ヨセフの夢’に描かれた蝋燭の灯の表現を思い出した。乙女の左手が蝋燭
の炎で透けて見えるのはラ・トゥールとそっくり。山本芳翠がこんな絵を
手掛けていたとは。

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2024.12.21

2024年 日本美術で‘最高の瞬間‘ ベスト10!(1)

Img_0003_20241221230001    鳥文斎栄之の‘新大橋橋下の涼み船’(1790年頃 ボストン美)

Img_0001_20241221230101    喜多川歌麿の‘吉原の花’(1791~92年 ワズワース・アセ―ニアム美)

Img_20241221230101    歌川広重の‘平清盛怪異を見る図’(1843~46年)

Img_0002_20241221230101    英一蝶の‘僧正遍照落馬図’(17世紀後半 大和文華館)

今年開かれた日本美術関連の特別展は年間を通してレベルが高く多くの美術
ファンを惹きつけるものが数多く登場した。そのなかで浮世絵、風俗画が大
当たりでベスト10に4つ入った。それらが展示された話題の展覧会は上か
ら次の通り。
☆‘鳥文斎栄之展’     1/6~3/3     千葉市美
☆‘大吉原展’       3/26~5/19   東芸大美
☆‘広重ー摺りの極みー’  7/6~9/1     あべのハルカス美
☆‘英一蝶’        9/18~11/10  サントリー美

ここ10年のスパンでみて、これほど感動する浮世絵展が揃った年はほかに
ない。大収穫は鳥文斎栄之の回顧展が実現したこと。会場は浮世絵展では定
評のある千葉市美。海外からは大英博物館やボストン美の摺りのいい作品が
どどっと里帰りし、鳥居清長のワイド画面を彷彿とさせる‘新大橋橋下の涼み
船’などが目を楽しませてくれた。またまた大ホームランをかっ飛ばしてくれ
た千葉市美に感謝々である。本当にすばらしい。

この浮世絵バトンが次に送られたのが東芸大美の‘大吉原展’。ここへも千葉市
美同様、2回喜び勇んで出かけた。美人画と吉原は深く結びついているから
ラインナップを構成する作品には事欠かない。目玉はアメリカのワズワース
・アセ―ニアム美から特別出張をして頂いた喜多川歌麿の‘吉原の花’。
2017年、箱根の岡田美で感動の対面してから7年が経過し、またこの
肉筆画の大作に遭遇した。歌麿の版画を含めて最高傑作と思っているから存
分に楽しんだ。

開館10周年をむかえた大阪のあべのハルカス美で行われた‘広重展’も一生の思い出になった。出品作の大半はパリ在住のポーランド人コレクター、ジョルジュ・レスコヴィッチ氏が所蔵するもので、いずれも極上の摺りの状態により色が輝いていた。これまで同じものを国内の美術館蔵や海外の浮世絵のブランド美術館の里帰り展でみているのに、まったく別の浮世絵をみてる感じ。そして、‘最高の瞬間’を感じたのは図版では知っているがまだ本物に縁がなかった‘平清盛怪異を見る図’。仰天するのが広重流のシュールな表現。積もった雪の形と骸骨がダブルイメージになっている。日本で最初のシュルレアリスム絵画を広重が手掛けていたとは!サントリー美の‘英一蝶展’は期待値を大きく上回ってくれた。‘僧正遍照落馬図’をはじめとして追っかけリストに載せていた作品をおかげで8割方みることができた。

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2024.12.20

2024年 西洋美術で‘最高の瞬間’ ベスト10!(3)

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デ・キリコの‘予言者’(1914~15年 MoMA)

Img_0004_20241220230301  カナレットの‘カナル・グランデのレガッタ’(1730~39年 ボウズ美)

Img_0002_20241220230301    モネの‘シュザンヌ・オシュデと向日葵’(1890年)

Img_20241220230301   ミュシャの‘ハーモニー’(1908年 堺アルフォンス・ミュシャ館)

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ミュシャの‘クオ・ヴァディス’(1904年 堺アルフォンス・ミュシャ館)

西洋美術で‘最高の瞬間’を味わった残りの作品が展示された特別展は上から、
☆‘デ・キリコ展’        4/27~8/29    東京都美
☆‘カナレットとヴェネツイアの輝き’  10/12~12/28   SOMPO美
☆‘モネ 睡蓮のとき’      10/5~2/11    西洋美
☆‘ミュシャ ふたつの世界’   9/21~12/1    府中市美

気になる画家の回顧展に巡り合うのが展覧会に出かける一番の楽しみである
が、その回数で理想としているのは3回。形而上絵画のデ・キリコは東京都
美で行われた回顧展でそれに達した。出品作のなかに追っかけリストに載せ
ていた‘弟の肖像’(ベルリン国立美)と‘運命の神殿’(フィラデルフィア美)にお目にかかれたのは幸運だった。そして、デ・キリコのイメージとしてすぐ思い浮かぶ‘マネキン’シリーズにMoMA蔵の‘予言者’が加わったのも大きな収穫。

今年はモネの大当たりで年初の東京都美だけでなく、西洋美で秋から‘モネ 睡蓮のとき’が開催された(来年の2月まで)。パリのマルモッタンモネ美からどどっとやって来た‘睡蓮’は多くをすでにみている。そのため、作品の衝撃度でいうと感動は‘睡蓮’ではなく肖像画の‘シュザンヌ・オシュデと向日葵’のほうが大きい。これは手元のMyモネ図録にも美術本にも載ってない。こういうモネのイメージとはひと味もふた味も違う作品をみせてもらうと、流石、西洋美!と拍手したくなる。

SOMPO美の今年2本目のクリーンヒットが‘カナレットとヴェツィアの輝き’。以前、ロンドンのナショナル・ギャラリーでカナレットのすばらしいヴェネツィアの海景画をみて大感激したことをよく覚えているので、イギリスの美術館が所蔵するカナレットには自然と期待値が高くなる。果して、予想通り見ててすごくいい気持になる‘カナル・グランデのレガッタ’が姿を現してくれた。カナレットに乾杯!また、府中市美で堺アルフォンス・ミュシャ館のお宝中のお宝である大作の‘ハーモニー’と‘クオ・ヴァディス’をミューズのおかげで見逃さずにすんだのもよかった。

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2024.12.19

2024年 西洋美術で‘最高の瞬間’ ベスト10!(2)

Img_20241219231501  エークマンの‘イルマタル’(1860年 フィンランド国立アテネウム美)

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ブランクーシの‘空間の鳥’(1926年 横浜美)

Img_0001_20241219231501    村上隆の‘白虎 京都’(2023~24年)

Img_0002_20241219231501    村上隆の‘阿像(右) 吽像(左)’(2014年)

4作品が登場した展覧会は次の通り。村上隆の作品が2つあるのは、
(1)のマティス同様 ‘同点1位’という考えから。
☆‘北欧の神秘’      3/23~6/9   SOMPO美
☆‘ブランクーシ’     3/30~7/7   アーティゾン美
☆‘村上隆 もののけ 京都’  2/3~9/1    京都市京セラ美

新宿にある新装なったSOMPO美との相性がとても良く、今年は‘北欧の神秘’で大きな感動をもらった。2018年に北欧(デンマーク、ノルウェー、スウェーデン)を旅行し、念願のフィヨルド観光やムンクの‘叫び’を楽しんだ。そのため、日本の美術館でははじめてお目にかかった北欧の絵画にもすっと入っていけた。知っている画家はムンクを除いて一人もいなかったが、フィンランドのエークマンという画家が描いた‘イルマタル’に大変魅了された。海外の画家については、美術の本に載っている画家くらいしか馴染みがないから、北欧絵画に接すると新鮮な驚きが生まれる。当たり前のことだが、どこの国にも才能豊かな画家がいることを見せつけられた。

アーティゾン美で開催された‘ブランクーシ’はひとつの‘事件’ともいえるグローバルクラスの回顧展だった。美術ファンにとって抽象彫刻の先駆者であるブランクーシの作品がまとまってみれるのは一生に一度の幸運かもしれない。これを企画したアーテイゾンに感謝々である。横浜美から出品された‘空間の鳥’はつるつるした黄金の金属の心地いい質感描写ときりっとしたフォルムの強さを目に焼きつけた。

京都市京セラ美で7ヶ月のロング興行が行われた‘村上隆 もののけ 京都’では現代アートがつくりだす最高レベルのエンターテイメントを体験させてもらった。村上本人が日本ではもう回顧展はないと言っているので、京都旅行には嬉しさがぎっしりつまっている。村上隆で‘最高の瞬間!’はズバリ ‘白虎 京都’と展示室に入る前のフロアにどーんと飾られていたパワフルMAXの‘阿像、吽像’。

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2024.12.18

2024年 西洋美術で‘最高の瞬間’ ベスト10!(1)

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モネの‘睡蓮’(1908年 ウースター美)

Img_20241218232001    マティスの‘花と果実’(1952~53年 ニース市マティス美)

Img_0001_20241218232001    マティスの‘蜜蜂’(1948年 ニース市マティス美)

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エリアソンの‘呼吸のための空気’(2023年)

今年、美術館で開催された展覧会(台北も含む)へ出かけたのは全部で
45回。ここ数年は50回前後の訪問が定着してきた。昨年同様、感動し
た特別展を10選ぶのはやめて、展示された作品にフォーカスして‘最高の
瞬間’を感じたベスト10を選んだ(作品同士の順位はつけず鑑賞した順番に並んでいる)。まずは西洋美術から。4点が展示された特別展は上から次の通り。

☆‘印象派 モネからアメリカへ’ 1/27~4/7   東京都美
☆‘マティス展’        2/14~5/27  国立新美
☆‘オラファー・エリアソン展’ 11/24~3/31 麻布台ヒルズギャラリー

東京都美で開催されたアメリカのウースター美のコレクション展でお目にかかったモネの‘睡蓮’には200%KOされた。この睡蓮は手元にある美術本にまったく載ってない。静かで美しく輝く絶品の睡蓮は名前を知らなかったアメリカの美術館が所蔵していたとは!これまでみた‘睡蓮’の連作では5本の指に入る傑作である。美術好きの友人にみせたくて2度出かけた。

昨年に続き、今年もマティスの回顧展が国立新美で開かれた。出品作は若い頃スイスのジュネーブに住んでいたとき、クルマで出かけたのに休館で中に入れなかったニース市マティス美が所蔵するもの。予想だにしなかったリカバリーの機会が訪れ切り紙絵‘花と果実’と‘蜜蜂’に遭遇することができた。天にも昇る気持ちだった。

昨年の11月に開館した麻布台ヒルズギャラリーで現代アートのトップランナーのひとり、オラファー・エリアソンの個展に足を運んだのも忘れられない鑑賞体験。スマホの写真撮影がOKなので自由で開放的な展示空間を忙しくパチパチ撮り、最新作の‘呼吸のための空気’などを息を呑んでながめていた。

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2024.12.17

来年 SONPO美と東京ステーションギャラリーで‘藤田嗣治展’!

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‘自画像’(1929年 名古屋市美)

Img_0002_20241217225301    ‘婦人像(リオ)’(1932年 広島県美)

Img_0001_20241217225301    

‘ヴォジラーㇽ、パリ’(1953年)

わが家の書庫に納まっている展覧会の図録を再編集してMy図録に変えるこ
とをここ数年定期的に行っている。そのお陰で図録の数が多い画家について
はこれまで縁のあった作品がどのくらい積み上がってきているかおおよそ頭
に入っている。そして、新たに登場する回顧展に出かけるかを決めるときは
この作品データベースを利用している。

‘日経おとなのOFF  2025年 絶対見逃せない美術展’に2つの藤田嗣治展
に出品される作品で気になるのがいくつかでていた。
☆SONPO美術館         2/1~3/30
☆東京ステーションギャラリー   7/5~8/31 

10/18の拙ブログでSONPO美の回顧展に展示される‘自画像’(フランスの
個人蔵)を紹介したが、ほかにも過去にあまりみたことのないパリの光景を
描いた‘ヴォジラール、パリ’もでてくる。また、エルサレム在住の個人が所蔵
する‘ヴェールの若い女性’にとても惹かれる。いずれも4冊あるMy藤田嗣治
図録に載っていない未見の作品。こういうのをみせられるとこれは絶対見逃せ
ないという気分になる。

東京ステーションギャラリーの回顧展の切り口は‘絵画と写真’。ここに載って
いる男性のファッション雑誌にでてくるようなモデルばりのポーズをとる藤田
の写真をみると、時代の寵児となった姿がすぐイメージできる。名古屋市美に
ある‘自画像’はこれまでお目にかかったことがあると思っていたが、チェックす
るとまだ遭遇してなかった。4回でかけた回顧展に出品されてなかったのが
意外な気がする。‘婦人像(リオ)’は広島で仕事したのでよく知っている。
2018年東京都美であった決定版回顧展にもどーんと飾られた。

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2024.12.16

2025年 注目の現代アート展!

Img_20241216224601     松山智一の‘Keep Fishin‘ For Twilight’(2017年)

Img_0001_20241216224601   エミリー・カーメ・イングワリイの‘春の風景’(1993年 アーティゾン美)

‘日経おとなのOFF 2025年 絶対見逃せない美術展’で‘芸術新潮’には載っ
てなかった日本人現代アーティストの回顧展をみつけた。その人物は1976
年岐阜県に生まれ、25歳からNYに住んで創作活動をしている松山智一
(48歳)。会場は昨年開館記念で‘オラファー・エリアソン展’を開催した
麻布台ヒルズ ギャラリーで‘松山智一展 FIRST LAST’が3/8~5/11に行わ
れる。

松山にすぐ反応したのは、2013年、とんねるずの木梨憲武がNYのブルッ
クリンのギャラリーを訪ねるというTVの美術番組があったのを覚えており、
そこに松山が登場したから。そのとき描いていた作品が回顧展に出品される
‘Keep Fishin‘ For Twilight’によく似ているのでピンときたのである。番組が
紹介するアーティストだから現地では高く評価されていることは予想できたが、
そのあと現在まで日本の美術館で個展に接することがなかった。‘日経’による
とこれは東京で行う初の回顧展とのこと。

作品が全部で5点載っているが、横幅6mを超える大作(2016年)や村上
隆のフィギュアを連想させる天女(2023年)、今年制作された2点も強く
鑑賞欲を刺激する。京都市京セラ美であった村上隆展に続き、来年は松山智一
にめぐり合うと現代アートへの関心がぐんと増すことになるかもしれない。

もうひとつ注目しているのはアーティゾン美で開催される‘オーストラリア現代美術 彼女たちのアボリジナル・アート’(6/24~9/21)。2008年国立新美ではじめてエミリー・ウングワレーによるアボリジナル・アートに触れ一気に惹きこまれたが、アーティゾン美にこの分野のコレクションがあることはまったく知らなかった。エミリーのほかにも女性アーティストがいたとは!これは見逃せない。

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2024.12.15

‘日経おとなのOFF 2025年 絶対見逃せない美術展’!

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   ジョルジョーネの‘男性の肖像’(1506年 サンディエゴ美)

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   ミロの‘夜の人物たち’(1940年 フィラデルフィア美)

馴染みの書店で‘日経おとなのOFF 2025年 絶対見逃せない美術展’
(1月号臨時増刊)が12/13から発売されるという情報を得ていたので、
午前中に足を運び手に入れた。先に出た‘芸術新潮 これだけは見ておきたい
2025年美術展 ベスト25’とあわせると来年の美術展の概要がおおよそ
頭に入った。昨年は‘芸術新潮’が売れ切れで買いそびれたが、ここ数年この
2つを美術ファンは注目しているから早めに購入されることをお薦めしたい。

目を皿にしてみていると全国の主だった美術館が計画している特別展に出品
される作品の情報がだいぶ明らかになってきた。その中に嬉しい絵がある。
それは‘芸術新潮’で知った‘サンディエゴ美+西洋美’(3/11~6/8 西洋美)
で披露されるヴェネツィア派のジョルジョーネの‘男性の肖像’。ティツィアー
ノの兄貴分であるジョルジョーネの真筆が日本で本当にみれるの!?という
感じ。そして、サンディエゴ美からはクリヴェッリの‘聖母子’も展示されるの
でこの特別展は絶対見逃せない。

東京都美で開催される‘ミロ展’(3/1~7/6)への期待がぐんと膨らむ作品が
目にとびこんできた。それは3点やってくる‘星座’シリーズ(全23点)のひと
つ‘カタツムリの燐光の跡に導かれた夜の人物たち’。所蔵しているのはフィラ
デルフィア美。2013年の1月にこの美術館を訪問したとき、ミロの絵を8
点みて感動の袋がパンパンに膨らんだが、残念ながらこの‘星座’シリーズはなか
った。だから、とても楽しみ。バルセロナのミロ美にある‘明けの明星’は運よく
現地でお目にかかった。さて、もう1点はどれ?

2022年の春、Bunkamuraで行われた‘ミロ展 日本を夢みて’を存分に楽しん
だが、それから3年しか経ってないのに、100点以上の作品がみれる大回顧
展にまためぐり合うのだからミロ狂にとってはたまらない流れである。これま
で縁がなかったパリのピカソ美蔵の‘自画像’との対面が叶うのも嬉しい限り。

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2024.12.14

大倉集古館で‘志村ふくみ100歳記念’展!

Img_20241214225001    ‘野の果てⅡ’(2023年)

Img_0001_20241214225001    ‘秋霞’(1958年)

Img_0002_20241214225101    ‘狩衣 竜神’(2018年)

Img_0004_20241214225101    ‘七夕’(1960年)

Img_0003_20241214225101    ‘舞姫’(2013年)

1924年滋賀県の近江八幡市に生まれ今年100歳になった染織家の志村
ふくみさん(紬織の人間国宝)の記念回顧展(11/21~1/19)が現在、大倉集古館で行われている。日本人の心の琴線にふれる草木からの自然染料で染められた糸で織られた作品は会期中に全部で47点出品される。2016年世田谷美であった回顧展でやさしくて芸術性の高い紬織に開眼し魅了され続けているので、今回は2017年以降につくられた作品と出会うのを楽しみにして足を運んだ。

もっともぐっときたのが2023年につくられた‘野の果てⅡ’、うす紫、淡い
ピンク色、萌黄色のとりあわせがじつに美しい。これは通期にでている。
同じく出ずっぱりなのがふくみさんが染織の道に入るきっかけとなった‘秋霞’。グラデーションのきいた横に伸びる青の風景は霞の感じをよくとらえている。

新作能‘沖宮’(2018年上演)で着用された‘狩衣 竜神’に息を呑んでみていたら、隣にいた二人連れの若い女性も大変感動していた。2016年の回顧展では能衣装はなかったので大きな収穫である。これは前期(11/21~12/15)の展示でほかに2点でている。後期(12/17~1/19)には‘舞衣 紅扇’など3点がみられる。

再会した‘七夕’や‘舞姫’(ともに前期)もうっとりした気分でながめていた。ふくみさんの作品にはいろいろなシリーズがある。今回は創造の源泉になった琵琶湖のシリーズからは1959年から2007年にかけてつくられた8点が出品される。前期は‘月の湖’など4点。そして‘源氏物語と和歌’では‘若紫’など8点(通期)、‘旅と文学’からは‘舞姫’、‘クロイツェル・ソナタ’など13点が飾られる。後期にも出動することにしている。

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2024.12.13

八王子夢美術館の‘小杉放菴展’!

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   ‘母子採果’(1926年頃 小杉放菴記念日光美)

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   ‘大黒天’(1924年)

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   ‘列仙屏風’(1915年)

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   ‘漁樂図’(1930年代前半)

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   ‘静物’(1946年)

現在、八王子夢美術館で開催されている‘小杉放菴展’(11/16~1/26)
をみてきた。この美術館は一度訪問したことになっているが、まったく忘れ
ていた。だから、京王八王子駅から美術館にむかう途中JR八王子駅を地元の
人に聞いたりして土地勘のない異邦人の心境で進んでいった。八王子は予想
以上に大きな街でJRの駅ビルには京王百貨店や専門店が入っているから、
新宿に出かけなくともショッピングやグルメの用ならここで満たされるのだ
ろうなと勝手に思った。

4度目となる小杉放菴(1881~1964)の回顧展に出品されているの
は一部を除いて大半が小杉放菴記念日光美術館が所蔵するもの。放菴の絵は
出光美がたくさんもっており、ここで2度開かれた特別展に放菴との縁が深
まっていった。そのとき日光美のものが片手くらい含まれていた。今回は
放菴の出身地である記念館のものがどどっとでてきたので、入館するとすぐ
テンションはプラトー状態になった。

一番みたかったのが油彩の‘母子採果’、母親の優しい表情をみているとメアリ
ー・カサットの母子像が頭をよぎった。丸顔のもつほんわかさに心が和むの
は‘大黒天’も同じ。この絵からは笠木しづ子がモデルになった‘天のうづめの命’
が連想された。スマホでの写真撮影がOKなので‘列仙屏風’などをパチパチ撮
った。

おおらかでほっこりする人物描写が放菴の絵の大きな魅力だが、南画に影響
を受けた墨の濃淡と淡彩による風景画や花鳥画にも心を打たれる。思わず足
がとまったのが‘漁樂図’。出光のコレクションのお陰で目が慣れたが、今回の
日光の記念館蔵であらためて放菴の日本画家としての画技の高さに感心させ
られた。そして、忘れてはならないのが油彩の‘静物’。岸田劉生の静物画もい
いが、放菴も本当に上手い。

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2024.12.12

映画‘第17捕虜収容所‘!

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わが家の映画のDVDコレクションは本数の数が増えるペースはぐんと落ちて
きているが、現在361本になった。過去観て印象深い作品とかYou Tubeに
でてくる‘〇〇映画ベスト100’などに選ばれた名作をここ3年くらい熱心
に探してきたので、思い描いている‘My名作映画’は完成に近づきつつある。
最終形は380本くらいになりそう。

絵画などの美術品のコレクターが求めるものを長い時間をかけて手に入れる
のと同じで、映画のDVDもゲットする過程には忘れられないエピソード
記憶がいろいろ刻まれている。遭遇を長いこと待っていたものがやっと目の
前に現れたり、行きつけのブックオフではかなり前から目にとまっていたの
に、いざ購入してみると予想を大きく上回る傑作だった、ということもある。

つい最近、後者の映画がコレクションに加わった。それは‘第17捕虜収容所’
(アメリカ 1953年 モノクロ)。ゲットするのが遅れたのは主演のウ
ィリアム・ホールデンがジョン・ウェインやグレゴリー・ペックに比べると
好みの点で弱いこと、この映画でアカデミー賞の主演男優賞を受賞したのを
物語や監督、キャストのサマリーをしっかり読まず見逃していたから。

ネタバレになるのでストーリーには詳しくふれないが、キャストのコミック
的な話芸を絡ませることにより捕虜たちの脱走物語には必要なハラハラドキ
ドキの場面を緩める脚本づくりが秀逸。関心のある方は是非! スティーブ・
マックイーンなど有名な俳優がたくさん出演し大ヒット作品となった‘大脱走’
と同様に、軍曹が脱出作戦のリーダーとなり捕虜全体が一致結束して目的を
遂行していくが、‘大脱走’とはちがい秘密のトンネルをつくるような場面は
でてこない。こういう脱出物語ではあまり思いつかないことがこの映画では
想定されている。それは仲間の中にスパイがいること。冒頭、2人が上手く
収容所の外に出るが、計画がバレていて射殺される。

そのスパイに疑われたのがウィリアム・ホールデンが演じる金儲けの上手い
セフトン(軍曹)。酒をつくったり、鼠のレースに賭けさせたり、収容所内
ではずぶとく生きている。しかし、スパイとみられリンチにあい孤立状態に
。だが、この男は収容所の所長に情報を流していた真のスパイの巧妙な方法
を見破って、名誉を回復させる。スパイは一体誰れ?どんなやり方で捕虜
たちの動きを伝えていたのか?

この‘第17捕虜収容所’によって捕虜脱出映画の3部作が揃った。ジャン・
ルノワール監督、ジャン・ギャバン主演の‘大いなる幻影’(フランス 
1937年)&‘大脱走’。素直に嬉しい。

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2024.12.09

来年は三菱一号館美と西洋美で印象派展!

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ルノワールの‘風景の中の裸婦’(1883年 オランジュリー美)

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セザンヌの‘セザンヌ夫人の肖像’(1885~95年 オランジュリー美)

Img_0002_20241209224501    ドガの‘ベルレッリ家の肖像’(1858~67年 オルセー美)

日本の展覧会シーンで印象派とゴッホはキラーコンテンツだから毎年のように
特別展が行われており、今年は東京都美で‘印象派 モネからアメリカへ ウス
ター美蔵’(1/27~4/7)があり、現在は西洋美で‘モネ睡蓮のとき’(10/5~2/11)が行われている。どちらも目を楽しませてくれたが、印象派の人気は相変わらず高く大盛況だった。

コロナ禍を経て展覧会に活気が戻ってきてからはモネ展でもゴッホ展でも大き
な変化が起きている。それは外国人観光客の来場がどんどん増えていること。
昨年の10月から今年の1月まで上野の森美で行われた‘モネ連作の情景’には
台湾、中国、韓国からやって来た若い美術ファンが大勢入館待ちの列に並んで
いた。これは過去に出かけたモネの回顧展ではみられなかった光景。ほかのア
ジアの国でも日本同様、モネが好きな人がたくさんおり、SNSで美術館の展
覧会情報をチェックして足を運んでいるのだろう。

一方アメリカ、ヨーロッパからの観光客がアジアの人たちと同じくらい多いな
と感じたのが西洋美の‘モネ睡蓮のとき’。こういう外人客の新しい変化をみると、インバウンドの数が5000万人に達すると(今年は3500万人くらい)、われわれがパリのオルセーに出かけ世界中から集まって来た人たちと一緒に印象派の名画を楽しんでいるのと同じようなことになるかもしれない。海外の美術好きはSNSで美味しい食べ物だけでなく、浮世絵展や西洋絵画展の情報をしっかり集めているから、日本は美術大国で世界のブランド美術館から名画の数々を集めて質の高い特別展を開催していることがだんだんわかってきたのだと思う。

来年、三菱一号館美(オルセーとオランジュリーの所蔵品で構成)と西洋美
(オルセー)で行われる印象派展も期待できそう。
☆‘ルノワール×セザンヌ’    (5/29~9/7)
☆‘印象派-室内をめぐる物語’  (10/25~2/15)

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2024.12.08

2025年7月~9月 春日大社で‘究極の国宝 大鎧展’!

Img_20241208224701    国宝 ‘赤糸威鎧(菊一文字)’(14世紀 櫛引八幡宮)

Img_0001_20241208224701    国宝 ‘赤糸威鎧(竹虎雀飾)’(13~14世紀 春日大社)

鎧の名品にお目にかかる機会は限られている。10~15年くらいのサイ
クルで開催される国宝展(記憶がまだ薄れてないものでは2014年・
東博と2017年・京博で夫々2点)や豆に足を運んでいると国宝や重文
の鎧に遭遇する東博の平常展。また、神社関連の特別展が開かれるとき
所蔵の鎧が出品されることがある。広島の厳島神社展は過去3回くらい
体験したが、国宝の鎧は展覧会の目玉としていつも飾られていた。

鎧で‘最高の瞬間!’を味わったのは2017年東博で行われた‘春日大社
 千年の至宝’。蒔絵の傑作、国宝の‘蒔絵箏’に大感激だったが、もうひとつ
サプライズMAXの展示があった。国宝に指定されている甲冑4点のそろい
ぶみ。とくに魅了されたのが‘赤糸威鎧(竹虎雀飾)’、これまでみたことの
ない豪華で美しい鎧だった。

このお宝中のお宝を所蔵している春日大社で来年、‘究極の国宝 大鎧展
~日本の工芸技術の粋を集めた甲冑の美の世界~’(7/5~9/7)が開催
される。国宝の甲冑8点がでてくるという。鎧の世界では西の横綱が‘赤糸
威鎧(竹虎雀飾り)’なのに対し、東の横綱は青森の八戸市にある櫛引八幡
宮が所蔵する‘赤糸威鎧(菊一文字)’なのだそうだ。この二つが一緒に飾
られるというスゴイ展示が実現する。

‘日本の国宝’(週刊朝日百科)を全部揃えているので‘赤糸威鎧(菊一文字)
’は知ってはいるが、八戸は遠いので縁はないと思っていた。これが東の
横綱であることがインプットされ、京都旅行で慣れている奈良に大出張し
てくれるとなると話は変わってくる。日程をやりくりして春日大社を訪問
したい。

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2024.12.07

名都美術館の‘平山郁夫展’!

Img_0003_20241207230501    ‘ナーランダの月 インド’(2007年)

Img_0005_20241207230501    ‘西方浄土須弥山’(2007年)

Img_0001_20241207230501    ‘明けゆく長安大雁塔 中国’(2007年)

Img_20241207230501    ‘インダス河上流 久遠の流れ’(1982年)

Img_0004_20241207230501    ‘平和の祈りーサラエボ戦跡’(1996年)

岐阜県美で山本芳翠とルドンのダブル回顧展を200%楽しんだあと名古屋
に戻り、次の目的地、名都美へ向かった。ここで開催中の‘没後15年平山郁
夫 久遠の理想を追う’(10/11~12/8)をみるためである。久しぶり
に訪れる名古屋はどこの美術館に出かけるか、事前にHPをいろいろチェッ
クしていて運よく平山郁夫(1930~2009)の回顧展にぶち当たった。

この情報に接したのは出かける2日前。来年春に大阪中之島美で行われる
‘上村松園展’に名都美が所蔵する‘わか葉’に出品されることがわかり、美術館
まわりの候補先に名都美が抜けていることに気づいた。早速HPを開くと
10月から佐川美術館コレクションの平山郁夫が披露されているので、想定
していた名古屋市美や徳川美の企画展をみるのは止めることにした。

佐川美術館は平山郁夫の作品を多く所蔵していることはインプットされており、2007年東近美で開催された回顧展でいくつもみせてもらった。今回、会期を通じて全部で84点が出品され、後期にお目にかかれたのは39点。残念なことに図録はつくられていないが、2007年の図録に‘大唐西域画’の‘明けゆく長安大雁塔 中国’、‘西方浄土須弥山’など6点と‘ナーランダの月 インド’、‘天堂苑樹’、‘インダス河上流 久遠の流れ’、‘平和の祈り―サラエボ戦跡’が掲載されているので、作品の記憶は三分の一くらいが保存されることになった。

日本画家には色彩によって強くイメージされること、たとえば東山魁夷の‘青’や奥田元宋の‘赤’があるが、平山郁夫の‘青’にもぐぐっと惹きこまれる。神秘的で気持ちを深く沈潜させる‘青’の魅力をあらためて認識し、玄奘三蔵が登場する‘ナーランダの月’や‘西方浄土須弥山’などを息を呑んでみていた。

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2024.12.06

ダブル回顧展 ‘オディロン・ルドン’!

Img_0001_20241206224801    ‘蜘蛛’(1887年 岐阜県美)

Img_20241206224801  ‘ゴヤ頌 沼の花、悲しげな人間の顔’(1885年 岐阜県美)

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 ‘眼をとじて’(1890年 岐阜県美)

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 ‘青い花瓶の花’(1912~14年頃 ひろしま美)

Img_0004_20241206224901    ‘黒い花瓶のアネモネ’(1905年頃 岐阜県美)

岐阜県美の名前を聞いて、すぐ思い浮かぶのはオディロン・ルドン(1840
~1916)のコレクション。これまで2回くらいこの美術館蔵のルドン展
を体験した。2007年Bunkamuraで開催された‘ルドンの黒’の図録には数多
くのリトグラフが載っているのでときどき楽しんでいる。今回は‘山本芳翠’と
同じ時期にダブル回顧展として行われた。こんな大胆な企画に遭遇するのは
はじめてだが、どちらも展示室は多くの観客でごった返していた。最終日の
明日(12/8)は相当混雑するにちがいない。

フランスのボルドーで生まれたルドンは画業の前半は黒一色の世界で作品を
表現した。木炭画や版画(リトグラフ)で自らの内面の闇から生まれる怪奇な
イメージを描いていく。そのなかでお気に入りは一瞬ギョッとするがながめ
ているとユーモラスな面も感じられる‘蜘蛛’、大きな頭と10本の細い足。
サーカス団の一員のように客を喜ばせる技を得意になって演じているよう。

‘ゴヤ頌 沼の花、悲しげな人間の顔’は不思議で幻想的な絵。花は人間の顔
になっている。以前、話題になった鯉の‘人面魚’のことを知っているのでこれ
はお花ヴァージョンかと思うが、植物にまで人間の顔をかぶせる発想は普通
の頭からはでてこない。ルドンは同じく黒一色で表現したゴヤの版画に深く
共感していた。ほかにも一つ目巨人が登場したりするが、その度を超す異形
でホラー的な形相から静けさに溢れる瞑想的なイメージへと変わった作品が
‘眼をとじて’。こいう神秘的なモノクロに心は深く沈静していく。

ルドンの画風が一転するきっかけは結婚し子どもが生まれたこと。50歳か
らは色彩が輝くパステルや油彩により色彩にめざめ、主として花をモチーフ
にした作品をたくさん描いた。日本にあるほかの美術館や画廊から花の絵が
集結していたが、思わず足がとまったのはひろしま美にある‘青い花瓶の花’と
岐阜県美蔵の‘黒い花瓶のアネモネ’。ともにパステル画、いい気持でながめて
いた。

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2024.12.05

サプライズMAXの‘山本芳翠展’!(2)

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   ‘裸婦’(重文 1880年頃 岐阜県美)

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   ‘西洋婦人像’(1882年 東芸大)

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   ‘眠れる女’(1893年 福富太郎コレクション資料室)

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   ‘月下の裸婦’(1882~86年 愛知県美)

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   ‘花を抱く少女’(1886年 千葉市美)

作品が重文に指定された洋画家は13人いるが、山本芳翠の絵では‘裸婦’が
2014年に重文となった。所蔵しているのは今回の回顧展を開催している
岐阜県美。鑑賞の機会になかなか巡り合えず、昨年の‘重要文化財の秘密’
(東近美)でやっと思いの丈が叶えられた。そして、間隔が1年半しかあい
てないのにまた縁があった。これは芳翠がパリ滞在中(1878~
1887年)に西洋画の土俵で描いた裸体画(日本にいたら絶対描けない)
だが、びっくりするほどの出来栄えにほとほと感服させられる。師匠のジェ
ロームは美形の裸婦をみて‘この日本の山本という画家はすごい才能を持っ
ているな!’と高く評価したに違いない。

東芸大にある‘西洋婦人像’も‘裸婦’同様、フランスの美術ファンに画家の名前
を隠して見せたら、10人いれば10人がフランス人かほかのヨーロッパの
国の画家が描いたと答えるだろう。すごく見栄えのする女性画で胸のあたり
にささっと描かれた白の表現がマネの人物画を連想させる。2度目の対面と
なったがいい気持でみていた。

オルセーでははじめの頃は馴染みのない新古典主義の画家はあまり時間をか
けてみず、心のなかを占領しているモネやルノワールらに夢中になるが、
訪問が重なってくるとカバネルやブーグローの描いた‘ヴィーナスの誕生’に
も足がとまるようになる。芳翠の‘月下の裸婦’が姿を現したとき、瞬時にカバ
ネルの絵が頭をよぎった。新古典主義のビッグネーム、ジェロームに西洋画
を教えてもらったからこんなに上手描けるのだろうが、芳翠は新古典主義
にとどまらず西洋画を幅広く吸収している。パリを去る1年前に描かれた‘花
を抱く少女’はじっとみていると後半生のルドンをみているような気になる。
白い花びらと戯れる蝶々をじっとみつめる少女の姿がとてもいい感じ。

さらに芳翠の凄さを感じさせる作品がでてきた。日本に帰国してから描かれ
た‘眠れる女’。誰の画風に似ている? カラヴァッジョが好きな人なら‘法悦
のマグダラのマリア’がピンとくるかもしれない。芳翠とカラヴァッジョが
時空を超えてコラボしているとは。山本芳翠の絵がこれほどバラエティに
富んでいるとは思ってもみなかった。なんでも描ける画力は本当に凄い。
本展のタイトル‘山本芳翠ー多彩なるヴィジュアル・イメージ’が腹にストンと
落ちた。

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2024.12.04

サプライズMAXの‘山本芳翠展’!(1)

Img_20241204224201    ‘浦島’(1893~95年 岐阜県美)

Img_0002_20241204224301    ‘磐梯山破裂之図’(1888年 三の丸尚蔵館)

Img_0001_20241204224301    ‘秋の奥日光’(1890年 上野精養軒)

Img_0003_20241204224301    ‘勾当内侍月詠之図’(1877年 三の丸尚蔵館)

Img_0004_20241204224301    ‘灯を持つ乙女’(1892年 岐阜県美)

昨日、12/8(日)まで行われている‘山本芳翠展’をみるため岐阜県美へ行っ
てきた。岐阜県出身の洋画家、山本芳翠(1850~1906)はこの美術館
をはじめて訪問したときお目にかかった有名な‘浦島’に魅了されて以来回顧展
に遭遇することを強く願っていたが、それが漸く実現した。回顧展が行われる
のは31年ぶりのこと。でも年間の鑑賞計画に入っておらず、その情報を知っ
たのは1ヶ月くらい前のことで、危うく見逃すところだった。ずっと気になっ
ていた芳翠に導いてくれたミューズに感謝々である。

名画はみる度に感動があるといわれるが、‘浦島’でもそれがおきた。絵がこん
なに大きかった!?図版でみることが長かったからかもしれないが、本物と出
会ったときの印象で大事な要素である絵の大きさがまったく消えていた。亀
に乗っている浦島太郎は一見すると女性のイメージであるのは今回も変わらな
い。この顔つきはまわりにいる侍女のふっくらとした美形の顔と同じにみえる。
だから、男そのものの大きな足に視線を移すと違和感を覚えてしまう。今回
じっくりみてサプライズがMAXになったのが女性たちが身に着けている髪や
腕飾りの宝飾品のリアルな質感描写。これが本当に凄い。

これまで縁があった芳翠の作品は全部で両手くらいと少ないので、次々と現れ
る傑作に足をとめ息を呑んでながめていた。とくに長くみていたのが磐梯山の
突然の爆発に急いで逃れる人々の姿から現場の緊張感がみてとれる‘磐梯山破裂
之図’と上野精養軒が所蔵する‘秋の奥日光’。精養軒では店内に飾られているの
だろうか?もし楽しめるのなら時々でかけてみたい。

はじめて尽くしの回顧展だから芳翠の高い画技にびっくりさせられることがいくつもあった。そのひとつが光の表現。入館するとすぐスゴイ絵に出会った。それは‘勾当内侍月詠之図’。蝋燭の灯りに照らされた内侍が美しく輝く月をながめる姿が描かれている。まるでラ・トゥールの日本ヴァージョンをみているよう。同じようにラ・トゥールの絵を彷彿とさせるのが‘灯を持つ乙女’。蝋燭の炎は乙女の顔を照らしだしながら、左手を透かしてこちらにとどけられる。こんな描く方をするはエル・グレコ、ラ・トゥール、ルーベンスしかいないが、日本の山本芳翠もそれをやっていたとは!これには200%参った。

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2024.12.02

来年秋、京博で究極の‘宋元仏画展’!

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   国宝 ‘孔雀明王像’(北宋11∼12世紀 仁和寺)

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   牧谿の国宝 ‘観音猿鶴図’(南宋13世紀 大徳寺)

来年、日本美術および中国絵画関連の展覧会では京都、奈良、大阪の美術館
で開催されるビッグな特別展が話題が独占することになりそう。大阪・関西
万博開催とコラボすることもあり、名品、お宝がどどっと関西に集結する感
じである。
☆‘日本、美のるつぼ’ (4/19~6/15  京博)
☆‘超国宝’      (4/19~6/15  奈良博)
☆‘日本国宝展’    (4/26~6/15  大阪市美)
☆‘宋元仏画’     (9/20~11/16 京博)

春に行われるものは情報をすでにキャッチし紹介したが、‘芸術新潮 これだ
けは見ておきたい2025年美術展 ベスト25’(1月増刊号)にはもう
ひとつスゴイのが掲載されていた。それは京博の‘宋元仏画’、出品作は100
件を超えその半分が国宝か重文となるというのだから究極の中国絵画展とい
っていい。流石、京博である。

ピックアップされている出品作は仁和寺にある‘孔雀明王像’、大徳寺蔵の
牧谿の‘観音猿鶴図’(ともに国宝)など5点、どれも宋,元の時代に描かれた
仏画の名品。京博の企画力は超一級だから、まだみてない作品がたくさん登
場するのではとつい期待値のレベルが上がってしまう。これまで中国絵画で
‘最高の瞬間’を体験した質の高い特別展は次の3つ。
☆2004年 ‘南宋絵画’(根津美)
☆2008年 ‘室町将軍家の至宝を探る’(徳川美)
☆2014年 ‘東山御物の美’(三井記念美)

‘東山御物の美’から11年を経て開催される‘宋元仏画’展は3展と較べても遜色
のないあるいは上回る作品がずらっと並んでいるような予感がする。

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2024.12.01

2025年 日本画・洋画の回顧展!

Img_20241201222101     上村松園の‘わか葉’(1940年 名都美)

Img_0001_20241201222101     高島野十郎の‘蝋燭’(1912~26年 福岡県美)

展覧会の訪問計画を立てるとき、まず優先的に選ぶのが贔屓の画家や陶芸家
であったり、お目にかかった作品は少ないがとても気になっているアーティ
ストの回顧展。来年も今年同様、出かけたくなる日本画家と洋画家のものが
‘芸術新潮 これだけは見ておきたい2025年美術展 ベスト25’(1月
増刊号)の情報によりインプットされた。

☆‘上村松園’     (3/29~6/1   大阪中之島美)
☆‘藤田嗣治×国吉康雄’ (6/14~8/17  兵庫県美)
☆‘高島野十郎展’   (7/18~9/28  千葉県美)
☆‘小出楢重展’    (9/13~11/24 大阪中之島美)
☆‘円山応挙’     (9/26~11/24 三井記念美)

ここ数年京都、大阪の美術館へ行く回数が以前のように増えてきたが、期待の
特別展を開催してくれる美術館として注目しているのが京都では京都市京セ
ラ美と福田美、大阪では中之島美とあべのハルカス美。大阪中之島美は春に
生誕150年記念の‘上村松園展’、秋に大阪市出身の洋画家、小出楢重の25
年ぶりとなる回顧展を開催する。

2023年、東近美であった‘重要文化財の秘密’に巡り合い明治以降に生まれた
絵画、彫刻、やきもの、工芸の傑作と対面し‘国宝展’で味わうのと同じ‘最高の
瞬間’により感動袋がはちきれるほど膨れ上がった。重文に指定された作品を描
いた日本画家(20人)で回顧展にまだ縁がないのは平福百穂一人だけなのに
対して、洋画家については13人いるなかで回顧展に遭遇したのは高橋由一な
ど7人。小出楢重はみてないグループに入っているので、中之島美には足を運
びたい気持ちが強い。

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