ミューズにとどけ追っかけ絵画! シャガール
‘アポリネール頌’(1911~12年 エイントホーフェン市美)
好きな画家とのつきあいが長くなると、感動をもらった作品との出会いのエ
ピソードの数が増えてくる。いつどんな状況だったか、どこを旅行しどの
美術館で出会ったのか、いろいろ楽しい思い出が蘇ってくる。シャガール
(1887~1985)はこれがかなり多い。‘最高の瞬間!’はなんといっ
てもNYのMoMAでみた代表作の‘私と村’(1911年)。これが美術の本に載っていたシャガールの絵か!という感じで息を呑んでみていた。本物と対面したというのは絵画が好きになればなるほど特別な鑑賞体験として長く記憶される。
アメリカ以外ではパリのオペラ座の天井画をみたことも忘れられない。これ
を思い出すたびにふつふつと脳裏の浮かび上がってくるのがNYの国連本部
にあるシャガールが描いた大きな壁画。これをみてみたいが、観光客がみる
ことができるのだろうか。またNYへ行くことがあったら鑑賞の機会をチェ
ックしようと思っている。フランスではニースにあるシャガール美を訪問し
たのが楽しい思い出。ニースにはマティス美もあるが、意気込んでクルマを走らせたが生憎休館だった。ところが、時が流れ所蔵作品が今年日本にやって来た。こんな思いもよらぬリカバリーが起きるのだから、美術趣味はやめられない。
これまで日本の美術館で行われたシャガールの回顧展で大きな収穫はポンピドゥーにある作品がほとんどお目にかかれたこと。パリにでかけてお目当てのシャガールが全部みれるわけではないから、この蓄積は有難い。最近はシャガールの回顧展はとんと見当たらないのはポンピドゥーが売りにできなくなったことも関係があるのだろう。そこで、提案だがニースのシャガール美からの出品を企画したらどうだろうか。期待したい。
今シャガールの追っかけ作品で初期にものとしてリストにあげているのは抽象的で不思議な感覚が沸き上がってくる‘アポロネール頌’とシカゴ美で姿をみせてくれなかった‘誕生’。作品の前では‘最高の瞬間!’がすぐおこりそうなのはサンクトペテルブルクのロシア美が所蔵する‘散歩’、ヘルシンキにこんないいシャガールがあったのか!と驚愕する‘横顔のダヴィッド’、そして、重ね合わされた正面向きと横向きの顔が強いインパクトをもっている‘チェリスト’。
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