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2024.11.30

ミュシャとサラ・ベルナ―ル!

Img_0005_20241130223501   ‘ジスモンダ(左)’(1895年)と‘メディァ(右)’(1898年)

Img_0003_20241130223501   ‘ジスモンダ’のポスターの前に座っているミュシャ 1898年頃

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女優サラ・ベルナール

Img_0001_20241130223501    

棺桶で眠るベルナール ‘聖なる怪物’と呼ばれた

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サラ・ベルナール劇場(現パリ市立劇場)

19世紀末、産業革命がもたらす経済の発展で活気に満ち溢れていたパリで
庶民から上流階級まで多くの人の心をとらえたのが演劇の世界。そこでベル
エポックの象徴として絶大な人気を誇ったのが女優サラ・ベルナール
(1844~1923)。ミュシャ(1860~1939)は挿絵の腕を認
められ彼女から依頼されたのが‘ジスモンダ’の舞台ポスター。34歳のミュシ
ャはこのポスターで一躍脚光を浴び、サラと6年間の契約を結び‘メディァ’な
ど多くのポスターを手掛けことになる。

時代の寵児となったミュシャはポスターだけでなく、当時ヨーロッパ中で流
行したアールヌーヴォーの様式の彫刻から煙草など商品の広告、インテリア、
アクセサリーのデザインまでてがけ、‘デザインの神様’とうたわれるほどの存
在になっていく。そのデザインの主役が美しすぎる女性たち。出世作の‘ジス
モンダ’からはじまりパリを離れるまで一貫してみんながうっとりするような
乙女たちが描かれていく。

ミュシャの才能を大きき花開かせたサラもとても綺麗だが、自己演出の天才
だった。たとえば、棺桶で眠ったりして‘聖なる怪物’と呼ばれた。自分が世界
一の女優だとわかっており、暮らしもそれに相応しい現実離れした夢のよう
なものにした。そういう彼女の心をミュシャはしっかりくみとり、どの役で
も頭のまわりを丸く囲い神々しく描いている。草花をモチーフに過剰とも思
える装飾をほどこして夢のような美しさをつくりだした。

府中市美で明日まで行われている‘ミュシャ展’をみて、いつもながら淡い色調
で描かれたふっくらと綺麗な顔立ちの女性たちは心を和ませてくれ、周りを
囲む意匠化された草花や流麗な線によって惹きたてられているなと感じた。
ミュシャに乾杯!

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2024.11.29

平常展示も楽しめる府中市美術館!

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   高橋由一の‘墨水桜花輝耀の景’(1874年)

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   青木繁・福田たねの‘逝く春’(1906年)

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   青木繁の‘海景’(1904年)

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   安井曾太郎の‘安倍能成君の像’(1955年)

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   コランの‘フロレアル(花月)’(1886年頃)

久しぶりに出かけた府中市美ではメインディシュの‘ミュシャ展’に大きな
オマケがついていた。ここで開催される特別展をみたあとはミュージアムシ
ョップで図録を購入し、帰りのバスの停留所にむかうというのはおきまりの
流れなのだが、今回は吸い込まれるように館蔵のコレクション展に足が進ん
でいった。

すると目を見張らせる洋画が次々とでてきた。おおー!と思わず声がでてし
まったのが高橋由一(1828~1894)の‘墨水桜花輝耀の景’。2012
年、東芸大美で行われた大回顧展で魅せられたこの風景画が府中市美のもの
だったことを思い出した。前景に大きくモチーフを描く広重の‘名所江戸百景’
にみられる特徴を由一流に消化した見事な作品である。

青木繁(1882~1911)は4点並んでいる。とくにインパクトが強い
のが恋人福田たねとの合作‘逝く春’。大きな目が印象深い。そして、印象派風
の‘海景’も青木繁の天才ぶりを見せつけている。高橋由一といい青木繁といい、
なんだか東博に開かれた‘日本の洋画展!’を楽しんでいるような気分になって
きた。これに続くのが肖像画の名手、安井曾太郎(1888~1955)の
‘安倍能成君の像’。

黒田清輝など多くの洋画家が影響をうけたラファエロ・コラン(1850~
1916)の‘フロレアル(花月)’が姿を現したのでちょっと戸惑った。これ
は一度お目にかかったことがあるが、府中市美の所蔵だったの?手元にある
美術書ではアラス美蔵となっているが、これは古い情報かもしれない。

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2024.11.28

来年夏 京近美で‘きもののヒミツ 友禅のうまれるところ’!

Img_20241128230801  森口華弘の‘友禅訪問着「彩華」’(1985年 京近美)

来年の夏、京近美で京都の着物、近代以降の友禅染を中心とした着物の展覧
会、‘きもののヒミツ 友禅のうまれるところ’(7/19~9/15)が開催さ
れる。‘芸術新潮 これだけは見ておきたい2025年美術展 ベスト25’
(1月増刊号)に載っている森口華弘の‘友禅訪問着「彩華」’をみて即京都旅
行を決めた。

小さい頃から着物に馴染んでいるので着物への愛着は強い。だから、東近美
の工芸館(現在は石川県の金沢に移転)で定期的に飾られる着物をみるた
めに足を運んだり、10年くらいのスパンで登場する‘人間国宝展’では陶芸や
漆芸と同様、着物を夢中になってみてきた。特別展には京友禅の老舗・千總
のコレクションがたくさん出品され、‘友禅’の技法で人間国宝に認定された
作家の作品もみれるので期待で胸が大きく膨らむ。

これまで魅了された人間国宝の友禅作家は中村勝馬、森口華弘、森口邦彦、
山田貢、まだお目にかかってない着物と何点出会えるか、奥の深い友禅の世界
で今の立ち位置はまだ入り口のところ。‘ベスト25’には琳派の流れをくむ神坂雪佳の絵や雪佳の下絵によってつくられた‘光琳百花文様友禅染裂’、そして1955年に人間国宝に認定された三代田畑喜八の鳳凰をあしらった豪華な振袖なども紹介されている。鑑賞欲を強く刺激する着物の展覧会は滅多にないから、‘友禅エンターテイメント’にどっぷりつかりたい。

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2024.11.27

府中市美の‘ミュシャ展’!

Img_0003_20241127225101    ‘クオ・ヴァディス’(1904年 堺アルフォンス・ミュシャ美)

Img_20241127225101    ‘ハーモニー’(1904年 堺アルフォンス・ミュシャ美)

Img_0001_20241127225101    ‘目を閉じた少女’(1920年頃 堺アルフォンス・ミュシャ美)

Img_0002_20241127225101    ‘女占い師’(1917年 堺アルフォンス・ミュシャ美)

Img_0004_20241127225101   

 ‘羽根’(1899年 株式会社インテック)

府中市美に出かけ駆け込みセーフで‘ミュシャ ふたつの世界’をみてきた(会期は12/1まで)。2017年に開催された大イベント‘スラヴ叙事詩’の全点公開(国立新美)以来のミュシャ(1860~1939)の回顧展を心から楽しませてもらった。最終盤で残り数日になったので館内には大勢の人がいた。とくに多かったのが若い女性。ミュシャの高い人気を見せつけられた感じである。

お目当ての作品は最後の部屋にどーんと飾られていた大作の油彩画‘クオ・ヴァディス’と‘ハーモニー’。じつはどちらも国立新美に出品されているが、なぜかみたことが記憶から消えていた。おそらく超大作の‘スラヴ叙事詩’の20点のほうに全鑑賞のエネルギーをとられ、この2点の印象が薄まったからだと思う。だから、はじめてみるようなもので時間をかけてじっくりみた。

つい最近、映画‘クオ・ヴァディス’(アメリカ 1951年)を観たばかりで、‘クオ・ヴァディス’が‘主よ、どこへ行かれるのか’という意味でどんなストーリーなのかを理解したので敏感に反応し、食い入るようにしてみた。装飾性が高く象徴主義的な描写にとても惹かれる。その横にある‘ハーモニー’はミュシャが‘スラヴ叙事詩’を手がける直前に描かれたもの。じっとみていると背景で大きな手をした巨人の発する光が‘スラヴ叙事詩’の20番目の‘スラヴ民族の賛歌’にもでてくる大きな男性とイメージが重なった。

油彩ではチラシに載っている‘目を閉じる少女’と裸体の白さと蝋燭の灯りが印象深い‘女占い師’に思わず足がとまった。今回はほかにも肖像画が出ている油彩に注目してまわったが、何度もお目にかかったリトグラフのなかにも惹きこまれたのがあった。それは‘羽根’。富山県美に寄託されているインテックが所蔵する版画だが、これまでみたなかではこれが一番綺麗だったような気がする。

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2024.11.25

2025~28年に開催される2つの‘ゴッホ展’!

Img_0001_20241125222401     ‘夜のカフェテラス’(1888年 クレラー=ミュラー美)

Img_20241125222401     ‘アルルの跳ね橋’(1888年 クレラー=ミュラー美)

本日発売された‘芸術新潮 これだけは見ておきたい2025年美術展
 ベスト25’(1月増刊号)を早速購入した。すでに手に入れている特別
展情報のほかにどんなものが開催されるのか目を皿にして探した。ありま
した、ありました、スゴイのが。展覧会のキラーコンテンツ、ゴッホが
また来年もやってくる。2つも。

☆‘ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢’
 7/5~8/31    大阪市美
 9/12~12/21  東京都美
 2026/1/3~3/23(予定) 愛知県美

☆‘大ゴッホ展 Ⅰ.夜のカフェテラス’
 9/20~2026/2/1  神戸市博
 2/21~5/10      福島県美
 5/29~8/12     上野の森美
☆‘大ゴッホ展 Ⅱ.’  
 2027年2~5月頃   神戸市博
 6月~9月        福島県美
 10月~2028年1月 上野の森美

‘ゴッホ展’はアムステルダムのゴッホ美の作品を中心に構成され、‘種まく人’
や‘画家としての自画像’などが出品される。9月から東京都美ではじまる。
もうひとつの‘大ゴッホ展’はクレラー=ミュラーが所蔵する作品が3都市を
巡回し、Ⅰ期とⅡ期に分けられ、Ⅰ期は目玉の‘夜のカフェテラス’などが
9/20~2026/8/12まで展示され、続いてⅡ期が2027年2月から
スタートして2028年の1月まで行われる。

サプライズはⅡ期でこれまでなかなか出品されなかった‘アルルの跳ね橋’が
登場すること。日本にやって来てないと思っていたが、約70年ぶりの披露に
なるらしい。2011年のオランダ旅行で長年の夢を叶え‘最高の瞬間!’を
体験させれくれたこの絵とまた会える。本当にすばらしい! 

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2024.11.24

ベルギーのアーティスト、フォロンって誰れ?

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愛知県美で来年1月に行われる‘クレー展’とコラボする展覧会があるというの
で、あてずっぽで一度足を運んだ名古屋市美のHPを開いてみた。すると
ギョッギョッとするチラシがでてきた。‘空想旅行案内人 ジャン=ミッシェ
ル・フォロン展’(1/11~3/23)。このフォロン(1934~2005)
という画家は一体誰れ? ベルギーを代表するアーティストと記されている
が、まったく知らない。

でも、チラシの表と裏に載っている作品はとても気になる。同じベルギー人
でシュルレアリスム絵画のマグリットに影響を受けていることがインプット
されると作品の特徴の手がかりをつかんだ気がするが、2度訪問したブリュ
ッセルの王立美の現代アートの展示室でこの画家の作品にお目にかかったと
いう記憶はない(ただし知らないと関心が薄くなるから、見れど見ずという
こともあるが)。そして、美術館のガイドブックにも載っていない。

30年ぶりに開催されるこの大回顧展はなんと東京ステーションギャラリー
で7/13~9/23にお披露目されていた!まったく情報が隠れていた。
ここ数年、この美術館とは相性がすごく良かっただけにこれを見逃したのは
悔やまれる。今年は訪問してないが、ほかの美術館巡りをしているときチラ
シが手に入らなかった。どこかに置いてあれば目にとまったと思うのだが。

チラシに大きく載っている子どものお絵描きのようなペタッとした‘月世界
旅行’をしばらくみていると、ひとりの日本の画家が思い浮かんだ。38歳の
若さで急逝した有元利夫の描く静謐な女性画。本物を無性にみたくなった。

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2024.11.23

2025年1月~2月 愛知県美で‘クレー展’!

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 ‘赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー’(1923年 パウル・クレー・センター)

Img_0001_20241123233401   ‘天使というよりむしろ鳥’(1939年 パウル・クレー・センター)

先日、詩人の谷川俊太郎さんが92歳で老衰のためで亡くなったことをSNS
で知ったとき、すぐ頭に浮かんだのがクレー(1879~1940)。谷川さ
んはクレーが大好きだったことがわかったのは2005年大丸東京店で開催さ
れた回顧展を楽しんだ後、ミュージアムショックで手に入れた図録にクレーの
絵にそえられた詩が載っていたから。

詩がつくられたのはクレーの‘天使シリーズ’の3点、そのひとつが‘天使というよりむしろ鳥’

なんでもしっているおとななのか むじゃきなこどもなのか

つばさはどろだらけで

きのうモーツァルトのソナタの すみっこにいた

きょうゆうやけぐものうえに ちょこんとこしかけていた

おんなでもおとこでもないにおい

としおいたきのねんりんにまぎれ こいぬのひとみにひそみ

かくれんぼしていた あのてんし

谷川さんが気づかせてくれたとつい思ってしまうクレーの回顧展が来年早々行われる。愛知県美が主催する‘パウル・クレー展 創造をめぐる星座’(1/18~3/16)。ここでクレー展が行われるのは名古屋で仕事をしていたとき運よくめぐりあった1993年の大回顧展以来かもしれない。スイスベルンにあるパウル・クレー・センター(2005年6月開館)の所蔵する作品を中心にして構成される。HPにでている作品(1点のみ)‘赤、黄、青、白、黒の長方形によるハーモニー’は過去4回でかけた回顧展では縁がなかった。まだ、こんないい絵が残っていたのか!という感じ。この一枚からしても十分期待できそう。

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2024.11.22

府中市美と横浜そごう美で‘ミュシャ展’!

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Img_0001_20241122225801     ‘ハーモニー’(堺アルフォンス・ミュシャ館)

現在、府中市美で開催されている‘ミュシャ ふたつの世界’(9/21~12/1)
に引き続き、明日(11/23)から横浜そごう美でも‘ミュシャ展’が開幕する
(来年の1/5まで)。後者につては11/17に終了した手塚雄二展に足を運
んだときチラシで開催を知り、さてどうしようかという気になった。そんな決
定しきれない状態を変えるかもしれないのが府中市美のミュシャ展。

手元の展覧会ファイルにこの特別展はしっかりおさまっているのに、どうも心
がいまひとつ向かわなかった。それは2017年の3月~6月にかけて国立新
美で行われた超大作‘スラヴ叙事詩’(全20作)をみたことが強く関係している。
長く対面を待ち望んでいたミュシャのもっとも有名な絵がチェコ国外では世界
初公開されるという大イベントに遭遇したのだから、ミュシャは‘済みマーク’
がついてしまう。ミュシャに限らず作品をみるときに参照にする基準作として
最高傑作にお目にかかるとこういうことがおきる。

そのため、チラシの表紙の2点はみていたが、ほかの作品はまったく記憶から
消えていた。それがそごうのミュシャ展にプッシュされて、チラシ全体をみる
とスゴイ作品が出品されていることがわかった。府中市の市政施行70周年記
念というのは飾り文句でなく、世界的なミュシャコレクションとして知られる
堺アルフォンス・ミュシャ館が所蔵する大型の油彩画‘ハーモニー’と‘クオ・
ヴァディス’がみれるのである。これは堺市以外では滅多に公開されないとの
こと。

うかつにもこんな機会を見逃すところだった。来週でかけることにしている。
これでミュシャで大盛り上がりの予感がするので、そごうにも出かけることに
なりそう。

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2024.11.21

2025年2月 三井記念美で‘円空展’!

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  円空の‘両面宿儺坐像’(17世紀 千光寺)

今年頭にあった展覧会はおおよそ出かけてきたので、関心は来年の特別展の
ほうに移っている。情報の多くは11/25に発売される‘芸術新潮1月増刊号
 これだけは見ておきたい2025年美術展 ベスト25’で明らかになると
思われるが、それと並行して主だった美術館のHPをサーフィンし来年の展示
計画をチェックしている。

ここ数年、美術関連雑誌にお任せスタイルになりすぎていてHPをしっかり
みるのは久しぶり。情報はこちらが求めているとやはり向こうからもやって
来てくれる。三井記念美ではとても嬉しい特別展があることがわかった。
それは円空(1632~1695)の回顧展、‘魂を込めた円空仏ー飛騨千光
寺を中心にしてー’(2/1~3/30)。

作品は多数展示とあるだけでどくらいの数がでてくるのかわからないが、
千光寺所蔵の円空仏ではもっとも有名な‘両面宿儺坐像’が載っているので期待
できるのは間違いないだろう。円空は50歳を過ぎたころ千光寺にしばらく滞在
して多くの彫像を残したが、そのなかで傑作と名高いのがこの‘宿儺(すくな)’
一つの体に二つの顔があり、目はつりあがり髪は逆立っている。右は憤怒
(怒り)の顔で相当怖そうだから容易には近づけない。

この円空仏は幸運なことに2013年東博でめぐり合った。再会できるとは
予想もしなかったから嬉しい展示である。円空仏に魅了され続けており、これ
まで大きな回顧展に3回足を運んだ。
☆2005年 ‘円空展 庶民の信仰・慈悲の微笑み’(横浜そごう美)
☆2013年 ‘飛騨の円空’(東博)
☆2015年 ‘円空 木喰展’(横浜そごう美)
東博では千光寺が所蔵する全部の円空仏61体が飾られたが、今回それは無理
としても円空の円熟期の像にまたお目にかかれるのだから運がいい。棟方志功
のように円空が好きな人は多くいるので、盛況の予感がする。

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2024.11.20

映画‘会議は踊る’の楽しみ方!

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アレクサンドル皇帝の影武者と恋人クリステル

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二人がキスするのを声をだして阻止する猿

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アレクサンドル皇帝とのキス券のアナウンス

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お金を払ってキス券を受け取る老若淑女

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慈善キス興業に長蛇の列

今年手に入れた映画の中古DVDで一番の収穫は‘会議は踊る’(ドイツ
 1931年)。ウィーンにやって来たロシアのアレクサンドル皇帝の恋人
クリステルが唄う主題歌♪♪‘ただ一度だけ’に200%嵌り、散歩のときい
つも口ずさんでいる。淀川長治さんの解説でこの映画がミュージカル映画
のお手本になったことを知り、ドイツ映画本当に凄いじゃないかと思った。

何度もみているうちに音楽だけでなく、おもしろいアイデアがいくつもある
ことに気づいた。そのひとつは映画の中に猿が登場すること。
お城に住むことになったクリステルは恋に落ちたアレクサンドル皇帝が姿を
現すのを待っていたが、やって来たのは本人の振りをした影武者。この男は
侍従長からキスを要求されたら、風邪なのでダメと言うように命令されてい
る。そして、侍従長はその状況を猿に見張りをさせている。このため、クリ
ステルはいい雰囲気になるのに影武者からは断られ、猿にも騒がれてフラス
トレーションがたまっていく。

この猿の演技をみて瞬間的に頭をよぎったのが大ヒット映画‘レイダース/失
われたアーク(聖櫃)’。インディ・ジョーンズ博士(ハリソン・フォード)
がエジプトに行き現地の友人と部屋で打ち合わせをしてるとき、毒入りの
果物を食べて死んだ猿がインディの命を救ってくれるシーンがでてくる。
スピルバーグ監督は‘会議は踊る’で使われた猿を見たにちがいない。

もうひつのサプライズはAKB48の握手券を連想させる話。会議を主催するメッテルニヒ宰相はアレクサンドルが出席できないようにいろいろ画策をする。宰相の意をくんで老貴族夫人が舞踏会の場で‘ロシア皇帝閣下はウィーン貧困救済のため皆様とのキスのチャリティをお申し出下さいました。キス1回100グルテンでございます’とアナウンスした。

イケメン皇帝だから、女性たちは大騒ぎ。お金を払ってキス券を受け取った老若淑女たちは皇帝とのキスタイムに進んでいく。でも、お相手をするのは本人ではなく影武者。それを遠くから皇帝が侍従長と一緒にみており、‘あいつも大変だなあ!’と笑っている。AKB48の握手券を思いついた者はこの映画を観たのだろうか。古い映画でこんな風景に遭遇するとは思ってもみなかった。

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2024.11.19

大倉集古館で11/21から‘志村ふくみ展’!

Img_20241119231401     ‘秋霞’(1959年 京近美)

Img_0001_20241119231401     ‘湖北残雪’(1981年 東近美)

今年は浮世絵展の大当たりで、満足度の高い特別展が4つ行われた。‘鳥文斎
栄之展’(1~3月 千葉市美)、‘大吉原展’(3~5月 東芸大美)、‘浮世
絵の別嬪さん’(4~6月 大倉集古館)、‘広重展’(7~9月 あべのハル
カス美)。このなかで展示情報がひょいと入ってきて急遽出かけたのが大倉
集古館。果たして、歌麿や北斎の肉筆画のいい作品がたくさん並んでおり、
テンションがすぐMAXになった。

この浮世絵展で大倉集古館のイメージが変わった。何度もここへ足を運んで
いるが、所蔵品の名品をみていい気持になるのがいつもの楽しみ方。だから、
他館や個人蔵の作品が登場する特別展が行われるのは美術ファンにとっては
喜ばしい変化である。で、今後の展覧会計画を尋ねるとチラシを渡された。
そこに大変嬉しい特別展が載っていた。それは11/21(木)からはじまる
‘志村ふくみ100歳記念’展(来年1/19まで)。

染色家で紬織の人間国宝に指定されている志村ふくみの回顧展は運よく
2016年、世田谷美で開催された‘母衣への回帰 志村ふくみ’にめぐりあっ
た。小さいころから着物に馴染んでいたので、着物の展覧会へは関心が深い。
草木からの自然染料で染められた糸によって織りあげられた作品がどどっと
飾られており、‘秋霞’(大倉集古館に出品)や‘湖北残雪’などを息を呑んでみて
いた。

2度目となる大倉集古館では2016年以降につくられた作品がみられるので
楽しみ。どんな着物が並ぶのか、期待できそう。

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2024.11.18

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器!金重陶陽 山本陶秀 伊勢崎淳

Img_0002_20241118230401    金重陶陽の‘備前大破釜’(1938年)

Img_0004_20241118230401     ‘備前手鉢’(1964年)

Img_0003_20241118230401    山本陶秀の‘備前緋襷花入’(1982年)

Img_20241118230401    伊勢崎淳の‘備前長方皿’(2006年 東近美)

Img_0001_20241118230401     ‘風雪’(2013年)

広島で仕事をしていた頃、岡山の備前には2度クルマを走らせ窯元を外から
ながめていた。備前焼に魅せられるのは茶褐色の地肌が素朴でなにか力強い
感じがすること。釉薬を使わないので見どころは窯のなかでおこる窯変の景
色。とくに惹かれるのは藁が燃えてできる赤褐色の筋模様、緋襷(ひだすき)。

これまで運がいいことに大きな備前焼展に2回遭遇した。お陰で古備前およ
び近代の陶芸家の作品を数多く楽しむことができた。昭和時代の初期、桃山
の美をよみがえらせ衰退していた備前焼を復興させたのが金重陶陽(1896
~1967)。東近美にある‘耳付水指’など傑作にであったが、まだまだ数が
少ない。いつかお目にかかりたいと思っているのは圧倒的な存在感で迫って
くる‘備前大破釜’やどっしりとして風格のある‘備前手鉢’。

金重陶陽と同じく備前焼の人間国宝(5人)に指定されている山本陶秀
(1906~1994)は神業に近い轆轤技術を駆使して名品を生み出した。
まだ縁がないのが‘備前緋襷花入’。丸い花入の形は完璧に目に心地よく、自然
にできた濃い朱色の緋襷に視線が釘付けになる。こういう美しさを感じさせる
緋襷はそうはない。

5人目の人間国宝となったのが伊勢崎淳(1936~)。この陶芸家は池田満寿夫、ミロ、イサム・ノグチらと交流し現代美術にも通じており、創作のスタイルに前衛的なセンスがうかがえる。いつか回顧展に遭遇するのを願っているが、そのとき抽象絵画を連想させる表現が気を惹く‘備前長方皿’や風の流れを強く感じさせる前衛彫刻のような‘風雪’がみれれば最高なのだが。

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2024.11.17

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 井上萬二 三浦小平二

Img_0002_20241117225701    井上萬二の‘白磁丸形壺’(1970年)

Img_20241117225701    ‘青白磁彫文鉢’(1987年 東博)

Img_0003_20241117225701    ‘白磁緑釉彫文花瓶’(1990年)

Img_0004_20241117225701    

三浦小平二の‘青磁飾り壺 牧童’(1990年 ギメ東洋美)

Img_0001_20241117225701    

 ‘青磁飾り筒 馬’(1992年)

やきもののことを知るにはTVの陶芸番組をみるのは一番手っ取り早い。
絵画をとりあげるときと違って成形、絵付け、焼成の行程をみせてくれるの
で作品がどういう風にして出来上がるかイメージできる。だから、やきも
のが好きになったとき、NHKの番組を欠かさずみていた。そこに登場した
陶芸家でよく覚えているのが何人かおり、佐賀県有田町(当時)に生まれた
井上萬二さん(1929~)もそのひとり。今年95歳。正確ではないかも
しれないが、元気であれば現役を続けておられるはず。

萬二さんは白磁の人間国宝。白磁は加飾しないから形の美が満足の決め手に
なる。丸形の壺が轆轤によって見事に出来上がるのをみて本当にスゴイなと
思った。長年の轆轤の修練によってこんなすばらしい丸い壺が誕生するのか!
まだお目にかかってない‘白磁丸形壺’にいつか遭遇したい。唐草模様を柔らか
く彫った‘青白磁彫文鉢’を所蔵しているのは東博なのだが、これまでやきもの
展示室で出会ったことがない。これは現代の陶芸作品を並べるより、伝統的
な茶陶などを定期的に披露するほうが優先されるため。

となると、萬二さんの回顧展にめぐりあうのを待つほかない。見落としたか
もしれないが、残念なことに日本橋の高島屋や三越で開催されることがなか
った。これまで出品作に縁があったのは人間国宝展とか大陶芸展。そのため、
数が少ない。いつか回顧展が開かれ心に響く‘白磁緑釉彫文花瓶’とも出会うこ
とを夢見ている。

三浦小平二(1933~2006)の回顧展は運よく日本橋三越で2006年に行われたのをみることができた。5/30の開幕初日にでかけたが小平二さんは体調がよくないようで車椅子で対応をされていた。それから4ヶ月後に亡くなられた。享年73。そんな年にたくさんの青磁の名品が出品された回顧展に出会ったのは幸運なことであった。絶品の青磁が数多く出品されたから、思いの丈は十分叶えられたが、プラスαとして‘青磁飾り壺 牧童’と‘青磁飾り筒 馬’を加えたい。

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2024.11.16

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 加藤卓男 金城次郎

Img_20241116225501    加藤卓男の‘三彩花器 爽容’(1990年)

Img_0001_20241116225501     ‘ラスター彩芥子文六方器’(1978年)

Img_0002_20241116225501     ‘青釉銀華花形花器’(1975年)

Img_0003_20241116225501    金城次郎の‘三彩厨子甕’(20世紀 日本民藝館)

Img_0004_20241116225501    ‘線彫魚文大皿’(1972年)

8月台北を久しぶりに旅行し、故宮博物館や国立歴史博物館で中国陶磁器の
傑作をたくさんみてきた。そのなかに緑と黄褐が鮮やかにでた唐三彩の駱駝
や武人が飾ってあった。日本の美術館でこれほどの唐三彩はなかなかみれな
いので息を呑んでみていた。これを真似てつくられたのが奈良三彩。真似た
のは色で形は駱駝などではなくそれまでの須恵器や土師器。

これをさらに進化させ現代に蘇らせたのが加藤卓男(1917~2005)
の‘三彩花器 爽容’。奈良三彩にくらべると硬さが消え、色調のやわらかさや
ゆったりとした装飾美にとても惹かれる。これが正倉院で一緒に飾られても
なんら違和感がない感じ。見事というほかない。

加藤卓男の陶芸を知ったのはNHKのやきもの番組。印象に強く残っているの
が復元されたペルシャ陶器の技法、ララスター彩。研究を重ね複雑な釉薬の
技法に改良を加え、独自のラスター彩を完成させた。これまでみたのはほん
の数点でオブジェ風の‘ラスター彩芥子文六方器’などお目にかかりたい作品が
いくつも残っている。強い青色と異形が目にとびこんでくる‘青釉銀華花形
花器’にも吸い込まれる。青釉もペルシャ陶器の代表的な釉。

日本民藝館で知った陶芸家の作品を心底楽しんでいるが、沖縄の陶芸家、金城次郎(1912~2004)もその一人。得意としたのは線彫りの魚文や海老文。大皿に描かれた一対の魚。力強い線彫りにより躍動感が生まれ、皿の上で魚がぴちぴち跳ねているよう。どういうわけかまだ縁がないのが‘三彩厨子甕’。厨子甕は蔵骨器。早くお目にかかりたい。

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2024.11.15

女性画家 ヒルマ・アフ・クリントを知っている?

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わが家では今謎の画家ヒルマ・アフ・クリントン(1862~1944)に
大きな関心が注がれている。手に入れたチラシで名前と作風をはじめて知っ
たが、この画家はスウェーデン出身の女性画家。その作品はカンディスキー
の抽象絵画が浮かんできたり、曲線を多用する柔らかくて遊び心に満ちた
表現はミロのユーモラスな作品にもむすびつく。

どこの美術館でも置いてある他館の展覧会のチラシで思わず足がとまり手に
とったのがこれ。東近美で2025年3/4~6/15に特別展が開催される。
そのキャッチコピーは‘いま世界が注目する抽象画の先駆者、待望のアジア初
・大回顧展’。気になるフレーズは‘抽象画の先駆者’、抽象画というとカンデ
ィンスキーとかモンドリアン、マレーヴィチが頭をよぎるが、その前に抽象
絵画を描いていたとは!一体どんな画家人生だったのか。興味は尽きない。

知っている抽象主義の画家や同時代を生きた画家の生まれた年、亡くなった年
をチェックしてみた。彼女はクリムトと同じ年に生まれ、カンディンスキーよ
り4年早く誕生した。
☆スーラ(1859~1891)
☆ミュシャ(1860~1939)
☆クリムト(1862~1918)
☆ムンク(1863~1944)
☆シニャック(1863~1935)

☆ロートレック(1864~1901)
☆カンディンスキー(1866~1944)
☆マティス(1869~1954)
☆モンドリアン(1872~1944)
☆マレーヴィチ(1878~1935)

少ない情報だが、この女性画家の回顧展が2018~2019年にNYのグッ
ゲンハイム美で行われ、同館史上最高の約60万人が来場したという。どんな
作品が並ぶか。期待できそう。

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2024.11.14

2025年3月 東京都美で‘ミロ展’!

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拙ブログでアップした記事はどれが多くのアクセスを獲得したかは毎日みれ
るようになっている。9月の中旬以降、ここのトップ5のなかによく登場す
るのが田中一村をとりあげたもの。東京都美で9/19から開催されている
回顧展(12/1まで)の人気が大きく関係していることはまちがいない。
NHKの日曜美術館でも特集されたから、奄美で傑作‘アダンの海辺’を描いた
田中一村への関心がぐんと高まっているは容易に推測できる。この特別展を
企画した東京都美は本当にいい仕事をしたなと思う。

東京都美は春に‘デ・キリコ展’を行っており、主戦場の西洋絵画でも目を楽し
ませてくれたが、来年も期待の特別展が登場する。それは‘ミロ展’。手に入れ
たチラシには最小限の情報しかなく、会期(3/1~7/6)と掲載されている
4点がスペイン・バルセロナにあるミロ美蔵のものということしかわからない。
英語で小さく書かれた作品のタイトルを読むと個人のコレクターからミロ美
に寄託されたものになっている。

これらが過去ミロ美の作品を中心にして行われた回顧展で出品されたかチェッ
クしてみた。2回ある。
☆1988年 日本橋三越
☆2009年 大丸ミュージアム東京 
どちらにも同じ図版は載ってなかった。ミロ美は1990年スペインを旅行し
たとき訪問しているので、どんな名画が飾ってあったかは館内で撮影した写真
や図録などから、目を惹く作品はインプットされている。だから、それにひっ
かからないのは通常の展示では披露されないとか個人から寄託されたのが比較
的最近のためということかもしれない。

ミロ狂としては気になる作品が出てきたので、開幕が待ち遠しい。2年前、
Bunkamuraで遭遇したソフィア王妃芸術センター蔵の‘絵画
(カタツムリ、女、花、星)’に感動したミロがまたやって來るのだからた
まらない。

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2024.11.13

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 今泉今右衛門 徳田八十吉

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 十三代今泉今右衛門の‘色絵鍋島緑地更紗文花瓶’(1982年)

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   ‘色絵吹墨珠樹文花瓶’(1992年)

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   ‘色絵吹重ね草花文花瓶’(1995年)

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   ‘燿彩壺 恒河’(2002年)

明治以降に活躍した陶芸家のやきもの展の楽しみ方は目の前に現れる作品の
タイプによっていろいろ変わる。現代に蘇った志野や織部だと見どころはし
っかり押さえられており、その出来栄えの良さにほとほと感心させられる。
また、伝統のやきものの技法が受け継がれていることを意識させないほど
色彩や形が華麗に変容した作品に出くわすと息を呑んでみてしまうというこ
ともよくある。

後者だと有田に生まれ色鍋島の伝統技法を継承しながら、それを大胆に変え
色絵の新しい世界を生み出した十三代今泉今右衛門(1926~2001)
がすぐ思い浮かぶ。陶芸に関心が向い出したころNHKのやきもの番組を見逃
さずみていたら、十三代が出演し霧吹きを利用した吹墨や薄墨を実演してい
た。それが目に焼きついているのでまだ縁がない‘色鍋島緑地更紗文花瓶’や
‘色絵吹墨珠樹文花瓶’を吸い込まれるようにながめてしまう。

1995年につくられた‘色絵吹き重ね草花文花瓶’はオブジェ的な陶芸で動き
のある形と草花文の間に配列された抽象性の強い三角や四角の図柄に思わ
ず足がとまる。これはヨーロッパでみたクリムトの絵の影響らしい。2度目の
回顧展に遭遇したら、個人蔵の出品が叶いお目にかかれるかもしれない。

2011年横浜そごう美で開催された‘追悼 人間国宝 三代徳田八十吉~煌
めく色彩の世界~’で徳田八十吉(1933~2009)の大宇宙を感じさせ
る世界を堪能させてもらった。まるでビッグバンを連想させるような‘燿彩華
文鉢’がいくつも並び、館内にいる間中ハイテンションのままだった。
今これも是非加えたいと強く願っているのは‘燿彩壺 恒河’。青手調の古九谷
特有の釉薬が用いられたこの作品は図柄は抽象画家のフォンタナの線からヒン
トを得ている。古九谷の世界をさらに進化させ、こんなすごい作品を生み出
した。三代徳田八十吉に乾杯!

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2024.11.12

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 川喜田半泥子 荒川豊蔵

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川喜田半泥子の‘志野茶碗 不動’(20世紀 石水博)

Img_0003_20241112224601     

‘井戸手茶碗 さみだれ’(20世紀)

Img_20241112224601    荒川豊蔵の‘志野茶碗 耶登能鳥梅’(1976年)

Img_0001_20241112224601     ‘鼠志野茶碗’(1954年)

何度も足を運んだやきもの展でよく開催される美術館として頭に浮かぶのは
東博、五島美、根津美、三井記念美、出光美、MOA美、茨城県陶芸美。そし
て、百貨店では日本橋三越・高島屋、銀座松屋。このなかで満足度が
急上昇して株をあげたのが銀座松屋。やきもの展ときくと心をはずませて出
かけるのは五島、根津、三越、高島屋が多かったから、松屋のやきもの展に
気づくのがだいぶ遅れた。松屋に二重丸をつけさせたのは2009年に開催
された川喜田半泥子(1873~1963)の回顧展。

やきもの本により川喜田半泥子がスゴイ陶芸家という情報は入っていたが、
なにせ本物にお目にかかったことはなかったから幻の陶芸家だった。それが
松屋で一気に解決し、200%のめりこんだ。過去に行われた個展のことは
知らないが、この特別展は岐阜県現代陶芸美、横浜そごう美、山口県萩美、
三重県美にも巡回したから一級の半泥子展であることは間違いない。お陰で
有名な‘志野茶碗 赤不動’(東近美蔵)や圧倒的な存在感で迫ってくる‘伊賀
水指 慾袋’(石水博蔵)などを堪能することができた。一生の思い出である。

川喜多半泥子の生まれた三重県の津市にある石水博物館は半泥子のやきものをたくさん所蔵しているが、大回顧展に赤が映える‘志野茶碗 不動’は残念ながら出品されなかった。いつかこの博物館を訪問してみたい。半泥子の正業は銀行の頭取で作陶は趣味でやっていた。一流の腕とセンスをもいっていたのに素人の陶芸という感覚でおこなっていたから、作品は展覧会に出品されず販売されたこともなく、多くは知人に贈られた。個人蔵の‘井戸手茶碗 さみだれ’に会えると嬉しいのだが。

半泥子の作品をみていると日本の伝統的なやきものの世界にまぎれこんだような気になるが、同じことが志野を再現した荒川豊蔵(1894~1985)にもいえる。運がいいことに2008年、茨城県陶芸美で行われた‘人間国宝 荒川豊蔵’に遭遇し、長年の思いの丈を叶えることができた。志野が大好きなので‘志野茶碗 耶登能鳥梅(やどのうめ)’や渋い色調が心に響く‘鼠志野茶碗’を縁があればみてみたい。

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ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 松井康成

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   ‘練上線文深鉢’(1971年)

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   ‘練上玻璃光大壺’(1999年)

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   ‘練上玻璃光陶筥’(1997年 茨城県陶芸美)

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   ‘萃瓷練上大壺’(1994年)

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   ‘堆瓷文方壺「朧」’(1983年)

TVで放送される美術番組でやきものや蒔絵などの工芸品は取り上げられると
きは、作品の制作過程に多くの時間が割かれる。絵画の場合でもどうやって
絵が仕上がっていくかをみせてくれることはあるが、やきものと較べると
その回数は少ない。そのため、やきものの番組を1年くらい見続けると趣味
で茶碗や壺をつくらなくても全体の作業の流れがイメージできるようになる。

スーラが点描法によって描いた風俗画や風景画をみると、相当な時間にわた
って創作のエネルギーを注ぎこめるだけのタフな持続力を持ち合わせていな
いと作品の完成にはいたらないことは容易に想像がつく(ゴッホも点描法に
挑戦したが、自分には向いてないとすぐやめてしまった)。それと同じこと
を思うのが松井康成(1927~2003)のやきもの。回顧展にめぐりあ
ったのは2005年、茨城県陶芸美(笠間市)で開催された‘人間国宝 松井
康成の全貌’。タイトルのとおり、はっとさせる大壺がどどっと出品されてお
り、松井の陶芸に200%魅了された。

松井のイメージは二色以上の陶土を組み合わせてその断面の模様を器の表面
として成形する‘練上手’という技法によってつくられている。前からあるこの
技法を松井流に進化させ、具象から抽象まで変化に富んだ多彩な文様を次々
と生み出し鮮やかな色彩によって輝かせた。まさに大壺アート・エンターテ
イメントを楽しんでいる感じ。

いろんなヴァリエーションから感動をもらったが、当面のターゲットは器面
いっぱいに埋め尽くされたピンクの花やグレイのグラデーションが印象的な
‘練上玻璃光大壺’、薄紫や渋い茶色などで表現された花びらが揺れ動いて
いる印象がする飾筥‘練上玻璃光陶筥’、そして、大壺が視覚から消え濃い青で
彩られた熊笹の大きな葉が存在感を誇示するかのように自由に重なり合って
いる‘萃瓷練上大壺’。そして、初期の作品で下にゆっくり流れていく線がつく
る爽快な美を感じさせる‘練上線文深鉢’や装飾性と情緒的な心情が絡まる‘堆瓷
文方壺「朧」’にも惹かれる。

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2024.11.10

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 北大路魯山人

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   ‘朝桜夕楓鉢’(1935∼44年)

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   ‘椿絵鉢’(1955年 何必館・京都現代美)

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   ‘蟹絵平向’(1958年 田部美)

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   ‘銀三彩マルモン鉢’(1955年)

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   ‘志埜草絵鉢’(1955年頃)

北大路魯山人(1883~1959)はその名前ですぐ結びつくのが俳優の
北大路欣也。大ヒットした映画‘八甲田山’に出演し‘天は我々を見放した!’
のセリフで有名な人気俳優である。だから、陶芸家の魯山人も名前つなが
りからいっても忘れられない存在になっている。作品をまとまった形でみた
のは足立美(島根県安来市)が最初。河井寛次郎と一緒に専門の展示室に飾
られていた。

その後回顧展に遭遇したのは、
☆2003年 笠間日動美
☆2005年 川崎市岡本太郎美(岡本太郎との二人展)
☆2007年 日本橋三越本店(吉兆庵美コレクション)
☆2009年 日本橋高島屋
☆2020年 日本橋三越本店(何必館コレクション)
こうした特別展に巡り合い、魯山人のコレクションで知られる美術館、世田
谷美、東近美、吉兆庵美(鎌倉市)、敦井美(新潟市)、何必館・京都現代美、
京近美などにある名品をいくつも鑑賞することができた。

濱田庄司の楽しみが大皿なら、魯山人でぐっと惹かれるのは大きな鉢。いろ
いろみてきたがまだいくつか残っている。乾山の‘色絵紅葉文透彫反鉢’を連想
させる‘朝桜夕楓鉢’と何必館(かひつかん)にある‘椿絵鉢’。2020年、新型
コロナウイルスの感染が拡大する前に日本橋三越で遭遇した何必館のコレクシ
ョンでは2つの大鉢にお目にかかったが、もう一つの椿絵は出品されなかった。

また、ユーモラスな‘蟹絵平向’や小さい頃みた紙風船が蘇ってくる‘銀三彩マルモ
ン鉢’、そして現代に現れた絶品の志野(志埜)にもいつかこの目でという思い
が強い。前回の回顧展から5年経つのでどこかで回顧展が開催されるのを密かに
願っている。

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2024.11.09

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 濱田庄司

Img_0002_20241109232601     ‘白釉黒流描大鉢’(1971年 益子参考館)

Img_0003_20241109232601   ‘琉球赤絵春來春去水指’(20世紀 アサヒビール大山崎山荘美)

Img_0004_20241109232601    ‘柿釉赤絵角皿’(1973年)

Img_0001_20241109232601    ‘藍塩釉茶碗’(1959年 大阪市東洋陶磁美)

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 ‘鉄絵茶碗’(1943年 大阪市東洋陶磁美)

河井寛次郎と共に民藝派陶芸を牽引した濱田庄司(1874~1978)の回顧展に出かけたとき、一番の楽しみは大皿。その見どころは濱田庄司の代名詞になっている‘流し掛け’という陶芸技法。柄杓で釉薬を瞬間芸のように流し掛けて即興的に生み出された文様はポロックのアクション・ペインティングのやきもの版といったところ。この装飾を施すのに15秒以上はかからない。

それで多くの訪問客はこう尋ねる。‘早すぎるのではないか。15秒しかかからないのになぜそんなに高価なのか’。すると濱田は‘皿をつくるのには、60年と15秒もかかっているのです’と答える。この話を聞いて名言だなと思った。抽象画の世界と何ら変わらないこの大皿の名品を運よくいくつもみることができたが、まだ縁がないのが‘白釉黒流描大鉢’。所蔵する益子参考館は訪問したが、なぜかこれは展示されてなかった。

‘流し掛け’同様、大変魅了されているのが赤絵の作品。赤と緑のすっきりした線で表現された草花と漢字の組み合わせが軽やかな気分にさせてくれる‘琉球赤絵春來春去水指’と‘柿釉赤絵角皿’が当面のターゲット。アサヒビール大山崎山荘美にあるのは鑑賞の機会はありそうだが、個人蔵の角皿は夢のままに終わるかもしれない。これと絵柄の動きをみせる調子が似ている‘鉄絵茶碗’も思わず足がとまりそう。

この品のいい茶碗を所蔵している大阪市東洋陶磁美の濱田庄司コレクションをどさっとみせてくれる特別展が2010年栃木県美で開催された。横浜から大遠征をして楽しませてもらったが、これと青の強烈なインパクトによって目がかっと開く感じになる‘藍塩釉茶碗’は展示替えのためみることができなかった。質の高いコレクションなので本物に遭遇すると感激するかもしれない。

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2024.11.08

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 河井寛次郎

Img_0002_20241108233501    ‘三色打薬扁壺’(1962年 京近美)

Img_20241108233601    ‘三色打薬蓋付壺’(20世紀 アサヒビール大山崎山荘美)

Img_0004_20241108233601    ‘草花文扁壺’(1957年頃 岐阜県現代陶芸美)

Img_0003_20241108233601    ‘辰砂菱扁壺’(1941年 京近美)

Img_0001_20241108233601    ‘花鳥扁壺’(1952年 京近美)

河井寛次郎(1890~1966)のやきものを最初にみたのは、生地の島根県安来市にある足立美にもうけられている専用の展示室。この頃広島で仕事をしており、山陽側の倉敷の大原美でも名品を楽しんだ。こうしてはじまったこの民藝派陶芸家とのつきいはその後、ずっと続いていて、日本橋高島屋、日本民藝館、町田市博などで行われた回顧展を見逃すことなく出かけてきた。そして、2年前は大阪の中之島香雪美で開催された特別展‘陶技始末ー河井寛次郎の陶芸’で未見の作品に数多く遭遇するという幸運に恵まれた。

足立、大原、民藝館のほかに作品を多く所蔵しているのは京都の河井寛次郎記念館、京近美(川勝コレクション)、アサヒビール大山崎山荘美。ここを訪問したりあるいはほかの美術館で企画されたやきもの展に所蔵品が展示されるとき、もっとも心がハイになるのが赤と緑、黒の打薬がポロックのアクションペインティングのように施されている扁壷や茶碗。そのため、まだ縁がない川勝コレクションやアサヒビールのものに関心を寄せている。

寛次郎の陶芸が既存のものと大きく異なっていて斬新だなと思わせるのは創作心のままに生み出される大胆で新奇な形。扁壺でもインパクトの強さが際立っており、‘草花文’のように安定感のある器形に抽象的に描かれた文様が違和感なく融合している。感心するのはモチーフの模様と扁壺の形がピッタリ合っていること。‘辰砂菱扁壺’では真ん中のふくらみと絵柄が一緒になって心地いい気分にしてくれる。茶陶でお馴染みの茶碗や水指まどのやきものとはまったくイメージがちがい、アートとしてもやきものに今出会っているよう。

その豊かな感性から生まれてくる形のなかには‘花鳥扁壺’のように絵柄となっている鳥のくちばしと扁壷の口のところの形がシンクロしているものがある。まさに形が形をつくっている。こういう作品は子どもの美育の教材になりそう。このタイプのものは陶彫像といわれており、ほかにも魚や鳥などがあり目を楽しませてくれる。

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2024.11.07

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 板谷波山

Img_20241107232601     ‘葆光彩磁瑞桃文飾皿’(1926年)

Img_0003_20241107232701    ‘帆立貝花瓶’(1906~1916年)

Img_0004_20241107232701    ‘彩磁葡萄文花瓶’(1914年)

Img_0002_20241107232701    ‘一輪生 麦’(1910年)

Img_0001_20241107232701    ‘彩磁唐花文水指’(1940年)

定期的に出かけるブックオフで注意を払って探しているのが芸術家を主人公
にした映画。美術関連でこれまでゲットしたのはミケランジェロ、レンブラ
ント、カラヴァッジョ、ポロック。日本人もひとり入っている。近代陶芸の
巨匠、板谷波山(1872~1963)を榎木孝明が演じた‘HAZAN 
かつて 美しき日本人が いた。’(2003年)

この映画で知ったのが波山は完璧主義者で、つくったやきものにほんの小さな不出来部分があれば、すぐ壊していること。印象的なシーンが妻(南果歩)はそれをこっそり保管していて生活費に困ったときは支援者に買ってもらうところ。思い入れの強い陶芸家の物語を映画でみるとより作品への鑑賞が深まっていくような気がする。ほかの日本人では喜多川歌麿(長谷川一夫)の映画も手にいれた。浮世絵師では東洲斎写楽と葛飾北斎も映画化されたことは知っているが、なかなか遭遇しない。

板谷波山の代名詞となっているのは独特の淡い幻想的な色合いに魅了される‘葆光彩磁(ほこうさいじ)’。出光美、泉屋博古館東京、MOA美、敦井美(新潟市)、茨城県陶芸美などが所蔵する名品はおおよそみたが、残っているのが‘葆光彩磁瑞桃文飾皿’。2014年泉屋博古館東京で行われた回顧展(ほか3館に巡回)では展示替えでお目にかかれなかった。

波山の陶芸ではモチーフの模様がどーんと印象づけられるのが特徴。意表をつくのは帆立貝。これを何枚も重ねると花瓶ができてくる。もうひとつすごく近代的だなと思わせるのはアールヌーヴォー調で表現される‘一輪生 麦’。地味な麦がハイカラな味付けで人目を惹く作品に変身するのだからマジックのよう。よく描かれる葡萄がでてくる‘彩磁葡萄文花瓶’は花瓶の形に葡萄がぴったり融合し、葡萄の存在感がとて強い感じがする。器面いっぱいに青のグラデーションをきかせて表現された唐草文が連続する水指もなかなかいい。

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2024.11.06

ミューズにとどけ追っかけ陶磁器! 富本憲吉

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   ‘色絵金銀彩羊歯模様捻飾壺’(1958年 宮内庁)

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   ‘金地金銀彩羊歯模蓋付飾壺’(1953年 奈良県美)

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   ‘色絵金銀彩羊歯模様大飾皿’(1959年)

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   ‘色絵「春夏秋冬」字瓢形飾壺’(1939年 奈良県美)

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   ‘白磁八角壺’(1932年 奈良県美)

明治以降に活躍した陶芸家のなかで回顧展がよく開催されるのは、板谷波山、
富本憲吉(1886~1963)、河井寛次郎、濱田庄司、北大路魯山人の
5人。百貨店のなかにある美術館で開催されることが多いので、日本橋三越
や高島屋のHPを定点観測し見逃さないようにしている。1955年、第1回
の人間国宝に認定された富本憲吉は陶芸界では板谷波山に続き二人目とな
る文化勲章を受章している。

陶芸家物語をとまとめながら‘創作の心’を語ったことも記しているが、富本憲
吉が発した‘模倣から「美」はうまれない。模様から模様をつくらず’という
言葉が強く心に刻まれている。身近な自然や草花の写生と磨かれた感性によっ
て生み出された代表的な模様が四弁花と羊歯文。中心から四方に広がる羊歯
の葉4枚を菱形におさめた羊歯連続模様が心をとらえて離さない飾壺でまだ縁
がないのが宮内庁と奈良県美にあるもの。精緻にかつリズミカルに描かれた
この連続模様が醸し出す‘至至の美’はまさに神業的。

その羊歯文をつかった絢爛豪華な色絵金銀彩は飾皿でも一際目を惹く。金銀彩
の色合いの違う二つの羊歯文は紙風船を思わせるようにふたつに分けられてい
る。菱形のかたまりを巧みに分割して回転を連想させる絵柄にみせるというの
がすばらしい。正方形の集まりをひょいとねじり違和感なく動きを与えるとい
うのは普通の頭からはなかなか出てこない。

2007年世田谷美で開催された回顧展では富本の生まれ故郷である奈良の
県立美にある‘白磁八角壺’と‘色絵「春夏秋冬」字瓢形飾壺’が残念なことに出品
されなかった。ここへは応挙と芦雪の二人展(2006年)をみるため訪問し
たことがある。奈良へまた行くことがあったら出かけたみたい。

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2024.11.05

ミューズにとどけ追っかけ漆芸! 逸見東洋

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   ‘風神雷神図堆朱盆’(1911年 林原美)

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   ‘堆漆麟鳳亀龍香合’(1900年代)

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   ‘観音図堆朱香合’(1912~1925年)

漆芸の名品に少しずつ目が慣れていったのは5年から10年のサイクルで行
われる‘人間国宝展’を見逃さず足を運んだことが関係している。そして、
作品がどうようにしてつくられているかを知るのに役立ったのはTVで放送さ
れる美術番組、これまで熱心にみてきたのをあげると、‘日曜美術館’、‘美の
巨人たち’、‘美の壺’、‘なんでも鑑定団’。

幕末、明治、大正を生きた漆芸の名工、逸見東洋(1846~1920)が
制作した‘風神雷神図堆朱盆’にスポットをあててくれたのは2013年に放送
された‘美の巨人たち’。この堆朱の傑作を所蔵しているのは岡山市の後楽園の
近くにある林原美。堆朱とは赤く着色した漆を使った彫刻のこと。お盆の大
きさは横30cm、縦24cm、厚さ3cm。逸見は6年の歳月を費やして
この堆朱の最高峰を呼ばれるお盆を完成させた。

なぜわずか30cmのお盆に6年もかかるかというと、漆は乾燥するととて
つもなく硬くなるため彫るには相当な力と根気が必要になるから。漆を気の
遠くなるほどの回数塗り重ね3cmの厚さにするのに2年を要し、そのあと
の超絶技巧の技を駆使して進める彫りの作業に4年の歳月を費やした。こう
いう話がインプットされるとなんとしても本物をみたくなる。

林原美へは別の特別展をみるため一度訪問したことがあるが、この放送の前の
こと。だから、もう一度でかけ思いの丈を叶えるつもりだか、常時展示されて
いるかは未確認。ここには鍋島のいいのをコレクションしているが、こうし
た自慢の作品は常時でてこないことはよくあるから、美術館に‘堆漆麟鳳亀龍
香合’と‘観音図堆朱香合’もあわせてみれるかチェックしようと思う。

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2024.11.04

来年春 大阪市立美術館で国宝展!

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Img_0002_20241104225301    ‘薬師如来坐像’(9世紀 獅子窟寺)

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つい先日、来年行われる展覧会でビッグなものが飛び込んできた。それはリ
ニューアルが完成する大阪市美が大阪・関西万博開催とコラボして実施する
‘日本国宝展’(4/26~6/15)。国宝展というと東博や京博で行なわれる
特別イベントの印象が強いが、大阪ではじめての開催となる。概要案内によ
ると全部で130点出品される。お馴染みのお宝のなかで、絵画は
☆尾形光琳 ‘燕子花図屏風’
☆伊藤若冲 ‘動植綵絵’
☆狩野永徳 ‘唐獅子図屏風’
☆雪舟   ‘四季山水図巻’
☆‘信貴山縁起絵巻’
☆‘伝源頼朝像’

そして、やきものや工芸品、仏像では
☆‘火焔型土器’
☆本阿弥光悦 ‘舟橋蒔絵硯箱’
☆金印‘漢委奴国王’
☆‘蒔絵箏’(春日大社)
☆‘孔雀明王像’(東博)
☆‘普賢菩薩騎象像’(大倉集古館)
☆‘薬師如来坐像’(獅子窟寺)

今わかっている出品作でまだ縁のないのは獅子窟寺にある‘薬師如来坐像’。
こういう機会でないとお目にかかれないので心が動く。

7月京都、大阪で美術館めぐりしたとき、来年京博と奈良博ですごい特別
展が開かれることがわかったが、大阪でも国宝展がほぼ同じ時期に開催さ
れる。三都をめぐると日本美術のお宝中のお宝がたくさんみれる。日本美
術で‘最高の瞬間!’が連続する美術鑑賞なんて滅多にあるものではない。
来年も関西旅行となりそう。

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2024.11.03

CSをやめなければ日本シリーズは衰退していく!

日本シリーズの第6戦で地元に戻ったDeNAが11-2の大差でソフトバ
ンクを破り、26年ぶりの日本一に輝いた。拍手々!1,2戦で連敗したので
福岡に行きソフトバンクにスイープ、もしくは1勝4敗でやられるかなと思っ
ていたが、なんとそこから4連勝して一気に頂点にのぼりつめた。本当に野球
は筋書きのないドラマ。5年くらい前まで招待券をもらい横浜スタジアムには
2年に一度くらい出かけていた。だから、ベイスターズファンの盛り上がりは
よく知っている。いまごろは関内、桜木町、横浜駅周辺は大騒ぎだろう。横浜
市民なので素直に喜びたい。

じつは今日の試合は見ていたが、日本シリーズはTVの生中継はパスし結果だけ
を押さえていた。今年はDeNAがCS(クライマックスシリーズ)で巨人を破り、
進出してきたので最後の試合は応援していた。野球は大好きなのだが、もう長
いこと大リーグばかりみてプロ野球の試合はほとんどみない。日本の野球ネタ
は拙ブログで過去2度書いた。
☆クライマックスシリーズはもうやめたら!(2013.10.22)
☆西武球団が笑い、監督・選手・ファンが泣いたパCS(2018.10.22)

CSを続けていると日本シリーズの価値がどんどん下がり、ファンは見なくなる
ことを指摘したのだが、今年それが顕著にでてきた。その原因のひとつがアメ
リカのWS(ワールドシリーズ)。大谷と山本のいるドジャースがジャッジや
ソトがひっぱるヤンキースとWSで激突したので、連日メディアが大きく取り
上げたこともあって、多くの野球ファンの関心が開催の時期が重なった日本シ
リーズへいかなくなった。大谷は強いドジャースと10年契約し、山本も生涯
ドジャースの選手となることを選択したから、WS(毎年出られるとは限らない
が、その可能性はそこそこ高い)で活躍する姿をみるのが楽しみになってきた。
こうなると、日本シリーズはもういいやとなる。

これを防ぐ方法はCSをやめて、レギュラーシーズンが終わったら1週間か
10日後にセリーグとパリーグで優勝したチームが日本シリーズの覇者をめざ
して戦うしかない。このタイミングなら大リーグはPSをやっていてWSとは
重ならない。もちろん、ドジャースは大きな確率でこの舞台にいてステージを
一つ一つあげていくので関心は高いだろうが、今よりは日本シリーズに目が
いく。

今年であてはめてみると、巨人とソフトバンクは人気球団だから日本シリーズ
は以前のように盛り上がる。何度も言うようにCSは興行のためにやっている
だけ。球団の金儲けのために試合をみせているだけで、野球ファンを楽しませ
るために行っているのではない。巨人ファンの喜びは日本シリーズに出られな
くなって、1ヶ月でしぼんだ。日本シリーズをみる気にはならないだろう。
ソフトバンクを応援する人たちはCSを通過し、さあ、日本一だと楽しみにし
ていたら、野手陣の打撃の調子が狂ってレギュラーシーズン3位のDeNAによも
やの敗退。両チームのファンの心はぐんとへこんでいる。人気チームゆえにそ
の悲しみの総量はとてつもなく大きい。

一方、二つの球団はしっかり儲けている。巨人は東京ドームでCSを6試合やっ
たので、日本シリーズにでなくても経営的には何の問題もない。ソフトバンク
も同じ。CSで3試合、日本シリーズで3試合計6試合を福岡の本拠地で行って
いる。NPBや球団のオーナーたちの考えが変わらない限り、日本の野球はどん
どん見放されていく。でも、日米の野球環境の変化に対応しないNPBはどうし
ようもないダメ組織。改革は期待できない。

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2024.11.02

ミューズにとどけ追っかけ絵画! 堂本尚郎 瑛九 福沢一郎

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  堂本尚郎の‘作品60-1’(1960年 京都市京セラ美)

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   ‘連続の溶解’(1964年 京近美)

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   ‘連続の溶解 Planets in Orbit’(1971年)

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  瑛九の‘旅人’(1957年 福岡市美)

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  福沢一郎の‘よき料理人’(1930年 神奈川県近美)

美術館で開かれる特別展に作品を制作した画家がいて少しばかり話をする幸
運にめぐまれることがたまにある。たとえば、抽象絵画で知られる堂本尚郎
(1928~2013)さんとは2005年世田谷美で開催された回顧展で
お会いした。初日だからおられたのだと思うが、気さくでとてもカッコいい
老人画家だった。‘この人が美術本に載っているあのアンフォルメルの画家
か!’とちょっと緊張した。

画伯の描く抽象絵画には大変惹かれており、カンディンスキーやマレーヴィ
チらと同じ好きな画家のグループに入れている。だから、世田谷美では展示
されなかった作品への関心も強い。アンフォルメルの画風が強い磁力を発し
ている‘作品 60-1’は抽象画だが嵐や波濤のイメージが頭に浮かんでくる。
激しさが和らぎ、画面の安定性やリズムカルな動きを感じさせる‘連続の溶解’
では赤と黒の緊張感のあるコントラストが印象深い。そして、洗練され深み
のある抽象画に仕上がっている‘連続の溶解 Planets in Orbit’に惹かれている。

瑛九(1911~1960)は東近美で遭遇した‘れいめい’によってその存在
を知った。その広大な宇宙を連想させる作品はすぐそのカンディンスキーの
美しい抽象画とむすびついた。こんなすごい抽象画を描いた画家が日本にも
いたのか!そのうち回顧展に会えるかも、ところが、それは一向に実現せず、
いまだに本物はこの1点にとどまっている。2点目は福岡市美にある版画
‘旅人’を狙っている。

福沢一郎(1898~1992)はお目にかかった絵が片手にもならない画家
であるが、東近美にある‘牛’を何度もみているうちに気になる画家になった。
‘よき料理人’はどこかマグリットのシュール画を思わせる。そして、色彩の調
子からはスイスの画家ヴァロットンが浮かんでくる。

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2024.11.01

気になる‘山本芳翠展’!

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    ‘浦島図’(1893~95年頃 岐阜県美)

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    ‘琉球漁夫釣之図’(1887~88年頃 岐阜県美)

現在、西洋美で開催中の‘モネ 睡蓮のとき’(10/5~2/11)にあわせ
て特集が組まれた‘芸術新潮 ムッシュ印象派 モネのすべて’(11月号)
にとても気になる展覧会が載っていた。それは岐阜県美で行われている
山本芳翠(1850~1906)の大回顧展(9/27~12/8)。この
特別展は情報がまったく入って来なかった。昨年購入した‘日経おとなの
OFF 絶対見逃せない2024美術展’になぜかこれは載ってないので、9月
にはじまったことは知らなかった。

岐阜県美は一度、前田青邨展をみるため訪問したことがあるが、そのとき
平常展示されていた岐阜県出身の山本芳翠の有名な絵‘浦島図’に遭遇した。
美術本でみたこの絵によって山本芳翠という洋画家へ心がむくようになった。
と言っても、画家の作品を見る機会は少なく回顧展には縁がないから、My
図録に張り付けている作品の数は‘浦島図’を含めて9点しかない。今回の
回顧展には1点を除く8点が出品されている。

‘芸術新潮’の記事の冒頭に以前‘日曜美術館’でよくお目にかかった日比野克彦
がでてきた。てっきり回顧展をみにやって来たのかなと思ったら、肩書を
よく読むと現在、岐阜県美の館長となっていた。このアーテイストは
1958年、岐阜県の生まれだった。それで館長か!さらにびっくりしたの
は東芸大の学長でもあること。へえー学長にまでなったの、という感じ。

出品作のリストをみると三菱一号館美で出会った‘十二支’(現存する10点
のうち3点)が全部展示されている。これらはすべて三菱重工業が所蔵して
いるが、目を楽しませてくれた‘丑 牽牛星’のインパクトが強く、残りの7点
もいつかみてみたいと思った。その機会がめぐってきた。ほかにも鑑賞欲を
刺激する‘琉球漁夫釣之図’などもある。今はいろんなことが重なっているため、
すぱっと岐阜行きを決められない。悩ましいことになった。

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